わたかわ 鉄道&旅行ブログ

乗り鉄&旅好きの20代男子が全国を巡る!

費用は? 行程は? 持ち物は? 「最長片道切符の旅2021」全てお見せします!

こんにちは。わたかわです。

今回は私が2021年夏に実施した「最長片道切符の旅2021」について、改めて行程やかかったお金などを詳しくご紹介していこうと思います。

これから最長片道切符の旅に挑戦しようとしている方のご参考になれば幸いです。

ルート

稚内肥前山口(IGR版/BRTなし)

  • 営業キロ合計:10959.5km
  • 価格:75,190円(学割適用)
  • 有効日数:56日間

稚内(宗谷本線)新旭川石北本線)網走(釧網本線東釧路根室本線富良野富良野線旭川函館本線岩見沢室蘭本線)沼ノ端(千歳線)白石(函館本線新函館北斗北海道新幹線新青森東北新幹線)盛岡(IGRいわて銀河鉄道好摩花輪線)大館(奥羽本線)川部(五能線東能代奥羽本線)秋田(羽越本線)坂町(米坂線)米沢(奥羽本線)横手(北上線)北上(東北新幹線)古川(陸羽東線)小牛田(石巻線石巻仙石線)仙台(東北新幹線)福島(東北本線)岩沼(常磐線)いわき(磐越東線)郡山(磐越西線)新津(信越本線)長岡(上越新幹線)新潟(越後線)柏崎(信越本線)宮内(上越線越後川口飯山線)飯山(北陸新幹線上越妙高北陸新幹線糸魚川大糸線南小谷大糸線)松本(篠ノ井線篠ノ井信越本線)長野(北陸新幹線)高崎(上越新幹線)越後湯沢(上越線)新前橋(両毛線)小山(東北本線安積永盛水郡線)水戸(常磐線)新松戸(武蔵野線南浦和東北本線)赤羽(赤羽線)池袋(山手線)田端(東北本線秋葉原総武本線)佐倉(成田線)松岸(総武本線)成東(東金線)大網(外房線安房鴨川(内房線蘇我京葉線)東京(東北本線)神田(中央本線)代々木(山手線)新宿(中央本線)西国分寺武蔵野線武蔵浦和東北本線)大宮(高崎線)倉賀野(八高線)拝島(青梅線)立川(南武線)武蔵小杉(東海道本線)品川(東海道本線)川崎(南武線)尻手(南武線)浜川崎(鶴見線)鶴見(東海道本線)横浜(根岸線)大船(東海道本線国府津御殿場線)沼津(東海道本線)富士(身延線甲府中央本線)八王子(横浜線)新横浜(東海道新幹線)小田原(東海道本線)熱海(東海道本線)三島(東海道新幹線)静岡(東海道本線豊橋飯田線)辰野(中央本線)岡谷(中央本線塩尻中央本線)金山(東海道本線)名古屋(関西本線)亀山(紀勢本線)新宮(紀勢本線)和歌山(和歌山線)高田(桜井線)奈良(関西本線新今宮大阪環状線)京橋(片町線)木津(関西本線)柘植(草津線草津東海道本線)山科(湖西線近江塩津北陸本線米原東海道本線)岐阜(高山本線)猪谷(高山本線)富山(北陸新幹線)金沢(北陸本線敦賀小浜線)東舞鶴舞鶴線)綾部(山陰本線)京都(東海道本線)新大阪(山陽新幹線西明石山陽本線)神戸(東海道本線)尼崎(福知山線)福知山(山陰本線鳥取因美線東津山姫新線)姫路(山陽本線)岡山(津山線)津山(姫新線)新見(伯備線)倉敷(山陽本線)三原(呉線海田市山陽本線)広島(芸備線備中神代伯備線伯耆大山山陰本線)益田(山口線新山口山陽本線宇部宇部線)居能(小野田線)小野田(山陽本線)厚狭(美祢線長門市山陰本線)幡生(山陽本線)門司(鹿児島本線)西小倉(日豊本線都城吉都線)吉松(肥薩線)隼人(日豊本線)鹿児島(鹿児島本線)川内(九州新幹線新八代鹿児島本線)久留米(久大本線)夜明(日田彦山線田川後藤寺後藤寺線新飯塚筑豊本線)折尾(鹿児島本線吉塚篠栗線桂川筑豊本線)原田(鹿児島本線)博多(九州新幹線新鳥栖長崎本線諫早大村線早岐佐世保線肥前山口

「最長片道切符」と一口に言っても細かいルートはいくつかあり、いわゆる「JR版」「IGR版」の2通りがあるとされています。前者はその名の通りJRのみを利用する最長ルートですが、後者は通過連絡運輸の特例を利用して盛岡~好摩駅間のみIGRいわて銀河鉄道を経由するルートになっています。JRのみという縛りを設けて行うのであれば前者になりますが、後者の方が営業キロの合計が長いため「日本一長い片道切符」という点にこだわる場合はIGR版となります。

そしてもう一つ論点となるのが「BRT」。これは2011年3月の東日本大震災により被災した東北地方太平洋沿岸部の路線の一部で鉄道に代わる地域の足として運行されているバス高速輸送システムで、いわゆる「代行バス」とはやや扱いが異なります。かつては「鉄道扱い」でしたが、2020年4月1日付で正式にBRT運行区間の鉄道事業が廃止されました。これにより「BRTを最長片道切符の経路として含めることができるのか」があやふやな状態となったのです。

BRTが鉄道扱いでなくなったことで、連絡運輸や運賃計算のルールが大きく変更されている可能性があります。この点を詳しく勉強してBRT経由のルートを取ることができるのであればより経路は長くなっていたのかもしれませんが、今回私はグレーゾーンを避ける意味でも「BRT区間を経路に含めず」発券することにしました。

阿波海南→佐古(土佐くろしお版)

  • 営業キロ合計:756.5km
  • 価格:9,130円(学割適用)
  • 有効日数:5日間

阿波海南(牟岐線)徳島(高徳線)佐古(徳島線)佃(土讃線窪川土佐くろしお鉄道)若井(予土線北宇和島予讃線)高松(高徳線)佐古

最長片道切符挑戦者の方の多くは、先に示した「稚内から肥前山口まで」のみに挑戦をされています。もちろんこれだけで十分素晴らしいことなのですが、私はせっかくなので通常の最長片道切符では立ち寄れない四国についても同様に最長ルートを調べ、旅の中に組み込むことにしました。

ただし本州と四国を結ぶ鉄道路線瀬戸大橋線本四備讃線)の1通りしかありませんので、四国を含めた経路は全国版と通しの切符として作ることはできません。そのため「稚内肥前山口」とは別の乗車券として持ち歩くことになります。

四国島内でも全国版と同様に通過連絡運輸の特例を活用し、窪川~若井駅間のみ土佐くろしお鉄道を経由。これにより阿波海南からいったん佐古を通り、四国をぐるっと一周して再び佐古へと戻ってくる6の字ルートが営業キロベースでの最長ルートであると判明しました。

ここで注意したいのは、スタートの阿波海南。かつて牟岐線の終点は一つ先の「海部」でしたが、DMV開業およびその工事に関連して2020年11月に阿波海南~海部駅間がJR四国から阿佐海岸鉄道へと移管されました。

先にご紹介した連絡運輸は、原則としてJR以外の事業者を2社以上ルートに含めることができません。また、JR四国の路線としての阿波海南~海部駅間廃止に際して阿佐海岸鉄道はJRとの連絡運輸の取扱いを廃止したため、現在ではスタートは阿波海南からとなります。

 

期間

  • スタート(稚内駅出発):2021年8月3日(火)
  • ゴール(肥前山口駅到着):2021年9月9日(木)
  • 日数:35日間(8月15日・21日・22日を除く)

私の場合、稚内から肥前山口までの全行程を35日間で完遂しました。この日数には四国も含まれています。ただしこの期間の中には全くルートを進めなかった日が3日間あり、この3日間については35日間の中に含めていません。

8月15日に関しては通常通りルートを進める日の予定でしたが、悪天候により上越線が不通となってしまったため前日の14日をもっていったん旅を中断し、自宅で休養を取っていました。8月21日・22日は元々外せない私用が入っていたため、ここではいったん旅を中断するつもりで初めからスケジュールを組んでいました。

先に示した通り、有効日数は56日間ありますので3週間ほど日数に余裕を持たせた状態での完遂ということになります。ただしそもそも56日間もかけないと完遂できないような距離ではないため、早ければ30日ほど、長くても45~50日ほどで完遂される方が多いような印象です。

時間をかけてゆっくりと進むことで長く旅を楽しむことができる一方で、やはり日数が増えるとそれだけ宿代と食費が嵩むので、ここは判断が難しいところです。

 

持ち物

  • 最長片道切符・乗車券類
  • 衣類(3日分)
  • 部屋着
  • 水分
  • ノートPC
  • スマートフォン
  • デジタルカメラ
  • 充電器類(ノートPC、スマートフォンデジタルカメラ
  • ハードディスク
  • モバイルバッテリー
  • 小型全国時刻表
  • アメニティ(歯ブラシ、洗顔料、シェーバー、タオル、爪切り等)
  • 駅スタンプ用紙
  • 現金・クレジットカード
  • 学割証(大学にて発行)・学生証・保険証等
  • やる気と元気

最長片道切符の持ち物はとにかく多いです。電子機器類が多いのはブログを執筆しながらだからというのもありますが、それにしても多い。

普段からおでかけなどされる界隈の皆様であれば、持ち物に大きな違いはありません。時刻表に関しては大判のものですと嵩張りますので、「小型全国時刻表」もしくは「コンパス時刻表」が適切かと思います。スマホで電車の時刻くらい調べられる…と思うかもしれませんが、常に乗り継ぎを吟味しながら前後の列車と比較する場合などは圧倒的に紙の時刻表が優れています。またスマホの充電が切れる場合や、山間部・トンネル等で圏外になる場合もありますので、乗り換え検索1本に頼るのは危険です。

そしてこれは学生の方の場合ですが、可能であれば学割証は数枚余分に発行しておき常に携帯しておきましょう。不測の事態で急に旅を中断しなければならなくなった場合など、遥か離れた場所から正規運賃で自宅へと戻るのはかなり痛い出費です。実際私も高崎で急遽旅を中断しなければならなくなった際に学割証が大変役立ちました。

 

費用

1ヵ月を超える長旅ともなると「いったい総額でいくらかかったのか」はだれしも気になるところかと思います。結論から申し上げると、私の場合は36万5,471円でした。

(以前YouTube上で公開したものと誤差がありますが、この記事の方が正しいです。)

内訳は上の図の通りです。「旅の道中」とは稚内をスタートしてから肥前山口にてゴールするまでにかかった費用を示しており、「旅の前後の移動」は文字通りその前後でかかった費用を示しています。

なお、全項目に共通する事項としては以下の通りです。

  • 消費税およびその他諸税を含む。
  • 道中でフォロワーさん等から奢っていただいた分や頂いた金券類等は含まない。
  • その時点で所持しているポイント・クーポンを利用し正規の価格よりも安い金額で済んでいる場合には、割引後の価格で計上している。

①乗車券

鉄道での移動にかかった運賃を示しています。ここで言う「鉄道」にはJRのみならず私鉄・地下鉄・第三セクター・モノレール・路面電車等も含んでいます。

稚内肥前山口」「阿波海南→佐古」のそれぞれに関しては先ほどの項目にて示した通りです。「その他乗車券」は最長片道切符の経路に含まれない区間の乗車券代を示しており、このうち「旅の道中」の方は寄り道をした際にかかった乗車券代や、ホテルまでの移動の際に使用した地下鉄や路面電車等の運賃を示しています。

旅のテーマによっては最長片道切符の経路を毎日のように大きく外れあちこちへ寄り道をされる方もいらっしゃるかと存じますが、私の場合は「最長片道切符の経路上で見られる景色」に拘ったため、それほど大それた寄り道はあまりしませんでした。

②料金券

新幹線や在来線特急へ乗車する際に必要な特急料金のほか、普通・快速列車の指定席を利用した際にかかった指定席料金の総額を示しています。

最長片道切符の経路上では短い区間で新幹線を利用することが多く、また在来線の場合でも特急列車を利用することで効率よく移動できる場合には積極的に利用しました。ただし急なスケジュール変更等が生じた場合に備え、自由席が連結されている限りは極力自由席を利用しました。

なお山形新幹線の在来線区間の特急料金は「在来線特急」の方に含めています。

③航空機

スタート地点である稚内へと向かうため、羽田空港から稚内空港までは航空機を利用しました(新千歳空港にて乗り継ぎ)。もちろん最長片道切符の経路上に航空機を利用しなければならない場面はありませんから「旅の道中」の方では0円となっています。

④バス

観光等に際し路線バスを利用する場面がありましたので、その総額を示しています。ただし私は観光にそれほど重きを置きませんでしたので、金額としてはかなり抑えめです。

なお自然災害等の理由により最長片道切符の経路上でバスによる代行輸送を行っている区間がありますが、あちらはあくまでも「鉄道扱い」で運行されているものですのでここの項目には含んでいません。

⑤船

四国へ立ち寄るために和歌山~徳島間を南海フェリーで往復した分等のほか、「旅の前後の移動」の方では北九州から横須賀まで東京九州フェリーを利用したため、それらを示しています。

⑥飲食費

今回の私の場合は「日本の食」をテーマに掲げていたため、とにかく食費が嵩みました…!

ご当地グルメとしてカウントするものだけでも6万円以上、またその他にも食事をしていますのでこれだけで7万円以上かかっています。

多くの場合、長旅では金銭に余裕がなくなってきた際に「まず食費を削る」ということが多い印象ですが、私の場合は正直あまり削りようがなかったというのが正直なところです(胃袋や時間の都合で泣く泣く諦めたご当地グルメはたくさんあります)。

また真夏の期間での実施でしたので、熱中症対策としてこまめな水分補給も欠かせません。ただでさえ疲労が蓄積する道中において水分補給を我慢することは極めて危険ですので、安全と健康を第一に旅を進める上でここもなかなか削ることができない項目でしょう。

⑦宿泊費

食費を削れない分、ここはかなり削りました。合計32泊のうち半分近くの13泊はインターネットカフェ「快活CLUB」を利用し、またそれ以外の19泊のうち8泊は廉価なゲストハウス・カプセルホテルを利用しています。快活CLUBでもところにより料金に違いはあるものの、学割を使用すれば8時間滞在しても1,500円程度で抑えられるところがほとんどです。

曜日や場所によってはかなり金額が嵩むこともありますので、私は基本的になるべく大きな街で泊まることにしていました。その方がリーズナブルな宿泊施設も多く、個人経営の民宿が数軒程度しかないような小さな集落よりも費用を抑えられることが多いためです。

ちなみに32泊の中で最も高額だったのは、30泊目の「ニューグロリア大分ホテル」(4,000円)でした。

⑧洗濯費

35日間に渡る旅行だからといって35セット分の着替えを持ち歩くわけにはいきませんので、旅の道中では随時洗濯を行っていました。数えたところ洗濯回数の合計は11回でした。

洗濯の方法としては主に2通りあり、「宿泊施設内のコインランドリー」を使う場合と「街中のコインランドリー」を使う場合があります。結論から言うと「絶対にどちらの方がよい」というのはなく、私自身も旅の道中で両方を併用していました。

洗濯代を安く抑えられるのは前者であることが多いですが、宿泊施設内にあるコインランドリーは洗濯機と乾燥機が分かれていることが多く、時に睡眠時間を削ってでも部屋を出て洗濯物を移し替えなければなりません。洗濯時間に関しては街中のコインランドリーの方が圧倒的に短く、洗濯から乾燥まで全自動で1時間かからずに完了させてくれるものが多いですが、1回の洗濯+乾燥で1,000円前後かかるためなかなか痛い出費です。

また、宿泊施設内にあるコインランドリーの場合はその時点で洗濯したい全ての衣類を洗濯することができますが、街中のコインランドリーの場合はその場で着ている服を脱いで全裸で待つわけにはいきませんので、洗濯できる着替えの数が1セット減ります。その分高頻度で洗濯をしなければならないというデメリットがありますので、その時ごとにどこでどう洗濯するのがよいかを判断するようにしましょう。

⑨観光費

観光施設内への入場料はここに計上しています。ただし先ほども述べた通り私はそれほど観光に重きを置いていないため、ここはほとんどかかりませんでした。がっつり観光に時間を割いたのは広島くらいであったと記憶しています。

 

行程

ここでは、最終的に稚内から肥前山口までどのような乗り継ぎで向かったかを一挙にお見せします。あまりにも長すぎるので、7日間ごとに区切ってご紹介していきます。

なお、左列に書かれた(+○)という表記は列車の遅れ分数を示しています。記載されている通常ダイヤからその分数だけ遅れて発車・到着したことを表しています。

1~7日目(稚内→山形)

記念すべき1本目は稚内13:01発の特急〔サロベツ4号〕からスタート。はまなす編成と呼ばれる観光客向けの特急で、華々しいスタートを切りました。

北海道内では主に道東方面で初乗車となる路線が多かったため、釧網本線の車窓に映るオホーツク海がとても印象に残っています。

札幌の市街地はちょうど私が滞在している時に東京2020オリンピック大会のマラソン競技が行われており、地上の道路や歩道は封鎖されている時間帯も多かったため地下歩行空間を存分に活用してあちこち移動しました。

北海道内の滞在は約5日間。一般的な旅行であればこれだけでも十分なボリュームですから、初めのうちは最長片道切符の旅を実施しているというより「単なる北海道旅行に来ている」ような感覚でした。

5日目の夜に本州へと入り、翌6日目からはJR東日本管内の移動がスタート。6日目は本来であれば弘前までで移動を終える予定だったところ、7日目以降に東北地方のJR各線が天候不順の影響で不通になる可能性が出ていたため少しでもルートを進めておきたいと思い、急遽その日のうちに五能線を走破して羽後牛島まで行ってしまうことにしました。リゾートしらかみに乗れなかったのが残念ではありましたが、美しい日本海の夕陽を見れたのでこれはこれで忘れられない思い出です。

8~14日目(山形→千葉)

東北地方から信越地方を巡って首都圏に入っていきます。

ここで何と言っても忘れられないのは10日目の夜。えちごトキめき鉄道春日山駅近くにある快活CLUBへと向かう途中、あまりの大雨で全身びしょ濡れになり、疲労も蓄積してかなりしんどかったのを覚えています。乗り継ぎを見ていただければ分かる通り、この日は14時以降まとまった休憩時間を取れておらず夕食もまだでしたので、快活CLUBで注文した塩唐揚げ丼の美味しさとフードメニューの有難さを身に染みて感じました。

11日目の夜、何と翌12日目に乗る予定だった上越線の県境越え区間が土日2日間終日運休となる発表があり、足止めを喰らう形となりました。長野の宿で急遽リスケをし、幸い首都圏へと入っていくところだったのもあり12日目の高崎でいったん旅を中断し横浜の自宅へと戻ることにしたのです。その後の話ではどうやら日曜日の午後あたりから運転再開をしたそうですが、ともかく日曜日は丸一日自宅でしっかり休息を取り、月曜日に改めて高崎から旅を再開するかたちとなりました。

15~21日目(千葉→高知)

最長片道切符の旅において、しばしば「首都圏の乗り継ぎは複雑で過酷」と言われますが、全国のどこよりも首都圏の鉄道に乗り慣れている私としては正直そこまででもありませんでした(8月15日にいったん休養を取ったからかもしれませんが)。

首都圏を抜けて東海地方へと入りますが、あいにく飯田線中央西線が豪雨災害の影響で一部区間不通に。一時は代行バスの運行すらなされるか怪しい事態でしたが、お盆が明け沿線の学校が始業したためかギリギリで代行バスの運行が始まり、何とか券面の経路通りに移動することができました。塩尻から名古屋まで特急1本であっという間に行く予定だったところを4回の乗り換えが生じてしまったので体力的にしんどい部分はありましたが、部分放棄をせずに済んだのが何よりです。

和歌山まで来たところで本州の行程をいったん中断し、翌日に備え南海フェリーで徳島へと移動しました。

22~28日目(高知→岡山)

四国をぐるっと一周して、23日目の夜に再び本州へ。

24日目の夜は関西圏で多くのフォロワーさんにお会いさせていただきましたが、中でも最長片道切符の大先輩である鉄道系YouTuberの西園寺さんとお会いできたことは本当に忘れられない思い出です。

関西からいったん東海地方へと戻り、北陸を通って再び関西へ。あまりにも頭のおかしな移動ですが、この頃ともなると感覚が麻痺してきて特に違和感は感じませんでした。

27日目は特急〔きのさき9号〕が途中の和田山駅に到着したところで、大雨の影響で急遽運転見合わせに。城崎温泉駅へは1時間30分ほど遅れて到着したため、計画していたエクストリーム入浴は残念ながらお預けとなりました。

29~35日目(岡山→肥前山口

山陽地方と山陰地方を行ったり来たりしながら、長く続いた本州に別れを告げて九州へと入っていきます。

呉線山陰本線など、ここでも夏の豪雨災害の影響で長期不通となる鉄道路線が続出し代行バスでの移動が続きました。鉄道と比べると長時間乗車することによる疲労が溜まりやすいものの、やはりここも一応経路通りに進めることに感謝しなければなりません。

30日目は朝から芸備線で備後落合方面へと向かう予定だったところ、天候不順の影響で午前中の運転が取りやめに。夕方頃まで時間が空いてしまったので、広島近辺を観光して時間を潰しました。

32日目の朝、宇部新川の快活CLUBではこの旅最初で最後となる大寝坊かまします。7時台の列車に乗車する予定が2時間遅くなり、厚狭駅での接続が著しく悪いものとなってしまっただけでなく、大分へはまだ明るいうちに到着する予定だったところをだいぶ遅くなってしまいました。

35日目の午後、シーサイドライナーハウステンボス駅で下車しいよいよゴール目前というところでしたが、何と人身事故の影響で最後に乗車する予定だった特急〔ハウステンボス22号〕が運休に。1時間ほど時間を潰し、特急〔ハウステンボス24号〕で肥前山口へとゴールしました。1ヵ月以上にも渡る長旅ゆえ、最後まで気が抜けないものだと身に染みて感じました。

 

乗車本数

乗車した列車の本数をまとめると上の表の通り。合計223本の列車を乗り継いで稚内から肥前山口までを移動してきました。なお経路上で乗車したもののみの合計ですが、経路上から経路外に跨って乗車した列車の本数も含めています。

1日で最も多くの列車に乗車したのは8月19日。東京から横浜まで、合計15本もの列車を乗り継ぎました。全て普通列車ということもあり、慣れた首都圏とはいえこの日は終盤かなりしんどかったのを記憶しています。

また特筆すべきは代行バスの多さ。根室本線大糸線飯田線中央西線呉線山陰本線日田彦山線で計8本もの代行バスを使いました。災害大国ニッポン、中でも豪雨災害の多い夏だからこそ、こうした不測の事態に備えてある程度の時間的・金銭的余裕をもったスケジュールを心掛けることも必要です。

 

ご当地グルメ(「日本の食」)

この旅では「日本の食」をテーマに、全国各地のご当地グルメを食べながら旅を進めてきました。以下にその一覧を記載しておきます。なお一部食べる順序がおかしなことになっている箇所や、「それはご当地グルメではないのでは」等の異論があるかもしれませんが受け付けません(笑)。

  1. 稚内牛乳

  2. 音威子府そば

  3. やきそば弁当

  4. オホーツク北見塩やきそば

  5. メンビス

  6. うらら

  7. スパカツ

  8. 帯広豚丼

  9. はっぱジェラート

  10. 旭川ラーメン

  11. ジュンドッグ

  12. ガラナ

  13. セイコーマートの惣菜

  14. 天狗まんじゅう

  15. ROYCE'のチョコレート

  16. 餃子カレー

  17. ぱんじゅう

  18. 若鶏半身揚げ

  19. かなやのかにめし

  20. いかめし

  21. チャイニーズチキンバーガー

  22. のっけ丼

  23. りんごジュース

  24. 盛岡冷麺

  25. 小岩井農場ジェラート

  26. らぷる

  27. 湯の台食堂監修冷たい中華そば

  28. バター餅

  29. つや姫

  30. おしどりミルクケーキ

  31. 酒田むすめ

  32. 冷やし味噌ラーメン

  33. 横手やきそば

  34. 牛たん定食

  35. 酪王カフェオレ

  36. みそぱん

  37. クリームボックス

  38. ままどおる

  39. 会津ソースかつ丼

  40. イタリアン

  41. バスセンターのカレー

  42. 山賊焼定食

  43. 信州そば

  44. おやき

  45. 高崎パスタ

  46. 峠の釜めしおにぎり

  47. 爆弾おにぎり

  48. 関東・栃木レモン(レモン牛乳)

  49. 宇都宮餃子

  50. スタミナラーメン

  51. ミルクスタンド

  52. トンかつ弁当

  53. ピーナッツもなかアイス

  54. 勝浦タンタンメン

  55. 深川めし

  56. 山田うどん食堂

  57. シウマイ弁当

  58. 静岡おでん

  59. みしまコロッケ

  60. ようかんぱん

  61. ほうとう

  62. 桔梗信玄餅

  63. 朝の茶事

  64. のっぽパン

  65. 安倍川もち

  66. げんこつハンバーグ

  67. うなぎパイ

  68. こっこ

  69. 豊橋カレーうどん

  70. ピレーネ

  71. 塩尻駅の超狭いそば屋

  72. アルプスジュース

  73. みそかつサンド

  74. なごやん&生なごやん

  75. ういろう

  76. 那智黒ソフト

  77. さんま姿寿司

  78. めはり寿司

  79. くるみ醤油餅

  80. 徳島ラーメン

  81. 鳴門金時ポテト

  82. ザ・すだち

  83. ごっくん馬路村

  84. 鰹のたたき

  85. 宇和島鯛めし

  86. じゃこ天うどん

  87. みかんジュース

  88. 一六タルト

  89. 讃岐うどん

  90. 瓦せんべい

  91. 和歌山ラーメン

  92. 柿の葉ずし

  93. 奈良三笠焼き

  94. いか焼き

  95. 天狗おこし

  96. 串カツ

  97. 近江ちゃんぽん

  98. スガキヤ

  99. 鮎菓子

  100. ますのすし小丸

  101. ゴーゴーカレー

  102. 羽二重餅

  103. 越前かにめし

  104. 生八ツ橋

  105. 551豚まん

  106. ミックスジュース

  107. 明石焼き

  108. 御座候

  109. とうふちくわ

  110. 二十世紀梨ジュース

  111. 元祖かに寿し

  112. まねきの駅そば

  113. えびめし

  114. 赤福

  115. きびだんご

  116. たくあんサラダロール

  117. 調布

  118. お好み焼

  119. 稲野笹原

  120. 岡山海苔天

  121. あなごめし

  122. もみじまんじゅう

  123. がんす

  124. 大風呂敷

  125. 割子そば

  126. ばりそば

  127. ふくソーセージ

  128. 利休さん

  129. かしわうどん

  130. うまいか

  131. とり天定食

  132. チキン南蛮重

  133. マンゴーゼリー

  134. カンパチ漬け丼

  135. 白熊

  136. 黒豚かつサンド

  137. いきなり団子

  138. からし蓮根チップ

  139. 陣太鼓

  140. ネジチョコ

  141. かしわめし

  142. 牧のうどん

  143. めんべい

  144. 博多通りもん

  145. 丸ぼうろ

  146. カステラ巻

  147. そのぎ茶アイス

「こんなにもいろんなものを食べて太らないのか」と疑問に思うかもしれませんが、実際めちゃくちゃ太りました。最長片道切符に限りませんが、食をテーマに旅をされる際はくれぐれも体調や栄養管理に万全を期してください。

 

おわりに

私がこの最長片道切符の旅に挑むことを決意したのは、ちょうど1年前の今頃(6月)でした。以前から西園寺さんをはじめ様々な方の動画や記事を拝見し「いつかやってみたい」とは考えていたものの、学生生活が多忙を極めており長期休暇も含めてなかなかタイミングが取れずにいました。

しかし、そんな私の心を大きく揺さぶるきっかけとなったのが、2020年の新型コロナウイルス感染症拡大でした。それまで当たり前のように送っていた学生生活は全て止まり、旅行趣味においても世間体を気にしてなかなか思うようにできない日々がやってきます。

同時に就職活動も次第に忙しくなり、もはや旅行どころではない状況となりながら大学4年生の春を迎えました。

そこでふと、こんな思いが頭をよぎりました。

「大学生活最後の夏、心からの思い出に残る旅がしたい。」

コロナ禍で生活の隅々にまで制約が生じ、気づけば大学生活もあと1年を切っていたことにようやく気づきました。2020年も夏頃からあちこちへ数日程度の短い旅行を再開してはいたものの、それらを越えた大きなスケールでの旅がしたいと思ったのです。

watakawa.hatenablog.com

就職活動も終わり、夏本番の到来を前にいよいよ本格的な「最長片道切符の旅」の計画がスタート。それまでよりもバイトへは多めに入り、必死で旅費を稼ぎました。また8月から9月にかけて1ヵ月以上バイトに穴を開けてしまうことは不安もありましたが、理解を示してくださりまとまった日程も無事に確保することができました。

そして迎えた8月3日。緊張しすぎてあまり寝付けず、眠い目をこすりながら早朝の羽田空港へと向かったのを覚えています。

それからというもの、全国各地を移動しながら日々目の前で繰り広げられる光景と体験の数々は自分にとってワクワクの連続でした。常に「この先には心躍る何かが待っている」という気持ちでいっぱいで、疲労やしんどさを感じることはありながらも「旅をやめたい」と思うことは一度もありませんでした

稚内をスタートした時にはまだ遠い先の話だと思っていた西日本や九州も、気がつけばあっという間に到来。Twitterやブログで旅の様子を随時発信していったことがきっかけで私に興味をもってくださった方も多く、道中では様々な方とお会いする機会に恵まれました。

9月9日の最長片道切符最終日、最後まで予定が狂いながらも何とか〔ハウステンボス24号〕の自由席に乗車。流れる車窓に目をやると、自然と目から大粒の涙がこぼれてきたのは今でも忘れられません。あの涙には様々な思いがありましたが、何よりも「こんなにも楽しかった旅が終わってしまう」という寂しさがとても大きかったと思います。

1ヵ月以上に渡る日本一周。それはひと夏の思い出として、確かに私の胸にしっかりと刻まれていました。

最長片道切符の旅ができる」という贅沢

最長片道切符の旅に出る前、私はこの旅がとにかく過酷でただしんどいものであるという認識をもっていたように思います。もちろん過酷でしんどいことは間違いないのですが、しかしそれ以上にこの旅を出来ること自体が「贅沢なこと」なのだというのを終わってから強く実感したものです。

社会人になれば、当然ながら1ヵ月以上のまとまった休みが取れることはそうそうありません。定年退職して時間にゆとりが生まれれば時間とお金の両方が手に入るかもしれませんが、一方でその頃には日本一周をする体力など残っているとは到底思えません。

また時間やお金のみならず、人に恵まれ、環境に恵まれ、多くの人の協力があって初めて実現したことでもあります。たった一人で稚内からスタートしたかに思われた旅でしたが、気づけば大変多くの皆様に背中を押していただいていました。

常に「洗濯」を意識したスケジュールを

最長片道切符の旅の出発にあたり、私は前もって稚内から肥前山口までの全ての行程を決めていました。もちろん全て予定通りにいくとは思っていないので、ある程度日程に余裕を持たせつつ…ではありますが。

しかしそんなものは、自分が思っていたよりも遥か一瞬にして崩壊します。遅延や運休は最大の敵、乗れるはずの列車に乗れなくなってしまうことなど実際は日常茶飯事でした。暇さえあれば時刻表を開き、この先の最適なスケジュールを考える毎日。一度組み立てたスケジュールが崩壊し、また組みなおして…の繰り返しです。

その上で特に意識していただきたいのは、洗濯のスケジュールです。夏場で大量の汗をかきますので、基本的に一度来た衣類の着回しは極力避けたいと思う方が多いことでしょう。先述の通り宿泊施設であればコインランドリーが設置されている場合が多いものの、睡眠時間を大きく削るようでは本末転倒。そんな時は日中の乗り継ぎ時間の間に立ち寄れそうな街中のコインランドリーを予め探しておき、洗濯の予定を入念に立てておきましょう。

今まで通りの「最長片道切符の旅」ができるのはこの夏が最後かも

最長片道切符の旅は、ひとたび新しい路線が開業したり、逆にそれまであった路線が廃止されたりすると大きくルートが変わります。直近では特に2018年の三江線廃止に伴い、中国地方のルートが大きく変わりました。

途中のルートが大きく変わることは数年に一度のスパンで起こりますが、最長片道切符の旅のスタートはいつも「稚内駅」、ゴールはいつも「肥前山口駅」。これは鉄道ファンの間であまりにも有名な話です。それもそのはず、稚内駅は1995年から最長片道切符のスタートとなっており、そして肥前山口駅にいたっては何と1989年から最長片道切符のゴールとなっているのです。

しかしそんな一つの時代も、まもなく終わりを迎えようとしています。2022年9月23日に武雄温泉~長崎駅間で開業する「西九州新幹線」により、JR九州管内のルートが大きく変わり、肥前山口駅がゴールではなくなってしまうそうなのです。

これは噂の範疇ですので確かなことは分かりませんが、一説によれば「スタートが北海道、ゴールが九州」というのもまるっきり逆になるそう。JR北海道では出札補充券を持ち帰れないケースが一般的とされていますので、秋以降に新たなルートで最長片道切符の旅に挑戦され、完遂したとしてもそれを記念に持ち帰ることができない可能性が大きいのです。

もちろん、この「使用済みの切符を持ち帰る」という行為は、あくまでもJR側のご厚意でさせていただいていることなので、仮にできないとしても文句は言えません。しかし何にせよ今までのように「北から南へと思い出を刻み、肥前山口でゴールする」という体験ができなくなってしまうことはほぼ確実だろうと考えられます。

鉄道ファンであれば誰もが一度は夢見る「最長片道切符の旅」。しかし実際には様々な生活環境や資金面、時間の確保などいくつも課題があり、実行に移せるのはほんの一握りの人しかいないのもまた事実です。だからこそ、夢見ている人の一人でも多くがこの夏最長片道切符の旅」に挑戦してもらえたらと強く願っています

実現し完遂すればそれは自分にとってかけがえのない経験になり、それが大きな財産となるはずです。高ければ高い壁の方が、上った時気持ちがいいはずです。

長くなりましたが、この記事が一人でも多くの最長片道切符挑戦者の方の背中を押すことができていれば幸いです。

youtu.be

 

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。

#5 気温10℃の屋外で野宿…!? 最大の難所を乗り越えた先に待ち受けていた地獄【特急リレー最長片道切符の旅】

 

↓前回の記事はこちらから

watakawa.hatenablog.com

 

3日目 2022年5月3日(火)

福知山方面からの特急〔こうのとり18号〕にて、16時半頃に大阪駅へと到着。分岐駅通過特例に従い改札外に出られないため、改札内にてフォロワーの皆様と楽しいひと時を過ごさせていただきました。

さて、今企画記念すべき10本目となる特急列車は、ここ大阪駅18:04に発車する特急〔はまかぜ5号〕鳥取です。終点鳥取まで全区間乗車していきます。

はまかぜ〕は大阪~城崎温泉方面を播但線経由で結ぶ列車です。しかし〔こうのとり〕や〔きのさき〕と異なりこちらは頻繁に運行されているわけではなく、何と1日の運行本数はわずか3往復のみ。しかもそのうち1往復は大阪~香住駅間、さらに別の1往復は大阪~浜坂駅間のみでの運行ということでいずれも鳥取まで到達することがないため、大阪~鳥取駅間を結ぶ便はわずか1往復しかありません

山陰地区の大動脈であるはずの山陰本線。しかし山陽新幹線の開業もあいまって特に鳥取以東では東西間の鉄道での結びつきが弱く、全線を走破する特急列車の運行はありません。

関西~鳥取間といえば〔はまかぜ〕よりも主流なのが〔スーパーはくと〕。しかしあちらは途中で智頭急行線を経由する必要があり、今回既に伊勢鉄道を経由している多経路乗車券ではさらに智頭急行線をルートに組み込むことができません。そこで何とかして四国上陸前にもうひと粘り山陰を巡って岡山へと至るルートがないものか…と探索したところ、この〔はまかぜ〕ルートが見つかりました。

しかし先ほども述べた通り、鳥取まで直通する〔はまかぜ〕は1日1往復のみ。このうち下りにあたるのが、今回乗車する18:04発の「5号」なのです。

車両はキハ189系と呼ばれるもので、2010年にデビューした比較的新しいもの。運行区間内に非電化区間があるため、〔きのさき〕や〔こうのとり〕等と異なり気動車での運行となります。

列車は定刻通りに大阪駅を発車。始発駅ですが入線から発車までは短い時間しかなく、フォロワーの皆様にお見送りしていただきました。

列車は前から1号車、2号車の順で、一番後ろが3号車の3両編成グリーン車はありません。かつては自由席もありましたが、2021年に全車指定席となりました。

途中の停車駅は三ノ宮、神戸、明石、西明石加古川、姫路、福崎、寺前、生野、和田山、八鹿、江原、豊岡、城崎温泉、竹野、香住、浜坂、岩美です。全区間の総距離は264.9km、所要時間は4時間27分にも及びます。智頭急行線経由の〔スーパーはくと〕は大阪~鳥取駅間210.7km、所要時間に関しては何と2時間30分程度であることを考えれば〔はまかぜ〕がいかに遠回りであるかは火を見るよりも明らかなことです。

大阪を出て最初の停車駅は神戸市の中心地である三ノ宮。〔こうのとり〕が停車する尼崎は通過となるため、改札口を出なければ大阪駅で両列車を乗り継ぐことが可能というわけです。18時半頃ですがまだ外は明るく、日の長さを実感します。

一方で神戸市内には「神戸駅」もあり、〔はまかぜ〕はこちらにも停車します。この神戸駅を境に東海道本線から山陽本線へと入りますが、旅客案内上は大阪~姫路駅間で「JR神戸線」という愛称が用いられているため、ここが路線の変わり目という感覚はほとんどありません。

はまかぜ〕は三ノ宮と神戸の両方に停車しますが、〔スーパーはくと〕は三ノ宮のみに停車し神戸はあっけなく通過してしまうのも面白いところです。

しばらくすると車窓左手には明石海峡大橋&瀬戸内海が見えてきます。ちょうど夕暮れ時ということでうっすら紅く染まる空はとても美しく、一日がもうすぐ終わろうとしているのを実感します。

大阪駅を出てから1時間が経過し、19:12に列車は姫路駅へと到着。ここで列車の進行方向が変わるため、9分間停車します。「長編成の普通・快速列車が多数発着する夕ラッシュ時間帯の山陽本線ホームをたった3両編成のローカル特急が9分間も塞ぐ」というのはなかなかの荒技な気がします(笑)。

列車の進行方向が変わるということで、ここから先は3号車が先頭になります。「座席を回転する場合は周りのお客様へのご配慮をお願い致します」というおなじみのアナウンスのほか、食料等の調達は停車時間中に行うよう案内がなされていました。姫路駅の在来線改札内にはコンビニや飲食店が複数ありますのでそれほど困らないですが、この先終点の鳥取までそれらしい主要駅はなく、また長時間停車もないため注意が必要です。

19:21に姫路駅を発車し、列車はいよいよ播但線へと入ります。辺りはすっかり暗くなり、播但線に入ってもしばらくは家々の明かりが灯る様が見て取れました。

しかし複々線&高架区間もある主要幹線の東海道本線山陽本線とは異なり、播但線はほとんどが単線非電化のローカル線。列車のスピードはだいぶ落ち、〔はまかぜ5号〕がローカル特急であることを実感します。

こうも「ローカル線」「のんびり」とばかり連呼していると、播但線内に優等列車が運行されていること自体が不思議に思えてくるかもしれません。しかし「播但」線という路線名からも分かる通り、この路線は「磨」と「馬」という2つの地域を結ぶためになくてはならない路線として古くから優等列車が運行されています。

1950年代に播但線を通る臨時快速〔たじま〕や〔ゆあみ〕の運行が開始され、統合や準急・急行への格上げを経たのち、今からちょうど50年前の1972年に特急〔はまかぜ〕として運行が開始されました。1972年の運行開始当時は食堂車やグリーン車までも組み込んだ豪華長編成特急でしたが、一方で播但線内はノンストップで運行されており、沿線地域への経済効果はそれほど大きくなかっただろうと考えられます。

1994年には智頭急行線が開業したことで鳥取への直通需要は大きく落ち込み、さらに翌1995年の阪神淡路大震災では一時全列車が運休となる事態に。そうした苦難の道を歩みながらも、今日まで何とか廃止されることなく運行が続けられています。

夕食は、あらかじめ大阪駅で購入しておいた駅弁「あぶり牛とろ玉丼」をいただきます!
お肉のど真ん中にデーンと鎮座した半熟玉子ははじめから殻をむいてあるので、いきなり箸で割っていただくことができます。柔らかい牛肉にとろとろ玉子を絡めていただく…あぁ何と幸せなことだろうか…!!

そんな至福のひと時を過ごすうちに播但線を抜け、列車は20:34に和田山駅へと到着。時刻表を確認するとここでは4分ほど停車することになっており、ここからは山陰本線へと入ります。

watakawa.hatenablog.com

昨夏の最長片道切符では、尼崎から乗車した〔こうのとり〕が大雨の影響を受け和田山駅にて1時間以上の抑止を喰らうという災難が発生した伝説(?)の地。

今回はそうならないでくれ…と願っていたところ、何と京都方面からやってくる〔きのさき15号〕豊岡行(和田山20:33発)が遅延しており、私の乗車する〔はまかぜ5号〕(和田山20:38発)はそちらの発車を待ってからの発車となる模様。

この先の豊岡で本来ならば〔はまかぜ5号〕から接続を取るはずの「京都丹後鉄道」の普通列車へ接続を取ることは厳しいと判断されたようで、豊岡での乗り換え客は車掌に申し出るよう車内アナウンスがなされていました。おそらく当該乗客に関してはここ和田山駅で〔はまかぜ5号〕から〔きのさき15号〕へと乗り換えるような取扱がなされたのではないかと推測します(本来は乗り継げない”マイナス乗り換え”)。

はまかぜ5号〕は和田山駅を5分ほど遅れ、20:43頃に発車。昨夏に比べれば誤差のようなものですが、今回も遅れての発車となりました。

6分ほど遅れ、豊岡駅へは21:10頃に到着。ちょうど隣のホームには乗客を降ろし役目を果たした〔きのさき15号〕が停車していました。京都丹後鉄道の普通列車は豊岡21:11発ですのでもしかすると〔はまかぜ5号〕からの接続を取ったかもしれませんが、何はともあれここでかなりの乗客が降りていきました。

はまかぜ5号〕の中で特に需要の大きい区間は「姫路~豊岡駅間」と言えそうです。姫路・豊岡はそれぞれ「播磨」「但馬」を代表する主要駅ですが、意外にも1日3往復の〔はまかぜ〕以外に両駅間を乗り換えなしで結ぶ手段はなく、こうしたニーズが決して小さくないことを実感します。

21時過ぎの城崎温泉駅で乗降がそれほどあるわけもなく、列車はいよいよ山陰本線の非電化区間へと入っていきます。日本海側へと出るため、ビュースポットとして有名な餘部鉄橋をはじめところどころで海が見える区間を走る…はずですが、こんな夜遅くに海の景色が楽しめるはずなどありません。けたたましいディーゼル音を聞きながら、ただひたすらに鳥取を目指して走ります。香住駅では改札口の頭上に巨大なカニのお出迎えがありましたが、辺りも暗いのでもはやホラーです。

浜坂駅より先は、いよいよ特急列車の運行が1日1往復のみとなる区間。今企画では各線で特急運行本数の少なさによる行程の縛りを受けていますが、中でもこの浜坂~鳥取駅間が最大の難所といって差し支えないでしょう。

車内にほぼ乗客がいないことからも明らかな通り、決して需要があって走っているというわけではなさそうですが、いつまで運行されるのか気になるところです。

最終的に、終点の鳥取へは6分ほど遅れて22:37頃に到着。3日目の行程はここまでとなります。

今夜は鳥取で泊まることになります。あいにくGW期間中ということで駅周辺のホテルは満室ばかりだったため、歩いて2kmほどの快活CLUBで仮眠を取ろうと思っていたのですが…。

何とも運悪く、22時過ぎの時点で「快活CLUB鳥取吉成店の全設備が満室」という大ピンチ。GWということでやはり快活も普段より相当混雑しているようで、宿泊のあてがない緊急事態となってしまいました。

5月とはいえ、夜の鳥取は肌寒く気温は10℃。終電が終われば駅からは締め出されてしまいますので、このままでは駅前のベンチで野宿になりかねません。さらに、ここまでの疲労が蓄積し頭痛に襲われるという二重の辛さが襲ってきました。

こうなったらもう値段などどうでもよいので、駅周辺でどこか1室くらい空いていないものかと思い、無我夢中で(?)片っ端から電話を掛けていきます。しかし最繁忙期のGW、23時前にもなって空室があるはずもなく…10ヵ所ほど掛けましたがどこも「本日はあいにく満室でして…」という返事ばかり。まぁそりゃそうですよね。

しかしそんな中「1室だけ空きが出るかもしれない」という返答をしてくださったホテルがあったのです…!!

それが「東横INN鳥取駅南口」様。本来はこちらも御多分に洩れず予約でいっぱいで満室…だったようですが、予約されている方のうちお一人が時間を過ぎても到着されていないらしく、ホテル側から連絡を試みても繋がらないとのこと。そのためタイムリミットとなる23時を過ぎても当該予約客と連絡がつかないようであれば、その部屋を私が泊まれるという話になりました。

駅前で待つこと十数分…23時を過ぎ、改めて東横INN鳥取駅南口様から連絡が。

最終的にその方は到着されずキャンセル扱いとなり、私がその部屋に泊まらせていただけることになりました!!!!

最繁忙期でお忙しいところ、柔軟な対応をしてくださった東横INN鳥取駅南口様には感謝してもしきれません。当日の飛び込みかつ最繁忙期ということでお値段は7,000円以上しましたが、この疲労と寒さの中で野宿するのに比べれば7,000円など安いものです。

改めてこの場をお借りし、東横INN鳥取駅南口のご担当者様に心からの感謝を申し上げます。また鳥取へ行く機会があれば、その際はしっかりと予約をさせていただいた上で宿泊させていただければと考えております。

 

というわけで大ピンチを乗り越え、3日目が終了。

続きはまた次回お届けしていきます。

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。

#4 大阪を出て大阪に戻る!? 最近全車指定席化で話題の特急を乗り継ぐ北近畿の移動【特急リレー最長片道切符の旅】

 

↓前回の記事はこちらから

watakawa.hatenablog.com

 

3日目 2022年5月3日(火)

3日目の今日は、行程の関係でゆっくりめのスタート。宿泊していた「ホテルリブマックス大阪淀屋橋」をチェックアウトします。

時間に余裕があるのでホテルでのんびりしても良いのですが、せっかく大阪に来たので市内をぶらぶら歩いてみることにしました。今回の「特急リレー最長片道切符の旅」では立ち寄る街全てをじっくりと観光することはできませんが、たまにはこうした時間も取れると良い気分転換になるものです。

御堂筋線に乗って「新世界」「道頓堀」をぶらり。テレビで見るような光景が目の前に広がるとやはりテンションが上がるもので、それほどお店が空いていない午前中の時間であっても多くの観光客の姿がありました。せっかくなのでゆるふわおでかけ初心者(?)らしくたこ焼きを頬張り、つかの間の大阪観光を楽しむことができました。

さて、改めて3日目は昨晩の〔くろしお30号〕にて到着した新大阪駅からルートを再開していきます。数多くの新幹線・特急が発着する西日本最大級のターミナル駅の一つで、在来線の発車標も北陸・紀南・北近畿・山陰方面等々多数用意されています。

新大阪駅構内のデジタルサイネージを見ると、特に山陽新幹線はかなり混雑している模様。まぁ今回の私の企画には一切関係ないんですけどね(笑)。「満席」の文字を見ると繁忙期を感じさせてくれます。

ちょうど今日からGW後半戦がスタートしたということで、窓口や券売機にも長蛇の列が出来ています。

今企画通算7本目となる列車は、新大阪11:25発の特急〔スーパーはくと4号〕京都行です。朝方に鳥取駅を発車してきた列車で、終点京都まで最後の一区間だけ乗車します。

隣の3番線には11:15発のくろしお号が時刻ギリギリで入線。大きな荷物を抱えた旅行客のみなさんが続々と吸い込まれていき、途端にこのホームが一気に閑散となりました。

そしてまもなくすると4番線に倉吉・鳥取方面からの〔スーパーはくと4号〕が入線。ギラギラと眩しい太陽が反射し、今日も夏の訪れを感じさせるおでかけ日和です。

次の京都が終点なので、新大阪で降りる人はたくさんいますがここから乗る人はほとんどいません。妙な視線を感じつつ、定刻通りに新大阪駅を発車。

新大阪~京都駅間は、東海道新幹線が並走していながら実に6種類もの在来線特急が運行されている全国有数の特急街道。「在来線特急にしか乗車できない」ことから全国各地でスケジュールに大きな制約が生じる今回の企画ですが、この区間では多種多様な特急がやってくるため特に困ることはありません。

その中でも今回〔スーパーはくと〕を選んだ理由の一つは、この特急券の券面に隠されています。

号車のところを見てみると…「増2号車」という印字が。そう、普段は5両編成で運行されている〔スーパーはくと〕ですが、本日は多客期につき1両増結されて6両編成での運行となっているのです。繁忙期ならではの光景、しかもこの増2号車は指定席として発売されているということで、あえてこの号車の座席を選びました。

客室内に大きな電光掲示板が設置されている智頭急行の「HOT7000系」。しっかり「増2号車」との表示もなされています。また座席の足元付近にはコンセントが設置されており、長区間での乗車も安心。JR西日本管内を走る特急としては珍しくフリーWi-Fiも整備されていましたが、残念ながら環境が悪かったのかあまり安定して接続させることはできませんでした。

高槻駅の少し手前には明治の工場があり、車内から見えるくらい巨大な板チョコが目印です。ちなみに〔サンダーバード〕〔はるか〕はそれぞれ一部が高槻駅へと停車しますが、スーパーはくと全列車が通過となります。

特急街道とはいえ、この〔スーパーはくと〕において新大阪~京都駅間は末端区間。特急もどきの新快速が高頻度で運行されているため〔スーパーはくと〕の車内は空いていますが、こちらも新快速と同じく130km/hでの運転を行います。凄まじいスピードで過ぎ去る景色は2日前の〔ひたち〕で味わった景色を思い出します。

新大阪を出てわずか22分、11:47に列車は終点の京都駅へと到着。逆光で車体がほとんど見えず分かりにくいのですが、「日本一長いホーム」の一部をなすことでも知られる0番線へと到着しました。

近未来的な駅舎が構えられている京都駅烏丸口。こちらも新大阪に引けを取らず、大勢の観光客でごった返しています。

特に駅前のバスロータリーは長蛇の列。各観光地へと向かうバスが発着しており、灼熱のアスファルトなどお構いなしの賑わいを見せています。目的地にもよりますが、京都駅から市内の有名観光地へ行くには京都駅から直接バスに乗るよりも目的地の近くまでJR・地下鉄等を利用しそこからバスへ乗り継ぐ(or徒歩で向かう)方が早かったりするので、京都観光される方は是非参考にしてみてください。

駅前一等地にそびえる京都のシンボル「京都タワー」を見上げ、3秒で京都観光完了。京都へ来るたびに見上げていますが、登ったことは一度だけしかありません。

それでは駅舎内へと戻り、企画を続けていきます。続いて乗車するのは、京都12:25発の特急〔はしだて5号〕久美浜。ここからは嵯峨野線山陰本線)へと進んでいきます。

はしだて5号〕および併結相手の〔まいづる5号〕に使用される車両は、京都丹後鉄道の観光特急車両「丹後の海」。スーパーはくとから2本連続でJRでない第三セクターの特急車両となります。

はしだて〕〔まいづる〕はいずれも今年春のダイヤ改正にて自由席が廃止され全車指定席となった特急。6両編成のうち前4両が〔はしだて5号〕、後2両が〔まいづる5号〕です。

早速乗り込み、列車は定刻通りに京都駅を発車。木をふんだんに使用した高級感のある内装ですが、車内はほぼ満席で大変混雑しており高級感どころではありません(笑)。

ちょうど時間も良い頃なので、京都駅を出てすぐお昼ご飯をいただくことに。ついさっきたこ焼きを食べたばかりなのでそこまで量はいらないなぁ…と思っていたところに、京都駅構内のお土産物屋さんで美味しそうな助六寿司を発見したので即購入。お値段も600円とお手頃です。

京都・三条に本店を構えるお寿司屋さん「寿しのむさし」さんが手がける助六寿司のセット。京都らしさを感じる「抹茶いなり」が入っており、贅沢な味わいです。

列車はすぐにJR京都線東海道本線)と分かれて嵯峨野線山陰本線)方面へと進みます。しばらくは高架化された都市部を走りますが、嵯峨嵐山駅付近でトロッコが見えると盆地も終わり、いよいよ山間部へと入っていきます。

ここでの見どころの一つといえば、やはり保津峡の眺め。嵯峨嵐山から馬堀の辺りにかけて線路が何度か川を跨ぎ、その度に美しい景色が広がります。ちょうど川下りをする船も見下ろすことができました。

亀岡駅の近くには「サンガスタジアム」という立派なスタジアムがありました。前に通った時はまだ工事中だった記憶があるので、最近新しくできたものかと思います。

園部を出ると次の綾部まで約40分に渡りドアが開きません。この区間にはそれほど大きな街もあまりないようで、のどかな景色の中を進んでいきます。

途中の停車駅は二条、亀岡、園部、綾部、福知山、大江、宮津天橋立、京丹後大宮、峰山、網野、夕日ヶ浦木津温泉。福知山でJRから京都丹後鉄道へと入るため、私が今回乗車するのは福知山までです。終点の久美浜より先ではそのまま同じ車両で「快速 豊岡行」として走るため特急リレーが繋がるかに思われますが、例え特急車両を使用していても「快速」という種別を掲げて走る列車に乗るわけにはいかないので、終点まで乗ってもその先へ繋がる特急はありません。

しばらくすると線路のすぐ右側を由良川が流れるようになります。若狭湾に面する京都丹後鉄道の由良川鉄橋はこの川をずっと下っていった先にあります。

13:32に綾部駅へと到着。ここで後2両が切り離され〔まいづる5号〕は舞鶴線へと入っていきます。まいづる5号は列車の進行方向が変わるため、座席を回転する際には周囲の乗客へ配慮するようアナウンスでも促していました。切り離し作業も見てみたかったですが、身動きが取れないくらい車内が混んでいたので諦めることにしました。

京都駅を出て約1時間20分、13:48に福知山駅へと到着。ここで途中下車します。

向かい側のホームには新大阪からやってきた〔こうのとり9号〕城崎温泉行が待機しており、ここ福知山駅では対面乗り換えが可能になっています。

北近畿エリアには様々な愛称の特急列車が運行されており、それらが全て集まるのがこの福知山駅となっています。しかし京都と新大阪の両方を通る列車は存在せず、京都発着の列車は山陰本線経由、新大阪発着の列車は福知山線経由でそれぞれ福知山へとやってきます。そして福知山より先では再び二手に分かれており、スムーズな乗り換えが可能となるよう福知山駅では対面乗り換えのできるダイヤが組まれています。

今回の私の場合は、上の表の左上のマスの3行目のパターンにあたります。

2009年に全面高架化が完了した福知山駅は駅前もかなり広く、洗練されたデザインの駅舎が映えます。一方で大阪や京都のように大勢の人でごった返しているという様子はなく、静かでホッとしています(笑)。

福知山では少し時間があったので、フォロワーさんにお誘いいただき福知山城へお散歩。駅から徒歩圏内ですので、時間ができた際には是非訪れてみてください~!

そして福知山駅へと戻ってきました。ここからは城崎温泉方面に向かう…かと思いきや、再び大阪方面へと戻らねばならないのです。「特急リレー最長片道切符の旅」という企画名が表す通り、この旅では目的地へとまっすぐ進めるわけではありません。くねくねと迂回し最も遠回りになるよう乗り継ぎながらゴールの宇和島を目指さねばならないのです。

というわけで乗車するのは福知山14:43発の特急〔こうのとり18号〕新大阪行です。当駅始発ではなく城崎温泉からやってきた列車で、福知山駅の2番線へと入ります。

お隣1番線には、天橋立からやってきた〔はしだて4号〕京都行が停車中。ここで相互接続を取り、お互いに発車していきます。どちらも同じ車両ですから、うっかり乗り間違えないようにしましょう。

無事に相互接続も完了し、定刻通りに福知山駅を発車。先ほど通ってきた山陰本線の線路と分かれ、今度は福知山線へと入っていきます。

こうのとり18号〕は本日増結車両を含め7両編成での運転とのこと。しかしまだGW後半戦初日ですから、下りならまだしも上りの特急で車内が混む様子などなく、かなりガラガラです。

〔きのさき〕〔はしだて〕〔まいづる〕等と同様に〔こうのとり〕も今年の春で自由席が廃止され、全車指定席化がなされた特急の一つです。しかし特急券の券面を見てみると「B特急券」のまま従来から変わりはなく、首都圏の全車指定席化とは異なり料金の改定や着席サービスの大幅な変更等を行ったわけではないことが分かります。

福知山線の車窓はそれほど自然が険しい様子もなく、概ねのどかな田園風景の中を進んでいきます。ちょうど5月初旬ということで田植えが行われており、この季節ならではの光景が楽しめます。

途中の停車駅は柏原、谷川、篠山口、三田、宝塚、尼崎、大阪。谷川駅では対向列車と行き違いを行う…はずでしたが、何とその行き違いを行う予定だった特急が遅延しているためここでの行き違いは中止に。ただ意味もなく6分間停車しているだけということになりました(笑)。

途中列車は篠山川を渡ります。川面が緑色に見えるのは木々が反射しているからなのか、それとも濁っているからなのか…? 気になるところです。

谷川で行うはずだった列車行き違いは、篠山口の一つ手前にある丹波大山という駅で行うことに。こちらは特急停車駅ではありませんのであくまでも運転停車となり、ドアは開きません。

まもなくするとこちらに向かって下りの特急列車が遅れてやってきました。私が乗車する〔こうのとり18号〕も予期せぬ運転停車に時間を費やしていますので、この先どの程度遅延を引きずるかといったところです。

篠山口駅からは普通列車の本数が増える区間に入ります。ホームでは後続の普通列車を待つ人が多くおり、ここから特急に乗車してくる方はあまりいませんでした。定刻よりも5分遅れて発車していきます。

三田や宝塚の辺りまで来れば駅周辺にかなり住宅が多く、大阪などへ通勤通学する方が多いエリアへと入っていきます。宝塚駅を6分遅れで発車しましたので、この先で遅延を回復させることはなかなか難しそうです。

尼崎の手前でJR神戸線の線路を跨ぎ、大きく左へカーブを描いていきます。

最終的に定刻よりも4分ほど遅れて、16:27頃に大阪駅へと到着しました。大阪駅サンライズサンダーバード等でもおなじみの11番線へと入線です。

ちなみにこのあとはJR神戸線の姫路方面へと向かう特急に乗り換えます。尼崎~大阪駅間が重複となっておりますが、これも塩尻松本駅間と同じく「分岐駅通過特例」が適用されるため、大阪駅の改札を出場しない限りこの区間の往復運賃が徴収されることはありません。

大阪駅では、てらおくん@terao25017495)をはじめたくさんの方々とお話をさせていただきました!

上の写真に映っている子は全員高校生だそうで…若すぎる…(笑)

 

この後は引き続き大阪駅から特急を乗り継いで移動していきますが、その様子はまた次回お届けしていきます。

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。

#3 名阪間を究極の遠回り! 紀伊半島一周ルートは海も山も美しすぎた【特急リレー最長片道切符の旅】

 

↓前回の記事はこちらから

watakawa.hatenablog.com

 

2日目 2022年5月2日(火)

2日目のスタートは愛知県の名古屋駅から。今日も在来線特急だけを乗り継ぐ生活が始まります(笑)。

雨模様の昨日とは異なり、2日目の今日は気持ちの良い晴れ。昨夏の最長片道切符でも天候には散々振り回されましたので、やはり長期旅行において天候を味方につけておくに越したことはありません。

東海地区最大のターミナル駅である名古屋からは、実に様々な方面へと特急が発車していきます。JRでは飛騨高山方面への〔ひだ〕、北陸方面への〔しらさぎ〕、昨日乗車した長野方面への〔しなの〕等…。また今回の企画ではあまり関係ありませんが、近鉄では大阪や伊勢志摩方面へ、名鉄中部国際空港方面等へそれぞれ有料特急が運行されています。

数ある特急の中でも今回私が乗車していくのは、名古屋10:01発の特急〔南紀3号〕紀伊勝浦です。今回は特急のみを乗り継ぐ「最長ルート」での移動ですので、壮大な遠回りをするべく名古屋から大阪方面へ紀勢本線経由で向かっていきます!

南紀〕に使用される車両はキハ85系と呼ばれる特急車両で、今企画開始以来初の気動車となります。主に〔南紀〕〔ひだ〕で運用されていますが、運用開始から30年以上が経過しており新型車両のデビューも決定していますので、引退はそう遠い話でもなさそうです。

三重方面には〔南紀〕だけでなく普通・快速など様々な列車が発車していきますが、中でも〔南紀〕は他の列車とは比べ物にならないくらいのロングラン。車内に自動販売機などもなく、また長時間停車はありませんので必要に応じて食料等は乗車前に調達しておく必要があります。

南紀〕は時間帯や日によって両数が異なりますが、今回は5両編成。このうち先頭5~2号車が指定席で、自由席は1号車の1両のみです。車内に入ってみると座席が通路から1段高くなっており、より良い眺めを楽しめるよう工夫がされています。

列車は定刻通り10:01に名古屋駅を発車。

たくさんの線路を横目に見ながら客室内で流れるこのチャイムは通称「ワイドビューチャイム」とも呼ばれ、JR東海各線で運行される特急車両の代名詞ともなっていました。しかし今年春のダイヤ改正をもって列車名に冠していた「ワイドビュー」の呼称が取りやめとなり、この音色もやがては過去のものになるかもしれません。

発車してすぐ、車窓右手には広大なJRの車両区が広がっています。その中には、デビューを目前に控えた最新型の特急車両「HC85系」の姿も。本年7月1日より特急〔ひだ〕で運行開始予定ですが、あちらの車内ではワイドビューチャイムが流れないようです。

途中の停車駅は桑名、四日市鈴鹿、津、松阪、多気、三瀬谷、紀伊長島、尾鷲、熊野市、新宮。どれも市町村の中心駅ばかりで絞られてはいるものの、それでもこの多さというところに運行距離の長さを感じます。今回は乗り継ぎの関係上、終点の一つ手前の新宮で降りることにします。

名古屋を出てしばらく、列車は関西本線を走行していきます。名古屋から亀山・加茂・奈良を通り大阪の天王寺方面へと繋がっていますが、現在全線を走破する列車の運行はなく、ほぼ普通・快速列車のみの運行で亀山と加茂では必ず乗り換えが必要になります。

桑名の手前で、列車は一気に3本の大きな川を跨ぎます。「木曽川」「長良川」(「揖斐川」通称”木曽三川”)と呼ばれ、木曽川長良川の間には「ナガシマスパーランド」や「なばなの里」等の観光レジャー施設が集結しています。

近鉄の線路とは何度も近づいたり交差したりを繰り返します。JRの方は単線ですが、近鉄は複線で流石大手私鉄という感じがします。

四日市は、県庁所在地の津をも凌ぐ三重県の主要都市の一つ。JRの駅と近鉄の駅はやや離れており、JRの駅の方が海に近いため車窓からコンビナート群を望むことができます。広大な駅構内はまさに昔からの光景という感じですが、街の中心はJRではなく近鉄の駅の方になっています。

四日市を出てすぐの河原田を通過すると、線路が二手に分かれています。片方は引き続きJR関西本線で亀山方面へと向かうもの、もう片方は第三セクター伊勢鉄道へと向かうものです。この先の津、および鳥羽・新宮方面へはJRでも線路が繋がっているものの、亀山経由では遠回りとなる上に亀山駅で列車の進行方向を変えなければならなくなるため、特急〔南紀〕および快速〔みえ〕は全列車が伊勢鉄道経由で運行されています

伊勢鉄道は1973年に国鉄伊勢線として開業し、その後1987年の国鉄分割民営化直前に第三セクターへと転換された路線。関西本線紀勢本線等と比べるとまだ新しく、ほぼ全線が高架になっていて車窓も抜群に良いです。

今回使用している「出札補充券」の経路では、この伊勢鉄道を「通過連絡運輸」として経路に組み込んでいます。今回は「JRの在来線昼行特急を乗り継ぐ最長ルート」ではありますが、この通過連絡運輸の規定に従い途中に定められた私鉄・第三セクター鉄道等を1社のみ組み込むことができるため、ここで利用することにしました。

なお直通運転が多く、JRと一体的に扱われることの多い伊勢鉄道ですが、運賃体系は別となっているため、ちょうどこの伊勢鉄道線内を走行中に検札がありました。河原田~津駅間の運賃は520円で、乗車券券面にてこれが確認できない場合には車内精算が必要となるようです。

名古屋を出て約1時間、10:59に列車はへと到着。三重県の県庁所在地であると同時に「日本一短い駅名」としても有名です。

列車はここ津から再びJR東海へと戻り、いよいよ紀勢本線へと入ります。津駅ではJRと近鉄で駅構内が一体となっており、発車間際に「JRの特急列車です、近鉄線ではございませんのでご注意ください」というアナウンスも入っていました。

津を発車した先の高茶屋付近には「イオンモール津南」があります。「津南(つなん)→新潟県では!?」と一瞬思いましたが、どうやら「つみなみ」と読むそうです。

ここで少し早いですが、お腹が空いたのでお昼ご飯。松阪の有名な駅弁屋さん「駅弁のあら竹」さんの「黒毛和牛牛めし」(1,500円)です!

この駅弁は乗車前に名古屋で購入したわけではなく、事前に電話をして「積み込み」をしていただいたもの。前もって乗車する列車・号車と購入したいお弁当を電話で伝えておくと、松阪駅でのわずかな停車時間の間にスタッフの方が乗車口まで駅弁を届けてくれるとってもありがたいサービスです。2年前の「JR東海最長片道切符」の際にもこのサービスを利用して駅弁を購入したところ感動的な美味しさで、今回もお願いすることにしました。

当日朝の電話でしたが快く対応していただき、しかも何と出来立てアツアツを届けてくださいました! 赤ワインで柔らかく煮込んだ牛肉はご飯との相性抜群で、気がついたら完食してました。本当に美味しかったです!

11:28には多気へと到着。ここからは伊勢市・鳥羽方面へと向かう参宮線が分岐していきます。また津方面からの普通・快速列車の多くが参宮線方面へと発車していくため、このさき〔南紀〕が通るルートは一気に列車本数が少なくなります。近鉄も伊勢志摩方面へと向かう線路のみですので、これより先は並走したり交差したりすることもありません。

多気を過ぎると列車は険しい山の中を進んでいきます。トンネルも多く、川の流れに沿う様にくねくねと進むためあまりスピードを出すことはありません。

特に梅ケ谷駅付近の峠越え区間は「紀州への玄関口」とも呼ばれるそうで、現在は山を貫く直線的な長いトンネルによって難なく通りすぎていきます。

険しい地形ですがその分車窓は美しく、早くも夏の訪れすら感じさせるほど青々とした木々が車窓に映ります。

紀伊長島駅手前では、少しですが海も見えます! 何とものどかな港町という雰囲気がしてとても良いものです。

紀伊長島紀北町の中心駅。先ほど桑名付近でも「長島」という地名がありましたが、あちらと関係はあるのでしょうか…? 同一県内に全く関係のない「長島」が2つあるとしたらかなりややこしい気がします。

その先は少し海が見えたり、また山に入ったりを繰り返します。「NAGASHIMA SHIP YARD」という文字が見えますが、あれは造船所か何かでしょうか。

尾鷲から少し進んだ「新鹿(あたしか)」という駅の近くでは、車窓左手に美しい砂浜も見えました。透き通るような青い海と白い砂浜の美しさは列車内からでもはっきりと分かるほどで、私を含め多くの乗客が窓越しにカメラを向けていました。

そんな景色に見とれていると、次が新宮とのこと。「やっとか」と「あっという間だったなぁ」という2つの思いが入り混じります。

熊野川を渡ると、ようやく三重県を脱出。逆に言えば桑名よりも手前の木曽川の辺りから実に3時間以上かけて三重県を縦断してきましたので、その大きさを実感せずにはいられません。

列車は定刻通り、13:37に新宮駅へと到着。ここで列車を降りていくことにします。

次の終点・紀伊勝浦へ向け発車する列車をお見送り。以前修学旅行でも利用した思い入れのある特急車両ですので、少しでも長く活躍してほしいものです。

さて、新宮駅は約半年ぶり5回目の訪問。熊野三山への玄関口ともなる街で、いわば「世界遺産の街」というわけです。南国感漂う駅前はいつ来ても暑いイメージがあり、特に昨晩の松本駅(長野県)と比べると寒暖差で体がおかしくなりそうです。

watakawa.hatenablog.com

また、新宮といえば長距離路線バス「八木新宮線」の終点でもあります。ここから和歌山県奈良県の山の中を通って近鉄線の大和八木駅まで路線バスが繋がっていると思うと、改めて凄いことだと感じます。

熊野三山とは「熊野本宮大社」「熊野那智大社」「熊野速玉大社」の3つを総称した言い方で、全てまとめて「紀伊山地の霊場と参詣道」として世界文化遺産に登録されています。この3つの中で最もマイナーでありながら駅から圧倒的に近いのが速玉大社で、新宮駅から徒歩わずか20分程度で着いてしまいます。8年前に一度来訪しているはずですが、ほとんど記憶がないため今回空き時間を使って無事再履修することができました。

また、駅に戻ってきたところであまりにも暑くて溶けそうだったので那智黒ソフトを購入。名物の那智黒飴をたっぷり練り込んだソフトクリームで、独特のこってりとした甘さを味わうことができます!

さて、ここからは紀伊半島一周後半戦。乗車するのは、新宮15:04発の特急〔くろしお30号〕新大阪行です。

新宮駅の改札口付近には、GWらしく指定席の発売状況を掲示するホワイトボードも。くろしお号のグリーン車が混雑しているようですが、普通車であれば名古屋方面・新大阪方面とも余裕はあるようです。むしろその先の新幹線の方が混雑は激しい…?

改札口を入ると、先ほど〔南紀〕を降りたのと同じ1番線ホームに列車が停車中。新宮駅は〔くろしお〕の始発駅となっています。

ここからはJR西日本へと入り、キリっとした目が印象的な287系特急電車へと乗り込みます。

車内はJR西日本のごく一般的な仕様。新宮駅を発車する時点では6両編成で、前から順に6号車、5号車…となっています。終点の新大阪まで乗車していきます。

定刻通りに新宮駅を発車すると、すぐに車窓左手には広大な海が!!

線形が良くないのか、単線だからなのか分かりませんが、比較的ゆっくりと走るため雄大な車窓をじっくり眺め続けることができます。

〔くろしお〕は全車指定席。かつては自由席もありましたが、今年の春に廃止されました。改正後初の繁忙期ということもあってか、車内アナウンスでもこの列車が全車指定席である旨を繰り返しアナウンスしていました。新大阪までは何と4時間以上もかかります。

途中停車駅は紀伊勝浦、太地、古座、串本、周参見、白浜、紀伊田辺、御坊、海南、和歌山、日根野天王寺です。新宮~紀伊勝浦駅間のみ〔南紀〕と〔くろしお〕の運行区間が重複していますが、JR東海からJR西日本へと切り替わるのは先ほどの新宮駅です。

紀勢本線自体は亀山から紀伊半島をぐるっと一周して和歌山(市)へ至る路線ですが、JR西日本区間は「きのくに線」という愛称が付けられています。このきのくに線の魅力といえば長い区間に渡って続くオーシャンビューで、その美しさは〔南紀〕の車窓から眺めるもの以上の感動があります。

湾の形や岩場の質感等も駅間によって様々で、実に変化に富んでおり見ていて飽きません。あっという間に時間が過ぎていきます。

15:57に串本駅へと到着。ここ串本は本州最南端の駅となっており、近くには台風のニュースでもよく耳にする「潮岬」があります。

周参見駅の駅前には、津波発生時の避難施設がありました。海に面する街ですから、いざという時の備えも欠かせません。

16:50に白浜駅へと到着。観光の拠点ともなっているこの駅からは多くの乗車があり、あわせて前方に3両増結しここからは堂々9両編成で新大阪へと向かっていくことになります。なお、連結面の通り抜けはできないようなので乗車する際は注意しましょう。

白浜を出てからも、引き続き美しい海岸沿いを走っていきます。時折内陸へと入る瞬間はあるものの、ちょうどこの時間帯だと太陽が傾きつつある時間帯でこれまた美しいものがあります。

印南町の風早海岸付近を最後にオーシャンビューとも分かれ、気づけば海南駅へと到着。ここまで来ればもう和歌山の市街地はすぐそこです。

海南駅周辺はかなり建物も多く、久しぶりに街へとやってきた実感が湧いてきます。

18:18に和歌山駅へと到着。考えてみれば新宮駅を出てから早3時間以上、それでもまだ抜け出せないとは…和歌山県もかなりの大きさであると実感します。

和歌山駅紀勢本線は終わり、ここからは阪和線へと入っていきます。

和歌山駅からはかなりの乗車があり、車内は満席に近い状態へ。連休中の需要というよりは、日頃から阪和線内のみでの〔くろしお〕のニーズがかなりあるということなのでしょう。時間帯によっては和歌山~新大阪駅間のみでの〔くろしお〕も運行されているようなので頷けます。

大阪府内に入り、日根野を出ると高架区間が多め。列車本数の多い阪和線ですが、猛烈なスピードで各駅を通過していきます。あっという間に車窓左手にはあべのハルカスが見えてきました。

新宮駅を出て約4時間、19:03に天王寺駅へと到着。かつての優等列車はここが終点でしたが、現在はこの先大阪環状線へと直通します。

大阪環状線へと入ると、新今宮、今宮、芦原橋…と各駅をゆっくり通過。そして大阪駅へ入る直前で…何と分岐し、貨物線へと入っていってしまいました。西日本最大級のターミナル駅であるはずの大阪駅を横目に颯爽と通過してしまいます。

実は〔くろしお〕や〔はるか〕といった阪和線方面からの特急列車は、大阪駅を通ることなく新大阪方面へと抜けることのできる「梅田貨物線」を通るルートで運行されています。大阪駅の北側に広がる広大な鉄道用地の端をかすめるような形なので車窓をじっくり見ていれば大阪駅の大屋根も見えるほど近く、来る2023年にはこちらの梅田貨物線上にも大阪駅の旅客ホームが開業する予定になっています。

そんなわけで無事に(?)大阪駅を神回避したところで、定刻通り19:20に終点の新大阪駅へと到着。2日目の移動はここまでです。

新大阪駅では多数のフォロワーさんにお出迎えいただき、夕食もご一緒させていただきました!

いもたけくん@imotake_com10)をはじめ、駆けつけてくださったみなさん本当にありがとうございました!!

2日目の宿は「ホテルリブマックス大阪淀屋橋」。淀屋橋と本町の中間地点にあり、じゃらんクーポンを利用して何と1泊2,100円で泊まることができました。

ここまでに頂いた差し入れ(これでも一部です!)をつまみながらホテルで過ごす、この時間が長旅の疲れを癒してくれるものです。

 

今回はここまで。

次回は3日目の様子をお届けしていきます。

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。

【速報】驚きのルートを通る京浜東北線が登場しました!

 

2022年5月22日(日)

本日は東京都内にやってきました。この週末、JR東日本では「浜松町駅ホーム拡幅工事」に伴い一部の路線に運転変更が発生しています。

今回行われているのは、浜松町駅京浜東北線南行)ホームを拡幅する工事です。昨晩22時頃から上野東京ライン等も含め一部路線での行先変更等が発生しており、2日目となる今日は京浜東北線南行列車が終日に渡り山手線の線路を使用して運行されます。また、終日に渡り南行北行ともに快速運転を中止します。

まずやってきたのは田端駅。山手線と京浜東北線が並んで走る北限の駅です。

田端駅では3番線に山手線外回り、4番線に京浜東北線南行列車が入線します。田端駅の時点ではまだ山手線と京浜東北線が線路を共有することもなく、それぞれのホームに入線するようです。

しかし田端駅のホームから上野・東京方面(南側)を望むとご覧の通り。渡り線があり、本日に限り京浜東北線南行列車はここを渡って京浜東北線の線路から山手線の線路へと入ります。

というわけで、やってきた大船行の列車へと乗り込みます。先頭車両には鉄道ファンらしき方が数名乗車されていました。

田端駅4番線を発車すると、列車はゆっくりとポイントを渡り、右の線路へと移っていきます。合間に山手線も高頻度で運転されていることから、ここのポイント切り替えはかなり慌ただしそうです。普段なら特に使う機会はないはずですが、本日は大活躍です。

そしてまもなく列車は次の西日暮里駅へと入線。京浜東北線に乗車していながら内側の線路を走っているのは何ともいえない違和感があります。

山手線ではほとんどの駅にホームドアが設置されており、胸ほどの位置に山手線のラインカラーを示す黄緑色の線が入っています。そんな黄緑色のホームに入る京浜東北線…何と不思議な光景でありましょうか。

なお、山手線は11両編成ですが京浜東北線はそれより少し短い10両編成。このため西日暮里駅では上野寄りに停車し、田端寄りの1両分を余らせて停車する形になっています。車両が停車しない1両分はホームドアも開きません。

今回の工事は約3ヵ月前に発表されたもの。それなりに周知が図られているのか、京浜東北線側のホームで列車を待つ人の姿はほとんど見られませんでした。まぁしかしホームに上がってから運転変更の旨を知る人は一定数いたようで、困惑しつつスマホで情報を得る人の姿もあちこちで見られました。

今日一日、山手線外回りと京浜東北線南行の全ての列車を捌かなければならない西日暮里2番線ホーム。山手線は普段から「約○分後」の表記ですが、京浜東北線の方は時刻表記がなされたり山手線と同じ表記になったりまちまちでした。「約○分後」と通常の時刻表記が混在する光景も普段は見ることができません。

駅ではなかなか正確な発車時刻が分からないので、この西日暮里駅午前9時台のダイヤを整理してみました。山手線・京浜東北線合わせて何と27本もの列車が設定されており、これらが全て西日暮里駅2番線のみを使用して発車していきます。通勤ラッシュもびっくりの過密ダイヤです。

ちなみに今回の工事は南行のみですので、北行は通常通りの運行です。向こう側のホームではいつもと何ら変わりない日常の光景が広がっています。

それでは再び南行列車へと乗り込み、先へ進んでいきます。

京浜東北線の車内LCDでは「こちら側のドアが開きます」の文字や駅到着時の入線ホームが本日の運行形態にしっかりと対応していました。何かあった時のために、このような「山手線の線路を走る京浜東北線」のバージョンが用意されているのかもしれません。

途中いくつかの駅では、京浜東北線側のホームに工事そのものと直接は関係なさそうな作業員の方々がいるのが見えました。京浜東北線南行ホームを丸一日使用しない日などそうそうありませんので、このチャンスを利用して乗車位置案内のステッカーを新調したりしているようです。

続いて秋葉原駅で下車。中央・総武線各駅停車がクロスして接続することから、乗り換えの需要も非常に高い主要駅です。

ここ秋葉原駅では、ホーム上に係員の方が立って乗客への案内や誘導を行っていました。そのおかげかやはりここでも京浜東北線のホームで列車を待つ人の姿はほとんどありませんでしたが、今日1本も列車が来ないはずのホームでずっと「電車が」「きます」と交互に表示し続けていたのが気になりました。詳しくは分かりませんが、仕組み上これを消すことはできないのでしょうか…?(笑)

また、秋葉原駅ではアナウンスによる案内もかなり丁寧になされていました。京浜東北線は本日、ホームドアに黄緑色の線が入ったホームに到着いたします!」「水色の線が入ったホームからは発車いたしません!」など大変分かりやすく、また山手線が入線する直前には肉声で途中の停車駅を渋谷まで読み上げるなど、もはや神対応というべき分かりやすいアナウンスが展開されていました。

では、そんな黄緑色のホームから水色の電車へと乗り込みます。山手線の発車標に京浜東北線の文字が出ているのはどこの駅であっても違和感です。

続いては東京駅へ。ここでは5番線が山手線外回り、6番線が京浜東北線南行となっています。

東京駅では5番線と6番線で発車標の仕様が異なっていますが、意外にも山手線の方が古いものを使用しており、新しいフルカラーのものは宝の持ち腐れ状態になっています。山手線・京浜東北線ともいくらか本数を減らした臨時ダイヤとはいえ、普段2つの線路で捌いているものを1つのホームで捌くのですから、東京駅5番線は日中でもひっきりなしに列車が入線してきます。

東京駅でもやはり京浜東北線南行ホームに並ぶ人はほぼいません。昨年10月の山手線工事に伴い長時間の運休が発生した際に、列車が来ることのないホームに相当な数の乗客が並んでいた光景を覚えている身としては、今回のこの光景は意外でした。

もちろん5番線側は山手線と京浜東北線の両方を待つ人でかなりごった返しています。通常山手線の環状列車ばかりが入線するホームですので、特に「先発」「次発」などと書かれた乗車整列位置案内はなく、その意味では誰が京浜東北線を待っていて誰が山手線を待っているのかが分からず、若干雑然としていたように見えます。

蒲田行へと乗り込み、続いてはいよいよ工事の現場となっている浜松町駅へ。到着直前に車窓左手を見ると、ちょうど線路の切り替え作業が行われていました。手前の途切れている線路が昨日まで使っていた京浜東北線南行の線路…でしょうか?(違っていたらすみません)

肝心の浜松町駅では、京浜東北線南行ホームの4番線のほとんどが仮囲いで覆われ、その中で急ピッチの作業が進められています。資材等が置かれているため、元々狭いホームがさらに狭くなっています。

今日の午前中に見た限りでは、まだホームの幅が広がっている様子はありませんでした。昨晩22時頃から終電までは上野東京ラインの上野・東京~品川駅間を運休としていたことで拡幅作業の下準備はできているはずですが、このあと約20時間後には新しい4番線ホームに京浜東北線南行の列車が入ってくるという光景が想像もつきません。

浜松町駅の改札口付近やコンコースでも、ポスターや大画面を用いて運転変更の旨が頻りに案内されていました。

それにしても、これほどまでに多数の線路がひしめき合っている浜松町駅でホームの拡幅を試みるというのはかなり思い切った決断だっただろうと思います。常に画角のどこかに鉄道車両が映るような場所で、向こうの方には東海道新幹線も走ります。

山手線と京浜東北線、膨大な本数の列車を1つのホームで捌く神プレーはもちろんここでも展開されています。タイミングによっては若干徐行して入線・発車をしたりすることもありましたが、概ね臨時ダイヤの通りに走っていたように見受けられました。

京浜東北線南行の線路上には、事業用車両も止められていました。浜松町駅は山手線にのみホームドアがあるようですが、恐らくこの拡幅工事を見越して京浜東北線南行ホームには設置しないでおいたのでしょう。

非日常的な浜松町駅を見届けたところで、最後に田町駅へと向かいます。大船行へと乗り込みます。

田町駅に入線する直前、ガチャガチャと線路を渡る音が。先ほどまで使っていた山手線の線路がすぐ右に見えるようになり、これで田端発車直後以来の京浜東北線の線路への復帰ということになります。

田町駅では通常通り京浜東北線のホームに到着。ちなみにこの駅でも京浜東北線のホームにホームドアは未設置の状態でした。

田町駅のホームの先端(東京寄り)では、京浜東北線の列車が山手線の線路から転線してくる珍しい光景をしっかりと見ることができました。

 

今回はここまで。

最後までお読みいただきありがとうございました。

#2 特例を活かした内陸ルートで新宿から名古屋へ! 中央本線を特急で走破【特急リレー最長片道切符の旅】

 

↓前回の記事はこちらから

watakawa.hatenablog.com

 

1日目 2022年5月1日(日)

特急〔成田エクスプレス26号〕にて、終点の新宿駅には15時過ぎに到着。ここからさらに乗り換えて西へと進んでいきます。

ここから乗車する通算3本目の列車は、新宿16:00発の特急〔あずさ37号〕松本行です。本日の目的地である名古屋へと向け、まずは山梨方面へと進んでいくことになります。

東京~名古屋間には「東海道本線」と「中央本線」の2通りのルートがあります。東海道の方には半世紀以上前から新幹線が並行しており、東名間の移動としては圧倒的にこちらが主流です。そのため在来線特急は概ね地域ごとでの運行となっており、特急のみを乗り継いで東京→静岡→名古屋…と移動することはできません。在来線では熱海駅を境に東側がJR東日本JT)、西側がJR東海(CA)となっています。

一方で、東海道本線のルートよりも内陸部を走るのが中央本線。こちらは長野県にある塩尻駅を境に東側がJR東日本(JC・CO)、西側がJR東海(CF)の管轄になっています。東海道と異なり並行する新幹線はない一方で、東京・名古屋のそれぞれから松本・長野方面へと繋がる主要ルートでもあるため在来線特急が数多く運行されています

すなわち、今回の企画では東海道本線方面よりも中央本線方面へと進むのがよさそうです。

中央本線の起点は東京駅ですが、特急はほとんどが新宿発着で運行されており東京駅まで乗り入れるものはごくわずかです。新宿駅では9・10番線が特急専用ホームとなっており、朝から晩まで概ね30分間隔で甲府・松本方面へと特急が発車していきます。

列車は定刻通り16:00ちょうどに新宿駅を発車。窓側は埋まっている区画が多い一方、通路側であればかなり余裕があります。

まずしばらくは複々線区間が続き、各駅停車と快速が別々の線路を走る直線区間になっています。線形も良いのでスピードを出して走るか…と思いきや、かなり徐行に徐行を重ねたゆっくりとした走りが続きます。どうやらこの特急の前を走る列車が国立~立川駅間で異音の確認を行ったようで、前が詰まっているのだそうです。

最初の停車駅である立川を7分ほど遅れて発車。車窓左手に視線を向けると、豊田の車両センターが広がっています。かつては引退した国鉄型の車両などもここに留置されていたと聞いたことがありますが、最近はどうなんでしょうか。

車内では、新宿駅にて凸していただいたけいじぇーくん@Hyu00533)からもらった水ゼリーで安らぎのひと時を過ごします。500mL以上ある特大サイズですが、ゴクゴク飲めるのですぐになくなりました(笑)。

立川の次に停車する八王子駅を9分遅れで発車し、高尾を通過するとようやく特急らしいスピードで走るようになりました。東京23区内を発着する中央線の電車はおおよそこの高尾駅までとなるものが多く、これより先は普通列車の本数が大きく減少します。車窓もすっかり都内のビル群からはかけ離れたのどかなベッドタウンとなってきました。

この先の大月駅では、線路が二手に分かれています。片方が甲府方面、もう片方が富士急行線に直通する河口湖方面となっています。河口湖方面には2019年に運行開始された新宿方面からの特急〔富士回遊〕も運行されており、一部の〔あずさ〕〔かいじ〕は大月以東で〔富士回遊〕と連結して走ります。そのためここ大月は〔かいじ〕〔富士回遊〕の全列車のほか〔あずさ〕の一部も停車する主要な駅ですが、今回乗車している〔あずさ37号〕は最速達便ということでこの大月すらも通過してしまいます。

高尾からしばらくは険しい山岳区間が続いていましたが、いくつものトンネルを通り抜け塩山付近までやってくると車窓が一気に開けてきました。いよいよ列車は甲府盆地へと突入していきます。

この甲府盆地の東側には、順に「塩山」「山梨市」「石和温泉という3つの特急停車駅があります。まとめて”峡東3駅”とも呼ばれるこれらの駅には全ての〔かいじ〕が停車する一方で、〔あずさ〕はその多くが通過してきました。2019年のダイヤ改正中央東線の特急ダイヤが大幅にリニューアルされた際、いったん全ての〔あずさ〕がこの峡東3駅を通過するダイヤとなったことで地元からは反発の声が上がり、わずか1年後の2020年ダイヤ改正にて再び峡東3駅停車型の〔あずさ〕が復活されたという過去をもちます。

八王子から甲府まで〔あずさ37号〕はノンストップで走り続けています。高尾を過ぎてからは、特急らしいいつも通りの走りではあるものの、東京都内で発生した遅れは回復するどころかむしろ増大している模様。途中駅を14分遅れで通過しており、本来ならば甲府駅で乗り換えられるはずだった身延線普通列車(17:34発鰍沢口行)へは本日に限り接続が取れない旨の車内アナウンスがありました。

定刻よりも14分ほど遅れ、17:39頃に甲府駅へと到着。遅れているとはいえ、八王子駅からは1時間以上ノンストップですからなかなか凄いことです。

身延線は本数が多いわけでもありませんから「5分程度ならば接続を取って発車を遅らせることもできたのでは…?」とは思いましたが、甲府駅の構造上下り特急列車の前寄り車両から身延線ホームへはかなりの時間を要しますので、身延線にまで遅れが波及することは最適解でないと判断されたのかもしれません。身延線は単線ですからいったんダイヤが乱れると複線の路線以上にその回復は難しいでしょうし、何より中央東線JR東日本であるのに対し身延線JR東海ですからその辺りの連携も一筋縄ではいかない部分がありそうです。

甲府を発車し、列車は山梨県西部へと入っていきます。甲府駅でかなりの降車がありましたので車内は空いた印象ですが、一方で甲府からは乗車もありますのでそれなりの乗客がいます。辺りはだんだんと薄暗くなっていき、あまり天候が良くないこともあってか空を覆う厚い雲が幻想的(?)な車窓を生み出しています。

甲府を出ると次は茅野までノンストップ。途中には韮崎や小淵沢といった主要駅もあり、一部の〔あずさ〕が停車するものの今回乗車する〔あずさ37号〕は最速達便ですからもちろん通過していきます。小海線の分岐駅でもあり最近までみどりの窓口があった小淵沢さえ通過してしまうのですから、最速達便の威力を実感するところです。

茅野駅には13分ほど遅れて18:14頃に到着。甲府茅野駅間って意外に短いなぁと感じる一方で、やはり首都圏からの遅れを引きずったまま長野県へと突入しました。

この茅野駅は特急を含め全ての旅客列車が停車する主要駅。首都圏方面からだと行先として見る機会もほぼなく、首都圏での知名度はいまひとつのような気がしますが、特急が全て停車するというのはかなり大きな意味があるはずです。ここ数年のダイヤ改正では中央東線の特急ダイヤが目まぐるしく変化していますが、そうした度重なる荒波にも呑まれることなく毎年全列車停車を堅持している素晴らしい主要駅です。

茅野を出発するとすぐに次の上諏訪駅にも停車。こちらは諏訪市の玄関口となっており、諏訪温泉や諏訪湖など観光面の需要も大きな駅です。2019年のダイヤ改正で最速達の〔あずさ〕が通過するダイヤとなりましたが、3年後の2022年現在は再び全列車停車駅となっています。

ホーム上に足湯があることでも知られる上諏訪駅。せっかくなので入っていきたい気持ちもありますが、今日中に名古屋まで到達するためにはここで油を売るわけにはいきません。

上諏訪を出ると次の停車駅は終点の松本。途中の岡谷までの区間には一部単線もあり、結局首都圏の遅れを終点まで持ち越すことになりそうです。

岡谷を過ぎると、中央本線は二手に分かれます。岡谷~塩尻駅間を直線的に結ぶルート(みどり湖経由)は1983年に開業した新線で、これに対し1906年の岡谷~塩尻駅間開業時からあるのが辰野経由の旧線(通称”大八回り”)です。旧線は長らく中央本線のメインルートとして活躍し、優等列車も多数この旧線ルートを経由していましたが、地図を見ての通り地形に沿って南側を大きく迂回するため、かなり遠回りとなっていました。

そこで山を貫く直線的な「塩嶺トンネル」が掘られ、新線が開業。特急・急行といった優等列車は新線ルートで運行されるようになり、今日に至るまで旧線は支線としてJR東日本が管轄しています。現在では特急のみならず普通列車も新線ルートの方が圧倒的に本数が多く、特に旧線ルートのうち岡谷~辰野駅間は実質的にほぼ飯田線の一部となっています。

ちなみに旧線ルートを「大八回り」と呼ぶのは、この地域出身の代議士「伊藤大八」から来ており、地元のためにわざわざ遠回りをして線路を敷設したのではないかとされていますが、真相のほどはさてやら…?

そして繰り返しになりますが「上諏訪を出ると次は終点松本までノンストップ」ですので、当然ながら中央本線篠ノ井線の接続駅である塩尻駅も通過していきます。〔あずさ〕もほとんどが停車する主要駅ですので、こんな光景はなかなか見られるものではありません。このあと私は名古屋方面へと進んでいく予定ではありますが、いったん終点の松本まで乗り通します。

そして定刻よりも13分ほど遅れ、18:42頃にようやく終点の松本駅へと到着。本来の最速達便は新宿~松本駅間で2時間30分を切るところですが、今回は遅延により2時間42分かかる結果となりました。

この日最後の列車は、松本19:07発の特急〔しなの24号〕名古屋行です。松本駅での乗り換え時間は限られてはいましたが、先ほどの遅延が響くということもなく乗り換えられそうです。

さて、ここで気になっている方も多そうな点に突っ込みたいと思います。ズバリ「なぜ塩尻駅で乗り換えなかったのか」。もちろん〔あずさ37号〕が塩尻駅を通過するため、物理的に乗り換えられないことは明白ですが、「なぜ塩尻駅に停車する〔あずさ〕を選ばなかったんだ」ということになりますよね。

通常、新宿方面と名古屋方面を中央本線経由で移動する際にほとんどの方が乗換駅として利用するのは塩尻駅のはずです。〔しなの〕の全列車および〔あずさ〕の大多数の列車が停車します。

しかし先ほどから述べている通り、一部の〔あずさ〕のみ塩尻駅を通過することになっています。このため塩尻松本駅間では「分岐駅を通過する列車に乗車する場合の特例」というものが設けられています。

今回のような乗り換えであれば、塩尻松本駅間を1往復乗車することになりますので、本来は当該区間の往復運賃が必要かに思われます。しかし〔あずさ37号〕が塩尻駅を通過するため今回の乗り継ぎは先述した特例の適用対象となり、松本駅で改札を出ない場合は特例として往復乗車区間の運賃を支払う必要がないのです。

www.jreast.co.jp

この特例区間は北海道から九州まで全国あちこちで設定されており、今企画でも何度か利用していくことになります。言い換えれば「分岐駅を通過する列車が運行されているのは乗客側ではなく速達性や需要を考慮したJR側の都合なので、その温情措置(?)として」このような特例が適用されています。

裏を返せば、大多数の場合は松本駅まで行かずとも塩尻駅で〔あずさ〕と〔しなの〕を乗り継ぐことが可能ですので、塩尻駅に停車する〔あずさ〕に乗車した場合は塩尻松本駅間でこの特例は適用されません

ホームで待っているとさっそく列車が入線。始発駅は松本駅ではなく県北にある長野駅ですので、松本駅での停車時間はわずかとなります。さっそく乗り込み、定刻通りに松本駅を発車していきます。

この旅始まって初となるJR東海の車両。かつて「ワイドビュー」の愛称でも親しまれた383系が本日は6両編成での運用とのことです。決して真新しい車両ではありませんが、モケットの色や内装にも落ち着きがあり、シックな色のカーテンは大人の風情(?)すら感じさせます。

先ほどは通過した塩尻駅ですが、改めて停車。〔しなの〕の場合はここでJR東日本からJR東海へと乗務員交代が行われますので、通過というわけにもいかないのでしょう。

仙台から続いてきた今企画のJR東日本区間はここまでです。全国を巡る「最長片道切符の旅」では東日本管内だけでも何日間もかかりますが、特急リレーならあっという間です。

贄川駅では上下列車の行き違いのため運転停車中央西線も特急街道とはいえ、やはり単線区間があるようです。てか「にえかわ」って読めねぇ…(笑)。

車内では、松本駅で凸していただいたたらふくん@aaabbbzzzmmmm)からもらった生クリームキャラメルを美味しくいただきました! 本当にありがとうございます。

松本~名古屋駅間での途中停車駅は塩尻木曽福島、上松、中津川、恵那、多治見、千種。木曽の山深い区間では窓の外を見ても真っ暗で何も見えませんが、それでも木曽福島駅付近では街の明かりがちらほら見えたりします。

松本~名古屋駅間の特急料金(指定席)は通常2,730円のところ、繁忙期につき+200円となり2,930円。こちらは最繫忙期の設定こそないもの、JR東海では原則どの列車もA特急料金が適用されるため、首都圏と比べると季節に関わらず割高です。せっかく新幹線接続駅の名古屋まで乗車するのに、今回の企画では新幹線に乗車することができないので乗継割引を効かせることもできない…というわけです。

せっかく「ワイドビュー」と名のついた大きな窓の車両なのに日が暮れてからの移動なのか…と少々残念ではありますが、それでも383系の乗り心地はとても快適。気が付けば長野県を出て、岐阜県へと突入していました。

そしていよいよ愛知県、名古屋市へと突入。千種はしばしば聞く地名ではありますが、よく見てみるとなかなかの難読駅名ではないでしょうか。どうやったら「種」を「くさ」と読めるのでしょう。

松本駅を出てから2時間余り、21:21に定刻通り終点の名古屋駅へと到着。

長かった1日目の移動もようやく終わりました!

1日目は仙台から名古屋まで4本の特急を乗り継いでやってきましたが、何だかんだで最初から最後まで定刻通り走ったのは〔しなの24号〕だけです。それほど長距離の移動をしているということで、昨夏の最長片道切符の旅と同様にやはり多少のリスクはつきもの。2日目以降も大きな遅延や運休等のトラブルに巻き込まれないことを祈るばかりです…(何せ乗り継ぎのスケジュールが全体的にタイトなもので)。

名古屋駅からは地下鉄で移動し、1日目の宿は「アパヴィラホテル名古屋丸ノ内駅前」。宿代が高騰しがちな(フラグ)GWですが、じゃらんクーポンを利用し何と3,050円で予約することができました。

名古屋はご当地グルメも多いのでせっかくなら何かしらの名古屋メシを…と思い楽しみにしていたのですが、名古屋駅構内のご当地グルメ飲食店街は夜遅くにも関わらずどこも大変な混雑。並んでいると夕食が遅くなってしまうだけでなく、ホテルのチェックイン時間に間に合わず最悪不泊キャンセル扱いになってしまう…ということで、泣く泣く断念。ホテル近くのファミマでご当地商品のきしめんがあったので、お部屋でいただきました。きしめん自体は名古屋駅のホームなどで名古屋に来るたびに食べてはいますが、このファミマのも美味しいのでまぁ結果オーライということで…!

 

1日目はここまで。

2日目は名古屋駅からのスタートとなります。

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。

【コスパ最強】N700系こだま号に2+2列の自由席がありました…

 

【おことわり】

本記事は、2021年11月時点の情報および当時撮影した画像を元に執筆しています。

列車の運行時刻等、現在変更があるものについては適宜補足を入れておりますが、それ以外の箇所につきましても変更が生じている場合がございますのでご注意ください。

 

2021年11月6日(土)

今回は早朝の岡山駅へとやってきました。これから新幹線で大阪方面へと向かっていきます。

新幹線は原則として深夜帯(深夜0時~朝6時)の間は旅客列車の運行がないため、朝6時前の駅に到着してもまだその日の列車は1本も発車していません。6時前の時点で改札内へと入場することはできましたが、まだ人はまばらでお土産物屋さん等も営業していないようです。

上り方面は6:01発の東京行のぞみ号、下り方面は6:10発の広島行こだま号が岡山駅からの朝一番の始発列車となっています。

今回は23番線から発車する、岡山6:04発の〔こだま830号〕新大阪行へと乗車していきます(2022年ダイヤ改正後は岡山6:05発)。ここ岡山駅を始発として各駅に停車しながら新大阪へと向かっていく列車です。

山陽新幹線では多彩な車両が活躍していますが、この〔こだま830号〕には8両編成の(←ここ大事)N700系が充当されています。

終点新大阪まで全区間乗車はしますが、さほど混雑する時間帯というわけでもありませんので自由席に乗車することにします。

発車時刻も近いのでさっそく車内へ入ってみると…驚きの光景が!!

何とそこには、思わずグリーン車なのでは」と見紛うほど立派な座席が並んでいるではありませんか!!

8両編成で運行される〔こだま830号〕の自由席は、1~3・7・8号車。私が乗りこんだのは新大阪寄りの先頭8号車で、確かに自由席のはずです。上の画像では少し分かりにくいですが、ドア上部にもしっかり「自由席(Non-Reserved)」と表示されています。

多くの場合、新幹線の自由席といえば2+3列のシートを見慣れているという方も多いでしょう。混雑時に3人がけの真ん中(B席)のみが空いていて、座りたいけど両脇に人がいるからちょっと気まずい…なんて思いをしたことのある方もいらっしゃるかもしれません。

しかし今回のこの車両は2+2列ですから、その心配はいりません。高級感とゆとりのある座席は例え指定席であっても贅沢なものですが、それよりもさらに安く乗ることのできる自由席とあらば乗りたくないわけがありません。

主に山陽・九州新幹線〔みずほ〕〔さくら〕として活躍する、8両編成のN700系。普段は1~3号車のみが自由席となっているため、この3両は2+3列の一般的な自由席の車内となっています。しかしこだま号は他の新幹線よりも自由席が多めに設定されていることも多く、今回乗車している〔こだま830号〕では7・8号車が低料金で最強のゆとりを手に入れられる号車というわけです。

列車は定刻通りに岡山駅を発車。肘掛けには見たことない形のドリンクホルダーがありました。本来、自由席特急券で乗車する乗客が使用できるシロモノではありません。

列車はさっそく最初の停車駅である相生駅へと到着。こだま号といえば各駅で後続の〔のぞみ〕〔みずほ〕等を待避するため数分間の停車駅があることが多いですが、今回は朝早いためそれほど列車本数がなく、何と〔こだま830号〕は新大阪まで1本も後続列車に抜かされずに逃げ切ります

途中それほど乗車もなく、8両編成とはいえかなり輸送力を持て余した状態で姫路駅へと近づいていきます。画像なので伝わらないのが残念ですが、ドア上部の電光表示で「次は ○○」という文字がぬるっと上から降りてくるのがとても新鮮です。

姫路駅ではちょうど新大阪を6:00に発車した〔みずほ601号〕とすれ違いました。下りサンライズからの乗り換え列車としてちょうど良いことでも有名です。あちらも同じくN700系8両編成ですが、当然ながら7・8号車も指定席で車内はかなり混雑しているようです。

その〔みずほ601号〕が発車した後、隣のホームには700系が停車していました。多くの場合、山陽新幹線の〔こだま〕はこの700系(レールスター)や500系が使用されています。700系や500系で運行される〔こだま〕の一部にも2+2列の自由席はありますが、より高級感を感じられるのが、今回乗車しているN700系の2+2列座席なのではと感じています。

背面テーブルは木目調でこれまた高級感があり、モケットの模様とマッチしています。少なくともこれが自由席であるという実感がわきません。

姫路や西明石などからは若干名の乗車がありましたが、それでもどっと混むまではいきませんでした。土曜日だったのでこの程度ですが、平日であれば通勤需要が高い時間帯ですからもっと混んでいそうな気がします。

そして列車は最後の途中駅である新神戸駅を発車。2面2線の相対式ホームですが、頑丈なホームドアが設置されており都会らしさを感じます。

岡山駅を出てちょうど1時間、列車は7:04に終点の新大阪駅へと到着。後続の〔のぞみ86号〕にも抜かされることなく、こだま号としてはかなり所要時間の短い部類だと思います。

最後に、山陽新幹線内で運行されている〔こだま〕のうち2+2の自由席がある列車をまとめました。今回ご紹介したN700系でなくとも700系・500系でも同様に2+2の車両を自由席として運用している列車は多いですが、N700系の場合は上下1日3本ずつしかありませんので、時間を合わせて是非乗ってみてください!

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。