わたかわ 鉄道&旅行ブログ

乗り鉄&旅好きの20代男子が全国を巡る!

(14)山形名物の絶品冷やしラーメンを求めて東北日本海側から内陸へ【最長片道切符の旅2021】[坂町→山形]

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みなさんこんにちは! わたかわです。

今回は最長片道切符の旅、7日目の後半の様子をお届けしていきます。

 

2021年8月9日(月)7日目②

鶴岡から乗車した特急いなほ8号は13:27に坂町へと到着。約1時間の快適なグリーン車の旅を楽しめました。

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坂町でいなほ号を下車

ここまで五能線羽越本線日本海側に面した路線を乗り継いできましたが、ここでしばらく日本海側からは離れ米坂線へと乗り換えます。

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まさかの1両

乗車するのは、坂町13:31発の米坂線 米沢行です。当然のようにJR東日本の最新気動車GV-E400系がたった1両でのワンマン運行です。

米坂線沢~町駅間90.7kmを結ぶ路線で、両端の駅でそれぞれ新幹線・特急と接続しています。途中の今泉駅山形鉄道と接続するほかに乗り換え可能な路線はなく、典型的な東北のローカルJR路線という感じがします。

坂町での乗り換え時間が非常に短かったこともあり、ギリギリに乗り込むと車内はかなりの混雑。独り身なので辛うじてロングシート部分に腰掛けることができ、定刻通り坂町を発車です。

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越後金丸

坂町を出るとまずは越後大島越後下関越後片貝越後金丸、と「越後」を冠する駅が4駅連続でやってきます。車内が混雑していたのと寝不足だったこともあり途中の区間では寝てしまいましたが、列車は気づかぬうちに新潟県から山形県へと入っていたようで「羽前椿」「羽前沼沢」等今度は「羽前」を冠する駅名が増えていきます。

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田舎というより「森の中」

米坂線は、田舎の田園風景というよりは「森の中をぬって走る」という印象が強い路線でした。もちろん民家や集落も各駅周辺にはありますが、駅間ではかなり神秘的かつ自然豊かな風景も多々見られる路線のような印象を受けました。

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山形鉄道と接続する今泉駅

途中どこかの駅で大量に乗客が降車する様子はありません。主要駅である小国や今泉でも若干名の乗車こそあれ、降りる人はほとんどいないように見えました。ちょうど夏休みということで乗客の大半は旅行客のようで、大きな荷物やスーツケースを抱えた人が多かったので、私も含めてですが米坂線の途中の駅に行く用事があるというよりは主要都市である米沢までの移動手段として利用している人が多かったのだと思います。

米坂線の本数は非常に少なく、米沢~坂町駅間の全区間を走破する列車は1日5往復しか存在しません。このうち1往復は羽越本線白新線に乗り入れて新潟~米沢駅間を直通する快速べにばな号という列車ですが、これも米坂線内は各駅に停車します。函館山線の時と同様に、普段は混雑しないものの旅行シーズンに混雑しがちなローカル線と言えそうです。

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米沢では虹が!

坂町を出てから約2時間、15:35に列車は終点の米沢へと到着です。米坂線のホームを降りると、ちょうど目の前には虹がかかっていました!

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雨の米沢駅

虹がかかっていたのでてっきり雨上がりで晴れているのかと思いましたが、駅前へ出るとまだかなりの雨が降っていました。米沢からは奥羽本線へと乗り換え山形方面を目指します。

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米沢と言えば、やっぱり「米沢牛」を思い浮かべる方も多いでしょう。私も昨年の夏に東北へ来た際はここ米沢で牛鍋をいただきました。約3,000円ということでややお値段は張りましたが、とっても美味しかったのを鮮明に覚えています。

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まさかやってないとは

今回もお金に余裕があれば米沢牛を食べたかったのですが、なかなかそれは厳しいので代わりに峠の力餅を買おうと米沢駅近くの店舗へ。峠の力餅といえば奥羽本線の峠駅にて販売していることは有名ですが、実は米沢駅前にも店舗があります。

しかし何とこの日はまさかの定休日。完全にリサーチ不足でした…。

米沢駅構内の土産物屋さん等でもこの峠の力餅は置いておらず、峠駅前の茶屋かコの米沢駅前の店舗、もしくは峠駅ホームでの立売でしか手に入れることはできません。峠駅は今回の最長片道切符のルートでは通らないため、今回は泣く泣く断念します…。

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大人しく駅に戻る

というわけで米沢駅に戻ってきました。米沢駅構内はお土産物屋さんもかなり充実していて、他にもたくさん名物はありそうなのですが、あまり浪費しても仕方ないので改札内へと入ることにします。

米沢駅奥羽本線山形新幹線米坂線の3路線が乗り入れます。まぁ3路線とは言っても山形新幹線奥羽本線の線路を使用して走る新在直通の新幹線で、扱いとしては「在来線特急」になるようです。米沢駅では新幹線専用のホームや改札口があるわけではないので、普通列車も新幹線も同じホームにやってくるという不思議な光景を見ることができます。

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719系

 

幹課金をするのも惜しいので、米沢からは16:27発の奥羽本線 山形行へと乗車していきます。集団見合い式に座席が配置された719系4両編成での運行です。定刻通り米沢を発車。

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乗り心地が良い

やはり先ほどまでの米坂線ディーゼルカーと比べると、電化された幹線ということで乗り心地はかなり良いです。新幹線が走る線路ですから保線状況も良好に維持されていたりするのでしょうか、その辺りはあまり詳しくないので分かりませんが。

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かみのやま温泉からかなり混雑

米沢を出発した頃はかなり空いていた車内ですが、かみのやま温泉からかなりの乗車があり車内は一気に混雑。ちょうど高校の下校時間にあたるようです。

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山形駅に到着!

そして米沢から50分ほど乗車し、17:17に列車は終点の山形へと到着。まだ辺りは明るいですが7日目の移動はここまでとし、青森と秋田でネットカフェ2連泊だったのでしっかり休息を取りたいと思います。

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ちゃんとしたホテル!!

この日の宿は、山形駅から歩いてすぐのところにある「ホテルクラウンヒルズ山形香澄町」です。この旅が始まって1週間が経ちましたが、ここまでで最もちゃんとしたホテルで大歓喜です! 1人1泊3,680円ということでネットカフェの約2倍、決して安くはないですがたまにはこういう贅沢もありでしょう。

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冷やし味噌ラーメン

もちろん夕食は山形名物をいただきます。「日本の食」32品目はラーメン渓流山形駅前店にて「冷やし味噌ラーメン」(1,030円)です。

夏の山形では県内各地のラーメン屋さんで「冷やしラーメン」を季節限定で提供しており、山形の名物となっています。ラーメンはアツアツのスープだからこそ美味しいのでは…?と思われるかもしれませんが、この冷やしラーメン、めちゃくちゃ美味しいんですよ!! こちらの冷やし味噌ラーメンはお店自慢の特製辛味噌が特徴で、辛さの中にも旨みがギュッと詰まっています。そして野菜がてんこ盛りなので、ここ数日の野菜不足を少しでも和らげることができそうです。具材の彩りも涼しげで、夏の山形に来たら是非とも食べていただきたい一品です! 駅東口のロータリーの目の前にあるので迷わずすぐにたどり着けると思います。

 

というわけで、今回はここまで。

次回は8日目の移動の様子をお届けしていきます。

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。

(13)18席のみ! 豪華すぎるグリーン車で羽越本線を南下【最長片道切符の旅2021】[羽後牛島→坂町]

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みなさんこんにちは! わたかわです。

今回は最長片道切符の旅7日目の前半の様子をご紹介していきます。

 

2021年8月9日(月)7日目①

この日は宿泊していた「快活CLUB秋田牛島店」を午前7時前に出発。最長片道切符のルートで言うと秋田駅の一つ隣、羽後牛島駅よりスタートします。

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コインランドリーしゃぼん茨島店

乗車する予定の列車までまだ少し時間があるので、ちょうど良いところにあったコインランドリーで洗濯物を片付けます。空き時間でこのようにコインランドリーに立ち寄りながら…というのもこの長旅の大変なところで、半分ウトウトしながら無事に洗濯をし終えました。

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羽後牛島駅

それでは改めて、羽越本線羽後牛島駅より7日目の旅がスタートです。

7日目はまず羽越本線で坂町まで南下し、その後は米坂線へと入り米沢へ、そして奥羽本線へと乗り換え山形を目指します。

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窓口も券売機も全てホーム上にある

余談ですがこの羽後牛島駅というのはなかなか面白い構造をした駅で、島式1面2線の地上ホームに列車が発着するのですが、みどりの窓口や券売機等の設備が全て駅舎内ではなくホーム上に存在するのです。駅の東西は地下通路で結ばれており、その地下通路の途中から階段を上がるとこのホームへとたどり着きます。おそらくこの駅の真下を通る地下通路が街を分断することのないよう、あえて手狭ながら駅の設備を駅舎内ではなくホーム上に集約しているのでしょう。

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日本海側も701系づくし

さてそれでは、羽後牛島9:15発の羽越本線 酒田行に乗り込みます。何とも中途半端な駅からのスタートではありますが、逆に一つ戻ってしまうと余計に運賃が発生するので大人しくここから乗り込むことにします。

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羽後本荘に到着

羽越本線というと東北日本海側を走る主要幹線で、かつては寝台特急あけぼの・日本海トワイライトエクスプレスなどそうそうたる列車が駆け抜けていきましたが、今や優等列車特急いなほ号のみ。それも多くの列車が新潟~酒田駅間での運行となり、残りの酒田~秋田駅間では1日3往復しか特急の運行がありません。今回この区間普通列車で移動しているのには、特急料金の節約という意味もありますが、それ以前になかなか時間の合う特急がないのです。

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羽越本線でも海が見える

昨晩の五能線に続き、この羽越本線でも一部区間では海が見えるのですが、この日はあいにくの曇天という感じでした。701系はオールロングシートなのでなかなか角度的に海を眺めるのも大変で、一瞬海が見えたと思ったら再び木々に隠れてしまったりします。

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鳥海山

一方で海側だけでなく陸側を見ても素晴らしい景色が広がっており、吹浦~遊佐駅間では鳥海山も望むことができました。最長片道切符の旅がスタートしてからここまでいくつか有名な山を見てきましたが、どれも本当に素晴らしいものです。

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酒田駅に到着!

羽後牛島を出てから約2時間、11:06に終点の酒田駅へと到着です。気づけば山形県へと突入していました。

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リニューアルされた酒田駅

新潟~秋田駅間を直通する1日3往復のいなほ号以外は普通・特急とも全列車がこの駅を始発・終着としており、羽越本線の運行上重要な駅となっています。駅舎は2年前に来た時からかなり変わっており、かつての国鉄風の駅舎から落ち着いた色の綺麗な駅舎へと生まれ変わっていました。

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「東京方面」はなかなか大胆な案内

酒田駅より南は特急の本数がぐっと増えますので、ここから特急に乗る…かと思いきやここでは乗らず、1本前の11:45発普通列車鶴岡行で鶴岡まで先回りし、特急は鶴岡から乗車します。この理由は後で説明します。

ちなみにこの酒田駅の発車標、上り列車のところが「羽越本線」と「陸羽西線」だけならまだしも、酒田駅に直接乗り入れてはいない「上越新幹線」「山形新幹線」まで書いてあって、しかもどちらにも「東京方面」と書いてあるの、初心者からしたら相当なトラップですよね。こんないかにも在来線しか来ないような地上駅に2種類もの新幹線が来るのか…?と勘違いしてしまいそうです。

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右が鶴岡行

再びホームへ降りると、3番線には鶴岡行の列車が停車中。さっそく乗り込み、定刻通り酒田を出発です。

酒田~鶴岡駅間は30kmほどしかなく、所要時間は30分ほどの距離です。途中の余目では陸羽西線で新庄方面への接続があり、鉄道ファンらしき人の多くがそちらへ乗り換えているようでした。陸羽西線は時間帯によっては酒田まで乗り入れることも多いですが、この列車に関しては余目での乗り換えが必要だったようです。

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鶴岡で乗り換え

12:16に普通列車の終点である鶴岡駅へと到着。ここで4分の接続の後、酒田の発車標で見た特急へと乗り継ぎます。

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いなほ号入線!

そしていよいよ、この日いちばん楽しみにしていた特急いなほ号が入線! 鶴岡12:20発の特急〔いなほ8号〕新潟行です。坂町まで約1時間乗車していきます。

車両はかつて常磐線の特急〔フレッシュひたち〕で活躍していたE653系パステルカラーに生まれ変わり、羽越本線で第二の人生を送っています。

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葉っぱキメます

今回は贅沢にも、グリーン車利用させてもらいます。「何だ寝泊まりする場所はネットカフェのくせに」とか思うかもしれませんが、このいなほのグリーン車は一度乗ってみたかった憧れの設備でもあるのです!

列車は定刻通りに鶴岡を発車。予約していた座席へと向かいます。

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これがいなほのグリーン車

こちらが夢にまで見た、快適すぎるグリーン車と話題の「E653系いなほグリーン車」です! 秋田寄りの1号車に18席のみ設けられており、画像からは分かりにくいかもしれませんがとにかく前後の間隔がめちゃくちゃ広いのが大きな特徴です。ヘッドレストは少し低い位置にあるように見えますが、可動式なので好みの高さに調整すれば問題ありません。

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二つ折の大きなテーブル

あまりにも前後の間隔が広すぎるため、背面テーブルはなくインアームテーブルのみです。肘掛けから出てくるこのテーブルは二つ折になっており、広げるとかなりの大きさになります。背面テーブルと遜色ない使い勝手で、むしろ座席の横幅いっぱいに渡すように広げるのでかなり安定します。

各座席にはコンセントも設置されており、やや古い車両ながらこれはグリーン車ならではといえます。

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もはやグランクラス

今回、幸運にも号車の一番後ろの座席を押さえることができたので車内を見渡してみると、ご覧の通り。座席は1+2列の豪華配列で、東日本のグリーン車でこのような余裕のある造りはなかなかありません。あまりにも座席の前後間隔が開いているためか、各座席の後ろには木の板が設置されており、後ろに気兼ねなく座席をリクライニングすることができます。

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ギリギリ100km未満

さて、それでは今回の特急券の券面を見ながら、何で私が今回酒田からではなく鶴岡から乗車したのかをご説明していきます。

いなほ号グリーン車を鶴岡から坂町まで利用した場合、特急料金が950円、グリーン料金が1,050円で合計ちょうど2,000円です。自由席ならば半額以下の950円で乗れると考えると割高に見えるかもしれませんが、グリーン車なのでそこは仕方ありません。それよりも、この料金を頭の片隅に置いておいた上で、注目すべきは鶴岡~坂町駅間が91.4kmでギリギリ100kmに満たないという点です。

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約1,000円ずつ上がる

ここでJR東日本の在来線特急グリーン料金表を見てみます。「自由席特急料金にいくら足せばグリーン車に乗れるのか」を示したのがこちらの表ですが、基本的に300kmまでは100kmごとに値段が約1,000円ずつ上がっているのが分かります。

鶴岡~坂町駅間は91.4kmなのでグリーン料金は1,050円ですが、酒田~坂町駅間で乗車しようとすると118.9kmになり、グリーン料金は倍の2,100円となります。また途中の余目にも列車は停車しますが、余目~坂町で乗車した場合も106.7kmということでギリギリ100kmをオーバーするためグリーン料金は2.100円となります。すなわち坂町で下車する場合、いなほのグリーン車は鶴岡から乗車するのが最も賢いということになるのです。今回わざわざ鶴岡からいなほに乗車したのはこのためだったのです。

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ラウンジもある

そうと決まれば、限られた時間でグリーン車を満喫するほかありません。いなほ号グリーン車は座席だけで十分快適なのですが、もし長時間の乗車で体が疲れたという時には、車内に簡単なラウンジスペースも完備しているため、ここで流れゆく景色を眺めながらくつろぐこともできます。

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つや姫おむすび

そんな快適な車内で、お昼ご飯に買ってきたのは「日本の食」29品目となる山形県のブランド米「つや姫」を使用したおにぎり(123円)です。酒田駅改札外のNewDaysで購入することができました。正直言ってしまうとブランド米の味の特徴を伝えられるほどまだ私の舌は肥えていないのですが、とにかく美味しかったことは確かです。地域のブランド米を手軽におにぎりで味わえるのは何だかいいですね。海苔を使っていないので、お米本来の味を噛みしめることができました。

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「ミルクケーキ」と「酒田むすめ」

その他にも酒田駅構内では、2種類のご当地の味をゲット。「日本の食」30品目はおしどりミルクケーキ(9本入230円)、31品目は酒田むすめ(140円)です。ミルクケーキは山形県発祥のお菓子で、「ケーキ」とは名がつくものの袋から取り出してみると薄くて硬い板状のお菓子であることが分かります。ものすごく美味しい商品というよりは、昔懐かしいおやつといった感じでしょうか。私は好きですが、人によって好みが分かれるような気がしました。

酒田むすめは、その名の通り山形県酒田市の定番土産で、バター風味の生地であんを包んだ和菓子です。味はいろいろあるようですが、今回は「やきいも」をいただきました。上品な優しい甘さで、お茶が欲しくなる味です。

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今川駅付近

次第に列車は南下していき、日本海のすぐそばを走る区間へと入っていきます。この辺りは国道345号線と並行して素晴らしい眺めが続き、曇り空ではありますがオーシャンビューを満喫できます。ところどころに海水浴場もあり、多くの人で賑わっているようでした。

またこの辺りでは、少し海が見えたと思ったらすぐにトンネルへ入り、また少し経ったら海が見え…という様に変化していきます。それほど自然環境の厳しいところに線路を敷いているのだということがよく分かります。

youtu.be

そして村上駅が近づいてくると、何と一瞬車内の照明がが消灯し空調も停止します。これは村上駅の北側にあるデッドセクションを通過するためで、ここで電力方式が交流から直流に変わります。多くの電車は交流または直流のどちらかの方式にのみ対応しているだけのことが多いですが、E653系は交直流のどちらでも走れるようになっており、こうしたハイテク車両が特急いなほ号の運行を可能にしているというわけです。

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坂町に到着

そして鶴岡から1時間と少々、13:27に列車は坂町駅に到着。いなほ8号はこの後も終点の新潟を目指し羽越本線白新線を走っていきますが、ここから先は米坂線へと乗り換えるため私はここで下車します。

ということで、7日目の前半は羽後牛島から坂町まで羽越本線普通列車と特急を乗り継いで南下してくると同時に、素晴らしく広いいなほ号グリーン車を利用してみたという感じで進めてまいりました。この先は米坂線奥羽本線へと進んでいきますが、その様子はまた次回ご紹介していきます。

 

本日も最後までお読みいただきありがとうございました。

(12)貸切の五能線普通列車から眺める日本海の夕陽が格別だった…!【最長片道切符の旅2021】[弘前→羽後牛島]

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みなさんこんにちは! わたかわです。

今回は最長片道切符の旅の6日目、夕方から夜にかけての様子をご紹介していきます。

 

2021年8月8日(日)6日目③

この日は朝から新青森→盛岡→大館…と進み、16時過ぎに弘前へと到着。既にかなりの距離を移動してきて、時間的にも普通の旅行ならばホテルにチェックインする頃ですが、この旅に「普通」の2文字は通用しません。

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弘前駅は日英同時表記

というわけで、ここからはいよいよ夕暮れ時の五能線へと入っていきます。乗車するのは弘前16:29発の五能線 深浦行五能線といえば観光列車の「リゾートしらかみ号」が有名で、ほぼ毎日運行されており時間も合いやすいことから、これまで多くの最長片道きっぱーのみなさんも利用されていますが、残念ながら私は弘前16:06発の秋田行リゾートしらかみ最終列車にギリギリ間に合わなかったため、今回は普通列車を乗り継いで弘前から東能代方面へと向かっていきます。

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ヨンマル天国は過去の話

ホームに降りると、今回乗車する列車が停車中。JR東日本の最新気動車GV-E400系」2両編成での運行です。発車間際に乗り込むと車内はかなりの混雑で、多くは沿線の中高生のようでした。部活帰りなどだと思いますので、途中各駅で少しずつ減っていくことを期待しながらロングシートの端に腰掛けます。

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川部駅五能線の「終点」

16:29、定刻通り弘前を出発。まずは2駅先の川部まで奥羽本線を進み、川部より先はいよいよ五能線区間へと入っていきます。

川部では8分間の停車がありました。ここから五能線に入るということで、列車の進行方向が変わります。

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果樹園と岩木山

16:45に川部を発車し、列車は五所川原方面を目指しまず北へと進みます。途中には果樹園(りんご畑?)越しに岩木山が見え、頂上は雲で隠れているもののその雄大さを実感することができました。

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板柳で大量の下車

板柳では多くの中高生が降りていき、一気に列車内が空いたところで無事に海側のボックスシートを確保。ここでは6分間ほどの停車時間がありました。

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らぷる

ここでいただく「日本の食」26品目は弘前の定番土産「らぷる」(108円)です。直径2~3cmほどのカステラのようなふわふわの生地の中に、シャリシャリのりんごのあんがいっぱい詰まった弘前ならではのお菓子となっています。コンセプトは「やわらかいせんべい」ということで、確かに言われてみるとせんべいのような感じもしなくもありません(笑)。

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津軽鉄道が乗り入れる五所川原

17:17に列車は五所川原へと到着。ここまででほぼ全ての中高生が降りていき、さらに車内は空いてきました。五所川原は半年前の冬の寒い時期にも来ましたが、津軽鉄道のストーブ列車は風情があって本当にオススメなので是非一度乗ってみてください!

watakawa.hatenablog.com

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鰺ヶ沢リゾートしらかみと行き違い

17:45には鰺ヶ沢へと到着。ここでは5分の停車時間で、青森方面へと向かうリゾートしらかみ号とすれ違います。リゾートしらかみ号は、扱いとしては「臨時列車」ですが実質的にほぼ毎日運行があり、全国的な知名度も高い観光列車ですので、半年前にも乗りましたがまた何度でも乗ってみたいと願う列車の一つでもあります。ちょうどこの日の鰺ヶ沢ではまだ私が乗ったことのない「青池」編成との行き違いが行われました。

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千畳敷付近

そしてこの辺りから、いよいよ進行方向右側に日本海を望む区間へと入っていきます。さらにタイミングよく夕暮れの時間にも差し掛かってきて、これはかなりの絶景が期待できそうです。

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オ フ 会 0 人

この辺りになってくると列車は完全に貸切状態で、大きな窓の外に広がる雄大な景色を心ゆくまで独り占めすることができます。車内が混雑していると景色を見るために車内をあちこち移動することは憚られるものですが、この号車には誰もいない上、ワンマン運転なので車掌さんも乗務しておらず、2両目にいれば基本的に誰の迷惑になることもありません。こんなに広いスペースを独り占めするのは、リゾートしらかみでもまず不可能です。

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風合瀬驫木駅間

この時期最も美しく夕陽を眺めることができたのは18:25頃で、列車はちょうど風合瀬驫木駅間を走行中でした。車窓を遮る草木もほとんどなく、日本海の景色を一望できます。念のためお伝えしておきますがこれはあくまでも普通列車で、特別料金は一切発生していません。有効な乗車券を購入するのみでこの1つの号車を丸々貸し切り、これほどまでに雄大な絶景を眺められるとは思ってもいませんでした。

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夕暮れ時に乗って本当に良かった

当初五能線は、8月8日(日)の夕方ではなく翌9日(月)の午前中に乗車する予定でした。しかし迫りくる台風9号の影響でスケジュールが乱れるリスクを鑑みて無理やり8日の夕方に五能線をねじ込んだのですが、この判断は大正解だったように思います。もちろん夕暮れ時でなくても五能線沿線の景色は本当に素晴らしいものだと思いますが、この夕陽に勝るものはないでしょう。

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深浦に到着

気づけば編成全体を通じて乗客は私一人だけだったようで、18:41に列車は終点の深浦へと到着。この先さらに東能代方面へ向かう列車へと乗り継ぎますが、だいたい40分ほどの待ち時間があるので駅周辺を散策してみることにします。

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この時間は無人

五能線の多くの列車の始発・終着駅となっている深浦駅ですが、この夜の時間帯は無人駅。ホーム上にも待合スペースにも乗客は全くおらず、接続列車の運転手さん同士が交わす軽い雑談の声だけがこの辺りで聞こえる唯一の音です。

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列車を降りても綺麗な景色

青森県深浦町日本海に面した漁港のある小さな町で、この時間になると駅前でも出歩いている人はまずいません。しかしそんな駅前には穏やかな時間が流れ、先ほど車窓から眺めたよりもさらに陽が傾いてきましたが本当に美しい景色が目の前に広がります。

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大岩

駅から少し歩いたところには「大岩」と呼ばれるちょっとした名所があり、ごつごつとした岩を無料で登ることができます。夜の暗くなってきた時間ということで足元に気をつけながらではありますが上ってみて、久しぶりに子どものころのような「全身を使って新たな発見をする」という体験ができたように思います(何言ってんだこいつ)。

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またもGV-E400

それでは駅に戻り、深浦19:23発の五能線 東能代へと乗り込みます。先ほどと同じく車両はGV-E400系ですが、今度は1両編成での運行。これが深浦駅から発車する東能代方面行の最終列車となります。

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もちろん貸切

しかしそれでも案の定車内には誰もおらず貸切の状態で、定刻通り深浦を出発。まぁそりゃさっきの列車に私しか乗ってこなかったのですから、深浦町の地元の方が乗ってくるわけでなければ相変わらず私一人になるのは当然でもあります。

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YouTubeで暇を潰す

先ほどの区間ではちょうど夕暮れ時でしたが、すっかり辺りが真っ暗になってしまうと本当に何も見えないので、車内ではYouTubeでも見て時間を潰します。あきた白神までは本当に貸切状態でしたが、その後は若干名の乗車がありました。

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東能代に到着!

そして20:55にようやく終点の東能代へと到着。弘前を出てから実に4時間半もかかりましたが、何とか普通列車でも五能線を走破することができました。

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奥羽本線で秋田へ

…とは言うものの五能線を走破した余韻に浸っている暇もなく、すぐさま接続する21:02発の奥羽本線 秋田行へと乗り換えます。この日は秋田駅の一つ先にある「羽後牛島」という駅まで行かなければならないため、夜の遅い時間では1本乗り遅れるだけでも命とりです。

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秋田到着!

東能代秋田駅間って実は結構距離があるのですが、1時間ほど乗車し22:01に定刻通り終点の秋田へと到着。秋田駅へは半年ぶり2回目の来訪です。

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さらにもう1駅だけ進みます

もう時刻は夜10時を過ぎていて、普通ならいい加減そろそろ秋田駅近くのホテルにでもチェックインするというところだと思いますが、今回スケジュールを急遽調整したこともあり秋田周辺で宿は取れていません。ということはすなわち”高級ホテル”(快活CLUB)になるわけですが、秋田駅周辺の快活CLUBはどこも距離があるためあまり使い勝手がよくありません。

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1駅移動

というわけで、秋田22:27発の羽後本荘行に1駅だけ乗車し、羽後牛島にやってきました。この駅からなら徒歩圏内に「快活CLUB秋田牛島店」があるということで、6日目の移動はここまでとなります。

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湯の台食堂監修「冷たい中華そば」

盛岡からずっと移動続きでまともな夕食を取れておらず、秋田駅周辺でも22時を過ぎるとほとんど飲食店はやっていないので、秋田駅近くのコンビニで買った「日本の食」27品目となる「湯の台食堂監修 冷たい中華そば」(530円)をいただきます。湯の台食堂というのは秋田県にかほ市にあるラーメン屋さんだそうで、まぁきわどいところですがご当地グルメにカウントさせてください。ちぢれ太麺がスープによく絡み、コンビニクオリティながらとっても美味しかったです!

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バター餅

また、これも同じくコンビニで買った「日本の食」28品目は秋田県の郷土菓子「バター餅」(346円)です。バターの程よい風味と甘みがもっちりとした食感で味わえて、何個でもぱくぱくいけてしまいます!

 

こうして最長片道切符の旅6日目が終了。タフな移動が続きましたが、やはりこういう過酷なことも経験してこその最長片道切符という気がしました。

本日も最後までお読みいただきありがとうございました。

(11)日本の原風景が今も残るローカル線「花輪線」で大館へ【最長片道切符の旅2021】[盛岡→弘前]

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みなさんこんにちは! わたかわです。

今回は最長片道切符の旅の6日目、中盤の花輪線の様子についてお話していきます。

 

2021年8月8日(日)6日目②

盛岡では美味しい冷麺とジェラートをいただき、しっかりとエネルギーチャージしたところで次なる列車へと乗車していきます。

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「JR」ではなく「IGR」

盛岡駅から乗車する列車が発車するホームはこちら。見上げると「IGRいわて銀河鉄道 盛岡駅」の文字が確認できます。そう、JRではなくここからは少しだけですが第三セクター鉄道に乗車していきます。

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IGRいわて銀河鉄道は元東北本線
Wikipediaの図を元に作成)

 

2002年の東北新幹線八戸開業に際し、それまでJR東北本線だった盛岡~八戸駅間のうち盛岡~目時駅間が「IGRいわて銀河鉄道」へと経営分離されました。一方で好摩大館駅間を結ぶJR花輪線好摩より先で全列車がJR東北本線を経由して盛岡まで乗り入れており、これは経営分離後の現在も継続されています。

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JRの列車だがIGRのホームから出発する

そしてJRの乗車券では、経路を指定する際に「特定の会社線の中から1社のみ」JR以外の会社線(私鉄・第三セクター)を経路に組み込むことができます。これは通過連絡運輸と呼ばれる取扱いで、どんな鉄道会社でも対応しているわけではないですが、今回はIGRいわて銀河鉄道の盛岡~好摩駅間をこの最長片道切符に組み込むことでJRだけのものよりも大きく距離を伸ばすことができ、これが他のどの会社線を組み込むよりも長くなるということで、このようなルートになっています。

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IGRのホームから発車するJR東日本のキハ110系

今回乗車するのは、盛岡12:37発の花輪線 大館行。JRの列車ですが盛岡を出てしばらくはIGRの線路を走るため、IGRのホームから発車します。特に地方に行くと、JRと他の会社線の列車が改札口を共用しているということも多いですが、ここ盛岡ではきっぱりと分かれているので注意しましょう。

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ボックスシートを確保

無事にボックスシートを確保し、定刻通りに盛岡を発車。2両編成のキハ110系はそこそこの混雑を見せており、中には旅行客もいるようでした。

列車は青山、厨川、巣子…とIGR線の各駅に停車していきながら、まずは好摩を目指します。この区間は「JRの車両がIGRに乗り入れている」だけなので、もちろんIGR線内のみの利用も可能です。かつての「本線」ということもあり線形は良く、快調に駆け抜けていきます。

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好摩から先はJRへ

盛岡を出てから25分、13:02に列車は好摩駅へと到着。どうやら今年で開業130周年とのことですが、そんな歴史ある駅からは線路が二手に分かれていき、この列車が進むのはもちろん「JR花輪線」です。会社が変わるとは言ってもとりわけ停車時間が長いわけでもなく、乗っている分には「途中駅の一つ」くらいにしか感じないでしょう。これをもって「JR以外の会社線」の区間が終わったということで、これ以降は最長片道切符ゴールの肥前山口まで一切の会社線を挟むことはできないということになります。

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岩手山

JRの区間に入ると、さっそく車窓左手には岩手山が見えてきます。標高2058mを誇る名峰で、周囲に高い山があまりないこともあって絵に描いたような三角形のフォルムが特徴的です。

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盛岡から1時間で安比高原

松尾八幡平駅を発車すると列車は急勾配をぐんぐん上っていき、盛岡から1時間ほどで列車は安比高原へと到着します。駅自体は無人駅ですが周辺にはスキー場やゴルフコース等があるリゾートエリアで、夏休みということもありかなりの数の観光客が下車していきました。一方おそらくレンタカーやマイカーで行かれる方はそれ以上に多く、本数が極めて少ない花輪線安比高原への主要アクセス手段とまではいかないのが現状でしょう。

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これぞ日本の原風景

その後もしばらくうねうねと山の中を進んでいきますが、八幡平駅を出た辺りから視界が再び開けてきます。線路の両側には田園風景が広がり、とりわけ何か有名なランドマークこそないものの非常にのどかな田舎の景色が広がっています。これぞ日本の原風景と呼ぶにふさわしく、まさに心が洗われるような思いがします。

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鹿角花輪で列車交換

盛岡を出てから約2時間、14:31に列車は鹿角花輪へと到着。ここでは盛岡行の列車と行き違いを行います。反対側の列車は大館を13:36に発車してきた盛岡行で、これを逃すと次に盛岡まで抜けられる列車は驚愕の4時間後となっています。朝晩の一部列車はこの鹿角花輪駅を始発・終着として運行されるものもあり、花輪線の運行上重要な役割を果たす駅ですが、それでも1日の平均乗車人員は200人程度とのことです。

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列車の進行方向が変わる十和田南

14:42には十和田南駅に到着。ここでは5分間の停車時間があり、この駅では列車の進行方向が変わります。実はかつてこの駅より北側にある小坂という街まで鉄道の延伸計画があり、十和田南駅はそれに合わせて小坂方面に線路を延伸しやすいようにこのような構造になったようですが、実際にはそのような鉄道が敷設されることはなく、十和田南駅がいびつな構造をしたままで止まってしまったということになっています。

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左右で高低差がある

十和田南駅のホームから列車の出発方向を見てみると、左右の線路でかなり高低差が生まれているのが分かります。向かって左が盛岡方面、右が大館方面ですが、盛岡方面からの列車はかなりの下り坂を下りてきてこの十和田南駅へと入線します。

また、ポイントの部分を見てみるといったん単線に集約されているので、1面2線のホームのどちらに両方面行の列車が入線しても問題はないように見えますが、実際は1番線が盛岡方面で2番線が大館方面という様に明確に決まっているようです。

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米代川

十和田南を出ると、車窓の右手側に米代川を眺めながら列車は進んでいきます。穏やかな川の流れとともに、夏らしいのどかな景色が続きます。

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奥羽本線を跨ぎ大館駅

そして列車はまもなく終点の大館駅へと入っていきます。漸近線のようにだんだんと奥羽本線に合流していく配線ではなく、いったん奥羽本線の線路を跨いだ後で急カーブを描きながら大館駅に入っていくという特殊な入線の仕方となっており、ちょうどこの後乗り換える奥羽本線の下り普通列車とジャストタイミングで交差しました。

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盛岡から3時間弱で走破

そして15:25にようやく列車は終点の大館駅へと到着です。盛岡から約2時間50分をかけてやってきたということになります。

花輪線には全国的な知名度を誇る観光名所というのもあまりなく、定期的な観光列車の運行があるわけでもないので、正直こういう機会でもないと乗る機会がなかったりするのですが、実際には素晴らしい景色が連続していてかなり充実した2時間50分だったなと思います。みなさんも北東北へお出かけの際は、名の知れた観光路線も良いかもしれませんが花輪線も是非乗ってみてください!

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わずか3分で接続

大館では3分の接続時間で、奥羽本線弘前行へと乗り換えます。やや慌ただしさはあるものの、先ほどの花輪線の列車からの対面ホーム乗り換えだったので特に間に合わないということはなく無事に乗り換えが完了。定刻通り大館駅を発車して終点の弘前へと向かいます。

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弘前に到着

列車は定刻通り16:11に終点の弘前へと到着。この先さらに奥羽本線を川部まで進み、その先は五能線に入っていくのが最長片道切符のルートとなっています。既に通った新青森駅を何とかして二度通らないよう、ギリギリを攻めるわけです。

当初の予定では、この6日目に関しては弘前で終了するつもりでした。この先五能線に進んでしまうと、沿線に大きな街もあまりなく、万が一途中で何かあった時のことを考えるとリスクがあると考えていたためです。

ただこの時、日本列島を台風9号が直撃しており、各地で猛烈な雨を降らせていました。東北地方に上陸の予報は出ていなかったものの、翌8月9日以降は温帯低気圧となって東北地方の天候も不安定になる予報が出ておりましたので、なるべくこの日のうちにルートを進めておきたいと思い、この後当日中に五能線を走破して秋田まで向かうことになります。

ただし長くなってしまうので、続きは次回ご紹介していきます。

本日も最後までお読みいただきありがとうございました。

(10)ガラガラはやぶさ号で青森&盛岡のひんやりグルメを巡る!【最長片道切符の旅2021】[新青森→盛岡]

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みなさんこんにちは! わたかわです。

今回は最長片道切符の旅の6日目序盤、新青森から盛岡までの旅の様子をご紹介していきます。

 

2021年8月8日(日)6日目①

宿泊していた新青森駅近くの「快活CLUB青森西バイパス店」を早々にチェックアウト。この日の行程はまず東北新幹線新青森から盛岡までルートを進めることになりますが、その先の列車の接続が悪い関係で時間には余裕があるので、すぐに新幹線には乗らずに青森市街まで出て暇を潰したいと思います。

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215系の姿も

快活CLUB青森西バイパス店から青森市街までは、国道7号線(青森西バイパス)を進んでいきます。まだ朝6時過ぎですがすっかり明るく、人通りは極めて少ないものの道に迷うことはありません。

途中には広大な車両基地も見え、ふと目をやるとかつて首都圏で活躍していたオール2階建て車両「215系」の姿もありました。地元神奈川でこれまで数えきれないほど見てきたライナー車両で、休日の「ビューやまなし号」で何度か乗った記憶がありますが、まさかこんな無残な姿で対面を果たすというのも何だか残念な話です。地方民鉄に転属できるような車両でもないので、廃車になってしまうのでしょう。

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青森魚菜センター

そして青森駅周辺へと到着。朝ご飯はここ「青森魚菜センター」でいただくことにします!

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朝から海鮮!!

「日本の食」22品目は青森魚菜センターの「のっけ丼」です。これはご飯を片手に市場の中を歩いて回り、好きなネタをのせていってもらって自分だけの海鮮丼をつくるというもので、以前に一度当ブログでもご紹介しました。最初に入口でチケットを買い、各所でチケット1枚~2枚ごとに好きなネタと交換できるというシステムです。チケットは5枚券(750円)と10枚券(1,500円)があります。以前来た時は10枚券を買いましたが、今回は金銭的な余裕がないというのと朝ご飯で量は控えめにしておこうと思い5枚券にしておきました。

チョイスしたのは「えび」「まぐろ」「サーモン」「〆さば」の4種類。ご飯もチケット1枚分なのでこれで合計5枚分(750円)となります。やはり1,500円分のものと比べるとやや見劣りはしてしまいますが、それでも鮮度は確かでとっても美味しいです! 今回決して旅費に余裕がない中で海鮮を味わえる機会はそう多くないと思うので、しっかり味わっておきました。

watakawa.hatenablog.com

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青函連絡線「八甲田丸」

食後はしばらく青森駅周辺を散策します。言うまでもありませんが、かつてこの青森と函館の間は青函トンネルが開通する前の1988年まで「青函連絡線」で結ばれていました。この青森駅は上野や大阪など各方面からの長距離列車の終着駅であり、北の大地へと向かう乗り継ぎ地点であったわけです。

今回は中まで入ることはしませんでしたが、かつて青函連絡線が発着していた場所には記念館「八甲田丸」が留め置かれ、連絡線の様子を今に伝える博物館として営業していますので皆さんもお時間ある際は是非立ち寄ってみてください。

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あの青森駅舎の姿はない…

そして記憶に新しいところでは、2021年春に青森駅の新駅舎が開業しました。「あおもり駅」というやわらかいフォントが印象的だった旧駅舎は順次解体が進んでいるようで、今では見る影もなくなっています。

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ラビナの脇を通る

隣にある駅ビル「ラビナ」は通常通り営業しているので、旧駅舎の跡地とラビナの間が「青森駅東口」として仮の出入口になっています。頭上を見上げると「右が青森駅」と案内されていますが、右に進んでも駅舎解体現場しかありませんのでまっすぐ進んでいきます。

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新たな青森駅改札口

そしてこちらが、青森駅の新たな改札口です。かつて東西それぞれに改札口があったものが一ヵ所に集約されました。今回の新駅舎を機にJRと青い森鉄道で改札口を分けたりするのかなと思っていたのですが、そういうことは特にしていないようです。自動改札機、有人改札口、券売機の並びの先には、みどりの窓口びゅうプラザまでしっかりと設置されておりこれはかなり驚きました。特にびゅうプラザは絶滅が危惧される中ですので、早々な店じまいとならないことを祈ります。

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東西自由通路

そしてこの新駅舎の最大の特徴は、「東西自由通路」の完成により青森駅の東西の行き来が格段にしやすくなったという点にあります。青森駅の場合は東側に商業施設や繁華街があって発展しており、西側は閑静な住宅街が広がりますが、行き来がしやすくなったことで地元の人にとってはかなり便利になったのではないかと思います。

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西口駅舎

そして青森駅西口の旧駅舎は既に取り壊され、隣に新たな駅舎が完成しており姿を確認することができます。かつてあった小さな三角屋根の駅舎はお世辞にも県庁所在地とは思えないというのがよく話題になっていましたが、今回新しくできた駅舎はそれよりも遥かに立派なもので、岐阜県高山駅を彷彿とさせるデザインです。

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区間だけ特急に乗車

さて、そろそろ時間なので列車へと乗り込み新青森に移動します。流石に新青森まで歩くということはせず、別途青森から新青森までの190円の乗車券を購入して奥羽本線で移動します(1駅だけなのに地味に高いな)。

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初乗車のE751系

乗車するのは、青森9:04発の特急〔つがる2号〕秋田行です。何と5分間だけなのに特急に乗車…! ですが、この新青森青森駅間のみの乗車であれば乗車券のみで自由席に乗れるという特例があるため特急券を購入する必要はありません。4両編成の列車のうち、3・4号車の2両が自由席となっています。

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内装はE653系と似ている

9:04に定刻通り青森駅を発車。わずかな時間ではありますが快適な特急の座席を堪能します。車内は私のように新青森までの短区間の利用もそこそこ多いように見えました。

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新青森に到着

安らぎの空間もつかの間、9:09に新青森へ到着。これより先へ乗り越すと全区間の特急料金が必要となりますので、注意しましょう。

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青森といえばりんご

新青森では少し時間があったので、「日本の食」23品目として青森りんごのジュースをご紹介。実は首都圏の駅の自販機でも売っているものですが、同じものでも現地で飲む方が美味しいのでは?と思い「ジョナゴールド」「ふじ」「王林」の3種類購入。小さなサイズですが1本170円となかなかのお値段で、3本合計で510円。3種類とも濁っていて透き通るような美しさではありませんが、これは品質の高い証拠だそうです。

そして私の独断と主観に基づく食レポ(飲レポ?)ですが、ジョナゴールドは「あっさり」、ふじは「酸味強め」、王林は「甘み強め」という感じがしました。甘いものなら何でも好きなのでこの3種類の中で言うと私の一番の好みは「王林」かなという気がしますが、甘みと酸味の絶妙なバランスを味わいたいのであれば「ふじ」がオススメです。

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新青森始発に乗り込む

そんな素人のりんごジュースレポはさておき、新青森9:53発の〔はやぶさ16号〕東京行に乗り込み盛岡へと向かいます。今回初めて「東京行」の列車へと乗り込みますが、実際に私が東京へと降り立つのはまだ1週間以上先のこと。気が遠くなります。

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ゆったりとした乗車時間がある

はやぶさ号というと、2016年の北海道新幹線開業以後は「運行区間新函館北斗まで延長された」というイメージも強いですが、実際には全てのはやぶさ号が新函館北斗まで乗り入れているわけではなく、まだまだ東北新幹線内完結の列車も多数存在します。北海道直通便についてもこの新青森駅で乗務員交代を行うため数分程度の停車時間が設けられている場合が多いですが、せかされることなく乗り込みたいという場合には新青森始発の列車を選ぶのも手でしょう。今回のこの〔はやぶさ16号〕もまさにその一つです。

それではだいぶ前置きが長くなりましたが、この新青森駅より6日目のルートを開始していきます!

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相変わらずガラガラ

列車は定刻通り9:53に新青森を発車。盛岡まで途中は八戸にのみ停車します。10両編成とこの地域にしてはかなりの長編成ですから、やはり車内はかなりガラガラで空席も目立ちます。このあとおそらく仙台から相当数の乗車があったものと思われますが、コロナ禍前の繁忙期でもなければ北東北で10両編成の新幹線が満席になることはあまりないのかなという気がします。

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今回も立席特急券

前夜の「新函館北斗新青森」の移動に引き続き、この区間でも「立席特急券」を利用していきます。新青森盛岡駅間の乗車時間は昨晩の新函館北斗新青森駅間とだいたい同程度(1時間弱)ですが、昨晩のが4,000円に対し今回は何と2,640円というわけで、北海道新幹線の金額の高さが改めて際立ちます。しかも北海道新幹線青函トンネル内でスピードを抑える必要があるため、所要時間は同程度でも実際には新青森盛岡駅間の方が距離が長いことを考えれば、より「安く」より「長い距離」を移動できるということになります。

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八戸に停車

程なくして列車は途中の八戸に停車。2002年から2010年までの約8年間はこの駅が東北新幹線の終点でした。

立席特急券で普通車指定席を利用する場合は、なるべく「途中停車駅の少ない列車を選ぶ」のがポイントです。途中各駅に停まるような列車を選んでしまうと、自分の座った席に座席の指定を受けているお客さんが来る可能性が高まり、なかなか落ち着いて過ごせません。最近の首都圏の特急とは異なり座席上方に発売状況を示すランプがあるわけでもないので、ゆったり我が城を築いて寛いでいると本来の予約者が来た時に少々厄介なことになるでしょう。

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盛岡に到着!

そして列車は10:45に盛岡駅へと到着。はやぶさ16号の後方には秋田から来た「こまち16号」を連結するということで、列車はこの駅でしばらく停車します。

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巨大な駅舎

盛岡駅にはこれまで何度か来ていますが、新幹線側から見た際のこの巨大な駅舎がいつ見ても本当に印象的です。新幹線ホームが高い位置にあり、なおかつ17両編成を収容できる長大なホームを擁するためこのような縦にも横にも大きい駅舎となっています。駅舎全体を一枚のフレームに収めることはかなり困難で、いつもかなり苦心して撮影している気がします。

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盛岡冷麺

そんな盛岡では、少し早めのお昼ご飯をいただきます! 盛岡といえば「わんこそば」「じゃじゃ麺」「盛岡冷麺」の三大麺で有名ですが、その中でも今回は駅ビル内の大同苑さんで「日本の食」24品目となる盛岡冷麺(1,100円)をいただきます。

冷麺といえば焼肉屋さんで終盤に注文するメニューというイメージですが、こちらは盛岡冷麺がメインのお店。つるつるっとすすれる麺には玉子やチャーシューのトッピング、そして季節のフルーツとしてスイカものっています。まさにこの日も気温が高く、暑い夏にぴったりのメニューとしてこれだけでも十分美味しいのですが、付け合わせでキムチの小鉢がセットになっているので是非それをトッピングして召し上がってみてください。これが本当に美味しいのです!!(ただしのせすぎは注意)

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猛暑で既に溶け始めている

そして食後はまだ少し時間があったので、同じ駅ビル内の売店にて「日本の食」25品目となる小岩井農場ジェラート(400円)をいただきました。盛岡市から少し西に進んだところにある「小岩井農場」の人気デザートで、一番人気のミルク味を注文。サービスでさらにチョコレート味をワンスプーントッピングしていただきました!

これが本当に濃厚でなめらかな味わいで、とっても美味しいんです。屋外に数分間出しておくだけでとろとろに溶けてしまうくらいの暑さですが、冷たくて美味しいジェラートで見事に復活しました。

 

この後はIGRいわて銀河鉄道のホームより花輪線に乗車していきますが、その様子はまた次回お届けしていきます。

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。

(9)絶品グルメを食べまくる北海道最終日。そしていよいよ本州へ…【最長片道切符の旅2021】[長万部→新青森]

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みなさんこんにちは! わたかわです。

今回は最長片道切符の旅の5日目後半、道南から北海道を脱出して新青森にたどり着くまでの様子をご紹介していきます。

 

2021年8月7日(土)5日目②

シカと衝突した影響で遅延した山線にて、長万部には17分ほど遅れて14:25頃に到着。

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長万部でかにめしを受け取る

長万部駅函館本線室蘭本線が乗り入れる交通の要衝で、新幹線の駅も設置される予定となっています(まだ駅周辺を見渡しても工事の様子は皆無ですが)。

ここの名物駅弁といえば、かなやの「かにめし」。事前に電話で取り置きの予約をしておいたので、乗り継ぎ時間は短くなってしまいましたがギリギリ何とか駅前のお店で受け取ることができました。

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特急北斗12号が入線

大急ぎでホームへ戻り、長万部14:35発の特急〔北斗12号〕函館行に乗車していきます。

列車は定刻通り長万部を発車。倶知安から同行してくださったたろ散歩さんとはここでお別れです。貴重なお話をたくさんありがとうございました!

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かなやの「かにめし」

車内ではさっそく遅めの昼食ということで、「日本の食」19品目はもちろんかなやの「かにめし」(1,180円)です。蓋を開けると、ご飯の上にはかにのほぐし身がたっぷり敷き詰められており、まさに「見たらわかるウマいやつやん!」状態。これがご飯ととってもよく合うふわふわの食感で、かに好きにはたまりません! 一度食べ始めたら箸がとまらず、気づいたら完食していました。北海道に来たら是非ともまた食べたい駅弁の一つです。

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八雲駅に停車

実はこの「北斗12号」というのも思い出深い列車で、昨年10月の「鉄道最速日本縦断2020」の際に札幌から新函館北斗まで乗車したのとまさに同じ列車であります。あの時は稚内を早朝に出発して、サロベツライラック→北斗と乗り継いできていたので、札幌を発車する時点でもう既にかなりお尻が痛かった記憶がありますが、今回は幸か不幸か函館山線でほとんど座れなかったので、あいにく(?)お尻が痛いということもありません。

watakawa.hatenablog.com

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噴火湾沿いを進む

長万部~森駅間ではかなり広範囲に渡って噴火湾の眺めを楽しむことができますが、それを知ってのことかあいにく自由席の進行方向左側はほぼ満席。デッキに出て噴火湾の眺めを楽しみます。本当に湾のギリギリを走るので、もし高潮や津波の被害があるとダメージは決して小さくなさそうです。この区間はおそらく北海道新幹線札幌開業後はJR北海道から経営分離されるでしょうから、特急の車内からの眺めを楽しめるのも今のうちでしょう。

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森駅に到着!

眺めを楽しむうちに、列車は15:16に森駅へと到着。長万部からわずか40分ほどの乗車ということで、素晴らしい景色とともに時間はあっという間に過ぎていくのを実感します。

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静かなターミナル駅

森駅は現在全ての特急が停車する主要駅ですが、来る北海道新幹線札幌開業に際してはこの付近に新幹線の駅が設置される予定はなく、新函館北斗を出ると次の駅は「新八雲(仮称)」となるようです。新幹線開業により長距離利用が不便になるという意味では、1997年の長野新幹線開業時の小諸駅に似た不遇の駅と言えるかもしれません。

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道南の路線図は複雑に入り組む

さて、特急を新幹線接続駅である新函館北斗まで乗らずにこの森で下車したのには理由があります。森より先、函館方面には線路が二手に分かれており、渡島砂原経由と大沼公園経由があります。大沼公園経由の方が距離が短く、また大沼国定公園への観光需要も鑑みてか全ての特急がこの「大沼公園経由」で運行されていますが、今回は「最長片道切符」ですのでより長いルートを利用する必要があり、渡島砂原経由の通称”砂原支線”を通っていくことにします。こちらに優等列車の設定はなく、普通列車へと乗り換える必要があるため森で下車したというわけです。

ちなみに渡島砂原経由の方が距離が長い→すなわち運賃も高くなる、のかと思いきや、森~大沼駅間は渡島砂原経由で移動する場合であってもより短い大沼公園経由の営業キロに基づき運賃が算出されるという特例(経路特定区間)があります。すなわち今回私が保持している最長片道切符においては、どちらに乗っても良いということになります。

また、上の図にもう一度戻って見てみると、大沼~七飯駅間でも線路が二手に分かれています。新函館北斗駅を通るルートが特急の運行経路ですが、それよりも勾配が緩やかなルートとして通称”藤城支線”というのがあります。この藤城支線の最大の特徴は、新幹線の終着駅でもある新函館北斗を通らないということにあり、大沼~七飯駅間には途中駅が全く設定されていません。北海道新幹線開業前、新函館北斗がまだ「渡島大野」という駅名だった頃は藤城支線を通る特急列車もたくさん存在しましたが、新幹線開業後は新函館北斗での新幹線接続を考慮して全列車が新函館北斗経由となり、現在藤城支線では1日数本程度の下り普通列車が通るのみとなっています。

なお、ここからはやや複雑な話になりますが、藤城支線には「営業キロ」が設定されていません。すなわち新函館北斗経由の列車も藤城支線経由の列車も、どちらであっても新函館北斗経由の営業キロに基づいて運賃が算出されます。つまり運賃計算上は藤城支線が本線と別物として扱われることはないため、今回の最長片道切符の経路も「大沼(藤城支線)七飯(本線)新函館北斗…」とはならないのです。

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これはトラップ

それでは森から、普通列車に乗車していくことにしましょう。改札口の発車標を見てみると、何とほぼ同じタイミングで2本の普通列車が出ていくことが分かります。山手線もびっくりの高頻度運転…!ではなく、16:07発の函館行が渡島砂原経由、16:09発の大沼行は大沼公園経由というわけで方面は同じでも全く異なる区間を走るのです。ちなみに大沼行の方が後の発車ですが、先に発車する渡島砂原経由の方が距離が長く時間もかかるため、後発の大沼行の方が大沼には23分早く到着します。

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左に少し見切れているのが16:09発

それでは、私は16:07発の渡島砂原経由函館行に乗車していきます。道南には今のところH100形は進出していないようで、非電化区間普通列車は昔ながらのキハ40系での運行です。最長片道切符の券面の経路通りでいくと新函館北斗でこの列車を降りなければならないのですが、今回は新函館北斗函館駅間の往復乗車券を別途購入して函館へも立ち寄ることにします。

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かなりガラガラ

16:07に列車は定刻通り森を出発。車内は片手で数えられるくらいしかお客さんがのっておらず、実にガラガラです。ボックス1つどころか2~3つくらい占拠できる気がします(迷惑なのでやめましょう)。

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かにめしの食後にいかめしを食べる贅沢

車内はかなりガラガラなので、ここで「日本の食」20品目となる森駅の名物駅弁「いかめし」(780円)をいただくことにします。駅弁とは言うもののだいぶ小ぶりな容器ですが、蓋を開けるともち米の入ったいかが2つ、綺麗に収まっています。つまようじの部分をもって丸ごとかぶりつく、この瞬間が何よりの幸せ。しっかり味が染みていてとっても美味しいです!

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渡島砂原駅

列車は順調に砂原支線を進んでいきます。沿線にとりわけ大きな街があるというわけでもなく、利用客数の多い駅も特にないので、砂原支線内では特に大量の乗降がある様子はありませんでした。しいて言うならば途中の鹿部駅は駅のすぐ近くにゴルフ場があり、駅から少し離れた鹿部の市街地はこの辺りにしてはやや発展していると言えるかもしれません。また、地図上で見ると沿岸部を走っているように見える砂原支線なのですが、実はそこまで海のキワッキワを走るわけでもないので、特に車窓から海が見えるわけではありません。

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大沼駅に到着

17:05に合流地点となる大沼に到着。向こうのホームに停車しているのが、先に到着していた大沼公園回りの普通列車かと思います。大沼国定公園の最寄り駅はその大沼公園駅ですが、そこからの乗り継ぎでこの大沼駅からはたくさんの人が乗り込んできました。

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小沼

大沼駅を出ると、車窓右手には小沼が広がります。冬の間は氷が張ってこれまた美しく、6年前の冬の日に北斗星の車内から見た小沼の一面の雪景色は今でも忘れられません。

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函館に到着!

17:42に列車は終点の函館に到着です! 先ほども述べた通り函館駅は経路外ですが、最長片道切符の経路一覧と新函館北斗函館駅間の乗車券を同時に提示すれば問題なく改札口を出場できます。

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道南の玄関口…?

函館本線の起点でもあり、かつて青函連絡線が就航していた時代には北海道の玄関口として多くの人で賑わった函館駅。連絡線が廃止され青函トンネルが開通した後もこの函館には上野・大阪等本州各方面からの夜行列車が乗り入れ、日夜賑わっていたのでしょう。2016年に北海道新幹線が開業すると本州からこの函館駅に直接乗り入れる列車は消滅してしまいましたが、いつの時代もこの函館駅は観光・ビジネス・生活の拠点としてたくさんの人が行き交う重要なターミナル駅となっています。

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函館といえばラッピ!

そして函館といえば「ラッキーピエロ」に立ち寄らないわけにはいきません! 金森赤レンガ倉庫の前でいただく「日本の食」21品目はラッキーピエロの「チャイニーズチキンバーガー」(378円)です。函館のローカルハンバーガーチェーン「ラッキーピエロ」の看板商品で、甘辛いタレを絡めた唐揚げがレタスとともにバンズの間にたっぷり挟まっています。唐揚げはサクサクで、みずみずしいレタスとバンズとの相性も抜群! 他にもラッキーピエロではさまざまなファストフードメニューが展開されているので、今度是非そちらも食べてみたいものです。

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今日中に本州へ渡らなければ

時刻は19時前、辺りもだんだん暗くなってきた頃ですが、私はこの日函館に泊まるのではなく本州へと渡らねばなりません。というわけで、函館19:06発の快速〔はこだてライナー新函館北斗行に乗車して函館を離れます。わずか1時間ちょっとの函館滞在でしたが、美味しいチャイニーズチキンバーガーを函館のシンボル・赤レンガの前で食べれたので満足です!

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はこだてライナー

先ほどのキハ40でも新函館北斗を一度通ってきてはいるので、このはこだてライナーにて来た道を少しだけ戻るということになります。新函館北斗駅は新幹線における函館の玄関口というわけですが、実は函館市ではなく隣の北斗市にあることからこのような駅名になっています。北海道新幹線開業に際し函館~新函館北斗駅間は新たに電化され、リレー列車であるこの「はこだてライナー」の運行が開始されたというわけです。

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車内はロングシート

列車は定刻通り19:06に函館駅を発車。3両編成ですが先頭1号車には誰もいません。「はこだてライナー」などという立派な名前がついていますが、特に指定席が連結されているわけでもなく、札幌圏の最新の通勤車両と同じくオールロングシートとなっています。また、時間帯によって「快速」と「普通」があり、快速は桔梗・大中山七飯を通過するということで速いものだと函館~新函館北斗駅間を15分程度で結びます。しかし私の乗車した函館19:06発の便は途中の七飯運転停車を行ったため、結果的には各駅に停車するタイプのものと所要時間はほとんど変わりませんでした。

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いよいよ新幹線へ乗り換え

19:25に新函館北斗へと到着。かつて「渡島大野」という名もなき無人駅でしたが、今や東京からの直通高速列車がじゃんじゃん発着する大きなターミナル駅へと大出世を遂げました。

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東京行の新幹線は発車済み

はこだてライナーのホームから新幹線ホームへは、階段等を使わず同じフロアで乗り換えができます。新幹線改札で再び最長片道切符を提示し、発車標を確認。この日最後に乗車する列車は、新函館北斗19:41発の〔はやぶさ96号〕仙台行です。日中は基本的に東京~新函館北斗駅間での直通運転が行われている北海道新幹線ですが、北海道内からの最終の東京行は18:40に新函館北斗を発車してしまっているので、この時間になると東北地方どまりというわけです。

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おなじみE5系

この最長片道切符の旅で初となる新幹線は、東京でもおなじみのE5系です。仙台行ですが今回は途中の新青森まで乗車していくことになります。見慣れた新幹線ですがやはり改めて見てみてもカッコいい!!

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やはりガラガラ

列車は19:41に定刻通り新函館北斗を発車。8月3日から5日間過ごした北海道の地に別れを告げ、最長片道切符の旅はいよいよ本州へと進んでいきます。

はやぶさ号は列車によって停車駅が異なりますが、このはやぶさ96号は新函館北斗を出ると新青森までノンストップで、その先は仙台まで各駅停車となります。10両編成での運転ということで日頃から「ガラガラ」と言われる北海道新幹線ですが、夜の時間帯ということでやはりいつも以上にガラガラのように見えました。

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立席特急券

はやぶさ号・はやて号は全車指定席となっているため、北海道新幹線に「自由席」は存在しません。もっと言えば東北新幹線の盛岡以北には自由席を連結した新幹線の定期乗り入れが存在しないわけですが、この盛岡~新青森新函館北斗駅間では自由席特急券の代わりに「立席特急券」というものが発売されています。これは全車指定席の新幹線の普通車の空いている席を利用できるというもので、座席の指定を受けた一般的な特急券よりも安く設定されています。もし途中でその座席を指定しているお客さんがやってきた場合は退かなければならないということですが、特に北海道新幹線の場合だと座席が混みあうことはまずありませんので、この立席特急券で十分事足りるというわけです。

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北海道新幹線は高すぎる!

新函館北斗から新青森までは約1時間。距離にして150kmほどですが、青函トンネル内は貨物列車とのすれ違いの関係で速度を落とさなければならないという事情から、新幹線らしい走りを見せる区間はほんのわずかです。これで特急料金が4,000円というのは些か割高であると感じます。東北新幹線の東京~那須塩原駅間も同じく150kmほどですが、自由席特急料金は2,850円ですからその差は1,000円以上。

しかも、北海道新幹線東北新幹線は直通運転を行っているにも関わらず特急料金が通算されません。すなわち最長片道切符の経路上は盛岡まで新幹線を利用するのですが、新青森で途中下車してもしなくても特急料金は変わらないというのが、今回新青森に立ち寄る理由の一つでもあります。

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青森の市街地が見えてきた

53kmもの青函トンネルを抜け、奥津軽いまべつ駅を通過してしばらくすると遠くに青森の市街地が見えてきました。いよいよ本州上陸です。これからまだとてつもない日数をかけて本州を旅していくことになります。

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新青森で本日は終了

20:38に列車は定刻通り新青森駅へと到着。新幹線を降り、本日5日目の移動はここまでとなります。

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快活CLUB青森西バイパス店

今夜の宿は、新青森駅から1.4kmほど歩いたところにある「快活CLUB 青森西バイパス店」です。新青森駅周辺は何もないとよく言われますが、少し歩くと国道7号(青森西バイパス)があり、その道路沿いには様々な商業施設が立ち並びます。駅前よりも国道沿いがよく発展しているという地方の良い例です。

 

本日はここまで。

続く6日目の旅の模様はまた次回お届けしていきます。

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。

(8)ぱんじゅうを頬張り、旅行客で大混雑の函館山線に乗る【最長片道切符の旅2021】[札幌→長万部]

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みなさんこんにちは! わたかわです。

今回は最長片道切符の旅5日目の前半の様子をご紹介していきます。

 

2021年8月7日(土)5日目①

さて、5日目の朝は札幌駅からスタートです。ちょうど札幌オリンピック…もとい東京オリンピックのマラソンがここ札幌の中心市街地で行われている最中の出発ということで、札幌駅からまっすぐ南にのびる道路は広い範囲で交通規制が行われているため、宿泊していた狸小路から札幌駅までは地下歩行空間を歩いていきます。

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地下道で札幌駅へ

地下歩行空間の柱や壁にも「TOKYO2020」のロゴがあり、東京都内や首都圏近郊ならまだしも遠く離れた札幌の地でまでこのロゴを目にすることになるとは思いもしませんでした。狸小路から札幌駅までは1kmちょっとの距離ですが、警備の人や大会関係者等でかなり物々しい雰囲気でした。

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朝7時の札幌駅

そんなこんなで、札幌駅に到着。5日目のこの日は、小樽・余市倶知安を経由する函館本線(山線)経由で長万部に抜け、その後は道南・本州方面へと向かっていきます。

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札幌近郊でおなじみ721系

この日、まず札幌から乗車していくのは7:14発の小樽行普通列車。札幌~小樽駅間は快速エアポートで行けば通過駅もありかなり速いのですが、早朝にはどうやら小樽発着の快速エアポートの運行はないようなので、少し時間はかかりますが普通列車で向かっていきます。

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しばらくは市街地を高架線で抜ける

列車は定刻通りに札幌を出発です。実はこの列車は意外に珍しい「札幌始発」の小樽行で、早朝・深夜に1日数本しかありません。札幌始発なのでもちろん座ることができた上、方面的にまだ朝7時台には混むような列車でもないので快適です。ただし途中駅からの乗車もそれなりにあるのは、流石大都市札幌だなと感じます。

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石狩湾を眺める

銭函を過ぎると、列車の車窓右手側には石狩湾が見えてきます。この日も朝から晴れていて空が青く、例によって窓の曇りは気になるものの素晴らしい景色でした。本線とは言いながらもこれほど線路ギリギリのところを走るのはなかなか贅沢な体験です。

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小樽に到着!

列車は8:01に終点の小樽へと到着です。ちょうど向かいのホームには8:06発の倶知安普通列車が停車しており、そちらへ乗り換えるお客さんも多いようなのですが、これで倶知安まで行ったところでその先の接続は変わらないので、諸々の用事をこなすべくこれから小樽に3時間弱滞在することにします。

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快晴の小樽駅

札幌近郊の観光地としても名の知れた小樽ですが、週末とはいえ流石に朝8時過ぎではまだ観光客の姿はあまりありません。駅前は地元の人々が行き交います。

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BOND LAUNDRY 小樽花園店

まずは小樽駅から南に1kmほど歩いたところにある「BOND LAUNDRY 小樽花園店」にて、ここまでに溜まった洗濯物を一気にぶち込みます。洗濯している間はいったんここを離れて市街地観光でも良かったのですが、どこへ行くにもやや遠く、洗濯自体は1時間ほどで終わるのでそれならばと思い待つことに。無事に洗濯・乾燥が完了しました。

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手宮線跡地

その後は市内を少しばかり散策していきます。小樽を象徴する観光地の一つである「旧手宮線跡地」の遊歩道も、夕方頃だとカップルがうじゃうじゃで私のようなぼっち陰キャ大学生にはかなりつらい世界となるのですが、まだ朝早い時間だと観光客がそもそもあまり多くなく、健全に(?)楽しむことができそうです。

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桑田屋 小樽本店

さらに運河の方向に坂を降りていき、立ち寄ったのは「桑田屋 小樽本店」。ここで小樽名物の「ぱんじゅう」(1個99円)をいただきます。「日本の食」17品目となります。

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ぱんじゅう(生キャラメル、つぶあん、クリーム)

ぱんじゅうとは、小樽の昔ながらの伝統的なおやつで、今川焼を小さく丸めたような見た目をしています。味はいろいろありますが、今回は「生キャラメル」「つぶあん」「クリーム」の3つをチョイス。一口かじると中にはたっぷりあんが詰まっていて、ほんのり温かくとっても美味しいです! ちなみに底面の皮が薄く、そのまま持って食べると下からあんがこぼれてしまうということで、逆さにして曲面を下にして食べるのが良いそうです。1個99円とリーズナブルで、何個でもパクパクいけてしまいそうです!

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暑すぎる小樽運河

まだ少し時間がありそうなので、ついでに小樽運河へも行ってみることに。小樽運河というと夜景が有名ですが、昼もなかなか悪くない景色だと思います。しかしまだ午前中ということもあってか観光客はまばらで、人力車をひくムキムキのお兄さんたちが暇そうにしていました(笑)。

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若鶏半身揚げ

さらに小樽駅へと戻り、もう一品小樽グルメをば! ということで「日本の食」18品目はなるとの「若鶏半身揚げ」(980円)です。その名の通り、ハーフサイズの若鶏を丸ごと揚げた商品で、とにかくずっしりと重いです。フライドチキン感覚で買った私が愚かでした(笑)。もちろん味はとっても美味しく、文字通り骨の髄までしゃぶりつく心意気で堪能していたのですが、そろそろ列車の発車時刻が迫っているということで、いったん仕舞い続きはこの先の乗り換え駅などで食べることにします(列車内で食べるのは匂いがきついので迷惑と判断)。

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10:53発の倶知安行に乗車

さて、大急ぎで駅に戻り、続いて乗車するのは小樽10:53発の倶知安。いよいよ「山線」と呼ばれるローカル線区間へ突入していきます。一応函館「本線」ではありますが、列車本数が多いのは札幌近郊エリアとなる小樽までで、この先は非電化&列車本数がぐっと少なくなります。

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お久しぶりのH100形

非電化なのでキハ40…ではなく、今や北海道の鈍行気動車のメインはH100形(DECMO)。今回の旅では名寄~新旭川駅間に続き2度目の乗車となります。道内各地で1両で運用されることが多いようですが、今回は2両つなげての運行です。

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めちゃくちゃ混雑

慌てて乗り込むも、車内は既に座席もほとんど埋まっている状態。独り身なのでロングシートに座ることができたものの、この直後に札幌方面から快速エアポートが10:46に到着し、そこからの乗り換え客で車内はさらに混雑の様相を呈します。

大混雑の状態で、列車は定刻通り小樽を発車。やはり旅行客が非常に多いようで、スーツケースや大きなカバンを一生懸命邪魔にならないよう抱えながら乗車する人や、子どもを必死にあやしながら乗る家族など、まさに車内では夏の行楽シーズンらしい光景が繰り広げられています。

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のどかな景色

小樽の市街地を少し離れると、早くも車窓には雄大な緑が広がります。車内では「交通系ICカードはご利用になれません」という旨の放送が繰り返しなされていました。札幌方面からずっとKitacaなどの交通系ICカードで来ていると、降りる駅によってはかなり面倒なことになりそうですね。

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余市ではそこそこ下車があるも…

小樽から25分ほど乗車すると、列車は余市に到着します。ニッカウヰスキーの街としても知られ、ここではかなりの観光客が降りていったように見えました。しかし座席に空席が出るほどではなく、依然としてそこそこ混雑した状態が続きます。

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かつては名実共に「本線」だった

余市を出ると倶知安まではあと1時間弱ほどかかりますが、ほとんど途中での乗降はありません。この函館本線の山線区間というのは、かつては道内の主要な特急・急行が函館~札幌(~旭川方面など)を結ぶ時のメインルートとして使われていた時代もあり、名実共に「本線」だったわけですが、時代が進むにつれて現在の特急〔北斗〕が通るような南回りでのルートの長距離列車が増え、1986年に山線経由の定期優等列車は消滅してしまいます。

watakawa.hatenablog.com

現在では、毎年9月頃に札幌~函館駅間を山線経由で結ぶ臨時特急「ニセコ号」という列車が設定されており、山線の優等列車を味わえる数少ない機会となっています。以前私も一度だけ乗車していますので、その様子は是非上のリンクから飛んで見てみてください!

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「くっちゃん」と読みます

そんなわけで、列車は12:12に終点の倶知安駅へと到着です。道外の人にとってはかなりの難読駅名かもしれませんが、山線の普通列車はここを始発・終着とするものも多く、石狩地方では行先としてよく見る駅名だったりします。

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新しい在来線ホーム?

駅の脇では、何やら新しいホームの建設が進んでいました。恐らくこれは北海道新幹線開業に先駆けて在来線のホームを移設し、現在の在来線ホームの位置に新しく新幹線のホームを造るということだと思います。北海道新幹線札幌開業時にこの倶知安にも駅ができる予定となっており、完成すれば東京から一直線でここまで来れるということになるのでとても便利になりそうです。

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たろ散歩さんと合流!

そしてこの倶知安駅では、何とYouTuberのたろ散歩さんと合流しこの先の長万部まで行くことになりました! どうやらたまたま小樽から同じ列車に乗り合わせていたようで、私のツイートを見てたろ散歩さんの方からDMにて連絡をくださいました。

忘れないうちに、先にYouTubeチャンネルのリンクを貼っておきます。以下からご覧ください!

www.youtube.com

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12:35発に乗車

それではたろ散歩さんとともに、ここからは12:35発の長万部に乗車していきます。私は最長片道切符を改札口で提示し、たろ散歩さんはフリーパスをお持ちのようでしたのでそれを提示して改札内へと入ります。

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またもH100形

車両は先ほどと同じくH100形のようですが、何と2両→1両になっておりより混雑度合いはひどくなっています。しかもこれより先は今までの区間以上に列車本数が少なく、倶知安長万部を直通する列車は1日わずか4.5往復しかありません。

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もはや首都圏の通勤ラッシュ並み

12:35に列車は定刻通り倶知安を出発…したものの、列車は大変な混雑で座るどころか立つスペースも見つからないくらいです。間違いなく私にとって、北海道内で最も混雑した列車といえばこれでしょう。先ほどの列車に引き続きほとんどが行楽客で、地元の人はあまり乗っていないように見えました。

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ニセコでも空かない…

列車は比羅夫、ニセコ…と各駅に停車していきますが、ニセコを過ぎても車内の混雑が引く気配は全くありません。たろ散歩さんも「ニセコでかなり降りるのでは?」と予想されていただけにこの結果は意外だったようで、私もかなり驚きました。結局ほとんどの人が終点の長万部まで乗り通すということになりました。

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駅間距離が長い

この区間では駅間距離が特に長く、平均して駅と駅の間が10分ほどかかります。単線・非電化で繰り返しになりますがとても本線の風格はなく、ここを長編成の特急・急行が走るイメージはあまりつきません。ただし今のような行楽シーズンには少ない本数の普通列車がこのように大混雑するわけで、増発を行ったり観光列車を走らせたりするのも面白いのではと思いました(なおかつては観光向けのSLも走っていたようです)。

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貨車を駅舎として活用している二股駅

混雑した車内ではありますが、最新車両ということで冷房もしっかり効いているので、キハ150のように暑くて汗がとまらないということはありません。北海道にお住まいのたろ散歩さんから沿線の見どころも数多く教えていただき、とても勉強になりました。ありがとうございます。

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線路上で突如急停車

そしていよいよ次が終点の長万部…というところで、走行中に突如列車が激しく揺れ、急停止。何があったかと思えば、どうやら横から飛び出してきたシカを轢いてしまったようです。安全点検のためしばらく何もない線路上で停止することに。運転士さんが「お怪我をされた方いませんか~」と車内を巡回し、乗客に怪我がないのを確認した後、車外に出ていろいろと点検をされていました。17分間ほど線路上で停止した後、ようやく運転再開。これは北海道ではしばしばあることなのだそうで、決して喜ぶことではないですが北海道らしいできごとに立ち会ったという意味では貴重な機会となりました。

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17分遅れで長万部に到着

列車は14:25頃に終点の長万部駅へと到着です。定刻だと14:08着の予定だったので、やはり17分遅れということになります。

ここ長万部では名物の「かにめし」を購入し、14:35発の特急に乗って南を目指すのですが、その様子はまた次回の記事にしたいと思います!

この倶知安から長万部までの様子を含む道中の様子はたろ散歩さんのチャンネルでも動画として上がっていますので、是非ご覧になってみてください! 私自身は旅の道中で動画撮影はしていないため、私の最長片道切符の旅の様子が映像として残る貴重な資料と言えそうです。

www.youtube.com

 

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。