わたかわ 鉄道&旅行ブログ

乗り鉄&旅好きの20代男子が全国を巡る!

【不自由席?】大みそかの全車指定席「のぞみ号」に立席乗車。乗ってみてわかったことは…

 

2023年12月31日(日)

2023年も残すところあとわずか、大みそかの朝にやってきたのは東海道新幹線横浜駅です。

私はこれから年跨ぎで関西方面へ旅行に出かけよう…と思っているのですが、実はここ最近諸々多忙な日々を送っておりまして、旅程を細部まで詰めることができずに旅行当日を迎えてしまいました。すなわち、旅行当日にもかかわらずまだ新幹線のきっぷを購入していないのです。

しかし本日は年末年始で大みそか帰省ラッシュはピークを迎えています。東海道新幹線の下りは〔のぞみ〕だけでなく〔ひかり〕〔こだま〕も含め普通車指定席は全て満席で、一部のグリーン車に「△」こそあれど「○」はどこにも見当たりません。

指定席に空きがない以上、ここは自由席で行くほかありません。最近はスマートEXを使うことも多いですが、今回は久々に紙のきっぷで乗ってみることにします。新横浜から新大阪までの新幹線自由席特急券と、横浜市内→大阪市内の片道乗車券が1枚のきっぷにまとめられた「一葉券」です。計13,540円となりました。

いつもなら「とりあえず目の前に来たのぞみ号の自由席にでも乗るか」となるところですが、今回はそうはいきません。各方面でも報道・発信されている通り、今年の年末年始(2023年12月28日~2024年1月4日)は東海道・山陽新幹線全ての〔のぞみ〕が全車指定席で運行されているのです。自由席特急券で乗車する場合であっても〔のぞみ〕の指定席車両のデッキに立って乗ることはできます(グリーン車を除く)が、席が空いていても座ることはできません。

〔ひかり〕〔こだま〕については普段通り自由席が設定されています。

しかしここは東京駅ではなく新横浜駅。東京駅・品川駅で既に大勢のお客さんをのせた新幹線がこのホームへと次々入線してきます。〔ひかり〕〔こだま〕でさえ指定席が軒並み完売するほどの混雑具合の中、果たして自由席に余裕があるなんてことがあり得るのでしょうか。

ホーム上は足の踏み場もないほどの混雑。中には比較的所要時間の短い〔ひかり〕もありますが、人間の考えることなどみな同じというもので、きっとそういう〔ひかり〕の自由席車両はデッキまで人が溢れんばかりの大混雑でしょう。自由席を連結した新幹線でさえ着席の可能性は絶望的であるとするならば、いっそのこと〔のぞみ〕のデッキに立席乗車するのが最も時間効率のよい選択肢であると考えました。

というわけで、9時13分発の〔のぞみ313号〕新大阪行へと乗車していきます。このわずか3分前にも新大阪行の〔のぞみ〕が運行されており、改めてこれほど壮絶な過密ダイヤに驚くばかりです。

行先表示器を確認、確かに1~3号車にも「指定席」と表示されています。

序盤に乗り込みデッキに滞留すると、後ろから乗車してくる指定席客の妨げになってしまいますので、乗り込む順番はなるべく後の方にするようにしました。

先行列車混雑の影響で1分ほど遅れつつも、無事に新横浜駅を発車。既に隣のホームには9時15分発〔こだま711号〕が入線しています。

さて、まず何よりも気になるのが「デッキ部分の混雑」ですが…。

何とこのスペースには、私一人しかいませんでした!

指定席を取れなかった乗客で溢れかえる光景も覚悟していましたが、これは杞憂に終わったようです。ここだけでなく、隣の号車のデッキスペース等を見ても概ね0~2人程度ずつです。

普段の時期であれば「全車指定席の新幹線に自由席特急券で立席乗車する」という発想はなかなかないものですが、今回はこれが可能である旨がJR東海より公式にアナウンスされていました。しかし「全車指定席」という言葉が独り歩きするあまり、この情報にたどり着けず〔ひかり〕〔こだま〕を選択した乗客も少なからずいると思われます。

かたや客室内ですが、もちろん文字通り通路側・B席も含め綺麗に満席。新幹線ですから座席の前後間隔こそ比較的ゆとりはありますが、それにしても荷棚がびっしりと埋まるほどの車内は着席できていても周囲に気を遣い、あまりゆっくりできないという人もいるかもしれません。

その点立席乗車なら、広いデッキスペースで体が凝ることもなく、ある程度広いスペースを利用できます。窓側の座席を取ることができなくても、三島駅を通過したら進行方向右側へ視線をやれば富士山が見えるはず…でしたが、本日は曇りのため残念ながら実写ではなく心の眼で見ることにします。

新幹線車内なので客室内と同様にフリーWi-Fiは利用可能ですが、デッキ部分にコンセントはありませんので、立席乗車を覚悟する場合はモバイルバッテリーが必須です。尤も、Wi-Fiに関してもこれほどの混雑であるならば常時アクセスが集中するような状態であり、高速・安定した利用は難しいというのが正直なところです。一度接続できても、その後頻繁に切断される…なんてことの繰り返しでした。

ちなみに立席乗車ができる号車についてですが、新横浜駅の電光掲示板では「1~3号車のデッキをご利用ください」と案内されていましたが、新横浜駅ホーム上では「グリーン車以外の全ての号車が利用可能」と案内されていました。おそらく後者の方がより現実に即した合理性の高い措置であるものと思われます。

静岡県西部に入ると、先ほどまでの曇り空が嘘のように晴れ渡りました。ずっと立っているので足は疲れますが、時折屈伸運動でもすればリフレッシュになり、またそうしたことができるくらいにはスペースにゆとりがあります。客室内のお客さんがごみを捨てに来ますので、ごみ箱の利用の妨げにならないよう配慮しながら過ごします。

10時33分、列車は定刻通り名古屋駅に到着。約1時間20分ぶりに外の空気を吸うことができます。

名古屋駅では降車・乗車とも多く、一定の割合の乗客が入れ替わる様子が確認できました。名古屋以西もそれほどぐっと空くわけではなく、やはり東海道新幹線の需要の高さはすさまじいものがあります。

名古屋を発車し、しばらく進むと列車は木曽三川木曽川長良川揖斐川)を渡ります。木曽川を渡る区間ではちょうど名神高速道路と並走しますが、新幹線の混雑とは対照的に名神高速の下り線はかなり空いているようでした。

なお指定席車両のデッキに立席乗車していても、乗務員の方からの検札は求められません。通常であれば全車指定席の列車のデッキに立ち客がいるという光景は異様ですが、先に示した通りのルールがJR東海より明文化されており、自動改札機に必ず特急券を投入しなければならない新幹線ならではと言えるかもしれません。

滋賀県を越え、やがてトンネルを抜けると立派な京都タワー京都駅ビルが見えてきました。

京都駅では、降車客こそ多いものの乗車客はほとんどいません。何せ次の新大阪が終点であり、かつ自由席がないため「京都~新大阪のみ気軽に利用する」という需要を拾いにくいのです。

京都駅を発車すると、やはり車内には若干の余裕が生まれます。しかし繰り返しになりますが、私のように自由席特急券で乗車している乗客は座れません。ここまでの長時間立席乗車からの疲れもあってか、「満席で座れない」よりも「空席があるのに座れない」の方がしんどいのは気のせいではないような気がします。

2023年の東海道新幹線といえば、やはりまず真っ先に挙げられるのは「車内チャイムの変更」です。20年間親しまれてきた「AMBITIOUS JAPAN!」から「会いにいこう」へと変更され、まさに私が今回乗車した列車も「会いにいこう」が流れるJR東海車でした。また、車内販売の廃止も衝撃が走った話題の一つです。特に「シンカンセンスゴイカタイアイス」サービス終了を悲しむ声は少なくありませんが、これも時代の流れなのでしょう。

11時24分、列車は定刻通り終点の新大阪駅に到着。画面の中にほんのわずかに見切れていますが、ちょうど20番線には500系こだま「ハローキティ新幹線」が停車しており、JR西日本エリアへとやってきたことを実感させてくれました。

全車指定席の〔のぞみ〕についての総括としては、個人的には悪くなかったように思います。事前の周知も概ね行き届いている印象で、私の見る限りでは車内で大きな混乱やトラブルが発生している様子はありませんでした。むしろ指定席目線でいくと、これまで1列車あたり10両分あった「普通車指定席」が13両分になり、単純計算で約1.3倍になったにもかかわらず、それでも軒並み満席になるというところに、まだまだ最繁忙期の東海道新幹線には着席需要があることを感じさせます。

今回の年末年始の様子を踏まえ、おそらくは今後ゴールデンウィークやお盆といった大型連休、ひいては三連休等のスムーズな利用に向けてさらなる検討が重ねられるものと思われます。

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。