2024年8月8日(木)
本日は東海道新幹線の新横浜駅へとやってきました。これから、飛行機を利用して島根県の出雲へ向かいたいと思います。
首都圏に住んでいると、空港として真っ先に思いつくのは羽田空港・成田空港です。いずれの空港にも国内線・国際線両方が就航していますが、特に国内線の空路が充実しているのは羽田空港の方でしょう。
新横浜駅から羽田空港はリムジンバスで30~40分ほどあれば移動することができます。しかし本日はお盆へと差し掛かる日でもあり、羽田~出雲を結ぶ便は絶賛価格高騰中。
ということで、今回は羽田空港でも成田空港でもない、個人的に穴場だと思う空港から飛び立ちたいと思います。その穴場の空港へ向かうべく、新横浜11時21分の〔ひかり509号〕岡山行に乗車。
車内では少し早めのお昼ご飯に、炭火焼牛カルビ弁当(1,100円)をいただきます。甘いたれのしみ込んだお肉がご飯によく合います!
乗車すること約40分、12時02分に静岡駅へと到着。ここで新幹線を降り、改札口へと向かいます。
静岡駅のコンコースには、東海道新幹線開業60周年を記念したモニュメントが展示されておりました。
…とまぁそんなことはさておき、果たしてここから一体どうやって出雲へ向かうというのか…。
静岡は本日雲一つない絶好のおでかけ日和。せっかくなら名物のさわやかでハンバーグでも食べていきたいところなのですが、あいにくそんな時間はありません。
ここからどのようにして出雲へ向かうのか…というと、そう。静岡空港を利用するのです。
静岡駅の北口14番乗り場からは、静岡空港へと向かうバスが発車します。乗車するのは静岡駅前12時25分発で、行先は「富士山静岡空港行」と表示されています。
しばらくすると、新静岡駅にて若干名の乗客をのせたバスがこちらへやってきました。静岡駅北口の乗り場ではそこそこ長い乗車列ができています。
列の後ろの方でしたが無事に乗り込むことができ、バスは静岡駅前を出発。これより途中数ヵ所の停留所を経由しながら、静岡空港へと向かいます。なお交通系ICカードも利用でき、静岡駅~静岡空港間の運賃は1,100円でした(2024年10月1日より1,200円へ改定されたようです)。
静岡駅~静岡空港は約35km離れており、アクセスは決して容易ではありません。この距離、鹿児島中央駅~鹿児島空港とだいたい同じくらいなので、市街地~空港の距離としてはかなり離れた部類になるかと思います。そもそも静岡空港の所在地は静岡市ではなく牧之原市と島田市の境目辺りにあり、焼津市や藤枝市をも飛び越えた先になっています。
途中東名高速道路も使い、吉田ICで降りてからはのどかな田園風景の広がる一般道を進みます。こんなところに本当に空港があるのか…と不安になります。
静岡駅から約50分ほどで、ようやく静岡空港に到着!
新横浜駅を出てから既に約2時間が経過しております。
静岡空港は2009年に開港し、今年で15周年を迎えました。「富士山静岡空港」の愛称が付けられていますが、肝心の富士山はここから80kmほど離れています。
ターミナルビルへ入り、2階へ上がるとフードコートや土産物店があります。お昼ご飯はここで食べてもよかったかもしれません。
2024年夏現在、静岡空港に就航する国内線の行先は札幌(丘珠/新千歳)、出雲、福岡、熊本(8/9-18のみ)、鹿児島、那覇。また国際線はソウル(仁川)、上海(浦東)、杭州、台北(桃園)への便があります。国際線で毎日就航しているのはソウル便のみで、静岡17時55分発となっています。
この時間帯、国際線の出発はなかったものの国内線で新千歳便と私の乗る出雲便の2便の出発時刻が近かったため、保安検査場はやや混雑。1レーンのみの開設で、お盆につき手荷物検査に不慣れな乗客も多いため、流れはやや悪かったように見えました。
無事に保安検査を済ませ、搭乗開始まで搭乗口付近で待機します。普段羽田空港ばかり利用する私としては、保安検査をくぐった後は左右を見渡して目的の搭乗口を歩きながら探すという印象がありますが、ここ静岡空港の搭乗口は5番・6番の2つしかないようでした。
今回私が利用するのは静岡空港14時15分発のFDA185便 出雲空港行です。静岡→出雲を結ぶ便は1日1往復のみで、約2か月前に予約したところ13,840円でした。JRで静岡~出雲市駅間を移動すると乗車券のみで11,000円、そこにさらに特急券等が上乗せされることを考えると、鉄道より安いことは間違いありません。
静岡空港を発着する国内線については、新千歳便の一部と那覇便を除き全てFDA(富士ドリームエアラインズ)による運航で、かつその全てがJALとの共同運航便になっています。
FDAは2008年に設立された新しい航空会社で、静岡・名古屋(小牧)・神戸の3空港を拠点に就航しています。東京(羽田・成田)や大阪(伊丹・関西)には一切就航しておらず、首都圏育ちの私としてもあまり馴染みがないというのが正直なところです。
使用される機材は小型ジェット機で、1機ごとにカラフルな塗装がなされています。これらは「エンブラエルE170/175シリーズ」と呼ばれ、中でも今回出雲便に使用されるのはイエローの機材でした。
いざ搭乗が始まり、機内へ進みます。座席は2+2列の配置で、左から順にA,C,H,Kという不思議なアルファベットの振り方になっていました。私は右の窓側席なのでK席です。
各座席背面のポケットには各種案内が入っており、その中には「小型機材につき座席を勝手に移動すると重心が変わり影響があるかもしれないので指定された座席に座るように」という旨のお願いも入っていました。もちろんどんな航空会社でも指定された座席に座るのは当然ですが、このような案内は小型機材を保有する航空会社ならではという感じがします。
乗車率はパッと見たところ9割程度でしょうか。定員80名ほどの機材ですので、乗客全員の搭乗にはそれほど時間を要しません。出発時刻の約8分後、14時23分頃にいよいよ機体がターミナルビルを離れ、動き出しました。
そして…いざ離陸!
機体が地面を離れると、まず眼下に広がるのは牧之原の田園風景と茶畑です。空港周辺にそれほど建物が密集しておらず、市街地から遠く離れた場所に造られたことがよく分かります。
その後は御前崎付近の上空を旋回しつつ、太平洋へと出ながら少しずつ西へ進路を取ります。
羽田空港を離陸するとまず見えるものといえば横浜みなとみらいや東京湾の工業地帯の景色がおなじみですが、それとは全く違った景色がとても新鮮です。
機内のドリンクサービスでは温かい静岡茶がいただけるということで、せっかくなので静岡茶をチョイス。またシャトレーゼの「梨恵夢」という焼き菓子もついてくるので、なかなか得をした気分です。
美味しいお茶と焼き菓子に舌鼓を打っているうち、飛行機は名古屋を過ぎて木曽三川の上空を進んでいます。濃尾平野の地理を語る上では欠かせない存在で、左から順に揖斐川・長良川・木曽川となっています。
その数分後には、早くも滋賀県に入り琵琶湖上空へ。琵琶湖は北部上空を飛行するようで、進行方向右側からはわずかな時間しか見ることができませんでしたが、それでも素晴らしい眺めです。
やがて関西へと差し掛かり、進行方向右手には若狭湾の複雑に入り組んだリアス海岸が見えます。ちょうどこの辺りは福井県おおい町付近で、画像右側に見切れている市街地が小浜市です。
さらにその先では、京都府宮津市にある日本三景の一つ「天橋立」もはっきりと確認できました。実際にその土地を訪れるのとはまた違った形で、上空から景色を楽しむことができるのは飛行機の特権です。
いよいよフライトは佳境へ差し掛かり、右手に見えてくるのは鳥取の市街地です。日本海に面した部分が鳥取砂丘でしょう、調べずとも一瞬で分かりました。
着陸間際になると宍道湖の真上で湖面すれすれの超低空飛行をします。それもそのはず、出雲空港があるのはこの宍道湖の西岸なので次に見える陸地が即滑走路というわけです。
15時25分頃、無事に出雲空港へ着陸。実は出雲の市街地と日本海は山々で隔てられており、遠くに見える山はその景色でしょう。
静岡が「富士山静岡空港」ならこちら出雲は「出雲縁結び空港」。愛称はここ10数年ほどのものですが、空港自体は1966年開港と非常に歴史が古いのも面白いところです。
出雲空港はその名の通り島根県出雲市にありますが、実際には松江市の市街地と出雲市の市街地のだいたい中間地点にあります。空港からの連絡バスは松江・出雲のほか玉造温泉方面へ運行されており、レンタカーを利用せずとも山陰各地へ移動可能です。
本日は松江市内の宿を予約しておりますので、出雲空港15時40分発の松江一畑交通 松江しんじ湖温泉駅行に乗車します。乗車券は乗車前にターミナルビル内の自動券売機にて購入することができ、運賃は松江駅まで1,050円、松江しんじ湖温泉駅まで1,150円となります。
地方空港あるある、到着便に接続する形で連絡バスが発車するため、少しでも混雑や飛行機の遅延等があるとバスも遅れて空港を出発します。今回このバスも約5分ほど遅れて、出雲空港を出発しました。
大型のバスですが、乗客は私を含めて3名ほどのようでした。何とも贅沢な設備です。
出雲空港~松江市街地までは距離にして25kmほどで、この区間については山陰自動車道が完成しているためそちらを利用します。鳥取県~山口県日本海側にかけて続く山陰自動車道は現在建設真っただ中で、開通している区間も多い一方で特に島根県内・山口県内はぶつ切りになっている部分も多く、完全には完成していません。
出雲空港を出てから30分ほどで、JR松江駅に到着。私以外の2名の方はここで降りていかれました。
そこからさらに数分で、一畑電車の松江しんじ湖温泉駅に到着。JR松江駅からは約2km離れています。
JR松江駅で降りずに松江しんじ湖温泉駅までバスを利用したのは、こちらの方が観光に便利な駅のため。松江しんじ湖温泉駅から北に少し歩くと松江城があります。松江城は日本国内に現存する12天守のうちの1つで、かつ国宝5城の一つに数えられています。
入場料は680円で、中に入り急な階段を上った先では松江市街地を一望することができます。
余談ですが、ちょうどこの頃宮崎県日向灘を震源とするM7.1、最大震度6弱を観測する強い地震がありました。お城の敷地内を歩いていたため揺れには気づきませんでしたが、松江市でも震度2の揺れを観測したそうです。
まだ外は明るいですが、松江でどうしても立ち寄りたいお店があったので早めの夕食。松江城のすぐ近くにあるレストラン「西洋軒」さんです。
こちらでは松江名物のB級グルメ「カツライス」(サラダ付/950円)をいただくことができます。薄い衣をまとったチキンカツをご飯の上にのせ、たっぷりとデミグラスソースをかけた一皿で、シンプルな組み合わせですが全てが絶妙にマッチしています。
カツライスは松江市内の複数の飲食店でいただくことができますが、やはり老舗のこちらのお店であれば間違いありません。他のメニューも目移りしそうなほど美味しそうなものばかりでしたので、また機会があれば訪れたいと思います。
お腹も満たされたところで、やはり「松江しんじ湖温泉」に来たのなら温泉へ入浴したいところ。
市街地の中に温泉宿もたくさんありますが、そんな中でリーズナブルに温泉を楽しめる銭湯「ちどり湯」さんへ向かいました。
入浴料は400円で、タオル・石鹸類等は一切ついていないため注意が必要です。浴室内は広々としており、気軽にひとっ風呂浴びた後は休憩スペースで「木次パスチャライズ牛乳」をいただきます。
のんびりしつつ、ちどり湯を後にして宿まで歩きます。宿はJR松江駅方面ですが、路線バスがそれほど充実していないのに加えて宍道湖に沈む夕陽を見たかったこともあり、歩いていくことにしました。
そんなわけで、「松江アーバンホテル2号館」にチェックイン。カプセルタイプの宿で、ゆっくり休みたいと思います。
今回も最後までお読みいただきありがとうございました。