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[9]海・山・湿原…全てが美しい釧網本線で釧路へ【2024GW北海道ひとり旅】

 

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2024年5月2日(木)4日目

レンタサイクルを道の駅で返却し、徒歩で網走駅まで移動してきました。

ここからは釧網本線に乗車し、釧路まで移動します。

網走駅では旭川方面からやってくる「石北本線」と釧路方面からやってくる「釧網本線」の2路線が落ち合います。どちらの路線でもここ網走は起点ではなく終点の駅となっていますが、両路線の線路は繋がっており、頭端式の構造にはなっていません。

もちろん自動改札機などというものはなく、改札は列車ごと。しかしJR北海道らしくみどりの窓口はしっかりとあり、改札口の頭上には発車時刻や行先を示すディスプレイも取り付けられています。

1日平均乗車人員は268人(2022年度)で、首都圏に置き換えると久留里駅久留里線)や潮来駅鹿島線)等と同水準。同じ石北本線北見駅と比べると半分以下です。

乗車するのは網走15時16分発の釧網本線 釧路行。網走→釧路を走破する列車は1日わずか4本のみで、この画像の3段目に表示されている16時20分発が釧路行の最終列車となるため注意が必要です。

ホームは2面3線で、駅舎に面している方から順に1・2・3番線となっています。有効長は長くとってあるものの、普通列車は1~2両程度のためかなり余らせている様子です。

石北本線釧網本線とも現在は全ての普通列車H100形での運行となっており、キハ40系やキハ54形等の国鉄形式が行き交う網走駅は過去のものとなってしまいました。

しかし今回乗車する15時16分発の釧路行は、一般的なH100形ではなく特別塗装が施されたラッピング車両のよう。これは特別感があります。

鋭い方はお気づきかもしれませんが、実は私、この網走15時台発の釧路行普通列車には一度乗ったことがあります。それは今から約3年前、2021年の夏に実行した「最長片道切符の旅2021」でのこと。当時は国鉄車両の天下であり、2番線・3番線ともにキハ54形が入線していました。

今回は図らずも当時と同じ時間帯の列車で、しかし車両は数十年ほど新しいものに生まれ変わっての釧路までの旅となります。

今回は釧網本線を応援する意味も込めて、普通乗車券を購入し正規運賃で乗車します。網走~釧路駅間の運賃は何と4,070円…1本の普通列車を乗り通すだけでこの金額とはなかなかです。

15時16分、時刻通りに網走駅を発車。座席は満席ですが何とか座ることができ、観光客のほか地元の高校生も多数乗車しています。

すぐに隣の桂台駅を発車すると、早くも左手にはオホーツク海が見えてきます。

この区間では、海に近い駅として知られる「北浜駅」もあり、知床斜里まで断続的にオホーツク海の見える瞬間が繰り返されます。遮るものや人工物は何もなく、まさに北海道の大自然をそのまま味わえる車窓です。

16時00分、列車は知床斜里に到着。斜里町の中心駅で、ウトロ方面へのバスも発着する知床の玄関口です。

知床斜里では約3分間の停車があり、観光客の方が続々降りていかれました。ここから先は、立ち客の方はほぼいなかったように見えます。

知床斜里駅を発車すると、すぐに車窓左手には海別岳・斜里岳が見えます。知床半島の付け根には険しい山々がいくつかあり、遮るもののない釧網本線の車窓からはじっくりと堪能することができます。

中斜里、清里町、札弦…と停車していくうち、さらに少しずつ乗客は降車。やがてロングシート部分にはほとんどお客さんがいない状態となるくらいの空き具合です。

改めてモケットをまじまじと見てみると、北海道にゆかりのある動植物がたくさん描かれているのが分かります。

16時52分、列車は川湯温泉に到着。ここでもまとまった数の降車があり、さらに車内は空きました。手持ちが高額紙幣しかないお客さんがいたようで、運転士さんが「どなたか両替できる方いらっしゃいませんか」と呼び掛けていたのも、都会の通勤電車では決して見ることのできない光景で印象的です。

駅から北西方向に進んだところには、川湯温泉の温泉街があります。また、さらにその先へ進むと屈斜路湖があります。

ここまで相席状態だったボックスシートも、川湯温泉駅を出ると私一人での利用が可能な状態に。もちろん地元の方の利用に加え、私のような遠方からの旅行客と思われる方の姿も車内にはありますが、それでもこの空き具合です。

北海道では、釧網本線花咲線根室本線)・函館本線(山線)等のように観光人気が高く本数が極めて少ないローカル線が繁忙期に激しい混雑を見せることで知られています。しかしこれは、あくまでも青春18きっぷ北海道&東日本パス・北海道フリーパス等の主要フリーパスが利用可能な期間の場合の話。少し前から北海道フリーパスはGW・お盆・年末年始の利用が不可能となっており、また青春18きっぷ北海道&東日本パスも学生の春・夏・冬の長期休みに合わせた発売となっています。

本日は上記のフリーパスがいずれも利用期間外となるゴールデンウィーク期間中で、かつ中日の平日ともあってか旅行客が極めて少なく、激しい混雑とは対極ののんびりとした汽車旅です。

17時34分、標茶に到着。ここでは列車の行き違いが行われるため、6分間ほど停車します。

かつてはここから中標津根室標津方面へ続く「標津線」が伸びていましたが、1989年に廃止されています。現在は標茶駅~中標津BT~標津営業所間を結ぶ阿寒バスの路線バスが朝に1往復あるのみで、鉄道路線としての維持は極めて困難であったことが窺えます。

標茶を出ると、列車はやがて釧路湿原の広がるエリアへと入っていきます。だんだん日が傾いてくる時間帯で、紅く染まる湿原もまたとても美しいものです。

18時03分、塘路に到着。ここでは何と8分間の停車時間があります。

塘路釧路湿原の中にある町で、釧路からの臨時観光列車「くしろ湿原ノロッコ号」が運行されています。また塘路よりもさらに北へ運行される「SL冬の湿原号」もここ塘路には必ず停車し、湿原観光における拠点となっています。

ではこの駅の利用者数は…というと、1日平均5人程度。釧網本線の営業係数はおよそ700前後とされており、すなわち100円の収入を得るために700円ほどを必要とする赤字路線です。

「本線」と聞くと風格ある大幹線に聞こえますが、実態は1両のディーゼルカーが1日数本往復するのみの地の果てのローカル線。かつて網の目のように張り巡らされていた北海道の路線網はここ数十年で一気に廃止が進み、かつて地域の主要路線であったはずの「本線」までも今は厳しい経営状況にあるということです。

JR北海道も民間企業ですから、儲からないビジネスをいつまでも続けるわけにはいきません。沿線民である私には、利用者が少なく廃止の危機にある路線をむやみに「残せ」と叫ぶ権利はありません。

しかし、釧網本線は実際に乗ってみてこそその魅力をまた一段と強く感じることができるのも確かです。私がこうして記事を発信することで「訪れてみたい」と思ってくださる方が一人でもいらっしゃれば、こんなに嬉しいことはありません。季節によっては便利なフリーパスもありますし、それがない今回のような場合であっても応援の意味をこめて普通乗車券で乗車してもよいでしょう。豊かな自然、美しい景色の中を走る釧網本線が、どうか一日も長く続くことを願っています。

18時43分、終点の釧路駅に到着。網走駅から約170キロ、3時間半の道のりでした。

最後の数駅は釧路の市街地に入り、短区間の利用者も多く車内は混雑した様子。湿原内では何度かシカが出没し急ブレーキの扱いもありましたが、ほぼ定刻での到着となりました。

道東最大のターミナル駅である釧路からは、まだ行こうと思えば本日中に札幌までも移動することができてしまいます。また道内を走る夜行バスもあるものの、本日は釧路市内に宿泊してしっかり体を休めたいと思います。

釧路に来たら是非とも訪れたいのが、老舗洋食レストラン「泉屋」さん。総本店は幣舞橋の近くにあり、入口のショーケースが目を惹きます!

明日からゴールデンウィーク後半戦、その休前日とあってか入口には行列ができていましたが、10分ほど並びすぐに中へ案内していただきました。

ここでどうしても食べておきたかったのが、名物「スパカツ」。3年前の最長片道切符の旅で食べて感動し、その味が忘れられず釧路に来たら必ず再訪したいと思っていました。お値段は1,300円です。

熱々の鉄板にのったパスタの上に、どかんとのったボリューム満点のトンカツ。さらにその上から豪快にミートソースをたっぷりとかけ、じゅうじゅう音を立てながら運ばれてきます。洋食屋さんなのでミートソースパスタもカツも味は間違いなく、鉄板の上でパリパリと香ばしくなった麺もまた絶品です。また、いつまでも温かい状態で食べられるのも魅力です。

お腹も満たされ、投宿。レストラン泉屋総本店からもほど近い「スマイルホテル釧路」、お値段は1泊7,000円でした。GWの休前日ですから多少値が張るのは致し方ありません。

ランドリーでの洗濯等も進めつつ、セコマの「北海道メロンサワー」と「北海道チョコクッキーバー」でのんびり。何と2つ合わせて税込たったの216円…やっす…。

 

旅も残すところあと2日、本日はここまで。

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。