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【絶景】大村湾沿いに走る観光特急「ふたつ星4047」午後便乗車記[2308長崎6]

 

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2023年8月12日(土)

夏の長崎旅行もいよいよ大詰め。長崎市内観光を終え、長崎駅へと戻ってきました。

最終的には空路にて帰京予定ですが、まだ時間があります。これから長崎駅を発車する、とある列車に乗車していきたいと思います。

それがこちら。長崎14時53分発の特急〔ふたつ星4047〕武雄温泉行です。

2022年9月の西九州新幹線開業に合わせデビューした、西九州エリアの観光列車です。

列車は3両編成で、かつて特急〔はやとの風〕や〔いさぶろう・しんぺい〕で活躍したキハ40系・キハ140系を再改造したものです。在来線ホームが高架化された2020年当初は電化されていた長崎駅ですが、現在は電化設備が撤去されており電車の乗り入れが不可能となっています。

運行区間は「長崎⇔武雄温泉」ですが、実は往路と復路でそのルートが異なっているのが特徴です。

午前便(往路)は武雄温泉駅を出発し、しばらく佐世保線を走行して江北駅へと向かいます。江北駅にて列車の進行方向を変え、その先は有明海に沿って走る長崎本線をひたすら下っていきます。諫早長崎駅間では長与経由の旧線と現川経由の新線がありますが、旧線の方を経由します。

午後便(復路)は長崎駅より再び長与経由の旧線を戻って諫早駅へ向かい、その先は大村線へと入ります。大村湾を望みながら早岐駅へ、その先は佐世保線に入り武雄温泉駅へと戻ってくる一周のルートになっています。

列車名にもある「ふたつ星」とは佐賀県長崎県のことを指しており、西九州エリア両県に跨って運行することでその魅力を感じてもらおうという意図が込められています。

発車標にはありませんが、この列車は種別上「特急」として運行されています。かつては博多~長崎駅間を結ぶ在来線特急〔かもめ〕が多数発着していたこのホームですが、長崎駅を発着する定期特急列車が廃止された今となっては月曜・金曜および土日祝日のみ運行されるこの〔ふたつ星4047〕が唯一の特急列車です。

車内は全車指定席で、1号車と3号車にそれぞれ座席があります。2+2列の配置で、木のぬくもりをふんだんに味わうことのできる温かみのあるデザインです。

お見送りいただきながら、定刻通り14時53分に長崎駅を発車。武雄温泉までの105.4キロの旅を楽しみたいと思います!

長崎駅を発車した列車は、すぐに新幹線の高架と分かれていきます。新幹線の方が先に右へカーブを描きトンネルへと入りますが、この在来線の線路も程なくして市街地を抜け、同様にトンネルへ入ることになります。

お盆ということもあり、車内はほぼ満席。座席部分とデッキの明確な区別はないものの、背もたれより高い大きな木の間仕切りがあり、乗降口付近とはある程度隔てられています。

車両中央部には、窓の方を向いて腰掛けることのできる指定席も用意されています。リクライニングはできませんが、通常の列車にはない特別感を味わえそうです。

長崎を出て最初の駅、浦上駅ではわずかに運転停車。かつて在来線特急〔かもめ〕の全列車が停車していた長崎市街の主要駅ですが、新幹線開業により佐賀・博多方面へ抜けるには少々不便になってしまった駅です。

窓は両端をつまんで持ち上げるかつての国鉄気動車の方式が残っていますが、その手前にはすだれのような日よけのシェードが取り付けられました。

各座席のひじ掛けには四分円のインアームテーブルが備わっています。また私の座席はちょうど座席部分と乗降口を隔てる衝立の前でしたので、衝立に細い固定式のテーブルもありました。

天井付近にも、列車のロゴをあしらったステッカーがたくさん貼り付けられています。

人気の高い列車であり、かつ最繁忙期の乗車となりますので、乗車直前に空席を探してもなかなか確保が難しいというところ。今回はJR九州インターネット予約にて発売開始直後に座席を押さえ、九州に到着してからきっぷの受け取りを行いました。

長崎~武雄温泉駅間は運賃2,170円+特急料金2,530円=合計4,700円となっています。これは2023年8月時点での繁忙期料金(通常期特急料金2,330円+200円)となっており、2023年10月1日付でD&S列車の特急料金が一律500円値上げとなりましたので、現在同区間の通常期特急料金は2,830円、お盆等の繁忙期であれば3,030円となります。

浦上~喜々津駅間はルートが二手に分かれており、〔ふたつ星4047〕は海側を通る旧線経由で運行されます。長与駅付近までは住宅が多いものの、その先は一気に山の中へと入ります。

新線と比べ若干距離が長いものの、トンネルを抜けた先で早くも大村湾の景色が見えてくる区間があり、この後の車窓にもより一層期待が高まります。

15時30分、列車は最初の停車駅である諫早駅へと到着。ここでは15分間停車します。

大村線は単線のため、ここで時間調整を行うようです。

諫早駅は西九州新幹線との乗換駅でもあり、途中駅としては唯一全列車が停車する主要駅となっています。個人的には2021年の夏に実施した最長片道切符の旅の最終日に、新鳥栖から乗車した特急〔かもめ〕をここ諫早駅で降り、大村線普通列車へと乗り換えた記憶が蘇ります。

15時45分、列車は諫早駅を発車。ここで長崎本線とは分かれ、大村線へと入ります。

2号車には「ビュッフェ」があり、車内にて各種ドリンク・おつまみ・スイーツ・グッズ等の販売を行っています。種類が豊富で悩みましたが、私はせっかくなのでロゴが入った「ふたつ星伊木力(いきりき)みかんゼリー」(350円)と「ふたつ星うれしの冷茶」(500円)を注文しました。

「伊木力みかん」とはちょうど先ほどこの列車が通った諫早市多良見地区(長崎本線大草駅付近)で栽培された、甘みとコクが特徴ブランドのみかんです。まるでみかんを丸ごと頬張っているような贅沢な甘みで、むしろ350円では安すぎるのではという気すらしてきます。

また全国有数のお茶の産地としても知られる佐賀県嬉野市の茶葉を使用した「うれしの冷茶」。飲み切りサイズのお茶に500円はなかなか強気の価格設定ですが、いやむしろ嬉野のお茶をこんな手軽に味わえるのなら500円でも安いものです。日頃飲むペットボトルのお茶ももちろん美味しいですが、それとは比べ物にならないほどこのお茶は風味が豊かで、さすがは「嬉野」の名を全国に知らしめるだけのことはあると感じました(偉そうですみません)。

美味しいものを飲んだり食べたりしているうちに、列車は岩松駅大村駅と立て続けに運転停車。海の見える区間はもう少し先です。大村駅大村市の中心に位置する駅ですが、客扱いを行わないのは少し驚きです。

その代わりにこの列車が停車するのは、大村駅の2つ先にある大村駅。西九州新幹線の開業に伴い新たに大村線と新幹線の乗換駅として設置された駅で、大村ICや長崎空港も近く立地条件は抜群です。

ここまでうまく在来線と並走してきた西九州新幹線ですが、この先新幹線は山間部を貫くように走るため新幹線の高架橋とは離れていきます。もちろん新幹線の方が武雄温泉までの距離も時間も圧倒的に短く、それに対して在来線は引き続き地形に沿ってうねうねと沿岸部を進んでいきます。

さて、そしてここで〔ふたつ星4047〕午後便最大の目玉の一つでもある「大村湾の車窓」が本格的に見えてきました!!

のこぎりの歯のような、ギザギザと入り組んだ海岸線は「リアス式海岸」と呼ばれ、真珠の養殖がさかんに行われています。

そして大村湾の目の前に位置する千綿駅には、16時20分に到着。ここでは10分ほど停車時間が設けられており、車外に出て景色を楽しむことができます。

普段は静かな海沿いの駅ですが、この時ばかりは大勢の乗客がホームへと降りるため賑わいを見せます。ホーム上では様々物品の配布・販売も行われ、まるでイベントのような雰囲気です。

木造平屋建ての駅舎も大変趣があり、これも全国各地から鉄道ファンが集まる理由の一つになっています。開業当時の駅舎をイメージして1993年に建て替えられたもののようです。

夕日の沈む時間帯は特に美しい景色が楽しめるとされており、夕暮れ時にまた改めて訪れてみたいと思うものです。

大勢の皆様に見送られながら、16時30分に千綿駅を発車。引き続き大村線を北へと進んでいきます。

大村湾は周囲の大部分を陸地に囲まれており、大村線の車窓からも対岸を望むことができます。場所や方角によって少しずつ見え方も異なりますので、乗っていて飽きることはありません。

彼杵駅川棚駅南風崎駅など立て続けに運転停車を行っていきます。「彼杵」と書いて「そのぎ」、「南風崎」と書いて「はえのさき」と読むそうで…大村線難読駅名の多さにも定評(?)がありそうです。

17時00分、列車はハウステンボス駅に到着です。時間調整も兼ねて4分間ほど停車しますが、特にホーム上で何かイベントが行われるというわけではないようです。

ハウステンボス駅より先は電化区間となり、博多へ直通する特急〔ハウステンボス〕が運行される区間に入ります。ここでは乗降がかなり多く、その意味でも4分間と比較的長めに停車時間が設けられているのは納得です。

早岐駅へ到着して大村線は終わり、この先は佐世保線へと入って終着の武雄温泉を目指します。

そしてついに長崎県を抜け、最後の途中停車駅となる有田駅に到着。みかんや焼き物の街としても有名で、この駅からは西九州沿岸部をぐるっと遠回りするように走る「松浦鉄道」が出ています。

終点まで残りわずかということで、最後の区間は2号車の「ラウンジ40」にてくつろいで過ごします。途中はかなり混雑する場面もありましたが、この時間帯はかなり空いていました。床から天井まで華やかな装飾がとても魅力的で、列車の中とは思えない雰囲気です。

大きな窓から、流れゆく車窓を楽しむのもまた一興。

今なお様々な意見の飛び交う西九州新幹線の議論ですが、新幹線のおかげでこんな素晴らしい観光特急がまた九州に一つ誕生したことを思うと、やはりいち鉄道ファンとしては喜ばしい気持ちになります。〔ふたつ星4047〕によって西九州エリアの魅力がさらに多くの人々へ発信され、その盛り上がりとともにさらに佐賀県長崎県がより良い意味で注目されるきっかけになってほしいと願っています。

17時45分、列車は定刻通り終点の武雄温泉駅に到着。新幹線であれば長崎駅から30分程度のところ、実に2時間52分をかけてやってくることができました。

ここから博多方面へは、ちょうど接続するかのように17時50分発の特急〔みどり(リレーかもめ)46号〕があります。しかし乗り換え時間が短く、また(リレーかもめ)とある通り新幹線ホームからの発車になりますので、余裕をもって乗り換えたいという場合は1本後の18時15分発特急〔リレーかもめ48号〕がオススメです。

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。