わたかわ 鉄道&旅行ブログ

乗り鉄&旅好きの20代男子が全国を巡る!

【目指せ地域の基幹交通】いま話題の「トランジットセンター」ってなに?

 

2023年8月26日(土)

おはようございます。本日は栃木県のJR宇都宮駅へとやってきました。

本日いよいよ「芳賀・宇都宮LRT」開業です!

芳賀・宇都宮LRTは、宇都宮駅東口~芳賀・高根沢工業団地間14.6キロを結ぶ軌道線(路面電車)です。宇都宮市芳賀町に跨り、上図の通り起終点を含め19の停留場が設置されています。

日本国内における軌道線の新規開業は1948年の万葉線以来実に75年ぶり、また完全新規のLRT路線としては日本国内で史上初の開業となります。

営業一番列車の運行は15時からですが、駅周辺では午前中より様々なセレモニーやイベント等が予定されており、朝から大変な賑わいになっています。

というのも、15~16時台に宇都宮駅東口を発車する営業列車はとりわけ大変な混雑が予想されることから、乗車人数を制限するため時刻を指定した整理券の配布が行われていました。途中駅からの乗車も見越して宇都宮駅東口からの乗車人数は1列車あたり120名に制限されており、未明から長蛇の列ができていたようです。

私が宇都宮駅に到着したのは午前8時過ぎ。宇都宮駅東口停留場のホームへと続くエスカレーターはまだ封鎖されておりましたが、もうあと6~7時間ほどでこの柵も撤去され、いよいよ開業を迎えます。

残念ながらこの宇都宮駅東口での整理券を入手することが極めて困難であることは予想していたので、今回私は終点の芳賀・高根沢工業団地を発車する上り一番列車を狙おうと思います。こちらであれば乗車人数の制限があったとしても朝早い時間からの整理券の配布はなく、停留場に到着した先着順で乗車できる予定とのことです。

もちろん営業運転開始前に宇都宮駅東口から芳賀・高根沢工業団地へ向かうにはバスを利用することになります。まだ15時まで時間がありますので途中いくつかの場所に立ち寄りながら向かっていくことにします。

と、いうわけで反対側の宇都宮駅西口へとやってきました。こちらの方が市街地に面しており、古くから発展してきた正面というイメージです。

まずは3番乗り場より、8時59分発のJRバス関東 モビリティリゾートもてぎ行に乗車します。土日祝日に1日1本のみ運行されている便で、乗車位置にはこれまた長い列ができています。

芳賀・宇都宮LRTの開業に伴い、JRバス関東宇都宮支店では8月27日(日)にダイヤ改正が行われます。従来は宇都宮駅を拠点に各方面へ運行されてきた路線バスですが、LRTの開業によってその運行形態を大幅に変更し、沿線のトランジットセンターを拠点とする運行に変わるためです。

この「モビリティリゾートもてぎ」便については本日をもって運行終了、すなわち今乗車しているこの便がラストランとなるわけです。行楽客のみならず、バスファンの方も多く乗車されていました。

15分ほど乗車し「ベルモール前」で下車。鬼怒通りに面した、ロードサイド型の大型商業施設です。広場にはLRTの車両を模した遊具もありました。

鬼怒通りの中央に敷かれた軌道上には、宇都宮大学陽東キャンパス停留場が設置されています。交差点を挟んで互い違いになる構造で、限られたスペースの中でうまく上下線のホームを配置しているようです。

そしてこの場所には、宇都宮駅東口を出て1つ目のトランジットセンター「ベルモール前トランジットセンター」が設置されています。トランジットセンターとは交通結節点のことで、フィーダーバスへスムーズに乗り換えられるようにバス停を設けたり、パークアンドライドが可能となるよう駐車場を設けたりしてLRTが地域の基幹交通となることを目指して設けられています。

ベルモール前トランジットセンターは、ちょうどLRTの下りホームを降りて横断歩道を渡った先にあります。関東自動車により単なる「バス停」といえばそれまでですが、スペースも限られていますので致し方ないのかもしれません。本格稼働は明日からということもあってか、まだ整備中といった様子でした。

ここからは少し、鬼怒通りに沿って東側に歩いていこうと思います。次の平石停留場はトランジットセンターであるのみならず、車両基地もあり、かつ待避設備まで備えた最強の停留場です。通行止めになっている道路もあるので、上図の赤い点線矢印に沿って遠回りをしながら歩きます。

少し歩くとLRTの軌道は高架となり、右側へカーブしていきます。この様子を見るともっぱら「路面電車」というよりは完全に「普通鉄道」のような雰囲気です。

新4号国道の高架下をくぐり、さらに先の平石中央小学校前停留場の近くまで歩いてきたところでようやく踏切があり、軌道を越えることができます。しかし踏切とはいっても遮断機はなく、この部分は一般的な鉄道路線とは大きく様子が異なります(一部地域では遮断機のない踏切をもつ鉄道路線もありますが)。

そして再び新4号国道の下をくぐると、何とベストタイミングでちょうど目の前にLRTの車両が現れました!!!

平石にある車両基地から出庫し、この後宇都宮駅東口方面へと向かう回送列車のようです。まだすぐに営業運転に充当されるわけではなく、午前中に宇都宮駅東口周辺で行われるセレモニーで使用されるものと思われます。

2面4線の豪華な設備をもつ平石停留場。先ほどの送り込み回送は4番線で数分間運転停車をしたのち、宇都宮駅東口方面へと発車していきました。この黄色く縁どられた車体は「HU300形」という形式だそうで、私は平石でのこの瞬間が初対面となりました。めちゃくちゃカッコいい!!!!

また先述の通り、ここ平石停留場には「平石トランジットセンタ」が設けられています。ベルモール前と同様にこちらもバス停は路肩に設置されているのみですが、その横には駐輪場も整備されています。まだカラーコーンで封鎖されていますが、営業運転開始後には多くの地元の方がここに自転車を停めてLRTへ乗り換え、学校や会社に向かわれる光景が日常となることでしょう。

駅のすぐ南側には、真新しい車両基地があります。一部時間帯にはこの平石を始発・終着とする列車も設定されており、本日は宇都宮駅東口のみならずここ平石を15時ちょうどに発車する列車も運行されます。

平石停留場から南に1.4キロほど歩き、ようやくJRバス関東の「岡」バス停に到着。炎天下の中、遮るものもない見渡す限りの田んぼの中をひたすら歩くのはなかなか過酷でした。

10時25分発のJRバス関東 芳賀町役場行が3分ほど遅れて到着。これに乗車し、次のトランジットセンターを目指します。

バスは鬼怒橋を渡り、鬼怒川を越えていきます。芳賀・宇都宮LRTの橋梁はこれとは別に架けられており、このバスは軌道からは少し離れた場所を走行しています。

10分少々乗車し、10時42分頃に清原中央公園バス停へと到着。人通りもなければ、コンビニも民家も見当たりません。

この地域は「清原工業団地」の一角で、バス停から北に少し歩くと芳賀・宇都宮LRT清原地区市民センター前停留場があります。またその先には続いてグリーンスタジアム前停留場もありますので、続いてはこの2ヵ所を見ていきましょう。

まずは清原地区市民センター前停留場。こちらは1面2線の島式ホームです。少し見切れていますが待合室もあり、列車を待つ間も暑さ寒さや雨風を凌げるようになっています。

まだホームへは立ち入れないものの、既に発車標は稼働を開始していました。回送が表示されているのは何とも不思議ですが、その一つ下の15時30分発というのはこの後芳賀・高根沢工業団地を15時ちょうどに発車する上り一番列車のことであると思われます。

清原工業団地内の中核をなすこの停留場では「清原地区市民センター前トランジットセンター」が整備されています。清原工業団地内を循環するバスのほか、清原台・ゆいの杜・市塙駅方面等を結ぶフィーダーバスの運行が予定されており、トランジットセンターの規模感も含め先に訪れた2ヵ所とは大きく異なります。JRバス関東ダイヤ改正後は、これまでの宇都宮駅に代わりこのトランジットセンターがバスの運行拠点の一つに定められており、宇都宮駅清原工業団地間の移動は今後芳賀・宇都宮LRTがその大部分を担う予定です。

清原地区市民センター前トランジットセンターを離れ、少し北に向かって歩いていきます。

この区間は一応「併用軌道」ということになってはいますが、軌道は道路の片側に全て寄せられており、線路の様子を見ても路面電車というより一般的な鉄道路線のような見た目をしています。

さらに数分歩き、到着したのはグリーンスタジアム前停留場。こちらはトランジットセンターではありませんが、2面4線構造をしており、列車の折り返し運行も可能な構造となっています。ただしスペースの都合上か上下線のホームが離れているため、交差点のあちら側とこちら側にそれぞれ島式ホームが1つずつ設置されている何とも不思議な造りで、片方だけ見るとホームが1本のほかに通過線があるようにも見えてしまいます。

グリーンスタジアム前停留場から東に1キロほど歩き、清原台3丁目バス停へとやってきました。強烈な日差しがギラギラと照り付ける中、再びバスを待ちます。

11時36分発のJRバス関東 芳賀町役場行(8分遅れ)に乗車。ゆいの杜方面へと向かいます。

清原台を抜け、県道69号に出ると再びLRTの軌道が見えてきます。ここからは工業団地とはうってかわって、ロードサイド型の店舗が立ち並ぶ「ゆいの杜ニュータウン」です。

5分ほどの乗車で「ゆいの杜たいらや前」バス停に到着。ここで降りる予定はありませんでしたが、あまりにも暑すぎるので近くのスタバで少し休息を取ろうと思います。

ここにはちょうどLRTゆいの杜中央停留場があり、宇都宮駅周辺と似た構造の併用軌道になっています。ロードサイド型店舗が多く並ぶニュータウンの街並みの中に路面電車が通る光景もなかなか新鮮です。

休息を終えて、ゆいの杜たいらや前より13時27分発のJRバス関東 茂木駅に乗車。このバスが本日一番の混雑でして、約15分遅れでやってきました。灼熱の歩道で予定より15分も多く待つのはしんどい…LRTの開業が待ち遠しいです(あと1時間少々で開業しますが)。

混雑の理由は明白で、このバスが芳賀・高根沢工業団地発の上り一番列車に間に合う宇都宮駅方面からの最後のバスだからです。宇都宮駅とは異なりこちら側では未明からの乗車待ちの列はできていなかったようですが、しかし最終的には相当数の鉄道ファンが押し寄せる形となりました。

定刻よりも23分ほど遅れ、13時53分頃に芳賀バスターミナルへと到着。案の定ここで大半の乗客が下車する形となりました。

ここには清原地区市民センター前と並び主要な交通結節点となる「芳賀工業団地トランジットセンター」が設置されます。普通鉄道の駅前ロータリーのような広大な敷地で各種二次交通の乗降場所が設けられており、フィーダーバスは主に市塙駅茂木駅・祖陽が丘(うようがおか)団地方面への接続が行われます。

また、1つの系統のみではありますが、従来通り宇都宮駅方面から直通するバス路線も存続します。これまで使用されてきた芳賀バスターミナルの機能はこちらのトランジットセンターに集約され、旧バスターミナルは駐車場・駐輪場としての整備が予定されているようです。

トランジットセンターとしてはこの芳賀工業団地が最後で、この先のLRT区間では他の交通手段との結節点はありません。芳賀バスターミナルから芳賀・高根沢工業団地停留場までは2キロほど離れており、徒歩で向かいます。

この途中には芳賀・宇都宮LRTで最も勾配のきつい区間があります。何と碓氷峠にも匹敵すると言われており、確かに実際に歩いてみると上り下りの激しい谷底のようになっています。

 

この後は芳賀・高根沢工業団地からいよいよ営業列車に乗車しますが、長くなってしまったので別の記事にしたいと思います。

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。