わたかわ 鉄道&旅行ブログ

乗り鉄&旅好きの20代男子が全国を巡る!

【思わぬハプニングも】国内最長運行距離の私鉄特急「京都しまかぜ」全区間乗車!

 

2022年3月3日(木)

今回は京都駅より、日本一運行距離の長い私鉄特急へと乗車していきます。

全国の数ある私鉄の中で最も広域な運行ネットワークをもつのが近畿日本鉄道近鉄)。その名の通り近畿地方全体で路線を展開しており、名古屋・京都・大阪といった複数の都市にターミナルを持ちます。

今回乗車する「日本一運行距離の長い私鉄特急」とはこちら。京都10:00発の特急〔しまかぜ〕賢島行です。2013年のデビューからまもなく10周年を迎える近鉄の最上位クラスの特急列車で、名古屋・京都・大阪難波の3つのターミナルからそれぞれ伊勢志摩方面へと運行されています。その中でも最長距離となるのが、この京都発着便というわけです。

京都~賢島駅間の運行ルートと〔しまかぜ〕の停車駅は上図の通り。その距離何と195.2kmにも及びます。東海道本線で言えばおよそ東京~焼津駅に匹敵する距離で、いかに長いかというのが分かるかと思います。

ちなみに他に運行距離の長い私鉄特急として、首都圏で運行されている東武・野岩・会津鉄道の〔リバティ会津〕(浅草~会津田島)を思い浮かべる方もいらっしゃるかもしれません。あちらも十分長いのですが、それでも距離にして190.7kmということで京都しまかぜには5kmほど足りません。ちなみに京都しまかぜよりもリバティ会津の方が表定速度は遅く、所要時間も長くなっています。

〔しまかぜ〕には近鉄50000系という専用の特急車両が充当されます。前面はキリっとした顔立ちで、他の鉄道車両とは明らかに異なるオーラを放っています。

〔しまかぜ〕が運行を開始したのは2013年の3月。実はこの時の発着駅は名古屋と大阪難波のみで、京都発着便が運行を開始したのはその約1年半後の2014年10月のことでした。大阪と京都といえば比較的近い位置にあるようなイメージがありますが、それはあくまでもJRのイメージであり近鉄では全くの別路線上にあたります。

しかも西日本方面から新幹線と近鉄特急を乗り継いで伊勢志摩方面を目指す際、大阪では新幹線のターミナル(新大阪)と近鉄特急のターミナル(大阪難波大阪上本町)が離れているのに対し、京都であればどちらも京都駅に集約されており、大きい荷物を抱えた旅行客にとっても乗り継ぎの利便性が高く重宝されるようです。

発車時刻も迫っているので車内へと入ります。今回乗車したのは〔しまかぜ〕の編成内で最も座席数の多い「プレミアムシート」。2+1列のゆとりある座席配置となっています。他に和風個室・洋風個室・サロン席といった多彩な客室が用意されており、他の近鉄特急と比べてもいかに編成全体として水準の高い空間が提供されているかが分かります。

列車は10:00ちょうど、定刻通りに京都駅を発車。しかし早速、気になるアナウンスが流れました。

何と「近鉄宮津駅付近で沿線火災が発生したため、列車に遅れや行先変更が生じる可能性」とのこと。近鉄宮津駅京都府京田辺市にある駅で、京都駅からもさほど遠くはありません。〔しまかぜ〕に乗ったのに京都府内で旅行終了となってしまっては旅程崩壊もいいところですが…どうなるか。

まず列車は最初の途中停車駅である近鉄丹波橋駅に到着。本来ここでの停車時間はわずかのはずですが、この先に運転見合わせ区間があるため列車が詰まっているようで、近鉄丹波橋には5分ほど停車していました。その後「とりあえず大久保駅まで進みます」というアナウンスの下、10:12頃に再び動き出し近鉄丹波橋駅を発車しました。

そこから10分ほど走り、大久保駅へと到着。ここで列車が停止しました。本来停車駅ではないためドアが開かない「運転停車」です。どうやら運転見合わせ区間は新田辺~高の原駅間となっているようで、大久保駅では8分間ほど運転停車をしました。

まもなくして、ようやく運転再開。火災現場付近を通過する際は安全を確認しながら徐行して通過しており、〔しまかぜ〕の大きな窓からはまだ煙が上がっているのが確認できました。焦げ臭さが車内まで立ち込め、〔しまかぜ〕の乗務員さんが各座席を回って丁寧に遅れのお詫びをされていたのがとても丁寧で印象的でした。

10:54頃、列車は大和西大寺駅へと到着。この時点で23分遅れとなっています。

ホーム上で待ちくたびれていた乗客たちをのせ、列車はすぐに発車。この先この遅れを取り戻せるのか気になります。

ここで改めて〔しまかぜ〕の座席をご紹介。肘掛けの部分にコントロールパネルが設置されており、リクライニング等は全てボタン操作にて自動でできます。

背もたれを限界まで倒し、レッグレストも出してみるとご覧の角度に。いやもう歯医者さんの椅子なんよこれ。四捨五入して寝台では…!?

乗車後まもなくすると、乗務員さんから記念乗車証とおしぼりが配られます。近鉄特急では〔しまかぜ〕に限らず以前からおしぼりの文化があるようですが、大半の特急では様々な車両のイラストが描かれた汎用的なデザインのものが洗面所に置かれているのみ…のようで、しまかぜオリジナルデザインのおしぼりはとても貴重です。とはいえ使わずにとっておいたところで乾いてしまってはどうしようもないので、新鮮なうちに(?)使ってしまうのがオススメです。

大和西大寺駅を発車してからは、列車はあまり徐行することもなく特急らしい走りを見せてくれています。車窓には近鉄車両基地もありましたが、普段乗らないので車両形式等はさっぱり分かりません(笑)。

新ノ口連絡線を通り、大和八木駅には11:15頃に到着。橿原線内での快調な走りもあってか、遅れ時分は少し縮まり21分遅れとなっていました。

大和八木駅からは大阪線へと入ります。そして次の停車駅は何と山田線の伊勢市駅。大和八木~伊勢市駅間は100km以上あり、この距離をノンストップで駆け抜けます。

列車は奈良県から三重県へと入り、山間部を進んでいきます。途中に名張など比較的大きな街もあるものの、近鉄の最優等列車である〔しまかぜ〕はもちろん通過。青々とした車窓が広がります。

ここでせっかくなので、3号車にある「カフェ」へ。何と〔しまかぜ〕では列車の中に供食設備があり、温かい食事をいただくことができるのです!!

様々なメニューがある中でも、注文したのは「松阪牛」。お茶とお新香がついてお値段は1,500円です。まぁ見たらわかると思うんですが本当に超絶美味しくて。お肉がとにかくやわらかいんです! ご飯が見えなくなるくらいまでぎっしり敷き詰められたお肉やお野菜は味がしっかりしみ込んでいて、一瞬でペロリとたいらげてしまいました。

お値段だけ聞くと1回の食事にしてはやや高めと感じるかもしれませんが、流れる景色を眺めながらこれほどまでに味わい深い牛肉重をこの価格でいただけると思ったら安いものです。

まもなく列車は伊勢中川のデルタ線へと入り、大阪線に別れを告げて山田線へと入っていきます。遅れの影響か、伊勢中川駅への入線を待つためデルタ線上でいったん運転停車をしました。

12:26頃にようやく伊勢市駅へと到着。大和八木駅を出て以来、約1時間10分ぶりの客扱い停車となります。遅れ時分を確認してみるとどうやら「25分遅れ」ということで、残念ながら山越え区間で遅れ解消とはならなかったようです。

近鉄では、〔しまかぜ〕も含めた全ての旅客列車が「伊勢市駅」とその次の「宇治山田駅」の両方に必ず停車します。しかし地図をよく見てみると両駅間は極めて近く、距離にしてわずか600mほどしかありません。しかもカーブになっていますので、伊勢市駅を出た列車はほとんど速度を出すことなく瞬時に次の宇治山田駅へと到着します。

JR・近鉄の2社が乗り入れることもあり、伊勢神宮周辺の観光拠点は「伊勢市駅である」と勘違いしてしまいがち。もちろん伊勢市駅伊勢神宮の重要な玄関口なのですが、それよりも近鉄では宇治山田駅の方が主要な役割を果たしています。駅舎も大きく、一部の特急はここ宇治山田駅を始発・終着として運行されています。

宇治山田駅を出ると鳥羽駅までは「鳥羽線」、その先終点の賢島駅までは「志摩線」と呼ばれ、末端区間では路線名がコロコロ変わります。とはいえ山田線・鳥羽線志摩線では一体的な列車の運行が行われており、今回の〔しまかぜ〕も含め伊勢中川以南は実質的に1つの路線として認識されています。

志摩赤崎駅では運転停車を行い、上り列車との行き違いを行いました。これが遅れの影響によって急遽志摩赤崎駅で行われたものなのか、それとも普段からここ志摩赤崎駅では京都しまかぜとの列車交換が行われるのかについては謎です。

そして列車はようやく終点の賢島駅へと到着!

定刻では賢島12:47のところ、26分遅れて13:13頃の到着となりました。京都駅を出てから実に3時間以上を要したことになります。普段は京都~賢島駅間で2時間47分のところ、3時間の大台を突破する貴重な経験ができました。

隣のホームには、近鉄名古屋から来た〔しまかぜ〕も停車中。曜日によってはここに大阪難波発着便も加わり、〔しまかぜ〕3本が綺麗に並ぶ光景を見ることもできるようです。

ということで、今回は国内最長の私鉄特急「京都しまかぜ」をご紹介しました。

ちなみに京都~賢島駅間を結ぶ特急は1日にこれ1本のみではなく、他にも伊勢志摩ライナー等を使用した直通列車が設定されています。興味ある方は是非乗られてみてください!

 

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。