わたかわ 鉄道&旅行ブログ

乗り鉄&旅好きの20代男子が全国を巡る!

【今月で廃止】広島を走る新交通システム「スカイレール」に乗車&代替EVバスと乗り比べ!

 

2024年4月5日(金)

本日は、広島県広島市安芸区にある山陽本線瀬野駅へとやってきました。

広島駅からは普通列車で糸崎方面へ乗車すること約20分、広島市内中心部への通勤通学圏内に位置しています。

本日ご紹介するのは、2024年4月30日限りで廃止となる広島短距離交通瀬野線、通称「スカイレール」です。

スカイレールは、みどり口~みどり中央駅間1.3キロを結ぶ新交通システム。瀬野駅の北側に広がる住宅地へのアクセスを目的として、1998年に開業しました。起点駅であるみどり口駅は瀬野駅と隣接・直結しています。

JR瀬野駅とスカイレールみどり口駅を結ぶ連絡通路からは、みどり口駅の駅舎とそこから丘の方へと延びていくレールを確認することができます。懸垂式のゴンドラリフトが麓から丘の上へと走行する方式で、一般的な鉄道路線とは大きく異なります。

今回はなぜ廃止になってしまうのかにも触れつつ、この「スカイレール」乗車を楽しんでいきたいと思います。

現地では、シンプルな「スカイレール」という呼称が広く用いられているほか「スカイレールサービス」「スカイレールみどり坂線」等様々な呼ばれ方をします。JR瀬野駅からは屋根伝いで雨にも濡れることなく、1~2分で乗り換えることができます。

スカイレールみどり口駅の改札口はこちら。自動改札機が2機並び、その右には有人窓口と自動券売機があります。

スカイレールの運賃は一律大人170円で、原則として交通系ICカードは利用できません。ただし定期券・回数券は独自に発行する「スカイレールパス」(チャージ不可)やICOCAにて発行できるようです。

きっぷは二次元コードが印字されたもので、裏が白く磁気を帯びてはいません。二次元コードの部分を自動改札機にかざすことで入場することができます。

自動券売機の頭上には時刻表が掲出されており、運行時間帯は6~22時で通常の鉄道と比べるとやや短め。平日・土休日とも日中は15分間隔ですが、平日朝夕はぐっと本数が増え、特に平日の18~19時台は驚愕の5分間隔での運行です。

自動改札機をくぐり階段を上がると、全面ガラス張りのホームがあります。出発の準備を整えたゴンドラが乗車口で待機しており、乗車口は1機につき1ヵ所のみです。

他のお客さんがいるのでゴンドラの中の撮影はできませんでしたが、中には椅子が8名分あり、最大乗車可能人数は37人となっているようです。

発車時刻が近づくにつれ車内には続々人が乗り込み、15名ほどを乗せて11時30分にみどり口駅を発車。感覚としてはスキー場のゴンドラに近く、鉄道路線図に載る路線であるとは信じがたいというのが率直な感想です。

ゴンドラはぐんぐん高度を上げていき、背後の瀬野駅はもうあっという間に遥か彼方。車内では特段アナウンスやBGM等はなく、いたって静かです。

発車後1分ほどで車窓には住宅街が広がります。この住宅地一帯は「スカイレールタウンみどり坂」と呼ばれ、スカイレールと同じく1998年に完成しました。

まもなく、ゴンドラは唯一の途中駅である「みどり中街駅」に到着。みどり口駅のホーム上は無人でしたが、こちらの駅のホームには係員の方がいました。車内アナウンスも駅名標も一切なく、あくまでもこの地域を知っている地元の方のみが利用する前提の交通機関ということなのでしょう。

みどり中街駅ですれ違ったゴンドラも、こちらと同じく混雑している様子。私もそうですが、廃止が近いということで惜別乗車をする地元民以外の方もそれぞれ一定数いるのだろうと思います。

みどり中街駅を発車すると、ゴンドラはさらにぐんぐん上昇。後方を見ると、みどり中街駅からもさらに線路がぐっと上っていることが分かります。

住宅地は線路の両側に広がっており、瀬野の町の周りは辺り一帯を山に囲まれています。JR山陽本線と並走して瀬野川が流れ、その近くには国道2号線も通っているはずですが、いずれもここからはっきりとは見えません。

みどり口駅からわずか5分、終点のみどり中央駅に到着。

反対側のホームにはこれまた別のゴンドラがスタンバイしています。

到着後は乗客全員が速やかに降車した後、ホームから捌けていきます。このホームはどうも降車ホームのようなので、ここで乗車を待つ人はいません。

ホーム上からみどり口駅方面を見渡すと、この短い距離でありながら高くまで上ってきたことがよく分かります。高低差は160m、最大勾配は263‰となっており、これはとても普通鉄道のレールを敷けるような坂ではありません。

降車時は自動改札機はなく、代わりに使用済みの乗車券を回収箱に投入します。透明な造りになっているのは、ごみや関係ないものの投入を防いでいる側面があるのかもしれません(勝手な推測です)。

みどり中央駅の改札口付近も、みどり口駅と大きくは変わりません。往復乗車券の設定はないので、往復で利用する場合はまたここの自動券売機で170円の乗車券を購入する必要があります。

1.3キロという距離自体は歩けなくもないですが、これはスカイレールにて最短距離に近いルートで移動してきているからで、道路を辿るとおそらくこれ以上の距離になるはずです。また何より高低差を考えると、宅地造成に合わせて交通機関が整備されるのも頷けます。

みどり中央駅は三方を住宅に囲まれ、残り一方には「みどり坂中央公園」があります。眺めは良いものの、あくまでもこの地域の方の憩いの場といった雰囲気で観光地感はありません。

それにしても、なぜスカイレールは2024年4月30日限りで廃止されてしまうのでしょうか。

なにも、この住宅地自体がなくなるわけではありません。廃止の理由は単純で「維持・管理に多額の費用がかかるため」です。

当然ながら地元の方にとってJR瀬野駅とを結ぶ交通手段は必要で、スカイレール廃止に先立ち2024年3月30日に「みどり坂タウンバス」の運行が始まりました。当初スカイレール廃止は2023年12月を予定していましたが、そこから約4か月延期となったのはこの代替バスの整備の遅れの影響とされています。

往復スカイレール利用…でもよいのですが、せっかくならばスカイレールとみどり坂タウンバスの両方が共存しているこのわずかな時期ならではの体験をしてみたく、帰りはこのバスでJR瀬野駅まで帰ることにします。

みどり坂タウンバスは「芸陽バス」により運行されており、路線図を見るとスカイレールに比べ停留場が多く、運行経路もやや複雑でPの字を描いています。急行便や区間瓶なども記載がありますが、今回は最も一般的な「循環便」を利用します。

みどり中央11時49分発のバスがやってきましたので、これに乗車します。瀬野駅からずっと丘を上ってきて、これからみどり中央駅周辺をぐるっと一周し下山していきます。

このバスはいわゆる「電気バス(EVバス)」で、内装も一般的な路線バスと比べると新しくスタイリッシュです。

乗客の方は数名いらっしゃいましたが、皆様地元の方の様子。なお全国相互利用の交通系ICカードも利用でき、運賃は200円です。

みどり中央を出ると「瀬野西五丁目東」「みどり坂第七公園前」「瀬野西五丁目西」「瀬野西五丁目南」「みどり坂中央公園西」「みどり坂小学校北」…と、どれも長い停留場名ばかり。スカイレールよりもきめ細かい需要に対応できるメリットの一方で、似たような名前の停留場も多く、慣れるまでは正しい停留場で降車できるかという関門が待ち受けています。

「みどり坂第七公園前」で乗客全員が降車し、車内は私一人のみに。ここがちょうどJR瀬野駅から最も離れた”分水嶺”にあたるようで、ここから先は山上りから山下りに転じます。

瀬野西五丁目南から少しずつ乗車客がおり、その後はスカイレールの線路に沿ってぐんぐん山を下っていきます。バスの車内から営業運転期間のスカイレールの線路が眺められるのも今の時期だけです。

スカイレールみどり中街駅は北口と南口がありますが、バスが停車するのは北口側です。

みどり坂第一公園北を通過し、ここで右折してJR瀬野駅方面へと向かいます。

いったんスカイレールの線路の真下をほぼ直角にくぐり、スーパーマーケットの目の前を通過するといよいよJR瀬野駅は目の前です。

12時00分、終点のJR瀬野駅北口に到着。このバスは程なくして次の便への発車準備を整え、再び山を上っていきます。

ぐるっとループするルートのためスカイレールよりは少しだけ時間がかかりますが、よほどの混雑や渋滞でもない限りはおおむね定時での運行が可能であると見られ、そうするとスカイレールの代替交通機関としては十分に役割を果たせそうです。むしろ1台あたりに乗車可能な人数はゴンドラよりもバスの方が多いので、その意味ではこの街にはバスの方がより適しているのかもしれません。

いずれにせよ、その答えは2024年5月以降に明らかになることでしょう。

 

スカイレールの最終運行日は2024年4月30日。ラストランはみどり口駅・みどり中央駅をそれぞれ正午に発車する便となる予定です。

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。

【新登場】新幹線でも近鉄でもない…まさかのJR特急のみで大阪から名古屋へ!

 

2024年3月26日(火)

本日は夜の大阪駅へとやってきました。これから名古屋駅へ移動します。

大阪~名古屋間の移動で一般的な鉄道利用ルートは主に2つ、東海道新幹線近鉄特急です。東海道新幹線(のぞみ)なら新大阪~名古屋駅間は約50分、近鉄特急なら大阪難波近鉄名古屋駅間は約2時間となっています。

しかし実は、両都市間はJRの在来線特急でも移動することができるのです。

いや、厳密にはJRの在来線特急を「乗り継ぐことで」移動することができるのです、というところでしょうか。かつては特急〔しなの〕が1日1往復限定で大阪~名古屋駅間を延長運転していましたが、2016年に取りやめとなっています。

まず乗車するのは、大阪19時20分発の特急〔らくラクびわこ2号〕米原です。以前まで〔びわこエクスプレス〕という名称で運行されていましたが、2024年3月のダイヤ改正にてこの列車名へと改められました。平日のみ運行する通勤客向けの特急列車で、北陸特急でもおなじみの681系・683系が使用されます。

ホーム上の発車標では、列車種別を「特急」ではなく「通勤特急」としています。正式には「特急」ですが、この列車が通勤客向けに着席サービスを展開する列車であることを利用者にアピールするためこのような呼び方を独自に使用しているものと思われます。

方向幕では「特急 米原」という表示のみ。平日のみの運行とはいえ定期列車ですから「らくラクびわこ」という列車名の入った幕が欲しいものですが、どうもそういった幕は用意されていないようです。またこちらでは「通勤特急」という表記もなされません。

いざ車内へと入り、列車は定刻通り19時20分に大阪駅を発車。さて名古屋に着くのは何時になるのでしょうか…?

途中停車駅は新大阪、京都、山科、大津、石山、南草津草津、守山、野洲近江八幡彦根です。新幹線が京都~米原駅間をノンストップで走行するのと比べるとかなりの停車駅の多さですが、これこそが新幹線と並行する区間通勤特急を走らせることの意義でもあります。

列車は6両編成で、全車指定席です。米原寄りの先頭1号車はグリーン車となっています。

大阪~米原駅間の営業キロは110.5キロとなっており、全区間を乗り通した場合の通常期の特急料金は2,390円です。今回は繁忙期につき通常料金から200円増しとなっています。

これだけ見ると「高い」と言わざるを得ないことでしょう。割高なA特急料金が適用されているため仕方のないことですが、しかし新大阪~米原駅間で新幹線の自由席を利用した場合の特急料金が2,530円ですからこれでは大差ありません。いくら〔らくラクびわこ〕が途中駅までのニーズに応える列車とはいえ、これで果たして勝負になるのでしょうか。

JR西日本ではチケットレスの利用を推奨しており、中でもとりわけ強く打ち出しているのが「J-WESTチケットレス」です。乗車日前日・当日のみ購入できるチケットレス特急券で、J-WESTカード会員限定の商品となります。少し表が細かいですが、見てみると大阪で乗車した場合に大津~野洲の各停車駅までは750円、近江八幡までは850円、彦根米原までは1,450円となっており、いずれも定価からは大幅な値引きとなっています。

しかしこの施策も虚しく、個人的に利用者が最も集中すると思っていた新大阪~京都駅間でさえ車内は驚くほどのガラガラ具合。ダイヤ改正直後とはいえ、長らく〔びわこエクスプレス〕として走っていますので全く新しい特急列車でもありません。

19時52分、列車は京都駅0番線ホームを発車。京都駅では乗車・降車ともそれほど多くなく、依然として車内が混雑する様子はありません。この先の琵琶湖線区間では基本的に降車客がメインとなりますので、これ以上もう終点まで混雑することはなさそうです(この列車に乗車専用駅・降車専用駅の概念があるわけではありませんが…)。

京都より先、大半の特急は〔サンダーバード〕として湖西線へ進んでしまうところですが、この列車は引き続き東海道本線を走ります。京都以東では「琵琶湖線」の愛称が付けられており、この列車は京都の次の山科駅にも早速停車します。琵琶湖線湖西線が分岐するのはここ山科駅なのでサンダーバードも通ることには通るのですが、サンダーバードは1本たりともここ山科駅に停車しないため新鮮な感覚です。

隣のホームを見てみると、緩行線を走る普通 野洲行とほぼ同時着・同次発のようです。草津までは複々線区間のため、同じ「琵琶湖線」の列車であっても互いのダイヤにはそれほど干渉し合うことなくそれぞれ走行できます。ちなみにあの野洲行はらくラクびわこ2号よりも12分早く大阪駅を発車した列車のようで、高槻までは快速運転をしていました。

湖西線と分岐したのもつかの間、列車は続いて次の大津駅にも停車します。何とこれで京都駅から3駅連続停車…そう、冒頭の停車駅の一覧の時点でお気づきの方も多いと思いますが、この列車の停車駅は実は新快速とそれほど大差ありません大津駅も県庁所在地ですから停車せざるを得ない部分はあるでしょうが、他に琵琶湖線を走る特急として挙げられる1日1往復限定の通称「大阪ひだ」は京都~草津駅間ノンストップです。

ちなみにこの時、車内アナウンスにて車掌さんが「らくラクびわこ」と言うところを誤って「びわこエクスp…失礼しました」と間違えかけていらっしゃいました。「びわこエクスプレス」は2003年から21年間に渡り使用されてきた列車名ですから、癖でそうなってしまうのも頷けます。

石山駅は琵琶湖の南端に位置する駅で、京阪石山坂本線と接続します。ここでは思いのほか降車客がおり、複数名の方が降りていかれました。ようやくこの列車が本来の役目を果たす瞬間(新幹線通過駅への通勤客輸送)を目の当たりにできた気がします。

南草津草津と停車し、次は守山。ここでなぜか急に車内の表示器が稼働を開始し、ひたすらに「次は 守山」という文字を繰り返しスクロールし始めました。しかしこの表示は守山駅を発車してもなお変わらず、どうもバグっているようです。

だいたいこの区間では3~5分ごとに停車を繰り返しますが、車掌さんは各駅発車時に丁寧に「○○駅よりご乗車のお客様、お待たせ致しました…」というアナウンスを挟んでくださいます。しかし郊外方向へ向かう通勤特急で、郊外の駅から乗車する人が果たしているのか…というのは気になるところですが。

20時22分、列車は野洲駅に到着。隣のホームには「回送」表示となっている車両が停車していました。この列車はズバリ、大阪駅をらくラクびわこ2号よりも5分早く発車した大阪19時15分発の新快速 野洲行です。

新快速とらくラクびわこ、いずれも快速線を走る列車のため、いくら後続列車が特急とはいっても追い越しを行うことは困難です。またそれ以上に、新快速とらくラクびわこでは停車駅・所要時間ともに大差なく、基本的に特急であれ新快速に倣って走るほかないのです。これもまた、らくラクびわこの乗車率がそれほど高くない要因の一つであると考えられます。

近江八幡駅では近江鉄道と接続します。既に複々線区間は抜けていますが、野洲を過ぎて列車本数が少なくなったためかここにきてなかなかのスピードで走るようになりました。

元々ガラガラ状態であった車内は、途中駅での降車を繰り返しいよいよ本格的に空気輸送状態へ。1両あたりの乗客は1~2名ほどでしょうか、末端区間なので致し方ないところではありますが、よもや天下の東海道本線をひた走る通勤特急の乗車率がこれほどまでに低いとは思ってもいませんでした。同じ東海道本線通勤特急でも〔湘南〕とは対照的です。

滋賀県東部の主要都市である彦根にもしっかりと停車。次がいよいよ終点となります。

大阪駅を出てから1時間28分、20時48分に列車は終点の米原駅へと到着。

駅名標にはJR西日本のナンバリングだけでなくJR東海のナンバリングも併記され、ここが両社の境界であることが分かります(駅の管轄はJR西日本)。

さて、この先名古屋へ向かうにはどうすれば…と頭上を見上げてみると…!

米原からは何と20時55分発の特急〔しらさぎ16号〕名古屋行に乗り継ぐことができるのです!

らくラクびわこ2号とは対面での接続、これぞまさに名阪間の移動を考慮したかのような華麗な乗り換えです。

しかし本日、残念なことに北陸方面での遅延の影響で何としらさぎ16号は約10分の遅れをもって運行されているとのこと。通常であればしらさぎ16号の米原駅入線は20時49分の予定のため、らくラクびわこ2号の到着とほぼ同じタイミングになるかと思われましたが本日はそうもいかないようです。

寒空の下で待っていると、21時01分頃にようやく敦賀からやってきた特急〔しらさぎ16号〕が入線。かたや隣のホームでは、京都方面からやってきた20時57分着の米原止まりの普通列車が入線し、いつもなら乗り継げないはずのしらさぎ16号へ乗り換えられてしまう「マイナス乗り換え」が発生していました。

定刻よりも10分遅れ、しらさぎ16号は米原駅を21時05分頃に発車。いよいよこの列車で名古屋へ向かいます。

米原駅では列車の進行方向が変わりました。しかし米原で降車する客も多く、誰も座らない座席は進行方向と逆のままになっています。

北陸新幹線開業に伴い、運行区間が名古屋・米原敦賀駅間に短縮された〔しらさぎ〕。これに合わせサンダーバードと同様にしらさぎ全車指定席となり、従来自由席として設定されていた5・6号車も座席指定が可能となりました。

米原名古屋駅間の途中停車駅は大垣、岐阜、尾張一宮。遅延こそしているものの、途中の区間で徐行することはほとんどなく、快調な走りで山間部を抜け岐阜県へと入ります。

米原で多数の降車があることからも分かる通り、北陸方面から名古屋へと抜ける場合は〔しらさぎ〕を米原で乗り捨てて新幹線に乗り換える方が早い場合が多いです。しかし一方で〔しらさぎ〕は新幹線の通らない大垣駅・岐阜駅等に直接乗り入れることができるメリットもあり、新幹線と並行する区間でありながら特急が残存しています。

しらさぎ16号の名古屋駅到着時刻は、定刻であれば21時54分。しかし米原の時点で10分の遅れがありますので、この時間通りに名古屋へ到着できないことは覚悟していました。

一方で名古屋からは東京行の最終ののぞみ号(名古屋22時12分発)に何とか間に合う時間であり、これで帰京するつもりで予定を組んでいたため、あまり大幅な遅れが発生すると当日中に首都圏まで戻ってこれない可能性があるというスリリングな状態です。

名古屋駅ではホームが空くのに少々時間を要し、徐行と停車を繰り返します。東京行の最終のぞみ号まであと10分を切ったというところでも、まだ名古屋駅は少し先。間に合うかヒヤヒヤものでしたが…。

約12分の遅れをもって、22時06分頃に終点の名古屋駅へと到着。

トラブルはあったものの、何とかして大阪から名古屋までJRの在来線特急で移動することができました!

なお所要時間はというと…時刻通りの運行であれば2時間34分。今回の遅延時分を加味するとおよそ2時間46分となり、近鉄の名阪特急よりもさらに時間のかかってしまう始末です。正直なところ同区間青春18きっぷで移動する場合とほぼ時間差はないため、全区間で特急を利用することが自信をもってオススメできるかというと微妙ではありますが…。

なお東京行の最終のぞみ号へは、何とかギリギリで乗り継ぐことができました。

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。

【さらば紫やくも】381系「スーパーやくも色」リバイバル塗装ラストランに乗車[岡山→出雲市]

 

2024年4月5日(金)

本日は(大都会)岡山駅へとやってきました。これからとある列車に乗車して、島根県出雲市へと向かいます。

岡山~出雲市駅間を結ぶ列車といえば、伯備線を経由して運行される陰陽連絡特急〔やくも〕です。1972年の山陽新幹線新大阪~岡山駅間開業と同時に運行を開始してから今年で52年となります。

当初は気動車特急でしたが、1982年に伯備線全線および山陰本線伯耆大山~知井宮(現在の西出雲)駅間が電化されたことで電車特急「381系」での運行が開始。それから今日に至るまで、40年以上に渡り381系は陰陽連絡の顔として毎日走り続けてきました。

しかし明日4月6日からは、新型特急「273系」の運行がスタートします。381系→273系へは約2ヵ月ほどで置き換えが完了する予定で、全列車が381系での運行となる日は本日(4月5日)が最後となります。

381系は引退を前に、様々なリバイバル塗装を実施。このうち、紫色のスーパーやくも色」編成が本日(4月5日)をもってラストランとなります。

最終運用にあたるのは、岡山17時13分発の特急〔やくも21号〕出雲市です。今回は381系への惜別乗車、ならびにスーパーやくも色編成の最後の雄姿に立ち会うべく、終点の出雲市まで乗車していきたいと思います。

2番線ホームに下りていき、しばらくすると列車がゆっくりと入線。ホーム上は大変多くの鉄道ファンが集まっています。

381系やくものうち一部の編成は、車両前面に大きな窓がついた通称「パノラマやくも」編成となっています。「スーパーやくも色」塗装にもこの編成が用いられ、「パノラマグリーン車」として高い人気を集めていましたが、273系の導入に伴いこの「パノラマやくも」は本塗装を含め全編成が本日(4月5日)をもって引退となります。

本日乗車するこの〔やくも21号〕はパノラマグリーン車スーパーやくも色を全て含めてもラストランとなる運用。大きな窓から伯備線の景色を眺めることのできる最後のチャンスとあって、グリーン車は発売と同時に満席となってしまいました。

国鉄時代から活躍する車両ではありますが、2000年代に入ってから大幅なリニューアルが施されています。側面の行先表示器は方向幕ではなくドット式のデジタル表示のようです。

そんなわけで残念ながらグリーン車は押さえられませんでしたので、今回は普通車で行くことにします。座席も国鉄感はありませんが、それもそのはずで同様に2000年代に入ってからリニューアルされているのです。

17時13分、列車は定刻通り岡山駅を発車。この先倉敷、備中高梁、新見、生山、伯耆大山、米子、安来、松江、宍道終点出雲市に停車します。

スーパーやくも色のラストランではありますが、車内はさほど激しく混雑する様子もなく、鉄道ファンではない一般の利用者の方が多く乗車されています。身も蓋もない話をすると、この編成が特別なのはあくまでも外装のみで内装は他の381系と基本的に同じですから無理もありません。

まずは山陽本線をひた走り西へ向かいます。岡山~出雲市駅間は220.7キロ離れており、これは東海道本線の東京~菊川駅間に相当します。このうち山陽本線はわずか15.9キロ(東京~川崎くらい)しかありません。

背面テーブルの部分には、やくもの全車指定席化を知らせるステッカーが貼られていました。2024年3月16日のダイヤ改正にて自由席が廃止されたため、381系が全車指定席として運用されるのは今の時期のみとなります。

かつての指定席車両・自由席車両で設備に差異はありませんが、今回はせっかくなのでかつて自由席として運用されていた「4号車」を予約。2024年3月15日まで「やくも」の「4号車」という表記の特急券は原則見ることのできないものだったということになります。

通路と座席部分の間には段差があり、座席部分の方が少しだけ高くなっています。眺望を考慮してのことなのか…と思いますが、バリアフリーが叫ばれて久しい昨今ではなかなか目にすることのない構造です。車両が設計された当時の時代背景が今と異なるであろうことは想像に難くありません。

倉敷より伯備線に入り、備中高梁駅を発車。ホーム上や沿線には多くの撮影者がおり、車両の中から・外からそれぞれ思い思いの方法で本日のラストランに立ち会う鉄道ファンがいることを実感します。

伯備線沿線では桜が見頃を迎えており、車窓にもいたるところに美しい桜並木が映ります。例年よりも遅咲きと言われる今年の桜ですが、だからこそ今回のスーパーやくも色の”卒業”のタイミングと重なることができたとも言えます。

方谷駅では運転停車をし、特急〔やくも24号〕岡山行と行き違いを行います。あちらは「国鉄色」のリバイバル塗装がなされており、かつて日本全国各地で活躍した懐かしのカラーリングが再現されています。あちらの塗装は6月14日まで運用される予定となっています。

伯備線と並行するように流れる川は高梁川です。瀬戸内海に向かって注ぐ川で、〔やくも21号〕はその下流から上流に向かうようにして進んでいきます。

車内では、スーパーやくも編成の「おもいできっぷ」も配布されました。乗車記念カードのようなもので、これと同時に特急券の券面に米子車掌区のスタンプも押していただいています。

18時15分、列車は中国地方内陸部のターミナルである新見駅に到着。岡山~米子のだいたい中間にあたります。

ここでも多くの撮影者の方が列車に向かって手を振ってくれました。新見駅は特急やくもでの岡山県内最後の停車駅のため、もうこれを最後にスーパーやくも色の381系が営業列車として岡山県に姿を現すことはありません。

足立駅では運転停車を行い、特急〔やくも26号〕岡山行と行き違い。通常色の381系でしたが、あちらも翌4月6日からは273系で運行されることになっています。

鳥取県に入り、18時54分に列車は生山駅へと到着。ここでは停車駅のためドアが開くとともに、特急〔やくも28号〕との行き違いのため6分間ほど停車します。

気分転換も兼ねて車外へ出てみますと、ホーム上の足元には273系のイラストが描かれた新たな乗車位置ステッカーも確認できました。「4/6~」と書かれた緑色の養生テープは今夜のうちに剥がされることでしょう。

最後部にあたる岡山側の号車の顔はパノラマではなく普通の国鉄顔で、薄紫の塗装が夜の生山駅に映えます。ヘッドマークにも「スーパー」の文字が入っています。

スーパーやくも〕は、1994年から2006年にかけて〔やくも〕の一部のうち停車駅を絞った速達便に充てられていた名称です。岡山~出雲市駅間の所要時間は2時間50分程度であったとされていますが、現在の〔やくも〕が3時間5~10分程度であると考えるとそれほど大きな時間差はないようにも思えます。まさにそれこそが、統合の大きな理由の一つでもあるのでしょう。

19時00分、列車は生山駅を発車。その先の江尾駅では運転停車を行い、普通列車と行き違いを行いました。

19時35分頃、定刻よりも3分ほど遅れて伯耆大山駅に到着。ここからはいよいよ山陰本線の旅となります。対向のホームには特急〔やくも30号〕岡山行が運転停車を行っていました。あちらは「緑やくも」と呼ばれるリバイバル塗装です。

米子駅を発車し、列車は鳥取県から島根県へと入ります。ちょうどこの付近で寝台特急サンライズ出雲〕東京行とすれ違いました。

車内には謎の透明な部屋もあり、おそらく喫煙室か公衆電話ブースとしてかつて使われていたものでしょうか。様々な設備の跡から、この車両がいかに長く活躍してきたかを窺い知ることができるものです。

列車は松江、宍道と停車しいよいよラストスパート。

途中駅での乗降も多く、短い区間のみ乗車してスーパーやくも色との最後の別れを惜しむ鉄道ファンも多く見受けられるものの、総じて全区間で混むことはなく、ある意味いつも通りの平穏な金曜日の夜を迎えています。

スーパーやくも色はこの列車をもって完全に引退、そして381系自体もあと2ヵ月ほどで引退を迎えることになります。

私自身も国鉄が存在していた当時はまだ生まれておらず、当時の鉄道風景を懐かしむことができる世代ではありません。しかしそんな我々の世代にも、国鉄時代の鉄道風景がどのようなものであったかを垣間見させてくれる貴重な存在こそがこの「381系」に代表される国鉄車両でした。

岡山地区では、2023年より普通列車227系「urara」もデビューしました。令和に入り、中国地方のJR各線の顔ぶれが少しずつ変化してきており、現在はまさにその過渡期にあたります。去る者を追うだけが鉄道趣味ではありませんが、思い出の詰まった車両には自然と惜別の情が募るものです。

20時29分頃、列車は定刻よりも3分ほど遅れて終点の出雲市に到着。ホーム上では273系デビューに合わせて新たに設置された雲の形の駅名標が出迎えます。

381系から273系へは段階的に置き換えが進められ、5月の大型連休明けからは全15往復中10往復が273系での運用になります。詳しくはJR西日本のプレスリリースをご確認ください。

 

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。

【ガラガラ?】57年ぶりに復活した定期特急! 通勤特急らくラクやまとに乗車[奈良→新大阪]

 

※諸事情により今回に限り画像が全て4:3ではなく16:9となっております。ご了承ください。

 

2024年3月26日(火)

おはようございます。本日はJR奈良駅へとやってきました。

私にとっては年にそう何度も来ることのない奈良県ですが、よりにもよって本日はあいにくの雨。平日の朝、主に大阪方面への通勤通学客が続々と駅へ吸い込まれていきます。

奈良にはJRと近鉄の2社のターミナルがそれぞれ離れて位置しています。近鉄奈良駅の方からは長らく大阪難波方面・京都方面にそれぞれ有料特急が運行されている一方、JRの奈良駅にやってくるのは普通・快速列車ばかり。定期特急列車は1本も存在していない状態が長く続いていました。

しかし2024年3月16日のダイヤ改正で、ついに奈良県に悲願ともいえるJRの定期在来線特急列車が誕生。それが、新大阪~奈良駅間を結ぶ通勤特急〔らくラクやまと〕です。

通勤特急」という呼称からも分かる通り、この列車は平日朝に奈良→新大阪、平日夜に新大阪→奈良のそれぞれ片方向のみで運行するライナー列車です。JRに「通勤特急」という種別は厳密にはなく、あくまでも「特急」なのですが、沿線利用者へ向けた通勤のための列車であることのアピールのため、駅や車内ではこのように案内されています。

らくラクやまとの運行ルートは大和路線関西本線)・大阪環状線経由で52.3キロ。参考までに同じく阪奈間を結ぶ近鉄線は、大阪難波近鉄奈良駅間で32.8キロとなっており、JRの方が距離では約20キロものハンデを背負っている形です。もちろんらくラクやまとは大阪市内に入ってからも新大阪まで市内を北上していくためというのもありますが、そうでなくとも近鉄線よりだいぶ南側を迂回して走っていることは明らかです。

平日朝の奈良駅のラッシュは…というと、もちろん首都圏郊外の駅ほどの運行本数ではありませんが、それでも日中と比べると運転間隔は短めです。最も運行間隔が短い時は4~5分ほどで、主な種別は以下の通り分かれています。

快速…JR難波行
区間快速天王寺・西九条・大阪方面行
直通快速おおさか東線経由大阪行

区間快速直通快速の一部には有料座席「うれしート」が連結されています。2023年10月に開始されたサービスで、今改正からさらに増強され区間快速3本・直通快速4本の計7本が設定されています。

今回ご紹介するらくラクやまとと合わせて、6時12分~7時48分の間に奈良駅を発車する列車のうち計8本に指定席が連結されていることになります。らくラクやまとの直前に奈良駅を発車する7時05分発の直通快速もそのうちの1つで、サービス開始からわずか半年にしては驚くべき勢いで着席サービス強化が進んでいます。

程なくして、3番線に列車が入線。287系(3両編成)が使用されます。普段8両編成の列車が行き交う奈良駅ですから、3両編成となるとかなりホームを余らせて中央付近に停車することになります。

奈良では2019年より、行楽客向けの臨時特急として土休日を中心に〔まほろば〕が運行されています(※2010年にも一時期運行実績あり)。しかしこれはあくまでも臨時特急であり、定期特急の設定は実に57年ぶりとなります。

ちなみに57年前の1967年まで運行されていた特急は〔あすか〕で、名古屋~和歌山駅間を関西本線経由で結ぶ気動車特急でした。すなわち国鉄分割民営化後初「奈良駅を通る定期特急列車」ということになります。このほか急行列車も含めると2006年まで名古屋~奈良駅間を結んでいた〔かすが〕がありますが、そこから数えても実に18年ぶりとなります。

何はともあれ、列車は7時16分に定刻通り奈良駅を発車。まずは大和路線経由で天王寺方面へと向かいます。

列車は全車普通車指定席で、グリーン車はありません。奈良駅を出た時点での乗客数は1両あたりざっと10名ほどですが、この中には私を含め鉄道ファンらしき方も何名かいらっしゃいましたので、実利用者はもっと少ないものと思われます。言葉を選ばず言うなら「ガラガラ」です。

途中停車駅は郡山、大和小泉法隆寺、王寺、久宝寺天王寺、大阪です。ご覧の通り、天王寺までの停車駅は快速・大和路快速区間快速と何ら変わりません。

すなわち王寺までは各駅に停車するということになります。郡山・大和小泉法隆寺の各駅からの乗客は、0人とは言わずとも正直なところほとんどおらず、途中駅からどんどん混雑してくるタイプの通勤特急でもなさそうな様子です。

さて気になる特急料金ですが、今回は駅で購入した通常の特急券にて乗車しています。奈良~新大阪駅間のお値段は何と…1,930円!!! 高い!!!

しかしこれにはからくりがあります。というのも、乗車した3月26日は繁忙期のため通常料金+200円となっており、この区間の通常期の正規料金は1,730円となります。

また、インターネット予約サイト「e5489」から購入することでこれよりも安く乗車できる場合がいくつかあります。

特筆すべきは、J-WESTカードを持っている場合に限り最安で500円から乗車可能になるという点です。正規料金から半額以下となり、またそうでなくとも「J-WESTチケットレス」にて奈良~新大阪駅間は750円にて乗車することができます。

あいにく奈良~新大阪駅間ではほんの少しだけ50キロを超えてしまっているため、そこでぐんと料金が跳ね上がる場合があるのは致し方ないところ。大阪で降りるか新大阪で降りるかの差はかなり大きいです。

7時33分、列車は王寺駅を発車。ここから途中駅をがんがん飛ばす運行が始まります。

ホームにはたくさんの人が並んでいましたが、王寺駅からも車内が大して混むことはありません。というのも、もちろん後続に快速・区間快速などが次々とやってくる上、実は約15分に1本ほど王寺始発の普通も設定されています。列車本数が奈良駅よりも多く、かつそのうち一部は少し並べばほぼ確実に座れる列車であると考えると全車指定席の特急列車のニーズを開拓するのはなかなか大変なものがあります。

王寺を出た先の区間はちょうど奈良県大阪府の府県境となっており、険しい山々の間を縫って走る区間となります。首都圏の通勤特急東海道線・中央線などいずれの方面からであってもだいたい関東平野をひた走るのみなのでこのようなことはなく、まるでローカル線のような雰囲気は新鮮です。

山を越えていよいよ大阪府へと入り、列車はまもなく久宝寺駅というところ。しかしここで列車が詰まり、一時停止してしまいました。

先行する快速がそのさらに1本前を走る普通と緩急接続を取るため、一瞬久宝寺駅のホームは天王寺方面の3・4番線両方が埋まることとなります。そして快速の発車が遅れた瞬間にすぐにその遅延はらくラクやまとにも波及するため、なかなか寸分狂わぬ定時での運行はこの付近では難しいのかもしれません。

7時46分に普通が発車した後、らくラクやまとは7時48分に久宝寺駅へと到着。すぐの発車ではありますが、この列車のすぐ後方には久宝寺7時51分発の快速 JR難波行も迫っています(隣のホームで既に接近放送がかかっていました)。よくぞこの超過密ダイヤの中に通勤特急を差し込んだな…と驚くばかりです。

7時49分、久宝寺駅を発車。大阪市内中心部がいよいよ近づいてきており、辺りは建物が増えてきました。おそらくこの列車で最も混雑する可能性のある区間久宝寺天王寺駅間だと思われますが、それでも1両あたりの乗車人数は目測で15名程度となりました。

7時56分、天王寺駅に到着。ここで若干名の方が降りていかれました。

天王寺駅から先、列車は大阪環状線に直通します。環状運転を行う普通列車のほか、阪和線方面からの列車(特急含む)もあると考えるとこれまた実に過密な運行です。首都圏で例えるならば山手線が走る線路をそのまま特急湘南と成田エクスプレスも使用するような状態でしょうか…。

大阪環状線内はそういったわけでなかなか高速での運行は難しいところですが、しかし途中運転停車等は一切なく大阪方面へ向かっていきます。らくラクやまとの「らくラク」という言葉には、単に特急車両で快適に移動できるという意味だけでなく「満員電車に押し込められることなく、ゆとりのある時間・空間を手に入れることができる」という意味がこめられているのかもしれないということがよく分かる瞬間です。

西九条駅USJ・なんば・京セラドーム大阪など様々なスポットへ乗り換えなしで行ける便利な立地ですが、この列車は通過。まもなく地下へと潜ります。

8時13分、大阪駅に到着。大阪駅うめきた地下ホームへの入線となります。

この日はたまたま入線の途中で急ブレーキがかかりましたが、事故等ではなく正常な停止位置だったようです。

8時19分、終点の新大阪駅に到着。到着した1番線はこのまま線路が放出・久宝寺方面へと繋がっており、奈良駅を発車した直通快速の大阪行とは編成が逆の向きで新大阪・大阪へと到着するのも面白いところです。

阪奈間のJRに元々大きな着席ニーズがあったわけではないというところだとは思いますが、今後積極的なPRを行うことで少しずつ乗客の増加に繋がればよいなと感じます。

 

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。

【伯備線新時代】新型やくも「273系」運行開始! 一番列車に乗車[出雲市→岡山]

 

2024年4月6日(土)

おはようございます。本日は島根県出雲市へとやってきました。

今回は岡山~出雲市駅間を結ぶ特急〔やくも〕の新型車両「273系」が運行を開始するとのことで、営業運転一番列車に乗車していきたいと思います!

記念すべき営業一番列車となるのは、出雲市5時27分発の特急〔やくも4号〕岡山行。4号ということはこの1本前、出雲市駅を4時台に発車する「2号」があるわけですが、そちらはまだ381系での運行ということになります。いきなり全列車を置き換えるのではなく、4~6月にかけて段階的に置き換えていきます。ってか4時台に特急があるの凄い…。

足元には新型車両のイラストが描かれた、乗車位置ステッカーも確認できます。以前から貼られていたものですが、本日よりいよいよ使用開始となります。

出雲市駅構内には朝早くから大変多くの鉄道ファンが集まっています。

そして発車の3分ほど前、いよいよ新型特急273系がホームに姿を現しました!!!

車体は「やくもブロンズ」とよばれる青銅色を基調とし、つやつやに仕上がっています。顔の形は287系とも似ていますが、西日本の特急はいずれも車体色が白っぽい傾向が強いイメージだけに異彩を放っています。

側面の行先表示器はフルカラーへと生まれ変わり、列車名と行先を表示します。最新式になっても従来のヘッドマークで使用されていた書体を継承しているところに、強いこだわりを感じることができます。

273系は4両で1編成となっており、本日この列車は2編成を連結して8両編成で運行されます。2024年3月16日より特急〔やくも〕は自由席を廃止して全車指定席となっており、この列車ももちろん全車指定席での運行です。

今回は普通車へと乗車します。普通車の座席モケットは青色・緑色を基調としており、隣の座席と少し色味が異なっているので客室内全体を見渡すと美しいグラデーションのようになっています。

各座席には背面テーブル・網ポケット・ドリンクホルダー・フックが備わっています。またひじ掛けにはコンセントがあり、フリーWi-Fiも完備。国鉄車両381系と比べると大幅なグレードアップです。

5時27分、列車は定刻通り出雲市駅を発車。この先宍道、松江、安来、米子、伯耆大山根雨、新見、備中高梁、総社、倉敷に停車し岡山へと至ります。

各駅到着前・発車後には車内チャイムとしてメンバーのうち2名が米子出身であるOfficial髭男dismの「Pretender」が流れます。縁結びの地として知られる出雲を発車した特急で「グッバイ、君の運命の人は僕じゃない…」というサビが流れる点はなかなかシュールです(笑)。

発車してまもなく、列車は宍道湖沿いの区間を走ります。これまで幾度となく381系の車内からも眺めてきた景色ではありますが、新型特急の車内から眺めるとまた改めてその美しさに気づかされます。

島根県の県庁所在地である松江を発車し、引き続き山陰本線を進みます。ホーム上では出雲市駅と同様に、この一番列車を一目見ようと多くの鉄道ファンの姿がありました。

出雲市・松江・米子・倉敷・岡山の各駅では、今回の273系運行開始に合わせホーム上の駅名標が雲の形をイメージしたものにリニューアルされました。

6時16分、列車は米子駅に到着。ここでは約7分間の停車時間が設けられています。

ゲゲゲの鬼太郎」の作者である水木しげる氏の出身地である境港への玄関口となる米子駅のホーム上には、様々な妖怪のオブジェや紹介が並びます。

昨年新駅舎が開業し、リニューアルの進む米子駅。「海、山、旅のドラマは米子駅から」という名物のキャッチコピーともついに営業運転で初めて邂逅を果たしました。

米子の次の伯耆大山駅を発車すると、列車はいよいよ伯備線へと入ります。すぐに見えてくるのは、駅名にも入っていた名峰「大山(だいせん)」。その見え方から「伯耆富士」とも呼ばれ、朝日に照らされる絶景は何ともいえぬ美しさがあります。

車内では、運行初日の本日に限り、車掌さんに声をかけると鳥取県と山陰観光連盟が作成した「記念乗車証」をいただけるという告知がありました。残念ながら私が声をかけたタイミングは少し遅かったようで、残部がなくなってしまったとのこと。しかしその代わりに一回り小さいながらもJR西日本の作成した「おもいできっぷ」と呼ばれる記念カードをいただくことができました。

裏面には例のフォントを使用したスタンプが押されています(左は381系「スーパーやくも」編成に乗車した際にいただいたもの)。

客室内には荷物スペースが設けられ、頭上の荷物棚にのせられない大きな荷物等をここに置いておくことができます。

デッキ部分は落ち着いたダークグレーとなっており、外装の煌びやかさとは対照的にスタイリッシュな印象を受けます。歴史を感じる381系のデッキ部分ももちろん良いのですが、273系の洗練された内装はまさに新時代の到来を感じさせます。

デッキと客室を隔てる出入口の頭上には、号車番号と指定・自由の表示があります。2024年3月16日より全ての特急〔やくも〕が全車指定席として運行されていますが、一応車両としては自由席の表示にも対応しているようです。

肝心の乗り心地ですが、やはり381系と比べると格段に良くなっていることは間違いないと思います。もちろん線形が良いとはいえない山間部を走る伯備線ですから揺れはありますが、乗り物酔いの可能性がある方にとっても改善されたと感じることができるのではないでしょうか。

7時29分、新見駅に到着。ホーム上では多くの鉄道ファンに加え、JR西日本の皆様も旗や横断幕で盛大にお出迎えしてくださいました。

なお、273系を使用した下り(岡山→出雲市)の一番列車は岡山9時13分発となるため、全ての駅において現在私の乗車している〔やくも4号〕が273系営業一番列車としてホームに入線します。また各駅間においても、地元の方が興味深く列車の通過を眺めていたり、親子で手を振ってくれたり…と大変大きな注目を浴びていることをひしひしと実感しました。

次第に太陽も高くなってきました。あいにくの曇り空ではありますが、例年よりも遅咲きの桜はまさに伯備線にとっての「春」の到来を優しく迎え入れてくれているような気分です。

方谷駅では、列車行き違いのため運転停車。対向の普通列車は2023年7月に岡山地区で運行を開始した227系「urara」でした。令和時代の「晴れの国」を象徴する行き違いです。

また、その次の備中川面駅では岡山発出雲市行の〔やくも1号〕と行き違い。あちらはまだ381系での運行で、「緑やくも」リバイバル編成での運行でした。方谷駅での行き違いとは対照的に、こちらは「新旧のバトンタッチ」という様相です。

その後も備中高梁、総社と停車。大都会岡山へ近づいていき、次第にホーム上の鉄道ファンの姿も多くなっていきます。また鉄道ファンだけでなく、たまたま居合わせた地元の利用者の方も新型車両に驚きながらこちらへカメラを向けていました。

8時23分、列車は倉敷駅に到着。伯備線はここで終わり、いよいよ最後のひと区間山陽本線となります。

ちょうど入線のタイミングで出雲市行〔やくも3号〕とすれ違いました。あちらは見慣れたカラーの381系です。前面に掲げられた国鉄特急のシンボルもまた勇ましさを感じます。

岡山まではあと10分少々ですが、実は273系の乗り心地の良さを一番実感できるのは線形の良い山陽本線なのかもという気がします。揺れや騒音も少なく、結構なスピードを出して走ります。

岡山到着直前には、四国方面からやってきた特急〔南風2号〕と並走。派手なアンパンマン塗装の編成もまた目を引きます。

8時35分、列車は定刻通り終点の岡山駅に到着。列車はいったん回送線へ引き上げたのち、折り返し9時13分発〔やくも5号〕として下り営業一番列車の運用に入ります。

今後約2ヵ月で全ての〔やくも〕が273系へと置き換えられる予定で、6月14日をもって381系は定期運行を終了する見込みとなっています。381系と273系が混在する時代の変わり目に立ち会うなら今のうち! といったところでしょうか…。

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。

【祝】北陸新幹線敦賀開業! 富山・石川・福井の温泉を1日で巡る[東京→大阪]

 

2024年3月25日(月)

おはようございます。今朝は東京駅へとやってきました。

2024年3月16日、JRグループ毎年恒例の春のダイヤ改正が行われたばかりです。

今改正最大の目玉といえば、やはり北陸新幹線の金沢~敦賀駅間開業。東京~敦賀駅間が1本のレールで結ばれ、開業初日の一番列車の指定席は瞬殺で満席となるほどです。

今回は「いま日本一アツい新幹線」である北陸新幹線を利用して、東京から大阪へと移動していきます。「東京都区内→大阪市内」を敦賀・北陸・湖西経由で発券する場合の運賃は10,340円で、東海道新幹線のみを利用するルート(8,910円)よりも1,430円だけ高いことになります。

北陸新幹線で運行される列車は〔かがやき〕〔はくたか〕〔つるぎ〕〔あさま〕の4種類。このうち〔あさま〕は東京~長野駅間のみの運行となるため、北陸エリア内では3種類の列車が運行されていることになります。

また、駅名を見ていくと途中に「温泉」のつく駅が3駅あることが分かります。東京方面から順に「黒部宇奈月温泉」「加賀温泉」「芦原温泉の3駅で、何と見事に1駅ずつ富山県・石川県・福井県に位置しています。

というわけで、今回はこの「温泉3駅」に途中下車して各地の温泉を堪能しながら1日で大阪へと向かうことで、北陸新幹線の利便性をしっかりとお伝えできればと思います。

まずは1ヵ所目、富山県の黒部宇奈月温泉へと向かいます。乗車するのは東京6時28分発の〔はくたか551号〕金沢行です。16分発の〔かがやき501号〕は敦賀行ですが、残念ながら黒部宇奈月温泉には停車しないので今回は乗りません。

北陸新幹線は全列車がE7系W7系での運行です。まだまだ新しい新幹線車両というイメージですが、実は2014年のデビューから今年でちょうど10周年となります。北陸新幹線の金沢開業よりも1年前、”長野新幹線”の頃から活躍しています。

今回敦賀まで開業、とはいうものの〔かがやき〕〔はくたか〕の全列車が敦賀行として運行されるわけではありません。〔かがやき〕上下1往復のみと〔はくたか〕朝夕の全列車はこれまで通り金沢発着として運行されています。

E7系W7系は全列車が12両の固定編成で、グリーン車が11号車、グランクラスが12号車というのも共通です。自由席は1号車から順に割り当てられており、両数は列車によって異なります。E7系JR東日本)とW7系JR西日本)で車内の仕様に大きな違いはなく、車体側面のロゴや車内チャイムといった細かな違いがあるのみです。

6時28分、列車は定刻通り東京駅を発車。雨模様の都会のビル群を横目に、北陸の湯めぐりをしながら大阪へと向かう旅のはじまりです。

ちなみに1発目となるこの列車は、JR西日本W7系での運用でした。車内チャイムに「北陸ロマン」が流れ、旅の気分を盛り上げます。

上野・大宮と停車し、大宮からは特に多数の乗車がありました。通路側のC席・D席も多くが埋まっているようです。ただし平日の朝ということで観光客ばかりではなく、ビジネス客も多いようでした。

東京駅ではスキー・スノボに向かうと思われる大学生の集団が多数いましたが、おそらく多くは北陸新幹線ではなく上越新幹線を利用するものと思われます。

東海道新幹線では、途中の名古屋や新大阪などで緩急接続がさかんに行われており、速達列車の停車しない駅へ向かうにしても「途中までは速達列車を使う方が短い時間で移動できる」ということが往々にしてあります。しかし北陸新幹線ではこれがあまり存在せず、基本的には「乗りっぱなし」がベストな判断となることが多いのです。

7時16分、高崎駅に到着。群馬県内最大のターミナル駅ですが、〔かがやき〕全列車と〔はくたか〕の一部は通過します。逆方向の上り方面ではちょうど高崎始発の上越新幹線〔たにがわ476号〕東京行が発車の準備をしていました。

高崎を出ると上越新幹線と分かれ、ここから長野までは1997年に開業した区間を走行します。鉄道の難所として知られる群馬県・長野県境の「碓氷峠」ですが、新幹線はいとも簡単に超えていき、トンネルを抜けると車窓右手には浅間山が見えてきました。

この列車は安中榛名を通過し、次の軽井沢から先は終点金沢まで各駅に停車します。上田を出ると車窓が開け、千曲川沿いの盆地の風景を一望することができます。

8時3分、列車は長野駅に到着。この先上越妙高まではJR東日本区間ですが、ここでJR東→西へと乗務員交代が行われます。車内放送もJR西日本の仕様となり、最近SNSで話題の「WESTER・おでかけネットをご確認ください」の放送が流れます。

山々を抜けて、新潟県に入り列車は日本海側へ。糸魚川付近では車窓からもしっかりと日本海が見え、東京から1本でここまで来ることができる感動を味わいます。

東京から乗車すること約2時間半、8時55分に黒部宇奈月温泉駅へと到着。1回目の途中下車となります。

黒部宇奈月温泉駅は、2015年の北陸新幹線長野~金沢駅間開業時に設置されました。富山県内に3つある新幹線駅のうちの一つで、9年前の開業とはいえまだ十分に新しいピカピカの駅です。

駅名に「温泉」とついてはいるものの、駅前が直接温泉地になっているわけではありません。富山が誇る名湯「宇奈月温泉」へは、ここから富山地方鉄道へ乗り換えて向かうことになります。

新幹線の黒部宇奈月温泉駅に隣接する富山地方鉄道の駅は「新黒部駅」。新幹線開業に合わせて乗換駅として設置された駅ですが、新幹線駅とは駅名が異なります。これから向かう富山地方鉄道の終点が「宇奈月温泉駅」なので、それとの混同を避けたのでしょう。

新黒部駅では、便利な乗車券が発売されていました。新黒部~宇奈月温泉駅間を往復で利用可能な割引きっぷで、お値段は1,200円。通常片道640円の距離なので、確実にお得になります。富山地方鉄道でも富山駅へ行くことができるのですが、敢えてこのような乗車券を発売しているというのはやはりこの駅での新幹線との乗り換え客を狙いにしているのでしょう。

新黒部駅ホームは1面1線で、他の富山地鉄の駅と比べると圧倒的に新しくて綺麗です。上下列車が同じホームへとやってくるため、乗り間違いには注意しましょう。

9時11分発の普通 宇奈月温泉がやってきました。かつて京阪3000系として活躍していた車両で、1990年代に富山地鉄へ譲渡されました。現在は富山地鉄「10030形」として運用されています。

車内は昭和の香り漂う転換クロスシートとなっており、平日朝なのもあってか車内はガラガラです。

初めのうちは駅間も短く、黒部の市街地といった様子ですが、音沢駅を出てから最後のひと区間が非常に長く、山あいの険しい地形を縫って走るように進んでいきます。奥の方には白馬の山々も見えており、美しい景色です。

25分ほど乗車し、9時35分に終点の宇奈月温泉駅に到着。ホームへと降り、階段を上がります。

富山地方鉄道としてはこの駅が終点ですが、隣接する宇奈月駅からは欅平へと向かう「黒部峡谷鉄道」が運行されています。トロッコ鉄道で、どちらかというと観光列車・アトラクションの類ではありますが、私も3年半前に一度乗車したことがあります。

watakawa.hatenablog.com

今回はただ来訪するだけではなく、しっかりと入浴していくというミッション(?)を行っていきます。宇奈月温泉の場合は駅からとても近いところに日帰り温泉湯めどころ宇奈月」があり、何と徒歩1分。朝9時から営業しているそうで、大変ありがたい限りです。

料金は510円で、館内は2階が桃の湯・3階が月見の湯と分かれています。男女は日によって変わるそうですが、本日は月見の湯が男湯でした。なお残念ながら露天風呂は改修工事中につき利用不可の状態でした。

平日朝につき館内は混んでいるということはなく、地元の方が数名入られている程度。41~42℃ほどの入りやすい温度のお湯のほかに43~45℃程度の熱めのお湯もありますが、私は前者にゆっくりと浸かりました。

リーズナブルながら良質な宇奈月のお湯に浸かることができ、またお湯から上がったら休憩スペースでのんびりとすることもできるのでオススメです。

駅周辺には温泉街が広がっており、人気の高い温泉旅館やホテルも立ち並びます。

今でこそ東京~黒部宇奈月温泉駅間は新幹線1本で結ばれ、そこから富山地鉄へ乗り換えるにしてもスムーズな接続となっていますが、かつて東京方面からこの宇奈月温泉へ訪れる場合はかなり面倒な乗り換えとなっていました。というのも、東京からまずは長野新幹線ではなく上越新幹線へと乗り込み、越後湯沢で在来線特急はくたか号へと乗り換えます。特急はくたか号は北越急行線を経由して金沢方面へと向かいますが、その途中の「黒部駅」は一部の列車しか停車しません(上下4往復のみ)でした。しかも仮に黒部駅で下車したとしても富山地鉄の「電鉄黒部駅」は若干離れており、スムーズな乗り換えを望むのであれば黒部駅よりもさらに先の「魚津駅」または「富山駅」まで乗車する必要があったのです。

恥ずかしながら私も、新幹線の駅名に「宇奈月温泉」という言葉が使われるまでこの温泉地の存在を知りませんでした。元々鉄道においては首都圏と北陸地方の結びつきは関西のそれと比べてそれほど強くありませんでしたから、無理もないことでしょう。

逆に新幹線の駅名として採用されたことで、この温泉地のPR効果は絶大なものであったということは想像に難くありません。現に私もその魅力に惹かれ、今回を含め2回来訪しています。

午前中のため営業しているお店は多くありませんでしたが、「とうふプリン」(290円)なるものを発見。瓶に入ったシンプルかつお洒落なプリンで、優しい甘さの中にほのかに香るとうふが絶妙なアクセントになっています。

さて、今日はあともう2ヵ所の温泉地を巡らねばなりませんので、1湯目はこのくらいにして次の目的地へ移動していこうと思います。

乗車するのは、宇奈月温泉11時02分発の富山地方鉄道 特急〔くろべ22号〕電鉄黒部行です。スクロールにも流れている通り有料特急で、乗車券のほかに特急券(110円)が必要となります。

しかしホームに降りてみると、そこに停車していた車両はあまり特急感のなさそうな車両。そう、どうやら富山地鉄の特急は普通列車と大差ない場合があるようです。

ただし今回私が利用している「新黒部⇔宇奈月温泉」の往復割引きっぷでは特急料金も含まれているため、特に損した気分になはなりません(むしろ込みなのでお得!)。

列車は定刻通り宇奈月温泉駅を発車。来た道を戻ります。普通列車では25分程度かかる距離ですが、特急は新黒部までノンストップなので少し所要時間も短めです。

11時19分に新黒部駅へと到着。乗客の方はほぼ全員ここで降りられるようでした。線路は電鉄富山駅まで続いていますが、この特急はそもそも電鉄黒部駅までしか行かないので新幹線接続を前提とした運用のように思われます。

それでは約2時間ぶりに新幹線の経路へと戻り、次の「加賀温泉」へ向かいたいと思います。

乗車するのは黒部宇奈月温泉11時52分発の〔はくたか557号〕金沢行。当駅からはしばらく敦賀行の新幹線がないようなので、いったん金沢行に乗車しその先で乗り換えることにします。

車内の内装は何ら変わりませんが、今度はE7系JR東日本)の運用にあたったようです。車内チャイムが北陸ロマンではなく、東北新幹線上越新幹線等で使われているものと同じであることから気づきました。

わずか12分ほどの乗車で、12時04分に富山駅へと到着。ここでいったん下車し、後続の列車を待つことにします。

そしてここ富山駅から改めて乗車するのは、12時30分発の〔かがやき509号〕敦賀です。途中の停車駅は「金沢・加賀温泉芦原温泉・福井」と表示されており、これに乗れば2湯目の加賀温泉へ行くことができそうです!

本日初となる、敦賀行の新幹線への乗車。いよいよ新駅へ向かいます!(画像ブレブレですみません)

富山駅では改札の外に出ていないため、特急券を通しで発券することができます。温泉駅から温泉駅へ、列車名・座席番号等も細かく記された情報量の多い特急券です。

〔かがやき〕は2015年の運行開始当初より全車指定席で、これは今回の敦賀開業でも引き続き変わりません。車内は朝の〔はくたか551号〕と比べるとだいぶ混雑しているようで、平日ではあるものの春休み期間に突入し家族連れやグループの観光客が多いようでした。〔かがやき〕は大宮~長野駅間をノンストップで走行する速達列車ですから、おそらく多くの乗客が首都圏からずっと乗ってきているのだろうと思います。

ちょうどお昼時なので、富山駅で購入した駅弁「ますとぶり小箱」(1,100円)をいただきたいと思います。富山といえば「ますのすし」が有名ですが、こちらはそれに加え「ぶりのすし」も両方味わえる欲張りなセットです(真ん中の葉っぱを取ることができると気づかずに中途半端に持ち上げた状態で撮影していますがあまり気にしないでください)。

定番「ますのすし」は安定の美味しさ、そして「ぶりのすし」は口の中でとろけるぶりの旨味と野菜のしゃきしゃき感が絶妙にマッチしてこれまた珠玉の一品です。

12時49分、列車は金沢駅に到着。ここで強制下車となっていたのも今は昔、今回はこのまま引き続き乗車することができます! 一方で到着時に在来線特急〔サンダーバード〕〔しらさぎ〕への乗り換え案内がないのはやや不思議な感覚でした。

金沢駅を発車し、いよいよ2024年3月16日に開業した区間へと差し掛かります。

金沢駅での乗降はもちろん少なくありませんが、一方で思っていたよりも多くの乗客が金沢駅を跨いで乗車し続けていたのもまた印象的でした。2015年以前までは金沢駅を跨いで運行されていた在来線特急も多く、かつてそうした列車を利用していた人にとっては9年ぶりに「金沢駅での乗り換えが不要」な状態となったわけです。

「新幹線は金沢まででよかった」とこれ見よがしの主張も一部で見られるところですが、そうではなくむしろ「延伸してくれたことで乗り換えの手間が減った」という喜びの声もあることを忘れてはなりません。

進行方向左手には、白山総合車両所が見えてきます。2015年より使用されている新幹線の車両基地で、今回新たにここに併設される形で観光施設「トレインパーク白山」もオープンしました。また折を見て足を運んでみたいところです。

金沢を出て最初の新幹線駅は小松。一部の〔かがやき〕〔つるぎ〕と全ての〔はくたか〕が停車します。今回は猛スピードで通過してしまいました。

小松を出てすぐ左手に見えてくる大きな湖のような場所は「木場潟」と呼ばれます。在来線は木場潟から少し離れた位置を走っていますが、新幹線はすぐ横を通るため在来線特急の車内とは違った景色を楽しめます。

13時05分、いよいよ加賀温泉駅に到着。

金沢を出てわずか14分、近い、近すぎる!!!

発車標には新幹線の開業を祝う記念のメッセージのほか、1月に発生した能登半島地震の一日も早い復興を祈念するメッセージが流れてきました。

ホーム上・駅構内は紅殻格子をイメージした装飾が各所に施されており、観光地・温泉地へ来たことを強く実感させてくれます。

さて、では2湯目は加賀温泉へ入浴に…と言いたいところなのですが、残念ながら加賀温泉」という温泉地は存在しません

「黒部」宇奈月温泉に続きまたかよ…と思うかもしれませんが、これには理由があります。駅周辺には片山津温泉山代温泉山中温泉といった様々な温泉地があります。かつての特急は周辺の動橋駅・大聖寺駅に分散して停車していたのですが、これらを集約する目的でそれまで「作見駅」として細々と営業していた小さな駅を「加賀温泉駅」に改め、特急を集めることでこの地域の観光拠点としたのです。

いずれの温泉地も駅からは基本的にバスでの移動となります。旅館の宿泊予約をしていると駅まで送迎をしてくれる場合がありますが、今回は日帰り入浴なので北陸鉄道バスの路線バスに乗り込みたいと思います。加賀温泉駅13時20分発の山中温泉です。

車内は観光客を中心に、地元の方も乗車されており平日昼間ながらやや混雑。残念なのは交通系ICカード非対応で、その代わり新幹線開業日からクレジットカードのタッチ決済に対応開始したようでした。今回私は現金で乗車します。

15分ほど乗車し、山代温泉に到着。加賀温泉エリアの中でも、今企画2湯目は山代温泉をチョイスすることにしました。

山代温泉バス停自体はいたって普通の住宅街の中にありますが、そこから数分歩くと温泉街となります。というかこのバス停に着く少し手前から有名な温泉旅館群が次々車窓に映り、「あぁ…宿泊してぇ…」と心の中で一人叫んでいました。

温泉街を歩いていると、あちこちの側溝から温泉の湯気がもくもくと上がっています。近づいてみるとほんのり温泉の香りがするもので、すごく贅沢な空間です。

今回数ある加賀温泉郷の中でも山代温泉をチョイスした理由の一つは、この「古総湯」へ入ってみたかったため。1300年の歴史を誇る山代温泉の伝統を今に伝えるべく復元された昔ながらの共同浴場で、外観からいかにも味のある雰囲気が漂います。北陸新幹線敦賀延伸開業のCMでも登場するほど石川県・加賀を代表する観光地となっており、せっかくなので入浴してみることにします。

なお料金は3月末時点で大人500円でしたが、2024年4月1日より料金が改定され現在は700円とのこと。

中へ入ると、建物の外側をぐるっと一周するような形で通路が設けられており、そこには古総湯ならびに湯の曲輪(ゆのがわ)の再生にまつわるエピソードなどが紹介されています。

券を買い、のれんをくぐり中へ。石鹸やカランの設備はなく、脱衣スペースは浴場内にあるという独特の造りをしています。浴槽は中央に1つあるのみです。

ゆっくりと浸かってみると…とにかく熱い! 歴史の重みも相まってか(?)、実際の温度以上に熱く感じます。いや温度計があるわけではないので正確なところ何度なのかは不明ですが、どうもスタッフの方いわく源泉は50℃以上とのこと。

建物は木がふんだんに使われており、浴場内でも木の香りが漂います。また壁や床には細やかな装飾もなされ、タイムスリップしたかのような感覚です。温度的になかなか長湯は難しいところですが、できることならいつまでもその空間にいたいと感じるほどでした。

急な階段を上がると、2階に休憩室があります。座布団が敷かれ、冷水のサービスもあります。外の気温は10℃ほどでしたが、お湯の温度の高さのあまり短時間の入浴でもしばらく汗が止まらず、少しここでのんびりしていました。

程なくして汗もやみ、古総湯を後にします。次は是非古総湯・総湯セットでじっくり楽しみたいところです!

山代温泉の温泉街では「祝開業 北陸新幹線 加賀温泉駅」と書かれた幟があちこちに並びます。2022年夏に西九州へ訪問した際に嬉野温泉で見た光景と似ており、やはり温泉の街に新幹線が通ることへの期待は大変大きなものなのでしょう。

湯上りのデザートに、ふと温泉街の中で見つけたモンブラン・芋スイーツのお店「Monta-Yu加賀」さんへ。モンブランソフトクリーム(480円)を注文しました。一般的な栗のモンブランではなく焼き芋を使用しておりとっても甘みが強く、その甘みの中にもサツマイモのほくほく感が残りソフトクリームとの相性は抜群です。

名残惜しいところですが(本当は泊まりたかった)、山代温泉を後にします。山代温泉バス停15時07分発(+5分ほど遅延)の北陸鉄道バスにて、加賀温泉駅へと戻ります。

15時27分頃、加賀温泉駅に帰着。帰りも私は250円の現金払いですが、クレジットカードのタッチ決済の機器がトラブルを起こしており、タッチ決済を利用していたはずの人はスムーズな降車ができず困り顔をしていました。まだ最新の設備なので乗客乗員の両者にとって慣れるまでに時間がかかるかもしれませんが、現金への安心感もまた感じるものです。

というのも、次に乗車する新幹線は加賀温泉15時38分発の〔はくたか563号〕敦賀。乗り継ぎ時間が10分ほどしかなかったため、大きな遅延やトラブルは何としても避けたかったというのがあります。

本日3回目の北陸新幹線乗車、もちろんいつも同じ顔の12両編成ですが真新しいホームにゆっくりと入線する姿はまた一段とカッコ良いものです。

列車は定刻通り加賀温泉駅を発車。次はいよいよ3湯目、芦原温泉を目指します。

加賀温泉芦原温泉駅間は新幹線でわずか1駅、所要時間は何と10分にも満たない区間です。しかしこの区間は県境越えにあたり、牛ノ谷峠という険しい峠が立ちはだかります。車窓は大部分がトンネルで、景色はそれほど期待できません。

1駅間につき、せっかくなので本日初の「自由席」を利用してみました。〔はくたか563号〕は1~3号車が自由席で、1駅なので「特定特急券」の対象となり自由席特急料金はわずか880円。かつての在来線特急ではA自由席特急料金適用につき760円のところでしたのでそれでも在来線特急時代よりは高いですが、短い区間でも気軽に新幹線へ乗ろうと思える金額なので悪くはないと思います。

15時46分、気がつくとあっという間に列車は芦原温泉駅へ到着。3湯目、福井県芦原温泉に入浴していきます!

ちなみに芦原温泉駅は中線の通過線がなく、列車の待避を行うことはできません。2面2線構造となっています。

駅構内は暖色が積極的に用いられ、高級感も漂うあたたかみのあるデザインです。曜日と時間帯的なこともあってか、人気(ひとけ)がないのは致し方ないところでしょうか。

メインとなる出口は正面口(西口)で、ハピラインふくいのホームも見える在来線側の駅舎となります。加賀温泉駅と同様に温泉旅館の送迎バスが次々とやってきており、早くも温泉地の玄関口としての気合の入りようを感じます。

駅に隣接して新たにオープンした商業施設「アフレア」の中には、新幹線・在来線・路線バスをといった各種交通機関の発車時刻をまとめた便利なディスプレイもありました。

これから向かうのは、芦原温泉の中心地にある「セントピアあわら」。観光案内所で優待券をいただくことができました。

乗車するのは、芦原温泉駅16時10分発の京福バス東尋坊線 龍翔博物館前行。有難いことにこちらでは新幹線開業を機に全国相互利用の交通系ICカードも利用できるようになったとのことで、利用させていただきました。

こちらの車内はうってかわってガラガラ。ICカード利用可能というだけでも嬉しいことですが、何と3月16~31日の毎日および4月・5月の土日祝とGWはICカード利用時に運賃が自動で半額になるキャンペーンを実施中とのこと。芦原温泉駅~セントピアあわら間は通常300円ですが、何と150円で乗車できました。

10分ほどの乗車で、バスはセントピアあわらに到着。温泉施設の名前がそのままバス停になっているとは、人気・知名度が高いことの表れでしょう。

しかしここで、予想もしていなかったことが起こります。

セントピアあわらの前で写真撮影をしていた矢先、一瞬気が抜けた時に手を滑らせてしまい、愛用のコンデジアスファルトに落下。本体外部の傷などはなく安心したのもつかの間、どうも内部の損傷が激しかったようで…電源を入れてもレンズに何も映らなくなってしまいました。

というわけで、ここから先の画像はコンデジではなくスマホのカメラを使用したものでお届けしてまいります。

セントピアあわらはえちぜん鉄道三国芦原線あわら湯のまち駅からも近い温泉施設。先ほどの古総湯とは対照的に、街の中のスーパー銭湯といった様子です。

中へ入り、夏祭りのような華やかな装飾に出迎えられながら受付へと向かいます。どうも温泉にまつわる様々な展示や紹介もあったようですが、コンデジが損傷したことのショックで動揺のあまりほとんど視界に入っていませんでした。

入館料は通常大人500円ですが、先ほどご紹介した優待券により2割引で400円に。なお、2024年6月1日より値上げされ通常大人は600円となるようです。

館内は3階の「天の湯」と1階の「地の湯」に分かれており、1週間ごとに交代となるようです。今回の訪問時は男湯が「地の湯」でした。

脱衣所は広く、また浴場内は天井が高く開放感のある空間が印象的です。湯舟は田んぼの「田」の字を描くような配置で、湯舟から直接隣の湯舟へ…と次々に芦原の湯へ浸かることができます。

入浴後は休憩スペースにて、コーヒー牛乳でひと休み。1日で3ヵ所もの温泉を巡ったことなど人生で初めてですので、体は十分温まっており長湯するという感じでもありませんでした(古総湯~セントピアあわらの移動があっという間だったのもある)。

セントピアあわらより、17時54分発の京福バス東尋坊芦原温泉駅に乗り込み来た道を戻ります。帰りも交通系ICカードにて、やはり運賃は半額の150円となりました。

本当ならば東尋坊・三国方面の観光もしてみたいところでしたが、今回はあくまでも「温泉」を巡るというキツい縛りがありますので、そのほかの観光はまたの機会とします。

十数分で芦原温泉駅に帰着。

少し時間があったので駅の反対側(東側)へやってきてみました。どうやら観光地とはうってかわってこちらは工業団地となっているようです。温泉駅の駅前に工場がそびえる光景はなかなか新鮮ですが、こうした工業団地への足としても今後は新幹線が積極的に使われていくことでしょう。

これにて宇奈月温泉山代温泉芦原温泉と計3湯の湯めぐりが終わり、残すは本日のゴールである大阪へ向かうのみ。「芦原温泉→大阪」はつい先日まで乗り換えなしで行けていましたが、現在は必ず乗り換えが必要となります。

乗車するのは芦原温泉18時32分発の〔つるぎ41号〕敦賀。原則として〔つるぎ〕は敦賀駅で大阪方面・名古屋方面の在来線特急への接続を取る形ですが、新幹線の行先は「大阪」「名古屋」などではなくあくまでも「敦賀」です。

また号数も〔かがやき〕〔はくたか〕での上り・下りと揃えているため、大阪・名古屋方面への利用を想定している列車でありながらその途中の敦賀までは号数が奇数となります。

列車は定刻通り、芦原温泉駅を発車。この先福井、越前たけふと各駅に停車して敦賀へ至ります。

〔つるぎ〕は2015年の新幹線金沢開業時に既に運行を開始していました。当時の運行区間は富山~金沢駅間のみで、金沢駅にて在来線特急との接続を取ることで大阪・名古屋~富山駅間を直通していた在来線特急の代替となるものでしたが、今回の改正によってこの区間のうち〔つるぎ〕の担う距離の割合が増えたということになります。

あっという間に列車は次の福井駅に到着。福井駅は全国的にも珍しい、1面2線の島式新幹線ホームとなっています。全列車が停車しますが、当駅を始発・終着とする新幹線は設定されていません。

越前たけふ駅は、金沢~敦賀駅間で唯一となる新幹線単独駅です。かつての北陸本線で特急停車駅であった武生駅鯖江駅の代替として設置されました。またこれに伴い、福井鉄道福武線の終点「越前武生駅」は読みが同じとなるため、先行して2023年2月に「たけふ新駅」へと改称されました。

また、かつて〔つるぎ〕といえば8~10号車・12号車は締切扱いでしたが、今改正よりこれらの号車も含めて発売されています。

越前たけふ~敦賀駅間は険しい山がそびえており、新幹線はここを長さ約20kmの「新北陸トンネル」で一気に貫きます。そもそも越前たけふ~敦賀駅間は30kmほどのため、実にこの区間の3分の2はひと続きのトンネルということになります。

トンネルを抜けると、敦賀の街の明かりが見えてきました。高架線の中でもひときわ高い位置を走行するため、眺めは抜群です。

芦原温泉駅からちょうど30分の乗車で、19時02分に終点の敦賀駅へ到着!

ここからは階段・エスカレーターを降りて中間改札へ向かい、さらにその先の特急専用ホームに向かいます。

敦賀駅の新幹線駅舎はドーム状の屋根をした広々とした造りで、11~14番線が新幹線ホームとなります。新幹線と在来線特急の乗り換え時間は最小限に設定されており、ここをてきぱきと歩いていく必要があります。

中間改札の自動改札機はずらりとたくさん並んでいますが、大きな荷物を転がしていたり小さな子どもを連れていたりするとなかなかささっとはいかないもの。乗り換え方法についてはスマホから確認できる旨が敦賀駅到着前の新幹線車内でも頻りにアナウンスされていますが、慣れない乗り換えは誰でも戸惑うものです。春休み期間中とはいえ平日でこの混み具合ですから、大型連休やお盆・年末年始等はさらに大変なことになりそうです。

改札をくぐり抜けた先、大阪・名古屋方面へと向かう特急の専用ホームは33・34番線となります。湖西線(京都方面)・北陸本線米原方面)の普通列車が発車するホームとは異なります。

エスカレーターを降りると…そこにはおなじみ、北陸特急が待ち構えていました!

33番線が大阪方面、34番線が名古屋方面と決まっているようです。新しく割り振られた番線番号のため大変大きな数字ですが、何も敦賀駅に計34個の乗り場があるわけではありません。

名古屋方面へは19時10分発の〔しらさぎ62号〕米原行(終点米原東海道新幹線に乗り換え)、その後大阪方面へは19時14分発の〔サンダーバード42号〕大阪行、と続きます。たいていはどちらか先に発車する方の列車が新幹線到着から8分後の発車で、そこから数分差でもう片方の方面への列車が続けて発車するようです。

私はサンダーバード号の方に乗り込むことになります。運行区間が短縮され敦賀駅の発着ホームも変わりましたが、車両はこれまで通り681系・683系が使用されます。「サンダーバード 大阪」の方向幕は健在です。

今回の私の列車は敦賀駅にて後発の特急だったため乗り換え時間が12分間あり、比較的余裕があった印象です。先発のしらさぎ号の8分乗り換えも、特段トラブルがなければ問題なく乗り換えられる時間なのですが、例えば新幹線から降りるのが遅くなったり、中間改札で引っかかったりするとタイムロスとなり乗り継げない可能性もでてくるかもしれないと感じました。やはり北陸新幹線は1日も早く新大阪までの全線開業が望まれるところです。

しらさぎ62号に続き、サンダーバード42号も定刻通りに敦賀駅を発車。途中停車駅は京都、高槻、新大阪です。

敦賀駅を出るとすぐに従来の在来線の線路と合流し、その先の近江塩津駅湖西線北陸本線に分かれます。

せっかくなので、ここで芦原温泉駅で購入した福井名物「焼き鯖寿司」(1,404円)をいただきます。肉厚な鯖の身はふっくらとしていて、お値段は少々張りますがとても美味しいです!!

ちなみに今回の改正で、サンダーバード号・しらさぎ号はいずれも自由席が廃止され、全車指定席となりました。多くの場合、両列車とも5・6号車が自由席となっていましたので、改正後ならではということで今回はサンダーバードの「5号車指定席」を取ってみました。

美味しい焼き鯖寿司を食べているうちに列車は湖西線を高速で駆け抜け、あっという間に京都駅へ到着。ここで一定数の人が降りていく、というのはこれまでもこれからも変わりません。

今回ひとまず敦賀まで開業を果たしたものの、その先の新大阪までの開業の目途は明確に立っていません。果たしていつになるのか、そしてどのようなルートで新大阪駅へ乗り入れるのか(それとも別にターミナルを設けるのか?)…よく言えば今後への期待、悪く言えば今後の不確定要素が大きな新幹線でもあるのです。

20時38分、列車は定刻通り終点の大阪駅へ到着。

14時間10分かけ、東京から大阪まで北陸3県の温泉を巡りながら移動することができました!

どの温泉も大変すばらしく、また改めてそれぞれじっくりと再訪したいと思うところばかりですが、1日で3湯全てを巡るのは体力的にも負担が大きいのであまりオススメはしません(笑)。

北陸新幹線が延伸開業したからこそ、各地での滞在時間を長くして時間にゆとりをもった旅をしていくとよいでしょう!

 

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。

【蘇る記憶】豪華寝台列車「カシオペア紀行」で行く仙台の旅

 

2024年3月17日(日)

本日は上野駅へとやってきました。

かつて東北・上信越・北陸・北海道といった各方面への在来線長距離列車のターミナルであった上野駅。夕方から夜にかけては各地の地名がホーム上を躍っていましたが、しかしそんな光景も今は昔。主要な特急街道は一通り速くて快適な新幹線へと置き換えられ、また航空機や高速バス等に代替されることで年々数を減らしていき、今や上野駅を発着する定期夜行列車は1本も存在しません。

2010年代以降も上野駅を発着する夜行列車はわずかに残存していましたが、上野~青森駅間(奥羽本線経由)を結ぶ寝台特急〔あけぼの〕が2014年に、上野~札幌駅間を結ぶ寝台特急北斗星〕が2015年に、それぞれ定期運行を終了。そして2016年、北海道新幹線開業に伴い寝台特急カシオペア〕が廃止されたことで、ついに「上野発の夜行列車」は完全に過去のものとなってしまったのです。

当時中学生~高校生だった私は、2015年2月に家族に無理を言って廃止間際の〔北斗星〕に上野から札幌まで一度だけ乗せてもらいました。これは本当に今でも深く深く思い出に残っています。

その一方で〔カシオペア〕の姿を上野駅のホームで見ることは幾度あれど、ついに一度も乗車することはできずラストランの日を迎えることになりました。当時はまだ高校生ですから、鉄道趣味に大きな資金を投入するほど経済的な余裕がなく、運行最終日も指をくわえて見ていることしかできなかったのです。

あの日から8年、そしてこの列車の存在を知ってからはもう10年以上になりますが、ついにようやくカシオペアに乗れる」日がやってきたのです!!

2016年の定期運行終了後、カシオペアは団体専用の臨時列車として東日本を中心に不定期で運行されてきました。定期運行時代と比べ料金が割高であるほか、現地での観光や宿泊がセットになった2~4日間程度の旅行商品として発売されることが多く、なかなか乗車の機会に恵まれてこなかったのです。

しかし今回、何と上野から仙台までの「乗車のみ」のプランが設定され、衝動的に予約をしてしまいました。現役当時(上野~札幌)と比べると大変短くはあるものの、いつ完全引退をしてもおかしくないと考えるとこのチャンスを逃すわけにはいきません。

なお、今回のツアー代金は1人106,000円。上野から仙台まで、約5時間の乗車ですから1時間あたり2万円…いやいやそんなことは考えないようにしましょう。中高生時代はもちろんのこと、大学生の頃の自分であってもおそらく出すことのできないほど高額な料金設定ですが、年月が流れ今では社会人となったからこそ何とか出せるようになったというべきでしょうか。それでも勇気のいる金額であることには違いありません。

上野駅の発車ホームは現役時代と同じ地上ホーム13番線。2017年にクルーズトレイン「TRAIN SUITE四季島」が運行開始となったのに伴い、専用ラウンジや専用ホームが整備されたことで多少13番線付近の設備も変わってはいるものの、しかし大きく様子は変わりません。

ツアー専用列車ということで乗車証を所持する申込者しか13番線には立ち入れないようになっており、騒がしさもなくいたって平穏な様子です。

上野駅の発車時刻は9時50分。終点の仙台駅には14時59分に到着する予定です。

現役時代は大宮、宇都宮、福島など主要駅に停車をして客扱いを行っていましたが、今回の運行では途中一切ドアは開きません。参加者全員が必ず上野から仙台まで乗車します。

発車時刻も近づいておりますので、いよいよ車内へ。今回はカシオペアの編成内で最も一般的な「カシオペアツイン」を利用します。

カシオペアは全ての客室がA寝台個室で、B寝台個室・開放寝台・指定席扱いの座席等は存在しません。ツアーのため事前に個室の位置を指定することはできないのですが、今回私は有難くも2階部分を割り当てていただきました。

扉を開け、いざ入室! 昼行運行のためか、初めは座席モードになっていました。

テーブルは2枚あり、座席モードの時は手前に出して使うことができるようになっています。カシオペアに1人用の個室はないため、今回は贅沢にも2人用の個室を1人で利用させていただきます。

奥にはもう1人のための寝台スペースと荷物置きスペースがあります。パンフレットのラックのようなものもありますが、中には特に何も入っていませんでした。

また、A寝台ということで全ての客室にトイレがついています。中は決して広くはありませんが、これはとても安心かつ便利な設備です。洗面台は便座の真上で手前に引き出すようになっており、限られたスペースを工夫して配置されています。

進行方向を向いて座るとご覧の通り。壁にはアラーム機能付きのデジタル時計、くず物入れ、各種スイッチがあります。カシオペアのロゴがある箇所はかつてテレビモニターか何かが置かれていたのでしょうが、今は取り外されています。

発車前、客室乗務員の方より朝食のサンドウィッチとオレンジジュース、天然水が配られました。もちろんこれはツアー代金に含まれており、現役当時にこのようなサービスはありません。また、茨城県の名産品を使用したチョコレートクッキー「いもくりなんきん」もいただきました。カシオペアのロゴの入ったハンカチとペンは乗車前の受付時にいただいたものとなります。

さらに、乗車中のみ有効な「アイスクリームチケット」と「ドリンクチケット」もいただくことができます。車内販売のワゴンおよび12号車にある売店で引き換えることができ、もちろんこれもツアー代金に含まれています。後ほど利用しようと思います。

ワゴンによる車内販売および12号車売店では、ジュース・お酒・おつまみ・お菓子・カシオペアグッズ等が揃っています。新幹線・在来線を問わず全国的に車内販売が縮小傾向にある中で、団体専用の臨時列車でこれほどまでに力を入れてやってくださるところにやはり気合いの入りようを感じます。

いろいろと物色していたところで9時50分となり、列車は時刻通り上野駅を発車。これから仙台駅まで、348.2kmの旅の始まりです。

テーブルを収納し、寝台モードにするとご覧の通り。離れていた2つの椅子の座面がぴったりとくっつき、ひと続きの寝台になります。夜行運行時はここにシーツをかけて寝台として利用することができると思われますが、今回は昼行運行のためリネン類の用意はありません。

さっそく、まずはいただいた大船軒のサンドウィッチとオレンジジュースで優雅な朝食といきます。完全な個室なので周囲の視線を一切気にする必要はなく、のんびりとしたひと時です。

埼玉県に入り、列車は大宮駅を通過。運転停車さえもせず、徐行しつつ通過していきます。現役当時に大宮駅を通過するなど考えられなかったことでしょうから、これもまた貴重な瞬間です。

受付時にいただいたネックストラップ型の乗車証とは別に、ここで改めて記念乗車証が配られました。

このツアーには、もちろん昼食も含まれています。昼食は予約時に「客室でスペシャル弁当」か「ダイニングカーでフランス料理」のいずれかを選択する形となっており、せっかくならばと私はダイニングカーの方を予約しました。ダイニングカーでの昼食は2部制になっており、前半(10時45分~12時05分)・後半(12時35分~13時55分)のいずれかが自動的に割り振られます。私は後半なので、昼食まではまだしばらく時間が開きます。

列車は宇都宮線東北本線)に入り、ぐんぐん北上中。寝台列車らしい通路から、流れる景色を眺めることができます。

ここで改めて編成のご紹介ですが、E26系客車は12両編成。12号車の前寄りに電気機関車を1両連結し、計13両での運行となります。客車と聞くと往年のブルートレインが思い起こされますが、このE26系の営業運転開始は1999年7月と新しく、前年の1998年にデビューしたJR東海JR西日本寝台電車285系サンライズエクスプレス」と車内の設備が似ている部分もあります。

5号車と9号車にはミニロビーがあります。観光列車のボックスシートのような造りで、誰でも自由に利用することができます。

仙台寄りの先頭12号車はラウンジカーになっており、開放的なくつろぎの空間が演出されています。願わくば青函トンネルをくぐる様子をこのラウンジカーから見届けたかった…という思いはあるものの、白昼の東北本線でこれだけ贅沢に空間を利用した車両が走っているというのも十分特別感があります。

編成内には自動販売機らしきものもありますが、商品の陳列はなく完全に営業を停止しています。ツアーにあたって配布される「車内のご案内」を見ても自動販売機の設置がある旨の記載はなく、長らく営業していないのかもしれません。

大宮駅通過から約1時間後、列車は宇都宮駅を通過。こちらも大宮駅と同じく、ゆっくりではあるものの運転停車することなく通過していきます。駅のホームでは列車の通過を見届けるべく鉄道ファンの皆様がカメラを構えていたほか、宇都宮線の途中には有名な撮影地もあるようで、大変な数のカメラがこちらへ向けられていました。

宇都宮駅を過ぎると次第に車窓から首都圏らしさが薄れていき、上野からだいぶ走ってきたなという印象です。現役当時は上野駅を16時20分に発車していましたので、季節にもよりますがそろそろ夕暮れ時といったところでしょうか。

曲面を描く大きな窓、ゴロンと寝転がるとちょうど目の前に大きな空が広がります。あいにく雲一つしかない空ではありますが、時間を忘れてのんびりと過ごすひと時がたまりません。

黒磯駅では2分ほどの運転停車があります。上野駅からずっとノンストップで駆け抜けてきましたが、いったんここで小休止です。

ちょうど12時を回りましたので、12号車の売店を利用できます。乗車時にいただいたアイスクリームチケット&ドリンクチケットを利用し、アイスクリームとホットコーヒーを引き換えてきました。カシオペアの車内限定の何か、というわけではありませんが、長旅のお供となるとついついアイスクリームとコーヒーが欲しくなるものです。

アイスクリームは北海道江別市に拠点をおく「町村農場」のもので、かつてカシオペアが北海道まで運行されていた時代を思い出します。ミルクたっぷりの味わいで、熱々のコーヒーを啜りながらいただく瞬間は至福のひと時です。

12時30分を過ぎ、いよいよお待ちかねの昼食の時間がやってきました。3号車のダイニングカーへと移動します。

ダイニングカーも2階建てで、このうちダイニングスペースは2階のみ。8号車方面から向かう場合は、いったん1階部分に降りてから階段を上がって2階へ向かいます。

現役運行当時、ダイニングカーは夕・朝食での利用のみですから、昼食での利用は昼行運行ならではという感じがします。北斗星乗車時に北海道の内浦湾を眺めながら朝食を食べた記憶も蘇ります。

テーブルは2人掛けのものと4人掛けのものが配置されており、予約客でほぼ満席です。私のような一人客は相席になりますが、窮屈になりすぎないようある程度座席の配置が考慮されています。

全員自動的にフランス料理のコースとなりますので、タイミングを見て一品ずつ運ばれてきます。まずはオードブル「ホタテ貝柱のサラダ仕立て カシオペアスタイル」。カシオペアの車体に描かれた5本のラインに見立てた盛り付けがとても鮮やかです。バルサミコソースをつけていただきます。

2品目は「真鯛ポワレ 赤ワインのクリームソースときのこのクリーム煮を添えて」。真鯛の身はふわっと、皮は香ばしく仕上がっており、クリームソースとの相性も抜群です。また、出来立ての料理を温かい状態でいただけるのも感動です。

3品目は「国産牛ロース肉のソテー 甘酸っぱい林檎の薫りを添えて」。お肉にしっかり味がついておりそのままでも十分美味しいですが、林檎のソースをつけて頬張るとまた違った味わいを楽しめます。林檎のソースには食用の花びらがのっています。

食事の途中、列車は福島駅へ到着。気づけばすっかり東北地方へ突入、ここでは3分ほどの運転停車となります。福島駅を出るとあとは仙台駅までノンストップ、旅も残りわずかとなってきました。

ラストはデザート&コーヒー。デザートは濃厚なガトーショコラ、赤葡萄のシャーベット、いちごとホイップクリームの盛り合わせです。何から何まで列車内とは思えず、また特にこのような不安定な盛り付けを揺れる列車の中で崩さずにテーブルまで運んできていただけるのは本当に凄いことだと感じます。

合間でパンもいただき、お腹いっぱい。文字通り優雅な時間を過ごさせていただきました。

残りの時間は特にしなければいけないこともなく、ただただ車内でのんびりとくつろぐのみ。一度もドアが開かない列車に5時間乗り続ける、というとなかなか大変に聞こえるかもしれませんが、疲れや大変さは1ミリもありません。むしろもう5時間が経過しようとしていることが本当に信じられない思いです。

先ほどもご紹介した通り、カシオペアに使用されるE26系客車は1999年にデビューしました。今年で運行開始から25周年の節目を迎えます。

実は僭越ながら、私も今年で25歳を迎える年となります。つまりカシオペアと私は1999年生まれの同い年なのです。

自分と同い年に生まれた豪華列車には、何としても引退までに一度乗りたいと思いながらこれまでの人生を歩んできました。しかし定期運行時は金銭的に厳しく、またツアー専用となってからも金銭・時間を確保することが難しく、乗車することができていませんでした。冒頭にも述べた通り8年越しの夢が、今回まさに叶ったのです。

寝台列車としては決して古くない、かもしれませんがそれでも四半世紀。近年の世の中の合理化の波に流されれば、カシオペアだってひとたまりもありません。事実、JR東日本は事業用機関車を近く完全に廃止する方針であるとしており、カシオペアの行く先は決して明るいものではありません。

「きっと、あの列車も、いつか――。」そんな不安と焦りに怯えながら過ごしていた学生時代が脳裏にこびりついている私としては、やはり「乗れる時に乗っておく」これが正しいスタンスなのだと改めて感じさせられます。

おそらく私にとって、カシオペアへの乗車は今回が最初で最後になることでしょう。いやもちろん何か機会があればまた是非乗車したいのはやまやまですが、金銭と時間の工面をそう何回もできるわけではありません。

今の私にできること、それはこんなにも素晴らしい列車が存在していたことを一人でも多くの方に知っていただくこと、そして微力ながらその魅力を広めることであると心得ています。

14時59分、列車は時刻通り終点の仙台駅に到着。日によっては大きく遅延することもあるようですが、本日は無事に定刻での到着となりました。

仙台駅のホームでもまた、大勢の鉄道ファンの方が写真撮影をされていました。また鉄道ファンでないと思われる方もカメラを向けており、珍しい列車というのはいつの時代も人の心を惹きつける力をもっていると感じます。

下車後は必ず仙台駅中央改札口へと向かい、係員さんの指示にしたがって改札外解散となります。

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。