2022年10月28日(金)
おはようございます。今朝は京急本線の上大岡駅へとやってきました。
鎌倉街道に面した横浜市南部最大級のターミナル駅で、京急本線と横浜市営地下鉄ブルーラインの2路線が乗り入れます。1日の乗降客数は合わせて延べ約16万人(2020年度)にも上り、横浜市南部を走る様々な路線バスもここへ集まります。
今回は京急に注目し、平日の朝ラッシュの様子を見てみたいと思います。支線を含め全72駅ある京急の中で、ここ上大岡の乗降客数は横浜、品川に次ぐ第3位を誇ります。
ちなみに、以前小田急小田原線の新百合ヶ丘駅でも朝7時台のラッシュを実況しています。その様子も是非ご覧ください。
全ての旅客列車が必ず停車する上大岡駅の構造は2面4線で、ホームは京急百貨店の2階部分にあります。改札口は1階と3階にあり、3階改札からはそのまま京急百貨店のフロアに直結しているのでとても便利です。
今回は平日朝7時台の上り方面を見ていきたいと思います。
…何じゃこりゃ…
多い、多すぎる…!
わずか1時間のうちに発車する列車本数は実に26本。特に複々線の設備もありませんので、これら26本の列車が全て横浜方面へ同じ2本のレールの上を走っていくことになります。
種別のバリエーションは快特・特急・普通の3種類。京急ではこのほか「エアポート急行」「エアポート快特」がありますが、いずれも朝ラッシュ時間帯には運行されていません。また「エアポート快特」は都心方面~羽田空港間のみでの運行ですので、神奈川県内へやってくることはありません。
さらに京急では、朝の時間帯に「モーニング・ウィング号」と呼ばれる全車指定席の着席通勤列車を運行しています。1号・3号・5号の3本が品川方面に向けて運行されていますが、3号と5号の間に約2時間の開きがあるため、あいにく7時台に上大岡駅を発車する便はありません。
ホーム上には、乗車整列位置が用意されています。品川駅や横浜駅ほど複雑ではありませんが、少々ややこしいのはその分け方。
【緑の枠】快特(品川方面)・特急(品川方面)
【紺の枠】普通/羽田空港行全て
すなわちエアポート急行は全て羽田空港へ向かうため、紺の枠に並ぶことになります。また特急や普通でも羽田空港行がありますが、これらも全て紺の枠に並びます。行先だけでなくドア数にも注意しなければなりません。
それではいよいよ密着スタート。怒涛の1時間は7時00分発の快特 品川行から始まります。
上大岡駅の発車標を私のカメラで撮影するとあいにく特急だけ文字が眩しくてはっきりと映らないのですが、色が飛んでいてよく見えないやつは特急だと思ってもらえればありがたいです。
先にホームへ姿を現したのは、7時01分発の普通 品川行。緩急接続が可能となっている上大岡駅では、快特や特急の直後に普通が発車する場合は基本的に待避が行われるとみて間違いありません。これは朝ラッシュだけでなく1日を通じ行われています。
4番線に普通が入線したと思ったら、その直後にすぐ隣の3番線に快特が姿を現しました。ウィング号を除き京急における最優等種別で、品川までの途中停車駅は横浜、京急川崎、京急蒲田のみです。
朝ラッシュの快特・特急は多くが12両編成で運行されます。7時00分発の快特は前8両のみ2ドア車両(2100形)で、後4両は3ドア車両となっています。こうしたドア数に関する情報は発車標には出ておらず、ホーム上のアナウンスでしか得ることができませんので注意してください。
2100形以外の車両は全て3ドアですので、2100形が入線した際は各車両の中央部にあたるホームドアが開きません。しかし実際の様子を見てみると、中央部のドアにも並んでいる人がいます。これは次の7時04分発の特急を待つ人であると思われます。
また、両隣りのドアにも7時00分発の快特を見送ると思われる人の列ができ始めています
ようやく7時00分発の快特が発車、そして続くように7時01分発の普通も発車。そこから一切間髪を置くことなく、再び接近メロディが流れ始めます。今度は7時05分発の普通 京急川崎行が先に4番線へと入線するようです。
上大岡駅の接近メロディとして採用されているゆずの「夏色」はとても良い曲なのですが、いくら良い曲と言っても1時間に26回も聴くことなど人生においてまずありません。
4番線に普通が入線。わずか1~2分前にも普通が発車していったというのに、4番線には既に乗車を待つ人が多くいます。優等種別ではなく、しかも多摩川を越えない列車にもかかわらずこれほど待つ人が多いのには驚きました。
そして、満を持して(?)3番線に姿を現したのは7時04分発の特急 青砥行。しかし車両前面の行先表示器は「青砥」ではなく「品川」と表示されています。これはいったい…?
実は、都営浅草線には最大で8両編成までしか乗り入れることができません。このため12両編成の都営浅草線直通列車は地下に入る前の品川駅で前4両を切り離すことになっています。後8両に関しては正しく「特急 青砥」と表示されていました。
また、都営浅草線には2ドアの2100形が乗り入れることはありません。このため押上行、青砥行、京成高砂行等の都営浅草線直通列車は全て3ドアでの運行ということになります。
7時04分発の特急、7時05分発の普通が立て続けに発車。まだ密着開始から5分しか経過していませんが、既に相当な情報量です。
7時05分発の普通の発車後、すぐ4番線には7時10分発の普通 品川行が入線。あいにくその瞬間は撮影できませんでしたが、7時05分の普通が発車する前から既にホーム手前で7時10分発の普通が入線を待って停止していたのを確かに肉眼で確認できました。
7時09分発の快特 品川行ももちろん12両編成。前8両のみ2ドア車両、すなわち2100形です。もはや人が多過ぎて、車両をしっかりと撮影することさえも儘なりません。
続いて4番線には7時15分発の普通 京急川崎行が入線します。このあたりから、普通に関しては概ね「品川行」と「京急川崎行」が交互にやってくるのだろう、ということが見えてきます。
7時14分発の特急 青砥行も12両編成。ということは前4両が品川で切り離されるわけです。
ちなみに京急の場合、特急は快特よりも下位の種別にあたります。特急の品川までの途中停車駅は横浜、神奈川新町、京急川崎、京急蒲田、平和島、青物横丁です。ただし快特・特急のいずれも都営浅草線内は全ての駅に停車します。
発車標を見てみると、この後も基本的には快特or特急→普通→快特or特急→普通→…というサイクルが約5分周期で繰り返されていくことになります。豊富な種別が次々とやってきていた新百合ヶ丘駅と比べるとやや単調な気もしますが、何よりも乗客にとっては分かりやすい運行パターンですし、特に12両編成の速達列車が5分おきに発車していくのは見ていて飽きません。
また、7時18分以降に上大岡駅を発車する快特では先頭1両を女性専用車両として運行しています。上大岡駅の場合は階段からかなり離れた位置になりますので「慌てて乗り込んだら女性専用車両だった」ということは起こりにくい気がします。
さらに、車体側面のカラーリングにバリエーションがあります。12両編成などでは前4両と後8両で異なる車両形式だったりもするので、その様子はホーム手前のカーブを曲がる時によく見えます。
さて、密着開始から30分近くが経過しました。ここで少し変化が起こります。
発車標を見てみると、7時28分発の快特 品川行の後に7時31分発の特急 羽田空港行が表示されています。
そう、この時間帯からは何と優等列車の続行運転を見ることができるようになるのです!
まず4番線には、7時32発の普通 品川行が入線。7時26分頃の入線でしたので、約6分間停車して優等列車2本を待避することになります。
そしてここで、冒頭でもご紹介した乗車整列位置のステッカーが活躍します。「快特の後に特急が続行」と聞くと「どちらの乗客も緑の枠に並ばなければならない」と錯覚してしまいますが、よく考えてみると7時31分発の特急は「羽田空港行」です。ということは種別にかかわらず紺の枠に並ぶことになりますので、先発と次発の使い分けができるということになります。
7時28分発の快特 品川行が3番線へと入線。車内の様子を見るに、どの号車も満員の状態での到着となります。上大岡よりも南の三浦半島内各停車駅や金沢八景・金沢文庫から横浜・東京都心方面への通勤通学ルートに関してはほぼ”京急一択”ですので、上大岡からの乗車などもはや人間的なスペースが手に入るかすら怪しいレベルです。
7時28分の快特が何とか発車し、その直後に姿を現すのが7時31分発の特急 羽田空港行。12両編成での運行ですが、空港線内には8両までしか乗り入れられませんので前4両は神奈川新町で切り離しを行います。横浜や京急川崎あたりまでの利用であれば「品川行」である必要は必ずしもありませんので、7時28分の快特を見送ってこれに乗るのが賢明な判断といえそうです。
ただし注意点としては、この特急 羽田空港行にはこの先の停車駅で品川方面の優等列車への接続がないことです。「京急蒲田で羽田空港から品川方面へ向かう快特か何かに接続しているのではないか」等という淡い期待を抱いてはいけません。品川方面へ行きたい場合は大人しく見送って次の快特や特急を待つのみです。
無事に7時31分発の特急と7時32分発の普通が続けて発車。これでひと段落…かと思いきや、発車標を見てみると何と次も特急ではありませんか!!
行先が異なるとはいえ、4分差で特急が2本発車していく光景は驚かざるを得ません。しかも7時35分発の特急は12両編成の青砥行ですので、前4両は品川で切り離しとなります。なお品川方面へと向かう優等列車は7時28分発の快特以来7分ぶりとなりますので、ホーム上はかなりの混雑を見せていました。
7時40分発の快特 品川行はこれまでと同じく12両編成ですが、1500形が運用に入っていました。1500形は個人的に普通やエアポート急行の運用に入るイメージが強いですが、もちろんその他の種別にも充当されています。
そして7時40分発の快特が発車したわずか数秒後、続けて3番線に入線したのは7時42分発の特急 羽田空港行。2分差って…えぇ…(驚愕)。前が詰まってしまうので、かなりゆっくりとしたスピードで入線してきました。
なおこの42分発の特急 羽田空港行は、この時間帯で初となる8両編成での運行です。神奈川新町での切り離しは行わず、全ての車両が羽田空港へと向かいます。
7時43分発の普通 京急川崎行も無事に発車し、やっと穏やかな瞬間が訪れた…と思いきや、1分後には7時50分発の普通 品川行の接近メロディが鳴り始め、4番線に入線してきます。
発車標を見てみると…何と今度は立て続けに2本の優等列車がどちらも品川方面へ行くという光景に…!!
そして3番線に7時47分発の特急 京成高砂行が姿を現しました。例によって前4両は品川で切り離しとなります。2分差で後ろから快特が迫ってきていますが、これに追いつかれることはありません。品川駅で切り離し作業を行っていてもなお逃げ切るようで、これは驚きました。
その後を追うようにやってくるのが、7時49分発の快特 品川行。すぐ前を走る特急に追いつけないどころか、むしろその先行の特急よりも3分ほど多く時間をかけて品川へと至ります。これはかなり短い間隔での運行ということもあってか、49分発の快特の車内の混雑はそれほどでもないように見えました。
7時50分発の普通も発車し、7時台も残すところあとわずか。ここで発車標を見上げてみると、何と次は特急が3分差で2本やってくるという事態…もはや理解不能で頭がパンクしそうです(笑)。
7時58分発の普通 京急川崎行が4番線に入線。特急2本を先に通すことになります。
7時54分発の特急 羽田空港行は、7時31分発と同じく12両編成。すなわち前4両は神奈川新町で切り離しとなります。すぐ後ろにもう1本特急が迫っているのに神奈川新町で切り離しを行えてしまうのも京急の凄いところです。
この時間帯はエアポート急行の運行がありませんので、羽田空港へ行きたい人にとっては貴重な直通列車です。一方でこの特急の発車が遅れると、すぐ後ろに迫っているであろうもう1本の特急にも遅れがすぐに伝播しますので、早々にドアを閉めざるを得ません。
そして後をつけてやってくるのが、7時57分発の特急 京成高砂行。くどいようですが12両編成のうち前4両は品川で切り離しです。品川方面へ直通する列車としては49分発の快特以来8分ぶりとなります。
最後に58分発の普通を見送り、これをもって今回の密着は終了。
この1時間だけで快特・特急・普通合わせて計26本、242両もの車両がここ上大岡駅から発車していきました。
ところで京急では、2022年11月26日(土)にダイヤ改正を控えています。
今回ご紹介した「平日朝ラッシュの上大岡駅」に関して最も大きく変わる点として、7時台は23分発以降の全ての優等種別が特急となります。
本数や発車時刻の面で変化がないため、快特→特急へ変更となる列車に関してそれほど所要時間の増加は現れないと思いますが、神奈川新町や平和島などの特急停車駅からの利便性向上に現れるところかと思います。
今回も最後までお読みいただきありがとうございました。