わたかわ 鉄道&旅行ブログ

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【終点までわずか○分】東急東横線に驚きの短区間運用が! 一体なぜ?

 

2022年12月18日(日)

今回やってきたのは、東急東横線日吉駅横浜市港北区にあり、目の前に慶応義塾大学のキャンパスがあることでも知られています。

1926年の開業からまもなく100周年を迎える日吉駅。長らく東急東横線のみの駅でしたが、2008年3月に横浜市営地下鉄グリーンラインが開業、さらに同年6月にはそれまで武蔵小杉駅までの運行となっていた東急目黒線の延伸開業が実現しました。

それからちょうど15年の節目を迎える今年は、いよいよ待ちに待った東急新横浜線の開業も控えています。東急東横線目黒線からそのまま直通する形で新横浜へ、そしてその先相鉄線へと入り二俣川・海老名・湘南台方面へ直通するルートが誕生します。

現在は東急目黒線の降車専用ホームとして使用されている2番線ですが、既にその頭上には大きな発車標の取り付けも完了しています。おそらく近日中に駅名標も新しいものへと取り替えられることでしょう。

しかしそんな華々しい話題の陰で、あまりにも奇妙な列車が運行されているのを見つけてしまいました。

それがこちら。日吉17時13分発の各停 菊名です。

菊名行」だから珍しいのではありません。確かに元町・中華街まで足をのばしてほしいところではありますが、他にも「菊名行」の列車は多数存在しています。

問題はこれが「日吉始発の菊名」であるところにあります。

そう。何とこの列車「東急東横線」にもかかわらず港北区内で完結してしまうのです!!

東京も横浜も行かないんかい!(横浜市内ではあるけど)

ホーム上の発車標には、この列車が日吉始発であることは表示されていません。しかしポスター型の時刻表を見てみると、確かに17時13分発の菊名行には「当駅始発」を示す青い丸のマークがありました。ちょうど1時間後にも同じように13分発の菊名行が存在しますが、そちらは当駅始発ではないようです。

まもなくすると、1番線に噂の列車が入線してきました。前後に列車が詰まっているため、始発列車といっても日吉駅での停車時間は長くありません。

東急5000系(8両編成)での運用で、一見すると不自然な点はないように思われます。しかしただ一つ異なるのは、ここに来るまで車内にお客さんは誰一人として乗車していない状態であるということです。

急いで乗り込み、列車は定刻通りに日吉駅を発車。ドア上のディスプレイに目をやると、運行区間のみの路線図が表示されています。始発から終点までわずか3駅、5.2キロしかありません。

驚くべきことに、日吉発車の時点で車内にはそこそこのお客さんが乗車していました。もちろん混雑というのとは程遠いですが、私の予想ではほぼ”貸切も同然”くらいのガラガラ状態で走るものと思っていましたので、これは意外です。ちなみにこの列車のすぐ後(2分後)に各停の元町・中華街行があるため、妙蓮寺以南の各停停車駅へはそちらを使うのがよさそうです。

すぐに列車は次の綱島駅へと到着。日吉駅と並び、急行が停車します。

まもなく開業する東急新横浜線では、綱島駅のすぐ近くに「新綱島」という駅が設けられることになっています。相鉄線直通列車が綱島駅に直接乗り入れるわけではありませんが、綱島駅周辺にお住まいの方にとってもそのメリットを享受することができそうです。

綱島の次に停車するのは大倉山駅。こちらは港北区役所の最寄り駅としても知られています。停車するのは各停のみのため、例えば急行に乗車していると一連の自動アナウンスの後に車掌さんの肉声で「おおくらやまには~とまりませんっ」と付け加えるのがおなじみとなっています。

大倉山を発車すると、次が早くも終点の菊名となります。いや…短かった。短いと分かっていても、それでも本当に短いです。最初から最後まで乗り通しても、港北区脱出が叶わないのですから…。

日吉を出てわずか7分、17時20分に列車は終点の菊名駅へと到着。中線にあたる4番線へと入りました。

発車標には間違いなく「当駅止り」と表示されており。ぞろぞろとお客さんが降りてきます。やはり他の号車も含め、総じて少なくない数のお客さんが乗っていらしたように思われます。

それにしてもなぜ、こんな短い区間しか走らない東急東横線の列車が存在しているのか。その理由を探るには、回送を見届ける必要があります。

お客さんが全員降りたことを確認した8両編成の列車は、そのまま妙蓮寺方にある留置線へと回送されていきました。車両の顔の部分に書かれた「5119」という4桁の数字をよく覚えていてください。

5・6番線(渋谷方面)のホームへ回ってくると、その様子がはっきりと見えます。数字の部分は画像では少し分かりにくいのですが、確かに「5119」となっており先ほど乗車してきた車両です。気がつくとライトの色が変わり、幕は「HANNO」と表示されているように見えますがこれはつまり…?

…と思っていたら、5番線に入線してきました。先ほどの4番線(横浜方面)とは異なり、こちらは渋谷方面のホームです。

もうお気づきでしょう。この列車は、折り返し菊名17時31分発の各停 飯能行となり、東京メトロ副都心線西武池袋線に直通していくのです。菊名駅日吉駅と比べると東急東横線の線路数に余裕がありますが、それでも停車時間はそれほど長くないように思われました。

ではなぜ、このような運用になっているのか。

菊名始発飯能行(③)を走らせるためには、まず列車をどこかから菊名駅まで持ってこないといけません。東急東横線最大の車両基地が元住吉にあり、一度ここから菊名までは列車を回送させることになります。しかし空っぽのまま列車を動かすだけではもったいないので、そこまでの道のりを日吉始発菊名(②)として営業運転しているわけです。

ちなみに、元住吉検車区は元住吉駅のすぐ南側に隣接する位置にあります。一見すると車両基地から出庫させた車両をすぐにそのまま「元住吉始発」の列車として走らせることが可能なように見えますが、実は2006年の高架化に伴う配線変更によってこれができなくなってしまいました。元住吉検車区から渋谷方面に出庫する場合は「武蔵小杉始発」、横浜方面に出庫する場合は「日吉始発」(もしくは「武蔵小杉で折り返し」)とする必要があります。

というわけで、今回は東急東横線の奇妙な運用についてご紹介しました。

最後までお読みいただきありがとうございました。