わたかわ 鉄道&旅行ブログ

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【普通列車より遅い?】まもなく廃止「アーバンパークライナー」で北千住から柏へ

 

2024年1月29日(月)

本日は東京都足立区にある北千住駅へとやってきました。これから向かうのは、千葉県の柏駅です。

「北千住から柏へ向かう」となれば、10人中10人がまず思いつくのはJR常磐線でしょう。快速線を走る列車に乗れば途中停車駅は松戸のみ、所要時間は20分ほどです。

またJRのホームからだけでなく、東京メトロ千代田線の発着する地下ホームからも柏方面へと向かう列車が走っています。こちらは北千住の次の綾瀬まで千代田線ですが、その先で常磐線各駅停車へと乗り入れ松戸・柏・我孫子方面へと向かいます。この場合、北千住~柏駅間の所要時間は30分ほどかかります。

ところが本日は平日の夜、いずれの路線であっても混雑は大変に激しくなっています。常磐線快速では主に品川・新橋・東京等から、また千代田線からの直通列車は霞ヶ関・大手町等から多数の乗車があり、北千住から乗り込める余地などもうほとんど残されていません

常磐線では全車指定席の特急〔ひたち〕〔ときわ〕も運行されていますが、残念ながら北千住駅は全て通過。もうこうなると八方塞がりで、一体どうすれば…と途方に暮れてしまいます。

しかし北千住駅に乗り入れる路線はこれだけではありません。そう、東武スカイツリーラインがあります。

「いや、スカイツリーラインで柏なんて…」と思ったそこのアナタ、甘い!

実は東武スカイツリーラインにも「柏行」の列車が走っており、しかも何と全車指定席の特急だというのです! ちょうどいい、これなら柏まで座って帰れそうです。

余談ですがこの時間帯の北千住駅では、上の写真の通り「東武日光」「赤城」「大宮」「柏」の文字の大きさと配置から、”スターウォーズ”等と呼ばれたりしているようです。

しかしこの特急の運行ルートを常磐線と比較してみると、かなりの遠回りであることが分かります。今回乗車する特急〔アーバンパークライナー1号〕柏行は、途中春日部まで東武スカイツリーラインを走行し、その先スイッチバックをして東武アーバンパークラインへ直通するため北千住~柏駅間の距離は実に55.9km。これは常磐線2倍以上の距離です。

何はともあれ、今回は終点の柏まで乗車してみようと思います。

東武特急の始発駅は北千住駅ではなく浅草駅ですが、特急利用者にとっては他路線との接続が豊富なこの北千住駅の方が重宝される傾向にあります。北千住駅のホームの端には「特急専用ホーム」があり、中間改札にて特急券を提示し先へと進みます。

特急専用ホームは1面1線の構造で、浅草発の下り特急列車のみ使用します。ただし普通列車のホームの延長線上に設けられているため、この時間帯は手前の1番線ホームにて通勤通学客をぎゅうぎゅうに詰め込んだ普通列車が次々とこのホームを通過していきます。

ホーム上には「アーバンパークライナー」の乗車位置も確認。この列車は6両編成ですが、そのうち前3両は大宮行、後3両が柏行となります。

待っていると、列車が入線。北千住19時03分発の特急〔アーバンパークライナー1号〕大宮・柏行です。2017年に東武500系「リバティ」の運行が開始され、これに合わせて新たに設定されました。

行先表示器には、確かに「柏」と表示されています。(春日部回り)等と書いてもよさそうなものですが、そこは”訓練された乗客”の集まるスカイツリーラインですから瞬時に分かるものなのでしょう。

列車は定刻通りに北千住駅を発車。柏までの途中停車駅は、せんげん台、春日部、藤の牛島、南桜井、川間、七光台、清水公園愛宕野田市、梅郷、運河、流山おおたかの森です。

草加や新越谷等を通過することで遠近分離を図る…のは良いのですが、停車駅の並びを見てもお分かりの通り、アーバンパークライン内はほぼ全ての駅に停車します

そして特急券が必要なのは次のせんげん台までで、せんげん台より先の区間は乗車券のみで乗車することができるようになっています。このためアーバンパークライン内まで乗車する場合も特急券は「せんげん台まで」の区間で印字され、特急料金は420円です。

乗車率は非常に高く、窓側はもちろん通路側までほぼ満席のようでした。

19時19分、列車はせんげん台駅に到着。驚いたことに、ここで半分近くの乗客が降りていきました。

そしてここから先は特急券不要のため「乗り得列車」となります。一応種別上は引き続き「特急」のようですが、実質普通列車です。

せんげん台からは、普通列車感覚で大勢の人が乗り込んできます。しかし次の春日部までの利用も多いのか、多くの人が客室内まで入ることなくデッキで立席乗車しているようでした。せんげん台~春日部駅間は約5分ですから無理もありません。

19時25分、春日部駅に到着。ここでスカイツリーラインからアーバンパークラインへと入ります。

春日部駅で入線するホームは、通常スカイツリーラインが使用する4番線です。ここで切り離し作業を行い、柏行が先に発車します。大宮行の進行方向は変わりませんが、柏行は進行方向が変わるためこのタイミングで各々座席の転換作業を行います。非協力的な乗客は冷ややかな視線を浴びることになりますので、阿吽の呼吸が大事になってきます。

春日部駅でもかなり乗客が入れ替わり、柏行は19時31分に発車。ここまで4号車側が先頭でしたが、今度は6号車側が先頭になります。

引き続き乗車券のみで利用可能ですので、春日部から新たに乗車した人の中には空いている座席を利用する方も多くいらっしゃいました。一方で浅草・北千住方面から利用している乗客も、着席保証はありませんがここまで利用してきた座席にそのまま座り続けることができます。

車内のディスプレイからは「アーバンパークライナー」「座席指定」の文字が消え、「柏」という行先のシンプルさもあいまってだいぶスカスカな表示となっています。東武特急は他の車両も含め原則は全車指定席ですから、特急車両なのに「座席指定」の文字が出ていないのはかなり違和感です。

実はこの「特急アーバンパークライナー」ですが、2024年3月のダイヤ改正をもって廃止となることが発表されています。しかしその理由は利用者低迷でも合理化でもなく、「春日部駅高架化工事」に伴うものとされています。先ほど通ったスカイツリーラインからアーバンパークラインへの渡り線が、工事に伴い使用できなくなるため、物理的に運行不可能になるというわけです。

高架化工事完了後に再び「特急アーバンパークライナー」の運行が行われるかは不明ですが、実際に乗車してみてもやはり需要はかなり高い列車であることが見て取れるため、今後に期待したいところです。

そして先述の通り、特急でありながらアーバンパークライン内はほぼ全ての駅に停車します。通勤客向け特急という特性上、郊外に多数の停車駅が設定されることは想像に難くありませんが、それだけでなくアーバンパークラインの場合は一部単線区間があり、仮に通過駅を設定したところで実質的には列車の行き違いのため運転停車せざるを得なくなってしまうという事情もあるように思われます。

春日部駅を出て数駅の間は比較的混雑した状態が続いていましたが、その後は降車する一方で途中駅からの乗車はそれほど多くありません。各停車駅においてもこの列車が「特急券不要」であることは十分周知がなされていることと思われますが、一方で発車標にはしっかりと「特急アーバンパークライナー」と表示されています。

醸造業のさかんな街として知られる、千葉県の野田市。駅周辺にはキッコーマンの工場や関連施設がいくつかあります。こちらの駅も近年高架化が進み、新しく綺麗なホームにこの「特急アーバンパークライナー」も入線します。

19時57分、列車は運河駅に到着。次の停車駅は流山おおたかの森で、途中の江戸川台・初石は通過します。また流山おおたかの森柏駅間もノンストップで、途中の豊四季は通過します。

流山おおたかの森駅でも多くの降車があり、せんげん台付近ではあんなに混んでいた車内もいよいよ数えるほどの乗客のみに。北千住~流山おおたかの森駅間はつくばエクスプレスの方が圧倒的近道ですので、そちらの方が混雑していることと思います。

そして…20時08分、列車はようやく終点の柏駅に到着。北千住からの所要時間は実に1時間5分、常磐線の3倍以上の時間をかけての到着です。

柏駅では、5号車の後寄りのドア1ヵ所のみが開きます。3両分の乗客がたった1ヵ所のドアに集まる…と聞くと無理があるように見えますが、そもそも満員満席というわけではありませんから、これも可能なのでしょう。

この後この車両は、柏20時38分発の特急〔アーバンパークライナー3号〕大宮行として運行されるようです。途中の運河駅までは全車指定席で特急料金は320円、その先は大宮まで特急料金不要とのことで、ほとんどの区間で特急料金がいらないことになります。Wi-Fi・コンセントも備えた近代的な特急車両に乗車券のみで乗れる区間がこんなにも長いとは、太っ腹ですねぇ(笑)。

それはそうと、北千住から柏まで通常の3倍以上の時間をかけることで快適に移動することができました。廃止まで残り1ヵ月を切ったアーバンパークライナー、乗り納めはお早めに!

 

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。