わたかわ 鉄道&旅行ブログ

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【運行時刻が遅すぎる?】モーニング・ウィング5号乗車記[上大岡→品川]

 

2022年10月28日(金)

今回は京急本線の上大岡駅へとやってきました。これから京急で品川まで移動していきます。

京急では、1992年より有料着席サービス列車「ウィング号」が運行されています。当初は平日夕ラッシュ時の下り方向のみでしたが、2015年には「モーニング・ウィング号」として平日朝の上り方面の着席需要に応える列車の運行もスタート。今回はちょうど平日ですので、この「モーニング・ウィング号」を利用していこうと思います。

「モーニング・ウィング号」は平日朝に横須賀中央始発1本、三浦海岸始発2本の計3本が運行されています。始発駅の珍しさもさることながら、時刻表を見ていた私はあることに気づきました。

 

「モーニング・ウィング5号に乗って通勤する人は出社時刻に間に合うのか…?」

 

もちろん、出社時刻・始業時刻というのは会社や職種によって様々です。しかし都内一等地のオフィスに勤めるビジネスパーソンなら、毎朝の時間には余裕をもって出社したいところでしょう。

現に「1号」「3号」に乗れば品川駅到着後、始業時刻までは比較的余裕があるように見えます。一方でそこから約2時間も間隔の空いた「5号」では、品川駅へ到着する時点で9時を過ぎています。そこからJR各線等を乗り継ぎさらに移動があるならば、10時の出社さえも危うくなりかねません。

改めて、今回乗車するのは上大岡8時42分発の〔モーニング・ウィング5号〕泉岳寺です。品川までノンストップということで、停車駅案内のほぼ全てのランプが消灯している貴重な光景を見ることができます。ちなみに後続の列車は特急「京成佐倉行」で、京急線内で見ることのできる行先としてはかなり珍しいものになっています。

モーニング・ウィング号の乗車には座席指定券「Wing Ticket」が必要です。券売機は改札階およびホーム上に設置されており、1枚300円となっています。

発券したものがこちら。通称”エド券”と呼ばれる近距離きっぷのサイズで、小さいので何かの拍子に落としたりなくしたりしてしまいそうです。一応黒塗りで隠している箇所にはQRコードがあり、乗車時にこれを読み取ることで車内での検札作業を省略しています。

モーニング・ウィング号は全車指定席で、自由席はありません。また品川駅に到着するまで降車することはできず、神奈川県内の各停車駅は乗車専用駅となっています。各乗車駅ごとに座席指定を受ける車両が決められており、特に上大岡駅からの乗車に関しては編成の約半分が割り当てられています。

発車時刻が近づいてきたら、ホーム上にある専用の乗車列に並びます。各乗車口付近には係員の方がいるため、Wing Ticketの券面にあるQRコードを専用の端末で読み取ってもらいましょう。

余談ですが、平日朝に運行される「モーニング・ウィング号」は上り下りで言うと上り列車にあたります。にもかかわらず、列車の号数が奇数となっているのは少し不思議な気がしました。逆に平日夜に下り方向で運行されている「イブニング・ウィング号」は2号、4号、6号…と偶数号になっており、世間一般の感覚とは完全に逆のような気がします。

発車時刻の5分前くらいから、少しずつ列が出来始めました。並んでいる人の服装は様々ですが、それでもやはりスーツ姿のビジネス客が大部分を占めているように思います。

列車の入線前から、係員が順次QRコードの読み取りを進めていきます。特に上大岡は途中の乗車駅の中で最大の需要を誇る駅ということもあってか、列車が到着してからQRコードの読み取りを始めるのでは到底間に合わないのです。各乗車口、数人がかりでサクサクと進めていました。

そしていよいよ、列車が入線。3ドア車が主流の京急において珍しい2ドア車の「2100形」です。主に快特・特急で運用されており、必ず京急線内で完結する運用にのみ入ります。

ドアが開き、さっそく車内へ。上大岡駅では約2分間の停車時間が設けられており、京急の優等種別の停車時間としては比較的長い部類に入ります。停車時間が長めに設けられている理由としては「QRコードの読み取りに時間を要するため」や「乗車口の数が限られているため」等がありそうです。

無事に着席し、列車は定刻通りに上大岡駅を発車。車内は転換クロスシートですが、乗客自身が座面の方向転換を行うことはできません。またテーブルやコンセント、WI-Fiといった各種設備も特にありません。

上大岡を出ると、次の停車駅は30.8キロ先の品川です。途中にある弘明寺、井土ヶ谷、南太田、黄金町、日ノ出町、戸部、横浜、神奈川、京急東神奈川、神奈川新町、子安、京急新子安、生麦、花月総持寺京急鶴見、鶴見市場、八丁畷京急川崎、六郷土手、雑色、京急蒲田、梅屋敷、大森町平和島、大森海岸、立会川、鮫洲、青物横丁、新馬場、北品川30駅を通過します。

まもなく目の前に見えてくるのは、横浜最大のシンボルである横浜ランドマークタワー。上大岡を出てしばらくは高架区間が続きますので、その様子を車内からはっきりと確認することができます。

この先、列車が入線していくのは神奈川県内最大のターミナル駅である横浜。しかし先にも述べた通り、モーニング・ウィング号は横浜駅を通過してしまいます

これは「遠近分離」と呼ばれる工夫で、横浜以南から都内へ通勤・通学する乗客の着席ニーズに確実に答えられるようにしているのです。

京急において、横浜駅は乗降客数第1位の主要駅です。

「ならばむしろ停車させた方がよいだろう」と思われるかもしれませんが、逆です

乗降客数が多いからこそ、あえて通過させるのです。

モーニング・ウィング号は、あくまでも上大岡以南に住む利用者を都内へ運ぶことが目的とされている列車です。もし横浜駅に停車させてしまうと、ほとんどの座席が「横浜~品川間」で買い占められてしまうことは想像に難くありません。

そこで、横浜駅から都心方面への移動には追加料金不要の「快特」「特急」を利用してもらうこととし、それよりも遠い駅から通勤する乗客へ向けて「モーニング・ウィング号」を運行する…というように、近距離利用者と遠距離利用者で列車を分けているのです。これが「遠近分離」です。

(もちろん、上大岡以南からの通勤客で追加料金不要の「快特」「特急」を利用する乗客も多数います。というかその方が圧倒的多数派であると思われます。)

列車は横浜駅を通過し、その先の各駅も全て通過していきます。車窓には神奈川区鶴見区付近の住宅街が広がりますが、この辺りに住んでいる人は「京急沿線に住んでいる都内への通勤客」であってもモーニング・ウィング号とは全く縁のない地域ということになります。

先行列車の都合等で一時スピードが落ちることはありましたが、花月総持寺付近では90km/hほど出しておりました。

まもなく車窓に大きなビル群が迫ってくると京急川崎です。通常であれば快特・特急含め全列車が停車する主要駅…ですが、もちろんモーニング・ウィング号は颯爽と通過していきます。

京急川崎を通過すると、列車は多摩川を渡り東京都内へと入ります。ここまでノンストップで来れているというのは不思議な感じですが、もう品川はかなり近づいてきているようです。

京急蒲田を通過し、まもなく特急停車駅である平和島を通過…しようとしたところで、列車は次第に速度を落とし、停車してしまいました。おそらく前を走る列車が詰まっているのでしょう。

朝ラッシュ時間帯ともなると列車の運行本数がかなり多い京急ですが、このモーニング・ウィング号は先行の快特・特急を追い越すことはありません。モーニング・ウィング5号よりも6分早く上大岡駅を発車した快特(横浜・京急川崎京急蒲田停車)がありますが、これに追いつくことはできないのです。

無事すぐに動き出し、列車は快調に飛ばしていきます。新馬場付近では前方にビル群が見えたので何かと思いましたが、おそらく天王洲の辺りでしょうか。

北品川を通過し、JRの線路を一気に跨ぐ八ツ山橋を渡るとまもなく品川です。山手線、京浜東北線東海道本線横須賀線東海道新幹線がありますので、上から一瞬通過するだけであってもいずれかの路線の列車を見下ろすことができます。

到着直前には、JR各線の駅とその背後にそびえるビル群を一望することができます。京急の駅はJRよりも高い位置にあるからこそ望める景色です。

そして9時20分、列車は定刻通りに品川駅へと到着。多くの乗客がここで降りていきます。

次は終点の泉岳寺駅となりますので、この1駅間のみ追加料金不要で利用することができます。

乗車してみて思ったことですが、こんなにも遅い時間に品川駅へ到着する列車でありながら通勤客と思しき人の姿はかなり多く、車内はそれなりに混雑していたということです。混雑といってもまだまだ通路側の座席には余裕がありますが、これが快特や特急ならばまともに立つことさえも困難な状況になり得ると考えると、300円の追加料金の意味は大いにあると感じました。

そして京急では、2022年11月26日にダイヤ改正を控えています。このダイヤ改正より「モーニング・ウィング5号」は運行時刻が約30分繰り上げられることが発表されており、改正後は何と9時前に品川駅へ到着するダイヤになっています!

もちろん8時53分に品川駅へ到着するとはいっても9時の出社時刻にはギリギリ間に合いそうにないですから何ともいえない部分はありますが、より使いやすい時間帯での運行になることは間違いなさそうです。

 

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。