わたかわ 鉄道&旅行ブログ

乗り鉄&旅好きの20代男子が全国を巡る!

【祝】北陸新幹線敦賀開業! 富山・石川・福井の温泉を1日で巡る[東京→大阪]

 

2024年3月25日(月)

おはようございます。今朝は東京駅へとやってきました。

2024年3月16日、JRグループ毎年恒例の春のダイヤ改正が行われたばかりです。

今改正最大の目玉といえば、やはり北陸新幹線の金沢~敦賀駅間開業。東京~敦賀駅間が1本のレールで結ばれ、開業初日の一番列車の指定席は瞬殺で満席となるほどです。

今回は「いま日本一アツい新幹線」である北陸新幹線を利用して、東京から大阪へと移動していきます。「東京都区内→大阪市内」を敦賀・北陸・湖西経由で発券する場合の運賃は10,340円で、東海道新幹線のみを利用するルート(8,910円)よりも1,430円だけ高いことになります。

北陸新幹線で運行される列車は〔かがやき〕〔はくたか〕〔つるぎ〕〔あさま〕の4種類。このうち〔あさま〕は東京~長野駅間のみの運行となるため、北陸エリア内では3種類の列車が運行されていることになります。

また、駅名を見ていくと途中に「温泉」のつく駅が3駅あることが分かります。東京方面から順に「黒部宇奈月温泉」「加賀温泉」「芦原温泉の3駅で、何と見事に1駅ずつ富山県・石川県・福井県に位置しています。

というわけで、今回はこの「温泉3駅」に途中下車して各地の温泉を堪能しながら1日で大阪へと向かうことで、北陸新幹線の利便性をしっかりとお伝えできればと思います。

まずは1ヵ所目、富山県の黒部宇奈月温泉へと向かいます。乗車するのは東京6時28分発の〔はくたか551号〕金沢行です。16分発の〔かがやき501号〕は敦賀行ですが、残念ながら黒部宇奈月温泉には停車しないので今回は乗りません。

北陸新幹線は全列車がE7系W7系での運行です。まだまだ新しい新幹線車両というイメージですが、実は2014年のデビューから今年でちょうど10周年となります。北陸新幹線の金沢開業よりも1年前、”長野新幹線”の頃から活躍しています。

今回敦賀まで開業、とはいうものの〔かがやき〕〔はくたか〕の全列車が敦賀行として運行されるわけではありません。〔かがやき〕上下1往復のみと〔はくたか〕朝夕の全列車はこれまで通り金沢発着として運行されています。

E7系W7系は全列車が12両の固定編成で、グリーン車が11号車、グランクラスが12号車というのも共通です。自由席は1号車から順に割り当てられており、両数は列車によって異なります。E7系JR東日本)とW7系JR西日本)で車内の仕様に大きな違いはなく、車体側面のロゴや車内チャイムといった細かな違いがあるのみです。

6時28分、列車は定刻通り東京駅を発車。雨模様の都会のビル群を横目に、北陸の湯めぐりをしながら大阪へと向かう旅のはじまりです。

ちなみに1発目となるこの列車は、JR西日本W7系での運用でした。車内チャイムに「北陸ロマン」が流れ、旅の気分を盛り上げます。

上野・大宮と停車し、大宮からは特に多数の乗車がありました。通路側のC席・D席も多くが埋まっているようです。ただし平日の朝ということで観光客ばかりではなく、ビジネス客も多いようでした。

東京駅ではスキー・スノボに向かうと思われる大学生の集団が多数いましたが、おそらく多くは北陸新幹線ではなく上越新幹線を利用するものと思われます。

東海道新幹線では、途中の名古屋や新大阪などで緩急接続がさかんに行われており、速達列車の停車しない駅へ向かうにしても「途中までは速達列車を使う方が短い時間で移動できる」ということが往々にしてあります。しかし北陸新幹線ではこれがあまり存在せず、基本的には「乗りっぱなし」がベストな判断となることが多いのです。

7時16分、高崎駅に到着。群馬県内最大のターミナル駅ですが、〔かがやき〕全列車と〔はくたか〕の一部は通過します。逆方向の上り方面ではちょうど高崎始発の上越新幹線〔たにがわ476号〕東京行が発車の準備をしていました。

高崎を出ると上越新幹線と分かれ、ここから長野までは1997年に開業した区間を走行します。鉄道の難所として知られる群馬県・長野県境の「碓氷峠」ですが、新幹線はいとも簡単に超えていき、トンネルを抜けると車窓右手には浅間山が見えてきました。

この列車は安中榛名を通過し、次の軽井沢から先は終点金沢まで各駅に停車します。上田を出ると車窓が開け、千曲川沿いの盆地の風景を一望することができます。

8時3分、列車は長野駅に到着。この先上越妙高まではJR東日本区間ですが、ここでJR東→西へと乗務員交代が行われます。車内放送もJR西日本の仕様となり、最近SNSで話題の「WESTER・おでかけネットをご確認ください」の放送が流れます。

山々を抜けて、新潟県に入り列車は日本海側へ。糸魚川付近では車窓からもしっかりと日本海が見え、東京から1本でここまで来ることができる感動を味わいます。

東京から乗車すること約2時間半、8時55分に黒部宇奈月温泉駅へと到着。1回目の途中下車となります。

黒部宇奈月温泉駅は、2015年の北陸新幹線長野~金沢駅間開業時に設置されました。富山県内に3つある新幹線駅のうちの一つで、9年前の開業とはいえまだ十分に新しいピカピカの駅です。

駅名に「温泉」とついてはいるものの、駅前が直接温泉地になっているわけではありません。富山が誇る名湯「宇奈月温泉」へは、ここから富山地方鉄道へ乗り換えて向かうことになります。

新幹線の黒部宇奈月温泉駅に隣接する富山地方鉄道の駅は「新黒部駅」。新幹線開業に合わせて乗換駅として設置された駅ですが、新幹線駅とは駅名が異なります。これから向かう富山地方鉄道の終点が「宇奈月温泉駅」なので、それとの混同を避けたのでしょう。

新黒部駅では、便利な乗車券が発売されていました。新黒部~宇奈月温泉駅間を往復で利用可能な割引きっぷで、お値段は1,200円。通常片道640円の距離なので、確実にお得になります。富山地方鉄道でも富山駅へ行くことができるのですが、敢えてこのような乗車券を発売しているというのはやはりこの駅での新幹線との乗り換え客を狙いにしているのでしょう。

新黒部駅ホームは1面1線で、他の富山地鉄の駅と比べると圧倒的に新しくて綺麗です。上下列車が同じホームへとやってくるため、乗り間違いには注意しましょう。

9時11分発の普通 宇奈月温泉がやってきました。かつて京阪3000系として活躍していた車両で、1990年代に富山地鉄へ譲渡されました。現在は富山地鉄「10030形」として運用されています。

車内は昭和の香り漂う転換クロスシートとなっており、平日朝なのもあってか車内はガラガラです。

初めのうちは駅間も短く、黒部の市街地といった様子ですが、音沢駅を出てから最後のひと区間が非常に長く、山あいの険しい地形を縫って走るように進んでいきます。奥の方には白馬の山々も見えており、美しい景色です。

25分ほど乗車し、9時35分に終点の宇奈月温泉駅に到着。ホームへと降り、階段を上がります。

富山地方鉄道としてはこの駅が終点ですが、隣接する宇奈月駅からは欅平へと向かう「黒部峡谷鉄道」が運行されています。トロッコ鉄道で、どちらかというと観光列車・アトラクションの類ではありますが、私も3年半前に一度乗車したことがあります。

watakawa.hatenablog.com

今回はただ来訪するだけではなく、しっかりと入浴していくというミッション(?)を行っていきます。宇奈月温泉の場合は駅からとても近いところに日帰り温泉湯めどころ宇奈月」があり、何と徒歩1分。朝9時から営業しているそうで、大変ありがたい限りです。

料金は510円で、館内は2階が桃の湯・3階が月見の湯と分かれています。男女は日によって変わるそうですが、本日は月見の湯が男湯でした。なお残念ながら露天風呂は改修工事中につき利用不可の状態でした。

平日朝につき館内は混んでいるということはなく、地元の方が数名入られている程度。41~42℃ほどの入りやすい温度のお湯のほかに43~45℃程度の熱めのお湯もありますが、私は前者にゆっくりと浸かりました。

リーズナブルながら良質な宇奈月のお湯に浸かることができ、またお湯から上がったら休憩スペースでのんびりとすることもできるのでオススメです。

駅周辺には温泉街が広がっており、人気の高い温泉旅館やホテルも立ち並びます。

今でこそ東京~黒部宇奈月温泉駅間は新幹線1本で結ばれ、そこから富山地鉄へ乗り換えるにしてもスムーズな接続となっていますが、かつて東京方面からこの宇奈月温泉へ訪れる場合はかなり面倒な乗り換えとなっていました。というのも、東京からまずは長野新幹線ではなく上越新幹線へと乗り込み、越後湯沢で在来線特急はくたか号へと乗り換えます。特急はくたか号は北越急行線を経由して金沢方面へと向かいますが、その途中の「黒部駅」は一部の列車しか停車しません(上下4往復のみ)でした。しかも仮に黒部駅で下車したとしても富山地鉄の「電鉄黒部駅」は若干離れており、スムーズな乗り換えを望むのであれば黒部駅よりもさらに先の「魚津駅」または「富山駅」まで乗車する必要があったのです。

恥ずかしながら私も、新幹線の駅名に「宇奈月温泉」という言葉が使われるまでこの温泉地の存在を知りませんでした。元々鉄道においては首都圏と北陸地方の結びつきは関西のそれと比べてそれほど強くありませんでしたから、無理もないことでしょう。

逆に新幹線の駅名として採用されたことで、この温泉地のPR効果は絶大なものであったということは想像に難くありません。現に私もその魅力に惹かれ、今回を含め2回来訪しています。

午前中のため営業しているお店は多くありませんでしたが、「とうふプリン」(290円)なるものを発見。瓶に入ったシンプルかつお洒落なプリンで、優しい甘さの中にほのかに香るとうふが絶妙なアクセントになっています。

さて、今日はあともう2ヵ所の温泉地を巡らねばなりませんので、1湯目はこのくらいにして次の目的地へ移動していこうと思います。

乗車するのは、宇奈月温泉11時02分発の富山地方鉄道 特急〔くろべ22号〕電鉄黒部行です。スクロールにも流れている通り有料特急で、乗車券のほかに特急券(110円)が必要となります。

しかしホームに降りてみると、そこに停車していた車両はあまり特急感のなさそうな車両。そう、どうやら富山地鉄の特急は普通列車と大差ない場合があるようです。

ただし今回私が利用している「新黒部⇔宇奈月温泉」の往復割引きっぷでは特急料金も含まれているため、特に損した気分になはなりません(むしろ込みなのでお得!)。

列車は定刻通り宇奈月温泉駅を発車。来た道を戻ります。普通列車では25分程度かかる距離ですが、特急は新黒部までノンストップなので少し所要時間も短めです。

11時19分に新黒部駅へと到着。乗客の方はほぼ全員ここで降りられるようでした。線路は電鉄富山駅まで続いていますが、この特急はそもそも電鉄黒部駅までしか行かないので新幹線接続を前提とした運用のように思われます。

それでは約2時間ぶりに新幹線の経路へと戻り、次の「加賀温泉」へ向かいたいと思います。

乗車するのは黒部宇奈月温泉11時52分発の〔はくたか557号〕金沢行。当駅からはしばらく敦賀行の新幹線がないようなので、いったん金沢行に乗車しその先で乗り換えることにします。

車内の内装は何ら変わりませんが、今度はE7系JR東日本)の運用にあたったようです。車内チャイムが北陸ロマンではなく、東北新幹線上越新幹線等で使われているものと同じであることから気づきました。

わずか12分ほどの乗車で、12時04分に富山駅へと到着。ここでいったん下車し、後続の列車を待つことにします。

そしてここ富山駅から改めて乗車するのは、12時30分発の〔かがやき509号〕敦賀です。途中の停車駅は「金沢・加賀温泉芦原温泉・福井」と表示されており、これに乗れば2湯目の加賀温泉へ行くことができそうです!

本日初となる、敦賀行の新幹線への乗車。いよいよ新駅へ向かいます!(画像ブレブレですみません)

富山駅では改札の外に出ていないため、特急券を通しで発券することができます。温泉駅から温泉駅へ、列車名・座席番号等も細かく記された情報量の多い特急券です。

〔かがやき〕は2015年の運行開始当初より全車指定席で、これは今回の敦賀開業でも引き続き変わりません。車内は朝の〔はくたか551号〕と比べるとだいぶ混雑しているようで、平日ではあるものの春休み期間に突入し家族連れやグループの観光客が多いようでした。〔かがやき〕は大宮~長野駅間をノンストップで走行する速達列車ですから、おそらく多くの乗客が首都圏からずっと乗ってきているのだろうと思います。

ちょうどお昼時なので、富山駅で購入した駅弁「ますとぶり小箱」(1,100円)をいただきたいと思います。富山といえば「ますのすし」が有名ですが、こちらはそれに加え「ぶりのすし」も両方味わえる欲張りなセットです(真ん中の葉っぱを取ることができると気づかずに中途半端に持ち上げた状態で撮影していますがあまり気にしないでください)。

定番「ますのすし」は安定の美味しさ、そして「ぶりのすし」は口の中でとろけるぶりの旨味と野菜のしゃきしゃき感が絶妙にマッチしてこれまた珠玉の一品です。

12時49分、列車は金沢駅に到着。ここで強制下車となっていたのも今は昔、今回はこのまま引き続き乗車することができます! 一方で到着時に在来線特急〔サンダーバード〕〔しらさぎ〕への乗り換え案内がないのはやや不思議な感覚でした。

金沢駅を発車し、いよいよ2024年3月16日に開業した区間へと差し掛かります。

金沢駅での乗降はもちろん少なくありませんが、一方で思っていたよりも多くの乗客が金沢駅を跨いで乗車し続けていたのもまた印象的でした。2015年以前までは金沢駅を跨いで運行されていた在来線特急も多く、かつてそうした列車を利用していた人にとっては9年ぶりに「金沢駅での乗り換えが不要」な状態となったわけです。

「新幹線は金沢まででよかった」とこれ見よがしの主張も一部で見られるところですが、そうではなくむしろ「延伸してくれたことで乗り換えの手間が減った」という喜びの声もあることを忘れてはなりません。

進行方向左手には、白山総合車両所が見えてきます。2015年より使用されている新幹線の車両基地で、今回新たにここに併設される形で観光施設「トレインパーク白山」もオープンしました。また折を見て足を運んでみたいところです。

金沢を出て最初の新幹線駅は小松。一部の〔かがやき〕〔つるぎ〕と全ての〔はくたか〕が停車します。今回は猛スピードで通過してしまいました。

小松を出てすぐ左手に見えてくる大きな湖のような場所は「木場潟」と呼ばれます。在来線は木場潟から少し離れた位置を走っていますが、新幹線はすぐ横を通るため在来線特急の車内とは違った景色を楽しめます。

13時05分、いよいよ加賀温泉駅に到着。

金沢を出てわずか14分、近い、近すぎる!!!

発車標には新幹線の開業を祝う記念のメッセージのほか、1月に発生した能登半島地震の一日も早い復興を祈念するメッセージが流れてきました。

ホーム上・駅構内は紅殻格子をイメージした装飾が各所に施されており、観光地・温泉地へ来たことを強く実感させてくれます。

さて、では2湯目は加賀温泉へ入浴に…と言いたいところなのですが、残念ながら加賀温泉」という温泉地は存在しません

「黒部」宇奈月温泉に続きまたかよ…と思うかもしれませんが、これには理由があります。駅周辺には片山津温泉山代温泉山中温泉といった様々な温泉地があります。かつての特急は周辺の動橋駅・大聖寺駅に分散して停車していたのですが、これらを集約する目的でそれまで「作見駅」として細々と営業していた小さな駅を「加賀温泉駅」に改め、特急を集めることでこの地域の観光拠点としたのです。

いずれの温泉地も駅からは基本的にバスでの移動となります。旅館の宿泊予約をしていると駅まで送迎をしてくれる場合がありますが、今回は日帰り入浴なので北陸鉄道バスの路線バスに乗り込みたいと思います。加賀温泉駅13時20分発の山中温泉です。

車内は観光客を中心に、地元の方も乗車されており平日昼間ながらやや混雑。残念なのは交通系ICカード非対応で、その代わり新幹線開業日からクレジットカードのタッチ決済に対応開始したようでした。今回私は現金で乗車します。

15分ほど乗車し、山代温泉に到着。加賀温泉エリアの中でも、今企画2湯目は山代温泉をチョイスすることにしました。

山代温泉バス停自体はいたって普通の住宅街の中にありますが、そこから数分歩くと温泉街となります。というかこのバス停に着く少し手前から有名な温泉旅館群が次々車窓に映り、「あぁ…宿泊してぇ…」と心の中で一人叫んでいました。

温泉街を歩いていると、あちこちの側溝から温泉の湯気がもくもくと上がっています。近づいてみるとほんのり温泉の香りがするもので、すごく贅沢な空間です。

今回数ある加賀温泉郷の中でも山代温泉をチョイスした理由の一つは、この「古総湯」へ入ってみたかったため。1300年の歴史を誇る山代温泉の伝統を今に伝えるべく復元された昔ながらの共同浴場で、外観からいかにも味のある雰囲気が漂います。北陸新幹線敦賀延伸開業のCMでも登場するほど石川県・加賀を代表する観光地となっており、せっかくなので入浴してみることにします。

なお料金は3月末時点で大人500円でしたが、2024年4月1日より料金が改定され現在は700円とのこと。

中へ入ると、建物の外側をぐるっと一周するような形で通路が設けられており、そこには古総湯ならびに湯の曲輪(ゆのがわ)の再生にまつわるエピソードなどが紹介されています。

券を買い、のれんをくぐり中へ。石鹸やカランの設備はなく、脱衣スペースは浴場内にあるという独特の造りをしています。浴槽は中央に1つあるのみです。

ゆっくりと浸かってみると…とにかく熱い! 歴史の重みも相まってか(?)、実際の温度以上に熱く感じます。いや温度計があるわけではないので正確なところ何度なのかは不明ですが、どうもスタッフの方いわく源泉は50℃以上とのこと。

建物は木がふんだんに使われており、浴場内でも木の香りが漂います。また壁や床には細やかな装飾もなされ、タイムスリップしたかのような感覚です。温度的になかなか長湯は難しいところですが、できることならいつまでもその空間にいたいと感じるほどでした。

急な階段を上がると、2階に休憩室があります。座布団が敷かれ、冷水のサービスもあります。外の気温は10℃ほどでしたが、お湯の温度の高さのあまり短時間の入浴でもしばらく汗が止まらず、少しここでのんびりしていました。

程なくして汗もやみ、古総湯を後にします。次は是非古総湯・総湯セットでじっくり楽しみたいところです!

山代温泉の温泉街では「祝開業 北陸新幹線 加賀温泉駅」と書かれた幟があちこちに並びます。2022年夏に西九州へ訪問した際に嬉野温泉で見た光景と似ており、やはり温泉の街に新幹線が通ることへの期待は大変大きなものなのでしょう。

湯上りのデザートに、ふと温泉街の中で見つけたモンブラン・芋スイーツのお店「Monta-Yu加賀」さんへ。モンブランソフトクリーム(480円)を注文しました。一般的な栗のモンブランではなく焼き芋を使用しておりとっても甘みが強く、その甘みの中にもサツマイモのほくほく感が残りソフトクリームとの相性は抜群です。

名残惜しいところですが(本当は泊まりたかった)、山代温泉を後にします。山代温泉バス停15時07分発(+5分ほど遅延)の北陸鉄道バスにて、加賀温泉駅へと戻ります。

15時27分頃、加賀温泉駅に帰着。帰りも私は250円の現金払いですが、クレジットカードのタッチ決済の機器がトラブルを起こしており、タッチ決済を利用していたはずの人はスムーズな降車ができず困り顔をしていました。まだ最新の設備なので乗客乗員の両者にとって慣れるまでに時間がかかるかもしれませんが、現金への安心感もまた感じるものです。

というのも、次に乗車する新幹線は加賀温泉15時38分発の〔はくたか563号〕敦賀。乗り継ぎ時間が10分ほどしかなかったため、大きな遅延やトラブルは何としても避けたかったというのがあります。

本日3回目の北陸新幹線乗車、もちろんいつも同じ顔の12両編成ですが真新しいホームにゆっくりと入線する姿はまた一段とカッコ良いものです。

列車は定刻通り加賀温泉駅を発車。次はいよいよ3湯目、芦原温泉を目指します。

加賀温泉芦原温泉駅間は新幹線でわずか1駅、所要時間は何と10分にも満たない区間です。しかしこの区間は県境越えにあたり、牛ノ谷峠という険しい峠が立ちはだかります。車窓は大部分がトンネルで、景色はそれほど期待できません。

1駅間につき、せっかくなので本日初の「自由席」を利用してみました。〔はくたか563号〕は1~3号車が自由席で、1駅なので「特定特急券」の対象となり自由席特急料金はわずか880円。かつての在来線特急ではA自由席特急料金適用につき760円のところでしたのでそれでも在来線特急時代よりは高いですが、短い区間でも気軽に新幹線へ乗ろうと思える金額なので悪くはないと思います。

15時46分、気がつくとあっという間に列車は芦原温泉駅へ到着。3湯目、福井県芦原温泉に入浴していきます!

ちなみに芦原温泉駅は中線の通過線がなく、列車の待避を行うことはできません。2面2線構造となっています。

駅構内は暖色が積極的に用いられ、高級感も漂うあたたかみのあるデザインです。曜日と時間帯的なこともあってか、人気(ひとけ)がないのは致し方ないところでしょうか。

メインとなる出口は正面口(西口)で、ハピラインふくいのホームも見える在来線側の駅舎となります。加賀温泉駅と同様に温泉旅館の送迎バスが次々とやってきており、早くも温泉地の玄関口としての気合の入りようを感じます。

駅に隣接して新たにオープンした商業施設「アフレア」の中には、新幹線・在来線・路線バスをといった各種交通機関の発車時刻をまとめた便利なディスプレイもありました。

これから向かうのは、芦原温泉の中心地にある「セントピアあわら」。観光案内所で優待券をいただくことができました。

乗車するのは、芦原温泉駅16時10分発の京福バス東尋坊線 龍翔博物館前行。有難いことにこちらでは新幹線開業を機に全国相互利用の交通系ICカードも利用できるようになったとのことで、利用させていただきました。

こちらの車内はうってかわってガラガラ。ICカード利用可能というだけでも嬉しいことですが、何と3月16~31日の毎日および4月・5月の土日祝とGWはICカード利用時に運賃が自動で半額になるキャンペーンを実施中とのこと。芦原温泉駅~セントピアあわら間は通常300円ですが、何と150円で乗車できました。

10分ほどの乗車で、バスはセントピアあわらに到着。温泉施設の名前がそのままバス停になっているとは、人気・知名度が高いことの表れでしょう。

しかしここで、予想もしていなかったことが起こります。

セントピアあわらの前で写真撮影をしていた矢先、一瞬気が抜けた時に手を滑らせてしまい、愛用のコンデジアスファルトに落下。本体外部の傷などはなく安心したのもつかの間、どうも内部の損傷が激しかったようで…電源を入れてもレンズに何も映らなくなってしまいました。

というわけで、ここから先の画像はコンデジではなくスマホのカメラを使用したものでお届けしてまいります。

セントピアあわらはえちぜん鉄道三国芦原線あわら湯のまち駅からも近い温泉施設。先ほどの古総湯とは対照的に、街の中のスーパー銭湯といった様子です。

中へ入り、夏祭りのような華やかな装飾に出迎えられながら受付へと向かいます。どうも温泉にまつわる様々な展示や紹介もあったようですが、コンデジが損傷したことのショックで動揺のあまりほとんど視界に入っていませんでした。

入館料は通常大人500円ですが、先ほどご紹介した優待券により2割引で400円に。なお、2024年6月1日より値上げされ通常大人は600円となるようです。

館内は3階の「天の湯」と1階の「地の湯」に分かれており、1週間ごとに交代となるようです。今回の訪問時は男湯が「地の湯」でした。

脱衣所は広く、また浴場内は天井が高く開放感のある空間が印象的です。湯舟は田んぼの「田」の字を描くような配置で、湯舟から直接隣の湯舟へ…と次々に芦原の湯へ浸かることができます。

入浴後は休憩スペースにて、コーヒー牛乳でひと休み。1日で3ヵ所もの温泉を巡ったことなど人生で初めてですので、体は十分温まっており長湯するという感じでもありませんでした(古総湯~セントピアあわらの移動があっという間だったのもある)。

セントピアあわらより、17時54分発の京福バス東尋坊芦原温泉駅に乗り込み来た道を戻ります。帰りも交通系ICカードにて、やはり運賃は半額の150円となりました。

本当ならば東尋坊・三国方面の観光もしてみたいところでしたが、今回はあくまでも「温泉」を巡るというキツい縛りがありますので、そのほかの観光はまたの機会とします。

十数分で芦原温泉駅に帰着。

少し時間があったので駅の反対側(東側)へやってきてみました。どうやら観光地とはうってかわってこちらは工業団地となっているようです。温泉駅の駅前に工場がそびえる光景はなかなか新鮮ですが、こうした工業団地への足としても今後は新幹線が積極的に使われていくことでしょう。

これにて宇奈月温泉山代温泉芦原温泉と計3湯の湯めぐりが終わり、残すは本日のゴールである大阪へ向かうのみ。「芦原温泉→大阪」はつい先日まで乗り換えなしで行けていましたが、現在は必ず乗り換えが必要となります。

乗車するのは芦原温泉18時32分発の〔つるぎ41号〕敦賀。原則として〔つるぎ〕は敦賀駅で大阪方面・名古屋方面の在来線特急への接続を取る形ですが、新幹線の行先は「大阪」「名古屋」などではなくあくまでも「敦賀」です。

また号数も〔かがやき〕〔はくたか〕での上り・下りと揃えているため、大阪・名古屋方面への利用を想定している列車でありながらその途中の敦賀までは号数が奇数となります。

列車は定刻通り、芦原温泉駅を発車。この先福井、越前たけふと各駅に停車して敦賀へ至ります。

〔つるぎ〕は2015年の新幹線金沢開業時に既に運行を開始していました。当時の運行区間は富山~金沢駅間のみで、金沢駅にて在来線特急との接続を取ることで大阪・名古屋~富山駅間を直通していた在来線特急の代替となるものでしたが、今回の改正によってこの区間のうち〔つるぎ〕の担う距離の割合が増えたということになります。

あっという間に列車は次の福井駅に到着。福井駅は全国的にも珍しい、1面2線の島式新幹線ホームとなっています。全列車が停車しますが、当駅を始発・終着とする新幹線は設定されていません。

越前たけふ駅は、金沢~敦賀駅間で唯一となる新幹線単独駅です。かつての北陸本線で特急停車駅であった武生駅鯖江駅の代替として設置されました。またこれに伴い、福井鉄道福武線の終点「越前武生駅」は読みが同じとなるため、先行して2023年2月に「たけふ新駅」へと改称されました。

また、かつて〔つるぎ〕といえば8~10号車・12号車は締切扱いでしたが、今改正よりこれらの号車も含めて発売されています。

越前たけふ~敦賀駅間は険しい山がそびえており、新幹線はここを長さ約20kmの「新北陸トンネル」で一気に貫きます。そもそも越前たけふ~敦賀駅間は30kmほどのため、実にこの区間の3分の2はひと続きのトンネルということになります。

トンネルを抜けると、敦賀の街の明かりが見えてきました。高架線の中でもひときわ高い位置を走行するため、眺めは抜群です。

芦原温泉駅からちょうど30分の乗車で、19時02分に終点の敦賀駅へ到着!

ここからは階段・エスカレーターを降りて中間改札へ向かい、さらにその先の特急専用ホームに向かいます。

敦賀駅の新幹線駅舎はドーム状の屋根をした広々とした造りで、11~14番線が新幹線ホームとなります。新幹線と在来線特急の乗り換え時間は最小限に設定されており、ここをてきぱきと歩いていく必要があります。

中間改札の自動改札機はずらりとたくさん並んでいますが、大きな荷物を転がしていたり小さな子どもを連れていたりするとなかなかささっとはいかないもの。乗り換え方法についてはスマホから確認できる旨が敦賀駅到着前の新幹線車内でも頻りにアナウンスされていますが、慣れない乗り換えは誰でも戸惑うものです。春休み期間中とはいえ平日でこの混み具合ですから、大型連休やお盆・年末年始等はさらに大変なことになりそうです。

改札をくぐり抜けた先、大阪・名古屋方面へと向かう特急の専用ホームは33・34番線となります。湖西線(京都方面)・北陸本線米原方面)の普通列車が発車するホームとは異なります。

エスカレーターを降りると…そこにはおなじみ、北陸特急が待ち構えていました!

33番線が大阪方面、34番線が名古屋方面と決まっているようです。新しく割り振られた番線番号のため大変大きな数字ですが、何も敦賀駅に計34個の乗り場があるわけではありません。

名古屋方面へは19時10分発の〔しらさぎ62号〕米原行(終点米原東海道新幹線に乗り換え)、その後大阪方面へは19時14分発の〔サンダーバード42号〕大阪行、と続きます。たいていはどちらか先に発車する方の列車が新幹線到着から8分後の発車で、そこから数分差でもう片方の方面への列車が続けて発車するようです。

私はサンダーバード号の方に乗り込むことになります。運行区間が短縮され敦賀駅の発着ホームも変わりましたが、車両はこれまで通り681系・683系が使用されます。「サンダーバード 大阪」の方向幕は健在です。

今回の私の列車は敦賀駅にて後発の特急だったため乗り換え時間が12分間あり、比較的余裕があった印象です。先発のしらさぎ号の8分乗り換えも、特段トラブルがなければ問題なく乗り換えられる時間なのですが、例えば新幹線から降りるのが遅くなったり、中間改札で引っかかったりするとタイムロスとなり乗り継げない可能性もでてくるかもしれないと感じました。やはり北陸新幹線は1日も早く新大阪までの全線開業が望まれるところです。

しらさぎ62号に続き、サンダーバード42号も定刻通りに敦賀駅を発車。途中停車駅は京都、高槻、新大阪です。

敦賀駅を出るとすぐに従来の在来線の線路と合流し、その先の近江塩津駅湖西線北陸本線に分かれます。

せっかくなので、ここで芦原温泉駅で購入した福井名物「焼き鯖寿司」(1,404円)をいただきます。肉厚な鯖の身はふっくらとしていて、お値段は少々張りますがとても美味しいです!!

ちなみに今回の改正で、サンダーバード号・しらさぎ号はいずれも自由席が廃止され、全車指定席となりました。多くの場合、両列車とも5・6号車が自由席となっていましたので、改正後ならではということで今回はサンダーバードの「5号車指定席」を取ってみました。

美味しい焼き鯖寿司を食べているうちに列車は湖西線を高速で駆け抜け、あっという間に京都駅へ到着。ここで一定数の人が降りていく、というのはこれまでもこれからも変わりません。

今回ひとまず敦賀まで開業を果たしたものの、その先の新大阪までの開業の目途は明確に立っていません。果たしていつになるのか、そしてどのようなルートで新大阪駅へ乗り入れるのか(それとも別にターミナルを設けるのか?)…よく言えば今後への期待、悪く言えば今後の不確定要素が大きな新幹線でもあるのです。

20時38分、列車は定刻通り終点の大阪駅へ到着。

14時間10分かけ、東京から大阪まで北陸3県の温泉を巡りながら移動することができました!

どの温泉も大変すばらしく、また改めてそれぞれじっくりと再訪したいと思うところばかりですが、1日で3湯全てを巡るのは体力的にも負担が大きいのであまりオススメはしません(笑)。

北陸新幹線が延伸開業したからこそ、各地での滞在時間を長くして時間にゆとりをもった旅をしていくとよいでしょう!

 

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。