わたかわ 鉄道&旅行ブログ

乗り鉄&旅好きの20代男子が全国を巡る!

【速報】西九州新幹線「かもめ」ついにデビュー! 超満員の自由席に乗車

 

2022年9月23日(金)

本日やってきたのは、福岡県の博多駅

いよいよ待ちに待った、西九州新幹線開業日です。

西九州新幹線は、武雄温泉~長崎駅を結ぶ新幹線です。途中には「嬉野温泉」「新大村」「諫早」という3つの駅が設置されます。

昨日まで46年間に渡り運行されてきた在来線特急「かもめ」と異なり、新幹線が直接博多駅へ乗り入れるわけではありません。博多~武雄温泉駅間では在来線特急〔リレーかもめ〕を運行し、その乗り換え駅となる武雄温泉駅では新幹線と在来線の対面乗り換えを行います。

この方式は過去に前例があり、2004年に九州新幹線新八代鹿児島中央駅間で先行開業した際に博多~新八代駅間で在来線特急〔リレーつばめ〕が運行され、今回の武雄温泉駅と同様に新八代駅で対面乗り換えとしていました。このシステムは2011年に九州新幹線が全線で開業したことにより解消されたため、本日それが11年ぶりに復活したということになります。

それでは、まず博多駅より10:52発の特急〔リレーかもめ21号〕へと乗車していきます。

先に述べた通り、このリレー特急はあくまでも武雄温泉駅までの運行です。しかし駅の発車標や案内放送等では統一して「長崎行」と案内されています。「リレーかもめ号が長崎へ行く」わけではないので若干混乱を生むのでは…という気もしましたが、在来線特急〔リレーかもめ〕と新幹線〔かもめ〕は2つ合わせて1つの列車であるという考えのようで、乗り換えの煩わしさをなるべく感じにくくさせようとする工夫であるとも思いました。

ホーム上の発車標では、武雄温泉駅にて接続する新幹線の停車駅も併せて案内されていました。博多駅の在来線ホームで見る「嬉野温泉」「新大村」といった新駅がとても新鮮です。

まもなくすると、4番線に列車がやってきました。「8両編成」と聞いて783系を連想された方もいらっしゃるかもしれませんが、こちらは787系での運行です。JR九州を象徴する特急車両の一つで、今年デビュー30周年を迎えました。これまで在来線特急「かもめ」等では7両編成で運行されてきましたが、1両増結し「787系の8両編成」が誕生しています。

車両側面の行先表示器も「長崎」と表示されています。一方でその下の画面には「武雄温泉で新幹線に接続」と出ており、混乱が生じにくくなるように工夫されていると感じました。

無事に乗り込み、列車は博多駅を発車。奇しくも本日はちょうど鹿児島本線で大幅なダイヤ乱れが発生しており、遅延していた他の列車からの接続を取ったため、定刻よりも2分ほど遅れての発車となりました。

列車は1号車がグリーン車、2~4号車が指定席、5~8号車が自由席です。自由席は窓側がほぼ全て埋まるくらいの混雑ではありましたが、通路側まで埋まっている区画は少ないように見えました。

今回は博多から長崎まで、全区間自由席を利用していきます。それにあたり購入したのが、こちらの「かもめネットきっぷ」。JR九州のインターネット予約限定割引きっぷで、博多~長崎駅間が4,200円で移動できます。駅で購入した場合、博多~長崎駅間は乗車券と自由席特急券を合わせて5,520円となりますので、約24%OFF。当日でも購入可能なので、大変オススメです。

ただし注意点としては、指定席・自由席とも同額のため、自由席の方が割引率は小さくなり、若干ですがお得感は減ってしまいます。本当は私も今回指定席を予約したかったのですが、あいにく満席のため自由席にせざるを得ませんでした…!

鹿児島本線内で見事な回復運転を見せ、鳥栖駅には定刻通り11:15に到着。しかしここで別の接続列車が遅れていたようで、その列車からの接続を取るため定刻よりも4分ほど遅れて11:20頃の発車となりました。せっかく回復したんですが…こればかりは仕方のない事です。

鳥栖から先は長崎本線へと入り、すぐに次の新鳥栖駅へも停車。到着前の案内表示で「新幹線はお乗り換えです」という表示がなされており、これはあくまでも九州新幹線(熊本・鹿児島中央方面)への案内であると思われますが、新幹線リレー特急を謳っているこの列車の車内でそのような案内では、一見すると「西九州新幹線への乗り換えをこの新鳥栖駅で行わなければならない」と勘違いする方も出てしまうかもしれない…という懸念を抱きました。恐らく在来線特急〔かもめ〕時代からのテキストがそのまま使用されているということだと思われます。何せ昨日までJR九州管内には新幹線が1路線しかなかったのですから、これも仕方のないことです。

鳥栖駅で再び発生してしまった遅れを取り戻そうとしているのか…は分かりませんが、佐賀県内を列車は120km/h程のハイスピードで走行していきます。787系でこの区間を走ること自体は何も昨日までも珍しいことではありませんが、この先で新幹線に乗り換えることを思うと「どうせならこの平野も新幹線でかっ飛ばしたいなぁ…」と思わずにはいられません。

しかし苦労も虚しく、遅れはほとんど取り戻せないまま佐賀駅へと到着。ここで結構な数の方が降りていかれましたので、「リレー特急」を標榜しているとはいえ博多~佐賀駅間での移動需要は昨日までと変わらずこの列車が大きな役割を果たしていくのだ、ということを実感いたしました。

佐賀の次は江北へと停車します。「こうほく」と読むこの駅は、昨日まで109年間に渡り「肥前山口」という駅名でした。鉄道ファンならまだしも「地元の一般の方にこの今回の駅名改称が浸透しているのか…?」というのが若干気になります。9月23日以降に使用する乗車券であっても、9月22日までに購入した場合は「肥前山口」という印字になるはずですので、まだ今日のうちは「肥前山口」と書かれた乗車券を手に江北駅へ降り立つ方もいらっしゃったことでしょう。

もちろんホーム上の駅名標は新しいものに取り替えられています。汚れや傷のない新品の駅名標ですが、デザインはこれまでのJR九州のものから特に大きな変更はなさそうです。

江北を出ると、列車は長崎本線を離れ佐世保線へと入っていきます。

「長崎方面への列車」であるにも関わらず「長崎本線を離れる」というのはいかにも不思議なことですが、実は今から88年前の1934年まではこの早岐方面へと進むルートこそが「長崎本線」であり、当時まだ佐世保線大村線といった路線名ではありませんでした。すなわち今回の新幹線開業によって「戦前の頃までの博多~長崎駅間のメインルートが、その一部を新幹線という高速鉄道に置き換える形で復活した」と言うこともできるのです。

江北を出ると、次はいよいよ対面乗り換えが行われる武雄温泉となります。ここでは車内放送にて「次は終点の武雄温泉、武雄温泉です」という言い回しが用いられていました。流石にここで「終点」という言葉を使っておかないと、武雄温泉に着いてもそのまま乗り続けようとしてしまう方もいそうですので、この先の円滑な乗り換えのためにも「終点」という言葉は欠かせないと思います。

江北(旧肥前山口)~武雄温泉駅間では、以前から特急〔みどり〕〔ハウステンボス〕が運行されていましたが、今回リレー特急の運行が始まったため、この区間の特急運行本数は大幅に増加したことになります。これを見越して同区間ボトルネックとなることのないよう、複線化工事が進められていました。

そしてようやく、終点の(?)武雄温泉駅へと到着です!

結局鳥栖で発生した遅延を回復させることはできず、所定11:55着予定のところ4分ほど遅れて11:59頃の到着となりました。

対面乗り換えが行われる武雄温泉駅では、10番線がリレー特急専用ホーム、11番線が新幹線ホームとなっています。ホーム上は家族連れ、鉄道ファン、関係者などで大混雑しており、乗客はとにかく乗り遅れまいと新幹線へ乗り込むので必死の様相です。

新幹線〔かもめ〕は6両編成で、1~3号車が指定席、4~6号車が自由席になっています。おおよその座席等級はリレー特急と同じような停止位置になるよう揃えられていますが、とはいえ人が多いこともありホーム上は混沌とした雰囲気です。本来のダイヤであれば、11:55に到着した〔リレーかもめ21号〕から乗り換えて新幹線〔かもめ21号〕は11:58に武雄温泉を発車するはずですが、そもそもリレー特急の到着が遅れているので新幹線もそううまく発車できるはずがありません。

ともかく、私自身も指定席を取ることができなかった自由席の乗客ですから、これに乗り込まなけばなりません。何とか間に合い、列車はドアを閉めることができました。武雄温泉駅の発車は12:02頃、リレー特急の遅延を引き継ぎやはり4分遅れでの発車となりました。

何とか乗り込めたは良いものの、新幹線の車内は通路にもデッキにも乗客が溢れるほどの大混雑。身動きが取れず、まるでお盆や年末年始の東海道新幹線を思わせます。

というのも、この西九州新幹線で本日デビューした車両は「N700S」。基本的な設計や構造は東海道・山陽新幹線のものと酷似しており、いわば「我が国の大動脈で使用されている新幹線と同じ形式が西九州へ投入された」ということになります。

武雄温泉駅を出てわずか数分で、列車は次の嬉野温泉へと到着。ここでうまくタイミングを見て、自由席の客室内へと入ることができました。

嬉野温泉駅は、新幹線開業に合わせ新たに造られた駅の一つ。在来線との接続はありませんが、それまで長らく鉄道路線のない状態が続いていた嬉野の街に新幹線が来るとあって、現地では大変な盛り上がりのようです。

列車は嬉野温泉駅を発車。自由席は3+2列のシートですが、通路側やB席までも全く余裕がないくらいびっしりと埋まっています。

ドア上部のディスプレイも東海道・山陽新幹線のN700Sと同じく大変大きくて見やすいものとなっています。これまで私も何度か東海道新幹線のN700Sには乗車していますが、見る行先はいずれも「東京」「新大阪」等ばかりでしたので、ここに「長崎」の文字が表示されるのは大変新鮮です。

嬉野温泉駅を出てしばらくすると、列車は次第に海沿いへと出ていきます。険しい地形を直線的に貫くように建設されているためトンネルの区間が多いですが、ところどころで大村湾の景色が見える瞬間もあり、この絶景は乗車したら是非ともチェックしたいところです!

本日はあいにくの曇天につきぼんやりとした景色ではありましたが、また晴れの日に改めて乗車できる日を楽しみにしています。

続いて列車は大村駅へと到着。こちらも本日開業した新駅ですが、嬉野温泉駅と異なりこちらは並走する大村線にもホームが設置されており、乗り換えることができます。新大村駅の近くには西九州新幹線車両基地があり、朝夕の数本はここ新大村発着で運行される新幹線が設定されています。

九州新幹線の方では駅名標が濃い色をしていますが、西九州新幹線においては在来線を踏襲したような白地に黒文字のものになっています。同じJR九州管内の新幹線でありながらこうした違いがあるのも興味深いところです。

何とこのタイミングで、運良く目の前の席が空いたため、ここ新大村駅からは着席できることに!

シートの形状や大きさはやはり東海道等のN700Sと同じのようですが、モケットの色は鮮やかな黄色で東海道等の青色とは異なっています。また、ヘッドカバーが付いていないのも大きな特徴です。

背面テーブル、コンセント、Wi-Fi等一通りの設備もしっかり備わっています。ちなみに指定席には背面テーブルがないそうなので、しっかりとお弁当等を広げたい場合は自由席がオススメかもしれません(そもそも走行時間が短いので食べている時間があるかは別ですが…)。

駅到着時には、やはり荷棚のライトが明るく光り、降車客へ注意を促すようになっています。モケットも暖色系なので、客室内全体を通じ洗練されたデザインながらも温かみがあると感じました。

最後の途中駅は諫早駅。こちらは以前からある在来線の駅に接続するかたちで建設されており、長崎本線大村線島原鉄道と乗り換えることができます。

武雄温泉駅の時点で4分遅れだったこの新幹線ですが、途中駅での乗降に時間がかかったこともあり、諫早駅を何と8分遅れで発車。「新幹線といえば定時運行」のイメージがある方も多く、「8分遅れ」の旨がが車内で放送された瞬間に乗客からは苦笑いが巻き起こっていました。

諫早駅の次は、いよいよ終点の長崎駅となります。ここ長崎駅は新幹線・在来線ともにその先へ線路が続くことのない”終着駅”ですが、長崎本線への乗換案内はしっかりと行われました。特に在来線で長崎駅の一つ手前にある「浦上駅」は、昨日まで全ての特急列車が停車していた駅で、そうした方面への乗り換えの需要は一定数あるものと思われます。

諫早長崎駅間もトンネルの区間が長く、気づけば長崎の街が見えてきたところですぐに到着といったところ。在来線の市布経由よりもさらにショートカットしているので、本当にあっという間です。

12:37頃、列車はようやく終点の長崎駅へと到着。本来であれば12:29着予定ですから、最終的に8分遅れでの到着となったことになります。武雄温泉~長崎駅間はせいぜい30分程度ですので、そうした中で8分も遅れるというのはかなり大きな遅れのような感覚になります。

先頭車両の形状はご覧の通り。大部分では東海道等のN700Sと同じですが、ライトや床下の色合いが少し違っています。目がくっきりとしている印象で、とてもスタイリッシュです。

ホーム上は大変な人だかりで騒然としていました。本来であればこの列車は折り返し12:41発〔かもめ28号〕となるようですが、そもそも遅れをもって到着したこともあり、なかなか時間通りには発車できないようでした。

改札口の外に出てきてみると、カウントダウンボードは「あと0日」を示していました。またその脇には地元メディア等からの花が届いており、さながらテレフォンショッキング感があります(笑)。

長崎の街はあいにくの雨でしたが、かつて在来線の地上ホームがあった辺りは半分ほどが舗装されイベントスペースとして活用されていました。まだまだ工事中のエリアも多いようですが、本日の新幹線開業を皮切りに西九州全体がさらに活気で溢れることを期待したいと思います!

また、従来の在来線特急と比較して西九州新幹線はとても乗り心地がよく、走行音も静かで快適であることは言うまでもありません。1日も早く、この快適な新幹線で乗り換えなしで博多~長崎が結ばれることを願ってやみません。

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。