わたかわ 鉄道&旅行ブログ

乗り鉄&旅好きの20代男子が全国を巡る!

【ナゼ】鉄道路線図のどこを探しても見つからない…「吉原中央駅」ってどこにあるの?

 

2023年1月22日(日)

今回は静岡県にあるJR東海道本線富士駅へとやってきました。

静岡県富士市は人口約24万人政令指定都市である浜松市静岡市に次いで県内第3位の人口を誇ります。

そんな富士市の代表駅である富士駅には、東海道本線のほか身延線が乗り入れます。開業は1909年と古く、現在もなお旅客・貨物の両方を扱うターミナル駅となっています。

1988年には、東海道新幹線の三島~静岡駅間に新富士が開業。在来線の富士駅よりも南側に位置し、〔こだま〕のみが停車します。富士駅からはやや離れているものの、両駅間には路線バスが多数運行されており、近くにはイオンタウンもある便利な駅です。

そんな富士市には、富士駅新富士駅とは異なる”もう一つのターミナル駅”があります。

それが「吉原中央駅」です。

富士駅北口にあるバスの路線図を見てみると、確かに「富士駅」「新富士駅」のほかに「吉原中央駅」の文字があります。しかも富士駅新富士駅よりも多くのバスが集まっており、これを見る限りにおいては「むしろ吉原中央駅が街の中心なのでは…?」と思えるほどです。

しかし、鉄道路線図を見てみても「吉原中央」という駅の存在を確認することはできません。「吉原」という地名は富士から見て東側にあるようで、東海道本線の「吉原駅」のほかにそこから分岐する岳南電車の「吉原本町駅」はあるものの、「吉原中央駅」の文字は見つかりそうで見つからないのです。

「『鉄道路線図に載っていない駅』っていったいどういうことだ…??」

そう考えた私は、とにかく行ってみることにしました。

鉄道では行けませんが、バスなら富士駅から多数運行されているようです。というわけで富士駅北口のバスロータリーでバスを待ちます。年季を感じるバスのりばです。

いよいよバスがやってきました。今回は富士駅前13時16分発の富士急静岡バス S222系統 茶の木平団地行へと乗車します。経由地には「中央病院」のほか、確かに「吉原中央駅」と表示されています。

多くの乗客をのせ、バスは定刻通りに富士駅前を発車。乗車にあたっては、全国相互利用の交通系ICカードも利用できます。

駅北口のロータリーを抜け、まずは駅前のアーケード街を進んでいきます。道路の交通量は少なくないものの、日曜日ということもあってかそれほど活気があるようには見えず、人口24万人の街の中心地であるとは考えにくいのが正直な感想です。

富士本町の交差点を右折し、東へ進んでいきます。駅前と比べるとところどころにロードサイド型の店舗があるようで、交通量がさらに増えた印象です。

富士市は、その名の通り富士山の山麓に位置する街。市内の至るところからその雄姿を望むことができ、バスの車内からも確かにその山頂付近を確認することができました。

ロゼシアター前で、大半の乗客が下車。こちらは「富士市文化会館ロゼシアター」と呼ばれる大きな施設があり、日曜日ということでここで何か催し物でも開かれていたのでしょう。時刻表上ではこの系統は「ロゼシアター入口」という少し離れたバス停に停車することになっていますが、この日は「ロゼシアター前」へと停車しました。

富士市立中央病院や富士市役所を経由し、いよいよ今回の目的地である「吉原中央駅」へ。バス車内の運賃表にもしっかりと「駅」まで表示されています。

富士駅前から20分ほどかけ、ようやく吉原中央駅へと到着。運賃は310円でした。

バスを降り、辺りを見回してみますがやはり鉄道路線らしきものは見当たりません。しかし目の前には確かに吉原中央「駅」が存在しています

もうお気づきでしょう。この吉原中央駅はあくまでもバスターミナル(自動車駅)で、実際に線路は敷かれておらず鉄道車両が姿を現すことはないのです。

ここが「駅」と呼ばれているのには、ズバリ国鉄時代に富士駅からの連絡切符を発売していたことに由来しています。しかし2015年に現在の”駅舎”へ建て替えられ、今では友人の発売窓口等はありません。かつては「吉原市駅」という名称でしたが、1966年に吉原市・富士市・鷹岡町が合併し新たな「富士市」となった際に現在の”駅名”へと変更されました。

乗り場は1番線から4番線まであり、その運行路線網は富士山麓エリアを広くカバーしています。多くの路線は「富士急静岡バス」ですが、一部には「富士市コミュニティバス」により運行されているものもあります。

富士市内(富士川以東)をきめ細かくカバーしており、富士宮駅まで乗り入れる路線も複数存在するほか、市内東部においては吉原駅東田子の浦駅方面へも多数運行されています。さらにその先の「東平沼」というバス停まで直通するバスも出ており、そこへ行くと沼津駅方面へ接続する路線バスもあるようです。かつては吉原中央駅から沼津方面へ直通するバスもあったようですが、現在は廃止されています。

なお、意外だったのは高速バスの発着がないこと。富士駅新富士駅・富士宮駅等にはそれぞれ東京や大阪といった都市圏からの高速バスの発着があるようですが、この吉原中央駅には1本も立ち寄りません。やってくるのはあくまでも市内を走る路線バス・コミュニティバスの類だけです。

吉原中央駅の周辺は富士駅前のようにアーケード街が続いており、ここをまっすぐ進んでいくと500メートルほどで岳南電車の「吉原本町駅」(これは本当の鉄道駅)にたどり着きます。この吉原中央駅・吉原本町駅の周辺がまさにかつての「吉原市」の中心だったということなのでしょうが、合併し「富士市吉原」となった今では富士市内に中心市街地がいくつも存在する不思議な状況になっています。

ちなみに富士市のご当地B級グルメ「つけナポリタン」は富士駅周辺よりも吉原中央駅周辺に多いようでしたので、今回初めていただきました!

 

みなさんも富士へお越しの際には、是非「吉原中央駅」を訪れてみてください。

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。