こんにちは。わたかわです。
今回は私が2021年夏に実施した「最長片道切符の旅2021」について、改めて行程やかかったお金などを詳しくご紹介していこうと思います。
これから最長片道切符の旅に挑戦しようとしている方のご参考になれば幸いです。
ルート
稚内→肥前山口(IGR版/BRTなし)
- 営業キロ合計:10959.5km
- 価格:75,190円(学割適用)
- 有効日数:56日間
稚内(宗谷本線)新旭川(石北本線)網走(釧網本線)東釧路(根室本線)富良野(富良野線)旭川(函館本線)岩見沢(室蘭本線)沼ノ端(千歳線)白石(函館本線)新函館北斗(北海道新幹線)新青森(東北新幹線)盛岡(IGRいわて銀河鉄道)好摩(花輪線)大館(奥羽本線)川部(五能線)東能代(奥羽本線)秋田(羽越本線)坂町(米坂線)米沢(奥羽本線)横手(北上線)北上(東北新幹線)古川(陸羽東線)小牛田(石巻線)石巻(仙石線)仙台(東北新幹線)福島(東北本線)岩沼(常磐線)いわき(磐越東線)郡山(磐越西線)新津(信越本線)長岡(上越新幹線)新潟(越後線)柏崎(信越本線)宮内(上越線)越後川口(飯山線)飯山(北陸新幹線)上越妙高(北陸新幹線)糸魚川(大糸線)南小谷(大糸線)松本(篠ノ井線)篠ノ井(信越本線)長野(北陸新幹線)高崎(上越新幹線)越後湯沢(上越線)新前橋(両毛線)小山(東北本線)安積永盛(水郡線)水戸(常磐線)新松戸(武蔵野線)南浦和(東北本線)赤羽(赤羽線)池袋(山手線)田端(東北本線)秋葉原(総武本線)佐倉(成田線)松岸(総武本線)成東(東金線)大網(外房線)安房鴨川(内房線)蘇我(京葉線)東京(東北本線)神田(中央本線)代々木(山手線)新宿(中央本線)西国分寺(武蔵野線)武蔵浦和(東北本線)大宮(高崎線)倉賀野(八高線)拝島(青梅線)立川(南武線)武蔵小杉(東海道本線)品川(東海道本線)川崎(南武線)尻手(南武線)浜川崎(鶴見線)鶴見(東海道本線)横浜(根岸線)大船(東海道本線)国府津(御殿場線)沼津(東海道本線)富士(身延線)甲府(中央本線)八王子(横浜線)新横浜(東海道新幹線)小田原(東海道本線)熱海(東海道本線)三島(東海道新幹線)静岡(東海道本線)豊橋(飯田線)辰野(中央本線)岡谷(中央本線)塩尻(中央本線)金山(東海道本線)名古屋(関西本線)亀山(紀勢本線)新宮(紀勢本線)和歌山(和歌山線)高田(桜井線)奈良(関西本線)新今宮(大阪環状線)京橋(片町線)木津(関西本線)柘植(草津線)草津(東海道本線)山科(湖西線)近江塩津(北陸本線)米原(東海道本線)岐阜(高山本線)猪谷(高山本線)富山(北陸新幹線)金沢(北陸本線)敦賀(小浜線)東舞鶴(舞鶴線)綾部(山陰本線)京都(東海道本線)新大阪(山陽新幹線)西明石(山陽本線)神戸(東海道本線)尼崎(福知山線)福知山(山陰本線)鳥取(因美線)東津山(姫新線)姫路(山陽本線)岡山(津山線)津山(姫新線)新見(伯備線)倉敷(山陽本線)三原(呉線)海田市(山陽本線)広島(芸備線)備中神代(伯備線)伯耆大山(山陰本線)益田(山口線)新山口(山陽本線)宇部(宇部線)居能(小野田線)小野田(山陽本線)厚狭(美祢線)長門市(山陰本線)幡生(山陽本線)門司(鹿児島本線)西小倉(日豊本線)都城(吉都線)吉松(肥薩線)隼人(日豊本線)鹿児島(鹿児島本線)川内(九州新幹線)新八代(鹿児島本線)久留米(久大本線)夜明(日田彦山線)田川後藤寺(後藤寺線)新飯塚(筑豊本線)折尾(鹿児島本線)吉塚(篠栗線)桂川(筑豊本線)原田(鹿児島本線)博多(九州新幹線)新鳥栖(長崎本線)諫早(大村線)早岐(佐世保線)肥前山口
「最長片道切符」と一口に言っても細かいルートはいくつかあり、いわゆる「JR版」「IGR版」の2通りがあるとされています。前者はその名の通りJRのみを利用する最長ルートですが、後者は通過連絡運輸の特例を利用して盛岡~好摩駅間のみIGRいわて銀河鉄道を経由するルートになっています。JRのみという縛りを設けて行うのであれば前者になりますが、後者の方が営業キロの合計が長いため「日本一長い片道切符」という点にこだわる場合はIGR版となります。
そしてもう一つ論点となるのが「BRT」。これは2011年3月の東日本大震災により被災した東北地方太平洋沿岸部の路線の一部で鉄道に代わる地域の足として運行されているバス高速輸送システムで、いわゆる「代行バス」とはやや扱いが異なります。かつては「鉄道扱い」でしたが、2020年4月1日付で正式にBRT運行区間の鉄道事業が廃止されました。これにより「BRTを最長片道切符の経路として含めることができるのか」があやふやな状態となったのです。
BRTが鉄道扱いでなくなったことで、連絡運輸や運賃計算のルールが大きく変更されている可能性があります。この点を詳しく勉強してBRT経由のルートを取ることができるのであればより経路は長くなっていたのかもしれませんが、今回私はグレーゾーンを避ける意味でも「BRT区間を経路に含めず」発券することにしました。
阿波海南→佐古(土佐くろしお版)
- 営業キロ合計:756.5km
- 価格:9,130円(学割適用)
- 有効日数:5日間
阿波海南(牟岐線)徳島(高徳線)佐古(徳島線)佃(土讃線)窪川(土佐くろしお鉄道)若井(予土線)北宇和島(予讃線)高松(高徳線)佐古
最長片道切符挑戦者の方の多くは、先に示した「稚内から肥前山口まで」のみに挑戦をされています。もちろんこれだけで十分素晴らしいことなのですが、私はせっかくなので通常の最長片道切符では立ち寄れない四国についても同様に最長ルートを調べ、旅の中に組み込むことにしました。
ただし本州と四国を結ぶ鉄道路線は瀬戸大橋線(本四備讃線)の1通りしかありませんので、四国を含めた経路は全国版と通しの切符として作ることはできません。そのため「稚内→肥前山口」とは別の乗車券として持ち歩くことになります。
四国島内でも全国版と同様に通過連絡運輸の特例を活用し、窪川~若井駅間のみ土佐くろしお鉄道を経由。これにより阿波海南からいったん佐古を通り、四国をぐるっと一周して再び佐古へと戻ってくる6の字ルートが営業キロベースでの最長ルートであると判明しました。
ここで注意したいのは、スタートの阿波海南。かつて牟岐線の終点は一つ先の「海部」でしたが、DMV開業およびその工事に関連して2020年11月に阿波海南~海部駅間がJR四国から阿佐海岸鉄道へと移管されました。
先にご紹介した連絡運輸は、原則としてJR以外の事業者を2社以上ルートに含めることができません。また、JR四国の路線としての阿波海南~海部駅間廃止に際して阿佐海岸鉄道はJRとの連絡運輸の取扱いを廃止したため、現在ではスタートは阿波海南からとなります。
期間
私の場合、稚内から肥前山口までの全行程を35日間で完遂しました。この日数には四国も含まれています。ただしこの期間の中には全くルートを進めなかった日が3日間あり、この3日間については35日間の中に含めていません。
8月15日に関しては通常通りルートを進める日の予定でしたが、悪天候により上越線が不通となってしまったため前日の14日をもっていったん旅を中断し、自宅で休養を取っていました。8月21日・22日は元々外せない私用が入っていたため、ここではいったん旅を中断するつもりで初めからスケジュールを組んでいました。
先に示した通り、有効日数は56日間ありますので3週間ほど日数に余裕を持たせた状態での完遂ということになります。ただしそもそも56日間もかけないと完遂できないような距離ではないため、早ければ30日ほど、長くても45~50日ほどで完遂される方が多いような印象です。
時間をかけてゆっくりと進むことで長く旅を楽しむことができる一方で、やはり日数が増えるとそれだけ宿代と食費が嵩むので、ここは判断が難しいところです。
持ち物
- 最長片道切符・乗車券類
- 衣類(3日分)
- 部屋着
- 水分
- ノートPC
- スマートフォン
- デジタルカメラ
- 充電器類(ノートPC、スマートフォン、デジタルカメラ)
- ハードディスク
- モバイルバッテリー
- 小型全国時刻表
- アメニティ(歯ブラシ、洗顔料、シェーバー、タオル、爪切り等)
- 駅スタンプ用紙
- 現金・クレジットカード
- 学割証(大学にて発行)・学生証・保険証等
- やる気と元気
最長片道切符の持ち物はとにかく多いです。電子機器類が多いのはブログを執筆しながらだからというのもありますが、それにしても多い。
普段からおでかけなどされる界隈の皆様であれば、持ち物に大きな違いはありません。時刻表に関しては大判のものですと嵩張りますので、「小型全国時刻表」もしくは「コンパス時刻表」が適切かと思います。スマホで電車の時刻くらい調べられる…と思うかもしれませんが、常に乗り継ぎを吟味しながら前後の列車と比較する場合などは圧倒的に紙の時刻表が優れています。またスマホの充電が切れる場合や、山間部・トンネル等で圏外になる場合もありますので、乗り換え検索1本に頼るのは危険です。
そしてこれは学生の方の場合ですが、可能であれば学割証は数枚余分に発行しておき常に携帯しておきましょう。不測の事態で急に旅を中断しなければならなくなった場合など、遥か離れた場所から正規運賃で自宅へと戻るのはかなり痛い出費です。実際私も高崎で急遽旅を中断しなければならなくなった際に学割証が大変役立ちました。
費用
1ヵ月を超える長旅ともなると「いったい総額でいくらかかったのか」はだれしも気になるところかと思います。結論から申し上げると、私の場合は36万5,471円でした。
(以前YouTube上で公開したものと誤差がありますが、この記事の方が正しいです。)
内訳は上の図の通りです。「旅の道中」とは稚内をスタートしてから肥前山口にてゴールするまでにかかった費用を示しており、「旅の前後の移動」は文字通りその前後でかかった費用を示しています。
なお、全項目に共通する事項としては以下の通りです。
- 消費税およびその他諸税を含む。
- 道中でフォロワーさん等から奢っていただいた分や頂いた金券類等は含まない。
- その時点で所持しているポイント・クーポンを利用し正規の価格よりも安い金額で済んでいる場合には、割引後の価格で計上している。
①乗車券
鉄道での移動にかかった運賃を示しています。ここで言う「鉄道」にはJRのみならず私鉄・地下鉄・第三セクター・モノレール・路面電車等も含んでいます。
「稚内→肥前山口」「阿波海南→佐古」のそれぞれに関しては先ほどの項目にて示した通りです。「その他乗車券」は最長片道切符の経路に含まれない区間の乗車券代を示しており、このうち「旅の道中」の方は寄り道をした際にかかった乗車券代や、ホテルまでの移動の際に使用した地下鉄や路面電車等の運賃を示しています。
旅のテーマによっては最長片道切符の経路を毎日のように大きく外れあちこちへ寄り道をされる方もいらっしゃるかと存じますが、私の場合は「最長片道切符の経路上で見られる景色」に拘ったため、それほど大それた寄り道はあまりしませんでした。
②料金券
新幹線や在来線特急へ乗車する際に必要な特急料金のほか、普通・快速列車の指定席を利用した際にかかった指定席料金の総額を示しています。
最長片道切符の経路上では短い区間で新幹線を利用することが多く、また在来線の場合でも特急列車を利用することで効率よく移動できる場合には積極的に利用しました。ただし急なスケジュール変更等が生じた場合に備え、自由席が連結されている限りは極力自由席を利用しました。
なお山形新幹線の在来線区間の特急料金は「在来線特急」の方に含めています。
③航空機
スタート地点である稚内へと向かうため、羽田空港から稚内空港までは航空機を利用しました(新千歳空港にて乗り継ぎ)。もちろん最長片道切符の経路上に航空機を利用しなければならない場面はありませんから「旅の道中」の方では0円となっています。
④バス
観光等に際し路線バスを利用する場面がありましたので、その総額を示しています。ただし私は観光にそれほど重きを置きませんでしたので、金額としてはかなり抑えめです。
なお自然災害等の理由により最長片道切符の経路上でバスによる代行輸送を行っている区間がありますが、あちらはあくまでも「鉄道扱い」で運行されているものですのでここの項目には含んでいません。
⑤船
四国へ立ち寄るために和歌山~徳島間を南海フェリーで往復した分等のほか、「旅の前後の移動」の方では北九州から横須賀まで東京九州フェリーを利用したため、それらを示しています。
⑥飲食費
今回の私の場合は「日本の食」をテーマに掲げていたため、とにかく食費が嵩みました…!
ご当地グルメとしてカウントするものだけでも6万円以上、またその他にも食事をしていますのでこれだけで7万円以上かかっています。
多くの場合、長旅では金銭に余裕がなくなってきた際に「まず食費を削る」ということが多い印象ですが、私の場合は正直あまり削りようがなかったというのが正直なところです(胃袋や時間の都合で泣く泣く諦めたご当地グルメはたくさんあります)。
また真夏の期間での実施でしたので、熱中症対策としてこまめな水分補給も欠かせません。ただでさえ疲労が蓄積する道中において水分補給を我慢することは極めて危険ですので、安全と健康を第一に旅を進める上でここもなかなか削ることができない項目でしょう。
⑦宿泊費
食費を削れない分、ここはかなり削りました。合計32泊のうち半分近くの13泊はインターネットカフェ「快活CLUB」を利用し、またそれ以外の19泊のうち8泊は廉価なゲストハウス・カプセルホテルを利用しています。快活CLUBでもところにより料金に違いはあるものの、学割を使用すれば8時間滞在しても1,500円程度で抑えられるところがほとんどです。
曜日や場所によってはかなり金額が嵩むこともありますので、私は基本的になるべく大きな街で泊まることにしていました。その方がリーズナブルな宿泊施設も多く、個人経営の民宿が数軒程度しかないような小さな集落よりも費用を抑えられることが多いためです。
ちなみに32泊の中で最も高額だったのは、30泊目の「ニューグロリア大分ホテル」(4,000円)でした。
⑧洗濯費
35日間に渡る旅行だからといって35セット分の着替えを持ち歩くわけにはいきませんので、旅の道中では随時洗濯を行っていました。数えたところ洗濯回数の合計は11回でした。
洗濯の方法としては主に2通りあり、「宿泊施設内のコインランドリー」を使う場合と「街中のコインランドリー」を使う場合があります。結論から言うと「絶対にどちらの方がよい」というのはなく、私自身も旅の道中で両方を併用していました。
洗濯代を安く抑えられるのは前者であることが多いですが、宿泊施設内にあるコインランドリーは洗濯機と乾燥機が分かれていることが多く、時に睡眠時間を削ってでも部屋を出て洗濯物を移し替えなければなりません。洗濯時間に関しては街中のコインランドリーの方が圧倒的に短く、洗濯から乾燥まで全自動で1時間かからずに完了させてくれるものが多いですが、1回の洗濯+乾燥で1,000円前後かかるためなかなか痛い出費です。
また、宿泊施設内にあるコインランドリーの場合はその時点で洗濯したい全ての衣類を洗濯することができますが、街中のコインランドリーの場合はその場で着ている服を脱いで全裸で待つわけにはいきませんので、洗濯できる着替えの数が1セット減ります。その分高頻度で洗濯をしなければならないというデメリットがありますので、その時ごとにどこでどう洗濯するのがよいかを判断するようにしましょう。
⑨観光費
観光施設内への入場料はここに計上しています。ただし先ほども述べた通り私はそれほど観光に重きを置いていないため、ここはほとんどかかりませんでした。がっつり観光に時間を割いたのは広島くらいであったと記憶しています。
行程
ここでは、最終的に稚内から肥前山口までどのような乗り継ぎで向かったかを一挙にお見せします。あまりにも長すぎるので、7日間ごとに区切ってご紹介していきます。
なお、左列に書かれた(+○)という表記は列車の遅れ分数を示しています。記載されている通常ダイヤからその分数だけ遅れて発車・到着したことを表しています。
1~7日目(稚内→山形)
記念すべき1本目は稚内13:01発の特急〔サロベツ4号〕からスタート。はまなす編成と呼ばれる観光客向けの特急で、華々しいスタートを切りました。
北海道内では主に道東方面で初乗車となる路線が多かったため、釧網本線の車窓に映るオホーツク海がとても印象に残っています。
札幌の市街地はちょうど私が滞在している時に東京2020オリンピック大会のマラソン競技が行われており、地上の道路や歩道は封鎖されている時間帯も多かったため地下歩行空間を存分に活用してあちこち移動しました。
北海道内の滞在は約5日間。一般的な旅行であればこれだけでも十分なボリュームですから、初めのうちは最長片道切符の旅を実施しているというより「単なる北海道旅行に来ている」ような感覚でした。
5日目の夜に本州へと入り、翌6日目からはJR東日本管内の移動がスタート。6日目は本来であれば弘前までで移動を終える予定だったところ、7日目以降に東北地方のJR各線が天候不順の影響で不通になる可能性が出ていたため少しでもルートを進めておきたいと思い、急遽その日のうちに五能線を走破して羽後牛島まで行ってしまうことにしました。リゾートしらかみに乗れなかったのが残念ではありましたが、美しい日本海の夕陽を見れたのでこれはこれで忘れられない思い出です。
8~14日目(山形→千葉)
東北地方から信越地方を巡って首都圏に入っていきます。
ここで何と言っても忘れられないのは10日目の夜。えちごトキめき鉄道の春日山駅近くにある快活CLUBへと向かう途中、あまりの大雨で全身びしょ濡れになり、疲労も蓄積してかなりしんどかったのを覚えています。乗り継ぎを見ていただければ分かる通り、この日は14時以降まとまった休憩時間を取れておらず夕食もまだでしたので、快活CLUBで注文した塩唐揚げ丼の美味しさとフードメニューの有難さを身に染みて感じました。
11日目の夜、何と翌12日目に乗る予定だった上越線の県境越え区間が土日2日間終日運休となる発表があり、足止めを喰らう形となりました。長野の宿で急遽リスケをし、幸い首都圏へと入っていくところだったのもあり12日目の高崎でいったん旅を中断し横浜の自宅へと戻ることにしたのです。その後の話ではどうやら日曜日の午後あたりから運転再開をしたそうですが、ともかく日曜日は丸一日自宅でしっかり休息を取り、月曜日に改めて高崎から旅を再開するかたちとなりました。
15~21日目(千葉→高知)
最長片道切符の旅において、しばしば「首都圏の乗り継ぎは複雑で過酷」と言われますが、全国のどこよりも首都圏の鉄道に乗り慣れている私としては正直そこまででもありませんでした(8月15日にいったん休養を取ったからかもしれませんが)。
首都圏を抜けて東海地方へと入りますが、あいにく飯田線と中央西線が豪雨災害の影響で一部区間不通に。一時は代行バスの運行すらなされるか怪しい事態でしたが、お盆が明け沿線の学校が始業したためかギリギリで代行バスの運行が始まり、何とか券面の経路通りに移動することができました。塩尻から名古屋まで特急1本であっという間に行く予定だったところを4回の乗り換えが生じてしまったので体力的にしんどい部分はありましたが、部分放棄をせずに済んだのが何よりです。
和歌山まで来たところで本州の行程をいったん中断し、翌日に備え南海フェリーで徳島へと移動しました。
22~28日目(高知→岡山)
四国をぐるっと一周して、23日目の夜に再び本州へ。
24日目の夜は関西圏で多くのフォロワーさんにお会いさせていただきましたが、中でも最長片道切符の大先輩である鉄道系YouTuberの西園寺さんとお会いできたことは本当に忘れられない思い出です。
関西からいったん東海地方へと戻り、北陸を通って再び関西へ。あまりにも頭のおかしな移動ですが、この頃ともなると感覚が麻痺してきて特に違和感は感じませんでした。
27日目は特急〔きのさき9号〕が途中の和田山駅に到着したところで、大雨の影響で急遽運転見合わせに。城崎温泉駅へは1時間30分ほど遅れて到着したため、計画していたエクストリーム入浴は残念ながらお預けとなりました。
29~35日目(岡山→肥前山口)
山陽地方と山陰地方を行ったり来たりしながら、長く続いた本州に別れを告げて九州へと入っていきます。
呉線や山陰本線など、ここでも夏の豪雨災害の影響で長期不通となる鉄道路線が続出し代行バスでの移動が続きました。鉄道と比べると長時間乗車することによる疲労が溜まりやすいものの、やはりここも一応経路通りに進めることに感謝しなければなりません。
30日目は朝から芸備線で備後落合方面へと向かう予定だったところ、天候不順の影響で午前中の運転が取りやめに。夕方頃まで時間が空いてしまったので、広島近辺を観光して時間を潰しました。
32日目の朝、宇部新川の快活CLUBではこの旅最初で最後となる大寝坊をかまします。7時台の列車に乗車する予定が2時間遅くなり、厚狭駅での接続が著しく悪いものとなってしまっただけでなく、大分へはまだ明るいうちに到着する予定だったところをだいぶ遅くなってしまいました。
35日目の午後、シーサイドライナーをハウステンボス駅で下車しいよいよゴール目前というところでしたが、何と人身事故の影響で最後に乗車する予定だった特急〔ハウステンボス22号〕が運休に。1時間ほど時間を潰し、特急〔ハウステンボス24号〕で肥前山口へとゴールしました。1ヵ月以上にも渡る長旅ゆえ、最後まで気が抜けないものだと身に染みて感じました。
乗車本数
乗車した列車の本数をまとめると上の表の通り。合計223本の列車を乗り継いで稚内から肥前山口までを移動してきました。なお経路上で乗車したもののみの合計ですが、経路上から経路外に跨って乗車した列車の本数も含めています。
1日で最も多くの列車に乗車したのは8月19日。東京から横浜まで、合計15本もの列車を乗り継ぎました。全て普通列車ということもあり、慣れた首都圏とはいえこの日は終盤かなりしんどかったのを記憶しています。
また特筆すべきは代行バスの多さ。根室本線、大糸線、飯田線、中央西線、呉線、山陰本線、日田彦山線で計8本もの代行バスを使いました。災害大国ニッポン、中でも豪雨災害の多い夏だからこそ、こうした不測の事態に備えてある程度の時間的・金銭的余裕をもったスケジュールを心掛けることも必要です。
ご当地グルメ(「日本の食」)
この旅では「日本の食」をテーマに、全国各地のご当地グルメを食べながら旅を進めてきました。以下にその一覧を記載しておきます。なお一部食べる順序がおかしなことになっている箇所や、「それはご当地グルメではないのでは」等の異論があるかもしれませんが受け付けません(笑)。
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稚内牛乳
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音威子府そば
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オホーツク北見塩やきそば
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メンビス
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うらら
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スパカツ
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帯広豚丼
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はっぱジェラート
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ジュンドッグ
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セイコーマートの惣菜
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天狗まんじゅう
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ROYCE'のチョコレート
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餃子カレー
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ぱんじゅう
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若鶏半身揚げ
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かなやのかにめし
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いかめし
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チャイニーズチキンバーガー
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のっけ丼
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りんごジュース
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らぷる
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湯の台食堂監修冷たい中華そば
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バター餅
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酒田むすめ
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冷やし味噌ラーメン
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牛たん定食
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酪王カフェオレ
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みそぱん
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クリームボックス
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イタリアン
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バスセンターのカレー
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山賊焼定食
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信州そば
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おやき
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高崎パスタ
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峠の釜めしおにぎり
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爆弾おにぎり
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関東・栃木レモン(レモン牛乳)
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宇都宮餃子
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スタミナラーメン
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ミルクスタンド
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トンかつ弁当
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ピーナッツもなかアイス
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山田うどん食堂
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みしまコロッケ
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ようかんぱん
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朝の茶事
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げんこつハンバーグ
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こっこ
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ピレーネ
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塩尻駅の超狭いそば屋
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アルプスジュース
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みそかつサンド
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ういろう
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那智黒ソフト
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さんま姿寿司
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くるみ醤油餅
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徳島ラーメン
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鳴門金時ポテト
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ザ・すだち
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ごっくん馬路村
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鰹のたたき
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宇和島鯛めし
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じゃこ天うどん
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みかんジュース
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一六タルト
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瓦せんべい
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和歌山ラーメン
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柿の葉ずし
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奈良三笠焼き
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いか焼き
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天狗おこし
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串カツ
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鮎菓子
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ますのすし小丸
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越前かにめし
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生八ツ橋
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551豚まん
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ミックスジュース
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御座候
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とうふちくわ
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二十世紀梨ジュース
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元祖かに寿し
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まねきの駅そば
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きびだんご
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たくあんサラダロール
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調布
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お好み焼き
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稲野笹原
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岡山海苔天
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あなごめし
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もみじまんじゅう
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がんす
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大風呂敷
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割子そば
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ばりそば
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ふくソーセージ
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利休さん
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うまいか
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とり天定食
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チキン南蛮重
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マンゴーゼリー
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カンパチ漬け丼
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白熊
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黒豚かつサンド
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いきなり団子
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からし蓮根チップ
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陣太鼓
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ネジチョコ
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かしわめし
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牧のうどん
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めんべい
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そのぎ茶アイス
「こんなにもいろんなものを食べて太らないのか」と疑問に思うかもしれませんが、実際めちゃくちゃ太りました。最長片道切符に限りませんが、食をテーマに旅をされる際はくれぐれも体調や栄養管理に万全を期してください。
おわりに
私がこの最長片道切符の旅に挑むことを決意したのは、ちょうど1年前の今頃(6月)でした。以前から西園寺さんをはじめ様々な方の動画や記事を拝見し「いつかやってみたい」とは考えていたものの、学生生活が多忙を極めており長期休暇も含めてなかなかタイミングが取れずにいました。
最長片道切符の旅やってみたい
— わたかわ (@e235yokoso) 2019年9月22日
しかし、そんな私の心を大きく揺さぶるきっかけとなったのが、2020年の新型コロナウイルス感染症拡大でした。それまで当たり前のように送っていた学生生活は全て止まり、旅行趣味においても世間体を気にしてなかなか思うようにできない日々がやってきます。
同時に就職活動も次第に忙しくなり、もはや旅行どころではない状況となりながら大学4年生の春を迎えました。
そこでふと、こんな思いが頭をよぎりました。
「大学生活最後の夏、心からの思い出に残る旅がしたい。」
コロナ禍で生活の隅々にまで制約が生じ、気づけば大学生活もあと1年を切っていたことにようやく気づきました。2020年も夏頃からあちこちへ数日程度の短い旅行を再開してはいたものの、それらを越えた大きなスケールでの旅がしたいと思ったのです。
就職活動も終わり、夏本番の到来を前にいよいよ本格的な「最長片道切符の旅」の計画がスタート。それまでよりもバイトへは多めに入り、必死で旅費を稼ぎました。また8月から9月にかけて1ヵ月以上バイトに穴を開けてしまうことは不安もありましたが、理解を示してくださりまとまった日程も無事に確保することができました。
そして迎えた8月3日。緊張しすぎてあまり寝付けず、眠い目をこすりながら早朝の羽田空港へと向かったのを覚えています。
それからというもの、全国各地を移動しながら日々目の前で繰り広げられる光景と体験の数々は自分にとってワクワクの連続でした。常に「この先には心躍る何かが待っている」という気持ちでいっぱいで、疲労やしんどさを感じることはありながらも「旅をやめたい」と思うことは一度もありませんでした。
稚内をスタートした時にはまだ遠い先の話だと思っていた西日本や九州も、気がつけばあっという間に到来。Twitterやブログで旅の様子を随時発信していったことがきっかけで私に興味をもってくださった方も多く、道中では様々な方とお会いする機会に恵まれました。
9月9日の最長片道切符最終日、最後まで予定が狂いながらも何とか〔ハウステンボス24号〕の自由席に乗車。流れる車窓に目をやると、自然と目から大粒の涙がこぼれてきたのは今でも忘れられません。あの涙には様々な思いがありましたが、何よりも「こんなにも楽しかった旅が終わってしまう」という寂しさがとても大きかったと思います。
1ヵ月以上に渡る日本一周。それはひと夏の思い出として、確かに私の胸にしっかりと刻まれていました。
「最長片道切符の旅ができる」という贅沢
最長片道切符の旅に出る前、私はこの旅がとにかく過酷でただしんどいものであるという認識をもっていたように思います。もちろん過酷でしんどいことは間違いないのですが、しかしそれ以上にこの旅を出来ること自体が「贅沢なこと」なのだというのを終わってから強く実感したものです。
社会人になれば、当然ながら1ヵ月以上のまとまった休みが取れることはそうそうありません。定年退職して時間にゆとりが生まれれば時間とお金の両方が手に入るかもしれませんが、一方でその頃には日本一周をする体力など残っているとは到底思えません。
また時間やお金のみならず、人に恵まれ、環境に恵まれ、多くの人の協力があって初めて実現したことでもあります。たった一人で稚内からスタートしたかに思われた旅でしたが、気づけば大変多くの皆様に背中を押していただいていました。
常に「洗濯」を意識したスケジュールを
最長片道切符の旅の出発にあたり、私は前もって稚内から肥前山口までの全ての行程を決めていました。もちろん全て予定通りにいくとは思っていないので、ある程度日程に余裕を持たせつつ…ではありますが。
しかしそんなものは、自分が思っていたよりも遥か一瞬にして崩壊します。遅延や運休は最大の敵、乗れるはずの列車に乗れなくなってしまうことなど実際は日常茶飯事でした。暇さえあれば時刻表を開き、この先の最適なスケジュールを考える毎日。一度組み立てたスケジュールが崩壊し、また組みなおして…の繰り返しです。
その上で特に意識していただきたいのは、洗濯のスケジュールです。夏場で大量の汗をかきますので、基本的に一度来た衣類の着回しは極力避けたいと思う方が多いことでしょう。先述の通り宿泊施設であればコインランドリーが設置されている場合が多いものの、睡眠時間を大きく削るようでは本末転倒。そんな時は日中の乗り継ぎ時間の間に立ち寄れそうな街中のコインランドリーを予め探しておき、洗濯の予定を入念に立てておきましょう。
今まで通りの「最長片道切符の旅」ができるのはこの夏が最後かも
最長片道切符の旅は、ひとたび新しい路線が開業したり、逆にそれまであった路線が廃止されたりすると大きくルートが変わります。直近では特に2018年の三江線廃止に伴い、中国地方のルートが大きく変わりました。
途中のルートが大きく変わることは数年に一度のスパンで起こりますが、最長片道切符の旅のスタートはいつも「稚内駅」、ゴールはいつも「肥前山口駅」。これは鉄道ファンの間であまりにも有名な話です。それもそのはず、稚内駅は1995年から最長片道切符のスタートとなっており、そして肥前山口駅にいたっては何と1989年から最長片道切符のゴールとなっているのです。
しかしそんな一つの時代も、まもなく終わりを迎えようとしています。2022年9月23日に武雄温泉~長崎駅間で開業する「西九州新幹線」により、JR九州管内のルートが大きく変わり、肥前山口駅がゴールではなくなってしまうそうなのです。
これは噂の範疇ですので確かなことは分かりませんが、一説によれば「スタートが北海道、ゴールが九州」というのもまるっきり逆になるそう。JR北海道では出札補充券を持ち帰れないケースが一般的とされていますので、秋以降に新たなルートで最長片道切符の旅に挑戦され、完遂したとしてもそれを記念に持ち帰ることができない可能性が大きいのです。
もちろん、この「使用済みの切符を持ち帰る」という行為は、あくまでもJR側のご厚意でさせていただいていることなので、仮にできないとしても文句は言えません。しかし何にせよ今までのように「北から南へと思い出を刻み、肥前山口でゴールする」という体験ができなくなってしまうことはほぼ確実だろうと考えられます。
鉄道ファンであれば誰もが一度は夢見る「最長片道切符の旅」。しかし実際には様々な生活環境や資金面、時間の確保などいくつも課題があり、実行に移せるのはほんの一握りの人しかいないのもまた事実です。だからこそ、夢見ている人の一人でも多くがこの夏「最長片道切符の旅」に挑戦してもらえたらと強く願っています。
実現し完遂すればそれは自分にとってかけがえのない経験になり、それが大きな財産となるはずです。高ければ高い壁の方が、上った時気持ちがいいはずです。
長くなりましたが、この記事が一人でも多くの最長片道切符挑戦者の方の背中を押すことができていれば幸いです。
今回も最後までお読みいただきありがとうございました。