わたかわ 鉄道&旅行ブログ

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【ガラガラ?】57年ぶりに復活した定期特急! 通勤特急らくラクやまとに乗車[奈良→新大阪]

 

※諸事情により今回に限り画像が全て4:3ではなく16:9となっております。ご了承ください。

 

2024年3月26日(火)

おはようございます。本日はJR奈良駅へとやってきました。

私にとっては年にそう何度も来ることのない奈良県ですが、よりにもよって本日はあいにくの雨。平日の朝、主に大阪方面への通勤通学客が続々と駅へ吸い込まれていきます。

奈良にはJRと近鉄の2社のターミナルがそれぞれ離れて位置しています。近鉄奈良駅の方からは長らく大阪難波方面・京都方面にそれぞれ有料特急が運行されている一方、JRの奈良駅にやってくるのは普通・快速列車ばかり。定期特急列車は1本も存在していない状態が長く続いていました。

しかし2024年3月16日のダイヤ改正で、ついに奈良県に悲願ともいえるJRの定期在来線特急列車が誕生。それが、新大阪~奈良駅間を結ぶ通勤特急〔らくラクやまと〕です。

通勤特急」という呼称からも分かる通り、この列車は平日朝に奈良→新大阪、平日夜に新大阪→奈良のそれぞれ片方向のみで運行するライナー列車です。JRに「通勤特急」という種別は厳密にはなく、あくまでも「特急」なのですが、沿線利用者へ向けた通勤のための列車であることのアピールのため、駅や車内ではこのように案内されています。

らくラクやまとの運行ルートは大和路線関西本線)・大阪環状線経由で52.3キロ。参考までに同じく阪奈間を結ぶ近鉄線は、大阪難波近鉄奈良駅間で32.8キロとなっており、JRの方が距離では約20キロものハンデを背負っている形です。もちろんらくラクやまとは大阪市内に入ってからも新大阪まで市内を北上していくためというのもありますが、そうでなくとも近鉄線よりだいぶ南側を迂回して走っていることは明らかです。

平日朝の奈良駅のラッシュは…というと、もちろん首都圏郊外の駅ほどの運行本数ではありませんが、それでも日中と比べると運転間隔は短めです。最も運行間隔が短い時は4~5分ほどで、主な種別は以下の通り分かれています。

快速…JR難波行
区間快速天王寺・西九条・大阪方面行
直通快速おおさか東線経由大阪行

区間快速直通快速の一部には有料座席「うれしート」が連結されています。2023年10月に開始されたサービスで、今改正からさらに増強され区間快速3本・直通快速4本の計7本が設定されています。

今回ご紹介するらくラクやまとと合わせて、6時12分~7時48分の間に奈良駅を発車する列車のうち計8本に指定席が連結されていることになります。らくラクやまとの直前に奈良駅を発車する7時05分発の直通快速もそのうちの1つで、サービス開始からわずか半年にしては驚くべき勢いで着席サービス強化が進んでいます。

程なくして、3番線に列車が入線。287系(3両編成)が使用されます。普段8両編成の列車が行き交う奈良駅ですから、3両編成となるとかなりホームを余らせて中央付近に停車することになります。

奈良では2019年より、行楽客向けの臨時特急として土休日を中心に〔まほろば〕が運行されています(※2010年にも一時期運行実績あり)。しかしこれはあくまでも臨時特急であり、定期特急の設定は実に57年ぶりとなります。

ちなみに57年前の1967年まで運行されていた特急は〔あすか〕で、名古屋~和歌山駅間を関西本線経由で結ぶ気動車特急でした。すなわち国鉄分割民営化後初「奈良駅を通る定期特急列車」ということになります。このほか急行列車も含めると2006年まで名古屋~奈良駅間を結んでいた〔かすが〕がありますが、そこから数えても実に18年ぶりとなります。

何はともあれ、列車は7時16分に定刻通り奈良駅を発車。まずは大和路線経由で天王寺方面へと向かいます。

列車は全車普通車指定席で、グリーン車はありません。奈良駅を出た時点での乗客数は1両あたりざっと10名ほどですが、この中には私を含め鉄道ファンらしき方も何名かいらっしゃいましたので、実利用者はもっと少ないものと思われます。言葉を選ばず言うなら「ガラガラ」です。

途中停車駅は郡山、大和小泉法隆寺、王寺、久宝寺天王寺、大阪です。ご覧の通り、天王寺までの停車駅は快速・大和路快速区間快速と何ら変わりません。

すなわち王寺までは各駅に停車するということになります。郡山・大和小泉法隆寺の各駅からの乗客は、0人とは言わずとも正直なところほとんどおらず、途中駅からどんどん混雑してくるタイプの通勤特急でもなさそうな様子です。

さて気になる特急料金ですが、今回は駅で購入した通常の特急券にて乗車しています。奈良~新大阪駅間のお値段は何と…1,930円!!! 高い!!!

しかしこれにはからくりがあります。というのも、乗車した3月26日は繁忙期のため通常料金+200円となっており、この区間の通常期の正規料金は1,730円となります。

また、インターネット予約サイト「e5489」から購入することでこれよりも安く乗車できる場合がいくつかあります。

特筆すべきは、J-WESTカードを持っている場合に限り最安で500円から乗車可能になるという点です。正規料金から半額以下となり、またそうでなくとも「J-WESTチケットレス」にて奈良~新大阪駅間は750円にて乗車することができます。

あいにく奈良~新大阪駅間ではほんの少しだけ50キロを超えてしまっているため、そこでぐんと料金が跳ね上がる場合があるのは致し方ないところ。大阪で降りるか新大阪で降りるかの差はかなり大きいです。

7時33分、列車は王寺駅を発車。ここから途中駅をがんがん飛ばす運行が始まります。

ホームにはたくさんの人が並んでいましたが、王寺駅からも車内が大して混むことはありません。というのも、もちろん後続に快速・区間快速などが次々とやってくる上、実は約15分に1本ほど王寺始発の普通も設定されています。列車本数が奈良駅よりも多く、かつそのうち一部は少し並べばほぼ確実に座れる列車であると考えると全車指定席の特急列車のニーズを開拓するのはなかなか大変なものがあります。

王寺を出た先の区間はちょうど奈良県大阪府の府県境となっており、険しい山々の間を縫って走る区間となります。首都圏の通勤特急東海道線・中央線などいずれの方面からであってもだいたい関東平野をひた走るのみなのでこのようなことはなく、まるでローカル線のような雰囲気は新鮮です。

山を越えていよいよ大阪府へと入り、列車はまもなく久宝寺駅というところ。しかしここで列車が詰まり、一時停止してしまいました。

先行する快速がそのさらに1本前を走る普通と緩急接続を取るため、一瞬久宝寺駅のホームは天王寺方面の3・4番線両方が埋まることとなります。そして快速の発車が遅れた瞬間にすぐにその遅延はらくラクやまとにも波及するため、なかなか寸分狂わぬ定時での運行はこの付近では難しいのかもしれません。

7時46分に普通が発車した後、らくラクやまとは7時48分に久宝寺駅へと到着。すぐの発車ではありますが、この列車のすぐ後方には久宝寺7時51分発の快速 JR難波行も迫っています(隣のホームで既に接近放送がかかっていました)。よくぞこの超過密ダイヤの中に通勤特急を差し込んだな…と驚くばかりです。

7時49分、久宝寺駅を発車。大阪市内中心部がいよいよ近づいてきており、辺りは建物が増えてきました。おそらくこの列車で最も混雑する可能性のある区間久宝寺天王寺駅間だと思われますが、それでも1両あたりの乗車人数は目測で15名程度となりました。

7時56分、天王寺駅に到着。ここで若干名の方が降りていかれました。

天王寺駅から先、列車は大阪環状線に直通します。環状運転を行う普通列車のほか、阪和線方面からの列車(特急含む)もあると考えるとこれまた実に過密な運行です。首都圏で例えるならば山手線が走る線路をそのまま特急湘南と成田エクスプレスも使用するような状態でしょうか…。

大阪環状線内はそういったわけでなかなか高速での運行は難しいところですが、しかし途中運転停車等は一切なく大阪方面へ向かっていきます。らくラクやまとの「らくラク」という言葉には、単に特急車両で快適に移動できるという意味だけでなく「満員電車に押し込められることなく、ゆとりのある時間・空間を手に入れることができる」という意味がこめられているのかもしれないということがよく分かる瞬間です。

西九条駅USJ・なんば・京セラドーム大阪など様々なスポットへ乗り換えなしで行ける便利な立地ですが、この列車は通過。まもなく地下へと潜ります。

8時13分、大阪駅に到着。大阪駅うめきた地下ホームへの入線となります。

この日はたまたま入線の途中で急ブレーキがかかりましたが、事故等ではなく正常な停止位置だったようです。

8時19分、終点の新大阪駅に到着。到着した1番線はこのまま線路が放出・久宝寺方面へと繋がっており、奈良駅を発車した直通快速の大阪行とは編成が逆の向きで新大阪・大阪へと到着するのも面白いところです。

阪奈間のJRに元々大きな着席ニーズがあったわけではないというところだとは思いますが、今後積極的なPRを行うことで少しずつ乗客の増加に繋がればよいなと感じます。

 

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。