わたかわ 鉄道&旅行ブログ

乗り鉄&旅好きの20代男子が全国を巡る!

#5 気温10℃の屋外で野宿…!? 最大の難所を乗り越えた先に待ち受けていた地獄【特急リレー最長片道切符の旅】

 

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3日目 2022年5月3日(火)

福知山方面からの特急〔こうのとり18号〕にて、16時半頃に大阪駅へと到着。分岐駅通過特例に従い改札外に出られないため、改札内にてフォロワーの皆様と楽しいひと時を過ごさせていただきました。

さて、今企画記念すべき10本目となる特急列車は、ここ大阪駅18:04に発車する特急〔はまかぜ5号〕鳥取です。終点鳥取まで全区間乗車していきます。

はまかぜ〕は大阪~城崎温泉方面を播但線経由で結ぶ列車です。しかし〔こうのとり〕や〔きのさき〕と異なりこちらは頻繁に運行されているわけではなく、何と1日の運行本数はわずか3往復のみ。しかもそのうち1往復は大阪~香住駅間、さらに別の1往復は大阪~浜坂駅間のみでの運行ということでいずれも鳥取まで到達することがないため、大阪~鳥取駅間を結ぶ便はわずか1往復しかありません

山陰地区の大動脈であるはずの山陰本線。しかし山陽新幹線の開業もあいまって特に鳥取以東では東西間の鉄道での結びつきが弱く、全線を走破する特急列車の運行はありません。

関西~鳥取間といえば〔はまかぜ〕よりも主流なのが〔スーパーはくと〕。しかしあちらは途中で智頭急行線を経由する必要があり、今回既に伊勢鉄道を経由している多経路乗車券ではさらに智頭急行線をルートに組み込むことができません。そこで何とかして四国上陸前にもうひと粘り山陰を巡って岡山へと至るルートがないものか…と探索したところ、この〔はまかぜ〕ルートが見つかりました。

しかし先ほども述べた通り、鳥取まで直通する〔はまかぜ〕は1日1往復のみ。このうち下りにあたるのが、今回乗車する18:04発の「5号」なのです。

車両はキハ189系と呼ばれるもので、2010年にデビューした比較的新しいもの。運行区間内に非電化区間があるため、〔きのさき〕や〔こうのとり〕等と異なり気動車での運行となります。

列車は定刻通りに大阪駅を発車。始発駅ですが入線から発車までは短い時間しかなく、フォロワーの皆様にお見送りしていただきました。

列車は前から1号車、2号車の順で、一番後ろが3号車の3両編成グリーン車はありません。かつては自由席もありましたが、2021年に全車指定席となりました。

途中の停車駅は三ノ宮、神戸、明石、西明石加古川、姫路、福崎、寺前、生野、和田山、八鹿、江原、豊岡、城崎温泉、竹野、香住、浜坂、岩美です。全区間の総距離は264.9km、所要時間は4時間27分にも及びます。智頭急行線経由の〔スーパーはくと〕は大阪~鳥取駅間210.7km、所要時間に関しては何と2時間30分程度であることを考えれば〔はまかぜ〕がいかに遠回りであるかは火を見るよりも明らかなことです。

大阪を出て最初の停車駅は神戸市の中心地である三ノ宮。〔こうのとり〕が停車する尼崎は通過となるため、改札口を出なければ大阪駅で両列車を乗り継ぐことが可能というわけです。18時半頃ですがまだ外は明るく、日の長さを実感します。

一方で神戸市内には「神戸駅」もあり、〔はまかぜ〕はこちらにも停車します。この神戸駅を境に東海道本線から山陽本線へと入りますが、旅客案内上は大阪~姫路駅間で「JR神戸線」という愛称が用いられているため、ここが路線の変わり目という感覚はほとんどありません。

はまかぜ〕は三ノ宮と神戸の両方に停車しますが、〔スーパーはくと〕は三ノ宮のみに停車し神戸はあっけなく通過してしまうのも面白いところです。

しばらくすると車窓左手には明石海峡大橋&瀬戸内海が見えてきます。ちょうど夕暮れ時ということでうっすら紅く染まる空はとても美しく、一日がもうすぐ終わろうとしているのを実感します。

大阪駅を出てから1時間が経過し、19:12に列車は姫路駅へと到着。ここで列車の進行方向が変わるため、9分間停車します。「長編成の普通・快速列車が多数発着する夕ラッシュ時間帯の山陽本線ホームをたった3両編成のローカル特急が9分間も塞ぐ」というのはなかなかの荒技な気がします(笑)。

列車の進行方向が変わるということで、ここから先は3号車が先頭になります。「座席を回転する場合は周りのお客様へのご配慮をお願い致します」というおなじみのアナウンスのほか、食料等の調達は停車時間中に行うよう案内がなされていました。姫路駅の在来線改札内にはコンビニや飲食店が複数ありますのでそれほど困らないですが、この先終点の鳥取までそれらしい主要駅はなく、また長時間停車もないため注意が必要です。

19:21に姫路駅を発車し、列車はいよいよ播但線へと入ります。辺りはすっかり暗くなり、播但線に入ってもしばらくは家々の明かりが灯る様が見て取れました。

しかし複々線&高架区間もある主要幹線の東海道本線山陽本線とは異なり、播但線はほとんどが単線非電化のローカル線。列車のスピードはだいぶ落ち、〔はまかぜ5号〕がローカル特急であることを実感します。

こうも「ローカル線」「のんびり」とばかり連呼していると、播但線内に優等列車が運行されていること自体が不思議に思えてくるかもしれません。しかし「播但」線という路線名からも分かる通り、この路線は「磨」と「馬」という2つの地域を結ぶためになくてはならない路線として古くから優等列車が運行されています。

1950年代に播但線を通る臨時快速〔たじま〕や〔ゆあみ〕の運行が開始され、統合や準急・急行への格上げを経たのち、今からちょうど50年前の1972年に特急〔はまかぜ〕として運行が開始されました。1972年の運行開始当時は食堂車やグリーン車までも組み込んだ豪華長編成特急でしたが、一方で播但線内はノンストップで運行されており、沿線地域への経済効果はそれほど大きくなかっただろうと考えられます。

1994年には智頭急行線が開業したことで鳥取への直通需要は大きく落ち込み、さらに翌1995年の阪神淡路大震災では一時全列車が運休となる事態に。そうした苦難の道を歩みながらも、今日まで何とか廃止されることなく運行が続けられています。

夕食は、あらかじめ大阪駅で購入しておいた駅弁「あぶり牛とろ玉丼」をいただきます!
お肉のど真ん中にデーンと鎮座した半熟玉子ははじめから殻をむいてあるので、いきなり箸で割っていただくことができます。柔らかい牛肉にとろとろ玉子を絡めていただく…あぁ何と幸せなことだろうか…!!

そんな至福のひと時を過ごすうちに播但線を抜け、列車は20:34に和田山駅へと到着。時刻表を確認するとここでは4分ほど停車することになっており、ここからは山陰本線へと入ります。

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昨夏の最長片道切符では、尼崎から乗車した〔こうのとり〕が大雨の影響を受け和田山駅にて1時間以上の抑止を喰らうという災難が発生した伝説(?)の地。

今回はそうならないでくれ…と願っていたところ、何と京都方面からやってくる〔きのさき15号〕豊岡行(和田山20:33発)が遅延しており、私の乗車する〔はまかぜ5号〕(和田山20:38発)はそちらの発車を待ってからの発車となる模様。

この先の豊岡で本来ならば〔はまかぜ5号〕から接続を取るはずの「京都丹後鉄道」の普通列車へ接続を取ることは厳しいと判断されたようで、豊岡での乗り換え客は車掌に申し出るよう車内アナウンスがなされていました。おそらく当該乗客に関してはここ和田山駅で〔はまかぜ5号〕から〔きのさき15号〕へと乗り換えるような取扱がなされたのではないかと推測します(本来は乗り継げない”マイナス乗り換え”)。

はまかぜ5号〕は和田山駅を5分ほど遅れ、20:43頃に発車。昨夏に比べれば誤差のようなものですが、今回も遅れての発車となりました。

6分ほど遅れ、豊岡駅へは21:10頃に到着。ちょうど隣のホームには乗客を降ろし役目を果たした〔きのさき15号〕が停車していました。京都丹後鉄道の普通列車は豊岡21:11発ですのでもしかすると〔はまかぜ5号〕からの接続を取ったかもしれませんが、何はともあれここでかなりの乗客が降りていきました。

はまかぜ5号〕の中で特に需要の大きい区間は「姫路~豊岡駅間」と言えそうです。姫路・豊岡はそれぞれ「播磨」「但馬」を代表する主要駅ですが、意外にも1日3往復の〔はまかぜ〕以外に両駅間を乗り換えなしで結ぶ手段はなく、こうしたニーズが決して小さくないことを実感します。

21時過ぎの城崎温泉駅で乗降がそれほどあるわけもなく、列車はいよいよ山陰本線の非電化区間へと入っていきます。日本海側へと出るため、ビュースポットとして有名な餘部鉄橋をはじめところどころで海が見える区間を走る…はずですが、こんな夜遅くに海の景色が楽しめるはずなどありません。けたたましいディーゼル音を聞きながら、ただひたすらに鳥取を目指して走ります。香住駅では改札口の頭上に巨大なカニのお出迎えがありましたが、辺りも暗いのでもはやホラーです。

浜坂駅より先は、いよいよ特急列車の運行が1日1往復のみとなる区間。今企画では各線で特急運行本数の少なさによる行程の縛りを受けていますが、中でもこの浜坂~鳥取駅間が最大の難所といって差し支えないでしょう。

車内にほぼ乗客がいないことからも明らかな通り、決して需要があって走っているというわけではなさそうですが、いつまで運行されるのか気になるところです。

最終的に、終点の鳥取へは6分ほど遅れて22:37頃に到着。3日目の行程はここまでとなります。

今夜は鳥取で泊まることになります。あいにくGW期間中ということで駅周辺のホテルは満室ばかりだったため、歩いて2kmほどの快活CLUBで仮眠を取ろうと思っていたのですが…。

何とも運悪く、22時過ぎの時点で「快活CLUB鳥取吉成店の全設備が満室」という大ピンチ。GWということでやはり快活も普段より相当混雑しているようで、宿泊のあてがない緊急事態となってしまいました。

5月とはいえ、夜の鳥取は肌寒く気温は10℃。終電が終われば駅からは締め出されてしまいますので、このままでは駅前のベンチで野宿になりかねません。さらに、ここまでの疲労が蓄積し頭痛に襲われるという二重の辛さが襲ってきました。

こうなったらもう値段などどうでもよいので、駅周辺でどこか1室くらい空いていないものかと思い、無我夢中で(?)片っ端から電話を掛けていきます。しかし最繁忙期のGW、23時前にもなって空室があるはずもなく…10ヵ所ほど掛けましたがどこも「本日はあいにく満室でして…」という返事ばかり。まぁそりゃそうですよね。

しかしそんな中「1室だけ空きが出るかもしれない」という返答をしてくださったホテルがあったのです…!!

それが「東横INN鳥取駅南口」様。本来はこちらも御多分に洩れず予約でいっぱいで満室…だったようですが、予約されている方のうちお一人が時間を過ぎても到着されていないらしく、ホテル側から連絡を試みても繋がらないとのこと。そのためタイムリミットとなる23時を過ぎても当該予約客と連絡がつかないようであれば、その部屋を私が泊まれるという話になりました。

駅前で待つこと十数分…23時を過ぎ、改めて東横INN鳥取駅南口様から連絡が。

最終的にその方は到着されずキャンセル扱いとなり、私がその部屋に泊まらせていただけることになりました!!!!

最繁忙期でお忙しいところ、柔軟な対応をしてくださった東横INN鳥取駅南口様には感謝してもしきれません。当日の飛び込みかつ最繁忙期ということでお値段は7,000円以上しましたが、この疲労と寒さの中で野宿するのに比べれば7,000円など安いものです。

改めてこの場をお借りし、東横INN鳥取駅南口のご担当者様に心からの感謝を申し上げます。また鳥取へ行く機会があれば、その際はしっかりと予約をさせていただいた上で宿泊させていただければと考えております。

 

というわけで大ピンチを乗り越え、3日目が終了。

続きはまた次回お届けしていきます。

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。