2023年4月23日(日)
おはようございます。今回は早朝の新宿駅へとやってきました。
本日はこれから高尾山口駅まで移動していきます。
「新宿から高尾山口への移動手段は?」と聞けば、おそらく多くの方が即座に「京王線ですね」と反応するはず。京王線の特急を利用すれば、約1時間で移動できる距離です。
もちろん京王線は速くて安くて便利な乗り物です。
しかし、単に電車に乗るだけではつまらない…と思いませんか?
そこで今回はこの区間を「路線バスのみ」を乗り継いで移動してみたいと思います!
新宿駅~高尾山口駅間は直線距離で約40km。以下のルールにしたがって進めていきます。
まず記念すべき1本目のバスは、新宿駅西口7時41分発の【宿33】永福町行。17番乗り場から発車します。
【宿33】は終日約10分間隔で運行されており、路線バスとしてはかなり充実の運行本数のように思えます。
定刻通りにバスは新宿駅西口を発車。いよいよ私の高尾山口駅までの長旅も始まりました。長い1日になりそうです…。
まずバスはオフィスビルが林立する西新宿方面へと進んでいきます。東京都庁から1本通りを挟んだところにある「北通り」を進み、新宿住友ビル等のビルの横をかすめていきます。
その先は方南通りへと入り、西新宿五丁目駅では都営大江戸線と接続。さらに道なりに進んでいきます。
このバス路線の特徴は、中野区と杉並区に跨る鉄道空白地帯における基幹交通のような役割を果たしている点にあります。西新宿五丁目駅(都営大江戸線)や方南町駅(丸ノ内線)など所々で地下鉄との接続はありますが、中には徒歩圏内に鉄道駅がないエリアもあり、そうした地域であっても煩わしい乗り換えや長時間の徒歩を強いられることなく新宿へ直結できるのは大きなメリットであるといえます。
方南町駅付近はちょうど環七通りと交差する位置でもあり、地下鉄の支線の終点でありながら交通の要衝の雰囲気も漂います。
8時10分、バスは終点の永福町に到着。京王井の頭線の永福町駅に隣接するバス停で、京王バスの車庫もある運行拠点です。
バス停の看板を見てみると「中野駅南口」へと繋がるバスも出ているそう。しかしこれには乗らず…。
通りに沿って1分ほど歩いてきました。何と先ほどの場所から少しだけ離れたこの位置に、1日のうちわずかな本数のバスだけが発着するもう一つの「永福町バス停」があるのです。
そこへさりげなくやってきた、永福町8時28分発の【鷹64】久我山駅行。2本目に乗るバスはこちらです。スムーズな接続で、定刻通りに永福町を発車しました。
実はこのバス路線、運行本数が極めて少ないことでも知られています。運行時間帯が朝と夜のみで、休日の久我山駅行はこの永福町8時28分発が最終となっています。これに乗り遅れると早くも企画倒れとなるところでした。ちなみに平日だと永福町7時09分発、土曜は永福町7時46分発がそれぞれ久我山駅行の最終となります。
実はこの路線、あくまでも永福町の車庫からの出入庫を兼ねた運用になっています。すなわち「バス路線として必要とされているから走っている」というよりは「回送運転のついでに乗せてもらっている」という感覚です。
8時40分、定刻通り終点の久我山駅に到着。バスロータリーはなく、片側1車線の狭い道路上に一時停止して降車時間を設けます。
そしてこのバス、何と驚くことに久我山駅からはそのまま「【鷹64】三鷹駅南口行」へと行先を変えて何事もなかったかのように発車していきます。そのまま乗り続けてもよかったのですが、せっかく駅に来たのでいったん降車しておくことにしました。
久我山駅は京王井の頭線の急行も停車する主要駅。1本でスムーズに渋谷・吉祥寺へ出ることができ鉄道の利便性は高い一方で、狭い道路が多くマイカーでの生活は不自由な面も多そうです。
踏切の向こう側まで行っていたので戻ってくるのがギリギリになってしまいましたが、何とか間に合いました。3本目は久我山駅8時50分発の【鷹64】三鷹駅南口行です。
久我山駅の踏切が開くタイミングの関係上、1分ほど遅れて発車。これも日常茶飯事なのだろうと思います。
先ほど永福町から乗車した便の系統番号と同じですが、今回乗車している便に関しては久我山駅始発です。久我山駅~三鷹駅南口間は日中ちょうど10分間隔で運行されており、京王井の頭線とは少し離れた場所を走って三鷹駅南口に向かいます。
東京23区を抜け、三鷹市へ入ります。車内はかなり混雑してきました。
このバスの名物は、非常に間隔の短いバス停が設置されていることです。それが「プラウドシティ吉祥寺」~「下連雀」間で、わずか90mしか離れていません。「下連雀」が昔からあったところに後からマンションが建ち、居住者の利便性を図るべく「プラウドシティ吉祥寺」も設置されたものと思われます。どちらのバス停でも乗降がありましたので、一つにまとめるというわけにもいかなかったのだろうということが想像できます。
連雀通り商店街を過ぎ、南浦の交差点で右折して三鷹駅方面へと入っていきます。以前このブログでもご紹介した「小田急バス宿44系統」とルートが似ており、実際バス停の看板には「小田急バス」の文字も確認できます。
9時11分に終点の三鷹駅南口へと到着。駅前通りの渋滞を危惧していましたが、遅れることなく到着することができました。
新宿駅西口からここまで1時間30分。JR中央線ならわずか15分の距離ですから、何と6倍もの時間をかけてやってきたことになります。
続いて乗車する4本目のバスは、三鷹駅南口9時20分発の【鷹66】調布駅北口行です。三鷹駅南口を発車する時点でかなりの混雑で、立ち客も出る中ですが私は運良く座れました。
バスは定刻通りに三鷹駅南口を発車。途中「南浦」の交差点までは先ほど乗車してきた【鷹64】と同じ道を通り、その先調布駅方面へ南下していきます。
この【鷹66】、京王バスとしての運行本数は1時間に1~2本程度で決して多いとはいえません。しかし実は三鷹駅~調布駅間は小田急バスも運行されており、むしろこちらの方が圧倒的な本数があります。小田急バスの方では【鷹66】のみならず【鷹51】【鷹56】といった経由の異なる三鷹駅~調布駅間のバス路線があることが分かります。
【鷹66】のみで見てみると、京王バスと小田急バスが2本おきに運行され、トータルでは約20分間隔での運行になるよううまく調節されています。もちろんそのほか小田急バスの【鷹51】【鷹56】も含めるとそれ以上の本数になりますので、実はかなり豊富に路線バスが設定されている区間といえます。
JR山手線よりも西側のこの地域においては、JR中央線・京王線・西武新宿線・西武池袋線・小田急小田原線など東西方向に走る鉄道路線が多い一方で、南北を結ぶ鉄道路線がほぼ存在しないことがウィークポイントであると言われています。路線バスが豊富に設定されているのも、こうした需要を拾う役割もあると考えると納得がいきます。
途中大きな降車があったのが「航研前」。名前の通り目の前には航空宇宙技術研究センターがあり、ちょうど日曜日ということでイベントが開かれていたようです。子どもたちが大勢降りていき、車内は一気に空きました。
またその先では、中央道深大寺バス停とも接続しており、高速バスで山梨・長野方面へアクセスするのにも便利なバス路線です。
定刻よりも3分ほど早く、9時51分頃に終点の調布駅北口へと到着。
新宿駅西口を出て以来、久しぶりに京王線(本線)の駅へとやってきました。新宿から調布まで2時間以上かけてやってきましたが、京王線なら特急で20分ほどの距離です。あぁ恐ろしや…。
調布駅およびその周辺では連続立体交差事業が進められ、2012年に地下化。「開かずの踏切」の解消のほか、ダイヤのネックとなっていた京王線と京王相模原線の平面交差も解消され大きな効果をもたらしました。
線路跡地には商業施設が続々オープンしているほか、地上ホームのあった場所は駅前広場になっています。今では「北口」「南口」の概念はありませんが、当時の名残で今もそのように呼称され、互いを見渡せる場所に大きなバスロータリーが2つあるという何とも不思議な空間になっています。
ようやく京王線の駅に来たのですからここからは線路に沿って…といきたいところですが、早くもいったん京王線を離れます。5本目のバスは調布駅北口10時08分発の【武91】武蔵小金井駅南口行です。
ここまで4本乗車してきたバスは全て「220円均一」の路線でしたが、ここからは距離別の運賃になります。もっとも今回は1日乗車券(700円)を使用しており、調布駅北口までで220円×4=880円となるので既に元は取れており、さほど関係ありません。
調布駅北口を定刻通りに発車したバスは、程なくして京王線の線路から離れ北方向に進みます。この辺りには味の素スタジアム、調布飛行場、国立天文台など見どころ満載ですが、それらをかすめるような形で通り過ぎていきます。
すれ違うバスは小田急バスも多く、小田急線の沿線からは少し離れたエリアで様々な路線を展開しているようです。
「試験場正門」ではほとんどの乗客が入れ替わり。ここは府中運転免許試験場があり、教習や運転免許の更新等で多くの人の利用があるようです。JR中央線のほか近くには西部多摩川線も通っていますが、いずれの駅からも絶妙に遠いため【武91】が果たす役割は大きそうです。
なかなかの長距離路線でしたが、遅れることもなく定刻通り10時45分に終点の武蔵小金井駅南口へと到着。三鷹駅以来、約1時間半ぶりにJR中央線へと戻ってきました。
宇都宮線にも「小金井駅」があり、どちらも行先としてよく見る駅名なのでよく混同されがちです。東京の方に「武蔵」とついていますが、一般的に「小金井」というと栃木よりも東京の小金井市の方が知名度が高いゆえ厄介なことになっています。
そんなややこしい駅から乗車するのは、11時05分発の【武73】府中駅行。駅を出て目の前の乗り場から発車するので、電車からの乗り換えでも迷うことはありません。
バスは定刻通りに武蔵小金井駅南口を発車。いったん離れた京王線沿線まで、再び戻っていくことになります。
武蔵小金井駅~府中駅間を結ぶバス路線は【武71】【武73】の2種類があり、経由の違いから【武71】の方が少しだけ所要時間が短くなっています。ただ大した差ではありません。
両系統を合わせるとその運行頻度は6~7分に1本あり、かなり充実していることが分かります。混雑具合はまずまずといったところでしょうか。
途中には東京農工大学のキャンパスがあり、その中を突っ切るようにして走ります。
定刻よりも3分ほど早く、11時26分頃に途中の府中駅へと到着。駅舎は高架になっており、その真下に大きなバスロータリーがあるため北口・南口など分かれているわけではないようです。
新宿駅から高尾山口駅までのだいたい中間地点にあたるということで、ここで昼休憩。駅前の大戸屋でお昼ご飯をいただきました。甘辛鶏竜田丼とせいろうどんのセット(1,090円)です。
お腹も満たされたところで、旅を再開。7本目に乗車するのは、府中駅12時28分発の【国17】国立駅行。またもJR中央線まで戻るのか…と思いきや、このバスは途中の谷保駅までしか乗りません。
バスは定刻通りに府中駅を発車。途中まで甲州街道を走りますが、国立インター入口の交差点を直進し、その先で右折して谷保駅方面へ進んで国立駅へと至るルートを取ります。府中周辺には府中駅のほかにも「府中本町駅」や「分倍河原駅」といった乗り換え機能をもつ駅がいくつかあり、ある程度ターミナル機能が分散している印象を受けます。
甲州街道は渋滞も酷く、新宿駅西口を出て以来初めて本格的な渋滞にはまってしまいました。近くに中央道の国立府中ICがあることも影響の一つかもしれません。路線バスの旅において渋滞や遅延はつきものですが、ここまで順調に来れていただけに少し焦りが募ります。
所定では12時40分着予定のところ、7分ほど遅れて12時47分頃に谷保駅へと到着。駅前のロータリーへ入るのではなく、そこから1本通りを挟んだ狭隘な道の途中で降車しました。
少し歩くと、JR南武線の谷保駅があります。幸い乗り継ぎには余裕がありましたので次のバスに乗り遅れるということはありませんでしたが、短い時間での乗り継ぎを予定しているとかなり慌ただしくなるかもしれません。
谷保駅の北口にとっても魅力的な「梅林堂」という和菓子屋さんを見つけ、思わず入店。のれんの出ていた「彩のさくさく」の青のり味(95円)を購入しました。軽い食感のせんべいなのですが、おこしのような見た目をしており新感覚です。青のりの風味も豊かで、大満足でした。
谷保駅北口ロータリー内にある京王バスの乗り場は1ヵ所のみなので、迷うことはありません。先ほど乗車したものと逆方向の【国17】府中駅行はこのロータリー内から発車するようですね。
8本目の乗車は、谷保駅12時58分発の【国18】聖蹟桜ヶ丘駅行です。国立駅始発でやってくるバスなので、既に相当数のお客さんが乗車されています。
定刻通りに谷保駅を発車。先ほど乗車してきた道を少し戻り、国立府中インター入口の交差点から甲州街道へ入ります。ただし実際にICまでは行かず、南下して多摩川を越えるルートとなります。
この辺りから、住宅地ばかりでなくだんだんと緑の豊かな車窓も広がるようになってきました。途中には高校もあり、部活を終えた高校生が数名乗車してきました。
そしていよいよ、多摩川を渡っていきます!
「多摩川を渡る」というと東京都から神奈川県に入るようなイメージがありますが、この地域では都県境の位置と多摩川は全く異なりますので引き続き東京都です。左手に見えているのがまさにこれから向かう聖蹟桜ヶ丘駅周辺でしょうか。
13時23分頃、定刻よりも2分ほど早く終点の聖蹟桜ヶ丘駅へと到着。富山駅の路面電車乗り場のような構造で、真上には京王百貨店があります。
乗り入れる鉄道路線は京王線のみで、何となくただ「駅名がカッコいいだけ」という認識の聖蹟桜ヶ丘ですが、実はこの周辺では結構大きな街のようです。京王ライナーや特急も含め全ての列車が停車し、駅周辺には百貨店・ショッピングモール・マンションが数多く建ち並びます。
先ほどご紹介にいれた聖蹟桜ヶ丘駅のバス乗り場には、次から次へとひっきりなしにバスがやってきます。歩行者用の通路が中央にのびていますが、渡ってよいかどうかを示す信号はありませんので、バスの運転手さんの死角にならないような位置で気をつけながら歩く必要があります。
京王バスが多いようですが、一部神奈中バスやその他のバス会社も乗り入れます。
9本目となるバスは、聖蹟桜ヶ丘駅13時36分発の【桜63】鶴牧循環です。名前の通り聖蹟桜ヶ丘駅を出て多摩ニュータウンをぐるっと回り、再び聖蹟桜ヶ丘駅へと戻ってくる循環バスになっています。
聖蹟桜ヶ丘駅~多摩センター駅間はバスの系統と本数が非常に豊富で、【桜46】【桜62】【桜63】【桜72】【桜73】の5つの系統があります。【桜46】がやや遠回りであるほかは所要時間に大きな違いはありませんが、循環バスとなっているのはこの【桜63】のみです。
聖蹟桜ヶ丘駅を発車する時点で車内はかなり混雑しており、多摩ニュータウンの規模の大きさを実感します。多摩地区も杉並区や三鷹市等と同様に「南北移動」に便利な鉄道路線が多くなく、京王相模原線や小田急多摩線等で都心方面へのアクセスは良くてもニュータウン内の移動にはやはりバスが欠かせません。
乞田川沿いには幹線道路もありますが、このバスはそれよりも少し川から離れた細い道を進んでいきます。途中には「乞田五差路」という大きな交差点があり、そのままバス停の名称にもなっています。
定刻よりも3分ほど早く、13時57分頃に多摩センター駅へと到着。ここではかなりの降車がありました。
駅名の通り、多摩ニュータウンの「中心」的立ち位置となっているのがこの多摩センター駅。中央大学卒の私としてもこの場所は学生時代毎日利用していた馴染み深い駅で、卒業式以来約1年ぶりにやってきました。
駅近くにはサンリオピューロランドがあり、京王・小田急とも駅全体がサンリオキャラクターの装飾で埋め尽くされています。毎日の見慣れた風景でしたので何とも思いませんでしたが、改めて来てみるとかなり力を入れていることを実感します。
バスロータリーは駅南口のペデストリアンデッキ下にあり、京王バスや神奈中バスの乗り入れがメインとなっています。おそらく1970年代の開業からそれほど大きく手は加えられていないものと思われ、ニュータウンとはいいつつもロータリーやデッキは老朽化がかなり進んでいる印象です。
新宿駅西口を出てから早6時間以上、10本目の乗車となるバスは多摩センター駅14時20分発の【豊33】豊田駅南口行です。
えぇ…? ここから豊田駅へ…? 行けるの…? って思いますよね。
実は行けるんです。
運行本数は30分に1本で、【豊32】【豊33】の2種類の系統があります。日中は全て【豊33】での運行ですが、どちらも中央大学を経由するルートになっています。
バスは定刻通りに多摩センター駅を発車。まずはしばらく多摩モノレールの高架の真下を走行しながら山登りをはじめていきます。経由地には「中大トンネル・中央大学」とあり、いかにこの地域において中央大学の存在が広く浸透しているかを実感します。ちなみに「中大トンネル」という名前のバス停は存在せず、「このバスは中大トンネルを通るよ」というだけの話です。
かつて中央大学へは八王子駅・橋本駅・聖蹟桜ヶ丘駅・京王堀之内駅など多方面から路線バスが運行されていましたが、1998年の多摩モノレール開業を境に廃止が進み、今となってはこの多摩センター駅~豊田駅間を結ぶだけとなってしまいました。
多摩モノレールの「中央大学・明星大学駅」は両大学に直結する抜群の立地となっており、今では来訪者のほとんどがこの駅を利用します。しかし正門は本来その位置ではなく、中大トンネルをくぐった先にあります。
トンネルを抜けて正門の前を通り過ぎ、いったん左折して中央大学のバスロータリーへと入ります。大学の敷地とは別ですが、キャンパスから歩道橋でつながっています。
日曜日ということもあって乗降は一切ありませんでしたが、在学中の私の記憶ではキャンパス内が学生で溢れかえっている日であってもこのバスロータリーを利用する人はほとんどいなかったと思います。今となっては【豊32】【豊33】だけですからこんな広大なロータリーは不要なわけですが、かつての繁栄を物語る貴重な産物として今も残されているのです。
…と、自分の母校のことなのでつい熱くなって詳しく書きすぎてしまいました。それはさておき、山を越えると平山の街へたどり着きます。京王線の線路と浅川を越えて、だいぶ平坦な道のりへと戻ってきました。
定刻よりも5分ほど早く、14時43分頃に終点の豊田駅南口へと到着。JR中央線の駅に来るのは武蔵小金井駅以来約4時間ぶりでしょうか。
豊田駅南口に乗り入れる京王バスは【豊32】【豊33】しかありません。しかし北口へ移動してみると…。
ついに見えた! 「八王子」の文字が!!!
鉄道と比べかなりの遠回りをしてきましたが、ようやく八王子へ行けることの実感がわいてきました。
11本目の乗車は、豊田駅北口14時50分発の【豊56】八王子駅北口行です。ここまで10本連続で同じ塗装のバスでしたが、ここにきて少し異なる塗装のバスに当たりました。
豊田駅から八王子駅へ行くとなればJR中央線でたった1駅ですが、線路の北側を回り込むようにバス路線も運行されています。この【豊56】は20分間隔での運行で、京王八王子駅に立ち寄った後で終点がJR八王子駅となります。
バスは定刻通りに豊田駅北口を発車。まずは「イオンモール多摩平の森」の横をかすめ、甲州街道へと出ます。もう長時間座りっぱなしで、お尻はかなり痛くなってきました。
途中には、東京都立大学日野キャンパスの近くを通ります。2020年にそれまでの「首都大学東京」から名称を変更したことが記憶に新しいですが、バス停の名前は今でも「首都大学東京」が使われていました。停留所名を変えるのはなかなかお金のかかることだったりします。
再び浅川を越え、バスはいよいよ八王子の中心市街地へと入っていきます。遠くに見えるのは先ほどまでうろうろしていた多摩丘陵で、もうだいぶ遠くまでやってきました。
15時07分、京王八王子駅に到着。ついに八王子の地に足をつけることができました!
もちろんゴールは高尾山口駅ですので、まだ終わりではありません。しかし一つ区切りとなる場所であることは間違いなく、一つ達成感を感じることのできるポイントです。
JR八王子駅と京王八王子駅は別の場所にありますが、京王駅からまっすぐな通りの向こうを見るとJR駅が見えるくらいの距離で、さほど離れてはいません。京王駅の方は「けーはち」という略称で親しまれています。
次のバスまでは少し時間があるので、京王八王子駅のマックで休憩。
JRと私鉄でそれぞれターミナル機能がある駅の場合はどちらかが明確に栄えている…ということが多いですが(だいたい私鉄)、八王子の場合はどちらも十分賑わいがあり栄えています。
小一時間の休憩の後、京王八王子駅のバス乗り場へとやってきました。縦長の細い乗り場で、西東京バスをメインに京王バスも一部発着しているといった様子です。
さぁ、いよいよこれがラストのバスになります。
最後12本目は京王八王子駅16時01分発の【山01】高尾山口駅行です。
京王八王子駅~高尾山口駅間では、1日5.5往復限定(土曜・休日)で京王バスによる路線バスが運行されています。鉄道に比べるとその本数は圧倒的に少なく、しかも平日は何と1日1往復限定となりますので注意が必要です。
バスは定刻通りに京王八王子駅を発車。この時点ではまだ乗客はほとんどいません。
ちなみに(JR)八王子駅北口~相模湖駅間では神奈中バスが1日3往復(平日は1日2往復)運行されており、これも途中に高尾山口駅を通ります。ただしもちろん京王バスではないので、今回は乗れません。
まずは八王子駅北口へと寄ります。ここからかなりのお客さんが乗車されましたが、登山客や観光客らしき方はほぼいませんでした。時間帯も時間帯ですし、もし高尾へ行くとしても十中八九電車を選択される方が多いはずです。
途中には「織物組合前」というバス停があります。八王子は古くから織物産業がさかんな街として栄え、「桑の都」と呼ばれてきました。
国道は車線数が多く直線的で走りやすい一方、その分交通量も多くなっています。夕方の渋滞…とまではいきませんが、単調な景色で思わずウトウトしてしまいそうです。
左手には「高尾タンメン イタダキ」と書かれた大きな看板が。しかしドアには張り紙があり、何と2023年2月いっぱいで閉店してしまったそうです。看板がやけに新しいと思い調べてみるとオープンは新型コロナが急速に広まっていた2020年2月だそうで、これ以上ないくらい悪いタイミングと言わざるを得ません…。一度食べてみたかったものです。
高尾駅入口を過ぎると、それまでの国道の賑わいとは少し異なり、上り勾配がきつくなってきました。いよいよ山登りの区間へと差し掛かってきます。
ちょうど相模湖駅から八王子駅北口へと向かう神奈中バスの最終バスとすれ違いました。道路も狭くなり、国道の雰囲気とはだいぶ違います。
そしていよいよ…「次は 終点 高尾山口駅」の案内が!
ゴールはすぐそこまで迫ってきました。
車内には数名の乗客がいますが、私は本日この車内で誰よりも遠くから京王バスだけを乗り継いでやってきた乗客であるという自信があります。
お尻を痛め、睡魔に襲われ、それでもここまで何とかやってくることができました。
16時43分頃…ようやくゴールの高尾山口駅へと到着!!!
新宿駅西口から、休憩を含め約9時間かけてやってくることができました。
この9時間のうちに、もし京王線の特急なら新宿~高尾山口駅間を何往復できたことでしょう。
安くて速い京王線のありがたみをひしひしと感じることのできる、良い機会となりました。
せっかくここまで来たので、ご褒美に温泉にでも浸かっていきましょう!
「京王高尾山温泉 極楽湯」は高尾山口駅に隣接する温泉施設で、改札口を出て専用通路を歩くと1分ほどで到着できます。
休日の入館料は大人1,300円で、貸タオルセット450円も合わせると1,750円でした。なかなか強気の価格設定に思えますが、これで9時間に渡るバス旅の疲れを癒せると思えば安いものです。
温泉は広すぎず狭すぎずといったところで、内湯よりも露天風呂が充実していました。休日の夕方にごった返す街中のスーパー銭湯とは一線を画すくつろぎの空間で、温泉成分がかなり濃く満足感がありました!
館内には高尾山口駅の発車標もついており、列車の発車時刻を確認しながら過ごすことができます。
というわけで、今回は「新宿駅西口から高尾山口駅まで京王バスだけで移動する」という無茶な挑戦の一部始終をご覧いただきました。
もちろんこれよりもスムーズな乗り継ぎもあるかもしれませんし、京王バス縛りをなくすと他にも様々なルートがあることかと思います。
みなさんも是非、挑戦してみてはいかがでしょうか…?
最後に、今回のルートと各区間の運賃についてまとめておきます。
今回も最後までお読みいただきありがとうございました。