わたかわ 鉄道&旅行ブログ

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【平日限定】臨時特急「信州」運行開始。乗車率やいかに…?

 

2023年3月23日(木)

おはようございます。今朝は長野県の塩尻駅へとやってきました。

塩尻駅中央本線篠ノ井線の2路線が乗り入れており、中央本線はちょうどここを境に東京方面がJR東日本中央東線)、名古屋方面がJR東海中央西線)となっています。

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2021年の最長片道切符の旅の際には、中央西線が豪雨災害の影響で不通となっており、この塩尻の駅前から列車代行バスに乗り込んだのをよく覚えています。

今回乗車するのは、塩尻7時37分発の特急〔信州1号〕長野行です。塩尻駅4番線から発車します。

余談ですが「長野」と「辰野」って似てますね…乗り間違いには注意しましょう。

特急〔信州〕は、2023年3月のダイヤ改正より新たに設定された臨時列車。当面の間は「平日のみ運行」の臨時特急列車として塩尻長野駅間を結びます(上りは松本止まり)。

実は同区間では、かつて国鉄型特急車両189系を使用した平日限定の定期快速列車〔おはようライナー〕が運行されていました。乗車券のほかに別途310円の乗車整理券を購入することで乗車でき、特急〔しなの〕の運行がない朝方の通勤客輸送に貢献していました。

しかし車両の老朽化等もあり〔おはようライナー〕は2019年春のダイヤ改正で引退。以降約4年間に渡り、塩尻長野駅間の早朝の着席ニーズに応える列車は運行されていませんでした。

そしてこの度、ついに塩尻長野駅間で着席通勤サービスが復活。車両は中央東線特急〔あずさ〕〔かいじ〕〔富士回遊〕等で活躍するE353系に変わりました。ただし付属編成(3両)のみでの運行となり、グリーン車の設定はありません。

車両は数十年レベルで新しくなり、快速から特急へ格上げされたことで追加料金も上がったものの、長野県内での平日着席通勤ニーズに応える列車が復活したことは鉄道ファンとして非常に喜ばしいことです。

車両側面の行先表示器は、号車番号と「特急」の文字のみの表記。せっかくならば列車名や行先も表示してほしいところですが、かつて存在した河口湖発着のN'EXのように後々表示がなされるようになる可能性もありますので、今後に期待したいところです。

塩尻駅のホーム足元には「臨時特急 信州」と書かれた真新しい乗車位置案内ステッカーを確認することができました。繰り返しますがあくまでも「臨時列車」、ただし当面の間平日はほぼ毎日運行されるようです。

列車は長野方面(先頭)から順に3号車、2号車、一番後ろ(塩尻方面)が1号車となります。

このうち指定席は2号車のみで、1・3号車は自由席となっています。

E353系は基本的に〔あずさ〕〔かいじ〕等で全車指定席(座席未指定券で指定席の空席を利用可能)で運行されることを想定して設計されており、座席頭上には空席状況を示す3色のランプがついています。しかし〔信州〕での運行の際には指定席・自由席とも全て赤色のランプ(=着席可能)となっていました。誰が途中で乗ろうと降りようと、ランプは全て塩尻から長野まで赤いままです。

いざ乗り込み、列車は定刻通り7時37分に塩尻駅を発車。この時点ではまだ編成全体合わせての乗客数は片手で数えられるほどしかいません。

客室の出入口付近にあるディスプレイは正しく稼働しています。E353系が定期運用で長野駅まで乗り入れることはありませんから、このディスプレイに「長野」の文字が出ているのも何だかとても不思議な感覚です。

今回は初乗車ということで、列車名を手元に残しておきたかったので指定席を利用。特急料金はA特急料金が適用され、さらに春休みということで平日にもかかわらず繁忙期にあたるため+200円となり1,930円でした(100キロまで)。おはようライナー時代から比べると5~6倍ほどの値上げとなり、また同じ車両を用いて現在運行されている〔あずさ〕〔かいじ〕等と比べても2倍近い強気の価格設定です。

最初の途中停車駅、松本駅には7時48分に到着。ここでは約6分間停車します。

始発駅の塩尻と比べると非常に大きな駅で、松本市は長野県中部の中心都市となっています。

その規模の大きさに違わず、松本からはそこそこ多くのお客さんが乗り込む様子も見られました。中にはスーツ姿のビジネス客もおり、運行開始3日目にして早くも認知されているのはとても嬉しいことです。

松本駅では特急〔信州1号〕が発車した後、同じホームから8時10分発の〔あずさ12号〕東京行が発車します。ホーム上ではこの列車(特急〔信州〕)が東京行のあずさ号ではない旨の注意喚起の放送が繰り返し流れていました。乗り間違えたら全く異なる方向へ連れていかれますからね…。

7時54分、列車は定刻通りに松本駅を発車。ちょうど車窓左側では9両編成のE353系回送列車が走っており、ほんの短い時間ですがE353系うしの並走を楽しむことができました。

指定席の乗客は合計10名ほどまで増えましたが、一方で自由席は相変わらずガラガラのようです。

列車は犀川の流れに沿って走ります。遠くの方には日本アルプスの山々も見え、同じE353系を用いた着席サービス列車といえど首都圏の〔はちおうじ〕〔おうめ〕とは大きく異なる車窓を私たちに見せてくれています。

8時07分、列車はがんか…ではなく明科駅へ到着。ここからも若干名の乗車がありました。

明科駅は一部の〔しなの〕も停車する主要駅です。塩尻付近からずっと続いてきた平野部はここで終わりを告げ、明科駅を出ると山あいを貫くトンネルが続きます。

次の西条駅では5分間ほど運転停車。〔しなの4号〕名古屋行との行き違いを行います。

長野市」と「松本市」という県内2大都市を結ぶ篠ノ井線ですが、実はその多くの区間が単線になっています。その上で〔しなの〕は1時間に上下1本ずつが運行されており、そのほかに普通列車もありますので、今回のようにさらに臨時列車を増やすとなるとダイヤ上の制約が大きいのは致し方ないところでしょう。

そしてやはり見逃せないのが、姨捨駅付近を通過する際に見ることのできる「善光寺」の眺め。E353系の車内から眺めるのはとても新鮮ですし、通勤途中であることを思わず忘れてしまいそうです。

しなの鉄道と合流し、8時48分に篠ノ井駅へと到着。ここを出ると次は終点の長野です。

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篠ノ井長野駅間は正確に言うと「信越本線」の一部になっています。しかし1997年の長野新幹線開業により篠ノ井以南が経営分離され、さらに2015年の北陸新幹線金沢開業の際に長野以北も経営分離をされたことから、その間にある「篠ノ井長野駅間」は信越本線のまま取り残されています。

8時59分、列車は終点の長野駅に到着。塩尻駅から1時間22分、松本駅から1時間5分での到着です。

ちょうど隣には新幹線ホームがあり、北陸新幹線の車両と隣り合わせの状態に。

E353系の主な運行区間としては新宿~松本駅間ですから新幹線車両と並ぶことはなく、また東京駅へも乗り入れますが、中央線ホームは新幹線ホームから大きく離れているため同じ画角に収まることはまずありません。

そんなことはさておき、時計を見てみると既に時刻は午前9時を過ぎています。これでは長野市内にあるオフィスの出社時刻(9時までと仮定)には間に合いそうもありません。

今回全区間乗車してみましたが、残念ながらどこをどう切り取っても「多くの乗客で賑わっている」とは言い難い状況にありました。

もちろん運行開始後まだ間もない中ですから、今後緩やかに広く周知され、利用者数は増えていく可能性もあります。しかし今現在はあくまでも「臨時列車」として設定されている段階ですから、いつ設定が取り消しになってもおかしくはないわけです。

そこで僭越ながら、〔信州〕を今後どうしていけばよいかをいち鉄道ファンとして考察してみたいと思います。もちろん満遍なく知識や見識があるわけではございませんので、的外れな考えも混在することをご容赦ください。

 

①使用車両・編成について
これは基本的に現状維持(E353系3両のまま)でよいという感じがしました。各座席にコンセントがあり、フリーWi-Fiもしっかりと使える環境ですからむしろ通勤客にとってはもってこいの環境です。特段グリーン車を連結する必要性に迫られているわけでもないでしょう。

 

②指定席・自由席について
現在は指定席1両・自由席2両で、指定席が自由席と自由席の間に挟まれているという稀な編成です。これについては、現在のところまだテスト段階ですから両方があってもよいと思います。ただし特段何か理由がないのであれば、指定席は車端部(1号車or3号車)でよいのではないかという気がしました(自由席の乗客がいたずらに指定席の車内を通り抜けるのを防ぐことができるため)。

今後この列車にとって「指定席」と「自由席」のどちらの需要が高いのかを見極め、いずれか片方のみの設定にする可能性はあります。

 

③特急料金について
高すぎる。この一言に尽きます。

〔あずさ〕には首都圏で広く普及している通年同額の全車指定席特急料金制度が導入されており割安なのに対し、〔しなの〕〔信州〕はA特急料金のため〔あずさ〕よりも70%ほど高い料金設定になっています。さらに最繁忙期・繁忙期・閑散期の設定もあり料金が乗車日によって変動するのも煩雑さを招く要因の一つとなっています(しかも〔しなの〕と〔信州〕では期間の設定が異なる場合がある)。

同じE353系を使用した通勤客向けの特急列車として、首都圏では〔はちおうじ〕〔おうめ〕がありますが、いずれも料金制度は〔あずさ〕と同じ。こう考えると〔信州〕の割高感は否めません。

とはいえ、実は篠ノ井線ではB特急料金の設定がないため、現行制度のまま新たな特急を走らせる限りは基本的にA特急料金を適用せざるを得ないというのが実情です。首都圏の特急料金制度を篠ノ井線へも拡充できれば〔信州〕の料金を大幅に値下げできるかもしれませんが、〔あずさ〕等と異なり短編成で大きな利益の出にくい地方の特急列車でそれをするかと言われると疑問が残ります。

 

④運行ダイヤについて
先ほどもご紹介した通り、現行の〔信州1号〕は塩尻7時37分発→松本7時54分発→長野8時59分着。松本~長野駅間は〔しなの〕なら1時間を切るところですが、こればかりは少なくとも臨時列車であるうちは致し方なしというところでしょう。

しかし、本文中でもご紹介したかつての〔おはようライナー〕は塩尻6時57分発→松本7時10分発→長野8時10分着でした。何よりのメリットは、長野市内で午前9時の出社・会議等に十分間に合う時間であるということです

現在、かつての〔おはようライナー〕と同時刻で追加料金不要の快速列車が運行されています。このダイヤをそのまま再び〔信州〕にあてがえばよいのではという気もしますが、そうもいかないのはこの塩尻6時57分発の快速が〔おはようライナー〕廃止後の4年間で沿線利用者にしっかりと根付いているからかもしれません。

追加料金不要であれば、沿線の高校生をはじめ若者でも気軽に利用することができます。停車駅や所要時間をそのままに「特急へ格上げ」するだけでは従来の利用者にとって露骨なサービスダウンになりかねないというのはあるかもしれません。

おはようライナー〕と全く同じ運行時刻である必要はありませんが、8時30分くらいまでに長野駅へ着ければより幅広いニーズへ応えることができる気がします。

 

というわけで、以上特急〔信州〕の乗車リポートと考察でした。

ひとまず6月末までの平日に運行されることは発表されていますが、7月以降はどうなるかまだ不明の段階です。

長野方面へおでかけの際には是非利用してみてください。

 

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。