わたかわ 鉄道&旅行ブログ

乗り鉄&旅好きの20代男子が全国を巡る!

【初見〇し】羽田空港に行けないエアポート急行が誕生しました…

 

2022年11月27日(日)

本日やってきたのは、京急逗子・葉山駅。JR横須賀線逗子駅からも徒歩圏内です。

かつてこの駅は「新逗子」という名称でしたが、2020年3月のダイヤ改正で現在の駅名へと変更されました。所在地は神奈川県逗子市ですが、葉山方面へ連絡するバスが南口の改札を出てすぐのところから発着しています。逗子・葉山駅到着直前の車内アナウンスでもその旨が案内されており、近年京急では葉山の観光PRにかなり力を入れていることが窺えます。

しかし、今回はそんなお洒落な葉山観光のためにここへ来たわけではありません。

なんでもここ逗子・葉山駅には「初見〇し」レベルの高すぎる列車が発着しているそうなんです。

発車標を見上げてみると…ありました

逗子・葉山9時33分発のエアポート急行 神奈川新町行です。

ホーム上でたまげていると、ちょうど列車が入線してきました。逗子・葉山駅は大手私鉄としては珍しく1面1線の棒線駅なので、到着した列車はすぐに折り返すダイヤが組まれています。

エアポート急行」はその名の通り、羽田空港へのアクセスを目的として2010年に設定されました。横浜方面へ直通する列車に関してはその多くが羽田空港~逗子・葉山駅間での運行となっており、これまで日中の逗子・葉山駅では「エアポート急行 羽田空港行」のみが約10分間隔で発車していく光景が当たり前となっていました。

しかし今目の前に見えている電車の行先表示器には、確かに「神奈川新町」と表示されています。発車前に車掌さんに「これ新町ゆき…(?)」と不思議そうに尋ねているおじいさんもいらっしゃいました。

これは突発的な行先変更等ではなく、昨日(2022年11月26日)行われたダイヤ改正の関係で登場したもの。多摩川を渡るどころか横浜市を脱出できずに力尽きてしまう、「空港へ行けないエアポート急行」という世にも奇妙な列車が誕生してしまったのです。

何はともあれ、今回は終点まで乗り通してみることにします。定刻通りに逗子・葉山駅を発車。駅を出るとすぐに線路が複線になります。

車内のLCDにもしっかり「神奈川新町ゆき」と表示されています。広域路線図には列車の運行区間が水色で塗られていますが、その水色の線は羽田空港までのびることなく、横浜と京急川崎の間で途切れています。

次の神武寺駅ではほぼ必ず上下列車の行き違いを行います。先述の通り逗子・葉山駅は1面1線となっているためです。

神武寺駅を出ると、左側からもう1本線路が合流してきます。これはこの先の金沢文庫駅近くにある総合車両製作所で製造されたJRの車両を搬入するために設けられたJR横須賀線京急逗子線の連絡線で、京急標準軌/1,435mm)とJR(狭軌/1,067mm)では線路幅が異なるため上り線が三線軌になっています。

やがて京急逗子線は終わり、金沢八景駅京急本線と合流します。

最近では、遠かったシーサイドラインのホームが移設され、京急に大きく近づいたことでも話題になりました。

金沢八景金沢文庫駅間には総合車両製作所のほかに金沢検車区もあり、部分的に線路も複々線になっています。快特特急といった優等種別も全て両駅に停車しますが、どちらかというと運行上重要な拠点となっているのは次の金沢文庫のようです。

金沢文庫駅では4番線に入線し、隣の3番線に停車する普通を追い越します。次の能見台まではエアポート急行でも全ての駅に停車しますが、その先からは通過駅が設定されています。

京急富岡杉田駅間ではJR根岸線と交差。東京都心部ではかなり本数の多いイメージが強い京浜東北線ですが、根岸線の末端(磯子大船駅間)ともなると日中は10分間隔での運行になります。

さて屏風浦を通過し、次の停車駅は上大岡です。駅周辺のタワマンやゆめおおおかオフィスタワーは遠くからでも圧倒的な存在感があり、横浜市南部の交通結節点としても重要な役割を果たしています。

上大岡駅に到着。ここでは3分ほどの停車時間があり、後続の快特 泉岳寺行を待避します。駅によって追い越すこともあれば待避することもある、というのがこのエアポート急行の大きな特徴でもあります。

上大岡を出ると弘明寺、井土ヶ谷、日ノ出町…と停車していきます。今回のダイヤ改正エアポート急行の本数が従来の6本/時から3本/時へと激減したこともあり、特に弘明寺や井土ヶ谷からの乗車はかなり多いと感じました。

新幹線の駅のような構造をした南太田駅では先行する普通をハイスピードで追い越します。普通に乗っているとここ南太田ではほぼ確実に快特特急エアポート急行いずれか1本以上の待避が発生するため、長時間停車が恒例となっています。

日ノ出町駅はホームが大きくカーブしており、列車とホームの間にすき間ができるため乗降の際には注意が必要です。

戸部~横浜駅間には、1945年5月の横浜大空襲で被災した旧平沼駅のホーム跡が今でも残されています。4両分しかない短いホームですが、しっかりと地上へ降りる階段の囲いも確認できます。

さて、ジョイナスとタカシマヤのロゴが見えてくると、列車はまもなく横浜駅へと入っていきます。京急富岡杉田駅間で交差した根岸線の線路ともここで再会します。

印象的だったのは、スーツケースを転がしながらこの列車に乗り込もうとして、行先に違和感を覚え慌ててホーム上に戻る乗客が複数確認できたことです。おそらく羽田空港利用者であると思われます。

エアポート急行がデビューして今年で12年になりますが、今回のような「空港まで行かないエアポート急行」というのは前代未聞。他の空港と異なり、「成田エクスプレス」「ミュースカイ」「ラピート」等のような愛称のついた空港連絡特急がない羽田空港において「エアポート急行に乗れば羽田空港に行ける」という分かりやすさは沿線の利用者にとってもかなり浸透していただけに、今回のような「神奈川新町どまりのエアポート急行」に戸惑う人は決して少なくないと感じました。

横浜駅を発車すると車内はかなり空きました。普段のエアポート急行ではまずありえないことです。JRの線路と多数並走しながら、神奈川駅を猛スピードで通過していきます。

京急東神奈川駅はかつて「仲木戸」という駅名でしたが、逗子・葉山と同じく2020年3月に改められました。京急東神奈川を発車すると、次は早くも終点の神奈川新町です。

逗子・葉山駅を出て37分。

10時10分に終点の神奈川新町駅へと到着です。

空港に行けないエアポート急行、の噂は本当でした。

神奈川新町駅のホームはかなり狭いですが、何と言おうとここが終点なので強制的に降ろされることになります。中にはスーツケースを転がしながらホーム上で呆然とする乗客の姿もあり、もしかすると「エアポート急行」の名前に騙されてしまったのかもしれません。

ここまで乗ってきた列車は回送列車となり、いったん子安方の留置線へと入ります。その後進行方向を変え、駅のそばの留置線へと入っていきました。

さて、問題はこれより先の接続です。

いくら神奈川新町どまりといえどエアポート急行」として走っているからには羽田空港方面への接続が考慮されているのでは…と思ったそこのあなた。

残念でした。そんなものはありません。

まぁ腐っても大手私鉄ですから、それほど長時間待たずとも後続の列車はやってきます。

【方法1】
10時14分発の特急 青砥行に乗車→京急蒲田快特 羽田空港に乗り換え

【方法2】
10時21分発のエアポート急行 羽田空港で直通

【方法1】が羽田空港まで最速で到達する手段となりますが、京急蒲田では2階ホームから3階ホームへの乗り換えを強いられます。大きな荷物があると一苦労でしょう。【方法2】であれば神奈川新町からは乗り換えなしで行けますが、そもそもこれは1本遅いエアポート急行を待つだけの話ですから、前提としてなぜ「神奈川新町どまりのエアポート急行に乗ったんだ?」とはなります。

ホーム上で見ていると、空港利用者であるか否かを問わず、多くの乗客が14分発の特急に乗り込むようでした。一方で特急京急川崎までノンストップですので、京急鶴見を含む途中の各駅へ向かう場合は15分発の普通に乗り込むことになります。

若干の遅延が発生していたこともあってか、3番線の特急と4番線の普通はほぼ同時に発車。次の子安までは複々線になっており、こんな荒技をしてのけても列車どうしが衝突することはありません。

今回ご紹介した「羽田空港まで行かないエアポート急行」をまとめると上表の通り。平日1日1本、土休日1日2本限定でいずれも逗子・葉山を午前9時台に発車します。種別詐欺ともとられかねない列車ではありますが、気になる方は是非乗ってみてください!

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。