わたかわ 鉄道&旅行ブログ

乗り鉄&旅好きの20代男子が全国を巡る!

#1 4時間超ロングランからの超ブルジョワ移動まで…災害と疫病からの復活を遂げた2大特急で幕開け【特急リレー最長片道切符の旅】

 

こんにちは。わたかわです!

今回から何回かに分けて、先日実施した「特急リレー最長片道切符の旅」の様子を書き記していこうと思います。

 

JR各線では、毎日多彩な在来線特急列車が運行されています。都市と都市を繋ぐもの、都市から観光地へお客さんを運ぶもの、通勤通学に使われるもの…など、その顔は様々です。

今回はそんな全国各地のJR在来線昼行特急のみを乗り継ぎ、一枚の片道乗車券として発券可能な最長経路を編み出しましたので、それに従って乗車券を発券し実際に旅行してきました。スタートは宮城県の仙台駅、そしてゴールは愛媛県宇和島駅となります。

詳しいルールは下記の通りとなります。

  • JR在来線の昼行特急のみを乗り継ぎ、一枚の片道乗車券として発券可能な最長経路で移動する。
  • 経路上を走る普通・快速列車等は利用できない。また、新幹線は経路に含まれない。
  • 私鉄・第三セクター等との直通運転を行う特急も乗車可能。ただし通過連絡運輸の規定に基づき、券面経路に含むことのできる会社線は1社のみとなる。
  • 分岐駅通過特例が適用される区間を往復で乗車することも可能。
  • 定期特急列車の運行がない線区は通ることができない。

昨夏の「最長片道切符の旅2021」のように複数回に分けて記事にしていこうと思います。合間に他のネタが挟まることもあると思いますが、最後までどうかお付き合いいただけたらと思います。

 

1日目 2022年5月1日(日)

というわけで、やってきたのは杜の都仙台。ここが「特急リレー最長片道切符の旅」のスタート地点となります。

今回この企画を実施するにあたり用意した乗車券の区間は「仙台→宇和島」。その経由路線があまりにも多すぎるため、昨夏の最長片道切符と同様に出札補充券にてご準備いただきました。発券作業にあたってくださったJR東海の新横浜駅の皆様、誠に有難うございます。この場をお借りして感謝申し上げます。

この乗車券を携え、これから約2500kmもの旅へと出ることになります。運賃は25,100円で、株主優待等の各種割引は利用せず定価で購入しました。

仙台駅からまず乗車する記念すべき1本目の特急は、10:14発の〔ひたち14号〕品川行です。2020年3月より常磐線特急が1日3往復のみ仙台駅への乗り入れを再開したことで、この企画も仙台駅からスタートできるということになります。

車両は首都圏でもおなじみのE657系10両編成。首都圏~東北の移動といえば新幹線が当たり前の今の時代に、在来線特急列車が細々ながら東京都心~仙台間で運行されているのは鉄道ファンとして何とも喜ばしいことです。2022年春のダイヤ改正からは仙台発着のひたち号の全列車が東京・品川まで乗り入れるようになりました。

10:14、列車は定刻通りに仙台駅を発車。いよいよ「特急リレー最長片道切符の旅」スタートです!

途中の停車駅は相馬、原ノ町、浪江、双葉、大野、富岡、広野、いわき、湯本、泉、勿来、高萩、日立、常陸多賀、大甕、勝田、水戸、上野、東京です。福島県内や茨城県北部では数多くの駅に停車するものの、水戸を出ると上野までノンストップとなりますのでひたち号らしい走りを見せてくれそうです。

常磐線特急は全車指定席なので、今回私も予め指定席特急券を購入しておきました。全車指定席化に際して特急料金が値下げされていますので、震災前の仙台発着のひたち号の普通車指定席よりは少し安いのではないでしょうか(正確なことは分かりませんが)。

また指定席特急券と同額の「座席未指定券」も発売されており、かつての自由席のように座席の指定を受けず乗車することもできます。各座席の上部には空席状況を知らせるランプが取り付けられており、→発売済み、オレンジ→まもなく発売済み区間→空席、を示しています。座席未指定券で乗車する際は原則としてランプの座席であれば着席可能となるわけです。

仙台駅を発車した時点では、ランプ(すなわち空席)が多いものの、オレンジもかなり目立ちます。私は過去数回この仙台発着のひたち号に乗車したことがありますが、普段は空気輸送が珍しくない区間ですので、繁忙期であることを実感します。

岩沼駅を通過すると東北本線と分かれ、いよいよ常磐線へと入っていきます。この日はあいにく朝から天気があまり良くなく、日中でも薄暗い曇り空ではありますが、何とか天気は持ちこたえているようです。

途中の山下駅・坂元駅の辺りは2011年の東日本大震災による津波の被害も特に大きく、線路を内陸に移設して駅舎やホームは全く新しいものがこしらえられました。山下駅では普通列車とすれ違います。

駒ヶ嶺駅を通過した次の瞬間、何と列車が急停車。数分ですぐに運転を再開しましたが、どうやら線路内に人が立ち入ったようです。まだまだ東京都心までは長いですが、先が思いやられます(笑)。

仙台駅を出て最初の停車駅は相馬。さっそく福島県へと入りました。先ほどの急停車の影響で、相馬駅を3分遅れで発車していきます。

原ノ町駅は、2011年の東日本大震災発生時にちょうど当駅始発の上野行特急スーパーひたち号(651系)が被災し、それから2016年まで約5年間に渡り駅構内に留置されたままの状態であったことも知られています。現在は撤去されており、全線再開した今では首都圏と同じE531系の普通列車が活躍しています。まだまだ東北地方なのですが、早くも首都圏へと突入したような気分になります。

桃内駅ではドアが開かない運転停車。ここで品川駅を7:43に発車した特急〔ひたち3号〕仙台行と行き違いを行います。

浪江駅からもそれなりの乗車があり、もうこの時点で既に窓側がかなり埋まってきているなという印象を受けました。まだまだ大混雑というほどではないものの、思っていたよりも序盤からかなり乗車率が高いです。

双葉駅では、元々上り線として使われていた駅舎側の線路が剥がされ、実質棒線式の単線構造になっています。上下列車とも元下り線のホームへと入線するため、列車の行き違いはできなくなっています。

そして双葉駅を出てからしばらくの区間でも、引き続き元上り線の線路が敷かれていた土地は舗装道路となり、単線構造が続きます。これは震災から11年が経過した現在も双葉町の大部分、ならびに大熊町浪江町南相馬市富岡町飯舘村の一部の地域が帰還困難区域に指定されているためで、万が一この区間を走る常磐線の列車で事故や立ち往生等があった際に緊急車両が列車のすぐそばまで駆けつけられるようにしているのです。JRの線路上は優先的に除染作業が進められたことで2020年の全線運転再開にこぎつけましたが、その周辺の町は今も線量が高い状態です。

町内のほぼ全域が帰還困難区域に指定されている大熊町。その中心に位置する大野駅にも特急は停車します。福島第一原発の最寄り駅でもあり、島式であったと思われるホームは棒線駅に姿を変えています。

広野駅を発車すると、短い時間ですが車窓左側に太平洋が望めます。どこまでも続く水平線には美しさを覚える一方、この海が11年前に猛威を振るったと思うと複雑な思いがするものです。

仙台駅を出てから約2時間、12:16に列車はいわき駅へと到着。これより先は特急の本数が一気に増える区間となります。

震災前の651系スーパーひたち号は「基本編成7両+付属編成4両」だったため、ここいわき駅で増解結を行っていたようです。しかし現在のE657系ひたち号は10両固定編成のため、仙台~品川駅間の全区間を10両編成で走行します。いわき駅での停車時間も短めです。

相馬の辺りで生じた遅延も、この頃になるとすっかり回復。定刻通り12:18にいわき駅を発車し、続いて湯本、泉、勿来…と停車していきます。掛詞に用いられた「勿来(な来そ)」は難読駅名の一つにも数えられます。

ここでちょうど時間的にも良い感じなので、車内でお昼ご飯をいただくことにします。やはり仙台からスタートしたということで何か仙台らしいものを食べたいと思い、仙台駅構内で購入した牛たん弁当1,580円)を購入しておきました。なかなか良いお値段がするものですが、ひもを引っ張ることでご飯とお肉が温められ、最高の状態でいただくことができるように工夫がなされています。駅弁の牛たんというとどうしても薄っぺらいイメージがあったのですが、お店で食べるのと遜色ないくらい分厚くてとても美味しかったです!!

美味しい牛たんを味わっている間にも列車はどんどん都内へ向けて進んでいきます。いわき以降からも多くの乗車があり、気づけば車内は通路側も含めかなり満席に近い状態です。各駅到着時に車掌さんが懸命に「この先多くのお客様がご乗車になります。お降りの際は座席のリクライニングを元の位置にお戻しください」と繰り返しアナウンスされていました。

勝田駅からはひたち号の合間に停車タイプの「ときわ号」も運行されており、特急の運行本数がほぼ2倍になります。ご丁寧に(10両)と表示されていますが、先ほども述べた通りひたち号・ときわ号は現在全て10両編成での運行です。

仙台駅を出て3時間余り、13:26に茨城県の県庁所在地である水戸駅へと到着。ここでついに私の隣席も埋まり、いよいよ車内はほぼ満席になりました。おそらく指定席が取れず、やむなく座席未指定券でデッキに立席乗車をされていた方もいらっしゃったことと思います。

水戸駅では急を要する車内清掃が入ったらしく、定刻よりも1分ほど遅れて発車。そして何と水戸を出ると次は上野までノンストップで駆け抜けます。

列車は最高時速130kmに近い状態で線形の良い区間を走り抜けていきます。相変わらず窓の外はまずまずの天候ですが、「これぞ常磐特急」と言わんばかりの速さと快適な乗り心地です。

石岡や土浦などそれなりに主要な駅も全て通過し、取手を通過すると列車はまもなく千葉県へと入ります。ここで進行方向左側に新たに2本の線路が登場しました。こちらは常磐線各駅停車緩行線)というもので、取手以南では快速線緩行線で線路が分かれており路線別複々線になっています。

緩行線ではホームのある駅も、快速線は容赦なく通過。簡易ホームドアがあるところを見ても、やはり東京が近づいてきていることを実感します。

やがて東京都内へと入り、沿線はどんどん建物に囲まれていきます。特に北千住駅を通過する際は、JR・私鉄・地下鉄を問わず無数の列車が行き交い、複雑に線路が立体交差していくので東京らしさを実感します。雲が厚くあまり鮮明ではありませんが、車窓にはまもなく開業10周年を迎える東京スカイツリーの姿も見えました。

定刻通り14:35に上野駅へと到着。水戸駅からは約1時間のノンストップでやってくることができました。ここでかなりの数の方が降りていかれます。

かつての651系スーパーひたちは上野駅で終点でしたが、2015年に開業した上野東京ラインのおかげで今ではほとんどの常磐特急が東京・品川へと乗り入れるようになりました。列車は秋葉原周辺のビル群を横目に、さらに南下していきます。

上野~東京駅間は2015年まで数十年に渡り山手線・京浜東北線のみの運行でしたので、今回のようなルートで特急の最長乗り継ぎができるのも上野東京ラインのおかげというわけです。

そして仙台駅を出てから4時間28分、14:42に東京駅へと到着。新幹線での移動が当たり前となっている仙台~東京駅間を、常磐線回りの特急列車で移動してくることができました!

東京駅は10番線ホームの到着です。かつては東京から西日本・九州方面へと向かう数々のブルートレインも発着した伝統のホームで、姿は違えどその時代を彩る長距離特急でこの地に降り立てることには何か運命的なものを感じます。

しかし、そんな感傷に浸っている場合ではありません。初手からロングランすぎる乗車でしたので忘れかけていましたが、今回は宇和島まで「特急リレー」をしていくのです。限られた時間の中で特急から特急へと乗り継いでいかなければ予定が崩壊してしまいます。

東京駅の東海道線ホームから足早に移動し、地下総武ホームへと移動します。2本目の列車は、東京14:49発の特急〔成田エクスプレス26号〕新宿行です。

急いでホームへと降りると、ちょうど列車が入線してきました。2009年に営業運転を開始した「E259系」です。

成田空港からやってきたこの列車は、ここ東京駅で切り離し作業を行うため数分間停車します。成田空港~東京駅間は12両編成ですが、この先前6両が大船行、後6両が新宿行となっています。私は新宿方面へと向かわねばなりませんので、切り離し作業を見届け次第後寄りの車両へと乗り込みます。

列車は少し遅れて入線したこともあり、東京駅を2分ほど遅れて14:51頃に発車。新型コロナウイルス感染症の影響で乗車率が低迷していることに加え、東京駅で降りてしまう人も多いですから車内はガラガラ。ほぼ貸切状態です。

東京駅から新宿駅までの特急料金は何と驚きの1,690円。実は同じ「特急」とはいっても首都圏では料金体系が3種類あり、また繁閑の価格変動ルールもそれぞれ異なるのです。

上の図は、JR東日本の在来線特急料金のルールを一部抜粋してまとめたもの。長らく首都圏では「A特急」「B特急」の2段階での特急料金体制が敷かれていましたが、2014年の〔スワローあかぎ〕運行開始を皮切りに全車指定席化が進められており、これらにはB特急料金よりもさらに安いJR東日本独自の特急料金が新設・適用されています。この特急料金は他とは異なり繁忙期・閑散期等での価格変動がなく、通年同額で発売されています。

成田エクスプレスも自由席がなく全車指定席の特急ですが、この列車に限っては例外的に割高のA特急料金が適用されています。A特急料金・B特急料金には繁閑に±200円の価格変動が発生するルールとなっており、さらに2022年4月より新たに「最繁忙期」という割増料金が設定されました。これはGW・お盆・年末年始といったハイシーズンに通常料金+400円となる高額の割増料金が発生するルールで、東京~新宿駅間といった短い区間でも通常期の1,290円に400円が加算されることで1,690円というとんでもないブルジョワチケットが生み出されてしまったのです。

そんなことに気を取られているうちに、列車は地下区間を抜けて品川駅を通過していきます。「成田エクスプレスは品川駅にもとまるのでは?」と思ったかもしれませんが、大船発着の編成は品川駅にも停車しますが、ごく一部の例外を除き新宿発着の編成は品川駅を通過してしまうのです。このため先ほどの〔ひたち14号〕に終点の品川駅まで乗車してしまうと、その先新宿方面へと繋がる特急がなく早速企画崩壊となってしまうのです。

品川駅を通過した列車はその先山手貨物線へと入り、ゆっくりと右にカーブを描いて進んでいきます。山手線の普通列車が走る線路と並走はしていますが、さすがに高頻度で運行される山手線の合間を縫って全く同じ線路へ入っていくことは現実的ではありませんので、ここも複々線のような状態になっています。

やがて列車は大崎駅のそばを通過していきます。湘南新宿ラインなどは大崎駅のホームがある線路を走りますが、品川方面からつながる線路にはホームがないためここは通過せざるを得ません。昨年10月の山手線工事運休の際に、当時運休中だった成田エクスプレスのスジを用いて設定された通称”品川新宿ライン”もこのルートだったことから、大崎駅には停車できないということになっていました。

成田エクスプレス26号は渋谷駅に停車し、その次が終点の新宿駅となります。車内には空港特急らしく4ヵ国語に対応したモニターが設置されていますが、国際線需要がそれほど戻っていない今の時代はなかなかその真の力を発揮しきれていないような気もします。

とはいえ、成田エクスプレスは2020年春以降長らく新型コロナウイルス感染症の影響で日中の運行が休止されていたところ、この春約2年ぶりに運行再開へとこぎつけました。まだまだ需要の回復は道半ばではありますが、いつの日かまた再びE259系の車内が大勢の観光客で賑わう光景を見てみたいものです。

今回のような乗り継ぎも、ちょうどこの春から日中の運行が再開されたことで実現したもの。改めてJR東日本さんには感謝してもしきれません。

列車は15:11頃に終点の新宿駅へと到着。東京駅からの遅れは回復することなく、やはり約2分遅れでの到着となりました。まぁここでの乗り継ぎは時間に追われているわけでもないので大した問題ではありません。

世界一の乗降客数を誇る一大ターミナル「新宿駅」。隣接する「バスタ新宿」からは昼夜を問わず全国各地へ無数の高速バスが発車していきます。

 

今回はここまで。まだこの先も1日目の移動が続きますが、その様子はまた次回お届けします。

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。

【史上初】運行ルートは当日のお楽しみ! 「相鉄線ミステリートレイン」の旅

 

2022年5月8日(日)

今回やってきたのは、神奈川県にある相鉄本線かしわ台駅。終点・海老名駅の一つ手前にある駅です。

本日は相鉄史上初となる「ミステリートレイン」が運行されるということで、その模様をたっぷりとお届けしてまいります。

www.sotetsu.co.jp

今回企画された「相鉄線ミステリートレイン」は、運行ルートや使用車両といった一切の情報を当日まで明らかにしない、鉄道ファン向けのイベント列車です。本日(5月8日)限定で1日3便が設定され、それぞれ事前抽選制となっていました。

各回それぞれ決められた時刻に「かしわ台駅4番線集合・解散」となっており、相鉄が普段から発売している「相鉄・鉄道全線1日乗車券」(740円)を予め購入して集合する必要があります。そして驚くべきことに、この1日乗車券にかかる740円以外に参加費用等は一切かかりません。いや太っ腹過ぎでは…!?

今回私が参加させていただくのは2便目。「12時55分にかしわ台駅4番線へと集合し、14時20分頃に解散」とだけ発表されており、その道中のダイヤは事前に一切公開されていません。

かしわ台駅の4番線ホームへと降りてみると、さっそく今回のミステリートレイン2便目に使用される10000系が停車していました。個人的には最も相鉄らしさを感じる、好きな車両の一つです。

車体側面の行先表示器には、そうにゃんのイラストとともに「臨時」の表示がなされていました。普段相鉄線で臨時列車が運行されることはまずありませんので、これはかなり貴重な光景でしょう。

車内は特段珍しい装飾や演出もなく、いたって普段通りの10000系です。ただしドア上部の電光掲示板は稼働しておらず、ほとんどのドアは締切扱いとなっています。参加者としてはゴリゴリの鉄道ファンよりも小さい子がいる家族連れがかなりの割合を占めているように見受けられました。

受付を行うため乗車口の位置を数ヵ所に絞っており、中にはホームドアが閉まっているのに車両のドアは開いているという不思議な光景も見られました。

そして13時10分、発車時刻となりミステリートレインが動き出します。まずはかしわ台駅4番線から、ゆっくりと海老名方面に動き始めました。2面4線のかしわ台駅では、普段1・2番線が海老名方面(下り)3・4番線は横浜方面(上り)ですので、4番線から海老名方面に発車していく時点でまずかなり異様な光景です。

海老名方面へと発車したためそのまま本線上を走る…かと思いきや、ミステリートレインはそのすぐ隣にある留置線へと入っていきました。かしわ台駅の西方には2本の留置線があり、ここで進行方向を変えるようです。

そして今度は駅に隣接するかしわ台車両センターへゆっくりと入線。お客さんをのせた列車がこんなところへ入っていくなんてなかなかない光景です!

そして…洗車体験が始まりました!

普段はもちろん営業運転を終了した後、お客さんをのせずに行われるものですが、今回はその洗車の様子を中からたっぷり1往復眺めることができます。

ブシャー!!!!!!というものすごい水圧で車体が洗浄され、水分が乾いた後の窓は断然綺麗になりました!

洗車体験を終えたミステリートレインは、いったん先ほどの留置線に移動した後、再び進行方向を変えてかしわ台車両センターへ。今度は先ほど洗車体験を行ったのとは別の線路で、入出庫の様子を再現してくださいました。これも普段車内から見ることのできる光景ではありませんし、もし万が一そんな光景に立ち会ってしまったとしたらただちに乗務員さんに申し出なければいけないような事態でしょう(笑)。もちろん列車が終点に到着したら全ての乗客の降車を確認するため、そのような状態はまず起こりえませんが…。

車両センター内で進行方向を変えた後、改めて留置線に入り進行方向を変えます。そして今度は車両センターではなくかしわ台駅2番線へと入っていきました。普段は海老名方面(下り)として使われているホームです。

かしわ台駅2番線ではしばらく停車。洗車体験が先ほど終わったのでここで換気のために窓が開けられるようになったほか、参加者全員に乗車記念証が配布されました。今回ミステリートレインに使用されている10000系は2002年のデビューから今年でちょうど20周年ということで、硬券の券面に「20th Anniversary」としっかり刻まれています。

改めてかしわ台駅2番線を発車し、今度は留置線ではなく本線上を走行して海老名方面へと向かっていきます。臨時列車とはいえ、あまりゆっくり走ってしまうと前後を走る営業列車がつかえてしまう原因にもなりますので、ここでは本線らしくかなりぶっ飛ばしていきます。

…と思いきや、ミステリートレインは海老名駅よりもだいぶ手前で減速し、ポイントをガチャガチャと渡って本線上から外れてしまいました。そう、ここからは何とあの「相鉄厚木線」へと入線していくのです!!

watakawa.hatenablog.com

相鉄厚木線については、以前当ブログでもご紹介させていただいております。海老名駅手前の相模国分信号所で分岐し、海老名駅を通らずにJR相模線の線路へと合流していくものになっています。

相模国分信号所~厚木操車場間は距離にして2.2km。単線の路線で、約80年前までは旅客営業も行われていましたが、現在お客さんをのせた列車がここを走ることはなかなかありません。

厚木線へと入っていくと、列車はすぐに小田急小田原線の線路を跨ぎます。その先進行方向左手には広大な小田急海老名検車区が見えてきます。遠くに見えるのはまさに海老名駅周辺の商業施設群等で、80年前の車窓とは大きく異なっていることでしょう。

そして今度は車窓右手に目をやると、JR相模線の線路が合流してきた後、すぐにJRの海老名駅ホームが見えてきます。先ほど「海老名駅は通らない」と言いましたが、これはあくまでも「相鉄・小田急海老名駅を通らない」という意味でして、厚木線はそこから少し離れた位置にあるJRの海老名駅のすぐ横を通るルートになっています。普段お客さんをのせた列車がこの線路を通ることはありませんので、JRのホーム上で列車を待つお客さんも目を丸くしてこちらを見ていました。

そして踏切を渡り、ミステリートレインはJR相模線厚木駅のやや北側(厚木操車場)に到着。ここで5分ほど停車した後、再び来た道を戻るようです。当然乗降可能なホームもなく、車外に出ることはできません(このツアー中に乗客が車外へ出るタイミングは一度もありません)。

停車中には、すぐそばをJR相模線の営業列車が通過していくシーンもありました。今回ミステリートレインがJRの本線上へと乗り入れたわけではありませんので、特にJR側の運行ダイヤに支障をきたしているわけではなさそうです。

厚木操車場での停車中には、一時車内の明かりが消える瞬間がありました。何かサプライズの演出なのか、折り返し運転を行う上でいったん消える仕様になっているのか、それとも予期せぬハプニングだったのか…? 真偽のほどは定かではありませんが、お客さんをのせた状態で車内の電気が消えることもそうよくあることではないはずです。

5分間ほどの停車時間の後、来た道を戻るようにして発車。今度は進行方向左手にJR海老名駅を望みます。駅の反対側にも商業施設やマンション等が立ち並んでいるのがよく分かります。

相模国分信号所より本線の上り線へと入り、ミステリートレインは再び横浜方面へと向かっていきます。今度はかしわ台駅の3番線をかなりのスピードで通過していきました。

続けて次のさがみ野駅も通過した後、相模大塚駅のホームに入る手前で列車は進行方向左へと分岐。そう、最後に待ち受けているのは相模大塚駅11番線への入線です。

相模大塚駅は1面2線の島式ホームがあるだけ…と思われがちですが、実はその隣に広大な留置線が9本あり、線路ごとに3~11番線の番号が振られています。もちろんここにお客さんをのせた列車が入線することはまずありませんので「3~11番線」の呼称が旅客案内で用いられることもありません。

今回は土休日のためJR埼京線E233系が1本留置されているのみでしたが、平日日中ならばこれが何と3本に増えるそうです。もはやここがJRの駅なのか相鉄の駅なのか分からなくなってしまうほどですね(笑)。

相模大塚駅で10分間ほど停車した後、折り返して14時19分にかしわ台駅4番線へと到着。これにて今回のミステリートレイン2便目の全行程が終了となりました。

かしわ台駅到着後は参加者全員の降車を確認し、速やかに海老名方へと回送されていきました。

 

改めて振り返ってみますと、今回乗車したミステリートレイン2便目の見どころは下記の通り。

約1時間でこれほど多くの見どころがありながら、参加費用は1日乗車券の740円のみでよい…とは何と太っ腹なのでしょう。もちろん事前抽選制でしたので希望者全員が参加できたわけではありませんが、次回以降もこのようなイベントが開催された際には是非注目ですね!

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。

【2022年GW最終日】東京ゆき最終列車「のぞみ64号」混雑やいかに!?

 

2022年5月5日(木)

今日はGW最終日。2019年以来3年ぶりに緊急事態宣言・蔓延防止等重点措置のいずれも発出されていないGWだったこともあってか、昨年・一昨年と比べてもとりわけ人の動きが活発だったことが各所で報じられました。

連休最終日の夜、やってきたのは新大阪駅。新幹線改札内は非常に多くの人が行き交い、家路を急いでいます。

東京方面へと向かう上りの新幹線は概ね3分間隔での運行になっています。発車番線があちこちに散っているため、目の前で1本逃すとまた一度コンコースへと降りてこなければならない点は品川・新横浜・名古屋・京都等と大きく異なりますが、当駅始発の列車がどれなのかも案内されているので分かりやすいです。

連休最終日の上り新幹線といえば、Uターンラッシュのピークで指定席の確保が困難であることは言うまでもありません。中でも新大阪を21:24に発車する〔のぞみ64号〕は東京行の最終列車ゆえ、その混雑率等が注目されがちです。

新幹線や特急等の空席照会ができる「JRサイバーステーション」にて、21時前に指定席の発売状況を確認してみると、東京行ののぞみ号の普通車はいずれも△(空席少々)と表示されました。コロナ禍前であればこれは×(満席)であったことが当たり前と考えると、その頃ほどの混雑ではないのかもしれません。

Twitter上でもこの「5月5日ののぞみ64号」の発売状況はとりわけ注目されており、一時は「満席になった」との報告も見られましたが、発売状況は刻一刻と変化するためしばしば空席も出ていたようです。とはいえ恐らくこの場合の△というのはB席(3人がけの真ん中)が1つか2つ空いた程度のものでしょうから、ほぼ満席といって差し支えない混雑状況であることは想像に難くありません。

今回私はちょうどここ新大阪におりましたので、これからこの〔のぞみ64号〕に乗車して混み具合など観察していこうと思います。

時刻は21時を過ぎ、26番線には東京行最終列車〔のぞみ64号〕の案内も表示されています。

21時台は00分発、06分発、15分発、24分発の4本が東京行ののぞみ号として運行されています。これら4本全て博多始発の列車ということで、新大阪駅の停車時間は短く、また指定席・自由席ともに満員の状態で入線します。

21:15発ののぞみ186号が発車していき、いよいよ次がお待ちかね(?)の最終列車となりました。本日中に首都圏へ帰る方法はこの世でたった一つ、混雑必至の〔のぞみ64号〕に乗り込むほかありません

26番線のホーム上では、入線前から繰り返し「この列車は本日の新横浜、品川、東京への最終列車です」とアナウンスがなされていました。

16両編成のうち、自由席は後寄りの3~1号車の3両のみ。長蛇の列ができてはいたものの、Jのカーブを描くというほどではなさそうです。

そこについに〔のぞみ64号〕が入線してきました。何度も言いますが、当日中に東京まで帰れる最後の手段です。

21:20頃、定刻通りに新大阪駅へと到着。ドアが開き、山陽新幹線区間を利用してきた乗客が次々に降りていきます。あまりに乗降に時間がかかっていることから、2・3号車付近で並んでいた乗客の一部が1号車付近へ移動してくる光景も見られましたが、編成の端っこに来たところで乗り込めるはずもありません。

「このままでは乗り遅れる」――。

そう気づいた乗客から、次々に指定席号車方面への大移動が始まりました。本来、自由席の乗客が指定席車両のデッキで立席乗車することはできませんが、今回の場合などには黙認されることも多いのが現実です。自由席車両は3両しかない上、各車両のデッキスペースなどたかが知れていますので、3~1号車に並んでいた乗客全員が自由席車両のみに乗り切ることなど到底不可能なのです。

「すいているドアからご乗車ください――!!車内は全て繋がっております!!!」というアナウンスの声。確かに車内は全て繋がっていますが、この混雑の中、自分の確保した指定席から遠い位置で乗り込んでしまうと車内で途方もないさわやかウォーキングを強いられることは言うまでもありません。

東京行ののぞみ号の場合は前から順に16~11,7~4号車が普通車指定席。その間にある10~8号車はグリーン車ですが、流石にこういった場合であってもグリーン車のデッキに立つことは良しとされないことが多いため、自由席車両に乗り切れなかった乗客はそこから近い4~7号車を目指します。

そしてようやく全ての乗客が乗り込み、列車は定刻通り21:24に新大阪駅26番線を発車していきます。

停車時間が4分間ほど設けられているとはいえ、これほどの混雑であっても定刻通り出発できたというのはある意味奇跡かもしれません。コロナ禍前の最繁忙期であれば乗客が多過ぎて発車が遅れるということもあったでしょうが、今回そうならなかったのは「帰宅時間の分散(ずらし旅の普及)」「全列車N700系化(2020年)に伴う本数の増強」等様々な理由が考えられそうです。

私もさすがに自由席のデッキには乗り込めなさそうだったので、指定席のデッキへと駆け込みました。先ほどご覧にいれた空席照会の結果通り、指定席はもちろんほぼ満席。自分の席をなかなか見つけられず、編成内を歩き回る方の姿も多くみられました。

私はとりあえず5号車から乗り込むことができましたが、やはり自由席のデッキに立てるならその方が良いというもの。運が良ければこの先の京都、名古屋で人が降りるタイミングにあわせて席が空くかもしれません。

というわけで自由席車両の方面へと向かってみましたが…こりゃ無理だ(笑)

自由席車両のデッキは、指定席のデッキとは比べ物にならないくらい多くの人で溢れかえっていました。一度入ってしまうと身動きが取れなくなるような空間でしたので、早々に指定席車両のデッキへと戻ることにしました。こんな混雑ですと到底私が自由席車両の空席に腰掛けられることはないでしょう。

「自由席は不自由席だ」とはよく言ったものですが、では具体的に何がどう不自由なのかと言われれば「2022年5月5日ののぞみ64号3号車」と答えるのが最も分かりやすいかもしれません。

最終的には7号車のデッキに落ち着きました。この辺りまで来ればデッキが騒然としているということもなく、それなりに平穏な時間を過ごせそうです。

車内がバタバタとしているうちに、列車はあっという間に次の京都駅へと入線。ここからもたくさんの人が乗り込んできます。

後方の自由席車両を見渡してみると、やはりここでも乗降には相当な時間がかかっている様子。その一方で、少なくない数の人が自由席車両からの乗車に見切りをつけてこちらへ移動してきています。「何としても今日中に東京へ帰らねば」という執念と「東京まで2時間、座ることは無理だ」という諦めの表れにほかなりません。新大阪であれば始発列車もあるわけですが、京都始発の新幹線というものは存在しませんので、どの時間の便を選んでも新大阪と比べて京都からは着席できる確率がぐっと下がるのです。

列車は21:38に京都駅を発車。次の停車駅は名古屋となります。

「自由席特急券」とはとっても便利なもので、通常の特急券よりも少しだけ安く、また列車や座席を指定することなく高速列車に乗り込むことができます。ある列車が混雑していれば「1本見送って次のにするか」ということも理論上は可能です。

しかし今はそうはいきません。これに乗ろうと思いながらも見送る乗客は誰一人いるはずがありません。今夜に限っては、この「自由特急券」とはもはや名ばかりで、実際は座席を手に入れることさえほぼ不可能な、ただ最高時速285kmで走る鉄の塊に乗り込むための権利でしかないのです。

あっという間に列車は東海地方へと入り、まもなく名古屋へ。ここでは相当数の方が降車されるようで、到着間際は指定席の車内もだいぶ騒々しくなりました。

22:11に名古屋駅へと到着。実はこの〔のぞみ64号〕の後にも名古屋どまりの列車は多数設定されており、新大阪22:00発や22:30発で名古屋行の「のぞみ号」もあります。急いでいなければそちらへ乗り込むというのも手段の一つではあるわけですが、とはいえ次の日は平日ですので朝から学校や会社があるという人も多いことでしょう。一刻も早く帰宅したいと願うのはごく自然なことです。

隣の15番線には、22:14発の〔こだま764号〕静岡行が停車しています。ちょうどここ名古屋でのぞみ64号からの接続を取るダイヤとなっており、これが最後に名古屋駅を発車する上りの新幹線となります。

22:14頃、のぞみ64号は定刻よりも約2分遅れ名古屋駅を発車。やはり乗降に時間がかかったようですが、この程度の遅延ならば東京まで響くことはないでしょう。ホームを見渡してもお客さんが残っている様子はないため、積み残しなく発車できたとみてよさそうです。

列車は静岡県内の駅を次々通過していきながら、一路東京を目指します。

意外なことに、車内販売のワゴンは何度も目の前を通りました。流石に指定席のデッキで「ワゴンも通れないほど通路が大勢の人で塞がる」といった状況ではなかったようです。尤も、自由席車両の客室内まで入っていけたとは到底思えませんが…(笑)。

窓の外に見える明かりの下には、連休最終日の夜の穏やかな家族の団らんがあることでしょう。一方で、こんな夜遅くであってもこれだけ多くの人を運んでいる新幹線もまだまだ捨てたものじゃありません。「リモートワークが普及するのだからリニアはいらない」などという意見もある今日この頃ですが、少なくとも今夜のこの超満員ののぞみ64号を見る限りでは、まだまだ新幹線が多くの人か必要とされていることは明白ですし、リニアができた暁にはリニアにもその役割を背負って活躍してもらいたいと願うばかりです。

そしてようやく、新横浜が近づいてきました。このまま終点の東京まで乗り通したいところではありますが、あいにく横浜在住の私はここで下車することにします。

車内は名古屋を出て以来約1時間ぶりに騒々しくなります。ここで下車する方も相当数いらっしゃるのでしょう。

新大阪駅を出てから2時間3分、23:27に列車は定刻通り終点の横浜駅へと到着です。指定席、自由席を問わず無数の乗客がホームへと放出されました。ここからは乗車客がほぼいませんので、それほど乗降に時間がかかることもなく、列車は定刻通りに発車して東京方面へと向かっていきました。

この23:28発の〔のぞみ64号〕をもって、本日新横浜駅から発車する新幹線は全て終了。ちなみに下りは23:07発の〔こだま815号〕三島行が最後となっています。

 

改めて結論としては、4年前の2018年に驚異的な話題となった某超大物鉄道系YouTuber様の時ほどの混雑ではありませんでした。それはもちろん当時と比べて帰宅時間の分散が進んだことや、ピーク時間帯の運行本数が当時よりも多いこと等が理由として挙げられると思います。

とはいえ、車内が満席、デッキにも私を含め立ち客は多数発生していたような状況ですから、やはり連休最終日の〔のぞみ64号〕の凄まじさをたっぷりと感じることができました。

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。

【3年ぶり制約なしGW】連休最終日にえげつない混雑を見せる岡山行しおかぜ号

 

2022年5月5日(木)

GW最終日。今年は2019年以来3年ぶりに緊急事態宣言・蔓延防止等重点措置の発出されていないGWということもあり、昨年・一昨年と比べて人の動きが非常に活発だったと各所で報じられています。

かく言う私もこの連休中は「特急リレー最長片道切符の旅」という企画を実施し、大変多くの反響をいただきました。その様子はぼちぼち記事にしていきますのでご期待ください。

ちょうどその企画からの帰り、宇和島12:55発の特急〔宇和海16号〕に乗車し松山へと向かっています。松山駅からはさらに特急へと乗り換え、本州方面へ乗り継ぐ予定になっています。

宇和海16号は3両編成で、このうち後寄り2号車と1号車が自由席。GW最終日にふさわしく(?)かなり混雑しており、満席に近い状態で松山駅へと入線していきます。

14:16に松山駅へと到着。ここ松山駅では〔しおかぜ〕と〔宇和海〕が長い1番線のホームで縦列停車をするため、みなホームの前の方へと歩いていきます。短い時間でも同一平面上で乗り換えができるよう工夫がなされているのです。

松山から乗車するのは14:23発の特急〔しおかぜ22号〕岡山行です。宇和海16号が到着した時にはもう乗り込めるようになっているかと思いきや、まだ車内清掃を行っていました。恐らく繁忙期で乗客が多いため、松山駅到着後の降車に時間がかかるなどして清掃作業の終了時刻が長引いているのかもしれません。

乗り込めるようになったのは発車の2分前ほど。ホームにいた大勢の乗客が一斉に車内へと吸い込まれていきます。

「お近くのドアからご乗車くださいー。岡山行、特急しおかぜ22号まもなく発車いたします。」

そんな車掌さんのアナウンスとともに、列車は慌ただしくドアを閉めて定刻通り松山駅を発車していきます。

列車は8両編成で、前から8号車、7号車…と続きます。通常ダイヤではこの8両のうち前寄りの3両(8~6号車)が〔いしづち22号〕高松行として連結して運行されますが、今回は繁忙期ということで8両全てが岡山行として運行されています。高松方面へはこの先の宇多津駅で乗り換えが必要になります。

自由席は7~5号車の3両。私は幸運にも6号車の窓側座席に腰掛けることができました。

余談ですが、〔宇和海〕と〔しおかぜ・いしづち〕を松山駅で乗り継ぐ場合に1列車とみなして特急料金が通算される特例があります。さらに岡山から先は新幹線の特急券を同時購入していたため、乗継割引が適用され半額に。宇和島岡山駅間の自由席特急券をたったの1,320円という破格の安さで手に入れることができました。

途中の停車駅は今治、壬生川、伊予西条新居浜伊予三島川之江、観音寺、多度津、丸亀、宇多津、児島。首都圏民の私には聞き馴染みのない駅名もいくつかありますが、どの駅からも多数のお客さんが乗車してきます。

車内放送では「本日全ての座席が発売済み、満席となっております」と繰り返し案内されています。また「本日4号車は指定席となっております」というアナウンスも繰り返しなされていました。通常4号車は自由席ですが、JR四国ではGWの着席ニーズ増加に応えるべく指定席を増やしており、どうやら間違って自由席特急券を所持した乗客が4号車の空席に掛けてしまうというケースも散見されたようです。

松山を出てからずっと空いていた私の隣の席も、新居浜で埋まりました。この時点で6号車の座席に空席は見当たらず、デッキも相当数の乗客で溢れかえっていたものと思われます。「座席には荷物を置かないでくださいー!!!」「車内中ほどまでお進みくださいーー!!」と強い口調での車内アナウンスがなされています。

伊予三島駅ではちょうど上下特急の行き違いが行われました。ホームに入線していく時のお客さんの表情を見ると「どんだけ混んでるんだ…」と絶望の表情を浮かべています。指定席でも予約していない限りは、この辺りからの着席はまず不可能とみてよいでしょう。

一応付け加えておきますが、今回乗車したこのしおかぜ22号は最終列車でも何でもなく、まだ明るい時間の便にすぎません。このあと夕方から夜にかけてまだまだ何本も列車は運行されています。それでもこの混雑ですから、やはりGWのUターンラッシュがかつてのように復活してきたことを実感せずにはいられません。天井からアンパンマンたちがほくそ笑むようにこちらを見下ろしています。知らんけど。

列車は宇多津駅に到着。ここが岡山方面と高松方面分岐点になります。通常ここでは切り離し作業が行われるため長めの停車時間が設けられていますが、本日は切り離しではなく対面乗り換え。高松方面へは隣のホームに停車中の〔いしづち22号〕へと乗り換えです。やはり多少の降車はみられたものの、車内が大きく空くといった様子は見られません。

乗降に時間を要し、宇多津駅を2分ほど遅れて16:37頃に発車。そして列車はいよいよ瀬戸大橋を渡っていきます。「次は本州・岡山県の児島にとまります」というロマン溢れるアナウンスが、絶望に満ちた自由席車内の空気を少しばかり癒してくれるように感じました。

17:11に列車は定刻通り終点の岡山駅へと到着。ホームは大変な数の人で溢れかえっていました。

岡山駅の新幹線乗り換え改札口は大変な人だかりで、通るのにも一苦労という感じでした。乗り換え時間が短かった人の中には、新幹線の指定席を抑えていながらあまりの混雑に発車時刻までにホームへたどり着けず渋々後続列車の自由席に乗ったという方もいるかもしれません。

 

というわけで、今回はGW最終日に猛烈な混雑を見せるしおかぜ号のご紹介でした。

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。

【横浜→大阪】安さと快適さを両立した究極の昼行高速バス「横浜グラン昼特急大阪号」が最高すぎました…!

 

2022年2月14日(月)

今回はおなじみ横浜駅へとやってきました。これから向かうのはズバリ大阪です。

横浜~大阪間の移動手段は様々ありますが、今回は高速バスを利用していきます。

その名も「横浜グラン昼特急大阪号」。名前の通り、夜行バスではなく昼行バスとなります。

横浜駅には大きく分けて東口と西口の2つがあり、それぞれに大きなバスターミナルがあります。中でも長距離を走る高速バスは主に東口のバスターミナルを発着しており、中央通路を進んで地下街を抜けた先にあります。東口を出たすぐの地上部分は国道が走っており、そこを越えた横浜そごうの1階部分が「横浜駅東口バスターミナル」となっています。

モニターにて、今回乗車するバスの発車時刻と乗り場を確認します。改めて今回乗車するのはC14番乗り場から発車する8:50発の〔横浜グラン昼特急大阪号〕京都深草大阪駅です。

乗り場が多いのは流石ターミナルだなという印象ですが、よく見てみるとその1段下に表示されているバスはまさかの「川崎駅西口」行。そしてそのさらに1行下は山梨県の「竜王」行…と続いており、路線バスも高速バスもごちゃまぜで発車していくのがこの東口バスターミナルの面白い特徴だったりします。

乗り場へ向かうと、ちょうどバスが入線。前面に「GRANDREAM」と書かれた大きな車体で、青いJRのロゴからも分かる通り西日本JRバスによる運行です。ナンバープレートも首都圏ではあまり見ない「なにわ」の文字が刻まれており、さっそく旅の気分が高まります。

車内は3列独立シートでかなりゆとりがあります。"GRANDREAM"の文字からも分かる通り、恐らく夜行バスとしての運用を想定して設計されているのだろうと思います。また、車内の中程にはお手洗いも備わっており長時間の乗車でも安心です。

各座席にはコンセント、レッグレスト、フットレストが完備されており、また車内では当然のごとくWi-Fi環境も整っています。座席のリクライニングは座面も持ち上がるような仕組みになっており、ただ背もたれが倒れるだけの仕様とは比べ物にならないくらいゆったりとくつろぐことができます。

なお、座席は各列が3席横一列で並んでいるというわけではなく、少し前後がずれており、くつろいでいても隣の人の視線が気になることはありません。

ちなみに今回は西日本JRバス公式サイトから4,120円で予約することができました。これは通常価格よりも1,500円ほど安い「ハマの特割」という割引価格の設定が適用されており、運が良ければ新幹線の3分の1ほどの価格で乗車することができるというものです。

そして時刻は8:50となり、バスは定刻通りに横浜駅東口を発車。横浜駅東口を発車すると、まずは国道1号線をしばらく進んでいきます。箱根駅伝でもおなじみのルートです。

ちなみにこの時点で車内を見渡すと、まだ半分以上の席が空席となっています。

狩場ICからは保土ヶ谷バイパスへと入っていきます。

上部の看板は左へ進むと横須賀方面、右へ進むと八王子方面。さてこのように高速道路上に表示される地名が行く先々でどのように変化していくかも注目です。

横浜町田JCT東名高速道路へ入る…かと思いきや、ここは何と素通りして引き続き北西方向へと進んでいきます。眼下には東急田園都市線の南町田グランベリーパーク駅も見えます。

いったん一般道へと降り、やってきたのは…そう、町田駅です。この横浜グラン昼特急大阪号は横浜からまっすぐ関西方面を目指すのではなく、一度町田へと立ち寄っていきます。

9:30頃に、町田駅隣接の町田バスセンターへと到着。ただし無数の路線バスが行き交う間を縫って入っていくので、実際に町田バスセンターで停車していられる時間は限られています。この短い停車時間の間にかなりのお客さんが乗ってきて、窓側はほぼ満席になりました。

定刻通り9:54に町田バスセンターを発車。改めて横浜町田ICより東名高速道路へと入っていきます。

東名高速道路は、その名の通り京と古屋を結ぶニッポンの大動脈。神奈川県内を南西方向へと斜めに横断するように走っており、すぐに「伊勢原」「秦野」等の文字も見えてきます。まだ大阪はだいぶ先ですが、既に「名古屋」の文字も見えています。

横浜を出て約2時間、10:55頃にバスは足柄SAへと到着。ここで1回目の休憩となります。東名高速道路屈指の規模を誇るSAですが、滞在時間はわずか20分程度。町田へ寄り道をしていたこともあり、ようやく静岡県に突入したといったところです。

11:15頃に足柄SAを出発し、ここからはいよいよ静岡県内を横断していきます。

ちょうど車窓右手には立派な富士山も見えました! あいにくの曇天ではありますが、特に静岡県内に入ってすぐの区間は大迫力で楽しめます。

御殿場ICからは新東名高速道路へと入ります。古くからある東名高速道路よりも内陸側を走りますが、より高いところを走るため、ちょうど車窓左手側では手前に東名高速道路が見えます。また、奥の方には駿河湾伊豆半島も確認でき、思いがけないパノラマビューとなりました。

富士市付近では煙がもくもくと上がっている様子もしっかりと確認できます。製紙工場をはじめ様々な工場が集結している地域です。

東名高速道路とつながる新清水JCTを越え、トンネルを出たり入ったり…を繰り返しながら、静岡市付近までやってきました。ここまでとは比べ物にならないくらいはっきりと市街地の高層ビル群が林立していることも確認できます。

横浜を出て約4時間、12:40頃に遠州森町PAへと到着。ここが2回目の休憩地点となります。浜松市も程近く、何と静岡県内で2回目の休憩となります。静岡県恐るべし大きさ…。

バスヲタではないのでSAとPAの違いはよく分かりませんが、ここ遠州森町PAは外観が和風な造りになっていました。館内にはフードコートもあり、ちょうどお昼時なので地元グルメでも食べていきたい…ところですが、ここもやはり20分程度しか停車時間がないため乗り遅れのリスクを鑑みやめておくことにしました。

13:00頃に遠州森町PAを出発。うなぎパイで有名な「春華堂」が製造しているご当地銘菓「みそまん」がありましたので、車内でいただくことにします。これならば特段匂いが強いわけでもなく、また隣の席とを仕切るカーテンもあるので視線が気になることもありません(そもそも隣席は人が来なかったですが)。

浜松いなさJCTを過ぎると、バスはいよいよ静岡県を抜けて愛知県へと入っていきます。三遠南信道などといった聞き馴染みのない高速道路も出てくると、かなり遠くまでやってきたことを実感します。「名古屋」の文字も大きくなってきました。

愛知県に入り、引き続き新東名を走る…かと思いきや、ここ新城ICで何といったん高速道路を降りるとのこと。まだまだ大阪は遥か先のはずですが、はていったい…?

13:30頃、バスは一般道沿いにある「道の駅もっくる新城」へと到着。そう、ここでは何と運転手交代が行われるのです。

この道の駅もっくる新城は、国道151号線沿いに設けられた道の駅。同時にここにはジェイアールバスの支店もあり、長距離を走る高速バスの運転手がここで待機した後、スムーズに交代できるようになっているのです。

併せて、ここ新城では乗降の取扱いも行います。2021年10月よりグラン昼特急や青春昼特急といった東京・横浜~大阪間を結ぶ昼行高速バスが停車するようになったそうです。尤も乗客の大半は首都圏~関西間を移動したい場合がほとんどで、今回の停車の際にも乗車・降車客ともに一人もいませんでした。なお遠州森町PAで休憩したばかりですので、ここでは休憩等の目的でいったん降車することはできません。

13:39に道の駅もっくる新城を出発。すぐに再び先ほどの新城ICから新東名へと入ります。

安城市の手前付近までは引き続き山の中といった様子でしたが、次第に辺りが開けてきました。ちょうど東海道新幹線三河安城付近を通過する際に見える開けた田園風景に近いものをここでも眺めることができます。

長らく続いてきた新東名も豊田JCTで終わり、この先は伊勢湾岸自動車道へと入っていきます。名古屋より先にある「四日市」「新名神」の文字も見えてきました。

ただしこのバスは名古屋が目的地というわけではありませんので、名古屋の市街地中心部へと入っていくわけではありません。市街地よりもやや南にある名古屋港に架かる橋を豪快に渡っていきます。多数の工場がある埋立地の間に橋が渡してあり、交通量もかなり多いです。

ここで愛知県から三重県に入り、すぐ左手に見えてきたのはナガシマスパーランド木曽川揖斐川に挟まれた地帯にある広大な遊園地で、付近には温泉施設やアウトレット等もある一大観光リゾートエリアです。

本当に人間の手によって造られたのかと目を疑うほどくねくねと曲がったジェットコースター…その恐ろしさはバスの車内からでもひしひしと感じることができます。

四日市JCTからは新名神高速道路へと入ります。ついにこのバスの目的地である「京都」「大阪」の文字が見えてきました!!

東海道新幹線東海道本線は大垣・関ヶ原の方を通りますが、こちら高速道路の大動脈は三重県内陸部から滋賀県へと入っていきます。どちらかといえば関西本線に近いルートになっています。

横浜を出て早6時間半、15:20頃にバスは滋賀県甲南PAへと到着。ここが3回目にして最後の休憩地点となります。

この辺りは忍者が有名なようで、建物にも忍者のイラストが描かれています。

15:40頃に甲南PAを出発し、あとは京都・大阪へと向かうのみ。草津JCT関ヶ原側を走ってきた名神高速道路と合流すれば、京都はもう目と鼻の先です。

京都府内の停車バス停は「京都深草」。名神高速道路上に設けられたバス停で、京阪本線藤森駅から徒歩圏内にあるようです。

16:12頃、京都深草バス停へと到着。西日本JRバス故か、駅名標(?)もJR西日本と酷似したデザインが特徴的です。京都の市街地からは直線距離で5kmほど離れており、このバスは京都の中心部まで乗り入れることはしません。ご丁寧に次のバス停が駅名標のごとく3つほど書かれていますが、横浜グラン昼特急大阪号はこのどれにも停車せずまっすぐ大阪へと向かいます。

京都深草を出発し、引き続き名神高速で大阪方面を目指します。頭上の電光掲示板には気になる渋滞情報も出ていますが、いかんせん土地勘がないもので「表示されている渋滞区間はこのバスがこれから通る区間なのか否か」がさっぱり分かりません(笑)。

山崎付近では名神高速東海道新幹線のすぐそばを通っており、物凄い勢いで抜かされていきます。あれがもしのぞみならば、東京駅を出たのは14時頃のはず。私の乗るバスよりも5時間ほど遅く出発していても、あっけなく抜かされてしまいます。

狩場ICから長く続いた高速道路もここまで。吹田ICで名神高速を降り、ここからは一般道を通って大阪駅へと向かいます。

吹田ICのすぐそばには万博記念公園があります。ちょうど車窓右手からは1970年の大阪万博を象徴する「太陽の塔」も見えました。初めて生で見ましたが、なかなか強烈なインパクトです(笑)。大阪へ来たことを実感します。

千里中央からは国道423号線へと入り、北大阪急行の線路とぴったりくっつくように南下していきます。交通量が多い夕方の時間帯へと差し掛かっていることもあり、道路はやや渋滞気味です。

どっかの駅の脇を通過していきます。次の駅はどっかの駅です(笑)。

北大阪急行Osaka Metro御堂筋線との相互直通運転を行っています。

新大阪駅を通り過ぎ、ここはおそらく西中島南方駅でしょうか。淀川を渡ればすぐに大阪駅というところですので、背後には梅田の無数の高層ビル群が待ち構えています。

いよいよ終点「大阪駅JR高速バスターミナル」が近づいてきました。長時間の乗車ですので全く疲れていないということはありませんが、やはり3列独立シートは快適そのもの。乗り心地自体は新幹線の普通車よりも高いと思います。

17:06頃、終点の大阪駅JR高速バスターミナルへと到着。時刻表上は17:20到着予定でしたので、名神高速を降りてから渋滞に巻き込まれたものの14分ほどの早着となりました。

 

8時間以上もかけて高速バスで横浜から大阪へ行く…と聞くと身構えてしまう人も多いかもしれませんが、実際に乗車してみると快適そのもの。1日がかりの移動となるため時間に余裕がない社会人などは厳しいかもしれませんが、学生さんなどで時間に余裕のある方は是非利用してみてください!

 

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。

日本海&瀬戸内海を同時に楽しむ! 1日1本限定のレア運用「鳥取はまかぜ」全区間乗車

 

2021年11月5日(金)

今回は早朝の鳥取へとやってきました。外は真っ暗で、ひとけも明かりもほとんどありません。

今回はこの鳥取駅から、1日1往復限定で運行されている通称”鳥取はまかぜ”へと乗車していきます。

関西~鳥取間を鉄道で移動する際に最も一般的なのは、智頭急行線経由で運行されている特急「スーパーはくと」です。1日6往復が設定されており、大阪~鳥取駅間を約3時間30分で結びます。

これに対し今回乗車する特急「はまかぜ」は1日わずか3往復の運行。智頭急行線ではなく姫路~和田山駅間を結ぶ播但線というローカル線経由で運行されています。しかもそのうち1往復は大阪~香住駅間、別の1往復は大阪~浜坂駅間のみでの運行ということで鳥取駅には来ないため、大阪~鳥取駅間を直通するはまかぜ号は1日にわずか1往復しかないのです。

朝早くから稼働する電光掲示板にて、発車番線を確認します。鳥取駅からは浜坂方面・倉吉方面・智頭方面と大きく3方向へ線路が続いており、はまかぜスーパーはくとはのっけから二手に分かれていくことになります。

私が今回乗車する特急〔はまかぜ2号〕大阪行は6:00ちょうどの出発。これに対し、一番右の画面には6:39発の特急〔スーパーはくと2号〕京都行が表示されています。鳥取駅を出る時点でははまかぜ2号の方が約40分のリードを許していますが、何と大阪駅へは後発のスーパーはくと2号の方が先に到着してしまうのです。

使用される車両はJR西日本キハ189系特急気動車です。2010年にデビューした比較的新しい車両で、3両編成での運行となります。ヒーローのような鋭い目つきが印象的です。

はまかぜ全車普通車指定席で、グリーン車や自由席はありません。鳥取駅を出る時点ではまだ朝早いということもあってか、ほとんど人は乗車していないようです。

列車は定刻通り6:00ちょうどに鳥取駅を発車。まもなくすると市街地を抜け、空はだんだんと明るくなっていきます。

特急はまかぜに乗る際にオススメしたいのが、日本海側(A席)からの車窓です。雲が多いですが穏やかな日本海を存分に眺めることができます。

列車は兵庫県へと入り、6:30に浜坂駅へ到着。特急列車が1日1往復のみの運行となっているのはここまでで、はまかぜ1・4号は大阪~浜坂駅間で運行されています。

そこから20分足らずで次の香住駅へと到着。はまかぜ3・6号の運行は大阪~香住駅間となっています。

ホーム上には「歓迎」と書かれた横断幕もありました。色的にクルーズトレイン「瑞風」関連かと思います。

7:12に城崎温泉駅へと到着。これより先の区間、京都方面(山陰本線)および新大阪方面(福知山線方面)はいずれも電化されていますので、一日を通じ多くの電車特急がやってくる”特急街道”の区間です。

かなり朝早いですので、流石に城崎温泉の宿泊客のみなさんが大挙して乗ってこられるということも特にありませんでした。城崎温泉駅では、このはまかぜ2号が1日の中で最も朝早い時間に出発する特急となります。

次の豊岡駅からは、かなりの数の乗車がありました。天橋立宮津方面へと続く京都丹後鉄道が分岐する主要駅でもありますが、純粋に京都方面へと向かうのであればこの列車の約20分後に京都行の「きのさき8号」があります。福知山や京都などを目指してこのきのさき8号を待つのであれば納得がいきますが、そうした主要都市をかすめもしないこのはまかぜ2号がまさか豊岡から混むとは思いませんでした。

7:51に和田山駅へと到着。ここから先は山陰本線を離れ、いよいよ播但線へと入っていきます。余談ですがここ和田山駅は2021年夏の最長片道切符の際に城崎温泉行の特急に乗車していたところ、大雨による抑止の影響を受け1時間以上も足止めを喰らった思い出のある場所です(笑)。

播但線は、その名の通り磨から馬にかけてを結んでいます。姫路~和田山駅間の全線が単線で、特急が走っているとは俄かに信じがたいローカル線ですが、かつて阪神・淡路大震災によりJR神戸線が不通となった際には、加古川線とともに迂回ルートとして活躍した過去をもちます。

途中停車する生野駅は、近くに銀山があることでも有名です。

また「大江山 いく野の道の 遠ければ まだふみも見ず 天の橋立」という小式部内侍の詩に詠まれたことでも知られ、天橋立へと向かう道のり(行く野)と地名の「生野」の掛詞を学生時代の国語の授業で勉強したのをよく覚えています。

列車は眼下に川を望みながら、山の中をくねくねと進んでいきます。山肌に目をやると木々が色づき始めているのが分かります(季節外れのハナテンで本当すみません)。

ちなみに、播但線の途中には天空の城として知られる「竹田城跡」があり、近年ブームとなっています。ただその最寄り駅である竹田駅に停車するはまかぜは一部のみのようで、今回乗車しているはまかぜ2号は通過となっていました。

寺前駅播但線の運行管理上非常に重要な駅。ここを境に姫路側は電化区間、ここまで走ってきた和田山側は非電化区間となっています。寺前以南は列車本数も格段に多く、日中でも1時間に1本は列車が運行されています。

播但線の終わりが近づくにつれ、車窓には建物も増えてきました。日本海側を走っていた時とは異なり、太陽が差していて雲もほとんどありません。

鳥取を出て約3時間、8:54にようやく姫路駅へと到着です。これより先はJR神戸線東海道本線山陽本線)へと入っていきます。

姫路駅では列車の進行方向が変わるため、6分間ほど停車します。播但線ホームに入っていますが、発車後に転線しJR神戸線へと入っていきます。大阪まではまだ距離があるため、停車中に乗客が各自で座席の回転を行っていました。

JR神戸線に入ってからの見どころといえばやはり明石海峡大橋です! 姫路駅で進行方向が変わったため、今度は進行方向右側がA席となり瀬戸内海に面することになります。「同じ座席から日本海も瀬戸内海も眺められる」というのはこのはまかぜでしか体験できない気がします。

神戸駅では路線名が山陽本線から東海道本線へと変わります。智頭急行線で運行されているスーパーはくと神戸駅を通過し2つ先の三ノ宮駅へと停車しますが、はまかぜは神戸と三ノ宮の両方に停車します。

新快速が高頻度で走る複々線区間では、播但線ののんびりとした走りが嘘のような100km/h以上の猛スピードで内側線を走る普通列車を追い抜いていきます。それくらいのトップスピードで走らないと後ろが詰まってしまうということなのでしょう。

三ノ宮を出ると次がいよいよ終点の大阪となります。福知山線経由で走る「きのさき」は尼崎にも停車しますが、はまかぜは停車しません。

鳥取駅を出て実に4時間、10:01に列車はようやく終点の大阪駅へと到着。ちなみに鳥取駅を約40分遅く出発したスーパーはくと2号は、逆にこのはまかぜ2号よりも40分ほど早く9:19に大阪駅へと到着しています。

なかなか全区間通して乗られる方はいないと思いますが、興味のある方は是非乗り通しをしてみてください! 予約の際はA席がオススメです。

 

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。

【衝撃】通らないはずの駅が終点!? 「京葉線の千葉行」に乗車してきた

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2022年1月10日(月)

今回はやってきたのは千葉県にある君津駅。すっかり日も暮れ、辺りにさほど人影はありません。

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これから自宅のある横浜方面へと帰るべく、内房線普通列車に乗ってまずは千葉駅まで向かうことにします。

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発車標を確認すると、20:37発の千葉行があることを確認。

しかし両数が不気味ですね…?

通常、内房線の君津~千葉駅間と言えば各駅停車は209系の4・6・8両総武線へ直通する快速ならばE217系E235系11・15両のはずです。

ホームで待っていると、接近放送が流れ始めました。まもなくその「謎の10両編成」の列車がやってくるようなので見てみると…。

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何と京葉線E233系ではありませんか!

確かにこの車両ならば10両固定編成ですので納得です。

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しかし冷静に考えてみてください。本来京葉線蘇我を出ると沿岸部へと進み、千葉駅を通らずに東京方面へと向かうルートのはずです。

にもかかわらず、今回君津駅から乗車しようとしているのは京葉線車両の千葉行。つまり、京葉線内房線直通列車の間合い運用として千葉駅へと向かう京葉線E233系があるということなんです!

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まさに今から私が乗車しようとしているこの列車も、東京を19:11に発車した京葉線快速の君津行。終着君津に20:32に到着したのち、折り返し京葉線方面へと戻るのではなく千葉へ向かうというわけなのです。

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君津駅には若干遅れて入線したため、20:37発予定のこの列車も4分ほど遅れて20:41頃に君津を発車。車内LCDには普段見ることのない「千葉ゆき」の文字が出ていて違和感があります。

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君津を発車した時点ではこの通り、車内はがらんとしています。次の木更津からは少しばかり乗車がありました。

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袖ヶ浦からもそれなりの乗車がありました。駅前には綺麗なイルミネーションが灯っています。

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少しずつ遅れを取り戻しながら、列車は蘇我駅の1番線へと到着。普段京葉線として使われる車両のLCDの乗換案内に「京葉線」の文字が表示されています。しかも向こうの3番線には真の京葉線の列車が停車しており、バグのような光景です。

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蘇我を発車し、外房線へと入りまもなく終点の千葉が近づいてきました。このLCDのデザインで「ちば」の文字が表示されている光景は改めて違和感しかありません。

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そして…ついに終点の千葉駅へと到着しました。

京葉線E233系が千葉駅に入線している光景、何かのコラ画像なのではないかと思うほどです。

首都圏各地で活躍するE233系ですが、特に埼玉県・東京都・神奈川県内での運用が多く、千葉県内に入ってくるのはこの京葉線常磐線各駅停車くらいのもの。しかもどちらも通常は千葉駅を通ることがないため、このE233系の千葉駅入線自体かなり珍しい光景と言えそうです。

とはいえ京葉線の折り返し運用を調べればE233系の千葉発着列車は簡単に分かりますので、みなさんも是非調べてみてください。

なお、私がここまで乗ってきた列車は折り返し21:37発の木更津行となるようです。

 

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。