わたかわ 鉄道&旅行ブログ

乗り鉄&旅好きの20代男子が全国を巡る!

【始業に間に合う】新幹線開業で不可能になる「金沢→大阪」朝一番の最速ルートで移動

 

2024年3月4日(月)

おはようございます。本日は北陸本線金沢駅にやってきました。

まだ外は真っ暗ですが、それもそのはず…何と現在の時刻は午前4時30分過ぎ。いやはや当ブログ史上最も朝早いオープニングではないでしょうか。いや朝というかこれはもはや深夜と呼ぶべき…?

金沢駅のシンボル「鼓門」は日中こそ多くの観光客でごった返していますが、この時間帯ともなると写真を撮る人は一人もおらず、無人の状態です(ただし消灯しているので非常に見えにくいのですが)。

本日はここ金沢駅より「大阪へ朝一番に到着することのできるルート」で移動していきたいと思います。夜行バス等の手段を除き、当日朝に金沢を出発するという条件です。

ご存知の通り、2024年3月16日に北陸新幹線の金沢~敦賀駅間がいよいよ延伸開業をする予定となっています。これに合わせ、同区間並行在来線JR北陸本線から第三セクターIRいしかわ鉄道・ハピラインふくい)へと引き継がれます。このため金沢駅の東西を結ぶコンコースの頭上に設置された「JR線(北陸線七尾線)」の文字もやがて過去のものとなる見込みです。

新幹線は午前6時からの運行となるため、まだこの時点では改札口が開いておらずシャッターが下りています。しかし発車標は稼働しているようで、東京方面は6時03分発の〔かがやき500号〕東京行から運行が始まり、その後6時16分発〔はくたか552号〕東京行、6時51分発〔つるぎ700号〕富山行…と続きます。

敦賀方面はまだ開業していませんが、発車標は設置され準備は万端といった様子です。

在来線改札口付近には「ありがとう北陸本線」と書かれたメッセージボードがありました。かつては米原から福井・金沢・富山を経由して直江津へと至り、まさに名の通り北陸地方を貫く一大幹線でしたが、2015年の新幹線金沢開業に合わせ直江津金沢駅間が経営分離され、それに続く今回の金沢~敦賀駅間経営分離となります。「北陸本線」自体がこの世から完全になくなってしまうわけではなく、路線名としては米原敦賀駅間のみ残りますが、その距離はわずか45.9km。「本線」としての風格は完全に影をひそめることになりそうです。また金沢駅においてやってくる列車は「北陸本線」ではなくなってしまうため、惜しむ声が多く寄せられていました。

通常「金沢から大阪へ行く」となれば、まず真っ先に思い浮かぶのは特急〔サンダーバード〕でしょう。金沢駅を朝一番に出発する大阪行の在来線特急は金沢5時35分発の〔サンダーバード2号〕で、終点の大阪駅には8時20分に到着します

これでも十分朝早いのですが…実はそれよりも朝早くに大阪へ到着することのできるルートがあります。それが金沢5時10分発の特急〔しらさぎ52号〕米原を利用する方法で、金沢駅サンダーバード2号よりも25分早く出発します。

朝5時前の在来線金沢駅ホームはがらんとしており、人影はほぼありません。ただし金沢4時53分発の七尾線 七尾行があり、これが本日この駅から発車する最初の列車となります。こんな朝早くにもかかわらず、若干名の乗客がいました。

やがて1番線ホームに、ゆっくりと列車が入線。本日福井方面への最初の列車となる、5時10分発の特急〔しらさぎ52号〕米原です。6両編成で、前寄りの6号車・5号車が自由席となります。

この列車を含め、金沢駅からは朝5時台だけで計3本もの特急列車が発車していきます。つまり、金沢から大阪方面・名古屋方面へ朝早くに移動する需要がそれだけ大きいというわけです。

とはいえ、〔しらさぎ52号〕が金沢駅を発車する時点で車内がそれほど激しく混雑している様子はありません。指定席は各車両数名程度といったところです。自由席の方が乗車率は高いように見えました。

5時10分、列車は定刻通りゆっくりと静かに金沢駅を発車。停車駅は松任、小松、加賀温泉芦原温泉、福井、鯖江、武生、敦賀終点米原です。

5時16分、松任駅に到着。朝夕を中心に一部の特急が停車します。普通列車でも金沢から10分ほどの距離ですので、残念ながら松任駅のある白山市内に新幹線駅は設置されません。新幹線開業により”割を食う”特急停車駅の一つです。

余談ですが、こんな早朝ともなれば当然ながら駅弁を入手できるわけがありません。宿泊先から金沢駅までの道の途中で運良く24時間営業のコンビニエンスストアを見つけましたので、そこで食料を調達してきました。

5時28分、小松駅に到着。空港のある街としても知られ、金沢を出て最初の新幹線停車駅となります。こうして特急の車内から撮影する小松駅駅名標なども、やがて大変貴重な光景になることでしょう。

加賀温泉芦原温泉と停車していきながら、列車は石川県を抜け福井県へと入ります。両駅とも観光地ではありますが、温泉街からは離れていることもあり、また何よりまだ早朝ですので観光客がどさっと乗ってくることはありません。指定席車両には、地元の方が若干名乗車されました。3月のこの時間帯、外はまだ真っ暗です。

5時58分、福井駅に到着。福井からはかなりの数の乗車がありました。中には大荷物を抱えたグループ客もおり、車内の乗車率は一気に高まります。やはり北陸地方と関西・中京圏との結びつきの強さを感じます。

福井を出ると列車は鯖江武生の順に停車。武生駅がある越前市内には新幹線駅「越前たけふ」が設置されますが、両駅本体には新幹線が直接乗り入れることはなく、これもまた「割を食う」駅ということもできると思います。ちょうど進行方向左側に乗車しており、この辺りからだんだんと空が明るくなってきたことが分かります。

北陸トンネルを抜け、6時32分に敦賀駅へ到着。大阪方面へ向かう〔サンダーバード〕はこの先湖西線経由ですので琵琶湖の西側を進みますが、今回私はここ敦賀で乗り換えることなく引き続き米原方面へ向かいます。

7時8分、列車は定刻通りに終点の米原駅へ到着。外はすっかり明るくなっています。

ちなみに同じ頃、後続の金沢5時35分発の特急〔サンダーバード2号〕は既に敦賀駅を発車し湖西線内に入ろうというところ。何とかしてこれよりも早く大阪に到着したいわけです。

そこで利用するのが…そう、天下の東海道新幹線米原には新幹線という武器があります。

乗車するのは、米原7時18分発の〔こだま761号〕新大阪行です。〔しらさぎ52号〕から到着してからちょうど10分後に発車するスムーズな接続で、何とかして〔サンダーバード2号〕よりも早く大阪へ着きたいところ。

新幹線ホームへ降りるやいなや、すぐに列車が入線してきました。この列車は始発の名古屋駅を6時51分に発車しており、早朝につきこの区間では〔のぞみ〕の本数が少ないため途中駅での後続列車の待避を一切行いません米原に関しても、到着後すぐに発車となります。

16両編成のこの列車には、N700Sが充当されています。今回は終点の新大阪まで、自由席で移動していくことにします。

列車は定刻通りに米原駅を発車。自由席は1~6・13~16号車と豊富なこともあってか、余裕で着席可能です。車内は通勤途中と思われる方の姿が目立ちます。

さて、〔サンダーバード2号〕との時刻の比較をしてみます。金沢駅を出る時点では〔しらさぎ52号〕の方が25分先行する形で、米原経由のルートの方が少し距離は長いです。また米原駅での10分間の乗り換えはロスタイムとなりますが、それをものともしない新幹線の怒涛の追い上げにより新大阪には何と〔サンダーバード2号〕よりも24分先着。ただし新幹線は大阪駅へ直接乗り入れたりしないので、在来線へ乗り換える必要があります。

そして同様の比較を、ダイヤ改正の前後で行ってみます。新幹線開業後、金沢から大阪方面に向かう手段としてまず利用することになるのが北陸新幹線〔つるぎ1号〕敦賀行です。新幹線は午前6時からの運行となるため、これに合わせ〔つるぎ1号〕も6時00分ちょうどの発車となります。

すなわち現在運行中の金沢5時10分発〔しらさぎ52号〕の50分後の発車となるわけですが、では最新鋭の新幹線の力をもってその時間差を追い詰めることができるかというとそうでもありません。〔つるぎ1号〕敦賀駅到着は6時57分で、実はこの時点で現行の〔しらさぎ52号〕はおろか現行の〔サンダーバード2号〕(敦賀6時53分発)にすら間に合わない時間なのです。このため新たに敦賀始発として運行される〔サンダーバード2号〕は敦賀駅の発車時刻を12分繰り下げて〔つるぎ1号〕からの接続を取ることになり、最終的に新大阪到着は8時29分、大阪到着は8時34分となります。新大阪駅到着時刻は現在の朝一番最速ルートよりも実に38分遅い時間の到着となります。

また、現行の朝一番ルートであれば米原乗り換えのため、乗継割引が適用され〔しらさぎ52号〕の特急料金は半額となっています。しかしこちらは制度そのものがダイヤ改正をもって完全に取りやめとなり、例えば新幹線敦賀開業後に新幹線と在来線特急を敦賀駅で乗り継ぐようなルートであっても乗継割引は適用されません。新幹線開業後について、JR西日本ではインターネット予約での各種割引商品の利用を推奨しています。

曇り空が続いていますが、その雲の切れ間からようやく朝日を覗くことができました。米原~京都駅間は東海道新幹線で最も駅間距離が長い区間となり、ここで一気にスピードを出していきます。

7時37分、列車は京都駅に到着。ちょうどJRの在来線・私鉄・地下鉄各線は朝ラッシュに差し掛かり混雑を迎えているところですが、ここから市内各所への通勤・通学の移動を行うにも十分な時間の余裕があります。

京都駅でかなりの降車があり、車内はかなり空きました。あとは新大阪へ向かうのみです。

在来線の京都~大阪間といえばこの朝の時間帯は大変な混雑でしょうが、それとは対照的にこの新幹線は快適でゆとりある空間を手に入れることができています。

そして…7時51分、終点の新大阪駅に到着!!

列車はまもなく回送へと切り替わりました。

現行ダイヤにおいても、金沢駅を朝一番に出発して大阪市内に朝8時までに到着することができるのはこのルートただ1つのみ。すぐ隣のホームからは約5分の接続で〔のぞみ273号〕博多行もあり、山陽・九州方面へもスムーズに乗り継ぐことができます。

この乗り継ぎルートの注目は、何といっても「大阪市内に朝8時までに到着できる」ということにあります。新大阪7時51分着ですので、新大阪駅大阪駅周辺であれば8時30分始業の会社への出社も可能な時間です。しかしこれがダイヤ改正後となると話も変わってくるもので、金沢駅を朝一番に出発しても新大阪駅到着は8時29分ですから、間に合わない企業が多く出てくる時間帯だろうと思われます。

今回はさらに、〔サンダーバード2号〕を大阪駅で迎え撃つべく在来線に乗り換えて移動していきます。発車標には確かに〔サンダーバード2号〕大阪行の文字も出ており、それより前にも新快速・快速・普通列車が多数運行されています。

時刻を調べずともすぐに列車がやってくる過密運行ですが、複々線区間のため種別によって発着ホームが異なる点には注意が必要です。今回は7時59分発の普通 西明石行で移動します。

新快速でなくて普通なので混雑はそれほどでもない…と高をくくっていると痛い目を見ます。最混雑時間帯であり、普通列車でもこの有様。東京の満員電車で鍛えた耐性とマナーを武器に、何とか乗り込みます。

約4分で大阪駅に到着。ちょうど8時を過ぎたタイミングですが、それでも〔サンダーバード2号〕に20分近く先行することができているはずです。

3番線ホームへ移動してみると、確かに「サンダーバード2号 当駅止」の文字が。8時29分発の列車よりも下に表示されているのは回送されるタイミングの問題で、入線するのはもっと早いです。

8時20分、ようやく〔サンダーバード2号〕が終点大阪駅に到着!

ダイヤ改正後はこの時間に大阪駅に到着することさえも不可能になります。

なお今回はあくまでも「金沢→大阪市内」での話をしておりますが、実は「福井→大阪市内」であればこれまで通り朝8時前に新大阪へ到着できるケースがあります。

今回ご紹介したルートを金沢ではなく福井から利用する場合、福井駅発車時刻はちょうど6時00分。残念ながら福井始発の新幹線は設定されないため、先に示した金沢始発の〔つるぎ1号〕が敦賀駅へ到着する最も朝早い新幹線となります。しかし福井駅であれば在来線でも敦賀へ1本で向かうことができ、福井始発(5時49分発)のハピライン快速に乗れば6時28分に敦賀駅へ到着することができます。現行の〔しらさぎ52号〕にあたる時間帯の特急列車は廃止となりますが、その代わりだいたい同時刻で敦賀米原を結ぶ北陸本線の臨時快速列車が当面の間設定されることになっており、これを利用すると現行の〔しらさぎ52号〕と同様に7時08分に米原駅へ到着することができるのです。

 

一方でやはり金沢駅から朝一番で動き出しても大阪での朝の出社・会議等に間に合わせることができなくなってしまうというのは決して小さくない影響があると考えています。

2015年の北陸新幹線金沢開業時、富山からの朝一番の大阪行特急列車が金沢始発になってしまうために大阪への到着が従来よりも遅くなり、従来通りの形態での営業が困難になるため店を畳まなければいけなくなってしまった富山のとある個人経営の衣料品店の店主の声を取り上げたニュースが今でも印象に残っています(9年前の記憶なのでうろ覚えですが)。

もちろんこれは一例にすぎないのですが、金沢5時10分発の米原行特急が今日まで運行されてきたのにはそれなりの理由があるわけで、実際に私が利用した際も指定席・自由席を問わず一定の需要があったわけです。

新幹線の1日も早い大阪までの全線開業を願ってやみません。

 

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。