わたかわ 鉄道&旅行ブログ

乗り鉄&旅好きの20代男子が全国を巡る!

#2 特例を活かした内陸ルートで新宿から名古屋へ! 中央本線を特急で走破【特急リレー最長片道切符の旅】

 

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watakawa.hatenablog.com

 

1日目 2022年5月1日(日)

特急〔成田エクスプレス26号〕にて、終点の新宿駅には15時過ぎに到着。ここからさらに乗り換えて西へと進んでいきます。

ここから乗車する通算3本目の列車は、新宿16:00発の特急〔あずさ37号〕松本行です。本日の目的地である名古屋へと向け、まずは山梨方面へと進んでいくことになります。

東京~名古屋間には「東海道本線」と「中央本線」の2通りのルートがあります。東海道の方には半世紀以上前から新幹線が並行しており、東名間の移動としては圧倒的にこちらが主流です。そのため在来線特急は概ね地域ごとでの運行となっており、特急のみを乗り継いで東京→静岡→名古屋…と移動することはできません。在来線では熱海駅を境に東側がJR東日本JT)、西側がJR東海(CA)となっています。

一方で、東海道本線のルートよりも内陸部を走るのが中央本線。こちらは長野県にある塩尻駅を境に東側がJR東日本(JC・CO)、西側がJR東海(CF)の管轄になっています。東海道と異なり並行する新幹線はない一方で、東京・名古屋のそれぞれから松本・長野方面へと繋がる主要ルートでもあるため在来線特急が数多く運行されています

すなわち、今回の企画では東海道本線方面よりも中央本線方面へと進むのがよさそうです。

中央本線の起点は東京駅ですが、特急はほとんどが新宿発着で運行されており東京駅まで乗り入れるものはごくわずかです。新宿駅では9・10番線が特急専用ホームとなっており、朝から晩まで概ね30分間隔で甲府・松本方面へと特急が発車していきます。

列車は定刻通り16:00ちょうどに新宿駅を発車。窓側は埋まっている区画が多い一方、通路側であればかなり余裕があります。

まずしばらくは複々線区間が続き、各駅停車と快速が別々の線路を走る直線区間になっています。線形も良いのでスピードを出して走るか…と思いきや、かなり徐行に徐行を重ねたゆっくりとした走りが続きます。どうやらこの特急の前を走る列車が国立~立川駅間で異音の確認を行ったようで、前が詰まっているのだそうです。

最初の停車駅である立川を7分ほど遅れて発車。車窓左手に視線を向けると、豊田の車両センターが広がっています。かつては引退した国鉄型の車両などもここに留置されていたと聞いたことがありますが、最近はどうなんでしょうか。

車内では、新宿駅にて凸していただいたけいじぇーくん@Hyu00533)からもらった水ゼリーで安らぎのひと時を過ごします。500mL以上ある特大サイズですが、ゴクゴク飲めるのですぐになくなりました(笑)。

立川の次に停車する八王子駅を9分遅れで発車し、高尾を通過するとようやく特急らしいスピードで走るようになりました。東京23区内を発着する中央線の電車はおおよそこの高尾駅までとなるものが多く、これより先は普通列車の本数が大きく減少します。車窓もすっかり都内のビル群からはかけ離れたのどかなベッドタウンとなってきました。

この先の大月駅では、線路が二手に分かれています。片方が甲府方面、もう片方が富士急行線に直通する河口湖方面となっています。河口湖方面には2019年に運行開始された新宿方面からの特急〔富士回遊〕も運行されており、一部の〔あずさ〕〔かいじ〕は大月以東で〔富士回遊〕と連結して走ります。そのためここ大月は〔かいじ〕〔富士回遊〕の全列車のほか〔あずさ〕の一部も停車する主要な駅ですが、今回乗車している〔あずさ37号〕は最速達便ということでこの大月すらも通過してしまいます。

高尾からしばらくは険しい山岳区間が続いていましたが、いくつものトンネルを通り抜け塩山付近までやってくると車窓が一気に開けてきました。いよいよ列車は甲府盆地へと突入していきます。

この甲府盆地の東側には、順に「塩山」「山梨市」「石和温泉という3つの特急停車駅があります。まとめて”峡東3駅”とも呼ばれるこれらの駅には全ての〔かいじ〕が停車する一方で、〔あずさ〕はその多くが通過してきました。2019年のダイヤ改正中央東線の特急ダイヤが大幅にリニューアルされた際、いったん全ての〔あずさ〕がこの峡東3駅を通過するダイヤとなったことで地元からは反発の声が上がり、わずか1年後の2020年ダイヤ改正にて再び峡東3駅停車型の〔あずさ〕が復活されたという過去をもちます。

八王子から甲府まで〔あずさ37号〕はノンストップで走り続けています。高尾を過ぎてからは、特急らしいいつも通りの走りではあるものの、東京都内で発生した遅れは回復するどころかむしろ増大している模様。途中駅を14分遅れで通過しており、本来ならば甲府駅で乗り換えられるはずだった身延線普通列車(17:34発鰍沢口行)へは本日に限り接続が取れない旨の車内アナウンスがありました。

定刻よりも14分ほど遅れ、17:39頃に甲府駅へと到着。遅れているとはいえ、八王子駅からは1時間以上ノンストップですからなかなか凄いことです。

身延線は本数が多いわけでもありませんから「5分程度ならば接続を取って発車を遅らせることもできたのでは…?」とは思いましたが、甲府駅の構造上下り特急列車の前寄り車両から身延線ホームへはかなりの時間を要しますので、身延線にまで遅れが波及することは最適解でないと判断されたのかもしれません。身延線は単線ですからいったんダイヤが乱れると複線の路線以上にその回復は難しいでしょうし、何より中央東線JR東日本であるのに対し身延線JR東海ですからその辺りの連携も一筋縄ではいかない部分がありそうです。

甲府を発車し、列車は山梨県西部へと入っていきます。甲府駅でかなりの降車がありましたので車内は空いた印象ですが、一方で甲府からは乗車もありますのでそれなりの乗客がいます。辺りはだんだんと薄暗くなっていき、あまり天候が良くないこともあってか空を覆う厚い雲が幻想的(?)な車窓を生み出しています。

甲府を出ると次は茅野までノンストップ。途中には韮崎や小淵沢といった主要駅もあり、一部の〔あずさ〕が停車するものの今回乗車する〔あずさ37号〕は最速達便ですからもちろん通過していきます。小海線の分岐駅でもあり最近までみどりの窓口があった小淵沢さえ通過してしまうのですから、最速達便の威力を実感するところです。

茅野駅には13分ほど遅れて18:14頃に到着。甲府茅野駅間って意外に短いなぁと感じる一方で、やはり首都圏からの遅れを引きずったまま長野県へと突入しました。

この茅野駅は特急を含め全ての旅客列車が停車する主要駅。首都圏方面からだと行先として見る機会もほぼなく、首都圏での知名度はいまひとつのような気がしますが、特急が全て停車するというのはかなり大きな意味があるはずです。ここ数年のダイヤ改正では中央東線の特急ダイヤが目まぐるしく変化していますが、そうした度重なる荒波にも呑まれることなく毎年全列車停車を堅持している素晴らしい主要駅です。

茅野を出発するとすぐに次の上諏訪駅にも停車。こちらは諏訪市の玄関口となっており、諏訪温泉や諏訪湖など観光面の需要も大きな駅です。2019年のダイヤ改正で最速達の〔あずさ〕が通過するダイヤとなりましたが、3年後の2022年現在は再び全列車停車駅となっています。

ホーム上に足湯があることでも知られる上諏訪駅。せっかくなので入っていきたい気持ちもありますが、今日中に名古屋まで到達するためにはここで油を売るわけにはいきません。

上諏訪を出ると次の停車駅は終点の松本。途中の岡谷までの区間には一部単線もあり、結局首都圏の遅れを終点まで持ち越すことになりそうです。

岡谷を過ぎると、中央本線は二手に分かれます。岡谷~塩尻駅間を直線的に結ぶルート(みどり湖経由)は1983年に開業した新線で、これに対し1906年の岡谷~塩尻駅間開業時からあるのが辰野経由の旧線(通称”大八回り”)です。旧線は長らく中央本線のメインルートとして活躍し、優等列車も多数この旧線ルートを経由していましたが、地図を見ての通り地形に沿って南側を大きく迂回するため、かなり遠回りとなっていました。

そこで山を貫く直線的な「塩嶺トンネル」が掘られ、新線が開業。特急・急行といった優等列車は新線ルートで運行されるようになり、今日に至るまで旧線は支線としてJR東日本が管轄しています。現在では特急のみならず普通列車も新線ルートの方が圧倒的に本数が多く、特に旧線ルートのうち岡谷~辰野駅間は実質的にほぼ飯田線の一部となっています。

ちなみに旧線ルートを「大八回り」と呼ぶのは、この地域出身の代議士「伊藤大八」から来ており、地元のためにわざわざ遠回りをして線路を敷設したのではないかとされていますが、真相のほどはさてやら…?

そして繰り返しになりますが「上諏訪を出ると次は終点松本までノンストップ」ですので、当然ながら中央本線篠ノ井線の接続駅である塩尻駅も通過していきます。〔あずさ〕もほとんどが停車する主要駅ですので、こんな光景はなかなか見られるものではありません。このあと私は名古屋方面へと進んでいく予定ではありますが、いったん終点の松本まで乗り通します。

そして定刻よりも13分ほど遅れ、18:42頃にようやく終点の松本駅へと到着。本来の最速達便は新宿~松本駅間で2時間30分を切るところですが、今回は遅延により2時間42分かかる結果となりました。

この日最後の列車は、松本19:07発の特急〔しなの24号〕名古屋行です。松本駅での乗り換え時間は限られてはいましたが、先ほどの遅延が響くということもなく乗り換えられそうです。

さて、ここで気になっている方も多そうな点に突っ込みたいと思います。ズバリ「なぜ塩尻駅で乗り換えなかったのか」。もちろん〔あずさ37号〕が塩尻駅を通過するため、物理的に乗り換えられないことは明白ですが、「なぜ塩尻駅に停車する〔あずさ〕を選ばなかったんだ」ということになりますよね。

通常、新宿方面と名古屋方面を中央本線経由で移動する際にほとんどの方が乗換駅として利用するのは塩尻駅のはずです。〔しなの〕の全列車および〔あずさ〕の大多数の列車が停車します。

しかし先ほどから述べている通り、一部の〔あずさ〕のみ塩尻駅を通過することになっています。このため塩尻松本駅間では「分岐駅を通過する列車に乗車する場合の特例」というものが設けられています。

今回のような乗り換えであれば、塩尻松本駅間を1往復乗車することになりますので、本来は当該区間の往復運賃が必要かに思われます。しかし〔あずさ37号〕が塩尻駅を通過するため今回の乗り継ぎは先述した特例の適用対象となり、松本駅で改札を出ない場合は特例として往復乗車区間の運賃を支払う必要がないのです。

www.jreast.co.jp

この特例区間は北海道から九州まで全国あちこちで設定されており、今企画でも何度か利用していくことになります。言い換えれば「分岐駅を通過する列車が運行されているのは乗客側ではなく速達性や需要を考慮したJR側の都合なので、その温情措置(?)として」このような特例が適用されています。

裏を返せば、大多数の場合は松本駅まで行かずとも塩尻駅で〔あずさ〕と〔しなの〕を乗り継ぐことが可能ですので、塩尻駅に停車する〔あずさ〕に乗車した場合は塩尻松本駅間でこの特例は適用されません

ホームで待っているとさっそく列車が入線。始発駅は松本駅ではなく県北にある長野駅ですので、松本駅での停車時間はわずかとなります。さっそく乗り込み、定刻通りに松本駅を発車していきます。

この旅始まって初となるJR東海の車両。かつて「ワイドビュー」の愛称でも親しまれた383系が本日は6両編成での運用とのことです。決して真新しい車両ではありませんが、モケットの色や内装にも落ち着きがあり、シックな色のカーテンは大人の風情(?)すら感じさせます。

先ほどは通過した塩尻駅ですが、改めて停車。〔しなの〕の場合はここでJR東日本からJR東海へと乗務員交代が行われますので、通過というわけにもいかないのでしょう。

仙台から続いてきた今企画のJR東日本区間はここまでです。全国を巡る「最長片道切符の旅」では東日本管内だけでも何日間もかかりますが、特急リレーならあっという間です。

贄川駅では上下列車の行き違いのため運転停車中央西線も特急街道とはいえ、やはり単線区間があるようです。てか「にえかわ」って読めねぇ…(笑)。

車内では、松本駅で凸していただいたたらふくん@aaabbbzzzmmmm)からもらった生クリームキャラメルを美味しくいただきました! 本当にありがとうございます。

松本~名古屋駅間での途中停車駅は塩尻木曽福島、上松、中津川、恵那、多治見、千種。木曽の山深い区間では窓の外を見ても真っ暗で何も見えませんが、それでも木曽福島駅付近では街の明かりがちらほら見えたりします。

松本~名古屋駅間の特急料金(指定席)は通常2,730円のところ、繁忙期につき+200円となり2,930円。こちらは最繫忙期の設定こそないもの、JR東海では原則どの列車もA特急料金が適用されるため、首都圏と比べると季節に関わらず割高です。せっかく新幹線接続駅の名古屋まで乗車するのに、今回の企画では新幹線に乗車することができないので乗継割引を効かせることもできない…というわけです。

せっかく「ワイドビュー」と名のついた大きな窓の車両なのに日が暮れてからの移動なのか…と少々残念ではありますが、それでも383系の乗り心地はとても快適。気が付けば長野県を出て、岐阜県へと突入していました。

そしていよいよ愛知県、名古屋市へと突入。千種はしばしば聞く地名ではありますが、よく見てみるとなかなかの難読駅名ではないでしょうか。どうやったら「種」を「くさ」と読めるのでしょう。

松本駅を出てから2時間余り、21:21に定刻通り終点の名古屋駅へと到着。

長かった1日目の移動もようやく終わりました!

1日目は仙台から名古屋まで4本の特急を乗り継いでやってきましたが、何だかんだで最初から最後まで定刻通り走ったのは〔しなの24号〕だけです。それほど長距離の移動をしているということで、昨夏の最長片道切符の旅と同様にやはり多少のリスクはつきもの。2日目以降も大きな遅延や運休等のトラブルに巻き込まれないことを祈るばかりです…(何せ乗り継ぎのスケジュールが全体的にタイトなもので)。

名古屋駅からは地下鉄で移動し、1日目の宿は「アパヴィラホテル名古屋丸ノ内駅前」。宿代が高騰しがちな(フラグ)GWですが、じゃらんクーポンを利用し何と3,050円で予約することができました。

名古屋はご当地グルメも多いのでせっかくなら何かしらの名古屋メシを…と思い楽しみにしていたのですが、名古屋駅構内のご当地グルメ飲食店街は夜遅くにも関わらずどこも大変な混雑。並んでいると夕食が遅くなってしまうだけでなく、ホテルのチェックイン時間に間に合わず最悪不泊キャンセル扱いになってしまう…ということで、泣く泣く断念。ホテル近くのファミマでご当地商品のきしめんがあったので、お部屋でいただきました。きしめん自体は名古屋駅のホームなどで名古屋に来るたびに食べてはいますが、このファミマのも美味しいのでまぁ結果オーライということで…!

 

1日目はここまで。

2日目は名古屋駅からのスタートとなります。

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。