わたかわ 鉄道&旅行ブログ

乗り鉄&旅好きの20代男子が全国を巡る!

【驚愕】「伊勢志摩ライナー」なのに観光客の姿がない…その驚きの運行区間とは?

 

2022年3月2日(水)

今回やってきたのは近鉄奈良駅

近鉄奈良駅はJRの奈良駅とは少し離れた位置にあり、近鉄の駅の方が奈良公園東大寺といった各観光名所から近い位置にあります。首都圏に住んでいるとどうしても中~長距離移動はJRを考えがちですが、関西ではこの近鉄をはじめ様々な私鉄がJRにも勝る重要な幹線として機能しています。

改札内にはせんとくんと鹿のフォトスポットが。なぜみなさん揃いも揃ってそっぽを向いているのでしょうか。

そんなことはさておき、改札階よりもさらに地下深くにあるホームへ降りていくと…驚きの光景がありました!

何と、伊勢志摩ライナーが入線しているではありませんか!!

伊勢志摩ライナーといえば、近鉄が誇る一大観光地・伊勢志摩方面へと向かう観光特急列車。私の記憶が正しければ、近鉄奈良駅から伊勢志摩方面への直通列車は運行されていないはずですが…この列車の行先は果たして?

何と宇治山田でも鳥羽でも賢島でもなく、「大阪難波」の文字が。

そう、この列車は何と「近鉄奈良発・大阪難波行の伊勢志摩ライナー」なのです!

近鉄奈良線をまっすぐ進むだけですので、当然ながら「伊勢志摩に行かない伊勢志摩ライナー」ということになります。

実は伊勢志摩ライナーの中には、このようにごくまれに「伊勢志摩方面に全く関係のない区間で完結する」運用があります。大阪難波近鉄奈良駅間では今回ご紹介する片道1本のみですが、このほか京都~近鉄奈良駅間で1日数往復設定されています。どうあがいてもこの列車で伊勢志摩へは行けないのですが、先ほどの画像を見ていただいても分かる通り発車標にはしっかり「Ise-Shima Liner」と記載されています。

こんな運用なかなかないので、さっそく乗車して大阪難波へと向かうことにします。

今回は普通車(?)を利用。このほか伊勢志摩ライナーには「デラックスカー」「サロンカー」など様々な等級の座席があります。

列車は定刻通り、9:14に近鉄奈良駅を発車。まもなく地上へ出ると、窓の外には広大な平城宮の跡地が広がります。あいにくの曇り空ですが、車窓から移籍が見えるのはいかにも奈良っぽい気がします。

伊勢志摩ライナーに驚きすぎてまだ朝食を食べていなかったので、買っておいた柿の葉寿司をここで開封。朝から贅沢な気分を味わいます!

最初の停車駅は大和西大寺。複雑な配線で大変有名なターミナル駅となっており、近鉄京都線と平面交差しています。ここからはかなりの乗車がありました。

大和西大寺駅を発車した直後、数秒間ですが京都行の特急列車と並走。巧みに組まれたダイヤのおかげで、衝突することはもちろんありません。駅を出てすぐ分岐し、大阪難波方面と京都方面に線路が分かれていきます。

近鉄奈良大阪難波駅間の距離はわずか32.8km、所要時間は36分間。同区間を走る追加料金不要の最速達種別「快速急行」でも35~40分程度ですので、実は所要時間は快速急行とほぼ変わりません。にもかかわらず、この近鉄奈良大阪難波駅間には朝夕を中心に多数の特急列車が運行されています。

というのも、近鉄奈良線で追加料金不要の列車は多くが大阪難波より先、阪神線との相互直通運転を行っており、大阪難波駅が始発でない場合が多いのです。これに対し特急列車が阪神線へ直通することはありませんので、特に下り(難波→奈良方面)は追加料金520円を払うだけで着席が保証され、通勤通学の足として重宝されていそうです。

列車は学園前駅に停車したのち、奈良県内最後の停車駅である生駒駅を発車。向こうには近鉄けいはんな線の車両が見えます。

この生駒駅を出ると、列車は生駒山を貫く長いトンネルへと入ります。このトンネルこそが、奈良県大阪府の県境の合図でもあります。

大阪府に入ると、列車は鶴橋までノンストップで走ります。直線的な高架区間が続いており、いくつも駅を飛ばしていきます。さすが特急らしい走り…と思いましたが、実は特急と快速急行の停車駅はさほど変わらず、快速急行であっても生駒~鶴橋駅間はノンストップで運行されています。

また、前を走る列車に追いつき、一時スピードを緩める場面も。これこそが無課金列車と特急列車でさほど所要時間に違いがない要因の一つでもあると思いますが、複々線というわけでもなく待避できる駅も限られているので仕方ありません。

なお車内の雰囲気ですが、当然ながら伊勢志摩方面へ向かう観光客の姿は全くありません。9時台ですので朝ラッシュのピーク時間帯は過ぎていることかと思いますが、ビジネス利用を含め沿線の利用者でそれなりの乗車率があり、短区間であっても確実に着席が可能な特急の需要の高さが垣間見えます。

布施駅にて近鉄大阪線と合流します。ここは京急蒲田のような立体構造になっており、ホームに面していない通過線もあるため、分岐駅でありながら特急列車等は高速で通過することができるようです。

そして列車は大阪環状線と接続する鶴橋駅に到着。ここでかなり多くの方が降りていかれました。市内各方面へと向かう上で非常に便利な乗換駅のようです。

鶴橋を出るとすぐに次の大阪上本町駅へと到着。ここを終着とする列車は頭端式ホームへ入線しますが、この列車は次の大阪難波が終点なので地下ホームへと入ります。

そして定刻通り、列車は9:50に終点の大阪難波駅へと到着。窓も大きく伊勢志摩の情景を思わせる観光向けの内装・外装でしたが、本当に伊勢志摩を1秒も通らず終点に着きました(笑)。

列車はすぐに阪神線側に回送され、直ちに折り返して10:10発の伊勢志摩ライナー(賢島行)として大阪難波駅を発車していきます。こちらの列車にはスーツケース等の大きな荷物を抱え乗車する観光客らしき人の姿が多数あり、観光特急としての真価が発揮される光景を目の当たりにしました。

 

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。