わたかわ 鉄道&旅行ブログ

乗り鉄&旅好きの20代男子が全国を巡る!

(11)日本の原風景が今も残るローカル線「花輪線」で大館へ【最長片道切符の旅2021】[盛岡→弘前]

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みなさんこんにちは! わたかわです。

今回は最長片道切符の旅の6日目、中盤の花輪線の様子についてお話していきます。

 

2021年8月8日(日)6日目②

盛岡では美味しい冷麺とジェラートをいただき、しっかりとエネルギーチャージしたところで次なる列車へと乗車していきます。

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「JR」ではなく「IGR」

盛岡駅から乗車する列車が発車するホームはこちら。見上げると「IGRいわて銀河鉄道 盛岡駅」の文字が確認できます。そう、JRではなくここからは少しだけですが第三セクター鉄道に乗車していきます。

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IGRいわて銀河鉄道は元東北本線
Wikipediaの図を元に作成)

 

2002年の東北新幹線八戸開業に際し、それまでJR東北本線だった盛岡~八戸駅間のうち盛岡~目時駅間が「IGRいわて銀河鉄道」へと経営分離されました。一方で好摩大館駅間を結ぶJR花輪線好摩より先で全列車がJR東北本線を経由して盛岡まで乗り入れており、これは経営分離後の現在も継続されています。

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JRの列車だがIGRのホームから出発する

そしてJRの乗車券では、経路を指定する際に「特定の会社線の中から1社のみ」JR以外の会社線(私鉄・第三セクター)を経路に組み込むことができます。これは通過連絡運輸と呼ばれる取扱いで、どんな鉄道会社でも対応しているわけではないですが、今回はIGRいわて銀河鉄道の盛岡~好摩駅間をこの最長片道切符に組み込むことでJRだけのものよりも大きく距離を伸ばすことができ、これが他のどの会社線を組み込むよりも長くなるということで、このようなルートになっています。

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IGRのホームから発車するJR東日本のキハ110系

今回乗車するのは、盛岡12:37発の花輪線 大館行。JRの列車ですが盛岡を出てしばらくはIGRの線路を走るため、IGRのホームから発車します。特に地方に行くと、JRと他の会社線の列車が改札口を共用しているということも多いですが、ここ盛岡ではきっぱりと分かれているので注意しましょう。

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ボックスシートを確保

無事にボックスシートを確保し、定刻通りに盛岡を発車。2両編成のキハ110系はそこそこの混雑を見せており、中には旅行客もいるようでした。

列車は青山、厨川、巣子…とIGR線の各駅に停車していきながら、まずは好摩を目指します。この区間は「JRの車両がIGRに乗り入れている」だけなので、もちろんIGR線内のみの利用も可能です。かつての「本線」ということもあり線形は良く、快調に駆け抜けていきます。

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好摩から先はJRへ

盛岡を出てから25分、13:02に列車は好摩駅へと到着。どうやら今年で開業130周年とのことですが、そんな歴史ある駅からは線路が二手に分かれていき、この列車が進むのはもちろん「JR花輪線」です。会社が変わるとは言ってもとりわけ停車時間が長いわけでもなく、乗っている分には「途中駅の一つ」くらいにしか感じないでしょう。これをもって「JR以外の会社線」の区間が終わったということで、これ以降は最長片道切符ゴールの肥前山口まで一切の会社線を挟むことはできないということになります。

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岩手山

JRの区間に入ると、さっそく車窓左手には岩手山が見えてきます。標高2058mを誇る名峰で、周囲に高い山があまりないこともあって絵に描いたような三角形のフォルムが特徴的です。

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盛岡から1時間で安比高原

松尾八幡平駅を発車すると列車は急勾配をぐんぐん上っていき、盛岡から1時間ほどで列車は安比高原へと到着します。駅自体は無人駅ですが周辺にはスキー場やゴルフコース等があるリゾートエリアで、夏休みということもありかなりの数の観光客が下車していきました。一方おそらくレンタカーやマイカーで行かれる方はそれ以上に多く、本数が極めて少ない花輪線安比高原への主要アクセス手段とまではいかないのが現状でしょう。

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これぞ日本の原風景

その後もしばらくうねうねと山の中を進んでいきますが、八幡平駅を出た辺りから視界が再び開けてきます。線路の両側には田園風景が広がり、とりわけ何か有名なランドマークこそないものの非常にのどかな田舎の景色が広がっています。これぞ日本の原風景と呼ぶにふさわしく、まさに心が洗われるような思いがします。

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鹿角花輪で列車交換

盛岡を出てから約2時間、14:31に列車は鹿角花輪へと到着。ここでは盛岡行の列車と行き違いを行います。反対側の列車は大館を13:36に発車してきた盛岡行で、これを逃すと次に盛岡まで抜けられる列車は驚愕の4時間後となっています。朝晩の一部列車はこの鹿角花輪駅を始発・終着として運行されるものもあり、花輪線の運行上重要な役割を果たす駅ですが、それでも1日の平均乗車人員は200人程度とのことです。

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列車の進行方向が変わる十和田南

14:42には十和田南駅に到着。ここでは5分間の停車時間があり、この駅では列車の進行方向が変わります。実はかつてこの駅より北側にある小坂という街まで鉄道の延伸計画があり、十和田南駅はそれに合わせて小坂方面に線路を延伸しやすいようにこのような構造になったようですが、実際にはそのような鉄道が敷設されることはなく、十和田南駅がいびつな構造をしたままで止まってしまったということになっています。

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左右で高低差がある

十和田南駅のホームから列車の出発方向を見てみると、左右の線路でかなり高低差が生まれているのが分かります。向かって左が盛岡方面、右が大館方面ですが、盛岡方面からの列車はかなりの下り坂を下りてきてこの十和田南駅へと入線します。

また、ポイントの部分を見てみるといったん単線に集約されているので、1面2線のホームのどちらに両方面行の列車が入線しても問題はないように見えますが、実際は1番線が盛岡方面で2番線が大館方面という様に明確に決まっているようです。

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米代川

十和田南を出ると、車窓の右手側に米代川を眺めながら列車は進んでいきます。穏やかな川の流れとともに、夏らしいのどかな景色が続きます。

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奥羽本線を跨ぎ大館駅

そして列車はまもなく終点の大館駅へと入っていきます。漸近線のようにだんだんと奥羽本線に合流していく配線ではなく、いったん奥羽本線の線路を跨いだ後で急カーブを描きながら大館駅に入っていくという特殊な入線の仕方となっており、ちょうどこの後乗り換える奥羽本線の下り普通列車とジャストタイミングで交差しました。

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盛岡から3時間弱で走破

そして15:25にようやく列車は終点の大館駅へと到着です。盛岡から約2時間50分をかけてやってきたということになります。

花輪線には全国的な知名度を誇る観光名所というのもあまりなく、定期的な観光列車の運行があるわけでもないので、正直こういう機会でもないと乗る機会がなかったりするのですが、実際には素晴らしい景色が連続していてかなり充実した2時間50分だったなと思います。みなさんも北東北へお出かけの際は、名の知れた観光路線も良いかもしれませんが花輪線も是非乗ってみてください!

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わずか3分で接続

大館では3分の接続時間で、奥羽本線弘前行へと乗り換えます。やや慌ただしさはあるものの、先ほどの花輪線の列車からの対面ホーム乗り換えだったので特に間に合わないということはなく無事に乗り換えが完了。定刻通り大館駅を発車して終点の弘前へと向かいます。

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弘前に到着

列車は定刻通り16:11に終点の弘前へと到着。この先さらに奥羽本線を川部まで進み、その先は五能線に入っていくのが最長片道切符のルートとなっています。既に通った新青森駅を何とかして二度通らないよう、ギリギリを攻めるわけです。

当初の予定では、この6日目に関しては弘前で終了するつもりでした。この先五能線に進んでしまうと、沿線に大きな街もあまりなく、万が一途中で何かあった時のことを考えるとリスクがあると考えていたためです。

ただこの時、日本列島を台風9号が直撃しており、各地で猛烈な雨を降らせていました。東北地方に上陸の予報は出ていなかったものの、翌8月9日以降は温帯低気圧となって東北地方の天候も不安定になる予報が出ておりましたので、なるべくこの日のうちにルートを進めておきたいと思い、この後当日中に五能線を走破して秋田まで向かうことになります。

ただし長くなってしまうので、続きは次回ご紹介していきます。

本日も最後までお読みいただきありがとうございました。