わたかわ 鉄道&旅行ブログ

乗り鉄&旅好きの20代男子が全国を巡る!

【新登場】新幹線でも近鉄でもない…まさかのJR特急のみで大阪から名古屋へ!

 

2024年3月26日(火)

本日は夜の大阪駅へとやってきました。これから名古屋駅へ移動します。

大阪~名古屋間の移動で一般的な鉄道利用ルートは主に2つ、東海道新幹線近鉄特急です。東海道新幹線(のぞみ)なら新大阪~名古屋駅間は約50分、近鉄特急なら大阪難波近鉄名古屋駅間は約2時間となっています。

しかし実は、両都市間はJRの在来線特急でも移動することができるのです。

いや、厳密にはJRの在来線特急を「乗り継ぐことで」移動することができるのです、というところでしょうか。かつては特急〔しなの〕が1日1往復限定で大阪~名古屋駅間を延長運転していましたが、2016年に取りやめとなっています。

まず乗車するのは、大阪19時20分発の特急〔らくラクびわこ2号〕米原です。以前まで〔びわこエクスプレス〕という名称で運行されていましたが、2024年3月のダイヤ改正にてこの列車名へと改められました。平日のみ運行する通勤客向けの特急列車で、北陸特急でもおなじみの681系・683系が使用されます。

ホーム上の発車標では、列車種別を「特急」ではなく「通勤特急」としています。正式には「特急」ですが、この列車が通勤客向けに着席サービスを展開する列車であることを利用者にアピールするためこのような呼び方を独自に使用しているものと思われます。

方向幕では「特急 米原」という表示のみ。平日のみの運行とはいえ定期列車ですから「らくラクびわこ」という列車名の入った幕が欲しいものですが、どうもそういった幕は用意されていないようです。またこちらでは「通勤特急」という表記もなされません。

いざ車内へと入り、列車は定刻通り19時20分に大阪駅を発車。さて名古屋に着くのは何時になるのでしょうか…?

途中停車駅は新大阪、京都、山科、大津、石山、南草津草津、守山、野洲近江八幡彦根です。新幹線が京都~米原駅間をノンストップで走行するのと比べるとかなりの停車駅の多さですが、これこそが新幹線と並行する区間通勤特急を走らせることの意義でもあります。

列車は6両編成で、全車指定席です。米原寄りの先頭1号車はグリーン車となっています。

大阪~米原駅間の営業キロは110.5キロとなっており、全区間を乗り通した場合の通常期の特急料金は2,390円です。今回は繁忙期につき通常料金から200円増しとなっています。

これだけ見ると「高い」と言わざるを得ないことでしょう。割高なA特急料金が適用されているため仕方のないことですが、しかし新大阪~米原駅間で新幹線の自由席を利用した場合の特急料金が2,530円ですからこれでは大差ありません。いくら〔らくラクびわこ〕が途中駅までのニーズに応える列車とはいえ、これで果たして勝負になるのでしょうか。

JR西日本ではチケットレスの利用を推奨しており、中でもとりわけ強く打ち出しているのが「J-WESTチケットレス」です。乗車日前日・当日のみ購入できるチケットレス特急券で、J-WESTカード会員限定の商品となります。少し表が細かいですが、見てみると大阪で乗車した場合に大津~野洲の各停車駅までは750円、近江八幡までは850円、彦根米原までは1,450円となっており、いずれも定価からは大幅な値引きとなっています。

しかしこの施策も虚しく、個人的に利用者が最も集中すると思っていた新大阪~京都駅間でさえ車内は驚くほどのガラガラ具合。ダイヤ改正直後とはいえ、長らく〔びわこエクスプレス〕として走っていますので全く新しい特急列車でもありません。

19時52分、列車は京都駅0番線ホームを発車。京都駅では乗車・降車ともそれほど多くなく、依然として車内が混雑する様子はありません。この先の琵琶湖線区間では基本的に降車客がメインとなりますので、これ以上もう終点まで混雑することはなさそうです(この列車に乗車専用駅・降車専用駅の概念があるわけではありませんが…)。

京都より先、大半の特急は〔サンダーバード〕として湖西線へ進んでしまうところですが、この列車は引き続き東海道本線を走ります。京都以東では「琵琶湖線」の愛称が付けられており、この列車は京都の次の山科駅にも早速停車します。琵琶湖線湖西線が分岐するのはここ山科駅なのでサンダーバードも通ることには通るのですが、サンダーバードは1本たりともここ山科駅に停車しないため新鮮な感覚です。

隣のホームを見てみると、緩行線を走る普通 野洲行とほぼ同時着・同次発のようです。草津までは複々線区間のため、同じ「琵琶湖線」の列車であっても互いのダイヤにはそれほど干渉し合うことなくそれぞれ走行できます。ちなみにあの野洲行はらくラクびわこ2号よりも12分早く大阪駅を発車した列車のようで、高槻までは快速運転をしていました。

湖西線と分岐したのもつかの間、列車は続いて次の大津駅にも停車します。何とこれで京都駅から3駅連続停車…そう、冒頭の停車駅の一覧の時点でお気づきの方も多いと思いますが、この列車の停車駅は実は新快速とそれほど大差ありません大津駅も県庁所在地ですから停車せざるを得ない部分はあるでしょうが、他に琵琶湖線を走る特急として挙げられる1日1往復限定の通称「大阪ひだ」は京都~草津駅間ノンストップです。

ちなみにこの時、車内アナウンスにて車掌さんが「らくラクびわこ」と言うところを誤って「びわこエクスp…失礼しました」と間違えかけていらっしゃいました。「びわこエクスプレス」は2003年から21年間に渡り使用されてきた列車名ですから、癖でそうなってしまうのも頷けます。

石山駅は琵琶湖の南端に位置する駅で、京阪石山坂本線と接続します。ここでは思いのほか降車客がおり、複数名の方が降りていかれました。ようやくこの列車が本来の役目を果たす瞬間(新幹線通過駅への通勤客輸送)を目の当たりにできた気がします。

南草津草津と停車し、次は守山。ここでなぜか急に車内の表示器が稼働を開始し、ひたすらに「次は 守山」という文字を繰り返しスクロールし始めました。しかしこの表示は守山駅を発車してもなお変わらず、どうもバグっているようです。

だいたいこの区間では3~5分ごとに停車を繰り返しますが、車掌さんは各駅発車時に丁寧に「○○駅よりご乗車のお客様、お待たせ致しました…」というアナウンスを挟んでくださいます。しかし郊外方向へ向かう通勤特急で、郊外の駅から乗車する人が果たしているのか…というのは気になるところですが。

20時22分、列車は野洲駅に到着。隣のホームには「回送」表示となっている車両が停車していました。この列車はズバリ、大阪駅をらくラクびわこ2号よりも5分早く発車した大阪19時15分発の新快速 野洲行です。

新快速とらくラクびわこ、いずれも快速線を走る列車のため、いくら後続列車が特急とはいっても追い越しを行うことは困難です。またそれ以上に、新快速とらくラクびわこでは停車駅・所要時間ともに大差なく、基本的に特急であれ新快速に倣って走るほかないのです。これもまた、らくラクびわこの乗車率がそれほど高くない要因の一つであると考えられます。

近江八幡駅では近江鉄道と接続します。既に複々線区間は抜けていますが、野洲を過ぎて列車本数が少なくなったためかここにきてなかなかのスピードで走るようになりました。

元々ガラガラ状態であった車内は、途中駅での降車を繰り返しいよいよ本格的に空気輸送状態へ。1両あたりの乗客は1~2名ほどでしょうか、末端区間なので致し方ないところではありますが、よもや天下の東海道本線をひた走る通勤特急の乗車率がこれほどまでに低いとは思ってもいませんでした。同じ東海道本線通勤特急でも〔湘南〕とは対照的です。

滋賀県東部の主要都市である彦根にもしっかりと停車。次がいよいよ終点となります。

大阪駅を出てから1時間28分、20時48分に列車は終点の米原駅へと到着。

駅名標にはJR西日本のナンバリングだけでなくJR東海のナンバリングも併記され、ここが両社の境界であることが分かります(駅の管轄はJR西日本)。

さて、この先名古屋へ向かうにはどうすれば…と頭上を見上げてみると…!

米原からは何と20時55分発の特急〔しらさぎ16号〕名古屋行に乗り継ぐことができるのです!

らくラクびわこ2号とは対面での接続、これぞまさに名阪間の移動を考慮したかのような華麗な乗り換えです。

しかし本日、残念なことに北陸方面での遅延の影響で何としらさぎ16号は約10分の遅れをもって運行されているとのこと。通常であればしらさぎ16号の米原駅入線は20時49分の予定のため、らくラクびわこ2号の到着とほぼ同じタイミングになるかと思われましたが本日はそうもいかないようです。

寒空の下で待っていると、21時01分頃にようやく敦賀からやってきた特急〔しらさぎ16号〕が入線。かたや隣のホームでは、京都方面からやってきた20時57分着の米原止まりの普通列車が入線し、いつもなら乗り継げないはずのしらさぎ16号へ乗り換えられてしまう「マイナス乗り換え」が発生していました。

定刻よりも10分遅れ、しらさぎ16号は米原駅を21時05分頃に発車。いよいよこの列車で名古屋へ向かいます。

米原駅では列車の進行方向が変わりました。しかし米原で降車する客も多く、誰も座らない座席は進行方向と逆のままになっています。

北陸新幹線開業に伴い、運行区間が名古屋・米原敦賀駅間に短縮された〔しらさぎ〕。これに合わせサンダーバードと同様にしらさぎ全車指定席となり、従来自由席として設定されていた5・6号車も座席指定が可能となりました。

米原名古屋駅間の途中停車駅は大垣、岐阜、尾張一宮。遅延こそしているものの、途中の区間で徐行することはほとんどなく、快調な走りで山間部を抜け岐阜県へと入ります。

米原で多数の降車があることからも分かる通り、北陸方面から名古屋へと抜ける場合は〔しらさぎ〕を米原で乗り捨てて新幹線に乗り換える方が早い場合が多いです。しかし一方で〔しらさぎ〕は新幹線の通らない大垣駅・岐阜駅等に直接乗り入れることができるメリットもあり、新幹線と並行する区間でありながら特急が残存しています。

しらさぎ16号の名古屋駅到着時刻は、定刻であれば21時54分。しかし米原の時点で10分の遅れがありますので、この時間通りに名古屋へ到着できないことは覚悟していました。

一方で名古屋からは東京行の最終ののぞみ号(名古屋22時12分発)に何とか間に合う時間であり、これで帰京するつもりで予定を組んでいたため、あまり大幅な遅れが発生すると当日中に首都圏まで戻ってこれない可能性があるというスリリングな状態です。

名古屋駅ではホームが空くのに少々時間を要し、徐行と停車を繰り返します。東京行の最終のぞみ号まであと10分を切ったというところでも、まだ名古屋駅は少し先。間に合うかヒヤヒヤものでしたが…。

約12分の遅れをもって、22時06分頃に終点の名古屋駅へと到着。

トラブルはあったものの、何とかして大阪から名古屋までJRの在来線特急で移動することができました!

なお所要時間はというと…時刻通りの運行であれば2時間34分。今回の遅延時分を加味するとおよそ2時間46分となり、近鉄の名阪特急よりもさらに時間のかかってしまう始末です。正直なところ同区間青春18きっぷで移動する場合とほぼ時間差はないため、全区間で特急を利用することが自信をもってオススメできるかというと微妙ではありますが…。

なお東京行の最終のぞみ号へは、何とかギリギリで乗り継ぐことができました。

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。