2022年10月28日(金)
今からちょうど10年前の2012年10月に全面高架化が完了し、複雑怪奇な構造へと姿を変えた京急蒲田駅。せっかくなので、今回はその中を詳しくご紹介していこうと思います。
京急蒲田は、品川から京急本線で8kmほど進んだところにある駅です。JRや東急の蒲田駅からは少し離れた位置にあり、京急本線のほか京急空港線が羽田空港方面へと分岐しています。羽田空港への玄関口としてのイメージも強く、大多数の列車が停車する主要駅です。
地図を拡大して見てみると、ホームが非常に細長く、しかもその途中から分岐していることが分かります。なぜこのような構造になっているのかについても、今回詳しく見ていきます。
開業はJRや東急よりも古い1901年のことで、現在の「京急蒲田」という駅名になったのは1987年のこと。近年では様々なキャラクターとコラボした駅構内の装飾も話題となっており、現在は「京急すみっコなかまた駅」というかわいいデザインが施されています。
そんな京急蒲田駅、まず改札口から見ていくことにします。
首都圏で主要駅というと改札口が複数あるところも多いですが、京急蒲田駅の場合はこの1ヵ所のみ。地上から1つ階を上がったところにあり、ここが「改札階」となります。
改札口をくぐると、まず目の前にエスカレーターがあります。左右どちらも上りエスカレーターですが、方面をよく確認してから乗るようにしましょう。というのも、ホームが「2階」と「3階」に分かれており、エスカレーターの乗り口は並んでいても降り口は全く異なります。左が2階ホーム、右が3階ホームです。
先に左のエスカレーターに乗り、2階ホームから見ていきたいと思います。
2階ホームに到着です。
目の前にあるエスカレーターをさらに乗り継ぐと、そのまま3階ホームへも移動することができます。
京急蒲田駅は「2面6線」の構造。1~6番線があり、このうち4・5・6番線があるのが2階ホームとなります。
しかしパッと目に入るのは4番線と6番線のみで、5番線の姿が見当たりません。さらに発車標を見てみると、青砥や品川といった都心方面の行先が並ぶため「上りホーム」なのか…と思いきや、間に羽田空港行が混じっています。これはいったいどういうことなのか…?
まずは4番線と6番線について詳しく説明します。なお、当駅始発・終着となる列車など一部例外もあることをご承知おきください。
4番線(8両まで対応)
・横浜方面から入線した快特・特急・エアポート急行・普通が方向転換して羽田空港方面へと発車していきます。
・羽田空港方面から入線した快特・特急・エアポート急行・普通が品川方面へと発車していきます。
・羽田空港方面から入線したエアポート快特が通過して品川方面へと向かいます。
4番線は、基本的に「空港線→品川方面」「横浜方面→空港線」の直通列車のためのホームです。なお横浜方面~羽田空港方面を直通する列車に関しては日中ほぼ全ての列車がエアポート急行となります。また羽田空港方面~品川方面に関しては同様に快特・エアポート快特のみです。
しかしエアポート快特については京急蒲田に停車することなく、4番線をゆっくりと通過して品川方面へと向かっていきます。ウィング号以外では京急蒲田駅を通過する唯一の種別です。
6番線(12両まで対応)
・横浜方面から入線した快特・特急・普通が品川方面へと発車していきます。
・横浜(上大岡)方面から入線したモーニング・ウィング号が通過して品川方面へと向かいます。
6番線は空港線と関係なく本線系統で運行される列車のためのホームです。
では5番線はどこにあるのか…という話ですが、実は2階ホームの造りはこのようになっています。
↓
5番線(6両まで対応)
・横浜方面から入線した普通が品川方面へと発車していきます。
5番線は、6番線と同じく本線系統の上り列車のためのホームです。ただし6番線の一部を切り欠いて造られたホームとなっており、有効長は6両分しかありません。このため普通のみが使用する待避線としての役割を果たしており、平日朝に限り京急蒲田での緩急接続が行われます。なお緩急接続を終えて5番線から発車した普通は、そのまま6番線の目の前を通過していく構造となっています。
平日朝以外はこの5番線から発車する列車は存在しません。このため昼間でも人気(ひとけ)がなく、通過列車もないためホームドアがありません。5番線に面したエスカレーターは列車発着時間以外稼働停止していますが、列車の発着がない時間帯であっても5番線へ立ち入ることは可能です。
さて、羽田空港行の列車は全て4番線からの発車なのかというと、実はそうではありません。先ほども触れた通り、この2階ホームの他にもう一つ「3階ホーム」があり、どうやらそちらの1番線からも羽田空港行の列車が発車していくようなんです。
というわけで、続いて3階ホームへも上がってみることにします。
上がってくるとまず目に飛び込んでくるのは「1番線」と「3番線」。2階ホームと同じく、ここでも番号が一つ飛んでいます。
2階ホームと3階ホームの構造は、大きくは変わりません。となると今は見えていない2番線の位置と役割もおおよそ見当がつくことでしょう。すなわち2階ホームで行っていることと逆のことを3階ホームで行う、というわけです。
1番線(8両まで対応)
・羽田空港方面から入線した快特・特急・エアポート急行・普通が方向転換して横浜方面へと発車していきます。
・品川方面から入線した快特・特急・エアポート急行・普通が羽田空港方面へと発車していきます。
・品川方面から入線したエアポート快特が通過して羽田空港方面へと向かいます。
1番線は2階ホームでいう4番線と対応しています。「品川方面→空港線」「空港線→横浜方面」の列車のためのホームです。
3番線(12両まで対応)
・品川方面から入線した快特・特急・普通が横浜方面へと発車していきます。
・品川方面から入線したイブニング・ウィング号が通過して横浜(上大岡)方面へと向かいます。
3番線は、2階ホームでいう6番線と対応しており、本線系統の列車のためのホームです。
2番線(6両まで対応)
・品川方面から入線した普通が横浜方面へと発車していきます。
そして2番線も、やはり本線系統の緩急接続(待避)用のホームとして3番線の一部を切り欠いた位置に設けられています。使用されるのは平日朝のみで、やはり昼間は人気(ひとけ)がありません。
2番線に入線する際は、3番線を通過してから入る形になっています。後からやってくる優等種別は3番線で客扱いを行い、それが発車して2番線に停車する列車の横を通過していくのを確認した上で2番線の普通が発車していくことになります。
2階ホームと3階ホームを行き来する階段・エスカレーターは多数設置されています。「上りホームと下りホームの間を行き来する」と考えると何だか不正乗車をしているような気分になり罪悪感がありますが、京急蒲田駅の場合にはそう感じる必要は全くありません。
例えば羽田空港からタイミングのよい横浜方面行の列車がなかった場合、品川方面行の列車に乗り込み京急蒲田で横浜方面行の列車へと乗り換えることになります。この時「空港線→品川方面」の列車は京急蒲田で2階ホームの4番線へと入線しますが、乗り換え先の「品川方面→横浜方面」の列車は京急蒲田で3階ホームの3番線(一部2番線)からの発車となります。
ここまでいろいろごちゃごちゃと書いてきましたが、要は入線してくる方面と発車していく方面ごとに色分けしてまとめると上図のようになります(種別の色ではありません)。こうして見てみると、あれほど複雑怪奇に見えた京急蒲田駅も思いのほかシンプルな造りに見えてくるのではないでしょうか。
みなさんも京急蒲田駅を使いこなしてみてください!
今回も最後までお読みいただきありがとうございました。