わたかわ 鉄道&旅行ブログ

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[5]2024年3月限りで廃止…かつての大動脈「根室本線」富良野~新得のいま【2024GW北海道ひとり旅】

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2024年4月30日(火)2日目

富良野線普通列車にて、12時43分に富良野駅へと到着。駅そばをすすり、午後の活動を開始します。

ここからは、狩勝峠を越えて新得・帯広方面を目指したいと思います。

かつて富良野新得駅間は「根室本線」の線路で繋がっていましたが、2024年3月31日限りで廃止となってしまい現在は利用することができません。

元々「根室本線」は、滝川~根室駅間443.8キロを結ぶ長大な鉄道路線でした。1981年に石勝線が開業するまでは札幌~道央・道東を結ぶメインルートでもあり、この富良野新得駅間にも毎日多数の優等列車が行き交っていました。

しかし2016年8月に発生した台風被害の影響で根室本線は甚大な被害を受け、特に峠越え区間を含む東鹿越~新得駅間は鉄道での復旧の目途が全く立たない状況となりました。東鹿越駅では列車と代行バスを乗り継ぐ方式で運行が続けられたものの、2024年3月31日の最終運行をもって富良野新得駅間で鉄道事業を終了することとなったのです。

富良野駅の南側に架かる跨線橋から新得方面を望むと、高い山がそびえています。まっすぐとのびる1本の線路は2024年3月まで実際に使用されていましたが、現在は踏切部分の線路敷地との境目に「立入禁止」の柵が立てられているようです。

廃止後、この地域では路線バス網が整理され、それまでの鉄道路線の代替機能を果たすことになりました。しかし1本の路線バスが従来の鉄道と同じように結ぶのではなく、地区ごとに細かく系統が分断されるため、富良野新得駅間を通しで利用するのには少し工夫が必要です。

以前より旭川~帯広間では高速バス「ノースライナー」が運行されており、これが引き続き富良野新得に停車します。富良野新得間を乗り換えなしで移動したい場合はこれを利用すればよい話なのですが、これではやや面白みに欠けるため、今回はなるべくノースライナーに頼らずに富良野から新得まで移動してみることにします。

まずは富良野駅前のバスロータリーから、利用するのは「ふらのバス西達布線」。

かつては富良野~西達布間のみの運行でしたが、根室本線廃止に合わせ幾寅までの延長運転が始まりました。

やってきたのは、ハイデッカーの大型観光バス。前面にはしっかり「南ふらの」と行先が示されており、確かにこれが西達布線のようです。路線バス感は全くありません。

14時06分に富良野駅を発車。この時点での乗客は私一人のみです。

座席もいかにも観光バスという雰囲気ですが、前方には運賃表があり各座席の頭上には降車ボタンもあります。

富良野の市街地をあちこち回り、乗客数名を乗せた後は国道237号線に沿って南下していきます。左手には廃止された根室本線の線路がしばらく続きます。

途中数回ほど線路と交差し、かつて踏切だった場所を横切ります。踏切には「一時停止」の文字がそのまま残っていますが、もちろん線路部分には柵がされ列車が通ることはありません。現役の踏切ではないので一時停止は不要…なのかもしれませんが、柵がある以外には完全にただの踏切なので判断には迷うところです。

布部の市街地をかすめ、空知川を渡ります。

「山部駅」等ももう存在しない鉄道駅ですが、バス停の名称は引き続き「山部駅前」となっているようです。

国道237号線と空知川は引き続き金山方面へと南下していきますが、このバスはここで国道38号線へと逸れます。途中の乗降もほぼないため、路線バスとはいってもスムーズに走ってくれます。

富良野駅から45分ほどで「西達布」に到着。集落が形成されており、自分以外の方はここで降りていかれました。かつてのこのバスの終着地点です。

西達布を出ると、南富良野町の市街地まで10キロ以上ノンストップ。途中には幾寅峠が待ち構えていますが、ぐんぐん上って越えていきます。

15時03分、「道の駅南ふらの」へと到着。南富良野町の市街地で、次がバスの終点「幾寅駅前」です。富良野駅からここまでバスで小一時間、運賃は1,150円でした。

道の駅南ふらのには、ふらのバス西達布線のほかノースライナーや占冠トマム方面へと向かう占冠村営バス等が集まります。道の駅の利用者は大半が自家用車やレンタカーである一方で、公共交通の運行拠点にもなっているのです。

訪問時は雨が降っており、気温はわずか6℃。体感気温的には0℃近くまで下がっているような状態で、十分なアウターをもっておらず凍え苦しんでいたのですが…。

何と幸運なことに、道の駅南ふらのの敷地内に「モンベル」があるではありませんか…!!

アウトドア・登山用品をメインに扱う本格的なブランドで、品質も確かなことは知っていましたので、迷わず駆け込み6,600円のアウターを購入。薄手ですが保温性が高く、感謝してもしきれません。

「道の駅南ふらの」から「幾寅駅」までは歩いて1キロほど。直線道路で民家や個人商店が立ち並びますが、歩行者の姿はほぼありません。

幾寅駅は1999年に公開された高倉健主演の映画『鉄道員(ぽっぽや)』のロケ地として使用されたことで知られ、作中ではこの駅が「幌舞駅」として登場します。また、駅前にはキハ40系気動車の前頭部やその他多数の映画セットが展示されています。

キハ40系の車内には自由に立ち入ることができ、車内には出演者のサインも展示されています。この車両は2005年まで営業運転をしており、廃車後ここに設置されました。

そして肝心の幾寅駅構内ですが、現在も待合室は変わらず使用できる状態になっています。この駅に列車が来なくなって8年、鉄道事業終了からも1ヵ月ですが現役当時のままです。

そして驚いたことに、何とホームへも立ち入ることができる状態となっていました。通常であれば廃止された鉄道路線の敷地内は駅名標が真っ先に取り外され、施錠されたり柵等が設けられて立ち入れない場合が大半ですが、ここでは駅名標も残されており、どうも開放されているようです。仮に線路上へ降りても安全上何ら問題はないでしょうが、流石にそれはやめておきました。

駅舎全体として、本来の駅名「幾寅」よりも作中の駅名「幌舞」が前面に押し出されている印象です。それほどこの駅の利用客に『鉄道員』聖地巡りの観光客が多かったのでしょう。

他にも駅舎内を奥へ進むと、作中に登場する様々な小道具や当時の貴重な写真が余すところなく展示されており、どれも無料で見学することができます。映画公開から今年でちょうど四半世紀となり、現役の駅としては廃止されてしまった幾寅駅ですが、今後も「幌舞駅」として引き続き町の観光資源になっていくことでしょう。

次に乗車するバスは、幾寅駅からも乗車可能です。ただしあくまでも現在の交通拠点は「道の駅南ふらの」ということで、来た道を戻ってきました。続いて乗車するのは占冠村営バス」です。

時刻表を見ると、トマム行の「南富良野町営バス」とトマム経由占冠方面行の「占冠村営バス」が1日3本ずつ運行されています。今回私は幾寅駅に立ち寄って見学したかったため1時間ほど間が空く接続の便を利用しますが、基本的には大半の便がふらのバス西達布線との接続を考慮した運行ダイヤになっています。また、ここに記載されているもの以外に南富良野町営で運行されるデマンド方式(要事前予約)のバスが1日3本あるようです。

私が乗車するのは道の駅南ふらの16時14分発のトマム。「バス」にはなかなか見えない風貌ですが、乗り場で待っているとこの車が時間通り来たのでこれで間違いないでしょう。ちなみに「上トマム」行は1日にこの1本のみで、トマム駅までは行かない(上トマムトマム駅は4キロほど離れている)ため注意が必要です。

定刻通り道の駅南ふらのを出発。乗客は私一人のみで、実質的に「ジャンボタクシー」状態です。

外は寒く雨も引き続き降っていたので、濡れた荷物などを拭いて体制を整えます。

先ほどまでいた幾寅駅を改めて通過。観光客の方が数名いらっしゃったようですが、誰も乗車することはありませんでした。

国道38号線に入り、引き続き東へ進みます。再び空知川に沿って進むルートとなり、途中にこれといった建物はあまりありません。そのため途中こまめにバス停が設けられているわけでもなく、本当に貸切のタクシー状態です。

15分ほど乗車し、16時29分に「落合多目的センター」へと到着。運賃は250円でした。安すぎる…。

バス停の名称はいろいろと混在しているようですが、運転士さんに「落合まで行きたい」とお伝えし問題なくここで降ろしていただきました。

バス停の目の前には「落合駅」の跡地があります。幾寅駅と同様に、こちらも列車が来なくなってから8年近くになりますが、駅舎は今なお残されています。

駅舎に「落合駅」の文字が残されているものの、こちらは完全に施錠され中へ立ち入ることはできません。ホームへと続く通路も完全に封鎖されています。

ただし柵の外からホームの様子を除くことができ、見てみると駅名標等は完全に撤去されているようでした。跨線橋の中の様子はうかがうことができません。

線路上には高くまで植物が生い茂り、その様子を見るにこの廃線跡もやがて自然に還っていくのだろうということが想像できます。かつて道央・道東を結んだ大動脈ですが、21世紀にこんな姿へ変わり果てるとは半世紀前の誰が予想していたでしょうか。

さて、ここ落合からは新得方面へ抜ける路線バスがないため、最終手段である「ノースライナー」を頼って移動することにします。

かつてノースライナーはこの地域を通過していましたが、根室本線の廃止に伴い新たに「落合」停留所が設けられました。落合駅跡地や占冠村営バスのバス停からは数分ほど歩いた国道上にあるため注意が必要です。

落合16時48分発の便に乗車し、いざ新得方面を目指します。落合からの乗客は私一人だけですが、旭川方面から多数の方が乗車されており車内はやや混雑。座席は自由席ですが乗車には事前の予約が必要です。

晩年の鉄道では狩勝峠に直接挑むわけではなく南側をやや迂回するような進み方でしたが、このバスは国道38号線を進み狩勝峠に正面から挑みます。

高速バスなので、リクライニングももちろん可能。ゆとりのある3列シートで、USBの充電ポートまでありました。

少しずつ建物や看板が増えてきたら、まもなく新得の市街地へ。一時的に国道から離れ、駅前へ向かいます。

17時17分に新得駅前へと到着。事前決済にて落合からの運賃は800円でした。

バスはこのまま帯広へと向かいます。私も帯広まで向かうためここで降りる必要はなかったのですが、今現在JR北海道鉄道路線がある区間はなるべくそちらを利用したいと思い、敢えて新得駅前までの予約としました。

新得駅前は現在工事が行われており、駅前ロータリーのアスファルトの大部分が剥がされています。最長片道切符の時などは駅舎の正面、ちょうどこの付近から東鹿越行の根室本線代行バスに乗車した記憶があります。

駅前には「北海道の重心地」と刻まれたやじろべえのようなモニュメントがあります。実際には新得駅前が重心なのではなく、ここから43キロほど北に進んだ地点が重心なのだそうですが、新得町は縦に長く、本当の重心は山の中のようなので代わりにここにモニュメントがあるのでしょう。

次の列車までは少し時間があります。駅前に町営浴場があるのでせっかくならば浸かりたいところでしたが、外は引き続き雨だったのと乗り遅れる危険性もあったので大人しく駅舎内で待機することにします。

運賃表からは富良野方面の線路が完全に消滅しており、新得駅は単なる途中駅の一つになっていました。「根室本線」と呼ぶくらいなのでかつては途中の主要駅から多方面へ支線も分岐していましたが、軒並み廃止された現在となっては東釧路駅から石勝線の追分駅まで300キロ近くに渡り他の鉄道路線との接続が全くない区間が誕生してしまいました。

乗車するのは、新得18時02分発の特急〔とかち5号〕帯広行です。新得駅にはLED職人の方がいらっしゃるのか、とかち・おおぞら・普通列車でそれぞれドット状のアイコンが表示されていました。

新得駅には、現在も全ての定期旅客列車が停車します。当駅より西側の石勝線は新夕張駅まで普通列車の運行がなく、代替措置として乗車券のみで普通車の空席を利用できる制度となっています。

いよいよ入線。列車は4両編成で、先頭1号車のみグリーン車です。

18時02分に新得駅を発車。この先、途中十勝清水芽室に停車します。

車内はかなり混雑しており、さすがはゴールデンウィークといったところ。南ふらの・落合などでの人気(ひとけ)のなさを体感した直後でしたのでより新鮮です。

2024年3月より特急〔おおぞら〕〔とかち〕〔北斗〕〔すずらん〕は全車指定席となったため、今回私も指定席特急券を購入して乗車しています。一番後方の4号車は元々自由席として運用されていましたが、今後はこのように「4号車」の印字も可能となります。

十勝清水では、対向の特急と行き違い。こちらは客扱いの停車ですが、あちらは高速で通過していきました。

30分ほどの乗車にて、18時38分に終点の帯広駅へと到着。

2日目の移動はこれにて終了、本日は帯広に宿泊します。

帯広は高架駅で、駅舎もなかなか立派。かつては当駅から南北にそれぞれ支線がのびていたようですが、現在は根室本線のみです。

帯広でどうしても食べたかったのが、こちら。インデアンカレーです。

最近帯広駅構内にも店舗がオープンしたとのことで、こちらでハンバーグカレー(726円)を注文しました。とろみの強いルウでやみつきになる味です。普通盛りですが、なかなか量があるのでお腹いっぱいになれます!

よく知らずに入店したのですが、店内飲食は何と19時がラストオーダーだったらしい…図らずも滑り込みで味わうことができました。

今夜の宿は「ホテルパコ帯広駅前」。1泊4,860円ですが、じゃらんクーポン適用にて4,360円です。

館内に大浴場がない代わりに、ここから徒歩2分ほどのところにある「プレミアホテルCABIN帯広」の温泉大浴場を無料で1回利用できる特典がついています。外は雨なので行くか迷いましたが、今回の旅行でまだ一度も温泉に行けていないので行ってみました。温泉成分がとても濃く、本格的かつ広々としていてとてもよかったのでオススメです!

ホテルでコインランドリーに洗濯物を放り込みつつ、ロイズタウンで入手したチョコレートポテチを頬張ります。甘じょっぱい味わいがたまりません!

 

続きは次回!

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。