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みなさんこんにちは! わたかわです。
最長片道切符の旅2021、今回は3日目の前半の様子をお届けしていきます。
2021年8月5日(木)3日目①
3日目の朝。宿代わりに一夜を明かした「快活CLUB釧路木場店」をチェックアウトし、本日は根室本線で帯広方面へと向かいます。
北海道といえど近年は本州と変わらない夏の暑さに見舞われることも多く、この旅を始めてからもとりわけ北海道の涼しさを感じられる瞬間というのもあまりありませんでしたが、道東は朝晩になると気温が20℃台前半まで下がるのでちょうど過ごしやすい涼しさです。釧路駅周辺でも霧というか靄のようなものがかかっております。
この日まず乗車するのは、釧路8:21発の特急〔おおぞら4号〕札幌行。同じく道東の主要都市である帯広まで、特急で一気に移動していきたいと思います。
おおぞら4号に使用されるのは、北海道を代表する特急車両の一つ「キハ283系」です。青一色に塗られた顔が特徴的で、縦に取り付けられたライトは何だか絵文字のようなかわいらしさもあります。
札幌と道東を結ぶ特急としては〔おおぞら〕と〔とかち〕の2種類があり、前者は札幌~釧路駅間、後者はそれよりも少し短い札幌~帯広駅間を結んでいます。日中はおおむね1本おきの運行で、全ての列車が石勝線経由で運行します。かつては狩勝峠経由で運行されていましたが、峠越え区間ということで所要時間がかかるため、1981年に石勝線が全線開業すると現在のルートで運行されるようになりました。
列車は8:21に定刻通り釧路を出発。釧路から帯広までは何と約130kmもありますが、途中の停車駅は池田のみということで、おおぞら4号はかなりの速達便です。
特急とはいっても指定席やグリーン車に乗れるほど裕福ではないので、利用するのはもちろん自由席。5両編成のうち、札幌寄りの5・4号車の2両が自由席となっています。
ところが、何と驚くべきことにこのキハ283系は同じ自由席でも5号車と4号車では座席のタイプがだいぶ異なるのです。この後帯広からもう一度おおぞら号に乗車する予定ですから、自由席の2種類の座席の”座り比べ”をしてみたいと思います。
釧路から帯広までは、一番先頭の5号車自由席を利用してみることにします。こちらはかなり年季の入っているようで、国鉄時代とは言わないまでもJR発足から間もない頃くらいのデザインのように見えます。最新の特急車両がたくさん走る首都圏でこのような座席の特急車両が走っていると、多くの人は「あれ、何かちょっと古臭くね?」と思ってしまうような感じかなと思います。
車内の混雑は、平日の朝ということでガラガラというわけではないものの、窓側でもまだかなり座席には余裕があるといった様子でした。ビジネス客の利用も多いようです。
釧路の市街地を抜けると、まもなく車窓左手には太平洋が広がります。この日はあいにくの天候ということで遠くまで見渡せるようなコンディションではありませんでしたが、それでも窓越しに波の音が聴こえてきそうなくらいの臨場感です。個人的に最も綺麗に海が見えるなと思ったのは音別~厚内駅間で、この区間にはキナシベツ湿原と呼ばれる湿地帯も広がるため広大な北海道の自然を存分に味わうことができます。この区間を過ぎると列車は内陸に入ってしまうため、海の景色を楽しむなら厚内駅より東側というのを覚えておきましょう。
釧路~帯広駅間の自由席特急料金は1,830円。日々少しでも節約しながら移動したい最長片道切符の旅においては、決してリーズナブルとはいえません。ただし北海道は札幌近郊等を除き普通列車の本数は極めて少ない区間が多く、また単線・非電化のため所要時間もかなりかかります。そのため効率よく移動するためには特急を使わざるを得ない、という首都圏とは全く異なる路線事情を抱えています。
内陸に入ると、少し晴れ間も見えてきたように感じます。浦幌の辺りなどでは地形に沿ってかなりぐねぐねと線路が蛇行しますが、振り子を搭載しているこのキハ283系ではそのたびに車体が左右に大きく傾きます。今でこそ大丈夫ですが、小さい頃はE351系のスーパーあずさで何度も酔いました(笑)。
また、やはり首都圏でいつも乗り慣れている路線と比べると保線状況は決して良いとは言えないからなのか、かなり揺れがあり背面テーブルに置いていた特急券が滑り落ちる場面もありました。蓋のできない飲み物等は万が一のことがあると大惨事ですので注意しましょう。
池田には9:34に到着。釧路を出てから何と104.1km、1時間以上もノンストップだったとうことになります。この駅は吉田美和さんの出身地であることにちなみ、列車接近メロディにドリカムの曲が1コーラス流れるという噂を耳にしているので、またいつか機会があれば降りてみたいものです。
そして9:52に帯広駅へと到着。列車はこの先新得・札幌方面へ向けてすぐに発車していきました。今回この帯広では、約3時間滞在したいと思います。
言わずもがな特急列車を含め全ての列車が停車する帯広駅は高架ホーム2面4線を構える都会的な造りの駅ですが、その大きな特徴として「方面別改札口」があります。JRの駅では多くの場合、どの改札口から入ってもどの方面のホームへも行けるというのが一般的ですが、帯広駅の場合は下り(釧路方面)と上り(新得・札幌方面)が改札内で繋がっておらず、改札口を通る段階から二手に分かれているのです。上の写真では、向かって左手が上りホーム専用改札口、右手が下りホーム専用改札口となります。
最近まで宮崎駅もこのような構造だったそうですが、今ではそちらは統合されていますので、この帯広駅は全国でも数少ない例となります。
現在の高架駅舎は1996年に完成し、周辺の線路と併せて「連続立体交差事業」として進められました。現在この駅に乗り入れる路線は根室本線のみですが、かつては襟裳岬の手前の広尾までを結ぶ「広尾線」や、帯広から北にのびる「士幌線」という路線もありましたが、いずれも駅高架化前の1987年に廃線となっているため、現在の駅舎にそれらの面影はありません。
この日はとにかく暑く、日中の帯広は36℃の予想でした。午前10時の時点で既に32℃ほどまで気温が上昇する中、まず駅から歩いてすぐの「コインランドリー JOY WASH帯広大通店」にて数日分の衣類を一気に洗濯します。ちょうどWi-Fiもあったので、ここでブログの執筆作業を進めることもできました。
1時間ちょっとで洗濯が完了したら、ちょうどお昼ご飯タイム。今回帯広では、名物の「豚丼」をいただきます。帯広豚丼といえば駅弁も有名で、紐を引っ張って温める容器が人気ですが、せっかく今回は時間があるのでお店で食べていくことにします。というわけで、駅から1kmほど北に歩いたところにある「元祖豚丼のぱんちょう」(仮店舗)へ。
さぁ出てきました、こちらがぱんちょうさんの豚丼の中でも最も贅沢な「華」(1,330円)です! ご飯の入ったどんぶりの上に、豚肉が何と8枚ものった宝石箱のような一品。お肉が重なりすぎてご飯は全然見えず、どこから手をつけようか迷ってしまうほどのボリュームです。
ぱんちょうさんでは、松(4枚)・竹(5枚)・梅(6枚)・華(8枚)の4段階でお肉の量が選べるようになっています。最もボリュームのある「華」は一見かなりヘビーに見えますが、実際は脂身もほどよくとても食べやすいのであっという間にペロリと完食できてしまいました! 本当にお肉が柔らかく、ご飯の上に豚肉がのっているというよりはもはや「豚肉のライス添え」でもいいんじゃないか(違)と思ってしまったくらいです。
さて、お腹も満たされ、余裕をもって駅に戻ってくることができました。帯広駅より再びルートを進めていくことになります。
続いて乗車するのは、帯広12:57発の特急〔おおぞら6号〕札幌行。先ほど釧路から帯広まで乗車してきたのの1本後のおおぞら号ということで、やはりこの帯広駅での停車時間はわずかとなります。
ホームに上がり、まもなくすると列車が入線してきました。ちょうどここで乗務員の交代を行うということで、帯広より先の区間で運転を担当される乗務員の方がスタンバイしていました。やはり先ほどと同じようにキハ283系での運行ということで、5両編成のうち自由席は前寄り2両となります。
無事に乗り込み、列車は定刻通り帯広を発車。次の新得まで、約35分間とやや短めですが自由席に乗車していきます。
先ほど釧路から帯広までは5号車の少し古めの自由席を利用したので、今度はお隣4号車の自由席に乗り込んでみることに。こちらは紫色のモケットの座席が並んでおり、5号車の淡いグレーとはかなり異なる印象をもちます。
函館~札幌駅間を結ぶ特急〔北斗〕でもおなじみのこの紫色の普通座席は「グレードアップ座席」と呼ばれるもので、従来の座席よりも居住性の向上が図られています。座席自体の形状の変化はもちろんのこと、ヘッドレストをE5系新幹線のように可動式にしたり、背面テーブルの上にチケットホルダーを設置したりするなどが大きな変更点です。なおグレードアップ座席においてもコンセントは設置されていない点には注意が必要です。
さて、それでは2種類の自由席を乗り比べてみて、一体どちらが快適だったのかということですが、結論から言えば私にとっては4号車(グレードアップ座席)の方が快適です。そりゃそうですよね。
ただし細かな座席の質感や背もたれの形状など、人によって好みは分かれるところだと思いますので「誰にとってもゼッタイ4号車がオススメ!」とまでは断言いたしません。気になる方は、乗車時に車内をそれぞれ覗いて見て、座りたいと思った方に座ってみるのもいいと思います。
13:32に列車は新得駅へと到着。おおぞら号はこれより石勝線へと入り、トマム・南千歳を経由して札幌へと至ります。最長片道切符のルートはこの先根室本線で富良野方面へと進むことになります。
そしてこの新得駅では少し乗り継ぎ時間に余裕があったのですが、ちょうど北海道フリーパスを利用して旅行されていた「特急しょうなんさん」という方とたまたまお会いし、お声をかけていただきました! 特急しょうなんさんはおよそ1週間かけて北海道内各地を巡られていたとのことで、旅も佳境だったようですがお互いに様々な旅の思い出を共有でき、とても貴重な時間となりました。本当にありがとうございます!!
というわけで、今回はここまで。
この後は狩勝峠を通って富良野方面へと抜けていきますが、それはまた次回に続きます。
今回も最後までお読みいただきありがとうございました。