わたかわ 鉄道&旅行ブログ

乗り鉄&旅好きの20代男子が全国を巡る!

【まさかの事態】全長163キロ「三陸鉄道リアス線」を乗り通すはずが…

 

2023年8月14日(月)

おはようございます。本日は岩手県大船渡市にある盛(さかり)駅へとやってきました。

盛駅JR東日本三陸鉄道の駅舎が横並びになっていますが、今回乗車するのは三陸鉄道です。

三陸鉄道リアス線は、盛~久慈駅間を海岸沿いに進む第三セクター鉄道です。総延長は163.0キロにも上り、国内最長の第三セクター鉄道となっています。

三陸鉄道リアス線は、1970年に盛~綾里駅間が「国鉄盛線」として開業したことに始まります。続く1973年に綾里~吉浜駅間も開業、一方北側では1972年に宮古田老駅間が「国鉄宮古」、1975年に久慈~普代駅間が「国鉄久慈線」としてそれぞれ開業し、段階的に開業していきました。

1984年に盛~釜石駅間および宮古久慈駅間が全通し、同時に国鉄から「三陸鉄道」へと移管されてそれぞれ「南リアス線」「北リアス線」として営業運転を開始します。いずれも国鉄末期の開業であったため、トンネルや陸橋が多く、ローカル線ではあるものの高規格な設備を兼ね備えていることが大きな特徴です。

一方の釜石~宮古駅間は、1930年代に「国鉄山田線」として開業。こちらも段階的な開業でしたが、戦前の時点で全区間開業していたという点においては南リアス線北リアス線よりも長い歴史を持ちます。国鉄分割民営化後は「JR山田線」として営業運転を行っていましたが、2011年に発生した東日本大震災の影響で被災し、長らく不通状態となっていました。

これらが全て繋がったのは2019年のこと。先行して南リアス線北リアス線は2014年に全線で運行を再開していましたが、残る釜石~宮古駅間がJRから三陸鉄道へ移管され、2019年3月23日に盛~久慈駅間全区間が「リアス線」へと統一され運行を再開しました。

三陸鉄道盛駅舎内はこぢんまりとしており、まだ朝早いため窓口も営業していません。券売機が設置されていますが、この時間帯は無人駅状態で乗車券を買わずともホームへ入れてしまうため、代わりに列車内の整理券を取ることで降車時に運賃を精算するのも可とされています。

三陸鉄道リアス線の列車は、盛駅3番線から発車します。盛駅には1~3番線までありますが、このうち線路が残るのは3番線ただ一つのみ。1・2番線はBRT専用ホームとなっており、舗装された道路の状態となっています。

久慈方面と反対側を見渡すと、三陸鉄道の線路自体は完全に途切れています。また左側に見えるのは大船渡線BRTの車両で、あちらは線路を剥がし転回もできるようになっています。少し分かりにくいのですが、BRT転回場の向こうに「岩手開発鉄道」の盛駅があります。岩手開発鉄道は1992年まで旅客営業を行っていた路線で、現在は貨物専業の鉄道路線です。

今回乗車するのは、盛8時03分発の列車です。時刻表上では「久慈行」となっていたので全線乗り通す予定だったのですが…何と宮古行」に変更されています。いったい何があったのでしょうか。

実はこの前日、岩手県内では「記録的短時間大雨情報」が発表されるほどの局地的な大雨となりました。日付が変わったこの日も天候は不安定な状態となっており、田野畑~久慈駅間で始発より運転を見合わせていたのです。それに伴い、この盛8時03分発の列車は運行区間宮古までに短縮された形でした。

実は今回私は久慈から観光列車「TOHOKU EMOTION」に乗り継ぐ予定を立てていました。本来この三陸鉄道の列車が久慈行として運行されていれば12時34分に久慈駅へ到着する予定で、14時18分に久慈駅を発車するTOHOKU EMOTIONに余裕をもって乗り継ぐことができるのですが、果たしてこの時間までに久慈駅へ辿り着けるのでしょうか。

列車が盛駅を発車する直前、午前8時頃に三陸鉄道公式HPにて代行バスの運行時刻が発表されました。これによると田野畑~久慈駅間の代行バスは…何と1日4往復しかありません。仮に私の乗る列車が定刻で田野畑駅に到着していたとしても11時24分ですので、田野畑9時25分発の久慈駅代行バスには到底間に合いません。となると次は13時25分発の代行バス(上図の赤枠)となるわけですが…何とこの代行バス久慈駅到着時刻は14時37分。これでは14時18分発のTOHOKU EMOTIONには間に合いません。

何とかして14時18分までに久慈駅へ到着する方法はないものか…と考えつつ、定刻通り8時03分に盛駅を発車。陸前赤崎、綾里…と各駅に停車していきます。

列車内では、運転見合わせとなっている三陸鉄道に代わり14時18分までに久慈駅へ辿り着ける方法を模索。様々な乗換検索やマップを駆使し、高速バス・新幹線等も検討しながら北上していきます。景色を楽しむ余裕はほぼありません。

たまたま偶然当たったこの車両は「さんりくしおさい」の愛称が付けられたレトロ調車両で、天井にはおしゃれな照明が取り付けられています。ボックスシートの各区画には大きめの固定式テーブルもあり、(本来であれば)優雅な旅を楽しむことができます。

途中停車する駅の中には「恋し浜」という何ともロマンチックな名前の駅がありました。こちらは1985年の開業当初は「小石浜」駅でしたが、この地域でとれるホタテブランドにちなみ2009年にこの駅名へ改称されたのだそうです。ホーム上にはホタテの貝殻を使用した絵馬が飾られており、列車によってはここで数分間の停車時間が設けられています。

ローカル線ではあるものの高架区間が多いため、車窓からは海を一望できる区間が続きます。水平線がありながらも両端に陸地が見えており、リアス式海岸ならではという感じがします。

今回は盛駅を出発する時点でどこまで乗るか未定だった(本来は久慈まで乗り通す予定だったが絶望的になった)ので、乗車時に整理券を取って乗車しています。「笑顔をつなぐ、ずっと…。」というキャッチコピーが印刷されているのが特徴的ですね。

8時55分、列車は定刻通りに釜石駅へと到着。旧「南リアス線区間はここまでとなります。

先ほどまで曇り空だった岩手県沿岸部ですが、次第に雨が強くなってきました。釜石駅は遠野・花巻方面へと繋がるJR釜石線との乗換駅でもあり、ここでほぼ全ての乗客が入れ替わりました。

9時03分、列車は釜石駅を発車。大きく右へカーブを描き、ここからは旧「JR山田線」区間となります。

途中駅ではいかにも古そうな車両と行き違いを行いました。おそらく36-100形と呼ばれる形式で、1980年代から活躍しています。白い車体に赤と青の帯が入ったこのカラーリングが三陸鉄道の一般的な車体の色となっており、近年デビューした他の車両にも受け継がれています。

津波による被害の大きかった街の一つ、大槌町付近を走行しています。大槌の市街地もちょうど海に面しており、海岸沿いには高い堤防が建設されています。おそらくあの堤防のすぐ向こうは海が広がるのでしょうが、その景色を窺い知ることはできません。

陸地と海岸線が入り組んだ様子はこの辺りからも確認することができます。ただ先ほどまでと異なり、基本的に高台を走行する区間はあまりなく、地上区間が多くなっています。

岩手船越は「本州最東端の駅」としても知られています。駅舎は新しくなっていますが、電信柱に取り付けられたホーロー看板は震災前から長く使われ続けているもののように見えます。

釜石~宮古駅間で最も大きな途中駅である陸中山田に到着。かつての「山田線」という路線名称はここから来ています。

陸中山田駅に到着して思うのは、やはり駅の構造がかつてのJRのローカル線を思い起こさせるという点です。屋根のある立派な2面2線の相対式ホームが設けられ、柱に取り付けられている駅名標もどこかJR時代のデザインを踏襲しているように思います。

宮古駅の3駅手前、津軽石駅に到着。「津軽」と入っていますがもちろんここは青森県ではありません。りんごではなく鮭の街として知られています。

ここ津軽石駅では列車交換を行った後すぐに発車する予定でしたが、何と対向の列車が宮古駅を13分遅れで発車したそうで、こちらも一時足止めを喰らう形となります。気づけば外の雨は再び激しさを増しており、列車の運行に支障をきたすほどの強さであることも頷けます。

結局津軽石駅を11分遅れで発車。なお車内ですが、お盆にもかかわらず観光客らしき乗客の姿は全然ありません。朝早いというほどの時間でもないはずですが、やはり悪天候ゆえのことでしょうか。

宮古駅には定刻よりも9分ほど遅れ、10時34分頃に到着。

盛駅からずっとここまで「宮古行」として運行されていたため、ここで乗客が一斉に降りていきます。私もここでとりあえず降りねば…と思いつつも、運転士さんに尋ねてみると、何とこの列車はこのまま「田野畑行」として運行を継続するようです。これはありがたい!!

宮古で足止めかに思われましたが、精算をせずにこのまま乗り続けます。

10時40分、列車は定刻で宮古駅を発車。元々宮古駅で15分間の停車時間が設けられていたことで、遅れを完全に取り戻すことができました。旧「JR山田線」区間は終わり、ここからは旧「北リアス線区間です。車内アナウンスでは「田野畑行」と案内されていますが、車内のディスプレイは「久慈行」となっています。

トンネル区間が多く、6~7分ほどノンストップで走る区間があるかと思えば、田老駅を出ると一瞬で田老駅へ到着。田老~新田老駅間はわずか500メートルほどしか離れていないようです。

11時28分頃、列車は(終点の)田野畑駅に到着。普段はいち途中駅に過ぎませんが、本日はここまでとなります。宮古駅を過ぎてからもなお雨足が強く、定刻よりも4分ほど遅れての到着となりました。

田野畑駅は山あいに設けられた田野畑村の中心駅で、しっかりと駅舎こそあるものの強制的に降ろされた乗客はこの駅舎の中で代行バス到着までの約2時間を待つほかありません。単なる普通列車乗り継ぎの旅であれば2時間ほどの待機もやむなしというところですが、本日ここで代行バスを待っていては「TOHOKU EMOTION」に間に合わないのです。そこで…。

今回は「田野畑観光タクシー」さんにお願いして、田野畑駅から久慈駅まで運んでいただくことにしました。

三陸鉄道から委託された代行輸送」というわけではなく完全に個人で手配しただけなので、もちろん通常のタクシー代がかかります。しかしそれも覚悟の上で、宮古駅停車時間中に電話をかけてみたところ、列車の到着に合わせ田野畑駅前で待機してくださるとのことで、快諾していただきました。本当にありがとうございます!

なお田野畑駅から久慈駅までは40キロ以上離れており、通常タクシーで移動するような距離ではありません。しかし田野畑の交通手段は三陸鉄道を除くと地域内を循環するコミュニティバス程度しかなく、また手前の宮古駅から盛岡方面に高速バスや在来線で抜けて遠回りをしても久慈駅に間に合う見込みはなかったため、最後の手段としてタクシーを選択しました。

タクシーで田野畑駅を出発し、いったん幹線道路がある内陸方面へ向かいます。なおこの大雨の影響で三陸沿岸道路にも一部区間で通行止めが発生しているようで、本来ならば田野畑中央ICから入りたかったところ、一般道で普代まで向かいその先で三陸沿岸道路へ入るようです。

国道45号を通り、途中普代駅前もかすめていきました。普代駅は道の駅が隣接しているようで、鉄道は始発から運休しているものの駐車場には多数の車が止まっていました。

普代ICより三陸沿岸道路へと入り、一気にスピードが上がりました。高速道路ではあるものの、高速料金は無料だそうです。

途中爆睡しているうちに、タクシーは無事に久慈駅へと到着。田野畑駅からの所要時間は50分ほどで、本来の鉄道運行時刻よりも少しだけ早く到着することができました。

なお気になるタクシー代ですが、15,810円となりました…。同行者1名もおりましたので1人あたり8,000円ほどにはなったものの、なかなか痛い出費です。

とはいえ悪天候の中で長距離を走ってくださった田野畑観光タクシーさんには感謝してもしきれません。また、本来全区間を乗り通すはずであった三陸鉄道の方も未乗区間を残す形となりましたので、またいつか再訪したいと思います!

昼食は久慈駅から歩いてすぐのところにある「道の駅くじ」にて、「漁師なげこみ丼」(1,690円)と「まめぶ汁(大)」(1,150円)をいただきました。

漁師なげこみ丼は三陸海岸でとれた新鮮な海の幸がふんだんにのった海鮮丼で、大満足の一品でした! そして「まめぶ汁」はこの地域に古くから伝わる郷土料理で、クルミの入った団子がごろごろと入っています。まめぶ汁はこれより小さいサイズもありますので、お越しの際は是非ご賞味あれ!

 

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。