2024年7月17日(水)
本日やってきたのは、大阪府にある京阪本線の枚方市駅。「まいかた」ではなく「ひらかた」と読みます。
駅名の通り、ここは人口約39万人を擁する大阪府枚方市の中心駅。大阪・京都のどちらにも出ることのできるベッドタウンで、駅の乗降客数は1日約8.3万人を数えます。
駅の北口・南口にそれぞれバスロータリーを擁し、赤と白の塗装を纏った京阪バスが朝早くから行き来しています。
今回はここ枚方市駅にて1時間滞在し、当ブログ恒例「朝ラッシュ実況」を行っていきたいと思います!
本企画は2022年8月の第1弾を小田急線の新百合ヶ丘からスタートし、これまで上大岡・二俣川・溝の口・千歳烏山と計5回に渡り首都圏(ほぼ神奈川県)の私鉄主要駅を取り上げてまいりましたが、第6弾にして史上初の関西進出。果たしてどんな光景が繰り広げられるのでしょうか…?
今回の観察対象は、平日朝7時台の淀屋橋(大阪)方面。枚方市~淀屋橋駅間は21.8km離れており、実に様々な種別が設定されています。上から順に「快速特急洛楽」「特急」「快速急行」「通勤快急」「急行」「準急」「通勤準急」「区間急行」「普通」の9種類が掲載されており、さらにこのほか有料種別「ライナー」も含めると全部で10種類あります。これは全国の私鉄で最多となっており、初見○しというほかありません。
ご覧の通り、京橋以西の大阪市内中心部は本線・中之島線とも全種別が全ての駅に停車しますので、停車駅の違いは主に京橋までの区間で注目していきたいと思います。
気になる運行本数ですが、何と7時台だけで驚異の25本/時。途中の寝屋川市を出た先からは複々線となるものの、しばらくは複線のみでこの本数を捌くというのですから驚きです。首都圏の混雑路線と遜色ない過密ダイヤになっています。
惜しむらくは他社線との相互直通運転を行っておらず、行先のバリエーションがいまひとつといったところ。ホームは基本3・4番線ですが、一部5番線から発車する列車もあることが分かります。
改札口は中央・東の2か所に位置しています。コンコース階は2018年にリニューアルが行われ、無印良品でおなじみ「良品計画」の協力の元で実施されました。
中央改札口付近に設置されたプレミアムカー・ライナー空席状況のモニターを確認すると、一部△や○も見られるものの多くが×の表示。淀屋橋方面のみならず出町柳(京都)方面も同様に混雑していそうです。
駅構造は3面6線と京阪最大規模で、1~4番線が京阪本線、5・6番線は私市(きさいち)方面へ向かう「京阪交野(かたの)線」です。ただし先ほどもご紹介した通り、朝の上り方面は3・4番線のみでは捌き切れないため、交野線の5番線ホームも間借りすることで何とかやりくりしているようです。
枚方市を出て、淀屋橋寄りの次の駅は「枚方公園駅」。この駅はかつて「枚方駅」として1910年に開業しており、現在の枚方市駅は「枚方東口駅」でした。しかし1949年にそれぞれ現在の駅名へと改称され、旧枚方駅と区別するためこのような名前となったそうです。枚方公園駅の南側には遊園地「ひらかたパーク」も位置しています。
ちょうど発車標が信号機器に隠されていて見にくいのですが、時刻はまもなく7時ちょうどとなりいざ観察スタート。まずは4番線から発車する7時00分発の急行 淀屋橋行です。
急行は枚方市を出ると、枚方公園、香里園、寝屋川市、守口市、京橋の順に停車します。終点淀屋橋まで先の到着となるものの、思いのほか当駅からの乗車は少なく、ホームに留まって後続の列車を待つ人が多い印象でした。なお枚方市を7時台に発車する上りの急行はこの1本のみで、これの次は何ときっかり11時間後の18時00分発まで設定されていません。
続いて2本目は、7時02分発の普通 淀屋橋行です。何と00分発の急行と同じく4番線からの発車で、同じホームに立て続けに列車が入線するようになっています。この間、とりわけ3番線側が他の列車で塞がっているというわけでもありません。
発車標には「守口市にはこの電車が先着」と表示されています。しかしこれが少々ややこしく、実際には守口市より先の土居、滝井、千林…野江までもこの列車が先の到着となります。守口市は、日中であれば快速急行や準急も停車する主要駅ですが、朝ラッシュのピークともなると普通と萱島始発の区間急行しか停車しないため、普通はこの時間帯に枚方市~守口市を乗り換えなしで移動できる貴重な存在といえます。
当駅で普通を降りた乗客の多くが向かうのは、隣の3番線です。このあと3番線に入線する特急が京橋へ先着となるため、そちらへ乗り換えます。なお4番線の普通は当駅で緩急接続を行うことはなく、すぐの発車となります。
この後4番線には、立て続けに通勤準急が入線する表示となっています。先発の7時05分発 通勤準急 淀屋橋行は「萱島で各駅停車に連絡」と表示されていますが、この「各駅停車」とは先ほど同じホームを2分前に発車した普通ではなく、その1本後に萱島始発で運行される普通のことを指します。そもそも「各駅停車」と「普通」の呼称が混在するのもややこしいところですが…。
通勤準急の停車駅は、枚方公園、光善寺、香里園、寝屋川市、萱島、京橋の順です。要は萱島まで全ての駅に停車するため、残念ながら萱島までの区間で通勤準急が普通を追い越すことは不可能といえます。
一方で先ほどもご紹介した通り、日中の準急であれば停車する守口市を通過するのがこの列車の最大の特徴。これにより遠近分離を実現しています。
さて、3番線に目を移しますと、続いてやってくるのは7時08分発の特急 淀屋橋行です。このホームは6時57分発を最後に約11分間列車の入線がなく、その間にじわじわと特急を待つ乗客の列が長くなっていく印象でした。言い換えれば、当駅からの特急の需要が大変大きく、特急の直前はなるべく3番線への入線列車を少なくすることで3番線側での整列乗車の秩序を維持しようという狙いがあるのかもしれません(100%筆者の憶測です)。
そして満を持して、特急が入線。平日ダイヤにおいては最優等種別となっており、驚くべきことに当駅を出ると京橋までノンストップで運行されます。実に16駅の連続通過となり、当駅から京橋までの所要時間は16分です。
ドアが開くや否や、このホーム上にいる乗客のほとんどが車内に吸い込まれていきます。7時台前半となるとまだ朝ラッシュのピークには少し早いはずですが、それでも乗客は必死に何とか車内へ入り込める余地のあるドアを探して乗り込んでいる様子です。
6号車にはプレミアムカーを連結しており、また出町柳寄りの最後部車両は女性専用車となっています。これほどの混雑となると、優雅に移動できるプレミアムカーの価値もより一層高まるというものです。
特急の発車後は、息つく間もなく4番線に7時10分発の通勤準急 中之島行が入線。7時台では初となる中之島線直通列車です。中之島線は2008年に開業した新しい支線で、路線図上は京橋で分岐するような描かれ方をするものの、実際には次の天満橋にも本線と同じように停車をします。また、その先のなにわ橋・大江橋はそれぞれ本線の北浜・淀屋橋と近接していることもあってか、大阪市内中心部の割に利用者が少ない路線としてしばしば話題になるようです。
ではこの10分発の通勤準急はなぜ空いているかといえば、おそらくこのさらに後続の特急の方が先に京橋へ到着するためと思われます。せっかく遠近分離のための守口市通過ですが、このダイヤの組み方では結局当駅からの乗客は後続の特急に集中してしまいそうです。
しかもその通勤準急と特急の間にはもう1本列車があり、それが5番線から発車する7時13分発のライナー 淀屋橋行です。呼称の違いからも分かる通り、この列車はプレミアムカーを連結した全車指定席の8両編成で、平日朝の淀屋橋行6本、平日夜の出町柳行5本が運行されています(このほか平日夜の淀屋橋行が1本)。朝の淀屋橋行は出町柳始発・三条始発・樟葉始発・枚方市始発のいずれかで、前者2つの場合は枚方市~京橋駅間をノンストップで走行します。後者2つの場合は途中香里園と寝屋川市にも停車するため、後ほどご紹介する通勤快急と同じ停車駅で運行されます。
13分発は交野線ホームである5番線を間借りして発車することからも分かる通り、枚方市始発です。とはいえ7時台は5番線を使用する交野線の列車が設定されていないようで、この13分発のライナーはだいぶ早くから入線し発車を待っていたようでした。
なお、当駅からのライナー券は300円となっています。ただしこれはプレミアムカー以外を利用する場合の座席指定料金を指しており、プレミアムカーを利用する場合はライナー券の購入は不要です。他の特急と同じように当駅から400円で発売されるプレミアムカー券を購入するのみでよく、かつて首都圏で運行されていた「湘南ライナー」のグリーン車のシステムと似ています。
ライナーの発車とほぼ時を同じくして、3番線にやってきたのは後の発車となる7時17分発の通勤準急 淀屋橋行。当駅で3分ほど停車し、緩急接続を行います。
お隣4番線には、先の発車となる7時16分発の特急 淀屋橋行が入線。先ほどは通勤準急が4番線で特急が3番線でしたが、完全に逆になっています。もはや優等種別がどちらのホームへ…という掟を作っていては捌き切れないほどの列車が運行されているのでしょう。
この16分発の特急にはプレミアムカーが連結されていませんが、女性専用車の運用は行われています。枚方市駅では6時29分発~9時09分発の上り特急全列車が女性専用車の対象となっています。
13分発のライナーの方が特急よりも停車駅が多いですが、16分発の特急がこれを追い越すことはありません。
こちらは16分発の特急が4番線を去り、続いて3番線の通勤準急もドアを閉めようとしているまさにその瞬間ですが、見てみると既に3番線には新たな乗車列が出来始めています。どうやらこれは、17分発の通勤準急の後に入線する24分発の通勤準急を待っている様子。「同じ通勤準急なら17分発に乗ればいいのに…」と思うかもしれませんが、24分発は何と当駅始発なので、並んでいればほぼ確実に座ることができます。
さらに、5番線でも多くの乗客が待っているのが分かります。5番線の次の列車は、7時35分発の通勤準急 中之島行です。待つ人が多いのは24分発の通勤準急と同じく当駅始発であるためかと思われますが、単に「通勤準急の着席狙い」であるならば3番線で24分発を待つ方がよほど効率が良いようにも思われます。にもかかわらずあえて当駅で15分以上待つというのは、やはり「中之島線内まで乗り換えなしで座って行きたい」という需要もあるのでしょうか…?
続いては7時19分発の普通 淀屋橋行。当然ながら京橋までは時間がかかりすぎるので、乗る人はなかなかいません。優等種別の多さのあまり普通の本数は少ないですが、当駅からであれば通勤準急が萱島まで各駅停車として機能しており、萱島からは始発の普通が多数設定されているためそれほど困るわけでもなさそうです。
19分発の普通が4番線からいなくなる前に、3番線に姿を現したのは当駅次々発となる7時24分発の通勤準急 淀屋橋行です。当駅始発が5番線以外に入線することもあるんですね…。もはやわけがわからなくなってきました。
19分発の普通の後、4番線にやってきたのは7時22分発の通勤快急 淀屋橋行。通勤快急は当駅を出ると香里園、寝屋川市、京橋の順に停車します。日中に運行されている快速急行であればこれに加えて守口市にも停車しますが、やはり通勤準急と同様に遠近分離のため通勤快急も守口市は通過となっているようです。
この5分後に特急がありますが、京橋へはこの通勤快急が逃げ切り先の到着となります。特急に集中しがちな乗客を他の列車へも分散させる意味では一定の効果がありそうです。
24分発の通勤準急が3番線から発車した後、すぐに4番線へ入るのは7時29分発の通勤準急 中之島行。こちらは25分に4番線へ入線し、当駅で4分ほど停車して緩急接続を行います。
3番線には7時27分発の特急 淀屋橋行が入線。こちらには08分発の特急と同様にプレミアムカーが連結されています。08分発・16分発と比較しても明らかに混雑が酷くなっており、いよいよラッシュ時間帯の中でもピークに差し掛かっていると感じます。
27分発の特急が出ると、すぐに同じ3番線には7時31分発の普通 淀屋橋行が入線。特急ならば20分もかからない枚方市~京橋駅間は、普通だと実に40分ほどかかります。
その31分発の普通を香里園で追い越すのが、こちら7時34分発のライナー 淀屋橋行。7時台2本目となるライナーですが、こちらは三条始発なので5番線ではなく4番線に入り、香里園・寝屋川市には停車しません。当駅を出ると京橋までノンストップで、車内の様子を窺うとプレミアムカー・普通車ともほとんど満席に近い状態です。
ライナーの後を追うように、長らく5番線に停車していた7時35分発の通勤準急 中之島行もようやく発車。なおこの後すぐに特急が迫っており、残念ながら京橋へ先着することはできません。
35分発の通勤準急発車後、5番線を見てみると早くも次の列車を待つ人の姿が多数見られます。発車標には次の列車が「7:57」と表示されており、まだあと約20分ほど時間が開くのですが、皆さんこの列車を待っていらっしゃる様子です。いくら当駅始発でほぼ確実に着席できるとはいっても、流石に朝からかなりの蒸し暑さの中で長時間待つ人が少なくないことには大変驚きました。裏を返せばそれほどまでに朝の大阪方面の京阪本線の混雑は許容し難いものであるとも取れます。
次の列車は3番線から7時39分発の特急 淀屋橋行です。7時台に入ってから列車の間隔が4分開くのはこれが初めてのことです。とはいえホームは凄まじいペースで混雑していき、一刻も早く列車が入線してほしいところですが…。
先に姿を現したのは、7時40分発の通勤準急 淀屋橋行。当駅で4分ほど停車し、緩急接続を行います。これほどの運行頻度でありながら、朝の時間帯でもしっかりと緩急接続が機能しているのは見ていて感動的です。
3番線には、満を持して39分発の特急が入線。こちらにはプレミアムカーは連結されていません。
この時間帯、特急は概ね10分に1本程度の本数で運行されていますが、先ほどまでよりもさらに、どの号車も激しい混雑を見せています。思えば出町柳を約35分前に出発し、三条、祇園四条、七条、丹波橋、中書島、樟葉の各停車駅で既に多くの乗客を載せており、車内はほぼ満員の状態でここ枚方市に入線してくるのです。初見の人が見れば「もう乗れる余地などない」と思いがちなほどの乗車率ですが、訓練された乗客はみな慣れた足取りで車内へ吸い込まれていきます。
7時台後半になってくると、場合によっては通勤準急も特急に準ずるほどの混雑を見せるようになります。というのもこの40分発の通勤準急は、39分発の特急が発車すると京橋へ先着するダイヤになっており、途中駅で一切待避を行うこともないのです。
続いてすぐに3番線へやってくるのは、後の発車となる7時45分発の通勤準急 中之島行。今度はこの列車が3番線にて3分ほど停車し、後から4番線にやってくる通勤快急と緩急接続を行います。
7時44分発の通勤快急 淀屋橋行が到着。当駅では22分ぶりとなる種別です。香里園と寝屋川市に停車しますが、4分後にやってくる特急には追い付かれることなく京橋へ先着します。当駅からであれば基本的に特急と似た速達列車としての立ち位置ですが、香里園・寝屋川市からの乗客にとっては大変重宝する種別であることでしょう。また、出町柳始発ではなく樟葉始発であることも多いようで、特急との差別化が図られています。
45分発の通勤準急が3番線から出ていったかどうか…という頃には、既に4番線に7時48分発の特急 淀屋橋行が入線していました。こちらは2025年に控える大阪・関西万博に向けたラッピング列車で、2024年1月から万博閉幕まで運行される予定です。前面からは京阪オリジナルのカラーなど見る影もなく、完全にミャクミャク様に侵食されているようですが、この編成にはプレミアムカーも連結されており、プレミアムカーのみ通常塗装となっています。
3番線には、本日この時間帯だけでもう何本見たか分からない通勤準急が入線。7時50分発の通勤準急 淀屋橋行はこの後ライナーに追い越されるものの、料金不要の列車としては京橋へ先着するためやはり乗客は非常に多いです。何となく遅い種別にも聞こえる「通勤準急」ですが、いえいえ腐っても通勤準急。萱島~京橋駅間11駅連続通過はここで絶大なる威力を発揮します。
4番線には7時54分発のライナー 淀屋橋行。7時台で3本目となるこのライナーは樟葉始発のため、香里園・寝屋川市にも停車します。
ライナーは2ドアのため、各車両中央部のホームドアは自動的に開かない仕様になっています。もちろんこれを見送る乗客も一定数おり、おそらくは次にこのホームに入線する8時02分発の特急を待っているとみられます。
3番線から発車する7時台最後の列車は、7時56分発の通勤快急 中之島行です。実は「通勤快急」と「中之島行」の組み合わせはここにきて初めてだったりします。後続の列車に追い越されることなく、やはりこれも京橋へ先着します。
そして…7時台最後となる、25本目の列車は5番線から発車する7時57分発の通勤準急 淀屋橋行。当駅始発のためやや長めに停車しておりましたが、発車する頃には他の通勤準急とそれほど変わらない混雑を見せていました。
これにて7時台全25本の列車を見送り、観察は終了!
やはり関西屈指の運行本数を誇る混雑路線、たっぷり1時間とても見ごたえがありました。
最後に、7時台の列車の種別・行先の内訳を示しておきます。
やはり種別ごとに見ると通勤準急が全体の40%を占めており圧倒的。そういえば普通は7時31分を最後に見ていませんね…次はどうも8時03分のようです。
行先では、全体の80%が淀屋橋行。ただし中之島線方面へ向かう場合も萱島や京橋で中之島行の列車に乗り換えられることが多いため、当駅からの直通列車が5本しかなくともそれほど大きな不自由はないとみられます。
次の朝ラッシュ実況は一体どこへ…?
今回も最後までお読みいただきありがとうございました。