わたかわ 鉄道&旅行ブログ

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【豪華】東武の新型特急「スペーシアX」プレミアムシートで鬼怒川温泉へ!

 

2023年7月18日(火)

本日は東武鉄道浅草駅へとやってきました。

今年に入ってからは当ブログで東武鉄道の話題を取り上げる回数がかなり多いような気がしますが、その中でも今回ご紹介する列車はひときわ大きな注目を集めています。

首都圏の大手私鉄というとターミナル駅は渋谷・新宿・池袋等といった「JR線接続駅」であることが多いですが、ここ浅草駅にJRは乗り入れていません。日光・鬼怒川・会津・両毛方面へと向かう特急列車のターミナルになっています。

首都圏で最も広域な路線網を擁する東武鉄道では、これまでの歴史の中で実に様々な特急車両が運行されてきました。今回はそんな東武の歴史に新たな1ページを刻むことになるであろう新型特急「スペーシアX」に乗車していきます!!

浅草駅はこれまで2面4線の頭端式構造で、1・2番線が普通列車、3・4番線が特急列車のホームとなっていました。今回、その4番線の隣にスペーシアX用のホームとして「5番線」が設けられ、スペーシアXに乗車する際はこのホームから乗り込むことになります。4番線と5番線は同一の線路を使用しているので、一度に駅に入線できる列車の本数が増えたわけではないのですが、スペーシアXが他の特急列車とは一線を画す立ち位置であることを実感します。

今回私が乗車するのは浅草14時00分発の特急〔スペーシアX7号〕鬼怒川温泉です。発車案内を見てもお分かりの通り、列車名そのものが「スペーシアX」となっています

東武では1990年より今日に至るまで長らく日光・鬼怒川方面の主力特急車両として初代「スペーシア」が運行されています。しかし実際に運行される際の列車名は、日光方面であれば〔けごん〕、鬼怒川方面であれば〔きぬ〕と案内され、「スペーシア」はあくまでも車両の愛称に留まっています(東武日光駅鬼怒川温泉駅等では「スペーシアけごん」「スペーシアきぬ」と案内される場合もある)。

運行区間は浅草~東武日光鬼怒川温泉駅間で、停車駅と曜日ごとの運行本数は上図の通り。本日は火曜日ですので、東武日光発着・鬼怒川温泉発着それぞれ1往復ずつの日となります。途中停車駅や所要時間については、他の〔スペーシア〕や〔リバティ〕と特に変わりません。

13時45分頃、ゆっくりと列車が入線。「N100系」という形式で、従来のスペーシア100系」を踏襲したものと思われます。白を基調とした車体で、シャープな顔つきはJR西日本の681・683系やJR九州885系にも似ている気がします。

本日は運行開始4日目。三連休明けで初の平日ですが、ホーム上には多くの鉄道ファンが集まっています。

列車は13時45分に東武日光からの〔スペーシアX4号〕として入線したのち、5番線側で乗客の降車を行い、車内清掃を行って14時00分には折り返し〔スペーシアX7号〕鬼怒川温泉行の運用に入ることになります。その間わずか15分とかなり短いものですが、線路の数が限られている浅草駅ですから仕方ありません。

浅草駅ホーム前寄りは大きくカーブしているため、乗降口には渡し板が設置されます。清掃作業が行われている間も渡し板はかけられたままですが、乗車開始の案内があるまでは乗車位置ステッカーに並んで待ちます。

また、側面の行先表示器の情報量が多いことでもデビュー前から話題になっていました。大きなフルカラーのディスプレイには、列車名・号数・行先のみならず、号車番号・設備・停車駅・車内の様子を示す画像までもが同時に表示されるようになっており、これまでの行先表示器の概念を覆すものとなっています。遠くから見た際の視認性…という面ではやや課題が残るかもしれませんが、慣れれば案外そうでもないのかもしれません。

発車の約2分前にようやく乗車開始。やはり清掃時間はシビアに設定されているようです。

列車は6両編成で、前から順に1、2、3…6号車となっています。今回は2号車の「プレミアムシート」に乗車していきます!!

スペーシアXには、様々なタイプの座席があることでも話題となっています。最も座席数が多いのは3~5号車の「スタンダードシート」で、文字通りスペーシアXの標準的な座席です。JRの特急でいうところの「普通車」にあたり、スペーシアXの編成内で最も安く利用できる座席でもあります。

今回私が利用する「プレミアムシート」は2号車にあり、JRの特急で言うところの「グリーン車」に相当するものになります。「スタンダードシート」の特急料金にほんの数百円程度の加算で利用できます。

5号車の一部には「ボックスシート」があり、完全な個室ではないもののプライベート空間を作り出すことができます。また6号車には従来のスペーシアの意志を継ぐ「コンパートメント」もあり、こちらは完全個室になっています。

さらに、東武日光鬼怒川温泉方面での先頭にあたる1号車には「コックピットラウンジ」があります。こちらはソファーとテーブルが配置された落ち着きのある空間で、列車内とは思えません。1人あたり+200円から利用できるのも驚きです。

そして6号車の車端部には、最上級客室「コックピットスイート」が1部屋のみ設置されています。7名用の広々とした個室で、追加料金は12,180円ほど。ただし定員で利用すると1,740円/人(12,180円÷7人)となり、実はコンパートメント(6,040円÷4人=1,510円/人)とさほど大差はありません。

今回私の利用する「プレミアムシート」は3列シートになっており、スタンダードシート(4列)と比べるとゆとりがあります。また各座席の後方にはバックシェルが備わっており、リクライニングをしても後ろの座席に影響がないようになっています。このバックシェルの部分には荷物を掛けられるフックが2つもついており、さらに壁にもフックがあるため1席あたり合計3つものフックを利用することができます。

ロゴ入りのヘッドレストは可動式になっており、上下に動かすことができます。またその横には読書灯もあり、オンオフのみならず角度も調整することができます。

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14時00分、列車は定刻通りに浅草駅を発車。この先とうきょうスカイツリー、北千住、春日部、栃木、新鹿沼下今市東武ワールドスクウェア終点鬼怒川温泉の順に停車していきます。浅草~とうきょうスカイツリー駅間は距離が非常に短いため、とうきょうスカイツリー到着直前で初めて車内アナウンスとチャイムを聴くことができました。

浅草駅を発車した時点でのプレミアムシート乗車率は6~7割程度。残りの空席は北千住駅にてほぼ埋まるものと思われます。全身を包み込むような形状のシートは、周囲の目をさほど気にすることなくくつろぐことができ、まさにプレミアムです。

ひじ掛けにはリクライニングと読書灯の操作パネルがあります。リクライニングはボタンを押している間だけ背もたれが動き、それと同時に座面も良い感じの位置に調整されるようになっています。

もう片方のひじ掛けにはドリンクホルダーがあり、その下にはコンセントが完備されています。また、もちろんですが車内では東武鉄道のフリーWi-Fiも利用でき、インターネットには困りません。

一方で少し残念な点として、プレミアムシートには背面テーブルがありません。ひじ掛けから取り出すことのできる二つ折りのインアームテーブルがあるので簡単な食事をとる分には困りませんが、あまり不安定なものや重いものは置けなさそうです。観光特急なのでそもそも車内でノートパソコンを開いたりするようなビジネスユースはあまり考慮されていないでしょうし、何よりプレミアムシートゆえ座席の前後間隔が大変広いため、ここに無理やり背面テーブルを取り付けたとしても座面から遠すぎて使いにくいとうことなのかもしれません。

浅草~鬼怒川温泉駅間の特急料金ですが、プレミアムシートの場合は2,520円となります。3列シートですが、座席番号は左から順にA・B・Dとなっており、1人席はC席ではなくD席となるので、C席は欠けた状態になっています。

14時12分、列車は北千住駅を発車。ところどころあった空席もここでほぼ全て埋まり、プレミアムシートは概ね満席となりました。浅草駅発車前の時点でも車内アナウンスにて「本日この列車はほぼ満席」と案内されていたので、デビュー直後は平日であってもかなり混雑していたようです。

 

列車は複々線区間を走行していきます。当然ながら東武スカイツリーラインなので、日比谷線等の地下鉄車両ともすれ違います。スペーシアXの車内と地下鉄車両の車内ではあまりにも空間に違いがありすぎて、果てしない優越感に浸ることができます。

座席前方のポケットには、2種類のパンフレットが収納されています。右側は車内のご案内で、各車両にどのような座席や設備があるか詳しく記載されています。

そして左側はカフェの利用方法についてです。1号車には「GOEN CAFÉ SPACIA X」というカフェがあり、車内で簡単なスイーツや飲み物をいただくことができます。ただしカフェの利用にあたってはオンライン整理券の発行が必要で、パンフレット右上にある二次元コードを読み取り取得する必要があるのです。浅草駅発車時点ではまだオンライン整理券の配布は始まっておらず、車内アナウンスでは「春日部駅を出てから」とのことでした。

14時32分、列車は春日部駅に到着。ここでは例によって、2号車と5号車のドアのみが開きます。

客室内ドア上部には大きなディスプレイが設置され、停車駅や車内のご案内のほかに何と前面展望が放映されることもあります。

春日部駅停車中にスマホを操作してみると、オンライン整理券の配布が開始されていたことが判明! スマホの画面上では「整理券の”注文”」という表現が用いられますが、金額のところを見てみると「¥0」になっており、整理券の発行自体は無料です。受け取り時間は10分刻みで設定されており、私が操作した時点では「15:00~15:10」と「15:10~15:20」の欄にまだ余裕があるようでした。

オンライン整理券の発行が完了すると画面上に二次元コードが表示されるので、時間になったら1号車へ移動し、スタッフの方にこの二次元コードを提示して注文することになります。実際の商品の注文は1号車にて口頭で伝える形ですが、このオンラインシステムがあればゆくゆくは商品を画面上から注文・決済することも可能になったりするのではないかという気がします。

列車は春日部駅を発車。一つ先の北春日部駅を出た先には車両基地があり、ここには様々な特急車両も留置されています。その中には、何ともう1編成の「スペーシアX」の姿もありました!! 東武日光発着が1日3往復ある日は2編成体制での運行ですが、本日はそうではないので乗車中の1編成のみで回るようになっています。

新旧スペーシア車両基地で揃い踏みするほんの一瞬の車窓でしたが、胸が高鳴りました。

東武動物公園駅をゆっくりと通過し、東武日光線へと入ります。春日部駅を発車して約15分後の14時48分頃には、車内アナウンスにて「オンライン整理券配布終了」の案内がありました。

栗橋駅には、JR・東武直通特急が使用する接続線があります。スペーシアXは当面の間東武線内のみでの運用予定となっていますが、将来的には先代のスペーシアのようにJRへの直通運転も行われるのでしょうか…。しかしもしそうなれば、座席種別が豊富過ぎるあまり、マルスで対応できるのかという新たな問題も生まれそうです。

ここでついに「GOEN CAFÉ SPACIA X」を利用できる順番が来たので、1号車へ。

プレミアムシートは2号車なので、カフェへの移動はらくらくです。

カフェ車両の入口ではスタッフの方が受付を行っており、まずここでスマホの画面を提示しオンライン整理券発行済みであることを確認します。その上でカフェカウンターにて商品を口頭で注文し、改めてオンライン整理券の画面上にある二次元コードをカウンターの端末にかざすことで注文が受け付けられます。決済方法は「クレジットカード」か「交通系ICカード」のみで、現金をはじめその他の決済方法は利用できません。

注文した商品は、自席に持ち帰りいただきます。カフェ車両には飲食可能なスペース等はありません。

注文したのは、「日光珈琲(シーズナルブレンド/ホット)」(550円)と「酒粕のバターサンド」(350円)です。バターサンドはほんのりお酒の風味のするクリームがサンドされており、バターやビスケットの甘みととてもよく合います。またコーヒーはとても飲みやすい味わいで、豊かな香りを楽しむことができます。

車窓は次第に緑が豊かになってきました。2号車の大きな窓に映し出される車窓はとても美しく、プレミアムシートのモケットの色とよく合います。

ここで少しばかり、車内を探検してみます。

デッキ部分には、客室ドア上部と同じく大きなディスプレイが設置されています。全車指定席で自由席はありませんので、デッキに長時間留まる乗客というのはそういないはずですが、それでもこうした設備がデッキにもあるというのは驚きました。

また同じく、デッキ部分にはロック付きの荷物置き場があります。日光・鬼怒川方面への観光客を運ぶわけですから、大きな荷物を抱えた外国人観光客の利用ニーズも大変高くなることが予想されます。セキュリティも万全で、これなら安心して使えそうです。

また「スタンダードシート」ですが、こちらは2+2の4列配置となっています。座席の形状や大きさは他の特急車両とさほど変わらないように思いますが、それでも十分快適そうです。何よりも驚いたことに、何とこちらスタンダードシートには背面テーブルの設置があります。「何が何でも背面テーブルがほしい!」という場合には、スタンダードシートの利用が良さそうです。

他にももちろん様々な座席があるわけですが、そちらについては対象の追加料金を支払っていないので今回覗くのはやめておきます。またの機会に他の設備も利用できればと思います。

15時40分、列車は下今市駅に到着。ここではちょうど、鬼怒川温泉からやってくる上り〔SL大樹6号〕と列車交換を行ってからの発車となり、スペーシアXは5分ほど停車します。

15時45分に下今市駅を発車し、列車は東武鬼怒川線へと入ります。

車内アナウンスでは、到着地である鬼怒川温泉の天候や気温といった情報も案内され、まるで飛行機にでも乗っているかのような気分になります。

新高徳駅では対向の普通列車と行き違い。鬼怒川線は単線のため、このような運行上のちょっとした工夫が必要だったりします。

16時03分、列車は終点の鬼怒川温泉駅へと到着。浅草駅から約2時間の旅は本当にあっという間でした。

号車によって窓の形は異なり、中には「X」の文字をかたどった六角形の窓まで。こんな宇宙船のような近未来的車両が鬼怒川温泉駅に停車しているのは何だか不思議な感覚です。

この後この車両は、鬼怒川温泉16時37分発の上り〔スペーシアX8号〕として浅草を目指し走り抜けていきます。

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。