みなさんこんにちは! わたかわです。
今回は「横浜市営地下鉄グリーンライン」についてご紹介します。
というわけで、始発駅となる中山駅にやってきました。ここはJR横浜線との乗換駅で、JRの駅を出て階段をまっすぐ降りていくと地下鉄の出入口があります。
横浜市には地下鉄が2路線ありますが、古くから存在するブルーライン(開業当時”ブルーライン”という愛称はまだなかった)に対し、今から13年前の2008年に中山~日吉駅間で開業したのがこの「グリーンライン」となります。横浜市内を南北に縦断するブルーラインとは異なり、グリーンラインは全長わずか13.0km。港北ニュータウン内の横移動に特化しています。
全長40.4kmを誇るブルーラインと比較するとだいぶ短いように感じますが、実はグリーンラインの長さは東京メトロ銀座線(14.3km)と同じくらい。横浜市自体がそもそもかなり広いので錯覚してしまいますが、実は超短いと言うほどでもないのです。
中山駅の地下鉄改札口は、超真新しいというわけではありませんが、案内サインのデザインは比較的洗練されている印象です。2008年開業というとちょうど東京メトロ副都心線と同い年ですから、設備もわりあい新しいのでしょう。
グリーンラインは日中7~8分に1本の運行で、中山駅では1面2線の島式ホームから発車していきます。ただし必ずしも両方のホームを交互に使用するというわけではなく、立て続けに1番線から発車したと思ったら急に今度は2番線から…というようにあまり規則性はないようです。全列車が各駅に停車し、途中駅を始発・終着とする列車はほとんどありません。
グリーンラインに使用されているのは、こちらの「10000形」といういかついロボットのような顔をした車両です。発車標には種別の表示がありませんでしたが、車両の行先表示器の方には「普通」の文字も表示されています。
また、ちょうど2021年は横浜の市営交通100周年ということで、記念ヘッドマークも取り付けられています。
側面の行先表示器は3色LEDで、「普通」「グリーンライン」「日吉」のように3種類の情報が交互に表示されます。2008年というと既に首都圏の新型車両ではフルカラーが普及し始めていた頃だと思いますが、3色LEDでデビューしたというのは意外です。
もちろんグリーンラインでは、全駅にホームドアが設置されています。また車両の側面を見てみると、窓と同じ高さ・同じ幅で緑色の帯が入っており、ホームドアが設置されていても車両のデザインを確認しやすいようになっています。この後ご紹介しますがセンター南駅・センター北駅ではブルーラインとグリーンラインが両方乗り入れるため、誤乗を防ぐ効果もありそうです。
現在、グリーンラインは全列車が4両編成で運行されていますが、2022年度以降順次6両編成での運行が始まることも発表されており、まさに現在各駅でホームの延伸やホームドアの設置が進められています。中山駅でも、ホームの端が緑色の柵で囲われていました。
それでは中山13:38発の列車に乗り込み、いざ出発です! 車内にはLCDも設置されており、さすが新しい地下鉄だなぁと感じます。ブルーラインでは近年ようやくLCDが普及してきましたが、まだ従来の3色LCDと混在している状況です。
中山を出て次の駅は「川和町」です。中山駅のホームが地下にあるのに対し、次の川和町駅のホームは高架となっているため、この区間では日吉行の列車が急な登り坂を上っていくことになります。数字にして何と58‰ということで、1997年まで存在していた信越本線の横川~軽井沢駅間(66.7‰)に匹敵する大変な急勾配です。
窓の外を眺めていると車窓がかなり傾いているのが分かります。これをケーブルカーやラックレールなどではなく普通の鉄道で上っていくのはかなり迫力があります。
そして川和町駅に到着。確かに高架ホームなのであまり地下鉄っぽくないですよね。旅客ホームは1面2線の島式ですが、その向こうにもう1つドーム状の屋根の部分があり、何だか複数のホームがあるように見えます。実はあちらにはホームはなく、駅の南側にのびる車両基地へと続く線路が敷かれているためこのような構造になっています。
そして次の「都筑ふれあいの丘駅」になると再び地下ホームになります。グリーンラインの中でもひときわインパクトのある駅名ですが、これは駅の東側にある横浜市資源循環局都筑工場およびその周辺に位置する公共施設群の総称で、プールや地区センター等があるようです。
そしてブルーラインの線路と交差し、列車はセンター南駅へと到着します。ここで再び高架ホームとなり、1駅ごとに地下と地上を行ったり来たりしていて実に慌ただしい路線です。
センター南~センター北駅間はブルーラインとグリーンラインが並走する区間で、いわば「地下鉄の複々線」となっています。両駅ともそれぞれ路線ごとに1面2線の島式ホームが設置されており「路線別複々線」に分類されます。両路線とも高架線で、その様子はセンター南駅の改札階からも望むことができます。上の写真はセンター南駅からセンター北駅を眺めた様子ですが、見てみるとブルーラインの線路(左側)には架線がないのに対して、グリーンラインの線路(右側)には架線が張ってあります。グリーンラインを含む世の中の多くの電車は上部の架線からパンタグラフで電気を集めて走行するのに対し、ブルーラインでは線路のすぐ隣から電気を集める「第三軌条」という方式を取っているため、架線や架線柱がなく、車両にパンタグラフもありません。その違いがはっきりとよく分かるのがこのセンター南~センター北駅間なのです。
この区間はブルーライン・グリーンラインとも日中毎時8本ずつの運行なので、合わせるとセンター南~センター北駅間の移動で利用可能な列車は1時間に16本も運行されていることになります。ただし東京の地下鉄ほどの高頻度運転ではないため、複々線でありながら列車の並走が見られることはあまりないようです。
余談ですがセンター北駅と言えば、小学生の時の校外学習で大塚・歳勝土遺跡を見に行ったのを思い出します。駅周辺には遺跡や歴史博物館の他に多数の大型商業施設や観覧車までもあり、港北ニュータウンの中核をなしています。
その独特な地形ゆえホームが半分トンネル内に突っ込んでいるセンター北駅を発車すると列車は再び地下へと入ります。これより先は終点の日吉まで一度も地上に出ることはありません。
センター北を出ると「北山田」「東山田」「高田」と”田”のつく駅が3つ連続しますが、全て濁らず「た」と読みます。県道102号線の真下をひたすらに走り続けるこの区間でも沿線人口は多く、各駅でかなりの乗降がありました。
そして終点の一つ手前にある「日吉本町」を出発していきます。本町とつくと何だか「こっちの方が街の中心」かに思えてきますが、実際には圧倒的に日吉駅の方が大きな駅で多数の路線が乗り入れ、利用者も多いです。「厚木-本厚木」のようにはいかないのです。
そして13:59に終点の日吉駅へと到着です。全10駅を約20分間で走破してきました。
列車はすぐに折り返し中山行として発車していきます。
日吉駅では地下鉄の改札口を出るとすぐ目の前に東急の改札口があり、乗り換え客の利便性が図られています。日吉駅には東急東横線と東急目黒線が乗り入れており、それぞれ東京都心部を走る地下鉄へと直通運転を行うため、日吉駅は一大ターミナル駅として機能しています。特に東急目黒線は全列車がこの日吉駅を始発として運行しているため、港北ニュータウンに住む人がこれまで東京都心への通勤に際してはブルーラインであざみ野へ出て、その先大混雑の東急田園都市線に乗っていたところ、グリーンライン開業後は日吉までグリーンラインで出て、日吉始発の東急目黒線で座って通勤するようになったという話もあるくらいです。
というわけで今回は「横浜市営地下鉄グリーンライン」についてご紹介しました。
今回も最後までお読みいただきありがとうございました。