2023年3月23日(木)
今回は長野駅へとやってきました。これから新幹線に乗って東京へ移動していきます。
長野オリンピックを翌年に控えた1997年、長野新幹線が高崎~長野駅間で開業。その後約18年間に渡りここは新幹線の終着駅でしたが、2015年に北陸新幹線が長野~金沢駅間で開業したことで現在は途中駅となっています。
乗車するのは、長野9時26分発の〔あさま612号〕東京行。〔あさま〕は1997年の新幹線開業時より運行されており、それ以前は上野~長野駅間を結ぶ在来線特急の名称として長く使用されてきました。
ホームに降りると、既に列車は停車中。〔かがやき〕〔はくたか〕が金沢始発でやってくるのに対し、〔あさま〕は長野始発なので停車時間には比較的余裕があります。上りホームは13・14番線ですが、上り〔あさま〕は11番線から発車することがあるので注意しましょう。
北陸新幹線は12両編成で、このうち11号車がグリーン車、12号車がグランクラス、そのほかは全て普通車です。各駅停車タイプである〔あさま〕は自由席が比較的多めに設定されており、1~5号車が自由席、6~9号車が指定席となります(一部例外あり)。
今回利用するのは、普通車指定席の「9号車」。この車両、実は他の指定席とはちょっと違う特徴があるのです。
その名も「TRAIN DESK」。
これはかつて設定されていた「新幹線オフィス車両」の制度がリニューアルされたもので、上越・北陸新幹線の9号車が指定席として運用されている場合に「普通車指定席」でありながら車内での通話・リモート会議等が可能な車両となっているのです。
とはいえ車内を見渡してみても、特に他の指定席車両と何ら仕様に違いはなさそうです。この車両が「TRAIN DESK」である旨を知らせるステッカー等もありません。
列車は定刻通り、9時26分に長野駅を発車。この先上田、佐久平、軽井沢、安中榛名、高崎、熊谷、大宮、上野と停車して終点東京に至ります。
長野を出る時点で、9号車の乗客は私の他に1名のみ。乗車するやいなやすぐにパソコンを開き、何らかの作業をされていました。他の指定席車両と見比べてみると、車内は明らかに空いています。
なおこの「TRAIN DESK」ですが、購入のフローは一般的な新幹線の特急券等と変わりません。今回は新幹線eチケットを利用しましたので、えきねっとの画面をキャプチャしたものを用いて簡単にご説明いたします。
まずは「えきねっと」にログインし、乗車駅・降車駅等の必要事項を入力。列車ごとに空席状況が表示されますが、座席の種類を選ぶ際に単なる「指定席」ではなくその下の「指定席 TRAIN DESK」と表示されている方を選択します。
金額は他の「普通車指定席」と変わりません。「トクだ値」の設定がある場合もあります。今回は運良く「トクだ値10%OFF」に残席がありましたので、こちらを選択しました。
次の画面に進む前に、「『TRAIN DESK』ご利用に関するご案内」と書かれたページが出ます。「車内で仕事・勉強等をされるお客さま優先の普通車指定席」という位置づけで、これをしっかりと理解した上で予約を進められるようになっています。
座席位置の選択画面に進むと、6~10号車全てに「指」のマークがありますが、「TRAIN DESK」として発売されている9号車以外については選択ができないようになっています。便宜上「残席×」となっていますがもちろん満席なわけではなく6~8・10号車には「TRAIN DESK」として発売できる座席がないというだけの意味です。
TRAIN DESKであっても、他の車両と同様に車内での飲食は可能です。
ちょうど長野駅で乗車前に購入したかぼちゃのおやきをいただきます。ほんのり温かく、とっても美味しいです。
すぐに列車は一つ隣の上田駅へ到着。9号車には2名ほど乗車がありました。
ちょうど私自身もブログの執筆を進めたいと思っていたところでしたので、しばらく作業をすることにします。
上越・北陸新幹線に使用されるE7系・W7系では全席にコンセントが完備されています。また車内ではWi-Fi環境も整っていますが、これらはいずれも「TRAIN DESK」に限った話ではありません。普通車の他の号車と比べ「明確なサービスの違い」は一切ありません。
では乗車していて一番の違いは何かというと、とにかく「車内が静か」という点です。
TRAIN DESKの車内では、大前提として「静かに過ごす」ことが求められます。先ほどご覧に入れた通り、えきねっとの予約画面においてもそうした注意事項の案内があるわけで、他の指定席車両とは予約の段階で「別の座席種類」として扱われているので、わざわざこの号車を選択しない限りは選べないようになっているのです。みどりの窓口や指定席券売機で予約・購入する際にも単に「指定席」とオーダーするだけでは9号車以外の車両から座席の指定が行われるはずで、あえて「TRAIN DESK」をオーダーしない限りこの号車へ割り当てられることはありません。東海道・山陽新幹線の「特大荷物スペース付座席」の発売フローとよく似ています。
そして平日ということもあってか、乗客はビジネス客が大半を占めています。佐久平駅・軽井沢駅からも数名程度ずつ乗車があり、静かに作業をされる方もいればリモート会議や通話を行う乗客も複数名いました。客室内での通話等は一般的な車両であれば顰蹙をかいますが、この号車内ではむしろそれが本来の使い方であり、おそらくリモート会議等があるためわざわざ「TRAIN DESK」を指定して予約・購入されたのでしょう。
高崎駅からはかなり多くのお客さんがこの9号車へと乗られてきました。高崎ともなるともう終点の東京まではあと1時間弱ですから、なかなかリモート会議や大がかりな作業に取り組むのは難しい気がしますが、お客さんの格好を見るにやはりビジネスの方が多そうです。
ともあれ、車内が混雑したり騒がしくなったりすることはありませんので、座席等級は「普通車」ながら車内の客層は「グリーン車」という感じがします。
あまりにも車内が静かすぎるのでウトウトしてしまっていましたが、気づけば列車は東京都内へ。終点東京はもうすぐです。
なお「リモート会議や通話の声が気になるのでは?」と疑問に思う方もいらっしゃるかもしれませんが、少なくとも私が乗車した際にはそれほど気になりませんでした。よーく耳を澄ますとどこかの座席でひそひそ声で会議をしている…という程度です。
11時12分、東京駅に到着。列車はすぐに折り返し11時24分発の〔はくたか561号〕金沢行となります。
〔あさま〕は北陸新幹線で最も停車駅の多い種別ですので、長野~東京間の移動となると通常はそれよりも速い〔かがやき〕〔はくたか〕が好まれる傾向にあるでしょう。しかし乗車時間が長い分、車内でゆっくり落ち着いて仕事ができるという点においても〔あさま〕のTRAIN DESKは需要がある気がします。
なお対象列車は〔はやぶさ〕〔はやて〕〔やまびこ〕〔なすの〕〔かがやき〕〔はくたか〕〔あさま〕ですが、一部の〔なすの〕等にあるような普通車全車自由席として運行される場合には「TRAIN DESK」のルールは適用されません。
また平日限定ですので、土休日や最繁忙期は他の指定席と同じルールでの発売となります。
詳しくはJR東日本の「TRAIN DESK」ページもご覧ください。
今回も最後までお読みいただきありがとうございました。