わたかわ 鉄道&旅行ブログ

乗り鉄&旅好きの20代男子が全国を巡る!

#8 夕方6時に四国横断を開始するエクストリームスケジュール【特急リレー最長片道切符の旅】

 

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watakawa.hatenablog.com

 

4日目 2022年5月4日(水)

岡山駅から乗車した〔うずしお13号〕にて13時過ぎに徳島駅へと到着し、佐古~徳島駅間の乗り越し運賃を精算して改札外へ。昨夏の「最長片道切符の旅2021」以来となるつかの間の徳島市内散策をして楽しみました。

このまま本日は徳島駅周辺に宿泊…するかと思いきや、そうはいきません。今夜の宿は徳島から遠く離れた愛媛県県都松山です。

徳島から松山までは直線距離で約170km。実際には険しい山々を避けて回り道をする区間もあるため、移動距離はこれよりも長くなります。「もう夕方だし、今夜は徳島で泊まるべきだったかも」という思いが一瞬頭をよぎりますが、何はともあれ今夜は松山の宿を予約してしまっておりますので、複数の特急列車を乗り継いで四国横断の旅へと出ることにしましょう。

特急リレー通算14本目となる列車は、徳島18:00発の特急〔剣山7号〕阿波池田です。徳島線内を全線走破する特急で、徳島駅からの発車は6:46発、9:00発、12:00発、18:00発、19:00発、20:15発の5本のみです。特にお昼から夕方にかけて運行間隔が大きく開くため、今回私も徳島にて待ちぼうけせざるを得ませんでした。

使用される車両は国鉄時代末期に製造されたキハ185気動車。ここ数年新型車両の導入が進むJR四国管内ですが、ここ徳島線においては現在も昔ながらの歴史ある車両が使用されています。また一般的には青色を基調とした編成が使用される〔剣山〕ですが、今回乗車する便には何と深緑色の帯を纏った国鉄時代の塗装そのままの編成が充当されていました!! これは超ラッキー!!

列車は2両編成で、車体側面には国鉄時代そのままの方向幕やサボが今も現役です。徳島駅停車中に幕回しを行っていたところ、1号車の幕が「徳島行」からうまく動かなかったようで、乗務員さんが何度か様子を確認しに来られていました(その後正しい「阿波池田行」の幕になっていました)。年季の入った車両ですので、こうした動作不良(?)もよくあることなのかもしれません。

扉は今どき珍しい「折り戸」構造のもので、窓枠の下部に取り付けられたプレートには「ドアは手前に開きますからステップに立たないでください」という昔ながらの言い回しがそのまま残されています。バリアフリーとはかけ離れているという意味でも今の時代においては貴重な車両です。

2両編成のほとんどの座席が自由席ですが、後寄り1号車の後ろ4列のみ青いヘッドカバーがかけられており、この16席のみが「指定席」として発売されています。〔剣山〕には過去2回乗車したことがありますが、いずれも自由席だったので今回はあえて指定席を利用してみることにしました。なお、グリーン車はありません。

そして18:00となり、列車は定刻通りに徳島駅を発車。自由席・指定席ともお客さんはまばらで、たった2両編成であっても輸送力をかなり余らせているように見えます。

〔剣山〕の特徴の一つは、その停車駅の多さ。参考までに今回乗車している7号は、途中蔵本、石井、鴨島阿波川島阿波山川、穴吹、貞光、阿波加茂の計8駅に停車します。これはかつて急行〔よしの川〕として運行されていたものを1996年に特急へ格上げしたためで、速達性よりも沿線の細かい需要を拾うことに重点が置かれた停車駅設定になっているのです。

徳島~阿波池田駅間の特急料金は自由席の場合だと1,200円。今回は指定席の利用なのでそこに530円が加算され、さらにGWということでもう200円追加され1,930円になっています。成田エクスプレス等と同じA特急料金ですのでかなり割高…なのが正直なところです。

佐古を通過して高徳線と分かれ、列車は徳島線へ。途中の停車駅はどれもローカルな雰囲気が漂い、「まさかここが特急停車駅!?」と一瞬目を疑ってしまいます(笑)。

車内はガラガラでしたので、ここで夕食をいただくことに。徳島駅近くのセブンイレブンで購入したご当地商品「黒胡椒かしわ丼」です。ご飯の上に胡椒のきいた鶏肉とバターがのっており、レンチンすることでバターが溶けて絶品です! 香川県ご当地グルメだそうですが、先ほど乗車した〔うずしお13号〕では香川県の地に足をつけることなくスルーしてしまったのでちょうどよかったです。

こちらは鴨島駅。何名かの方が降りていかれました。ガラガラとはいってもやはり一定の需要はあるようで、この時間帯の〔剣山〕は徳島市内へおでかけされていた方等が徳島線沿線の自宅へ帰る際に重宝しているのだろうと思います。

窓の外には、沈みゆく夕陽がちらり。そういえば今朝は山陰地方から旅が始まったんだよな…と思うと、長く短い一日の終わりを感じます。

また徳島線は「よしの川ブルーライン」という愛称がつけられており、車窓には吉野川が見える区間もあります。何を血迷ったか吉野川とは反対側のA席の指定をしていまいましたが、吉野川の眺めを楽しむならD席がオススメです。

気づけば辺りもすっかり暗くなり、定刻通り19:17に終点の阿波池田駅へと到着。

3面5線の立派な構造をもつ阿波池田駅徳島県内陸部の重要なターミナル駅で、四国を縦に貫く土讃線とここまで乗車してきた徳島線の2路線が乗り入れます。ただしやってくる列車は短編成のものが多く、ホームの有効長をかなり余らせているような印象です。

続いて乗車するのは、阿波池田19:46発の特急〔南風26号〕岡山行です。佃~阿波池田駅間は〔剣山〕と〔南風〕で運行区間が重複することになりますが、いずれの列車も佃駅には停車しませんので、例によって「分岐駅通過特例」が適用されています。

今回の企画ではこの特例に何度助けられたことか…! 阿波池田駅の待ち時間も30分程度ですので、改札外に出られなくてもさほど困ることはありません。

2011年に新設された1番線ホームで待っていると、列車が到着。午前中に岡山駅で見かけた「アンパンマン塗装」の2700系がやってきました。車両前面のキリっとした目元が印象的な車両ですが、アンパンマンばいきんまんによって何ともかわいらしい感じになっています(笑)。

列車は定刻通りに阿波池田駅を発車。多度津までの短い乗車ですが、指定席を利用していきます。

天井にもアンパンマンとゆかいな仲間たちのイラストが描かれ、四国らしさを感じる車内。自由席はかなりの混雑を見せておりますが、指定席は自由席に比べるとある程度健康で文化的な環境が保たれています。

青を基調とした寒色系のモケットは新幹線らしさがあり、山間部を走るディーゼル音とのギャップが個人的にはかなり好きです。

途中停車する香川県琴平駅は「こんぴらさん」の愛称で親しまれる金刀比羅宮の玄関口。「さぬきのこんぴらさんご参拝のお客様はこちらでお降りください」という車内アナウンスも流れましたが、果たしてこんな夜になってからお参りする方はいらっしゃるのでしょうか(というかそもそもこの時間から参拝可能なのか…?)。

定刻通り、20:23に香川県多度津駅へと到着。ここからさらに乗り換えていきます。

本日最後に乗車する列車は、多度津20:26発の特急〔しおかぜ25号〕松山行です。多度津駅では階段を渡ってわずか3分間で乗り換えを済ませなければならないため、周囲に配慮しつつかなり急ぎまして何とか間に合いました…!!

新幹線のような尖った形状が印象的なJR四国8000系特急電車。普段であれば岡山方面からやってきた〔しおかぜ〕5両編成と高松方面からやってきた〔いしづち〕3両編成を連結し松山まで8両編成で向かいますが、GWのような多客期においては8両全てが〔しおかぜ〕として岡山発着で運行されます。このため普段多度津駅にて行われている〔しおかぜ〕+〔いしづち〕の増結作業はなく、その代わり多度津止まりの〔いしづち〕の到着を待ってここ多度津駅にて対面乗り換えが行われ、〔しおかぜ〕は特に編成の増解結もなく10分間停車していたということになるようです。

何とか乗り換えに成功し、列車は定刻通りに多度津駅を発車。ここから予讃線を西に進んでいきます。

車両自体はデビューから約30年が経過しており決して真新しくはありませんが、木をふんだんにあしらった特徴的な座席はその古さを感じさせません。座席周りにコンセントはありませんが、フリーWi-Fiは整備されています。

途中停車駅は詫間、高瀬、観音寺、川之江伊予三島新居浜伊予西条、壬生川、今治伊予北条多度津松山駅間は2時間以上を要し、松山行の特急としては最終列車の1本前にあたります。

日中であれば四国中央市付近(川之江伊予三島など)の駅間では瀬戸内海を見渡すことができますが、すっかり日が沈んでしまったこの時間帯には真っ暗で何も見えません。川之江駅では行き違いを行いましたが、あちら側も同じ8000系でした。

西条市の中心駅である伊予西条駅では数分間停車し、上下列車の行き違いを行います。今では8000系に代わる新型車両8600系が〔しおかぜ〕〔いしづち〕で幅広く運用されていることもあり8000系自体が貴重な存在となりつつありますが、多客期には8000系が往年のような活躍をしてくれるので、8000系どうしの行き違いも普段とは一味違った予讃線の光景といえそうです。

伊予西条を発車すると、車内はいよいよガラガラに。GW中とはいえ、こんな夜遅くともなると四国内一の主要幹線でも人影はまばらです。

この先の主な街というと今治と終点の松山くらいですが、しかし伊予西条から松山までは特急でもまだあと1時間かかります。目の前にそびえる山々をぐるっと反時計回りに迂回しなければならず、直線的に進む松山自動車道と比べて予讃線は距離が長くなっているのです。

そんなわけで、定刻通り22:35に終点の松山駅へと到着。朝7時に鳥取駅を出てから、何と15時間以上もの長い移動となりました。

三角屋根が特徴的なJR松山駅舎。現在は駅舎・ホームともに地上ですが将来的には高架化される計画となっており、現駅舎の背後ではその工事も着々と進められています。当たり前のはずのこの光景も、もう長くはないのかもしれません。

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4日目の今夜は、JR松山駅から歩いてすぐの「ホテルクラウンヒルズ松山」に宿泊。当初予定ではここ松山でも快活CLUBに宿泊する予定でしたが、昨晩の鳥取での悲劇を受けて急遽直前に予約しました。繁忙期の予約ということもあって決して安くはありませんでしたが、同じ過ちを繰り返すわけにもいかず、清水の舞台から飛び降りる覚悟で貯まっていたじゃらんクーポンをフル活用しました。

 

ゴールの宇和島はいよいよ目前!

最後の様子はまた今度お届けします。

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。