わたかわ 鉄道&旅行ブログ

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【いざ上越国境へ】年末年始おなじみのリバイバル特急「水上」全区間乗車

 

2022年12月31日(土)

今回は上野駅へとやってきました。

上野駅といえば、古くから「長距離列車のターミナル」の一つとして東北・上信越・北陸方面に向かう優等列車が数多く発着してきました。新幹線が網の目のように張り巡らされた現代においてその役割は薄れてきていますが、今なお新幹線・特急にとって重要な役割を果たす駅であることに変わりはありません。

今回はそんな上野駅からある列車に乗っていきます…が、腹が減っては戦はできぬ。

ちょうど本日は2022年の大みそかということで、お昼ご飯に年越しそばをいただくことにします。

エキュート上野3Fにある「国産二八蕎麦 蕎香」さんにて「海老天かけそば」(970円)を注文。エキナカのお蕎麦屋さんですが、よく改札口付近やホーム上にあるようなお店よりやや高級志向のお店になっています。

黄金に光り輝く海老天は衣がサクサクで、香り高い蕎麦との相性も抜群。おまけでついてくるししとうの天ぷらが味にアクセントを加えてくれます。

さて、本題に戻ります。今回乗車するのは、上野13時00分発の特急〔水上91号〕水上行です。「すいじょう」じゃありませんよ、「みなかみ」と読みます。

使用車両は主に〔草津〕〔あかぎ〕〔スワローあかぎ〕で活躍する651系。かつて常磐線の特急〔スーパーひたち〕として活躍していました。

前面の表示にもある通り、この〔水上91号〕は年末年始恒例で設定される臨時列車です。今シーズンは12月29~31日が下り(上野→水上)、1月2・3日が上り(水上→上野)の運航日となっています。

この特急〔水上〕、かつては定期列車でした。1985年にエル特急〔新特急谷川〕の名で運行が始まり、1997年に上越新幹線で〔たにがわ〕の運行が始まるとエル特急〔新特急水上〕へと改められました。

エル特急、新特急の呼称はやがて廃止され、2002年に特急〔水上〕へと名称変更。特急〔草津〕との併結運転が行われてきましたが、利用者数減少を理由として2010年に定期運行取りやめとなりました。

その後は曜日や季節を限定しながら臨時運行が続けられ、近年は概ね「年末年始のみの臨時運行」という形で落ち着ています。なお現在〔草津〕との併結運転は行っておらず、〔水上〕単独で上野~水上駅間を結びます。

それではいざ車内へ。今回は普通車指定席を利用していきます。

651系国鉄分割民営化直後の1989年にデビューした車両で、モケットの色や座席の形状に少々古さを感じるもののふかふかで座り心地は抜群。グリーン車かと見紛うほどの重厚感があります。

13時00分、列車は定刻通りに上野駅を発車。車内はかなり混雑しており、完全な満席とはいかないものの通路側まで多くの席が埋まっています。

列車は前から7号車、6号車…の順で、一番後ろが1号車となります。指定席は7号車から3号車で、このうち4号車はグリーン車となっています。自由席は2・1号車です。

鶯谷・日暮里の辺りをゆっくりと通過し、やがて車窓左手に見えるのが尾久車両センター。かつては上野発着のブルートレインも日中ここで休憩する光景が見られましたが、現在はそんな姿も幻となっています。

途中の停車駅は赤羽、浦和、大宮、上尾、桶川、熊谷、深谷、本庄、高崎、新前橋、渋川、沼田、後閑です。特急にしてはやや多いように感じますが、これは特急〔水上〕自体が「速達性」よりも「目的地まで乗り換えなしで行きたい」というニーズに応えるべく設定されている列車であることの表れであると感じます。

上野~水上駅間の距離は160.5キロ。この区間のB特急料金は通常2,290円のところ、年末年始は最繁忙期にあたるため400円増となり2,690円です。新幹線で上野~上毛高原駅間を利用した際の特急料金(普通車指定席/最繁忙期)が3,570円ですので、この価格差では新幹線と並走する特急の存続が困難であることもよく分かります。

列車は赤羽浦和とこまめに停車してさいたまスーパーアリーナの横を通過。どちらの駅でも相当数の乗車があり、車内はさらに混雑していきます。

列車は13時27分に大宮駅を発車。鉄道博物館を横目に宇都宮線と分かれ、こちらは高崎線上越線方面へと進みます。

座席前方のポケットには、2023年春のダイヤ改正より高崎線系統の特急で新たに導入されるE257系リニューアル車両のパンフレットが入っていました。現行の特急〔草津〕は列車名を〔草津・四万〕へと改め、特急〔スワローあかぎ〕〔あかぎ〕は全て〔あかぎ〕に統一されます。〔草津・四万〕〔あかぎ〕とも全車指定席になりますので、臨時運行の〔水上〕で自由席が設定されるのも今シーズンが最後かもしれません。

大宮~熊谷駅間では途中上尾桶川に停車します。特急〔草津〕ならここはノンストップで走り抜けるところですが、〔スワローあかぎ〕〔あかぎ〕は同区間でこの2駅以外に北本と鴻巣にも停車するため、ちょうどその間を取っているという感じがします。

上野を出てから約1時間、14時01分に熊谷駅を発車。いったん近づいた新幹線の高架が再び離れていきます。

熊谷~高崎駅間における途中停車駅は深谷本庄。〔草津〕ならこの区間も同様にノンストップで駆け抜けてしまうところです。〔スワローあかぎ〕〔あかぎ〕とは役割が異なるため比較が難しいところですが、特急列車としての性格が似ている〔草津〕と比較しても停車駅が多めに設定されているという点においてはこの〔水上〕が厳しい状況に置かれていると感じざるを得ません。

しばらく走ると、車窓左手には綺麗な山が見えてきます。方角的におそらく浅間山…かと思います(違ってたらすみません)。雲は出ていますが晴れていて良い天気です。

14時31分に高崎駅を発車。群馬県内最大のターミナル駅だけあり、乗降の激しい駅です。

高崎線は全区間に渡って新幹線と並走しているため、実は上野駅で仮にこの特急〔水上91号〕に乗り遅れても、その後上野駅を13時30分に発車する新幹線〔あさま613号〕(東京13時24分発)に乗れば高崎駅へ先回りすることができます。

高崎駅からはそのまま上越線へと入り、水上駅を目指します。途中、車窓右手には赤城山がとてもよく見える区間があり、多くの乗客が窓の外にカメラを向けていました。

14時48分に列車は渋川駅へと到着。吾妻線長野原草津口および万座・鹿沢口方面へと分岐する主要駅で、上越線においてはこれより先が通常在来線特急の運行のない区間となります。

伊香保温泉の玄関口としても知られる渋川駅では、旅行客と思われる層を中心に多くの方が降りていきました。私のような鉄道ファンの場合はとにかく終点まで乗り通すことに重きを置く場合が多いため、必然的に車内の客層としては鉄道ファン率が高まっていきます。

渋川駅を出ると、列車は利根川を渡ります。高崎線上越線利根川は並走する区間も多く、時にこのように交差することで美しく開けた景色を楽しむことができます。

しかしそこからさらに数キロ進むと、一気に車窓は雪景色へと様変わりします。同じ利根川でもこちらは渓谷を渡してある橋の上ですので、先ほどの場所とは景色のイメージが大きく異なります。

15時07分、列車は沼田駅へと到着。かつては毎年8月頃に「たんばらラベンダー号」という臨時列車がここ沼田まで運転されていた記憶がありますが、近年ではめっきり聞かなくなりました。比較的大きな街ですが、新幹線にスルーされてしまったことで基本的にやってくるのは普通列車のみです。

最後の途中停車駅である後閑を過ぎると、より一層美しい雪景色が広がります。山々を見てみると、手前側は雪が積もっていないのに対して少し奥にある山はしっかりと雪を被っています。これがおそらく群馬県側と新潟県側の境目にあたるのでしょう。

上野を出てから2時間22分、15時22分に列車は定刻通り終点の水上駅へと到着。駅舎に最も近い1番線へと入線しました。

かつて常磐線の特急として活躍していた車両が今こうして群馬の山奥に停車している光景は何とも不思議な感覚ですが、この光景ももしかすると今シーズンが最後かもしれません。

また、特急〔水上〕自体が臨時列車ですので、必ずしも来シーズン以降設定されるとは限らず、特に3月に控えたダイヤ改正高崎線系統の特急は大幅に刷新されることになりますので、車両をE257系にするなどして運行が継続されるかどうかも目が離せません。

乗客全員の降車を確認した後、列車は高崎方面へと回送されていきました。

 

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。