わたかわ 鉄道&旅行ブログ

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【まさかのリバイバル運行】臨時特急谷川岳もぐら号に乗車[大宮→越後湯沢]

 

2023年7月9日(日)

本日は大宮駅へとやってきました。これより、国鉄特急車両185系を用いた臨時特急〔谷川岳もぐら号〕越後湯沢行に乗車していきます。

大宮駅7番線の発車標には、見慣れない「越後湯沢」の文字。新幹線の越後湯沢行であればここ大宮駅でも毎日見られますが、在来線のホームではそうそう見ることのできるものではありません。

使用される車両は、2021年まで特急〔踊り子〕として活躍した185系。今から40年以上前の1981年に伊豆方面へと向かう急行列車や普通列車としてデビューしました。東海道線方面の印象が強い車両ですが、その昔には〔谷川〕〔草津〕〔水上〕といった高崎線上越線方面の特急でも広く活躍していました。

2023年春のダイヤ改正以降、E257系リニューアル車両の運用範囲が広がったことで波動用車両に不足が生じ、急遽再登板の機会が増えた185系。かつて私の地元・横浜でも毎日見ていた車両と、またこうして出会えることを本当に嬉しく思います。

列車は6両編成で、全て普通車指定席。特急運用ということもあってか、各座席には白いヘッドカバーがかけられています。

10時37分、列車は定刻通りに大宮駅を発車。これから約3時間かけて越後湯沢へと向かいます。

大宮駅を出た時点での乗車率は7割程度で、そのほぼ全員が私を含め鉄道ファンです。指定席は1ヵ月前の時点でほぼ満席ですが、直前でもキャンセルは出るもので、実は私も運行当日の朝に発生したキャンセルを拾って窓側の指定席を抑えることができました。

鉄道ファンの方であればご存じの方も多いと思いますが、群馬県新潟県の県境付近”上越国境”を含む上越線渋川以北の区間では、現在定期特急列車の運行が行われていません。しかし越後湯沢の一つ先にある「石打」という駅まではB特急料金の設定があり、これによって大宮~越後湯沢駅間の在来線特急料金を2,290円(通常期)に抑えることができています。同区間営業キロは168.9キロですから、もしA特急料金が設定されていたとすると2,730円となり「新幹線の自由席特急料金(2,640円)よりも高い」という少々不思議な状況となります。

車内の広告は、特急〔踊り子〕として運用されていた当時から特に差し替えられておらず、直射日光等の影響か色あせてきています。右下には順に2100系「アルファ・リゾート21」、185系、251系が掲載されていますが、いずれも過去のものとなりました。

内装はデビュー当時からリニューアルが加えられ、座席はリクライニングシートとなっています。また背面テーブルもあり、一応特急としての体裁は整っています。ただし車内Wi-Fiやコンセントなどあるはずもなく、デジタルデトックスには効果的な車内環境です。

11時06分、列車は最初の停車駅である熊谷駅を発車。熊谷での乗降はほとんどありませんでした。

そこそこスピードは出ているものの、やはり臨時列車ということもあってか特急にしてはゆっくりのような気もします。

利根川の支流にあたる神流川・烏川を越えると、いよいよ群馬県です。熊谷~高崎駅間では特急〔あかぎ〕が途中の深谷・本庄・新町に停車しますが、〔谷川岳もぐら号〕はそれらの駅を全て通過します。

11時35分、列車は高崎駅に到着。大宮駅を出てから約1時間で群馬県ターミナル駅へと到着です。所要時間は特急〔草津・四万〕とほとんど遜色ありません。

主要駅ではありますが、停車時間はわずか。ここで高崎線は終わり、いよいよ上越線へと入っていきます。

高崎駅を出てしばらく進むと、右手には前橋市にある群馬県庁が見えます。高さ153メートルで、「日本一高い県庁」なのだそうです。

この付近では新前橋、渋川、沼田といった主要駅がありますが、〔谷川岳もぐら号〕は全て通過していきます。特に渋川駅を通過する旅客列車はかなり貴重なのではないでしょうか。

渋川の市街地を抜けると、いよいよ特急列車の定期運行がない区間へと入ります。途中の沼田市内はそれなりの市街地となっているものの、それ以外の区間利根川と並行する山あいの区間となります。

夏のはじまりを告げる、清々しい田園風景と青々とした空。こんな美しい車窓を、185系の車内から眺めることができるのは何と贅沢なことでしょうか。

12時26分頃、列車は水上駅へと到着。ここでは4分間ほど運転停車となり、ドアは開きません。

普通列車はここ水上駅を境に系統分断が行われており、青春18きっぷの旅では首都圏の車両から新潟地区の車両へがらりと雰囲気の変わる、いわば”分水嶺”のような場所です。そんな分水嶺である水上駅を、この〔谷川岳もぐら号〕は跨いで運行するどころか、ドアさえ開かない(=通過扱い)のです。

水上駅を発車し、しばらく進むと列車は長いトンネルへと入ります。その直前、右手には湯檜曽駅の上りホームを一瞬だけ確認することができます。

12時34分、湯檜曽駅に到着。下りホームはトンネルの中にあり、直射日光が当たることもなく屋外に比べ比較的涼しいです。

ここではドアが開き、列車は3分ほど停車します。駅の外までじっくり見て回ることは困難ですが、ちょっとホーム上へ出るくらいなら可能です。

湯檜曽での降車はほとんどなく、列車は次の土合へ向けて発車。長く真っ暗なトンネルの中を進む185系はまさに往年の夜行快速列車の雰囲気そのもの。約8年前に一度だけ「ムーンライトながら」へ乗車したことがありますが、その時のことを思い出します。

12時41分、列車は土合駅に到着。ここで列車は、何と30分間も停車します

土合駅群馬県の最北端にある駅で、一つ先の土樽駅新潟県内にあります。湯檜曽駅と同様に下りホームはトンネル内にあり、ここに185系が停車する光景はとても新鮮です。

トンネル内に設けられた下りホームの有効長は6両分で、ちょうどこの185系6両分がぴったり収まる長さです。

現在の下りホームは1面1線の構造で、30分間この列車は停車したまま。「後続の列車が通れなくなってしまって困るのでは…?」と思うかもしれませんが、幸か不幸かこの土合駅から発車する下り普通列車は1日5本のみ(このほか臨時普通列車が運行される場合もある)。次の土合発下り方面は13時41分発となりますので、特に支障はありません。

そして何といっても、この土合駅の特徴は「下りホームが地下深くにあること」。ホームから改札口までは計486段もの階段を上る必要があり、あまりの深さゆえ「日本一のモグラ」と呼ばれることがこの〔谷川岳もぐら〕という列車名の由来にもなっています。

せっかく30分間も停車時間がありますので、時間の許す限りでこの階段を上ってみることにします。ちなみにホーム上で写真撮影等を行っていたため、この時点で停車時間は残り約23分ほどとなっています。

階段はホームから一直線に伸びており、5段ごとに踊場のようなスペースがあります。ちょうどこの列車の到着時は多くの乗客が階段を上り下りしていますのでかなり人が多いですが、普段はがらんとした空間であるものと思われます。

階段の手すりのそばには、未舗装のスペースがあります。ここはエスカレーターの設置を見越してスペースが設けられているようですが、おそらく実現することはないでしょう。

気温こそ直射日光の当たる屋外に比べれば幾分和らいでいるものの、地下水のしみ出しているこのトンネル内では湿度が極めて高く、歩いているとどんどん汗が噴き出してきます。踊場ではところどころに休憩用のベンチが設けられていますが、休憩していると列車に乗り遅れてしまうので、休まずに上り続けます。はじめのうちは無事でも、次第に足がパンパンになっていきます。

そしてついに462段の階段を上りきり、改札口か…! と思いきや、扉には「後143メートル、24段」の文字が。「が ん ば っ て 下 さ い」の文字はもはや煽りにしか見えません。

こちらは通路が先ほどまでよりも狭いものの、既に地上と同じ高さには出てきており、窓の外からは太陽の光が差し込んできます。

そしてようやく…ようやく…改札口に到着!!!

自動改札機はなく、普段は無人駅です。首都圏から臨時列車が運行される場合は臨時で駅員さんが配置されることもあるようですが、本日は特にそういったことはなさそうでした。

駅舎は山小屋をイメージした形で、1968年に完成したものです。駅前には国道291号が走っており、これは一応群馬県前橋市新潟県柏崎市を結ぶということになっていますが、この上越国境を跨ぐ清水峠付近では車両の通行ができず、実質的に途中の区間が途切れた状態となっています。このためこの近くから自動車で新潟県側へ山越えをすることはできず、一般道の場合はここから10キロほど南西方向にある国道17号の新三国トンネルを経由する必要があります。

時間も限られているので、急いで階段を降り、ホームへと戻ってきました。通常であれば改札口から10分程度かかるとされていますので、土合駅を利用される際は時間に余裕をもって行動されることをおススメします。

近年では駅構内の施設・設備を再利用する動きも高まっています。ホーム上にある事務室跡地を利用してクラフトビールの熟成が行われているほか、喫茶「mogura」やグランピング施設「DOAI VILLAGE」がオープンするなど、観光集客力の高いコンテンツの数々に期待が高まります。

13時11分、列車は定刻通りに土合駅を発車。次なる停車駅はいよいよ終点の越後湯沢となります。

土合駅を出てからも10分間ほどトンネル区間が続きます。この間に県境を跨ぎ、いよいよ新潟県へと入ります。

ついに地上へと出てきたところで、列車は越後中里駅運転停車を挟みます。どうもこの運転停車は本来予定されていなかったものらしく、この先の区間で他の列車が小動物と衝突したために少し待機しているようでした。

5分ほど運転停車を挟み、列車は再び発車。窓の外には沿線に点在するスキー場の様子を見ることができます。夏のゲレンデってこんなにも青々としているんですね…。

 

その後も車窓には、ペンションやリゾートホテルらしき建物がいくつも見えます。185系がこの辺りまで乗り入れたことがどのくらいあるかは不明ですが、贅沢なリクライニングシートでこの車窓を眺めていると、まるで往年の特急〔とき〕にでも乗っているかのような雰囲気に浸ることができます。

13時45分頃、定刻よりも7分ほど遅れて終点の越後湯沢駅に到着。

大宮駅からの3時間以上に渡る在来線の旅、たっぷり満喫することができました。

越後湯沢駅では「回送」へと変える幕回しの間に、様々貴重な方向幕を見ることができました。上にあげたものはほんの一部ですが、どれも定期列車として現存しているものではなく、また昔ながらの国鉄フォントが懐かしさを誘います。

降車を確認した後、列車はいったん水上方へ回送されます。その後、上り特急〔谷川岳ループ号〕として15時19分に越後湯沢を発車し、大宮へと戻ることになっています。

思い付きで越後湯沢にやってきたので、特に観光等する予定もありませんでしたが、せっかくなので駅構内を散策。上越新幹線上越線北越急行ほくほく線の3路線が乗り入れる越後湯沢駅の改札外には広大な土産物エリアが広がっており、さらにその奥には商業施設「CoCoLo湯沢」が広がります。

せっかくなので、CoCoLo内にある「雪ん洞」で越後湯沢名物の「爆弾おにぎり」を食べていくことにしました。日曜日ということでそれなりに列ができていましたが、次々に流れていきすぐに注文することができました。

今回は「すじこ(880円)」をチョイス。味噌汁がついてきます。

南魚沼産のコシヒカリを贅沢に1合使用した爆弾おにぎりは、手で持って食べるのも一苦労。たいていは一口二口くらい頑張ってみるのですが、バランスを取るのが難しくすぐに箸へと切り替えます。これを見越してか、ちゃんと割り箸もつけてくれるので安心です。

すじこは生ものなので、基本的には持ち帰りよりもその場で食べていく人向けとなります。大きな口を開けて勢いよくかぶりつくと、中から鮮やかなすじこの粒がたくさん出てきて、とても幸せな気持ちになれました!!

そんなわけで、今回は185系を使用した臨時特急〔谷川岳もぐら号〕についてご紹介しました。

同様の列車は9月16日(土)・17日(日)にも予定されているようですので、気になる方は是非乗車してみてください!

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。