みなさんこんにちは! わたかわです。
今回は高崎線の特急列車をオトクに利用する裏技についてご紹介していきます。
東京都心と埼玉・群馬方面を結ぶことで知られるJR東日本の「高崎線」では、現在3種類の特急列車が運行されています。関東有数の温泉地である草津温泉の玄関口「長野原草津口」まで走る特急が〔草津〕、そして高崎以南のみで平日に運行される〔スワローあかぎ〕と土休日のみ運行される〔あかぎ〕です。東京都心~高崎間では上越新幹線も並走するため、本数がものすごく多いというわけではありませんが、特に新幹線の停車しない駅等へ向かう際には今でも重宝されています。
今回は所用で高崎へ出かけたいと思います。県庁所在地の前橋を差しおいて群馬県最大のターミナル駅となっている高崎駅は、上越・北陸新幹線についてもかなりの本数が停車しますが、今回は節約のため特急草津を利用していきます。
特急草津といえば、令和の今も始発駅は北の玄関口である上野です。昔ながらの面影が残る頭端式の地上ホームから発車していく光景は首都圏民ならおなじみかと思いますが、しかし今回は上野ではなく、少し先の赤羽駅から乗車していきます。
というわけで、地上ホームではなく上野東京ラインが発着する高架ホームへと移動し、上野12:10発の特急草津3号に5分先行して発車する上野12:05発の籠原行へと乗車していきます。
列車は上野を発車し、広大な車両基地を横目に尾久駅へと到着。そして、その次の駅が今回の要となる赤羽駅です。
普通列車は12:14に赤羽駅へと到着し、同じホームで後続の特急草津3号を待ちます。上野~赤羽はそこまで距離があるわけではないため、特急と普通列車で所要時間に差はほぼなく、どちらも9~10分程度といったところのようです。
ホームで待っていると、すぐに向こう側から白いタキシードボディの車両が入線してきました。改めてこちらが今回乗車する、赤羽12:19発の特急〔草津3号〕長野原草津口行です。上野を定刻で発車し、次の停車駅がこの赤羽となります。
始発駅の上野と違い、途中停車駅である赤羽は停車時間もわずかなので早速乗り込んでいきます。定刻通り赤羽を発車。
今回は自由席を利用しています。列車は7両編成で、前から7号車、6号車…の順で一番後ろが1号車となっています。このうち自由席は2・1号車の2両です。一大観光地の草津温泉へと向かう観光客輸送を主眼におく特急ということで、この日は平日だったためそこまで混雑している様子はありませんでした。
草津・あかぎ・スワローあかぎに使用される特急車両「651系」は今から30年以上前の1989年に常磐線特急「スーパーひたち」としてデビューした車両で、かつては上野~いわき・仙台駅間で運行されていました。JR東日本発足直後の車両ということで、フォルムにはオリジナリティがありながらも、車内の随所に国鉄の雰囲気を多く残す貴重な車両となっています。普通車の座席も、近年デビューする車両とは大きく異なるふかふかの座り心地で、お尻が沈み込むような快適さがあります。
赤羽~大宮駅間では多数の列車が運行されている複々線区間ということで、この草津号も京浜東北線とのデッドヒートを繰り広げます。しかし荒川を渡ると京浜東北線はすぐに川口駅へと停車しなければならないため、すぐにこの草津号が大きく引き離すことになりました。
さて、それでは今回のメインテーマでもある「上野から乗車せずに赤羽から乗車した」ことについて、その理由を詳しく説明していきたいと思います。
そもそもJRの特急料金というのは、乗車距離に応じて設定されています。しかし運賃ほど小刻みではなく、おおむね50kmごとに増えていく仕組みです。
今回乗車している草津号には自由席の設定があります。赤羽~高崎駅間の営業キロは91.8kmということで、ギリギリ100km以下の950円が適用されています。しかしこれを上野から乗車することになると、上野~高崎駅間の営業キロは101.4kmということでギリギリ100kmを上回り、一つ上の1,360円の自由席特急料金が適用されることになります。
先ほど見ていただければわかる通り、上野~赤羽駅間は約10kmほどしかなく、普通列車と特急では所要時間の違いなどほぼありません。しかしこのわずかな駅間に料金の境目があり、410円もの差が生じることになるのです。これはかなりの差だと思いませんか?
首都圏の普通列車にはグリーン車が連結されていますが、参考までにあちらは平日51km以上の場合1,000円となっています。つまり赤羽~高崎駅間で言えば、平日は普通列車グリーン車よりも50円安く特急に乗車できるというわけです。普通列車グリーン車も決して快適でないわけではありませんが、特急に比べると停車駅は非常に多く、またE231系・E233系のグリーン車も651系の普通車の座席に比べれば座り心地は劣ると言わざるを得ません。
赤羽を出た列車は、続いて浦和と大宮に停車します。これだけ見ると上野~大宮駅間は新幹線に比べればかなり停車駅が多く、所要時間の面でも普通列車とは大差ないというのが正直なところ。宇都宮線・高崎線・湘南新宿ラインの列車を待避することもありません。
しかし大宮で宇都宮線と分かれると、一気に列車はスピードを上げて特急らしい走りを見せてくれるようになります。大宮を出ると次は新幹線接続駅の熊谷までノンストップで、その次に停車するのは今回の目的地・高崎となります。大宮~高崎駅間でここまで快調な走りを見せるのは特急の中でも草津号のみで、あかぎ・スワローあかぎは途中の上尾、桶川、北本、鴻巣、熊谷、深谷、本庄、新町と非常に多くの駅へと停車していくため、車両は草津号と同じでももしかすると普通列車との差を感じにくいかもしれません。
上越新幹線・秩父鉄道と接続する熊谷駅は全国有数の「暑いまち」としても知られています。多くの場合、この熊谷に停車する新幹線は次の本庄早稲田へも停車するのですが、特急草津号は近接する本庄駅さえも停車しません。
特急列車の車内なら、優雅に昼食を取ることもできます。新幹線だと大宮~高崎は本当にあっという間ですが、その点在来線特急なら車窓を楽しみつつ程よい所要時間といえそうです。
そして13:31に列車は定刻通り高崎へと到着。草津号はこのあと上越線・吾妻線へと入っていきます。私と同じように高崎で降りられた方もかなりいらっしゃるようで、並走する新幹線があるとはいってもやはり安くて快適な在来線特急の需要は小さくないのだと感じました。
というわけで、今回は高崎線の特急で高崎に行く際にお得な利用方法についてご紹介しましたがいかがだったでしょうか。
今回ご紹介した裏技は「50kmごとに特急料金が上がる」という仕組みさえ知っていれば他の路線にも手軽に応用できます。
(以下、一例)
東海道線特急〔踊り子〕
東京~熱海(104.6km)よりも品川~熱海(97.8km)がオススメ
中央線特急〔あずさ〕〔かいじ〕
新宿~甲府(123.8km)よりも立川~甲府(96.6km)がオススメ
〔成田エクスプレス〕
池袋~成田空港(101.4km)よりも新宿~成田空港(96.6km)がオススメ
最近の首都圏の特急列車では”自由席”が廃止される傾向にあるため、必ずしも「100km以内なら950円で乗れる」というわけではありませんが、いずれの座席等級においても「100kmを境に料金が切り替わる」という点は共通していますので、遠方にお出かけの際は是非参考にしてみてください!
今回も最後までお読みいただきありがとうございました。