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【系統分割スタート】渡り線はもういらない?小田急江ノ島線・藤沢駅が大きくリニューアル

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今回は、2022年春のダイヤ改正によって小田急江ノ島線藤沢駅に起こった変化をご紹介していきます。

 

JR・私鉄各社では、2022年3月12日(土)に毎年恒例「春のダイヤ改正」が行われました。

(事業者により呼び方は様々で、小田急でも厳密には「ダイヤ変更」という表現を積極的に用いていますが、本記事では最も一般的な呼称に統一して「ダイヤ改正」と表記します。)

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小田急江ノ島線の変更ポイントをざっくりまとめると上図の通り。一言で言えば藤沢駅を境に運行系統が分割されたのです。

ダイヤ改正前は、小田急の最優等種別「快速急行」が土休日に限り新宿~片瀬江ノ島駅間の直通運行を行っていました。しかし今回の改正で土休日も全て藤沢駅での折り返し運行となり、藤沢~片瀬江ノ島駅間での快速急行の運行は取りやめとなったのです。

また「各駅停車」は新宿方面に乗り入れることはなく、江ノ島線内で完結する運用がほとんどです(町田発着はある)。これ自体は改正前も改正後も変わらないのですが、以前は相模大野~片瀬江ノ島駅間を1本の列車が直通運行していたところを「相模大野~藤沢」と「藤沢~片瀬江ノ島」で分けられ、それぞれの区間で折り返し運行をするかたちとなりました。

もちろん全列車が上図のような運行形態というわけではなく、早朝・深夜を中心に藤沢駅を跨いで運行される列車もいくつか残ってはいるものの、原則はこのような運行形態になっています。

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そんな小田急江ノ島線最大の途中駅である藤沢駅2面3線頭端式の構造になっており、藤沢駅を跨いで運行する列車に関しては進行方向を転換する必要があります。また1番線のみホームの有効長が10両編成に対応していますが、それ以外のホームは有効長が6両分しかありません。

 

2022年3月11日(金)ダイヤ改正

ダイヤ改正前日の夕方、藤沢駅を訪れてみました。

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改札口の頭上には大きな発車標があり、向かって左手に相模大野・新宿方面、向かって右手片瀬江ノ島方面の列車が表示されています。実際の配線を考えると、藤沢駅を出発して左に進めば片瀬江ノ島方面、右に進めば相模大野・新宿方面なので、視覚的にだいぶ脳が混乱する仕様となっていました。

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1番線
主に新宿方面行の快速急行・急行のホームです。小田急のこうした優等種別は10両が基本なので、藤沢駅では必然的に1番線しか入線できないことになります。そのため土休日の快速急行もこの1番線を使用し、下り列車は片瀬江ノ島方面へと発車していったことになります。

2番線
主に片瀬江ノ島行の各駅停車のホームです。

またロマンスカーは行先を問わず全て1・2番線のどちらかに入線します。10両編成であれば必然的に1番線となりますが、中には6両のものもあるため、そうした列車であれば2番線が使用されることもありました。

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3・4番線
主に相模大野(町田)行の各駅停車のホームです。ただし3番線が使用される例はごく稀で、原則4番線からの発車のようです。

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下り・上りそれぞれの各駅停車の動きを図にするとご覧の通り。渡り線をそれぞれ2回ずつ渡る必要があり、例えば下り列車の発車時は上り列車の発車する進路を塞ぐ形となっていました。上下どちらかが遅延すると必然的にもう片方も駅手前で入線を待たなければいけなくなったりするなどして遅延が拡大していく、というわけです。

 

2022年3月13日(日)ダイヤ改正

そして迎えた、12日のダイヤ改正。早朝・深夜の一部を除き、藤沢駅を跨いで運行される料金不要列車はほぼなくなってしまいました。

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改札口頭上の発車標を見てみると…おぉ! 表示が左右逆になっています。

新しくなった発車標は向かって左手片瀬江ノ島方面、右手が相模大野・新宿方面となっています。実際に「列車が藤沢駅を出て左右どちらに進むか」というのと対応しているため、視覚的に非常に分かりやすくなっています。

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1番線
ダイヤ改正に伴う大きな変更はありません。引き続き快速急行・急行で使用されています。ただし片瀬江ノ島方面に出発していく列車は廃止されましたので、快速急行・急行は全て相模大野・新宿方面へ出発するのみです。

2番線

ほとんど使用されることはなくなりました。ごく一部のロマンスカーが使用するのみで、料金不要列車に2番線から乗ることはもうできません。

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3番線
人もまばらだった乗り場が一変、相模大野(町田)行の各駅停車が発着するようになりました。改正前までは使用頻度の低い乗り場でしたが、今ではひっきりなしに列車が発着し多くの人が利用するようになっています。

4番線
片瀬江ノ島行の各駅停車が発着するようになりました。ごく一部の時間帯で4番線ではなく1番線を使用する例もあるようですが、原則この4番線からの発車となります。

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下り・上りそれぞれの各駅停車の動きは新たにこのようになりました。先ほどお見せした改正前のものと比べるとかなりシンプルになった印象を受けるかと思います。系統分割に伴い片瀬江ノ島方面・相模大野方面それぞれがこの藤沢駅での折り返し運行となり、また2~4番線の使い方を大きく変えたことで互いの列車が互いの進路を塞ぐことはほぼなくなりました。

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2番線の柵の部分には「片瀬江ノ島ゆきの電車は番ホームから発車いたします」と大きく案内されています。2・3番線は同じ線路を共有しているため一見すると2番線から乗り込めるように錯覚してしまいますが、実際にはこの列車は逆方向の相模大野行で、しかも2番線側ではなく3番線側のドアを開けているため、この場合ここから乗り込むことはできません。

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同様の横断幕は3・4番線にもそれぞれありました。

いつも利用される方は「相模大野行は4番線、片瀬江ノ島行は2番線」と覚えていたでしょうから、そのいつもの癖であまり発車番線を確認することなく無意識に間違ったホームに向かってしまい、途中で気づいて後戻りされている方を多く見かけました。また、駅員さんや車掌さんに発車番線を尋ねている人も老若男女問わずかなりいらっしゃった印象です。

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ホーム上では発車番線が変更になっている旨の案内放送が常時流れていますが、いかんせん小田急だけで1日約12万人もの利用者がいる一大ターミナル駅ですから、周知徹底はそう簡単ではありません。随所に立て看板や広告用のディスプレイを用い、必死に案内がなされていました。

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系統分割に伴い乗り換えが発生してしまうことは、一見すると不便に思われるかもしれません。しかし3・4番線は同じ島となっていますので、相模大野方面の各駅停車と片瀬江ノ島方面の各駅停車は互いに対面乗り換えができるようになりました

逆に快速急行・急行が1番線を発着していることは変わりないため、片瀬江ノ島方面の各駅停車と新宿方面の快速急行・急行は対面乗り換えにならなくなってしまいました。従来であれば例えば新宿方面から快速急行・急行で藤沢駅1番線に到着すると、向かいの2番線に停車している片瀬江ノ島行の各駅停車に対面で乗り継ぐことができたのですが、これはできなくなっています。この点はやや残念なところかもしれません。

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鉄道ファン的に面白いところとしては、3・4番線から発車する列車が互いの進路を干渉しなくなったことで、阪急の大阪梅田駅のように両者がほぼ同時に発車する光景も見られるようになりました。平日日中では毎時48分に3番線から相模大野行の各駅停車が、そしてそれを追うように49分に4番線から片瀬江ノ島行の各駅停車が発車していきます。

 

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場所を少し移動して、小田急江ノ島線の終点である片瀬江ノ島駅の様子も見てみます。従来は主に相模大野行の各駅停車の発車がメインで、これに加え土休日の日中は新宿行の快速急行が設定されているという状況でした。

しかしダイヤ改正後は、発車していく列車の行先がどれも「藤沢行」となっています。系統分割されたので当たり前といえば当たり前なのですが、やはり違和感は拭えません。

ロマンスカーは引き続き一部列車が新宿・北千住方面からここ片瀬江ノ島まで直通しますが、料金不要列車の直通運行が大きく減少してしまったという意味では、箱根登山鉄道の小田原~箱根湯本駅間の運行形態とも似ています。

 

ということで、今回は小田急江ノ島線の新たな運行形態およびその重要なカギになる藤沢駅の発車番線変更についてご紹介しました。

メリットを大きく捉える方、デメリットを重くみる方など人によって様々かと思いますが、個人的には今回の変更はメリットが大きいと思います。何より藤沢駅の発車番線が視覚的に分かりやすくなったという点や、互いの進路を塞ぐことにより遅延が増大するリスクを軽減したという点は高く評価してよいのではないかと思います。

 

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。