みなさんこんにちは! わたかわです。
今回は冬の北東北の続編としまして、津軽鉄道の「ストーブ列車」に乗車しましたのでその模様をご紹介します!
▼前回の記事は以下のリンクからご覧ください。
2日目 2021年2月26日(金)②
さて、今回は青森県の五所川原にやってきています。これから津軽鉄道の「ストーブ列車」に乗車していきますが、今回はスケジュールの都合で上り(津軽中里→津軽五所川原)の便に乗車するため、往路はバスで移動していきます。
五所川原駅前には「五所川原バスターミナル」と呼ばれる大きな平屋建てのバス乗り場があります。見ていただければわかる通り、かなり昔の建物が使い続けられているようで、広告や文字の書体から古さを感じます。
中は待合室になっており、椅子が並んでいます。その椅子もまたかなり古そうで、観光客のためというよりは地元のみなさんが長年使い続けている愛着のある待合室という感じがします。奥には立ち食いそば屋さんもあり、こうした地方の町で昔ながらの光景が今もそのまま残っています。
待合室の片隅にある乗車券窓口で、840円のバス乗車券を購入します。これをもって「五所川原バスターミナル」から「中里駅前」までバスを利用していきます。津軽鉄道の普通列車に乗ってもよかったのですが、ちょっと津軽中里駅での待ち時間が長くなりそうだったのでバスを選択しました。
時刻表を確認します。これがまた時代を感じるもので、何と縦書きなんですよ。もはや博物館に収蔵されていそうなくらい貴重な代物ですが、五所川原では今も現役で使い続けられています。今回は五所川原バスターミナル12:40発の便に乗車します。
そうこうしているうちに、バスがやってきました。津軽半島北部の「小泊」という町まで行くバスで、五所川原からは50km離れています。
大勢のお客さんが乗り込み、バスは定刻通り発車。五所川原市街地を少しぐるぐると回り、その後は津軽鉄道と概ね同じようなルートで北上していきます。
バスは雪が降りしきる中をどんどんと走っていきます。津軽中里駅より手前にある大きな町というと金木くらいで、それ以外は基本的に何もない雪原の風景が続きます。こうしている間にもまさに雪が降り続いていて、冬の時期は生活するにもかなり厳しい地域であろうことは容易に想像がつきます。
定刻通り走り、40分ほど乗車して13:24に中里駅前へと到着。バスはこの後も引き続き小泊へ向けて北上していきますが、津軽鉄道の終点はこちらの「津軽中里駅」となります。ここから来た道を戻るようなルートにはなりますが、いよいよ「ストーブ列車」に乗車していきます!
改札口は少々手狭ではありますが、乗車券類の発売窓口のほか津軽鉄道のグッズ販売も行っているようです。この窓口で津軽五所川原までの片道乗車券(870円)とストーブ列車券(500円)を購入しホームへと入ります。
この津軽鉄道は、どうやら「日本最北の私鉄」、そしてこの津軽中里駅は「日本最北の私鉄駅」だそうです。そうか考えてみれば北海道はJRばかり…2016年に誕生した「道南いさりび鉄道」は私鉄というよりは”第三セクター鉄道”ですしね。2006年に廃止された「北海道ちほく高原鉄道」も第三セクターでした。
1面1線の棒線ホームには、既に列車が入線していました。五所川原方に1両の普通列車を連結し、2両編成での運行となるようです。普通列車の方は乗車券のみで利用できます。
今回乗車するストーブ列車の方はというと、何と1948年に製造された元国鉄の客車ということで、運行開始から何と70年以上が経過しています。車両形式としては「オハ35系」と呼ばれる形式群のようで、1939年から1950年にかけて製造された客車とのことで、現在はこの津軽鉄道の他に大井川鐵道でしか見ることができない車両だそうです。
側面にはサボが掲示されています。戦後の復興期や高度経済成長期にはおそらく国鉄の長距離運用を数多くこなしていたものと思いますが、老朽化が進み1983年に津軽鉄道へと譲渡され、塗装が改められて今に至ります。譲渡されてからも既に40年近くが経過しているということで、もはや現役で線路の上を走っているだけでも奇跡といえそうです。
発車時刻が近づいてきたので車内に入ります。ストーブ列車という名前の通り、車内にはダルマストーブが2台、対角線上に配置され、昔ながらのボックスシートが並びます。この椅子が70年前からずっと変わらず使い続けられているわけではないと思いますが、それにしてもかなり古いことには間違いないでしょう。
床は板張り、網棚も”ホンモノの網棚”です。
まだ発車前ですが、車内販売のワゴンが巡回してきましたので、スルメイカ(500円)を購入。これはすぐには食べず、この後の”とある恒例行事”に向けて準備しておきます。車内販売では他にも津軽鉄道グッズ等を多数取り揃えているようです。
ほどなくして発車時刻となり、13:37に定刻通り津軽中里駅を出発。停車駅は大沢内、芦野公園、金木、嘉瀬、津軽飯詰、五農校前、十川、そして終点の津軽五所川原となります。深郷田、川倉、毘沙門の3駅のみ通過し、所要時間はバスと同じくらいの36分間です。
津軽中里から乗車したのは、私を含め何とわずか2人のみ。平日とはいえ金曜日、しかも津軽鉄道の代名詞といえるこの冬のストーブ列車に2人しか乗車していないのは大変まずい状況であるという気がします。やはりコロナの影響で旅行自粛をする人が多いのだと思われます。
しばらくすると、乗務員の方が巡回してくるので、持っているスルメイカをそのまま渡すとストーブの上で焼いてくださいます。これこそが津軽鉄道ストーブ列車の恒例行事「焼きスルメ」です! スルメを袋から取り出し、ストーブの熱が伝わる網の上にしっかりと押し付けて焼きます。軍手をしているとはいえとんでもなく熱いと思うのですが…職人技の域に達してますね。
火が通り、丸まってきたら食べごろです。ただこのままでは大きくて食べにくいので、乗務員さんが細く割いて、先ほどの袋に入れてくださいます。
いやぁこの上ない贅沢ですよ。車内でアツアツの焼きスルメをかじりながら、あったかいストーブの目の前に座って一面の雪景色を眺めながらの汽車旅。まるで昭和の時代にタイムスリップしたかのようです。
列車は順調に進み、途中の金木駅に到着。ここは上下列車の交換が可能な駅となっており、津軽中里行の列車と行き違いを行います。主要な観光拠点の一つでもあり、近くには太宰治記念館「斜陽館」もあります。
この金木駅からは、3人のお客さんがストーブ車両に乗車してきました。いずれも観光客の方のようで、それでも車内の乗客は合計わずか5人です。
先ほどスルメを焼いてくださった乗務員の方と少しお話をしたところ、例年であれば2月のストーブ列車は連日観光客で超満員なのだそうで。ツアーでやってくる団体のお客さんなんかも多いのだと思います。しかし今シーズンはこのようにガラッガラの状態で走る日が大半で、逆に当たり前の光景になってしまったとお話しされていました。元々決して経営状態はよくないであろう津軽鉄道ですから、このコロナ禍で経営はさらに厳しい状況であると思いますが、そうした中でも12月から3月まで、土日のみならず毎日3往復(12月の平日は2往復)ものストーブ列車を運行してくださっていることに、一人の鉄道ファンとして感謝の思いでいっぱいです。しかも70年以上前の客車を丁寧に整備して、追加料金500円で乗れるというのは本当に奇跡的なことだと思います。以前は料金が400円だったようで、その時代の硬券に「運賃変更」の印を押して今も使い続けていることから、それが決して簡単なことではないというのはよく見て取れます。
次の嘉瀬駅では、窓の外に何やらカラフルな列車が見えてきました。これは1997年にフジテレビ系「SMAP×SMAP」の企画でSMAPの香取慎吾さんが地元の子どもたちと一緒にペインティングをした「夢のキャンバス号」で、地元では通称”慎吾列車”と呼ばれているようです。屋根も特にないので雨風にさらされて車体が傷んでいましたが、20年後の2017年には「おじゃMAP!!」の企画で再び香取さんらが来訪し、塗り直しを行って今に至ります。今回は時間の関係で途中下車できませんが、また時間のある時に是非ともじっくり見たいと思います。
列車は引き続き、五所川原に向けて走り続けます。窓の外に見える景色は来る時のバスからの車窓と同じくひたすらに雪原が続きますが、やはりこちらの客車は相当古いということでわずかですが車内に雪が入り込んできます。ただストーブの目の前に座っているのであまり寒くは感じません。ダルマストーブ恐るべし。
「ストーブの前の席は譲り合ってご利用ください」的な注意書きもありますが、乗客はわずか5人だけですから、常に乗客全員がストーブのすぐ近くに座ることができます。
楽しい時間はあっという間に過ぎ、14:22に終点の津軽五所川原駅へと到着。降車するやいなや凄まじく冷たい風が我々を襲い、気温以上に寒く感じます。ホームに屋根はありますが、吹雪いているともはやそれが意味をなさない状況です(笑)。
到着後、前方に取り付けられていた普通列車はすぐに切り離され、構内で機回しを行い改めて津軽中里方に連結されたようです。名残惜しいですがホームにいるのは寒すぎるので、待合室へと向かいます。
五所川原駅では、JRと津軽鉄道の駅構内のみ共通ですが改札口は分けられています。中間改札がなく改札口がそれぞれ用意されているという駅は実は結構珍しいのでは…?という気がしました。
津軽鉄道の起点駅である津軽五所川原駅の駅舎内にもお土産物屋さんがあり、こちらでもさまざまなグッズ等を購入できます。駅舎の外に出ても寒いだけなので、次に乗車する列車までこの待合室で待つことにしました。
せっかくなので「石炭クッキー」(270円)を購入。ストーブ列車にちなんで、石炭をイメージした真っ黒なクッキーです。
開けてみると本当に真っ黒で、もしや津軽鉄道は本当に石炭を食用として売っているのか…!?とすら思ってしまいますが(そんなことあるわけない(笑))、この黒さの正体はブラックココアということで、一切人体に影響はございません(笑)。ちゃんと美味しいクッキーでしたよ~。
というわけで、今回は津軽鉄道の冬の風物詩「ストーブ列車」をご紹介しました。
列車の中でストーブを焚いて暖をとるという非日常体験はもちろんのこと、その客車の古さは鉄道ファンの方にとってもとても興味深いものがあると思います。是非一度、津軽鉄道に足を運んでみてください!!
▼ストーブ列車の最新情報はこちらからご確認ください。
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