わたかわ 鉄道&旅行ブログ

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【乗車率やいかに】東急東横線で座席指定サービス「Qシート」ついにデビュー!

 

2023年8月15日(火)

本日は渋谷駅へとやってきました。JR・東急・京王・東京メトロの4社が乗り入れる一大ターミナルです。

お盆休みだからというのもあるでしょうが、渋谷の街は時間や曜日に関係なく基本的にいつも無数の人々でごった返しています。おなじみの「スクランブル交差点」は常に360度へ注意を向けながら歩いていないと、すぐに人とぶつかってしまいます。

そんな地上の喧騒から離れ、やってきたのは地下5階の東急東横線ホーム。2013年に東京メトロ副都心線との相互直通運転が開始され、かつて地上にあった頭端式ホームは廃止されています。

乗車するのは、渋谷20時05分発の急行 元町・中華街。発車標にもある通り、渋谷始発の列車です。副都心線との相互直通運転が開始されて久しいこの頃ですが、現在でも一部このように渋谷発着の列車は残っています。

今回ご紹介するのは、東急東横線に新しく登場した座席指定車両「Qシート」です。平日夜に渋谷始発で横浜方面へと向かう急行列車5本のみに連結されている特別車両で、2023年8月10日にサービスを開始しました。8月11日~13日は土休日ダイヤでの運行となっていたため、本日(8月15日)はまだデビュー3日目となります。

20時02分、横浜方面から列車がやってきました。画質が粗く分かりにくいですが、前面には「急行 渋谷」と表示されています。

この列車は当駅止まりの列車として渋谷駅3番線に入線し、わずか3分後には折り返しの急行として発車していくことになります。一般車両は到着後すぐに降車客と入れ替わりで乗車が可能ですが、Qシートは車内整備のため乗車までに若干時間を要します。新幹線等と異なり入念な清掃が入るというわけではありませんが、座席の向きを整えたり、乗客の忘れ物がないか等を確認しているようでした。

列車は10両編成ですが、このうちQシートは4号車と5号車の2両分です。4ドア車両ですが、各車両1ヵ所のドアを除いて大きな幕が張られ、出入りはできないようになっています。渋谷駅のホーム上では4・5号車付近に何人もの係員の方が待機しており、座席指定車両であり指定券なしでは乗車できない旨を繰り返しアナウンスしていました。

乗車口で係員の方に券を提示し、いざ車内へ。進行方向を向いた2+2列の配置になっており、まだ運行開始後間もないため車内はガラガラです。平日ダイヤではありますが、お盆のため通勤需要が少ないのも原因の一つでしょう。

この車両はクロスシートロングシートを転換できるようになっており、適切な座席形態で運行することができます。

気になる料金ですが、乗車区間にかかわらず一律500円となっています。渋谷~横浜駅間で土休日に「S-TRAIN」に乗車する場合は350円ですのでやや割高感はありますが、一方で湘南新宿ライングリーン車は平日だと少なくとも780円からですので、それよりは安くなっています。

指定券の購入にあたっては「チケットレス」が基本のようです。今回私は乗車直前に渋谷駅改札窓口にて購入しましたが、まだ駅員さんも発券作業に慣れていらっしゃらないようで、少し時間がかかっていました。なお注意点として、乗車日当日しか発売はされておらず、前売りは行っていません。また、駅の自動券売機・ホーム上・車内では購入できませんので、チケットレス以外で乗車される場合は余裕をもって駅に向かうようにしましょう。

また券面をご覧いただくと記載のある通り、この列車は「急行201号」として運用されています。号数の付与は指定席の発売管理のためかと思われますが、Qシートが連結されていない急行(相鉄線方面へ向かう場合など)については号数が付与されていません。またこの号数はホーム上の発車標や車両の行先表示器等に表示されることはなく、旅客案内上で用いられる場面は限られている印象です。

20時05分、列車は定刻通り渋谷駅を発車。急行なのでこの先中目黒、学芸大学、自由が丘、田園調布、多摩川、武蔵小杉、日吉、綱島菊名、横浜、みなとみらい、馬車道日本大通り元町・中華街に停車します。ただし指定席としての運用は横浜までで、みなとみらい線内ではQシートも全車自由席として運行されます。

ホーム上では、大きなプラカードを持った駅員さんがQシート付近で待ち構えていました。乗車口には幕があるため、指定席と気づかずに誤って乗り込むことは物理的にできない構造ですが、それでも周知の意味を含め念には念をというところでしょうか。

なお中目黒駅では、ちょうど隣のホームにやってきた日比谷線の列車からの接続を取って発車します。残念ながら東急東横線日比谷線の直通運転は2013年をもって取りやめとなってしまいましたが、現在でもこのようにして両路線は接続を取っています。

次の学芸大学駅でも、同様にプラカードを持った駅員さんの姿を確認することができました。学芸大学駅東急東横線の急行停車駅で唯一の1面2線(島式ホーム)構造となっており、その狭いホーム上でQシートの誘導・案内を行うことは、上下列車が同時に到着する場合等の混雑時にはかなり大変そうです。

自由が丘駅では、先行の各駅停車との緩急接続を行います。また東急大井町線との乗換駅にもなっており、その大井町線では東横線に先駆けて2018年12月に「Qシート」の運用が開始されています。

4号車・5号車とも車内はかなり空いており、両方合わせて10名程度だったかと思います。一方で車内アナウンスでは「一歩ずつ中へお進みください~」という案内もなされており、一般車両はそれなりの混雑であったのだろうと思います。この急行は渋谷始発ですので、渋谷から乗車する場合であれば少し並んで待つことで一般車両でも着席できる可能性は大きいものの、中目黒以南の途中停車駅からの乗車ともなりますと一般車両への着席は困難であると言わざるを得ません。

田園調布~日吉駅間は、東急目黒線との並走区間です。複々線区間となっており、混雑する目黒線の一般車両を横目に優雅なクロスシートで移動できる点では優越感に浸ることができます(笑)。

さて、気になる車内設備について見てみたいと思います。各座席にはドリンクホルダーコンセントが設けられており、また車内にはWi-Fiがあります。Wi-FiはQシートの号車のみに搭載されているようで、同じ編成内でも一般車両から接続することはできません(Qシートのすぐ隣の号車であれば微かに拾えるかもしれませんが…)。JRの普通列車グリーン車であればコンセント・Wi-Fiの設備がない場合がほとんどですから、この点は便利です。

なお、残念ながらテーブルはありません。またリクライニングの機構もなく、この部分で比較するとグリーン車に軍配が上がります。一長一短といったところでしょうか。

さらに、車端部を見てみると、クロスシートへの転換が不可能なロングシートの箇所が3席ずつあることが分かります。指定席として運用される場合、このロングシート部分についても発売される可能性があるのでしょうか。幸いまだデビュー直後ということもあって、ここに着席しなければならないほどの混雑ではありませんでしたが…。万が一ここに当たってしまった場合は少し損した気持ちになりそうです。ただし見ての通り、こちらではひじ掛け部分にコンセントがあります。

多摩川武蔵小杉と停車して神奈川県に入り、日吉駅に到着。ここではちょうど、向かいのホームに停車中の東急新横浜線と接続を取ります。将来的にもしQシートが指定席の扱いで新横浜・相鉄線方面へと乗り入れることがあれば、さらなる需要を開拓できそうな気もします。

続いて綱島駅に停車。さすがにこの辺りからですと、もうQシートに乗車してくる乗客はおりません。というかそもそも渋谷からここまでずっと、途中駅での乗車客・降車客はほとんどいなかったように見えます。利用者の立場からすると「リクライニングのない指定席に500円」というのは、渋谷~横浜ほどの長距離で利用することでようやくペイできる金額のような気もします。もちろん自宅が綱島など急行停車駅の近くにあれば、都心方面からその駅までの利用ということも大いにあり得るでしょう。

首都圏の大手私鉄車両に連結されている座席指定車両の場合、乗車駅・降車駅が細かく定められていることが少なくありません。一方で東横線のQシートであれば、急行停車駅のどの駅から乗ってもいいし、どの駅で降りてもいいのです。使い方のバリエーションは様々考えられることでしょう。

ここで早くも、進行方向右側のドアに取り付けられていた赤い幕が手すりに巻き付けられ、結束バンドのようなもので留められていました。

先ほどもご説明した通り、この「Qシート」はみなとみらい線内では追加料金不要の自由席となります。そのため4・5号車であってもドアを塞ぐ必要がなくなるので、時間に余裕をもって先に作業が行われていたのです。

菊名駅を発車し、次はいよいよ東横線としての終点、横浜です。ここで残る進行方向左側のドアの幕も同様に手すりへと巻き付けられ、みなとみらい線に直通する準備は万端です。

20時38分、横浜駅に到着。渋谷からの乗車時間は33分間です。湘南新宿ラインだと渋谷~横浜駅間で30分を切る列車が多いと考えるとやや時間はかかっていますが、それでも所要時間の面でそれほど大きく劣勢に立たされているというほどではありません。もちろん東横線の場合も急行より上位の種別として「特急」「通勤特急」があります(これらには現在のところQシートは連結されていません)。

 

実際に乗車してみて、個人的に「これで500円なら十分アリなのでは?」と思います。

私自身も都心から横浜方面へ帰る際に東横線を利用することが多いのですが、平日・土休日を問わず夕方~夜の渋谷からの下り特急・急行は異様なまでの混雑を見せます。渋谷駅が始発駅ではないことが多いですから、渋谷駅の時点で着席は困難。仮に着席できたとしても、渋谷~横浜の全区間で常に混んでおり、どこかでぐっと空くというのはありません。

その一方で「500円を払えば確実に座ることができ、Wi-Fiとコンセントが必ず使える」というこの車両の価値は極めて大きいものがあります。リクライニングはしないですから、体が十分にリラックスできるかと言われるとやや難しい部分はありますが、それを差し置いても着席保証・Wi-Fi・コンセントの3点でJRの普通列車グリーン車には大きく差をつけており、私は時間さえ合えばほぼ間違いなく東横線のQシートの方をチョイスするはずです。

 

もちろんまだ、東横線においては試行錯誤の段階であり、オペレーションがややぎこちない部分はあったと思います。しかしそれは今後乗務員・乗客の双方への浸透によって改善されていく部分であり、特急・通勤特急を含め運用拡大へ向けて動いていってほしいところです。

▼Qシートサービスの詳細はこちらをご覧ください。

www.tokyu.co.jp

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。