わたかわ 鉄道&旅行ブログ

乗り鉄&旅好きの20代男子が全国を巡る!

【今週で廃止】1日1本限定! 品川止まりの特急湘南に乗ってきた

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2022年2月22日(火)

今回は朝の小田原駅へとやってきました。これより、1日1本限定のある特徴をもつ珍しい列車へと乗車していきます。

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2021年3月のダイヤ改正で、それまで長らく運行されてきた「湘南ライナー」が廃止され、全車指定席の特急〔湘南〕の運行が始まりました。主に小田原~東京・新宿駅間にて平日朝夕限定で運行されており、川崎や横浜をあえて通過することで湘南エリアから都心方面へ通勤するビジネス需要に応える列車となっています。

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その中でも、今回乗車するのは小田原6:37発の特急〔湘南6号〕品川行。朝の上り湘南号に関しては基本的に東京行または新宿行となるのですが、この1本だけは「品川行」として運行されているのです。

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車両はおなじみE257系2000番台。かつて中央線特急〔あずさ〕〔かいじ〕として活躍していた9両編成の車両をリニューアルし、2020年に東海道線で営業運転を開始しました。

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車両側面の行先表示器にもしっかり「品川」と表示されています。実はこの「品川行の特急湘南」は2022年3月のダイヤ改正で「東京行」へと変更されることになっており、この光景が見られるのもあとわずかです。

2021年に湘南ライナーが廃止され特急へ格上げされた際、ダイヤについては従来のライナーのものをほぼ受け継ぐ形で特急湘南として運行が始まりました。この「品川行」についても同じくライナー時代からのもので、かつては小田原6:37発の〔湘南ライナー4号〕品川行として運行されていたものです。

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定刻通り6:37に小田原駅を発車。この時点ではまだ車内はガラガラで、私の号車は私一人だけの貸切状態でした。座席上方に発売状況を示すランプが取り付けられていますが、自分の箇所以外全て「赤(空席)」または「オレンジ(まもなく予約済み区間へ)」となっています。

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小田原駅を出ると、列車はすぐにポイントをガシャガシャといくつも渡り、旅客線から貨物線へと転線します。本来貨物線はその名の通り「貨物列車のための線路」ですが、特に朝ラッシュ時等は旅客線の線路容量に限りがあることから、一部の旅客列車は並走する貨物線を走ることになります。

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ちょうど列車の進行方向からは、ゆっくりと太陽が昇ってきています。夏ならばこの時間はとっくに明るいでしょうが、冬なのでちょうど太陽が昇る様子を列車内から確認することができます。

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国府津駅付近では、小田原6:35発の普通列車籠原行)を追い抜きます。私の乗車する湘南6号よりも2分早く発車した列車ですが、こうした追い抜きができるのも湘南6号が貨物線を走行しているが故のことです。

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さらにその次の二宮駅付近では、小田原6:32発の普通列車(上野行)を追い抜きます。こんなにも何本もの普通列車を短いスパンで追い抜いていくとは…まるで赤坂五丁目ミニマラソンかと思うほどです。

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湘南6号の途中停車駅は茅ヶ崎、藤沢の2駅のみ。特急湘南は列車によって停車駅が多少異なりますが、貨物線上では茅ヶ崎と藤沢以外の途中駅にホームがないため停車することができないのです。国府津、平塚、辻堂などに停車する便もありますが、それらは全て旅客線経由での運行となっています。逆に言い換えれば、上下を問わず全ての特急湘南が茅ヶ崎・藤沢には必ず停車します

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小田原駅を出て18分、6:55に最初の停車駅である茅ヶ崎駅に到着。ここからいよいよたくさんの通勤客の方が乗車されます。通常使用される東海道旅客線ホーム(5・6番線)とは別に特急湘南専用ホーム(3・4番線/旧”ライナーホーム”)があり、湘南6号はそちらに入線することになります。

ちょうど旅客線ホームには小田原6:28発の普通列車(宇都宮行)が入線しており、ここ茅ヶ崎で追い抜くかに思われましたが、あちら側が茅ヶ崎6:55発であるのに対し湘南6号は茅ヶ崎6:56発なので、タッチの差で先を越されてしまいました。

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とはいえこちらは貨物線です。隣の旅客線と比べればこの時間帯は列車本数も少なく、茅ヶ崎駅を出てすぐに追い抜くことができました。

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そして早くも最後の途中停車駅となるのが藤沢。ライナー時代は朝の藤沢駅も乗車専用駅でしたが、現在は全車指定席の特急列車としての運行ですので、極端な例ですが正当な特急券を所持していれば小田原や茅ヶ崎から乗って藤沢で降りることも可能というわけです。

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列車は7:02に藤沢駅へと到着。ここでも旅客線ホーム(3・4番線)とは異なる特急湘南専用ホーム(1・2番線)へと入ります。ちょうど旅客線ホームには小田原6:23発の上野行が停車しており、藤沢駅を湘南6号と同時(7:03)に発車していきます。

時刻表を見るだけでは「藤沢7:03発の列車が2本ある!? 何でだ!」と一瞬混乱するかもしれませんが、要はこういうからくりがあるわけです。いわば小田急東武等にあるような「複々線」のようなイメージです。

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藤沢駅を同時刻で発車した普通列車の上野行とは次の大船駅の手前まで並走します。ただもちろん湘南6号は大船駅に停車しないため、このタイミングで追い抜いていくことになります。

あちらの普通列車の車内を見てみると、既に普通車の車内は立つスペースも限られるほどの大混雑。グリーン車もかなり席が埋まっています。これから横浜や川崎で多くの乗車があると思われますが、その手前の時点でこれほどの混雑ともなると特急湘南に少なくないニーズがあることもよく分かります。

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かたやこちらの湘南6号は、2~3区画に1人が着席している程度で、依然として空席を示す赤ランプが圧倒的に多いです。この程度の乗車率ならば座席の背もたれを倒す際にそれほど周りの目を気にすることもありませんし、車内で優雅に朝食を取ったり新聞に目を通したり…という過ごし方もできます。普通列車と比べてどちらが快適かはいうまでもありません。

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大船以北では東海道の旅客線にさらに横須賀線の線路も並ぶことになり、ちょうど戸塚~東戸塚駅付近では大船始発の湘南新宿ライン(小金井行)と並走します。ちょうどこの湘南新宿ラインに乗るために東戸塚駅のホームで待つ人の大群が見えましたが、狭い島式ホームにも関わらずとんでもない量の人でした。あちらはこの先保土ヶ谷、横浜、新川崎、武蔵小杉…と各駅に停車して多くの通勤客を拾うことになりますので、おそらく横浜市を出る頃にはまともに乗車すらできない状況になっていそうです。

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東戸塚駅付近を通過すると、列車は長いトンネルへと入ります。この付近で実は東海道線の旅客線と大きく線路が離れており、貨物線は横浜駅を経由しません。長いトンネルは横浜駅ではなく横浜羽沢貨物駅というところにつながっており、ここでいったん地上へ顔を出す形になります。

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しばらく真っ暗なトンネルの中を走っていたと思ったら、景色が急にパッと明るくなるポイントが横浜羽沢貨物駅です。名前の通り貨物列車から貨物の積み下ろしを行うための駅で、旅客列車が停車することはありません。ただしこの真下には2019年に開業した相鉄・JR直通線の「羽沢横浜国大駅」のホームがあり、この路線は駅の北側で貨物線と合流し同じルートを辿ることになります。

駅周辺には広大な鉄道用地が広がっており、その一角には無数のコンテナが積まれています。

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横浜羽沢貨物駅付近を通過後、列車は再び長いトンネルへと入ります。そして次に地上に出るのは鶴見駅付近。東海道線横須賀線の線路と完全に合流するわけではありませんが、ここで東戸塚以来の並走となります。

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鶴見駅を通過すると列車は再び東海道の旅客線と離れ、武蔵小杉方面へと進んでいきます。ただ貨物線と横須賀線の線路が合流するのは武蔵小杉駅の直前で、それまでは広大な新鶴見機関区の端っこを走っていきます。行く手には新川崎や武蔵小杉のタワマン群が見えますが、この辺りに住む方の通勤需要を湘南6号が拾うことはありません。

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やがて列車は横須賀線と合流し、武蔵小杉を通過。横須賀線湘南新宿ライン、相鉄・JR直通線の3路線ともが朝ラッシュ時間帯を迎え過密ダイヤですが、そこにさらに特急湘南を何本も通す神業は本当に凄いなと思います。

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そしてまもなく列車は「終点 品川」に到着します。くどいようですがこの光景が見られるのもあとわずか。東海道線普通列車であれば一部時間帯に品川止まりの列車もありますが、特急ではこの1本のみです。

武蔵小杉~西大井駅間は特に列車本数が多く、それでいて特に複々線になっているわけでもないので、特急であっても普通列車と同等のスピードしか出せません。

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小田原駅を出てから1時間10分、列車は7:47に終点の品川駅へと到着。通常の東海道線ホームではなく、常磐線が発車する9番線に入線しました。横須賀線常磐線って線路が繋がってるんですね…!

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列車はすぐに「回送」表示となり、到着から5分ほどで回送されていきました。ここからさらに新橋・東京方面や渋谷・新宿方面に行きたい場合は山手線等への乗り換えが必要になります。

 

というわけで今回は1日1本限定、ダイヤ改正によりまもなく廃止される「品川行の特急湘南」をご紹介しました。

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。