わたかわ 鉄道&旅行ブログ

乗り鉄&旅好きの20代男子が全国を巡る!

【東海道新幹線】自由席よりも安くグリーン車に乗る!? その方法とは

 

2022年7月1日(金)

今回は、名古屋から新横浜まで新幹線で移動していきます。

みなさんは普段、新幹線に乗られる際に「普通車」と「グリーン車」のどちらを選ぶでしょうか。「少しでもゆとりのある座席を求めてグリーン車を頻繁に利用する」等という人もいれば、「普通車でも十分快適なのでグリーン車にはあまり乗らない(or1回も乗ったことがない)」という人もいることでしょう。ちなみに私は完全に後者です。

一般的に「グリーン車はグリーン料金が加算されるので普通車よりも高い」というのは誰もが知るところです。しかしどうやらこの東海道新幹線には「普通車自由席よりも安いグリーン車」が存在するというのです。一体どういうことでしょうか。

乗車するのは名古屋15:38発の〔こだま734号〕東京行。終点東京まで各駅に停車していく列車で、新横浜までノンストップで走る〔のぞみ〕と比べるとだいぶ時間が多くかかります。しかし今回はあえて〔こだま〕を選ぶ必要があるのです。

東海道新幹線は、列車種別にかかわらず16両編成のうち8~10号車がグリーン車。3両も連結されているのはさすが日本の大動脈といった感じがします。〔のぞみ〕では首都圏~東海・関西間等の移動需要が大きいためビジネス客を中心にこの3両のグリーン車が満席近くなることもありますが、短区間利用が中心の〔こだま〕であればグリーン車は空いていることが多いです。

定刻通りに名古屋駅を発車。「AMBITIOUS JAPAN!」のイントロに耳を傾けながら、少しずつ速度を上げていきます。

それではタネ明かしといきましょうか。今回私が「普通車自由席よりも安くグリーン車を予約できた」のは、実は新幹線予約アプリ「スマートEX」の席数・設定日限定商品「EXこだまグリーン早特」を利用したからなんです。お値段は運賃・特急料金合計でたったの9,060円、すなわち駅で購入する普通車自由席よりも安いということになります。

グリーン車の通常額と比べるとその差は約5,000円にも上ります。もちろん毎日設定されている商品ではなく、また名称からも分かる通り〔のぞみ〕や〔ひかり〕では同様の商品は発売されていないので、今回はあえて〔こだま〕を選ぶ必要があったというわけです。

アプリの画面に表示される内容(イメージ)としては上記の通り。駅で東海道新幹線の切符を買うと基本的には定価でしか買えませんが、スマートEXではこのように多種多様な商品の設定があります。この中で比較してみても、やはり左下にある「EXこだまグリーン早特」が最も安い設定であることが分かります。いわば航空券やホテル予約の際にみられる「ダイナミックプライシング」の鉄道版です。

スマートEXはチケットレスでの乗車となり、SuicaTOICA等の交通系ICカードを予め登録させておくことで改札口を通過できるようになっています。タッチすると上のような利用票が改札口から出てくるので、紙の切符の代わりにこれをしっかり手元に持っておきましょう。

東海道新幹線は普通車だと2+3列の計5列シートですが、グリーン車ならば1列減って2+2列。足を遠くまで伸ばせるほか、リクライニングも相当深く倒れます。

足元には大きめのフットレスト。靴のまま足をのせる面と靴を脱いで足をのせる面の両面仕様になっており、何と横のレバーで高さも調節できるスグレモノです。背面ポケットには時代の先端をゆく雑誌「Wedge」等が入っています。

テーブルは背面テーブルとインアームテーブルの両方があります。座席の前後間隔が広いため背面テーブルは手前へ引き出せるようになっており、またインアームテーブルはそこまで大きくないもののこれも安定感があります。

名古屋を出て最初の駅は三河安城。下りの〔のぞみ〕においては名古屋到着前の接近放送くらいでしか聞くことのない駅ですが、〔こだま〕は全列車が必ずしっかりと停車します。ここで後続の列車を1本待避しました。

〔こだま〕というと鈍足のイメージが先行してしまいがちですが、もちろん駅間では新幹線らしい走りをしてくれます。車窓にはおなじみ「727」の看板も見えます。

豊橋駅を発車して愛知県から静岡県に入ると、車窓左手に浜名湖が見えます。この日は若干雲が出ているものの晴れて暑くなり、全国各地で猛暑日を記録しました。名古屋も38℃くらいまで気温が上がったように記憶しています。

普通車であれば各停車駅ごとに頻繁な乗客の入れ替わりがあるでしょうが、グリーン車にはそもそも人があまりいません。グリーン料金は快適な座席や設備への付加価値の意味ももちろんありますが、何よりも「混雑を避ける」という意味がとても大きいように思います。

車窓左手にお城が見えてくると、まもなく列車は掛川駅へと到着します。新幹線駅のすぐ近くのお城としては福山城や姫路城が有名ですが、実はここ掛川城もかなり近く、車窓からはっきりと見えるのです。

静岡駅では、自由席の乗車位置付近にかなりの列ができていました。グリーン車にも若干の乗車客がいましたが、自由席に比べればほんのわずかといったところです。

ちなみに富士山の見える進行方向左側の車窓を注目していましたが、富士山はほんのうっすら見える程度でした。肉眼だともうちょっとはっきり見えるんですが…それでも曇空なのでイマイチという感じです。

名古屋を出てから〔こだま734号〕はほとんど全ての駅で後続の〔のぞみ〕〔ひかり〕の通過待ちを行っていましたが、実は静岡県内最後となる熱海駅には通過線がないため、絶対に列車の待避は行われません。停車時間中にホーム上の自販機で飲み物を買ったりするのはややリスクが高い気がします。

17:59に新横浜駅へと到着。名古屋からの所要時間は実に2時間20分程度でした。〔のぞみ〕であれば1時間20分程度ですので、それよりも1時間多くかかっていることになります。

しかし繰り返しですが、EXこだまグリーン早特の金額は〔のぞみ〕の普通車自由席に乗るよりも安いのです。すなわち単位時間あたりにかけた金額としては〔のぞみ〕よりも遥かに安いという計算になり、「新幹線に1秒でも長く乗っていたい!」という人にとってはこんなに嬉しいことはないでしょう(尤も世の中には「お金で時間を買う」という発想がありますが…)。

 

ということで、今回は〔こだま〕のグリーン車に超お得に乗車する方法をご紹介しました。

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。

若者限定運賃を事前に予約できる! 「スターフライヤー」で北九州へ

 

2022年8月10日(水)

今回は早朝の羽田空港へとやってきました。これから久しぶりの空の旅が始まります。

今回利用する航空会社は「スターフライヤー」。羽田空港では第1ターミナル(JALの方)からの出発となります。福岡県の北九州を拠点としており、羽田発着では北九州、福岡、関西、山口宇部を結ぶ便が就航しています。

今回は羽田7:40発のSFJ73便 北九州行を利用していきます。ANAとの共同運航便だそうで、第1ターミナルでANAの文字を見るのは何だか不思議な感じがします。お盆のシーズンに差し掛かってきているということで、空席については各便とも△あるいは×の表示となっています。

スターフライヤーのチェックインカウンターは、第1ターミナル南ウイングの一番奥にあります。京急東京モノレールの駅からはやや歩きますが、スターフライヤーの便であればチェックインカウンター・手荷物預かり・保安検査場が全て1ヵ所にまとまっているので分かりやすいです。

通常であれば自動チェックイン機にてチェックインできますが、今回私は「スターユース」と呼ばれる特殊な運賃で利用するため、有人のカウンターへと向かう必要がありました。

スターユースは満12歳以上26歳未満に限り適用可能な運賃で、ANAの「スマートU25」やJALの「スカイメイト」と似ています。ただしそれらとの大きな違いとして「事前にインターネットで予約できる」という大きなメリットがあり、当日の朝にインターネット上あるいは空港で博打をする必要がありません。

お盆ということでスターフライヤーに限らずどこの航空会社も運賃は高め。私が様々な航空会社を見比べた際は、羽田→九州各地への便は概ね3万円前後が相場でした。

「いくら何でも3万はキツいな…」と思っていたところ、スターフライヤーの「スターユース」を発見。羽田~北九州便に残席があり、20,270円にて購入することができました。普段ならば2万でも悲鳴を上げるところですが、お盆でこれならば及第点といったところでしょう。

無事に保安検査を済ませ、搭乗口へ。既にこれから乗る飛行機が待機しておりました。ボーディングブリッジが繋がれているので分かりにくいですが、機体はとにかく真っ黒な塗装なのが特徴。様々な航空会社の飛行機が行き交う羽田空港においても、ひときわ異彩を放っています。

ANAとの共同運航便ということで、搭乗口のモニターには「SFJスターフライヤー)」と「ANA」のそれぞれの文字が。スターフライヤーANAどちらの公式サイトからでも予約可能ですが、タイミングや路線によってどちらから予約した方が安いかは異なるようですので注意が必要です。もちろん「スターユース」はスターフライヤーからしか購入できません。

案内が開始され、早速機内へ。3+3列の真っ黒な革張りシートで、若干の空席はあるもののかなり満席に近い状態でのフライトとなります。

各座席にはモニター、リモコン、フック、背面テーブル、USB充電ポート、ドリンクホルダー、さらに足元にフットレストが完備されています。航空機に関してはあまり明るくないので何とも言えませんが、国内線で各座席にモニターがついているのはなかなか見たことがありません。

無事に全員の搭乗が完了し、定刻よりも少し早い7:38頃に機体がゆっくりと動き出します。滑走路内を移動している間は東京の街並みが見える場面もあり、東京スカイツリーの姿がはっきりと確認できました。

7:52頃、無事に離陸! 京浜工業地帯を眼下に眺めながら、まずは東京湾へと出ていきます。

遠くの方に目をやると、富士山の頂上付近がしっかりと確認できました。遠近法を考慮してもこのスケールですから、いかに大きいかを感じずにはいられません。

しばらくすると西向きに進路を変え、横浜市内上空へと進んでいきます。眼下には先ほど離陸した羽田空港の方から、浮島・扇島・大黒ふ頭の辺りまでを一望できます。

上空からは、横浜駅周辺や日産スタジアムがはっきりと確認できます。改めて見てみても、日産スタジアムの周辺ってこんなに緑が多いんですね…。

神奈川県西部へ差し掛かると建造物は大きく減り、絵に描いたような山々に囲まれた宮ヶ瀬ダムや相模湖等を確認することができます。

険しい山脈に挟まれ、突如現れた街は恐らく長野県の飯田・伊那の辺りでしょう。この辺りでベルト着用サインが消灯されました。

スターフライヤーLCCではないので、しっかりと機内でのドリンクサービスもあります。種類はかなり豊富で、その全てを一度にして聞き取ることはできませんでしたが、無難にりんごジュースをチョイス。

しかしこれが信じられないくらい美味しかったのです…! いわゆる市販の飲料メーカーのものとは明らかに別物で、後に機内の放送で「青森県産のふじを中心に複数の品種をブレンドしたもの」と知り、思わず感動してしまいました。JR東日本の駅の自販機で取り扱っている、小さいペットボトルで1本170円するあの味だと思っていただけると分かりやすいと思います。

しばらくすると、琵琶湖の上空へとやってきました。あまりにも広いので一瞬伊勢湾かと思いましたが、それよりもさらに西まで進んできています。

やがて山陽上空へと進み、機体は陸と瀬戸内海の海岸沿い上空を飛行していきます。時速にして800kmほど出ていますので、大都会岡山も一瞬で通り過ぎてしまいます。

山口県上空を飛行していると、ベルト着用サインが再点灯。まもなく機体が降下を開始します。途中激しい揺れはほとんどなく、ベルト着用サインがついたり消えたりすることもありませんでした。

かなり高度を下げ、陸地がはっきりと見えるところまできました。おそらく見えている部分はもう北九州市門司区の辺りでしょう。

北九州市の鉄道のターミナル駅である「小倉」とは山を挟んで反対側に「北九州空港」やフェリーの「新門司港」があります。新門司港は首都圏や関西等からいくつもの航路が乗り入れており、ちょうど上空からも阪九フェリー等が確認できました。

9:10頃、無事に北九州空港へ着陸!

関西空港長崎空港のように海の上に浮かぶ空港なので、着陸直前まで眼下には海しか見えていません。「えっ海の上に不時着するの…!?」とか思っていると、着陸寸前に陸地が現れます。

というわけで、今回はスターフライヤーの羽田~北九州便をご紹介しました。

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。

【複々線でもないのに】驚異の運行間隔!? 新百合ヶ丘駅の朝ラッシュが首都圏最恐レベルだった…

 

2022年8月4日(木)

今回やってきたのは、神奈川県川崎市にある小田急線の新百合ヶ丘駅。東西に長い川崎市において、その西側でひときわ大きなターミナル駅です。

新宿~小田原駅間を結ぶ小田急小田原線の主要な途中駅であるほか、ここから多摩センター・唐木田方面へと繋がる小田急多摩線も分岐しており、1日の乗降人員は約9万人にも上ります。将来的には横浜市営地下鉄ブルーラインが現在の終点であるあざみ野からここ新百合ヶ丘まで延伸する計画も存在していたりします。

本日はここ新百合ヶ丘駅から、平日朝7時台に新宿・千代田線方面へと発車していく怒涛の朝ラッシュの模様をお届けしてまいります!

新百合ヶ丘駅3面6線の構造で、このうち新宿・千代田線方面へと発車していくのは5・6番線のみ。駅自体は大きいですが、その東側では線路が上下1線ずつとなっており、ごく一般的な複線の線路が続きます。2018年に代々木上原登戸駅間が複々線として開業しましたが、今のところその複々線はここ新百合ヶ丘までは到達していません。

各方面の発車案内が表示された橋上駅舎では、朝早くからたくさんの人が行き交います。こんな大きな駅でも、みなさん慣れた様子で自分の向かう方面のホームへと降りていかれます。

5・6番線ホーム上にある平日の時刻表を確認してみると…恐ろしい本数です。日中でも15本/時が運行され流石はターミナル駅といった様子ですが、朝の時間帯を見てみるとその比ではありません。特にこれから観察する7時台は欄のギリギリまで数字で埋め尽くされており、断トツで多くの列車が運行されていることが分かります。

それもそのはず、新百合ヶ丘駅には何と全種別快速急行急行通勤急行準急通勤準急各駅停)に加え一部のロマンスカーまで停車するのです(平日朝の上りでは急行・準急の運行なし)。他にこれほど多くの種別が停車する途中駅は存在せず、この新百合ヶ丘駅小田急線の運行においていかに重要な駅であるかがお分かりいただけることでしょう。

それではちょうど7時になりましたので、これから新百合ヶ丘駅5・6番線ホームを発車していく列車を1時間観察していきたいと思います。

さっそく発車標には7:01発から順に3本の列車が表示。先に7:03発の各駅停車 新宿行が6番線へと入線し、緩急接続を行います。

まず7時台記念すべき1本目、5番線に7:01発の快速急行 新宿行が入線してきました。2021年にデビューした小田急最新の5000形で、キリっとしたフォルムが印象的です。

まだ朝ラッシュのピーク時間帯というほどではありませんが、それでも車内は混雑している模様です。これからどんどんホーム上も車内も混雑していくことでしょう。

驚くべきはこちら。何と7:01発の快速急行のドアが閉まる前から、既に5番線には次の列車の乗車列ができているのです。

これらは全て、次に5番線から発車する7:05発の通勤急行を待つ人の列。快速急行・通勤急行のいずれも新宿まで向かう速達種別のため、停車駅に違いはあれど所要時間はほとんど変わりません。

その快速急行の後を追うように、7:03発の各駅停車 新宿行が6番線から発車。快速急行と比べるとかなり空いており、この時間帯であっても新百合ヶ丘からの着席は容易なようです。

そしてその7:03発の各駅停車がホームから消え去ったかと思えば、すぐに5番線・6番線両方にほぼ同時に列車が入線してきます。5番線は7:05発の通勤急行 新宿行、6番線は千代田線に直通する7:07発の通勤準急 北綾瀬です。

なぜ複々線でもないのに同時入線が可能かといえば、通勤急行は多摩線方面からやってくる列車であり、通勤急行は小田原線方面からやってくるため。多摩線方面から6番線への入線は不可能なため、この通勤急行をしっかりと5番線に入れることによって列車どうしが間一髪衝突することなくスレスレで入線することができるのです。

どちらにも「通勤」とつくので速そうですが、実際には通勤急行の方が格上。通勤急行のこの先の停車駅は向ケ丘遊園、下北沢、代々木上原のみで、快速急行が停車する登戸を通過するのが大きな特徴です。

短い停車時間の中で相互乗り換えが図られ、特に通勤準急から通勤急行へと乗り換える人がかなり多いように見えました。

7:07発の通勤準急がホームからいなくなる前に、既に隣の5番線には次の7:09発 快速急行 新宿行が入線。ついさっき同じホームから通勤急行が出たばかりのはずですが、この快速急行の方にもたくさんの人が乗車していきます。

そして追われるように7:07発の通勤準急が発車。このように1~2分差で後続の列車がどんどん入線してくるため、5番線と6番線を交互に使いわけてうまく列車を捌いています。

次に5番線側に姿を現したのは、「GSE」の愛称で親しまれている最新型ロマンスカー70000形。秦野を6:30に発車した特急〔モーニングウェイ74号〕新宿行とみられます。町田を7:01に発車した後は新宿までノンストップのため、ここ新百合ヶ丘の5番線を颯爽と通過していきました。

朝夕は県央・県西方面からの着席通勤手段として人気の高いロマンスカーですが、実は新百合ヶ丘駅上りホームに平日朝7時台に停車する便は1本も存在しません。6:24発の次は何と8:50発まで2時間半ほど開き、この間のほとんどの列車が手前の町田駅を最後に新宿までノンストップで運行されているのです。尤も、新百合ヶ丘ロマンスカー停車駅として最も新宿から近い駅にあたりますので、遠近分離の意味もあるのかもしれません。

次に6番線にやってきたのは7:13発の各駅停車 新宿行。先ほどのモーニングウェイ74号に鶴川で道を譲ったものと思われます。各駅停車が6番線に入るということは緩急接続があるのか…!? と思うかもしれませんが、この朝の時間帯にそんな呑気なことをしている暇はありません。乗降終了した列車からどんどん発車させていかないと、2つしかない新百合ヶ丘のホームはすぐに人で溢れかえってしまいます(既に溢れかえっているが)。

そこからほぼ間髪おかずに、続いて7:16発の快速急行 新宿行が姿を現します。

ここまで見てきた中だと、同じ快速急行でも01発と09発は5番線を使用していました。しかしこの16発の快速急行は隣の6番線へと入線しています。

その理由がこちら。直後に7:17発の通勤急行 新宿行が5番線へと入線するためです。

この列車は例によって多摩線からの直通列車ですので、5番線へしか入線することができません。そこで16発の快速急行はいったん6番線へと逃がし、17発の通勤急行が入線できるようにしているのです。

案の定、16発の快速急行がホームからいなくなる前に17発の通勤急行が到着。というか通勤時間帯の2大優等種別が1分差で発車していく光景がそもそも意味不明なんですけどね…。

しかもこれ、快速急行が先行するから成り立つのであって、もし通勤急行が快速急行よりも1分先に発車するようでは次の向ヶ丘遊園ですぐに列車が詰まってしまうに違いありません。本当によくできたダイヤです。

7:17発の通勤急行が無事にドアを閉め、5番線を発車しようとしているまさにその瞬間、画面奥の方からもう1つ迫ってくる列車が…!!

こちらが7:19発の通勤準急 我孫子です。もちろん5番線からはまだ17発の通勤急行が完全にいなくなっていませんので、隣の6番線へと入ります。千代田線やJR線の車両で運行されるイメージの強い千代田線直通列車ですが、このように小田急線の車両も充当されています。

その19発の通勤準急がまだ6番線にいるというのに、隣の5番線には次の7:21発の快速急行 新宿行が接近。つい数分前に快速急行と通勤急行が立て続けに発車していったというのに、この21発の快速急行を待つ人が既にホーム上にわんさかいるというのは本当に恐ろしいことです。

そして恐ろしいことはさらに続きます。21発の快速急行と同じホームに、後続の7:23発の各駅停車 新宿行を入線させてしまうのです。発車標を見てみると、このあと7:27に通勤急行が入線予定であることが分かります。通勤急行は5番線からしか発車できませんので、ここを基準に逆算していった結果がこの頭のおかしい(褒め言葉)番線振り分けになっているのかもしれません。

続いて7:25発の快速急行 新宿行が6番線に登場。

え…!?!?!?

7:21に快速急行が1本発車していったばかりでは!?!?!?!?

7:21に快速急行が発車した後、わずか4分後にもう1本別の快速急行がやってくるカオスすぎる展開。しかもそのさらに1本後には通勤急行もありますから、これでもかというくらいに優等種別が立て続けに発車していくことになります。

そして7:27発の通勤急行 新宿行が5番線へと入線。多摩線の線路からゆっくりと入ってきます。

快速急行のわずか2分後なのに乗る人なんかいるのか…?と思ってしまいますが、これがたくさんいるんですよ。これだから首都圏の通勤ラッシュは凄まじいと言われるのです。

27発の通勤急行が5番線から完全にいなくなる前に、お隣6番線には7:29発の通勤準急 我孫子が入線。今度は東京メトロの16000系でやってきました。小田急線内での速達種別に充当されることはあまりありませんが、小田急やJRの車両と異なり東京メトロのフリーWi-Fiサービスを利用できるため、設備面では意外なアタリ車両だったりします。

ここでいったん、発車標を見てみることにします。直近で乗車扱いを行う列車は7:29発と7:32発でいずれも6番線から発車し、その合間に5番線を通過する列車が1本あります。

この情報だけ見てみると「分かる範囲で直近で乗車可能な上り列車は全て6番線から発車」ということになりますので、誰も5番線側には並ばないはずです。しかし上の画像を見ていただければ分かる通り、実際には5番線側にも列ができています。あまりにも列車の運行間隔が短すぎるあまり、このように1本でも合間に通過列車があると発車標に表示できる情報量が減少し、せいぜい5分後に発車する列車でさえ表示できなくなってしまうのです。新百合ヶ丘の発車標が3行はどう考えても少ないです。4~5行あると利便性が一気に増すことでしょう。

今回の「通過」ももちろんロマンスカー小田原を6:33に発車した特急〔モーニングウェイ76号〕新宿行です。運用車両は日によって異なりますが、この日はEXEαでした。海老名を出ると新宿までノンストップというとんでもない列車で、相模大野にも町田にも停車しません。

その後を追うように、6番線にやってくるのは7:32発の快速急行 新宿行。停車駅はロマンスカーよりも多いですが、実際の所要時間はロマンスカー快速急行もそれほど大差ないと思います。

観察開始から30分が経過し、かなりホーム上・列車内とも混雑が増してきました。上りの快速急行は、まだ新百合ヶ丘に入線する時点では流石に乗車不能というほどの混雑ではありませんが、しかし号車によっては少し身をよじらせて乗り込む人の姿も見受けられます。新百合ヶ丘の時点でこれですから、この先代々木上原から上りの快速急行に乗り込もうなどできるはずがありません。

続けて5番線側には7:34発の各駅停車 新宿行が入線。発車標を見てみるとこの後の運行間隔は特に過密で、次々発の通勤急行を待つ人が既に相当数5番線側のホームで並んでいるであろうことは想像に難くありません。

後に続いて7:36発の快速急行 新宿行が6番線に入線。もはや快速急行が4~5分間隔で入線することに慣れてしまい、それほど驚きを感じなくなり始めました。7:34発の各駅停車からの乗り換え客がかなり多く、そうした需要を着実に拾っていきます。

快速急行の次の停車駅は登戸ですが、新百合ヶ丘登戸駅間の途中駅で列車の待避を行うことができるのは向ヶ丘遊園のみ。何と2分先行して新百合ヶ丘を発車した先ほどの各駅停車は、少なくとも向ヶ丘遊園まで逃げ切ることができるのです。

そして見慣れるあまりもはや何も驚かなくなった「快速急行の1分続行で走る通勤急行」。7:37発の通勤急行 新宿行がくねくねと入線してきます。

その後を追うように6番線に入るのは、7:39発の通勤準急 我孫子。37発の通勤急行のドアが閉まるか閉まらないかの頃には、既にその背後に迫っていました。

7時台20本目を数えるのは、7:41発の快速急行 新宿行。発車標を見てみるとその4分後にも快速急行がやってくることが分かります。

実はこの41発の快速急行が入線する前から、5番線と6番線の両方に快速急行の乗車列ができていました。すなわち、41発の快速急行に間に合うようにホームに降りてきても41発へ乗ることは事実上不可能に近いので、それを諦め45発に確実に乗り込めるよう先回りして並んでおこうという思考がはたらいているものと思われます。

41発と同じホームに、7:43発の各駅停車 新宿行が入線。ここまで発車標を見ていただいて分かる通り、小田急線において新宿を発着する列車はほとんどが10両編成ですが、各駅停車は一部8両編成が混在しています。8両編成の場合は少し手前に停車するため、この時点で10両編成の乗車位置に並んでいる人は確実に次々発の通勤急行を待つ人ということになります。

その合間に、6番線には7:45発の快速急行 新宿行。もはや何本目かすらわからないほどたくさんやってきている快速急行ですが、これまたたくさんの人が乗り込んでいきます。

7:47発の通勤急行 新宿行多摩線からの列車なので5番線に入線。そろそろ出社時刻に間に合う通勤可能エリアが限られてくるところですが、とりわけ乗客の数が減っているかといえばそんなことはなく、だからこその快速急行&通勤急行の続行運転ともいえるでしょう。

通勤急行の後を追う様に、今度は6番線に7:49発の通勤準急 綾瀬行が入線してきました。綾瀬といってももちろん神奈川県の「駅なし市」の綾瀬ではなく、東京都内にあるそれなりに大きな規模の駅です。実はここでは快速急行の列車間隔が7分と比較的長く空いていることもあってか、5・6番線ともそれほど多くの人が待ち伏せしている様子はありませんでした。

ちょっとでも時間が空いたら、その間を縫ってロマンスカーが通過していきます。7時台3本目のロマンスカー秦野を7:10に発車した特急〔モーニングウェイ78号〕新宿行。2本目と同じくEXEαが充当されていました。1本前を走る列車が通勤準急(登戸まで各駅に停車)なので、かなり徐行しているようでした。

7時台も終わりに差し掛かっていますが、列車本数は相変わらず多いまま。この後も4分間隔で快速急行が入線してくるようです。

7:52発の快速急行 新宿行は6番線に入線。7分ぶり(?)の快速急行ということもあってか他の列車と比べても混雑が酷いようで、発車間際になっても乗客の手やかばん等がなかなか引っ込みませんでした。

7:54発の各駅停車 新宿行は5番線に入線。この列車は8両編成ということで少しホームを余らせて停車しますが、この後に続く7:56発の快速急行や7:57発の通勤急行へと乗り換えるべく、各駅停車から降りてきた乗客が10両乗車位置へ我先にと並び始める大移動が起こっていました。

そしてそれを待ち構えるかのごとく、7:56発の快速急行 新宿行が6番線へと入線。先頭車両付近でもこの混雑ですから、階段に近い車両などはおそらく阿鼻叫喚でしょう。首都圏の鉄道会社で「少しでも空いている乗車口へおまわりください」というフレーズが飛び交う理由もよく分かります。

その直後、多摩線からやってきた7:57発の通勤急行 新宿行は5番線に入線。ホームを端から端まで見渡してみて、これほど人が多いのにみな点字ブロックの内側で整然と並んでいる光景はさすが日本だなと感じます。

7時台最後の列車は、7:59発の通勤準急 我孫子。メトロ車でやってきました。この後8:01に快速急行がありますので、そちらへ乗り換える乗客が相当数いるのでしょう。

この通勤準急の発車を見届けて、1時間の観察が無事終了。

ただの複線路線にもかかわらず、何と1時間に29本もの列車が発車していくというとんでもない結果になりました。ロマンスカーの通過を含めれば32本にもなります。

改めて、新百合ヶ丘駅を7時台に発車する列車をまとめると上図の通り。繰り返しになりますが、これが複々線ならまだしも、単なる複線でしかないということを考えれば、いかに頭のおかしい(褒め言葉)本数であるかがよくお分かりいただけるでしょう。際優等種別である快速急行だけで何と1時間に11本も運行されており、それとほぼ同等の役割を果たす通勤急行も含めると新宿への速達手段が何と1時間に17本も存在していることになります。

1時間観察してみて感じたことですが、こんな過密ダイヤであっても流れるように次々列車を捌いていく凄さはもちろんのこと、発車していく列車はほとんどが新宿行ですから、こんな数分間隔で到着する列車を全て受け入れて折り返し運行ができる新宿駅のキャパシティの凄さも実感しました。

 

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。

街中に今も駅の名残が…かつての四国の玄関口「小松島線」廃線探訪

 

2022年5月4日(水)

今回やってきたのはJR四国徳島駅。県内に”電車”が1本も走っていないながら立派な駅舎を持つことで知られる、徳島県の中心駅です。

今回は、かつて牟岐線の途中から分岐していたとある路線の廃線跡を歩いてみたいと思います。

まずはその路線との分岐駅へと向かうべく、徳島14:00発の牟岐線 阿南行に乗車していきます。

牟岐線は徳島~阿波海南駅間を結ぶローカル線。その路線名自体はお世辞にも全国的な知名度がそれほど高いとは言い難いですが、パターンダイヤの導入や末端区間DMV化、並行する徳島バスとの連携など交通政策の観点からは非常に興味深い取り組みをいくつも行っている路線でもあります。2019年春のダイヤ改正からスタートした徳島駅毎時00分・30分発のパターンダイヤのおかげで非常に分かりやすいダイヤとなり、特に途中の阿南までの利用は非常に多いのが特徴です。

大型連休真っただ中のこの日も、列車は超満員の状態で白昼の徳島駅を発車。たった1両での運行ですので混雑するのも無理はないですが、とはいえ今後の動き次第ではさらに化ける可能性をも秘めていそうな気がします。

徳島駅には自動改札機がなく、またICカードも利用不可能ですので、券売機で購入した乗車券に入鋏印を入れていただいています。

乗車すること15分、中田駅に到着。ワンマン運転ですので運転士さんに乗車券を渡し、ホームへと降り立ちます。

一見すると何の変哲もないただの島式ホームの駅。「なかた」ではなく「ちゅうでん」と読むこの駅こそが、今回の廃線探訪のスタート地点となります。

今回ご紹介する廃止路線は旧国鉄小松島」。1913年に小松島軽便線として開業したこの路線の歴史は牟岐線よりも古く、まもなく国有化されて徳島~小松島駅間が「小松島線」となりました。かつて四国への重要な玄関口であった小松島港への航路連絡を目的として敷設され、1940年には航路利用客の利便性向上を目的として小松島駅近くに「小松島港仮乗降場」まで設けられるほどでした。

戦後、1961年に小松島線のうち徳島~中田駅間が「牟岐線」へと統合されたことで小松島線は中田~小松島駅間1.9kmのみとなり、「国鉄最短路線」ともなりました。小松島駅へは戦後も優等列車の直通運転があったものの、本州~四国間の移動手段が多様化されていったことに伴い小松島線の利用客は激減し、最終的には国鉄末期の1985年に廃止されることとなりました。

中田駅構内には、いつから使われているのか分からない相当古そうな駅名標が雨ざらしで設置されていました。両隣の駅が「地蔵橋」と「南小松島」であったことは当時も今も変わりませんが、何故か「みなみこまつしま」が2個も書かれているのかは謎です。もしかすると上の方は元々「こまつしま」という表記だったものに後から「みなみ」の文字を付け加えたのでしょうか(そんなことをするくらいなら「こまつしま」の文字は消せばよいのでは…)?

中田駅自体は、良くも悪くもそれほど大きな特徴はないただの無人駅です。少なくとも、ここが37年前まで分岐駅であったことは言われなければまず分かりません。

しかしその駅舎の左側、駐輪場を抜けた先に目をやってみると、何やら線路と並行する怪しげな遊歩道が。ここを歩いていくと、すぐに牟岐線の線路と分かれ小松島線に続いていくようです。

かなり日射しのきつい炎天下ではありますが、早速歩いていくことにしましょう。

歩き始めて数分、踏切があるところで牟岐線小松島線が左右に分かれていたようです。牟岐線の線路が右(南小松島方面)へカーブを描くのに対し、こちら小松島線は遊歩道がまっすぐ続いています。

この遊歩道は概ね綺麗に舗装されており、すぐ隣を走る道路よりも直線的な線形であることが当時の姿を物語っています。

遊歩道の途中には、このように道路より少し高くなっているところがありました。道路と遊歩道の間には柵があり、遊歩道の方が階段数段分高いようです。一見すると不思議な構造にも思えますが、おそらく鉄道の線路が敷かれていた場所が一様に平坦だったために、それが道路よりも少し高い位置にあったことの名残ではないかと思います。

似たような構造は横浜駅みなみ西口にもあり、ドン・キホーテやビブレの方向へ歩いていく途中に歩道と車道の段差が大きく開いている箇所があり、かつて貨物か何かの線路が敷かれていた名残と言われています(超地元ネタですみません…)。

前方に見覚えのある大きなロゴが見えてきました。「スーパーホテル徳島・小松島天然温泉」です。周辺に高い建物があまりないことから、遠くからでもはっきりと確認できます。

途中には道路と交差する横断歩道もありました。

もしこの道路が小松島線の存在していた頃からあるとすれば、ここは踏切だったのかもしれません。しかし今現在では特にそのような痕跡は見当たりませんでした。

スーパーホテルしまむらコーナン等の見覚えのある大型ロードサイド店舗群を抜けしばらくすると、「中田駅より1,200M」の小さなプレートがありました。

廃線探訪の魅力の一つに「途中駅の跡地」を楽しむことがありますが、先ほどもご紹介した通り小松島線は途中駅を造るほど長い路線ではなかったため、そうした遺構は特にありません。

そこからまもなくすると視界が大きく開け、遊歩道は終わりとなります。画像には映っていませんがこのすぐ右側に「日本赤十字社徳島赤十字病院」という巨大な病院があり、比較的交通量の多い交差点に面しています。

「これで廃線探訪終わり!?」と思ったそこのあなた。実は興味深いのはここから先なんです。

遊歩道からさらに先へそのまま歩いていくと「小松島ステーションパーク」という公園があります。名前からも分かる通り、ここがまさにかつての「小松島駅」のあった場所で、広大な鉄道用地が公園へと生まれ変わっています。

中へ入ってみると…何とそこには小松島駅」のホームがありました!!

公園のど真ん中に1面1線のプラットホームとSL。ホーム上の屋根にははっきり「小松島駅」と書かれた看板が確認できます。

SLとその後ろに繋がれた客車は雨ざらしで屋根もなく、相当朽ち果てている模様。ただし客車の車内はかなり綺麗な状態で、後から手が加えられたように見えます。

客車の背後に回ってみると、そこには間違いなく「日本国有鉄道」のプレートが取り付けられています。

実はこの小松島駅ホームのモニュメントは、かつて線路があった方向と垂直に交わるように公園内に設置されており、厳密に言えば当時の小松島駅そのままというわけではなさそうです。とはいえ貴重な光景を今の時代でも目にすることができるのですから、ここにかつて鉄道が通っていたことの証に他なりません。

公園を出て少し左にカーブを描いていくように歩くと、かつて小松島駅よりもさらに先にあった「小松島港仮乗降場」の辺りへと進むことができます。現在の「小松島新港」とよばれるエリアです。

ここでも特段何か鉄道関係の遺構と分かるものは見当たりませんが、現在でも徳島バスの終点「小松島港バス停」があり、立入禁止の看板の先では路線バスが転回できるようになっています。

ここで何とも興味深かったのは、色褪せた南海フェリー」の看板。現在では和歌山港徳島港を結ぶことでおなじみの南海フェリーですが、1999年まではここ小松島港も発着して本州の和歌山港へと結んでいました。国鉄小松島線はまさにそうした徒歩乗船客のニーズに応えるべく37年前まで運行されていたわけですが、この緑色の看板こそがその何よりの証拠とも言えます。

「乗船客P」と書かれた矢印の先は今も駐車場として使用されていましたが、どうやら南海フェリーのものではなくなっているようです。

そこから南へ少し歩くと、すぐに牟岐線南小松島駅へとたどり着きます。小松島駅なき今、小松島市の中心駅と位置付けられている主要駅です。

時刻表を確認すると、初めにもご紹介した通り上下線とも綺麗な30分間隔でのパターンダイヤであることがよく分かります。単線非電化の地方ローカル線でありながら、日中でも毎時2本が確保されているのはかなり珍しい例のような気もします。

中田駅から南小松島駅までぐるっと歩いてもそこまで長くありませんので、気になった方は是非訪れてみてください!

 

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。

【新幹線は敵】博多~東京を在来線特急だけで移動してみた!

 

2022年2月16日(水)

今回やってきたのは福岡県の博多駅。ここから東京を目指して移動します。

日本に鉄道が開業してから今年で150周年。この1.5世紀の間に、鉄道やそれを取り巻く交通機関はめまぐるしく発達・変化を繰り返してきました。戦時中には本州と九州を結ぶ関門トンネルも開通し、これ以降首都圏~九州各地間を結ぶ在来線の直通列車も多数運行されてきました。

しかし戦後、新幹線や航空機の急速な発達により、それまでの在来線の大きな役割の一つであった「日本国内における長距離移動手段」は次第に失われていきました。1975年には山陽新幹線が全線開業し、2022年の今では”夢の超特急”が東京~博多駅間を約5時間で結んでいます。

かつて日本中を駆け巡っていた寝台列車も年々姿を消し、晩年「東京発着最後のブルートレイン」として広く親しまれた寝台特急〔富士〕〔はやぶさ〕も2009年のダイヤ改正をもって廃止されました。それまで半世紀以上に渡って続いてきた「首都圏~九州間直通の在来線列車」がついにその歴史に幕を下ろすこととなったのです。

もちろん新幹線や航空機といった乗り物は大変に快適かつ便利で、特に福岡空港の利便性の高さなど世界的に見てもトップクラスといえるでしょう。しかしそんな時代だからこそ、鉄道開業150周年を迎えた今年、あえて博多~東京を在来線特急のみで移動し、現代の我々が忘れかけていた鉄道のロマンや旅情を少しでも思い起こすきっかけとしてみるのも悪くない気がします。

というわけで、博多駅の改札口へ。新幹線の発車標の方を見てみると、確かに「東京」の文字もありますがもちろん今回これには乗れません。

っていうか18時を過ぎて博多駅を出発する「東京行」の列車なんて、ほんの数十年前までは当たり前に夜行列車だったのでしょうが、今やこの時間からでも当日中に東京へ着けるんですね…恐ろしい…。

一方で在来線の発車標の方を見てみると、これまた様々な方面へと列車が運行されています。夕方ラッシュ時間帯ということで普通・快速列車の本数が充実しているのはもちろんのこと、長崎や大分など九州北部の様々な都市への在来線特急列車も運行されています。

しかし、これを見て私はあることに気がつきます。

それは、表示されている列車の行先が全て九州内の地名であること。関門トンネルがあるにも関わらず、関門トンネルを通る在来線特急列車は1本も存在しないのです。

本州と九州を結ぶ鉄路は関門トンネルのみ。ということは、博多から東京まで在来線特急だけでは繋がらないのでは…!?

不安をよそに、ひとまずホームへと上がります。発車標を見る限りで最も本州に近づけそうな行先が「門司港」でしたので、博多18:39発の特急〔きらめき4号〕門司港へと乗り込み東へ進むことにします。

列車は定刻通りに博多駅を発車。ちょうど帰宅時間帯に合わせて運行されている列車ということで、車内は非常に混雑しています。7両編成のうち6両が自由席車両ですが、どの号車もほぼ満席。仕方なく空くまでデッキで過ごすことにします。

途中の停車駅は福間、東郷、赤間、折尾、黒崎、八幡、戸畑、小倉、門司です。新幹線であれば博多~小倉駅間は全列車ノンストップですが、それと比べるとかなりの停車駅の多さであることが分かります。

最初の停車駅である福間は博多から約15分。驚いたことにここでかなり多くのお客さんが下車していき、早くも着席することができました。わずか15分だけでも特急を利用する人がこれほど多いとは…驚きました。

今回門司港まで特急を利用するにあたり、金券ショップで「2枚きっぷ」というのものを買っておきました。

博多~門司港駅間で特急列車を利用する場合、通常であれば乗車券1,500円+自由席特急券600円=合計2,100円が必要となります(乗車時は特急料金改定前のため520円)。しかしこの2枚きっぷであれば、運賃と特急料金を合わせて博多~門司港間の特急自由席2回分が3,140円(1回あたり1,570円)で乗車できるというお得な切符になっています。ちなみに私は今回金券ショップでばら売りを購入しているので、1,550円とさらに安い価格で購入できました。もはや普通列車で移動するのとほとんど変わらない価格です。

博多~門司港駅間の営業キロは78.2km。本来であれば「100kmまで」の特急料金である1,200円が徴収されるべき距離ですが、特定特急料金の適用によりその半額の600円で抑えられています。もちろん日々の通勤・通学で利用する乗客のことを考えて…というのもあるかもしれませんが、それ以上に大きな理由として博多~小倉間では山陽新幹線JR西日本)との激しい競争があるためと考えられます。新幹線では「1つ隣の駅まで」に限り自由席特急券を安く発売する特例があり、博多~小倉駅間の新幹線自由席特急券はわずか990円となっています。これに対し、鹿児島本線JR九州)の自由席特急券が1,200円では速さと価格の両方で新幹線に勝ち目がない、ということで在来線の方により安い自由席特急料金が設定されているようです。

赤間駅では先行する普通列車を追い越します。かなり停車駅が多いように見える特急ですが、それでも普通列車と比べると速いようでしっかりと緩急接続を取っていきます。

基本的に各駅到着ごとに車内はどんどん空いていく一方。戸畑駅を過ぎてからようやく車内で缶ビールを開け、至福のひと時に浸る方の姿もありました。

博多駅を出てから小一時間で小倉駅に到着。ここで残っていた乗客の大多数が降りていき、いよいよ車内はがらんとした空間になりました。

続いて列車は隣の門司駅にも停車。下関方面へ向かう関門トンネルはここから分岐していますが、あいにくその関門トンネルを通る特急列車は存在しませんので、ここで降りるわけにもいきません。

19:48に終点の門司港駅へと到着。広いホームと昔ながらの大きな屋根が明かりに照らされ、とても美しい景色が広がっています。

今なお鹿児島本線の起点駅となっている門司港駅は、その名の通りかつての九州の玄関口でした。下関から連絡船にのってやってきた人々はこの広大な頭端式ホームが広がる門司港駅から列車へ乗り継ぎ、九州内各地へと向かったわけです。

風格ある門司港駅舎は重要文化財に指定されており、夜になると美しくライトアップされます。

しかし思い返すと、こんなところでゆっくりしている場合ではありません。今回は何とかして在来線特急のみを乗り継いで東京まで行かなければならないのです。なのに門司港駅は行き止まりの駅で、これより先に本州方面へと続く線路はありません。一応門司港から対岸の下関側へと繋がる渡船が今でも就航していますが、あくまでも「特急のみを乗り継ぐ」ということでやっているので船など他の乗り物を使うわけにはいきません。

というわけで、特急がないなら歩けばよいのです。次に特急が出ているかもしれない対岸の下関駅まで、歩いて乗り換えることにしました。およその道のりは上図の通りとなります。

実は関門間を移動する手段はいくつかあり、在来線・新幹線のそれぞれ海底トンネルのほかに高速道路の橋と一般道のトンネルがあります。また渡船に関しても先ほどご紹介した通りですが、このほかに何と鉄道とは別の歩行者用海底トンネルがあり、歩いて九州から本州へと渡ることもできるのです。今回の移動では新幹線・普通列車・バス・船のいずれも使うわけにはいきませんから、必然的に手段は「歩いて渡る」の一択となります。

門司港駅周辺は「門司港レトロ」と呼ばれる有名な観光スポットで、昼間は多くの観光客で賑わいます。夜になるとライトアップがされていますが、さすがに平日ということもあってか観光客の姿はありません。遠くの方には関門自動車道の橋が見え始めていますが、あの橋の上を歩いて渡ることはできません。

門司港レトロ観光線の線路に沿って歩いていきます。2月ということで気温は4℃、凍えるような寒さです。

やっとの思いで「関門トンネル人道入口」へと到着。目の前に見えるエレベータで地下へと降りていきます。

一般道(国道2号)と並走するように造られているのがこの「関門トンネル人道」。歩行者は無料で通ることができ、ジョギングをする人などとすれ違いました。しーんとした雰囲気で、海の中にいるという実感はあまりありません。

途中まで歩いてきたところで、福岡県と山口県の県境がありました! これはすなわち九州と本州の境目でもあります。大きな一歩で白線を跨ぎ、無事に本州へと突入することができました!(あくまでも特急列車から特急列車へ乗り換えている最中です。)

そしてエレベータで再び地上へと上がり、無事に本州へ上陸。対岸には先ほどまでいた門司港レトロのイルミネーションが見えます。

ここから下関駅までは、ひたすらに国道9号を歩いてきます。一本道ですので迷うことはありません。繰り返しですが、これはあくまでも特急列車から特急列車へ乗り換えている最中です。

下関側の人道出入口付近は「壇之浦町」。壇ノ浦の戦いが連想され、いかにも戦が行われそうな荒野(?)を思い浮かべてしまいがちですが、実際にはごくごく普通の市街地でマンション等も建っており、とっても平穏な街です。

赤間神宮や唐戸市場といった観光スポットを横目に、ひたすら歩いていきます。人通りこそないものの、車通りはそれなりにありました。山口県の県庁所在地は内陸にある山口市ですが、一方でここ下関は経済・文化の中心地として古くから発展してきた街でもあります。

キラキラとライトアップされた「はい!からっと横丁」の観覧車は門司港側にいる時から対岸にうっすら見えていましたが、ついにその目の前を通ることができました。ここまでくれば下関駅はもうすぐです。

だんだんと建物も増えてきたところで、ビルの合間から海峡ゆめタワーをのぞきます。かつての下関駅はこの近くにありました。

門司港駅から歩くこと2時間弱、21:40頃にようやく下関駅へと到着!

長かったですが地形は平坦なのでそれほど疲労感はありません。

ではここから出ている特急はあるか…? 駅の発車標を見てみましょう。

下関駅からは3方向に線路がのびていますが、そのどれを見ても全て種別は「普通」とあるのみ。「特急」の文字は一つもありません。

これはまずいぞ…?とは思いながらも、もう夜も遅いので、ひとまず今夜は下関に泊まり翌朝また発車標を見てみることにしましょう。

 

2022年2月17日(木)

ということで迎えた2日目。再び駅へと向かい、発車標を確認してみます。果たして特急列車はあるのか…!?

…!!!!!!

見つけました!

下関10:38発の特急〔WEST EXPRESS銀河〕大阪行。これで無事に門司港駅からのバトンが繋がります!

これで一気に山陽路を駆け抜け、大阪へと向かいましょう。

向こうの方から列車が入線。気温0℃、雪が舞う下関駅構内からいよいよ2日目の旅が始まります。

WEST EXPRESS銀河は2020年にデビューしたJR西日本の「新たな長距離列車」。京都・大阪を拠点に季節ごとに様々なルートで運行がなされています。デビューから今日に至るまで団体臨時列車扱いのため、今回私も事前に旅行商品に申し込んだうえで乗車するかたちとなります。(行き当たりばったりで乗り込むような記事上の演出をしていますが、実際にはその場の思いつきでふらっと乗ることはできませんのでご注意ください。

車両はかつて関西圏で新快速電車として活躍した117系を大幅改造。従来の転換クロスシートの車内からは想像もつかない空間が提供されています。

watakawa.hatenablog.com

▲WEST EXPRESS銀河の詳しい内装等についてはこちらの記事をご覧ください。

列車は定刻通り10:38に下関駅を発車。〔きらめき4号〕を降りてから15時間ほど経過していますが、ともあれその間に他の乗り物には一切乗っていないのでセーフ(笑)。あくまでも乗り換えの範疇です(異論は認めます)。

列車は幡生駅山陰本線と分かれ、山陽本線をひたすら東へと進んでいきます。実はこの2日前にWEST EXPRESS銀河(山陽コース)の往路にも乗車しているのですが、その際は山口県内は日が暮れて真っ暗だったので、明るい時間に通れるのもまた新鮮な気持ちです。

今なお旅行商品としてのみ発売が続けられている銀河ですが、実は計画当初この列車は「みどりの窓口等で一般発売する在来線特急列車」として運行する予定でした。現在の旅行商品限定での発売方法はあくまでも一時的なものとされていますが、さて一般発売が可能になるのはいったいいつからなのか…。

途中停車駅は新下関宇部新山口防府、徳山、柳井、岩国、宮島口、広島、西条、三原、福山、倉敷、岡山、姫路、西明石、神戸、三ノ宮です。団体列車なのでそれほど旅客の流動は大きくありませんが、もし一般発売がなされていればこれらの停車駅の中から任意の区間を選んで特急券が発券できるはずです。

宇部駅では駅前の保育園の園児たちが旗を振ってお見送り。まだまだ東京まで先は長いですが、ちびっ子たちに励まされると元気が出ます。

ここで車内では「宇部ダイヤ・黒」とあたたかいお茶がふるまわれました。宇部の近代化の象徴である石炭をイメージしたチョコレートの焼き菓子で、お茶ともよく合います。

11:43に新山口駅へと到着。実はWE銀河を除いた場合、本州で在来線特急に乗車できる最西端の駅がここ新山口駅となります。門司港駅から歩いて57kmあるそうです(絶対やらない)。

富海付近ではところどころ海のすぐそばを走る場面も。瀬戸内海に浮かぶ島が見えます。

あ~ありがとうございます~! 今、乗車記念証をいただきました。こんなんなんぼあってもいいですからね~ゆうとりますけれども。

12:53に列車は柳井駅へと到着。ここでは約30分の停車時間があり、いったん車外へ出ることができます。先頭車両付近には日付入りの記念撮影パネルも用意されていました。

柳井駅では、WE銀河の到着に合わせ改札外のスペースでお土産物品等の販売が行われます。本来、規則上は有効区間が残っている特急券を所持した乗客が改札を出場すると特急券は無効になるはずですが、団体列車であるというところもあって黙認されている形のようです(笑)。

かつては山陽・九州方面へと向かう寝台列車も停車した柳井駅。新幹線の線路からはやや離れており、今では新幹線も通らず特急も来ずという不遇の駅になってしまいました。駅舎も特段大きくリニューアルされている様子はなく、おそらくは寝台列車が発着していた頃からずっとそのままなのでしょう。

柳井駅ではオリジナルの旗や名産「金魚ちょうちん」の折り紙などいろいろいただきました。銀河のロゴマークも入っていて記念になります。

13:24に柳井駅を発車。ここで車内で配られた「銀河特製弁当」をいただきます。「山口編」ということで吉田松陰の串だんごやお酒を使ったゼリーが入っています。

長かった山口県もいよいよ脱出し、広島県へ。宮島口駅ではかなり雪が強くなってきましたが、駅員さんがお見送りのためにホームで旗を振ってくださいました。

横川駅では13分間ほど運転停車。この間に普通列車を先に通します。昨晩の〔きらめき4号〕とはうって変わって「特急が普通列車に抜かされる」というのもなんだか面白い光景です。

14:56に広島駅へと到着。新幹線こそ全列車が停車するターミナル駅ですが、この駅に特急は1本もやって来ず、在来線は全て普通・快速列車のみです。ホーム上の発車標には丁寧に「山陽線経由」と書かれていました。

瀬野~八本松駅間は山陽本線屈指の難所区間となっており、何と22‰あるのだそう。現代の電車ではラクラク越えていくことができますが、その昔は一筋縄ではいかなかったことでしょう。

糸崎~尾道駅間では再び海に近いところを走ります。駅間もやや離れており、因島岩子島といった瀬戸内海に浮かぶ島々を一望できます。

尾道付近を走行していると、車窓からは造船所がいくつも見えます。観光資源が豊富な尾道ですが、残念ながらWE銀河は上下ともおもてなしどころか停車すらしません。せめて一般発売された暁には、客扱い停車くらいしてくれたら嬉しいなと思います。

備後赤坂駅では特に何があるというわけでもありませんが、時間調整のため何と約40分間もの運転停車が行われました。せっかく停車するなら車外に出れるようにしてくれても良い気がしますが、実際そうもいかないのでしょう。

福山駅には17:23に到着。ここでは何と快速〔サンライナー〕と並びました。紺色の117系と黄色の117系が並ぶ奇跡の共演…! 停車位置が揃っていないのが惜しいところではありますが、なかなか貴重な光景を目にすることができました。

だんだんと辺りも暗くなってきたところで、18:02に倉敷駅へと到着。ここではお昼の柳井駅に続き2度目のおもてなし停車となります。ホーム上ではこれまた立派な横断幕を掲げた駅員さんがお出迎えをしてくださいました。

倉敷駅では改札内のコンコースにてお土産品等の販売が行われていました。こちらも柳井駅と同じくWE銀河の到着に合わせて設営されたものかと思いますが、夕方の帰宅時間帯で駅構内はやや混んでおり、日常と非日常が交錯する不思議な感覚を味わうことができました。WE銀河の乗客のみならず地元の生活利用者の方も立ち寄って見ていかれていたように見えます。

また、近くに有名な大原美術館があることにちなみ、コンコース内では駅長さん自らが美術作品の解説を行うイベントもありました。

倉敷駅では停車している間に山陰方面からやってきた特急〔やくも24号〕岡山行普通列車を先に通し、その後を追うように18:38に発車。ここを出ると終点の大阪まで長時間の停車はありません。

倉敷駅では様々なノベルティをいただきました(グミは自分で買ったやつ)。その中でも驚いたのは、大原美術館の無料招待券が入っていたこと! これはまたの機会に、行かないわけにはいきませんねぇ…!

博多駅をスタートしてから24時間を越え、19:01に大都会岡山駅へと到着。

ここでは何と発車標にはっきりと「特急」の文字が現れました!!!! 特急大国岡山だからこそ、この心意気には「いずれ一般発売にこぎつけてほしい」という願いが込められているような気がしてグッとくるものがあります。

岡山駅を発車したところで、夕食の弁当をいただくことにします。「銀河!一番星☆勝成弁当」と名付けられたこのお弁当には瀬戸内の名産品がふんだんに使われており、「くわい」や「ままかり」などご当地色の強いおかずがたくさん入っていました。

実は福山駅を発車した時点で受け取ってはいたのですが、まだ17時台と比較的早い時間だったので、岡山を出てから食べようと決めていました。

美味しいお弁当に舌鼓を打っているうちに、列車は険しい山間部を抜けて姫路駅へ。いよいよ普通・快速列車でも「大阪」の文字が見えてくるところまでやってきました!

西明石駅を出ると複々線区間へ入ります。この区間では前後を走る新快速列車等の進路を妨げることがないよう、臨時列車であるはずのこのWE銀河も100km/h前後とそれなりのスピードを出して走ります。

そして神戸・大阪到着前には、一時的に車内を消灯するというサプライズまで。足元にわずかな明かりを残しつつ、照明を落として往年の夜行列車の雰囲気をじっくり味わうことができます。

21:37に神戸駅へと到着。長く続いた山陽本線もここで終わり、ここからは東海道本線へと入っていきます。

神戸市街地、山側の夜景を眺めながら、列車はまもなく終点の大阪へ。

かつて山陽路を走った数多の在来線特急とは比べ物にならないくらいじっくりと時間をかけて走っているわけですが、本当にあっという間の11時間だったように感じます。WE銀河の旅行商品が各方面向けに発表される中、「昼行運行」となる山陽コースは鉄道ファンからいささか不人気にも思えるのですが、実際乗ってみると車窓をより存分に楽しめたり、沿線でのおもてなしをより存分に楽しめたりと素晴らしい側面が沢山ある気がします。

博多駅を出発してから実に27時間余り、22:02に終点の大阪駅へと到着!

ようやくここまでやってくることができました。

残念ながらこの列車に乗っていても東京まで連れて行ってくれるわけではないので、この先は別の特急に乗り換えなければなりません。真っ赤なテールライトを灯した117系は、すぐに新大阪方へと回送されていきました。

さて、ここまでやってくることができれば、もう東京まで何とか在来線特急のルートは繋がりそうです。

しかし既に22時を過ぎ、夜遅い時間帯。昨晩の下関駅と同じく、発車標が普通列車ばかりになっていたらどうしよう…。

心配ご無用。ちゃーんと東京行の特急列車が残っています!

 

2022年2月18日(金)

最後に乗るのはもちろん、大阪0:33発の寝台特急サンライズ瀬戸・出雲〕東京行。WE銀河で疑似夜行列車体験をした後は、現代の我が国に残る最後の夜行列車に乗ってフィナーレを飾りましょう!

編成はこの旅最長となる14両、285系寝台電車で東京を目指します。

山陰地区での大雪の影響で14分ほど遅れて到着しましたが、さて東京には何時頃の到着となるのか…。

列車は0:47頃に大阪駅を発車。

〔きらめき4号〕自由席→〔WEST EXPRESS銀河〕リクライニングシート、とこれまで各列車の最下等設備を利用してきたので、せっかくならと〔サンライズ瀬戸・出雲〕でも最下等設備のノビノビ座席を利用します。深夜帯につき車内アナウンスはありませんが、検札は来るので切符を手元に準備しておきます。

大阪を出ると、途中の停車駅は静岡、富士、沼津、熱海、横浜です。大阪が夜間最後の停車駅となり、次は翌朝の静岡駅までとまりません。東京までの乗車時間は6時間半ほどで、往年の寝台急行〔銀河〕と似た使い方ができます。

ノビノビ座席サンライズの全編成の中で最も安い等級。カーペット敷きのスペースが割り当てられ、コンセントやWi-Fi等の便利な文明はありません。掛布団、枕カバー、使い捨てのプラコップのみ各スペースに1点ずつ配置されています。

閑散期の平日ですが、車内はかなりの混雑。私自身もそうですが大学生の夏休みシーズンということもあってか、安い値段で旅行できるという意味では穴場の時期なのかもしれません。

おやすみなさい!

目が覚めると、既に遠くの空が明るくなってきています。どうやら神奈川県へ入ったようです。

静岡県内でも何度か目が覚めましたが、どうやら遅延は回復しているみたいです。

見慣れたいつもの横浜駅へ到着。

平日の朝ですので、朝ラッシュ真っただ中の通勤列車の合間を縫って東京へ向かいます。

浜松町の付近では、新幹線とすれ違い。

冒頭にも書きましたが、今回歩んできた道のりは隣の線路を走る夢の超特急ならわずか5時間で行けてしまう距離。それをはるばる足掛け3日もかけて、ここまで移動してきました。

7:08に定刻通り終点の東京駅へと到着。

博多駅から約36時間をかけ、在来線特急のみで東京まで移動してくることができました!

なお参考までにですが、2022年度の〔WEST EXPRESS銀河〕は5~9月で山陰コース、10~翌3月で紀南コースの運行が計画されており、実は山陽コースの運行はしばらくありません。最新の情報はJR西日本公式HPもご確認ください。

www.jr-odekake.net

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。

【驚愕】「伊勢志摩ライナー」なのに観光客の姿がない…その驚きの運行区間とは?

 

2022年3月2日(水)

今回やってきたのは近鉄奈良駅

近鉄奈良駅はJRの奈良駅とは少し離れた位置にあり、近鉄の駅の方が奈良公園東大寺といった各観光名所から近い位置にあります。首都圏に住んでいるとどうしても中~長距離移動はJRを考えがちですが、関西ではこの近鉄をはじめ様々な私鉄がJRにも勝る重要な幹線として機能しています。

改札内にはせんとくんと鹿のフォトスポットが。なぜみなさん揃いも揃ってそっぽを向いているのでしょうか。

そんなことはさておき、改札階よりもさらに地下深くにあるホームへ降りていくと…驚きの光景がありました!

何と、伊勢志摩ライナーが入線しているではありませんか!!

伊勢志摩ライナーといえば、近鉄が誇る一大観光地・伊勢志摩方面へと向かう観光特急列車。私の記憶が正しければ、近鉄奈良駅から伊勢志摩方面への直通列車は運行されていないはずですが…この列車の行先は果たして?

何と宇治山田でも鳥羽でも賢島でもなく、「大阪難波」の文字が。

そう、この列車は何と「近鉄奈良発・大阪難波行の伊勢志摩ライナー」なのです!

近鉄奈良線をまっすぐ進むだけですので、当然ながら「伊勢志摩に行かない伊勢志摩ライナー」ということになります。

実は伊勢志摩ライナーの中には、このようにごくまれに「伊勢志摩方面に全く関係のない区間で完結する」運用があります。大阪難波近鉄奈良駅間では今回ご紹介する片道1本のみですが、このほか京都~近鉄奈良駅間で1日数往復設定されています。どうあがいてもこの列車で伊勢志摩へは行けないのですが、先ほどの画像を見ていただいても分かる通り発車標にはしっかり「Ise-Shima Liner」と記載されています。

こんな運用なかなかないので、さっそく乗車して大阪難波へと向かうことにします。

今回は普通車(?)を利用。このほか伊勢志摩ライナーには「デラックスカー」「サロンカー」など様々な等級の座席があります。

列車は定刻通り、9:14に近鉄奈良駅を発車。まもなく地上へ出ると、窓の外には広大な平城宮の跡地が広がります。あいにくの曇り空ですが、車窓から移籍が見えるのはいかにも奈良っぽい気がします。

伊勢志摩ライナーに驚きすぎてまだ朝食を食べていなかったので、買っておいた柿の葉寿司をここで開封。朝から贅沢な気分を味わいます!

最初の停車駅は大和西大寺。複雑な配線で大変有名なターミナル駅となっており、近鉄京都線と平面交差しています。ここからはかなりの乗車がありました。

大和西大寺駅を発車した直後、数秒間ですが京都行の特急列車と並走。巧みに組まれたダイヤのおかげで、衝突することはもちろんありません。駅を出てすぐ分岐し、大阪難波方面と京都方面に線路が分かれていきます。

近鉄奈良大阪難波駅間の距離はわずか32.8km、所要時間は36分間。同区間を走る追加料金不要の最速達種別「快速急行」でも35~40分程度ですので、実は所要時間は快速急行とほぼ変わりません。にもかかわらず、この近鉄奈良大阪難波駅間には朝夕を中心に多数の特急列車が運行されています。

というのも、近鉄奈良線で追加料金不要の列車は多くが大阪難波より先、阪神線との相互直通運転を行っており、大阪難波駅が始発でない場合が多いのです。これに対し特急列車が阪神線へ直通することはありませんので、特に下り(難波→奈良方面)は追加料金520円を払うだけで着席が保証され、通勤通学の足として重宝されていそうです。

列車は学園前駅に停車したのち、奈良県内最後の停車駅である生駒駅を発車。向こうには近鉄けいはんな線の車両が見えます。

この生駒駅を出ると、列車は生駒山を貫く長いトンネルへと入ります。このトンネルこそが、奈良県大阪府の県境の合図でもあります。

大阪府に入ると、列車は鶴橋までノンストップで走ります。直線的な高架区間が続いており、いくつも駅を飛ばしていきます。さすが特急らしい走り…と思いましたが、実は特急と快速急行の停車駅はさほど変わらず、快速急行であっても生駒~鶴橋駅間はノンストップで運行されています。

また、前を走る列車に追いつき、一時スピードを緩める場面も。これこそが無課金列車と特急列車でさほど所要時間に違いがない要因の一つでもあると思いますが、複々線というわけでもなく待避できる駅も限られているので仕方ありません。

なお車内の雰囲気ですが、当然ながら伊勢志摩方面へ向かう観光客の姿は全くありません。9時台ですので朝ラッシュのピーク時間帯は過ぎていることかと思いますが、ビジネス利用を含め沿線の利用者でそれなりの乗車率があり、短区間であっても確実に着席が可能な特急の需要の高さが垣間見えます。

布施駅にて近鉄大阪線と合流します。ここは京急蒲田のような立体構造になっており、ホームに面していない通過線もあるため、分岐駅でありながら特急列車等は高速で通過することができるようです。

そして列車は大阪環状線と接続する鶴橋駅に到着。ここでかなり多くの方が降りていかれました。市内各方面へと向かう上で非常に便利な乗換駅のようです。

鶴橋を出るとすぐに次の大阪上本町駅へと到着。ここを終着とする列車は頭端式ホームへ入線しますが、この列車は次の大阪難波が終点なので地下ホームへと入ります。

そして定刻通り、列車は9:50に終点の大阪難波駅へと到着。窓も大きく伊勢志摩の情景を思わせる観光向けの内装・外装でしたが、本当に伊勢志摩を1秒も通らず終点に着きました(笑)。

列車はすぐに阪神線側に回送され、直ちに折り返して10:10発の伊勢志摩ライナー(賢島行)として大阪難波駅を発車していきます。こちらの列車にはスーツケース等の大きな荷物を抱え乗車する観光客らしき人の姿が多数あり、観光特急としての真価が発揮される光景を目の当たりにしました。

 

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。

【人生ほぼ初名鉄】パノラマsuper展望席に乗ってみたら凄すぎた…!

 

2022年7月1日(金)

今回やってきたのは、名鉄新鵜沼駅。JR高山本線鵜沼駅に隣接しています。

今回はここ新鵜沼駅から名鉄最大のターミナル駅である名鉄名古屋まで、名鉄の看板列車「パノラマsuper」に乗車してみます。

改札口に入る前に、ちょっと面白いものをご紹介しておこうと思います。

ここ新鵜沼駅には、かつて名鉄犬山線とJR高山本線を結ぶ「鵜沼短絡線」というものがありました。上図の通り、新鵜沼駅の南側で名鉄の線路と分岐し、鵜沼駅の東側でJRの線路に合流する急カーブの線路です。

かつては特急〔北アルプス〕がこの短絡線を使用して新名古屋(現在の名鉄名古屋)~高山方面を結んでいましたが、2001年に廃止され、その跡地は道路になっています。駅自体のリニューアルも進み、この名鉄とJRに挟まれた三角地帯だけやけに道路が新しく見えるのはそのためでしょうか。

今回乗車するのは、新鵜沼11:32発の特急 豊橋。ここだけの話なんですが、実はまともに名鉄に乗るのは今回が初めてでして…とてもわくわくしています(笑)。

ホームへ上がりしばらくすると、列車が入線!

こちらが名鉄1200系、通称「パノラマsuper」です。数ある名鉄の車両の中でも唯一展望席がある車両です。

パノラマsuperは6両編成で、このうち1・2号車のみが特別車。2+2列のゆとりあるリクライニングシートが並んでいます。

3~5号車については運賃のみで乗車できる「一般車」で、転換クロスシートも備え付けられています。この列車は新鵜沼始発ですので、並んでいれば一般車であってもほぼ確実に着席できます。

そしてこちらが、1号車の先頭部分にある「展望席」です!

他の特別車よりも高い位置に座席があるハイデッカー構造となっており、最前面がガラス張りになっています。

展望席は1号車の先頭5列のみで、映画館のように後ろにいくほど少しずつ座面の位置が高くなっています。

今回は発車間際の購入ですが、最前列の座席を確保することができました!

列車は定刻通りに新鵜沼駅を発車。最前列(1号車1番A席)からの眺めはこんな感じです。

構造上柱があるのはやむを得ないところですが、それをも凌ぐほど大きな窓で見晴らしも抜群です!

途中の名鉄名古屋までの停車駅は犬山遊園、犬山、栢森、江南、岩倉のみ。

新鵜沼駅を出てすぐ、列車は木曽川に架かる犬山橋を渡ります。普段電車に乗っていて、鉄道橋をこの角度から見るってなかなかないことですよね!?!?

木曽川を渡り愛知県に入って、まもなくすると犬山駅に到着。ここは犬山線のほか小牧線広見線も乗り入れる主要駅です。

名鉄では空港アクセス列車「ミュースカイ」の全車両および「快速特急」「特急」のそれぞれ1・2号車を「特別車」として指定席車両で運行しています。乗車券のほかに特別車両券(ミューチケット)が必要で、お値段は区間に関わらず一律360円。展望席とそのほかの特別車の座席での価格差はなく、1列車に20席しかない展望車は早い者勝ちです。

1200系にコンセントやWi-Fi等はないようですが、客室上部には見やすいモニターが設置されています。背もたれのリクライニングもそれほど深く倒れるわけではありませんが、しかしたった360円で着席保証+抜群の眺めが楽しめる、と思えば安いものです。

犬山駅を発車してしばらく進むと、反対側から2200系がやってきました。あちらも一部特別車として運行されている優等種別の列車ですが、あちらには展望車はありません。

まもなくすると、列車はどっかの駅に到着です(たぶん江南駅)。窓の反射などもあり若干分かりにくいですが、ホームにいる人の目線より少し高い位置に座っていることが分かると思います。

江南駅を出てすぐの区間は高架となっています。架線柱がずっと奥の方まで続く様を一望できるのも展望席ならではの光景です。

これは…岩倉駅でしょうか?(名鉄の知識が乏しすぎて、見返してもさっぱり分からないのです…)

ここを出ると名鉄名古屋まで列車はノンストップで走り抜けます。

やっとかめでおなじみの地下鉄鶴舞線ともすれ違います。ハイデッカーの展望車両と地下鉄車両が同じ線路を走るというのは、全国的に見てもあまり多くはない気がします。

下小田井駅を通過してしばらく進むと、線路が二手に分かれます。左方向が名鉄名古屋方面、右方向は名鉄岐阜方面へと進むデルタ線になっています。

デルタ線を過ぎて庄内川をゆっくりと渡ると、遠くの方に名古屋のビル群が見えてきました。

この辺りはカーブが連続するので、特急などでもスピードを落として運行するようです。

まもなくすると新幹線やJR在来線とも並走しながら、列車は地下へと潜っていきます。この辺りまで来たら降りる支度をしておきましょう。

大勢の人が待つ、名駅(迷駅?)へ…。ちなみに見えている進行方向左側のホームは乗車ホームで、降車客は右側のホームに降りるようです。

新鵜沼を出て30分、12:02に名鉄名古屋駅へと到着。あっという間でとても楽しい30分間を過ごすことができました!

次は名鉄岐阜豊橋乗り通しや、中部国際空港等を利用する際にも特別車を利用してみたいものです。

 

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。