2022年3月2日(水)
さて、今回は奈良県にある近鉄の大和八木駅へとやってきました。これから京都へと向かうべく、便利で快適な近鉄特急を利用していきます。
奈良県橿原市に位置する大和八木駅は、近鉄屈指の主要駅。東西に走る近鉄大阪線と南北に走る近鉄橿原線が十字を描くように交差し、街として・乗換駅としてとても多くの人で賑わっています。
4方向に分かれているということで、発車標も4種類。大阪・京都・名古屋・伊勢志摩のいずれにも1本で行けるという抜群の立地です。1階が近鉄橿原線(2面2線)、2階が近鉄大阪線(2面4線)となっています。
京都方面へ向かうには近鉄橿原線ですので、1階ホーム6番線から…かと思いきや、今回私が乗車する大和八木17:25発の特急 京都行は2階ホームの「4番線」と表示されています。4番線は大阪方面のホームであって京都方面とは異なるのでは…?と思いますよね。
実は大和八木から京都方面へと向かう特急には「橿原神宮前から来るもの」と「伊勢志摩方面から来るもの」の大きく2種類があります。橿原神宮前から来た特急であればそのまま大和八木駅の橿原線ホームへと入ればよいのですが、伊勢志摩方面(大阪線)から来た列車に関してはこの大和八木駅にて大阪線から橿原線へと転線させなければなりません。しかし大和八木駅のホームは2層構造になっており、シーサスクロッシング的な平面転線はできないため、新ノ口短絡線と呼ばれる隠しコマンド(?)があるのです。
今回乗車する17:25発についても橿原神宮前ではなく伊勢志摩方面からの列車ということで、他の橿原線の列車と異なり1つ上のホームからの出発となります。
夕陽にキラキラと照らされながら入線してきたこちらの特急。近鉄30000系、通称「ビスタカー」と呼ばれます。1978年にデビューしたかなり古い車両ではありますが、リニューアルが重ねられ前面には行先表示ディスプレイも取り付けられています。
今回はビスタカー名物でもある、こちらの2階建て車両に乗車していきます!
4両編成のうち、中間にあたる2・3号車の2両はダブルデッカー構造になっており、これがまさに「ビスタカー」と呼ばれる所以になっています。せっかくなので、1階と2階を乗り比べていきましょう。
無事に乗り込み、列車は定刻通りに大和八木駅を発車。乗車口付近からは1階と2階にそれぞれつながる階段があり、天井が高く広々とした空間になっています。
新ノ口短絡線を渡り、橿原線の線路へと入りました。まずは2階席を利用していきます。
一般的な平屋建ての特急車両と比べ若干の狭さは感じるものの、上部には荷物棚もしっかり設置されており不便さを感じることはあまりなさそうです。曲面を描く大きな窓が特徴的で、外の眺めを存分に楽しむことができます。
2階席は途中の大和西大寺駅まで利用します。特急料金はたったの520円で、1区間とはいえお手頃価格なのが有難いところです。
他の列車とすれ違う時など、こちらの目線の高さがちょうど平屋建て列車の屋根くらいの高さになります。文字通り「高みの見物」です(笑)。
車窓右手に広大な車両基地が見えてきたところで、まもなく列車は大和西大寺駅に到着。
ここで2階から1階へと移動することにします。
そう、何と1階席はセミコンパートメントになっているのです!!
個室内の中央に固定されたテーブルがあり、定員5名が向かい合って座れるようになっています。天井はやはり低めですが、ソファー席の座面を低くすることで空間を広く見せる工夫がなされています。
1両あたり2室しかなく、繁忙期には相当なプレミアチケットになりそうです。
なお個室部分の入口にドアはないため密室にはなりませんが、ものすごくうるさくしないようにだけ注意すれば特段他のお客さんの迷惑になることはなさそうです。
このセミコンパートメント席は3名以上のグループで乗車する場合に発売され、特急券にも「グループ」と印字されます。今回は友人らと4名で乗車したので、ややゆとりをもって利用することができました。
通常の特急料金以外に別途個室料金等は不要で、金額は先ほどの2階席と同じく京都までたったの520円。「払戻含む変更には全券片必要です」と印字のある通り、1席ずつ発売されることはないので「知らない人と隣り合わせで気まずい」なんてこともありません。
大和西大寺~京都駅間でのこの列車の途中停車駅は近鉄丹波橋のみで、その他の駅は高速で通過していきます。駅停車中や駅を通過する際などに見える目線の高さが、先ほどの2階席とは逆にこの1階席ではとても低く、これまた平屋建て車両とは一味違った車両が楽しめます。
辺りもすっかり暗くなり、定刻通り18:20に終点の京都駅へと到着。2階席・1階席合わせても1時間弱の乗車でしたが、とても楽しめました!
なおビスタカーで運行される列車については、空席照会等の際に「V」をかたどったマークが表示されるほか、近鉄公式HP内にあるPDF版の特急列車時刻表等でも運用を確認することができます。
みなさんも是非近畿地方へおでかけの際は利用してみてください!
今回も最後までお読みいただきありがとうございました。