わたかわ 鉄道&旅行ブログ

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【列車が詰まる】遅延不可避!? 京王線千歳烏山駅・怒涛の朝ラッシュを観察

 

5月某日、やってきたのは東京都世田谷区にある京王線千歳烏山駅

2022年度の1日乗降客数は74,178人で、これは京王多摩センターに次いで自社線内第8位の数字となっています。

当ブログではこれまで新百合ヶ丘・上大岡・二俣川溝の口の計4回「朝ラッシュ実況」を行ってまいりましたが、第5弾はついに神奈川県を飛び出しここ千歳烏山の平日朝ラッシュの様子をお届けしていきたいと思います!

京王線には各駅停車・快速区間急行急行特急が運行されており、路線図で示されている通り千歳烏山駅にはこれら全てが停車します。ただしこれらの種別とは別に運行されている全車指定席の「京王ライナー」および「Mt.TAKAO号」はいずれも通過となります。

今回観察するのは上り方面、すなわち新宿方面です。朝ラッシュ時間帯には快速の運行がないため、それ以外の4種別が次々にやってくる様子をご覧いただきたいと思います。特急千歳烏山を出ると明大前までノンストップですが、区間急行急行はその手前の桜上水にも停車します。千歳烏山以西では区間急行急行に停車駅の違いがありますが、千歳烏山以東では実質的に同一の種別とみなすことができそうです。

駅は2面2線の相対式地上ホームです。1番線が下り(京王八王子高尾山口・橋本方面)、2番線が上り(新宿・本八幡方面)となっています。

ホームの幅も狭く、駅構造だけ見るとまるで各駅停車のみが停車するような駅と変わりません。他の路線との接続もないため他県民にとっては「ターミナル駅」という印象は薄いですが、こんな手狭なホームで府中や京王多摩センターに匹敵する乗客数を捌いています。

かつて京王線には「準特急」という珍しい種別が運行されており、その準特急が停車する代わりに特急は当駅を通過していました。しかし2022年のダイヤ改正にて準特急が廃止され、特急がそれまでの準特急の停車駅を引き継ぎ停車する形となったことで全ての無料種別が停車するようになったのです。

これまでご紹介してきた神奈川県内のターミナル駅と比べ、千歳烏山駅は東京都心部までの距離が近いため、7時台のみならず8時台も列車本数が多いのが特徴です。2面2線の相対式ホームにつき待避可能な構造でもなく、なおかつ途中に複々線区間もない状態ながら25本/時という驚異的な本数が運行されています。

列車は多くが新宿行ですが、これは京王線頭端式ホームである地上の新宿駅を示しています。都営新宿線に直通する列車は手前の笹塚駅より分岐し、京王新線経由で新宿(通称”新線新宿”)へと入りそのまま都営新宿線に直通します。

また、最混雑時間帯とみられる7時30分頃~8時15分頃の間は、特急の運行がありません。先述の通り区間急行急行はこの先の区間で停車駅に違いがないため、停車パターンを極限まで単純化することで余計な待避や緩急接続を減らし、神業ともいうべき過密ダイヤを形にしているようです。

時刻は8時ちょうどとなりましたので、ここから実況開始。

なお、過去4回お届けしてきた駅のホームはいずれも島式構造をもち、乗客の方の通行の妨げにならない場所で長時間観察をすることが可能でした。しかし先ほどの画像からも分かる通り、千歳烏山駅の場合は相対式でホームの端が極めて狭く、整列乗車をする人で完全に埋め尽くされています。またそれ以外の場所も決して十分に広いとはいえず、ホームドアの設置もありません。したがってこれまでのように長時間滞留することは今回危険と判断し、滞在時間を短縮して観察しています。鉄道会社様および他の乗客の方にご迷惑をおかけすることのないよう十分に配慮・注意をしながら30分ほど滞在させていただきました。

8時台まず1本目の入線は、8時01分発の急行 新宿行。ホームで待つ人のあまりの多さに、車両の姿もあまりはっきりと捉えることが難しいほどです。

新宿駅新線新宿駅に7時30分~9時30分に到着する特急急行区間急行は、新宿寄りの先頭車両1両が女性専用車となっています。千歳烏山駅では、先頭車両付近へ歩いていくのもやっとなほどの大変な人口密度の高さですので、ふら~っとうっかり知らずに乗ってしまう可能性は極めて低そうです。

急行が発車した…のもつかの間、続いて8時03分発の各駅停車 新宿行が入線します。千歳烏山を出ると芦花公園八幡山、上北沢まで先着するものの、八幡山で後続列車を待避するため桜上水へは後続の区間急行が先の到着となります。

とても空いているようには見えない…かもしれませんが、これでも先ほどの急行に比べればだいぶマシです。乗降が終了するとある程度車内に余裕が生まれるため、1ミリも動けないほどのすし詰め状態とはなりません。

03分発の各駅停車のドアが閉まり、発車しようというところ…ですが、ホーム上は後続列車を待つ人で既に埋め尽くされています。時計を見ると長針は既に5分付近を指しており、若干の遅れが発生しているようですが…もはやこれほどの本数、これほどの乗客数をもって定時運行などほぼ不可能。西東京・相模原方面から矢継ぎ早にやってくる無数の満員電車をとにかく1分1秒でも早く新宿に送り込む、ただそれだけです。

続く3本目は8時05分発の区間急行 本八幡。行先から分かる通り、都営新宿線に直通します。都営新宿線内は各駅停車として運行されますが、女性専用車の扱いは引き続き同様に行われます。

この区間急行が、約2分前にここを発車した各駅停車八幡山で追い越します。京王線内は笹塚まで先着しますが、笹塚でギリギリ後続の急行に追いつかれるかどうか…といったところです。新宿へはこの区間急行と後続の急行とでほぼ同時着(別フロア到着)となります。

噂をすれば、8時07分発の急行 新宿行がやってきました。つい6分前に急行は1本行ったばかりですが、そんな事実をねじ伏せるかのような地獄の様相を呈しています。聖蹟桜ヶ丘分倍河原、府中、調布といったターミナル駅から次々にお客さんを載せてきているため、もはや千歳烏山から乗車できる余地はほとんど残されていません。

少し時間をおいて(と言っても3分ほどですが)続いてやってきたのは8時10分発の各駅停車 大島行。この時間帯で初となる都営車での運用です。

何とも珍しい行先ですが、大島駅は都営新宿線の途中駅。「おおま」と濁ります。

隅田川を越えた先なので東京都心部へアクセスすることには変わりなく、本八幡まで行かないからと言って他の列車よりも極端に空いているということはありません。

その大島行を八幡山で追い越すのが、8時12分発の急行 新宿行です。「つい5分前にも急行が行ったばかりなのに…」という理屈は通用しません。なぜならこれほどの人々を運べるだけの”動く金属の箱”が必要だからです。

また07分発の急行高尾山口始発でしたが、12分発の急行京王多摩センター始発です。大きく分けて2方面からの直通列車が調布にて合流する…という意味では南海線天下茶屋駅と似たような運行系統ですが、南海の方は複々線であるのに対しこちらはただの複線で何とかしなければならないのです。

すかさず8時14分発の各駅停車 新宿行が入線。この列車は八幡山で後続の特急の待避を行うだけでなく、その先の桜上水でさらに後続の区間急行との緩急接続と京王ライナーの待避を行います。千歳烏山明大前駅間はわずか4.7kmですが、この中で3本もの列車に抜かれてしまいます。各駅停車は下高井戸まで先の到着となりますが、明大前や新宿を目指す乗客はみな後続の特急へ乗り換えるのです。

各駅停車から特急等へ乗り換える乗客は、一時的にこのホームへ降り立つことになります。これもまた狭い千歳烏山駅のホームの混雑が増幅する原因の一つのようで、将来的に千歳烏山駅は高架化が予定されており、その際2面4線へと規模を大きく拡大することが計画されています。

そして…満を持して(?)8時16分発の特急 新宿行がやってきました。背後に見えるのが建設中の高架線とみられます。

特急は調布からここまでノンストップでやってきていますので、急行区間急行と比べると一定の遠近分離効果は見込めるはずです。とはいえかつては調布を出ると明大前までノンストップだったわけですから、調布以西からの乗客にとっては千歳烏山にも停車させないでほしい…という思いもあるのかもしれません。

ホームに滞留していた乗客の多くが、この特急に乗り込みます。ただし列車は非常に短い間隔で詰まっていますから、正直なところここから明大前・新宿へは特急急行区間急行のどれであっても所要時間に大差はないでしょう。

その証拠に、16分発の特急が発車する前から既にすぐ後方には19分発の各駅停車が迫っています。

一般的に優等種別の1本後を走る各駅停車は優等種別からどんどん距離が離れるため、これほど近い距離で「特急各駅停車が続行」することはなかなかありません。しかし他社線の非日常は京王線にとっての日常、と言わんばかりにこうした光景は毎朝京王線のあちこちで繰り広げられています。

一応この各駅停車は2駅手前のつつじヶ丘で特急の待避を行っており、かつ各駅停車はその間の仙川にも停車するためどんどん距離は引き離されてしかるべきところ。しかし実際は前が詰まっているため、特急特急で高速運転をしたいところを実際はノロノロ運転にならざるを得ないというのが本音でしょう。

同じように列車が詰まる光景は、その直後にも再び。21分発の区間急行がまだホームにいるにもかかわらず、そのすぐ後方には京王ライナーが迫っています。この京王ライナー8号京王八王子始発で、府中までの特急停車駅を乗車専用駅としており、府中を出ると明大前まで23分間ノンストップ(※要出典)となります。座席指定券410円を払って調布・千歳烏山の混雑を確実に回避することができる画期的な遠近分離を実現したライナーですが、所要時間の面では正直特急と変わりません。

京王ライナーが通過してから、約1分で8時24分発の特急 新宿行も入線。この列車も同じく京王八王子始発で、実はこの特急の方が先ほどの京王ライナー8号よりも京王八王子を2分先発しているのです。しかし途中の高幡不動京王ライナー8号特急を追い越す緩急接続を行っており、明大前・新宿へは京王ライナー8号の方が先に到着することになります。

この時間からだと新宿への到着は確実に8時30分を過ぎるため、通勤のピークとなる時間帯は過ぎていることでしょう。しかしそれでもホーム上はこの混雑です。

これまでご紹介してきた新百合ヶ丘・上大岡・二俣川溝の口は、いずれも優等種別の発車直後には一時的にホームが比較的空く瞬間がありました。しかし千歳烏山では、特急急行区間急行・各駅停車のいずれの発車直後であっても常にホーム上が混雑しています。またどの列車でもドアが自動では閉まらないくらいに混雑しており、各列車の発車の瞬間には閉まりきっていないドアがあると複数の駅係員の方が力技で何とかドアを閉めている光景が繰り広げられています。

8時30分が近づいてくると、ホームの端であればだんだんと少しずつスペースにゆとりが生まれ始める瞬間も見えるかなといった様子。しかし列車は依然として2~3分に1本のペースで入線します。一方でピークの時間帯を過ぎていることもあってか、当駅での乗降にそれほど長い時間を要しないため8時30分過ぎではもう駅の手前で列車が詰まる光景はほとんど見られなくなりました(日にもよるかもしれません)。

 

そんなわけで、今回の密着はいつもよりお時間短めで終了。

複々線でないながらも25本/時の超過密ダイヤを華麗に捌く京王電鉄様には頭が上がりません…。

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。