わたかわ 鉄道&旅行ブログ

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【帰ってきた国鉄特急】引退から2ヵ月…381系〔やくも〕期間限定で運用復活!

 

2024年8月9日(金)

本日は島根県出雲市駅にやってきました。午前中の時点で既に蒸し暑く、肌にまとわりつくような暑さが堪えます。

なぜ私が今回出雲市駅に来ているかというと、元々は本日13時52分に当駅を発車し約16時間半かけて東京へ向かう「臨時寝台特急サンライズ出雲92号」に乗車するためでした。寝台券も無事に確保することができ、胸が高鳴っていたのですが…。

前日の8月8日、16時43分に宮崎県の日向灘震源とする最大震度6弱、M7.1の地震が発生。これに伴い気象庁は史上初となる南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)」を発表し、南海トラフ地震の想定震源域において大規模地震発生の可能性が通常よりも高い状態であるとして注意を呼びかけました。

この発表を受け、JR東海は8日夜の時点でサンライズ瀬戸・出雲〕〔伊那路〕〔南紀〕〔ふじかわ〕全列車全区間臨時情報解除となるまで運休させることを発表したのです。

サンライズの運休が決まってしまった以上は、他の手段で山陰を抜け出すしかありません。その筆頭として思い浮かぶのは、やはり特急〔やくも〕でしょう。こちらはJR西日本管内で完結する列車ですので、JR東海の意志決定が介在することなく本日も通常通り運行されています。

その中でも、今回乗車する出雲市9時40分発の特急〔やくも12号〕岡山行は、本日273系ではなく381系で運行されるということなのです!!!

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岡山~出雲市駅間を伯備線経由で結ぶ特急〔やくも〕では、長らく国鉄型特急車両「381系」が使用されていましたが、2024年4月より新型特急車両「273系」の運用が開始されています。2ヵ月間ほどは両者が混在する状態でしたが、今年6月に全列車が273系へと置き換えられ、381系は定期運用を終了しています

しかしながら、何とお盆期間(8月9日~18日)は下り13・29号と上り12・28号の計2往復で再び381系が運用へ入ることとなり、約2ヵ月ぶりに営業列車として出雲市駅のホームに姿を現しました。

これは273系で運行されているほかの〔やくも〕がお盆期間に4両→8両へ増結されることに伴い編成が不足するがゆえの対応で、本日は8月9日につきちょうど381系臨時運用の初日となります。

出雲市駅をはじめ一部の特急停車駅では、273系デビューに合わせて雲の形をした特別仕様の駅名標が設置されています。そのホームに長年活躍してきた381系が入線するというのは何とも不思議な感覚です。

内装・外装とも基本的には現役当時から変化はなく、座席は通路から一段高い設定になっています。

9時40分、列車は時刻通り出雲市駅を発車。この先宍道玉造温泉、松江、安来、米子、根雨、新見、備中高梁、倉敷、終点岡山に停車します。走行距離は220.7kmで、これは東海道本線の東京~菊川駅間に相当します。

デッキ部分の洗面台など、清潔に保たれてはいますがやはりデザインの古さは否めません。乗り物酔い対策としてエチケット袋も備え付けられています。

「くずもの入れ」という表現やフォントも昔ながらで、特に「たばこのすいがらは入れないでください」と注意書きがなされているところも時代を感じます。

普通車の座席は基本的に2+2列ですが、ところどころの壁面に沿ってダクトが取り付けられており、その部分は1人がけの席となっています。通路側のみ座席が置かれており、窓までは距離がある配置です。

各座席には背面テーブルがあり、ほかに荷物を掛けられるフックとポケットがあります。残念ながらWi-Fi・コンセントはなく、このため山陰各駅のみどりの窓口・券売機周辺では「旧型車両(381系)で運行する列車」のお知らせが目立つように掲示されていました。

今回もおなじみ、JR西日本e5489限定「チケットレス特急券」を購入。その名の通り原則発券は不要ですが、記念として手元に残す場合は予め発券すること「も」可能です。乗車変更や払い戻しに関して制約がある代わりに、お値段は出雲市→岡山で2,750円。同区間の特急料金は最繁忙期だと3,350円ですから、実に600円も安く乗ることができています。

朝食は、出雲市駅にて購入した牛乳とどら焼きで。「白バラ牛乳」は山陰地方に拠点を置く大山乳業農業の看板商品で、「273系やくもどら焼き」は273系の運行開始を記念して発売された商品のようです。273系のどら焼きを381系の車内で食べるという、まるでダブルスタンダードの極みのようなことをしております。

宍道松江駅間では、車窓左手に宍道湖が見えます。全国で7番目に大きな湖で、淡水と海水が混じり合う「汽水湖」のため湖畔に立つとほんのり潮の香りが漂います。

松江駅では、何と隣のホームに「トワイライトエクスプレス瑞風」が停車中。回送なのかクルーズの行程の途中か分かりませんが、とてつもないオーラを放っています。

お盆ですがまだ金曜日の午前中ということもあってか、車内は比較的空いているように見えます。鉄道ファンはちらほら見受けられました。松江・米子から帰省客・旅行客とみられる乗車が多数あり、少し乗車率が上がる程度です。

米子を発車し、伯耆大山を通過後はいよいよ伯備線へ入ります。伯備線に入ってすぐ車窓左手に見えるのが名峰「大山」で、車窓を紹介する車内アナウンスも入ります。この日はあいにく上空に雲が立ち込めており、下半分ほどしか見ることができませんでした。

上石見~新郷駅間はちょうど鳥取県岡山県の県境があり、かつ日本海と瀬戸内海に注ぐ川の流れの分水嶺ともなっています。伯備線は全線電化された陰陽連絡手段としてはほぼ唯一の路線ですが、それでも険しい自然の中を走るため乗り心地はそれほど良くありません。273系ではその辺りがだいぶ改善されていますが、381系の場合はまだまだノスタルジックな揺れを体感することができます。

単線のため、途中駅では行き違いが行われます。こちらは足立駅での特急〔やくも7号〕との行き違いで、もちろんあちらは273系です。

11時44分、列車は新見駅に到着。実はこの時点で既に出雲市を出てから2時間ほどが経過しており、全区間の3分の2ほどを走破しています。

倉敷からは山陽本線へと入り、一気に線形が向上。車窓も山がちな地形から平らな土地へと変化し、岡山へと向かいます。

12時47分、列車は定刻で岡山駅に到着。途中一時的に列車の行き違いの都合で数分程度遅れていましたが、最後は定刻での到着となりました。

国鉄”末期色”でおなじみ岡山地区の113系115系も、新型車両227系「urara」導入により数を減らしてきています。2010年代には当たり前だったこのような岡山の日常の風景も、やがて過去のものとなりそうです。

 

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。