わたかわ 鉄道&旅行ブログ

乗り鉄&旅好きの20代男子が全国を巡る!

(2)ギャップの激しいディーゼル特急「オホーツク」と普通列車を乗り継ぐ石北本線の旅【最長片道切符の旅2021】[南永山→網走]

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みなさんこんにちは! わたかわです。

今回は最長片道切符の旅の2日目、石北本線で網走方面へ進む様子についてご紹介していきます。

 

2021年8月4日(水)2日目①

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1面1線の棒線駅

2日目の旅のスタートは、北海道旭川市にある南永山から。宿泊した快活CLUB旭川永山店の最寄り駅ということで何だか中途半端な地点からではありますが、これより石北本線で北見・網走方面へと進んでいきます。

北海道にはこれまで何度も来たことがありますが、これから進む石北本線釧網本線はこれまで一度も乗車したことがなく、今回が全くの初めてとなるのでとても楽しみです。

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本日もヨンマルのお世話になります

まずここから乗車していくのは、7:12発の上川行普通列車。キハ40系がやってきました。北海道の鈍行気動車といえばどこもかしこもヨンマルのイメージでしたが、これもじきに貴重な光景となっていくのかもしれません。

昨晩同じく快活CLUB旭川永山店に宿泊されていたパスケースさんに畏れ多くもお見送りいただき、列車は定刻通り南永山を出発。パスケースさんは旭川方面に向かわれるとのことで、本当に忘れられない出会いとなりました。

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車内は空いていた

平日の朝ですから通勤通学で混雑しているかと思いきやそうでもなく、車内は5名前後でガラガラでした。恐らく逆に旭川方面に向かう列車は混雑していたのではないかと思いますが、私の乗車した上川行はガラガラで快適に過ごせました。ちなみに北海道や長野等の寒さ厳しい冬を迎える地域では、冬休みが長い代わりに夏休みが短いと聞いたことがあるのでもしかしたらまだ夏休みに入っていないという可能性もあるのでしょうか。

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これぞ北海道

窓の外には、遮るものが何もない広大な景色が広がります。もちろん似たような景色は本州でも見られますが、やはりこういった景色を眺めていると北海道に来たなと実感し、心が洗われます。ましてや国鉄時代から長く走り続けている鈍行気動車での旅ですから、朝から贅沢なものです。

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愛山駅は通過

そして何と面白いことに、この列車は普通列車でありながら途中の「愛山」という駅を通過します。道内各地でこのように利用者の少ない駅を通過する普通列車が運行されており、これもその一つ。愛山駅の1日の乗降人員はわずか10人ということで、通過されてしまうのも納得です。愛別駅・中愛別駅・愛山駅と3駅連続で「愛」という漢字が入る駅が続きますから、”愛のある駅”などと銘打って利用促進のキャンペーンでもやったらいいような気はしますが、そんな素人考えの意見はとっくにJRの上層部に却下されてそうです。

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上川駅に到着

南永山から1時間ほど乗り続け、8:10にこの列車の終点の上川駅へと到着です。特急も停車する大きな駅で、スキージャンプの高梨沙羅選手の出身地としても知られています。

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層雲峡への玄関口

この上川駅から南東方向に50kmほど進むと、層雲峡や北海道最高峰の旭岳などがある大雪山国立公園があります。この上川駅はそれらの観光地への玄関口として多くの観光客が利用する駅で、駅周辺には「ようこそ層雲峡へ」的なのぼりも至る所に見られました。

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上川駅の待合室で待つ

上川駅では次の列車まで1時間ほどの待ち時間があるのですが、特に何化することもないので今回は大人しく待合室で待つことにします。いつもの旅なら少しでも何か面白そうな駅周辺の名所を探したりするのですが、今回はむやみに歩くと体力を消耗し今後の行程に支障をきたすため、あまり駅から離れないでおこうという方針でいます。

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発車直前に改札を始める

そしてしばらく待ち、続いて乗車していくのは上川9:16発の特急〔オホーツク1号〕網走行です。札幌を朝7時前に出発してきた特急で、何とこの列車が上川駅から下り方面への朝一番の始発列車となります。今回の旅では気安く特急に乗れるほど潤沢な資金を用意しているわけではないのですが、普通列車まで待っているとこの先の目的地への到着がかなり遅い時間となってしまうので特急を利用します。

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キハ183系が入線

上川駅からこのオホーツク1号に乗車する客は私一人だけのようでしたが、何と改札が始まったのは発車の約1分前。特急券と最長片道切符を見せてホームに入ったのとほぼ同時に列車がホームへと入線してきました。もちろんもっとたくさんの人がホームで待っている時にはもっと早い時間から改札するのでしょうが、上川駅の駅員さんはなかなかギリギリを攻めるんだなぁ…と思いました(笑)。

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スラントノーズ車は既に引退

ともあれ停車時間はわずかなので、さっそく乗り込みます。定刻通り9:16に発車。終点網走よりも少し手前の北見まで乗車します。

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座席はリニューアル済みで新しい

特急オホーツク1号は4両編成で、前から順に1号車が普通車指定席、2号車がグリーン車、3号車の半分が普通車指定席でもう半分が普通車自由席、4号車が普通車自由席となっています。3号車の自由席部分へ乗り込むと、何と古くから活躍する車両でありながら座席はキハ261系等で用いられている最新のものにリニューアルされていました。まぁ座り心地はなかなかいいのですが、いかんせん外側のボロボロの車体と内側の洗練されたデザインの座席のギャップがすさまじく思えてきます。

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特急料金がかさむ旅

上川を出ると、次は白滝に停車します。この上川~白滝駅間は1駅なのでせいぜい5分か10分程度かと思ったら、何と特急でも40分間ノンストップ。距離にして何と37.3kmも離れていますが、途中にあった駅は全て廃止となり、現在ではとっても長い1区間が誕生しています。これは中央線の東京~立川駅間とほぼ同じ距離なので、普通列車さえも東京の次は立川まで停車しないというのはまず起こりえないことと考えるとこの区間の凄さを実感できます。

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中越駅舎

上川を出て十数分ほどで、線路が少し増え何やら建物のようなものが見えてきました。ここは中越信号場で、2001年まで「中越」として旅客の取扱いを行っていた場所です。戦前に上川方面から延伸された現在の石北本線にあたるこの線路の終点は一時的に中越駅だった時代もあるようですが、国鉄末期の1986年には既に1日1往復のみの停車となっていたことを考えれば、よく2001年まで営業していたなと思います。

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上越駅舎

その約10分後に通過したこちらの駅舎のような建物があるのは、上越信号場(旧上越駅)です。「じょうえつ」ではなく「かみこし」と読みますが、1975年には既に公式に駅として廃止されているようです。廃止後約半世紀にもわたって何の手入れもなく建物が残っているはずはないので、おそらく現在も信号場に関連する何かしらの目的があって、修復をしながら使われ続けているということなのでしょう。

他にもこの周辺には「旧白滝」「上白滝」「下白滝」等いくつもの途中駅がありましたが、2016年までに全て廃止となり、現在に至ります。

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白滝が都会に見える

数々のトンネルをくぐり、険しい道のりを抜けてきたらようやく白滝へ到着します。この駅の周辺には小中学校や郵便局などがあり、小さいながらも市街地が形成されているので、特急がいつまでも停車するかはさておき駅がすぐに廃止されるといった心配はなさそうです。

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一時的に開けた土地も

石北本線の線路は山の中を走る区間が非常に多く、険しい道のりを何とかして走っているという様子ではありますが、しかし突如として視界が開ける区間もあります。いずれにしても共通するのは厳しい自然の中に線路が敷かれているということで、これは同じ「特急」でも成田エクスプレスやあずさ・かいじ等とはまるで異なる乗り物というわけです。

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丸瀬布では特急どうしの行き違いも

白滝の次は丸瀬布に停車。この区間にあった途中駅も全て廃止されており、白滝~丸瀬布駅間19.7kmは特急でも普通列車でもノンストップです。ちょうど網走を朝8時頃に出発してきた上り旭川行の特急大雪2号と行き違いを行います。言うまでもありませんが石北本線は長大な単線路線ということで、駅間が開いていると行き違いできる駅も限られており一苦労です。先ほどご紹介した中越駅跡地や上越駅跡地が信号場として存続しているのにはそれもあり、駅ではないとしても旅客の取扱いを行わないだけで列車交換設備は今も残っているようです。

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遠軽で進行方向が変わる

途中の遠軽駅には約4分間停車し、ここで何と列車の方向が変わります。かつては遠軽より北側の湧別・紋別・興部方面へも線路が続いていたのですが、現在は廃線となりスイッチバックのような構造で走る石北本線だけが令和の今も存続している結果このような不自然な配線となっているようです。

とはいえ停車時間がしばらくあるということは、かつてはホーム上の立売販売などが儲かった時代もあるのかもしれませんが、今はそうはいきません。特に誰かがこのホームでもてなしてくれるわけでもなく、すぐに発車時刻となったので再び乗り込みます。

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自然豊かな場所を進む

石北本線では海沿いを走る区間がないため、基本的に山や木々に囲まれた雄大な自然の中をいつまでも走り続けるということになります。首都圏の通勤列車と比べても保線状況は悪く、かなりの揺れが常に乗客を襲い続けますが、頻繁に乗る方であればもう慣れっこなのでしょう。

まもなく沿線に建物が増えてくると、列車は一旦地下トンネルに入ります。何と北見駅手前のこの区間は線路が一部地下化されているのです。なぜ気動車なのにトンネル内を走行できるのかはちょっとよくわかりませんが…。

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石北本線の途中駅では最大の都会

そんなことを考えているうちに、定刻通り11:27に北見駅へ到着。旭川~網走駅間を夢薄部石北本線の途中駅としては最大の都会で、もっと言えば網走よりも発展しているのがこの北見という街だそうです。

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ゲシュタルト崩壊しそう

そんな大都会北見駅の名物といえば、どこまでも連なる「きたみ」と書かれた駅名看板の群れ(?)。JR北海道独特のホーロー看板がほぼ全ての柱に取り付けられ、じーっと見ているとやがてゲシュタルト崩壊を起こしてしまいそうです。

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整然と整理されている北見駅

北見駅、駅舎はいたって普通の平屋建ての昔ながらの駅舎ですが、そのすぐ隣にバスターミナルがあり、正直JRの駅舎内よりもそちらの方が多くの人で賑わっています。市内を走る路線バスが人々の生活の足になっていることは素晴らしいことなのですが、長距離移動の需要までも奪われてしまうとJRは立つ瀬がなくなりますので、思いは複雑かもしれません。

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Parabo

北見駅のすぐ隣には、大型複合施設「Parabo」があります。今回はその最上階レストランフロアにある「かつとカレーの店 清水」さんというお店で北見名物を食べていくことにしましょう。

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オホーツク北見塩やきそば

ここで食べられる北見名物というのが、かつでもカレーでもなく「オホーツク北見塩やきそば」(900円)です。この旅の「日本の食」通算4品目となるこの逸品は、ホタテ・エビ・イカの3種類の海鮮とたっぷりの野菜が入った塩焼きそばで、アツアツの丸い鉄板にのせて運ばれてきます。食べている間にも底と接している麺が少し焼けてくるので、おこげのようなカリカリとした食感も味わえて本当に絶品です。

ちなみにライス付がデフォルトとなりますが、50円安い850円でライスなしのセットも注文できます。焼きそばはただでさえ炭水化物なのに、そこに白いご飯をつけるなんて…と思うかもしれませんが、個人的にはこれライスがある方が美味しく食べられると思います。というのも、ライスが付くということはこの塩焼きそばは”おかず”としてのポジションに回ることになるので、やや濃いめに味つけられています。なので「焼きそばをおかずにご飯をかきこむ」というデブエットの鑑のような贅沢をすることで最も美味しく食べられるのです。

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日本初の地下化による連続立体交差事

食後は少し北見駅周辺を散策してみます。先ほどもご紹介しましたが、北見駅の西側の一部区間は1977年に地下化されました。これは何と日本初の「地下化による連続立体交差事業」と言われています。今や首都圏でも数多くの路線で行われる連続立体交差事業ですが、その先駆けはこの北見の地で行われたというわけなんですね。

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北見からは普通列車

駅に戻り、待合室でしばらく東京オリンピックの女子スケートボードを観戦した後、いよいよ網走方面へと進んでいきます。まだ網走まではそこそこの距離があるので時間が合えば北見~網走駅間でも特急を利用したかったのですが、残念ながら石北本線の特急は1日わずか4往復しかないため短い間隔で特急の後に特急が続行することはまずありません。北見13:43発の網走行普通列車に乗車するべく、改札をくぐります。

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キハ54系

車両はキハ54系で運行され、何とまたもや1両での運行です。昨日からずっと宗谷本線・石北本線では1両の気動車鈍行が当たり前になりつつあるので、これから首都圏で15両の列車を見かけたら度肝を抜かれそうです。

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側面にはサボ

側面にはしっかりと運行区間を示すサボが差し込まれています。首都圏では今や方向幕さえも絶滅危惧種、路線によっては3色LEDも壊滅的であるのに対し、日本の果てでは令和の今も人の手によって行先表示が差し替えられています。特にホームのない側の差し替え作業など大変だろうと思うのですが、こうしたサボの差し替えを行う人もいてこそこの列車の運行が成り立つのだと思うと、なかなか都会とのギャップを感じずにはいられません。

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北見を出てしばらくは高架

定刻通り13:43に列車は発車。車内は地元の中高生や高齢者でかなり混雑しており、座席にもあまり余裕がありません。

北見駅を出発した列車は、しばらく高架線の上を走ります。こんな道東の地方都市でありながら高架線や地下トンネルがあることを思うと、もはや北見は首都圏なのかもしれません(意味不明)。

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メンビス

ここで北見の有名なお菓子をご紹介します。「日本の食」通算5品目は「メンビス」で、ミント味のラングドシャとなっています。北見はハッカの一大産地として知られ、北見には様々なハッカグルメがあるのですが、4枚入りで302円とお手頃価格のこちらを選びました。オシャレなペンケースのようなデザインの箱には「スイート」と「グリーン」の2種類の味が2枚ずつ入っており、どちらもそこまでミントの風味はキツくありません。私は以前からチョコミント系は好きなのですが、その手のお菓子が苦手という人にも是非一度食べていただきたいオススメのお土産です。

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美幌でほとんど下車

列車はしばらくすると、途中の美幌駅に停車。ここで車内の中高生がほとんど降りていき、車内は一気に超ガラガラ状態となりました。私のような遠方からの旅行客と思しき人の姿もあまりいなかったように見えたので、逆にいかにこの路線が地域の輸送を支えているかということも身にしみて感じます。

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転換クロスシート

空いてきたところで改めて座席を見てみます。今回乗車したキハ54系の車内には青いデザインのモケットがあしらわれた転換クロスシートが並んでいて、よもや関西の新快速かと見紛うほどの快適性です。ただ上の写真からも分かる通り、何列かに一つは窓割の合わないハズレ席がありますので、窓の外の景色を楽しみたいという人は気をつけましょう。

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これでも空港最寄り駅

途中の西女満別駅は、女満別空港の理論上の”最寄り駅”として知られており、実は徒歩約2kmほどで着いてしまうようです。うっそうとしたこの森の先、わずか2kmのところに空港があるとは到底想像つきませんが、一度いつかやってみたいものです。

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網走湖

網走駅まであと数kmというところで、車窓左手には網走湖が見えてきます。湖と言いながらかなり小さく見えているかもしれませんが、実はこれは網走湖の端っこの入り江になっている部分で、実際にはこの何倍もの幅の大きな湖本体が茂みの向こうに広がっています。

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石北本線の終点

そして14:51にようやく石北本線の終点である網走駅へと到着です。オホーツク海に面した道東の街で、札幌からの特急オホーツクが1日2往復乗り入れます。この先も線路は続き釧路へと繋がっていますが、こちらは釧網本線となります。この後すぐにその釧網本線で釧路へと向かっていくことになるので、その様子はまた次回にお話したいと思います。

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初来訪

石北本線は今回初乗車ということで、当然ながら網走に来るのも今回が初となります。既に多くの方がYouTube等で仰っていますが、階段の脇の網走駅の看板が縦書きなのには理由があり、これは網走監獄を出所した元受刑者に向けて「横道に逸れることなくまっすぐな人生を送ってほしい」との願いから取り付けられたものと言われています。

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せめてもの監獄体験(?)

網走監獄は駅からかなり離れているため今回は行けませんが、せめてもの監獄体験(?)として駅構内にある牢屋風の顔出しパネルで記念撮影をしておきました。

 

というわけで、今回は特急と普通列車を乗り継ぎながら石北本線を旅する様子をご紹介していきました。

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。