2023年5月5日(金)
本日は群馬県みどり市にある赤城駅へとやってきました。浅草からやってくる特急〔りょうもう〕の終着駅となっており、都心部でも時々見ることのある駅名です。
本日はこれから”富士山”へおでかけしていきたいと思います。
言わずと知れた日本最高峰の山、富士山の麓まで、実はここ赤城駅から鉄道1本で行くことができるのです。
乗車するのは、赤城11時57分発の上毛電気鉄道 西桐生行。700型という車両で、上毛電気鉄道では1998年にデビューしました。元は京王電鉄で「3000系」として活躍した車両で、そのデビューから数えると実に約60年にもなります。
車内にはロングシートが並び、最近の首都圏の通勤車両とは違った懐かしい雰囲気を感じます。
11時57分、列車は定刻通り赤城駅を発車。それにしても、上毛電気鉄道で行ける富士山とはいったい…?
上毛電気鉄道はSuica・PASMOをはじめとする交通系ICカードが利用できません。赤城駅から乗車する場合は券売機できっぷを購入すればOKですが、券売機のない駅から乗車する場合は乗車口にある機械から出てくる整理券を取って乗り込みましょう。
窓の外を見ると隣にも線路があり、一見すると複線のようにも見えますが、あちらは上毛電気鉄道ではなく東武桐生線。それぞれが単線ですが、両者は赤城駅を出ると桐生球場前駅付近まで並走します。
窓の外には赤城山麓の山々を一望でき、景色が素晴らしいことは確か。しかし富士山とは全く方向も異なり、日本一の山とはいえさすがに見えないのでは…と思うのですが…。
列車は天王宿駅を発車。すると運賃表には
「次は 富士山下」
の文字が表示されました。
…本当だ!!! 上毛電気鉄道で”富士山”に行くことができるんだ!!
富士山「下」ですから、きっと駅を降りれば目の前に"富士山"がそびえていることでしょう。
近頃の技術の発達は凄まじく、鉄道の高速化がどんどん進んでいることは知っています。しかしよもや群馬県から”富士山”までこんなにもあっという間に移動できる時代になっているとは知りませんでした…!!
12時04分、列車は富士山下駅に到着。
しかしここで、何だか様子がおかしいことに気づきます。
富士山といえば近年は外国人観光客にも人気の観光エリアで、ひとたび列車が到着すればきっと大勢の人が降りていくはず。しかしこの富士山下駅で降りたのは私一人だけでした。
そして駅名標を見ると…あれ、何だかいろいろとおかしくないですか?
そう、「ふじさんした」ではなく「ふじやました」になっています。
…まあ、外国人観光客の間では富士山のことを"FUJIYAMA"と呼ぶこともあるようですし、むしろそうした方々への配慮の表れか…? とも思いましたが、住所が「桐生市」となっておりその仮説は見事に打ち砕かれました。
たかだか7分ほど列車に乗っただけで、群馬県から山梨県まで移動などできるはずがなかったのです。
はい、というわけで茶番はこの辺にしまして、そろそろ真面目にお話しします(笑)。
赤城駅から列車に乗って約7分、到着したのは富士山下駅。もちろん群馬県内ですが、駅名に「富士山」という文字があることから、富士急行線の富士山駅と間違ってここへたどり着く観光客もいるとかいないとか言われております。
券売機も自動改札機もない無人駅。1面1線のホームへと上がるスロープのそばには、駅名の看板とともに「ここは群馬県桐生市です」とはっきり書かれています。
列車の本数は概ね30分に1本程度で、「中央前橋方面」の欄を見てみると親切にも赤城駅での東武特急〔りょうもう〕への接続案内まで記されています。間違ってもこの近くに「富士回遊」や「フジサン特急」等はやってこないみたいです。
ですが何ともややこしいことに、この駅のすぐ近くには”富士山”があります。富士山の麓にあるから「富士山下」という駅名であること自体は、実は何も間違ってはいません。
その”富士山”がこちら。
…ん? 雑木林か何か…? という感じですが、これこそが富士山下駅を出て目の前にある「富士山(ふじやま)」という山です。
駅を出て目の前には登山口があり、傍らには「富士山入口」という立札まであります。こう書かれていれば「富士山への入口」であることは明らかです。
せっかく来たことですし、登ってみることにしましょう。人生初の”富士登山”です。
登山道は舗装こそされていないものの、何となく階段状になっておりちょっとしたハイキング気分です。頂上付近の気温は山麓と変わりませんので、この季節なら防寒着はいりません。また登山のための特殊な装備等も特に不要です。
歩くこと約5分、ようやく山頂へ到着!!
山頂からの景色はご覧の通りで、周囲に高い建物もなく”ある程度”遠くまで見渡すことができます。
山頂には「富士山」「163m」と書かれた木札がそれぞれ括り付けられています。日本最高峰の富士山の23分の1ほどの高さです。
残念なことに、ゴールデンウィークにもかかわらず山麓から山頂に至るまで誰一人ともすれ違いませんでした。山頂付近にも誰もおらず、観光客は皆無のようです。
麓に降りてきまして、ここからは駅周辺を少し散策してみたいと思います。
駅のすぐ目の前に「冨士山食堂」という看板を見つけ近寄ってみましたが、こちらはどうやらもう閉店している模様です。
そのまたすぐ近くには「フジヤマ薬局」なる建物を発見。どうやらこちらは現在も営業している地域の薬局のようです。
そこからさらに車通りのある方向へ歩いていくと、徒歩数分で「三代目冨士山食堂」という看板が見えてきました。先ほど駅前で見た、古き良き個人経営の食堂とは異なりこちらは立派な看板を掲げたロードサイド店舗のように見えます。
せっかくなので、桐生名物のソースかつ丼(825円)を注文。ほかほかご飯の上にソースの染みたヒレかつが3枚のったシンプルな丼で、衣のサクサク感を残しつつもしっかりとソースとマッチしており大変美味しかったです!
そんなわけで、今回は「富士山駅」と間違えやすい「富士山下駅」およびその周辺のご紹介でした。
両毛地域へおでかけの際は是非立ち寄ってみてください!
今回も最後までお読みいただきありがとうございました。