わたかわ 鉄道&旅行ブログ

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【17年ぶり大規模ダイヤ改正】新宿~大宮をスペーシアの個室で移動! JR・東武直通特急はこの春どう変わる?

 

2023年2月19日(日)

今回は新宿駅へとやってきました。これから埼玉県の大宮駅まで移動していこうと思います。

現在、日曜日の17時頃。東京都心から郊外へ向かう鉄道各線は帰宅時間帯と重なり、これから激しい混雑を見せます。そう、帰宅ラッシュは平日だけでなく週末にも起こるのです。

新宿~大宮駅間の移動といえば埼京線湘南新宿ラインですが、主に池袋・大宮方面(北行)の列車が発車する3・4番線ホームへ向かってみると…。

そこは地獄のような人だかりです。

決して、今日は花火大会の帰りなどではありません。もしかすると近隣で大きなライブやイベント等があったのかもしれませんが、東京ではもはやそれも日常。何ということのない日曜日であってもホームを人で埋め尽くすほどの混雑に襲われます。

埼京線は10両編成、湘南新宿ラインは10両または15両編成。これほどともなると着席するのは絶望的で、仮に列車を1~2本見送って座ることができていたとしても満員の車内は快適とはいえません。湘南新宿ラインにはグリーン車が連結されていますが、指定席ではないのでこれも着席できる保証はありません。

「満員電車で帰宅するのは嫌だなぁ…」と思ったそこのあなた。

実はこの混雑を華麗にかわして快適に帰宅する方法があるのをご存じでしょうか。

それが、新宿17時32分発の特急〔スペーシアきぬがわ7号〕鬼怒川温泉です。

普通列車が混んでいるなら特急に乗ればいいじゃない!」というわけです。

5・6番線へとやってきました。このホームはJR・東武直通特急のほか〔成田エクスプレス〕〔踊り子〕などが使用します。先ほどご覧にいれた3・4番線とはうってかわって、こちらはだいぶ閑散としています。

JR・東武直通特急は2006年のダイヤ改正にて運行が始まりました。現在は日光方面1日1往復、鬼怒川方面1日3往復で計4往復の定期列車が設定されています。しかし今回のダイヤ改正にて鬼怒川方面が大幅本数減となり、日光方面・鬼怒川方面ともそれぞれ1日1往復ずつの計2往復のみとなるのです。

こちらはJR東日本および東武鉄道が共同で発表した2005年11月8日付のプレスリリースの一部を抜粋したものです。現行のダイヤと比較すると、各列車とも若干の時刻変更はあるものの、〔日光〕1往復、〔きぬがわ〕1往復、〔スペーシアきぬがわ〕2往復であることやその運行時間帯に関しては現在と全く同じで、これまで17年間特に大きな変更は加えられてこなかったことが分かります。

しかし今回のダイヤ改正後、〔日光〕は定期運用から引退。その代わりにこれまで臨時列車として設定されることもあったスペーシア日光〕が定期列車へと昇格し、新宿~東武日光駅間を結びます。ただし多客期には臨時〔日光〕も設定されるようですので、今後も乗車機会はあるものと思われます。

また鬼怒川方面においてはスペーシアきぬがわ〕が定期運用から引退。こちらについては、2022年12月時点でのプレスリリースによるとダイヤ改正後の臨時列車としての設定はないと読み取れましたが、どうやら臨時〔きぬがわ11号〕ならびに臨時〔きぬがわ14号〕がそれぞれ〔スペーシアきぬがわ11号〕〔スペーシアきぬがわ14号〕として運行される場合もあるようで、こちらも乗車機会を狙うことはできそうです。

しかもみなさん、あることにお気づきでしょうか。

そう、ダイヤ改正後の時刻表では、新宿駅を17時台に発車する列車の設定が消えているのです。

改正後、新宿発の日光・鬼怒川方面への特急は最終列車が13時00分発。すなわち埼玉方面への夕方の帰宅の足として特急に乗車することはもうすぐできなくなってしまうというわけです。

まもなく6番線に、鬼怒川温泉からの〔スペーシアきぬがわ6号〕新宿行が入ってきました。到着後車内清掃が行われ、折り返し〔スペーシアきぬがわ7号〕として再び鬼怒川温泉へと向かいます。

ドアが開くと、車内からたくさんの乗客の方が降りてこられました。日曜日の夕方ですから、週末を鬼怒川方面で過ごされた観光客の方で車内はかなり混雑していたようです。

東武100系スペーシア」は6両編成。今回利用するのはその最後部、6号車のグリーン個室です。

「新宿から大宮まで特急に乗る」というだけでも贅沢なことですが、どうせならば贅沢に贅沢を上乗せしてしまいましょう!

列車は定刻通り17時32分に新宿駅を発車。個室の内部はこんな様子になっています。

4名定員で、中央には固定式の細いテーブルがあります。座席と座席の間にあるひじ掛けを倒して取り出すこともできます。

停車駅は池袋、浦和、大宮、栃木、新鹿沼下今市東武ワールドスクウェア終点鬼怒川温泉です。栃木駅はJRと東武の両方が乗り入れる駅ですが、JR・東武直通特急はその手前の栗橋駅に設けられた接続線でJRから東武へと入るため、栃木駅では東武のホームに入線します。

列車はすぐに次の池袋駅へと到着。ホーム上ではこちらも後続の埼京線湘南新宿ラインを待つ人でかなり混雑しています。

新宿駅と同様、寒空の下で普通列車を待っても着席など絶望的でしょう。これは1本見送って次のに乗ればよいとかそういう問題ではありません。

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実はかつて、この新宿~大宮駅間では特急〔成田エクスプレス〕が1日2往復運行されていました。成田空港始発大宮行については新宿駅を18時台と20時台にそれぞれ発車するダイヤとなっており、〔スペーシアきぬがわ7号〕と同様に埼玉方面への帰宅の足として利用することもできただろうと思われます。しかしそうした列車の運行もなくなった現在において、新宿17時台発の〔スペーシアきぬがわ〕は特急での移動に強いこだわりをもつ人にとって大変貴重な存在だったのではないでしょうか(…?)

個室設備のある特急列車や観光列車は全国にいくつかありますが、その予約方法や料金システムは列車によって大きく異なります。JR・東武直通特急の場合はJR東日本指定席券売機でも購入することができ、1~4名で利用することが可能です。

JR・東武直通特急の個室をJR線内完結で利用する際に必要となる料金の公式は、以下の通りとなります。

まず個室料金ですが、これは利用人数や時期にかかわらず1室あたり一律3,150円となっています。4名で利用するとこの部分は一人当たり790円ほどになりますので、かなりお得です。

これに加え、乗車する人数分の特急料金も必要になります。ただし「座席の確約」の要素は個室料金に含まれるため、全車指定席の列車でありながら特急料金自体には指定席料金がかかりません。このためB特急料金(指定席)から指定席料金を差し引いた金額を乗車人数分用意すればよいということになります。

「○名以上で発売」といった制約がないため、1名で乗車する場合に他の座席の分の乗車券や特急料金をわざわざ買う必要はありません。

スペーシアは6両編成で、このうち1~5号車は普通車指定席。新宿寄りの6号車のみがグリーン個室の車両です。厳密にいうと「グリーン個室」の呼称をするのはJR線なので、東武線内は単なる「個室」として運用されます。

座席幅は広く、2人がけの部分に3~4人ほどは座れそうな広さがあります。最大定員の4名で利用しても窮屈感なく利用することができそうです。

6号車にあるグリーン個室は6部屋。この日は池袋を発車した時点で自室を含め6部屋中3部屋が埋まっていました。

室内には空調や照明の照度を調節可能なコントロールパネルの設置がありますが、室内を真っ暗にすることはできません。各座席の頭上には読書灯があり、こちらは各自で調節可能です。また、座席足元付近にコンセントがあるほか、編成全体にWi-Fiも整備されています。

各個室の入口部分にあるドアは施錠できませんが、重みがありしっかりと閉めてプライベート空間を確保することができます。完全防音とはいきませんが、他の部屋を利用する小さな子どものにぎやかな声もそれほど気になりませんでした。

通路に出てみますと、その雰囲気はまるで一昔前の寝台列車のようです。特にこの時間帯の運用であれば外は真っ暗ですので、さながら北日本へと向かうブルートレインに乗っているかのような感覚になります。

その代わり、水回りのデザインも最新の特急車両と比べるとやはり古さが目立ちます。ただし古いとはいっても清潔に保たれてはいるので、使う際に何か不自由があることはなさそうです。

続いて列車は浦和駅に到着。浦和駅では湘南新宿ラインのホームに入ります。

浦和駅は特急列車によって停車するものと通過するものがありますが、JR・東武直通特急は基本的に全列車が停車します。ただし八王子方面から東武日光鬼怒川温泉へ直通する臨時列車の場合は、短絡線を経由するため浦和駅には停車しません(通過扱い)。

18時01分に大宮駅へと到着。わずか29分間でしたが、贅沢な移動を楽しむことができました。

人混みに揉まれることなく、広いプライベート空間を手にすることができるというだけでも3,670円の価値はあると思います。1名で利用する場合は特急の普通車の座席に2,620円追加となりますが、4名の場合は1人あたりわずか250円ほどの追加で乗れるわけですから、むしろ乗らない選択肢などありません。

新宿駅を夕方に発車するスペーシアの運用としては2023年3月のダイヤ改正で終了してしまいますが、今後は定期列車へと格上げされる〔スペーシア日光〕の運用を中心に引き続きJR線内へと直通します。

一方でデビューから30年以上を迎え、後継車両「スペーシアX」のデビューを2023年7月に控えていることもあり、それほど先は長くなさそうです。是非お早めの乗車をおススメしておきます。

 

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。